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【発明の名称】 プレカット加工装置
【発明者】 【氏名】中川 活秀

【氏名】福田 悦弘

【氏名】林 弘

【要約】 【課題】装置コストを抑制しつつ、木材に対して所定の加工の他文字・記号や墨線も記入でき、しかも、処理全体に要する時間を短縮すると共に、必要に応じて記入面を変更する。

【解決手段】シーケンサは、被加工木材の搬送制御を行うと共に、センサ213とサーボモータの内蔵エンコーダの信号とから搬送中に素材長さを計測する。制御コンピュータは、素材長さから製品長さ及び端切長さを減じて残材長さを求める。シーケンサは、印字装置230の印字ヘッドの印字位置に製品部分の先端が位置する様に素材を送って一旦停止し、印字許可信号を出力する。印字機コントローラは、エンコーダからの信号を直接入力され、インク吐出タイミングを制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材を搬送する搬送ラインと、該搬送ラインの途中に設置されて木材に対して少なくとも両端切断を実行する加工機と、前記木材から形成される製品の所定位置に文字・記号などの可読情報と位置合わせのための線とを記入する情報記入装置とを備えたプレカット加工装置において、以下の構成を備えたことを特徴とするプレカット加工装置。
(1−1)前記搬送ラインには、前記加工機による加工位置に木材を移送して位置決めすることのできる位置決め移送体が備えられていること。
(1−2)前記搬送ラインには、前記位置決め移送体によって移送される木材の先端を検出する先端検出センサが備えられていること。
(1−3)前記位置決め移送体を位置制御しながら移動させる移送体移動制御装置が備えられていること。
(1−4)前記情報記入装置として、前記搬送ラインの途中に設置されたインクジェット方式の印字装置を備えていること。
(1−5)前記印字装置の印字ヘッドの多数のノズルからのインク吐出タイミングを制御するインク吐出制御装置を備えていること。
(1−6)前記インク吐出制御装置には、前記位置決め移送体の移動量を検出するためのエンコーダ信号が直接入力されていること。
(1−7)前記先端検出センサによって木材先端が検出されるまでの前記位置決め移送体の移動量に基づいて、前記搬送ラインに投入された木材の全長を計測する全長計測手段が備えられていること。
(1−8)前記全長計測手段による全長計測結果と製品長さと端切長さとから残材長さを算出する残材長さ算出手段が備えられていること。
(1−9)前記残材長さ算出手段の算出した残材長さと、前記先端検出センサの配置位置と該センサよりも下流側に設定された停止基準位置との距離と、前記位置決め移送体の移動量とに基づいて、前記停止基準位置に製品部分の端部を一旦停止させて位置合わせをする位置合わせ手段を備えていること。
(1−10)前記位置合わせ手段による位置合わせを行った後に、前記インク吐出制御装置に対して印字許可信号を出力する印字許可信号出力手段を備えていること。
(1−11)前記インク吐出制御装置は、前記印字許可信号を受信した後の前記エンコーダ信号の計測結果に基づいて前記インク吐出タイミングを制御する処理を実行する様に構成されていること。
【請求項2】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項1記載のプレカット加工装置。
(2−1)前記搬送ラインには、前記加工機による加工に際して木材をクランプするクランプ装置が備えられていること。
(2−2)前記インク吐出制御装置は、インク吐出制御の途中で前記クランプ装置によるクランプがなされて木材が停止したときは、インク吐出制御を一旦中断し、前記クランプ装置がアンクランプとなって木材の移送が再開したときにインク吐出制御を再開する中断・再開機能を備えていること。
【請求項3】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のプレカット加工装置。
(3−1)前記加工機は、先端アームに加工刃物を取り付けた多関節ロボットによって構成されていること。
(3−2)前記加工刃物の駆動制御と前記多関節ロボットのアーム旋回制御とを実行する加工制御装置を備えていること。
(3−3)前記多関節ロボットの先端アームには、加工刃物と干渉しない位置にボールペンを用いた線引き装置が装着されていること。
(3−4)前記加工制御装置は、前記多関節ロボットのアーム旋回制御を利用して、前記線引き装置による線引き動作をも実行する線引き制御機能を備えていること。
【請求項4】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項3記載のプレカット加工装置。
(4−1)前記線引き装置は、ホルダ本体と、該ホルダ本体に対して軸方向移動可能に嵌合されたスライド体と、該スライド体の先端に固定された接触体と、該スライド体を前記ホルダ本体に対してフローティング状態に受ける第1スプリングと、前記スライド体内に納められたボールペンと、該ボールペンを前記スライド体に対してフローティング状態に受ける第2スプリングとを備えていること。
【請求項5】
さらに、以下の構成をも備えたことを特徴とする請求項4記載のプレカット加工装置。
(5−1)前記ホルダ本体は、前記第1スプリングを収納する筒孔を備え、該筒孔は、下端側が大径部となり上端側が小径部となる様に上下に段差を備えていること。
(5−2)前記スライド体は、前記ボールペンを収納するための軸孔と、下端側の外面に形成されて前記第1スプリングの付勢力を受ける鍔部と、前記軸孔の下端側に段差を介して形成された細孔とを備えていること。
(5−3)前記スライド体の途中には、前記第1スプリングの付勢力によって抜け出してしまわない様にするための上端ストッパリングが固定されていること。
(5−4)前記スライド体の先端外側には、前記接触体を螺合深さ変更可能に螺合させるネジが刻設されていること。
(5−5)前記スライド体の上端には、前記第2スプリングによる付勢力を調整するためのネジ部材が取り付けられていること。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、木材に対して切断・切削・孔開け等の加工と共に組立情報となる文字・記号・墨線等の記入をも行うことのできるプレカット加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、木造住宅用の部材として木材を加工するためのプレカット加工装置が広く使用されている。こうしたプレカット加工の分野においては、単に木材を切断・切削等するだけでなく、建築現場での組立に際して有効な情報となる通り番地等を示す文字・記号や、垂木等の取り合いの基準線となる墨線等の組立情報を記入した状態で出荷することが望まれている。
【0003】
従来、こうした要望に応えるものとして、木材加工と組立情報の記入とを行う装置が種々提案されている(特許文献1〜6)。
【0004】
特許文献1には、図14(A)に示す様に、加工ライン中に木材加工機とインクジェット方式の印字装置とを配置し、プレカット加工した木材の下面に対して通り番地を印字する技術が開示されている。
【0005】
特許文献2には、図14(B)に示す様に、加工ライン中に形状測定装置、切断機及び墨付け機を配置し、形状測定データと予め記憶されている製品形状データとを比較して溝掘り・孔あけ等の加工が可能であるか否かを判断し、加工可能である場合には、切断機による全長切断と共に墨付け機による墨付けを行う技術が開示されている。また、墨付け機は、昇降・水平移動・回動が可能なインクジェットヘッドを備え、求心クランプで墨付け位置にて木材を固定すると共にコンベアを下降させて逃がし、木材の上下面及び側面のいずれに対しても墨線を記入可能に構成されている。
【0006】
特許文献3には、図14(C)に示す様に、プレカット加工された垂木に屋根勾配に対応する斜めの墨線を記入するために、回転可能な昇降テーブル上にスタンプ式の墨線記入用マーカーを備えた墨線記入装置を配置したプレカット加工ラインが開示されている。
【0007】
特許文献4には、図14(D)に示す様に、木材の上下面に対してボールペンで墨線を記入する様にした墨付け装置が開示されている。
【0008】
特許文献5には、図14(E)に示す様に、摘み装置と墨糸を用いた墨線のケガキ装置が開示されている。
【0009】
また、特許文献6には、図15(A)に示す様に、加工ライン中に文字・記号を記入するための印字装置と墨線を記入するための墨線マーキング装置とを配置したプレカット加工装置が開示されている。
【0010】
また、特許文献7には、図15(B)に示す様に、昇降及び水平回動可能なアームの先端にクレヨンを把持してワークの上面に文字等を記入する産業用ロボットが開示されている。
【特許文献1】特公平6−20722号公報(第1図,第2図)
【特許文献2】特公平7−61620号公報(第1図〜第3図)
【特許文献3】特開平11−124941号公報(図2〜図6)
【特許文献4】特開第2742501号公報(図3)
【特許文献5】実開平6−21875号公報(図1)
【特許文献6】特開2001−347503号公報(図1,図2)
【特許文献7】特開昭61−13870号公報(第2図〜第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1は、文字・記号の記入のみが意図されているだけであって、プレカット加工の分野における要望に十分に対処できるものとなっていない。
【0012】
逆に、特許文献2〜5は、墨線の記入のみが意図されているだけであって、プレカット加工の分野における要望に十分に対処できるものとなっていない。
【0013】
ここで、特許文献6は、文字・記号だけでなく墨線の記入も可能である。しかし、文字・記号を記入するための印字装置と墨線を記入するための墨線マーキング装置を別々に備えなければならないという問題と、木材の下面にしか記入ができないという問題がある。
【0014】
また、特許文献7は、アームの動作に自由度が高いことから、文字・記号と墨線を1台の記入装置で記入できる要素を備えているものの、記入できるのはワークの上面のみであると共に、ワークを停止させないと記入が困難なため、処理能力が低いという問題がある。
【0015】
そこで、本願は、装置コストを抑制しつつ、木材に対して文字・記号も墨線も記入でき、しかも、処理全体に要する時間を短縮することを第1の目的とする。また、上記第1の目的を達成しつつ、さらに、必要に応じて記入面を変更することができる様にすることをさらなる第2の目的とする。加えて、第2の目的をも達成する場合に、耐久性が高く、かつ木材という素材の性質にもマッチした情報記入が可能な様にすることを第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記第1の目的を達成するためになされた本発明のプレカット加工装置は、木材を搬送する搬送ラインと、該搬送ラインの途中に設置されて木材に対して少なくとも両端切断を実行する加工機と、前記木材から形成される製品の所定位置に文字・記号などの可読情報と位置合わせのための線とを記入する情報記入装置とを備えたプレカット加工装置において、以下の構成を備えたことを特徴とする。
(1−1)前記搬送ラインには、前記加工機による加工位置に木材を移送して位置決めすることのできる位置決め移送体が備えられていること。
(1−2)前記搬送ラインには、前記位置決め移送体によって移送される木材の先端を検出する先端検出センサが備えられていること。
(1−3)前記位置決め移送体を位置制御しながら移動させる移送体移動制御装置が備えられていること。
(1−4)前記情報記入装置として、前記搬送ラインの途中に設置されたインクジェット方式の印字装置を備えていること。
(1−5)前記印字装置の印字ヘッドの多数のノズルからのインク吐出タイミングを制御するインク吐出制御装置を備えていること。
(1−6)前記インク吐出制御装置には、前記位置決め移送体の移動量を検出するためのエンコーダ信号が直接入力されていること。
(1−7)前記先端検出センサによって木材先端が検出されるまでの前記位置決め移送体の移動量に基づいて、前記搬送ラインに投入された木材の全長を計測する全長計測手段が備えられていること。
(1−8)前記全長計測手段による全長計測結果と製品長さと端切長さとから残材長さを算出する残材長さ算出手段が備えられていること。
(1−9)前記残材長さ算出手段の算出した残材長さと、前記先端検出センサの配置位置と該センサよりも下流側に設定された停止基準位置との距離と、前記位置決め移送体の移動量とに基づいて、前記停止基準位置に製品部分の端部を一旦停止させて位置合わせをする位置合わせ手段を備えていること。
(1−10)前記位置合わせ手段による位置合わせを行った後に、前記インク吐出制御装置に対して印字許可信号を出力する印字許可信号出力手段を備えていること。
(1−11)前記インク吐出制御装置は、前記印字許可信号を受信した後の前記エンコーダ信号の計測結果に基づいて前記インク吐出タイミングを制御する処理を実行する様に構成されていること。
【0017】
本発明のプレカット加工装置によれば、移送体移動制御装置が位置決め移送体を位置制御しながら移動させることによって搬送ラインに投入された木材を加工機による加工位置へと移動する際に、先端検出センサによる木材の先端検出結果と、当該検出時までの位置決め移送体の移動量とから搬送ラインに投入された木材の全長計測を実行すると共に、残材長さを算出し、製品部分の先端を停止基準位置に停止させる。停止基準位置は位置決め移送体の移動方向下流側に設定されているので、この停止制御を実行するまでの間、位置決め移送体は木材を送る方向に移動させ続けておくことができる。従って、全長計測のために搬送を停止するなどといった制御が不要となり、搬送開始から全長計測及び位置決めまでの処理を連続動作で実行することができる。
【0018】
こうして全長計測、残材長さ算出、位置決め停止と進んだ後、印字許可信号がインク吐出制御手段に与えられる。インク吐出制御手段には、位置決め移送体の移動量に対応するエンコーダ信号が直接入力されているので、この印字許可信号が入力された後のエンコーダ信号の累積値から、製品部分の端部が停止基準位置からどれだけ移動したかを正確に検知することができる。従って、当該製品に対して印字を実行するべき位置が印字ヘッドの位置に達したこともこのエンコーダ信号から正確に検知できる。よって、インク吐出制御手段は、木材を搬送しながら正確な位置に精度よく印字を行うことができ、位置合わせのための線も正確にインク吐出による印字でこれを記入することができる。
【0019】
よって、本発明のプレカット加工装置によれば、インクジェット方式の情報記入装置により、部材番号等の文字・記号情報の記入だけでなく、垂木などに対する墨線の記入や2×4工法における位置合わせ線の記入も精度よく、しかも木材を搬送しながら実施することができ、装置コストを抑制しつつ、木材に対して文字・記号も墨線も記入でき、しかも、処理全体に要する時間を短縮することができる。
【0020】
ここで、本発明のプレカット加工装置は、さらに、以下の構成をも備えることができる。
(2−1)前記搬送ラインには、前記加工機による加工に際して木材をクランプするクランプ装置が備えられていること。
(2−2)前記インク吐出制御装置は、インク吐出制御の途中で前記クランプ装置によるクランプがなされて木材が停止したときは、インク吐出制御を一旦中断し、前記クランプ装置がアンクランプとなって木材の移送が再開したときにインク吐出制御を再開する中断・再開機能を備えていること。
【0021】
この(2−1),(2−2)の構成をも備えたプレカット加工装置は、加工機による切断等の際には木材をクランプしてしっかりと固定した状態にすることができる。よって、正確な加工が実施できる。一方、クランプ装置によってクランプが実行されることにより、位置決め移送体による木材の搬送は停止される。上述の様に、本発明は、位置決め移送体の移動量を直接エンコーダ信号としてインク吐出制御装置に入力してインク吐出タイミングを制御している。従って、印字途中で木材の所定の位置が加工機による加工位置に到達したときは、エンコーダ信号が入力されなくなるので、インク吐出制御は一旦中断し、加工を優先する。しかし、加工が完了して再び木材の搬送が再開されたら、エンコーダ信号が再び入力され始めるので、中断した後の印字のためのインク吐出制御を再開する。この様に、本発明のプレカット加工装置では、(2−1),(2−2)の構成をも採用することで、インクジェットによる印字のために木材を搬送するのではなく、加工のために木材を搬送する制御のみを実行すればよく、制御全体の構成を複雑化することがない。また、印字のための搬送制御を別個に行うための制御装置を備えなくてもよい。それにも拘わらず、エンコーダ信号をインク吐出制御装置に直接入力するなどの特有の構成を採用することで、墨線や位置合わせ線の様に記入位置の精度要求の高い情報をもインクジェットによって正確に記入することができている。
【0022】
また、上述の構成に加えて、さらに、以下の構成をも備えることで、第2の目的をも達成するプレカット加工装置を提供することができる。
(3−1)前記加工機は、先端アームに加工刃物を取り付けた多関節ロボットによって構成されていること。
(3−2)前記加工刃物の駆動制御と前記多関節ロボットのアーム旋回制御とを実行する加工制御装置を備えていること。
(3−3)前記多関節ロボットの先端アームには、加工刃物と干渉しない位置にボールペンを用いた線引き装置が装着されていること。
(3−4)前記加工制御装置は、前記多関節ロボットのアーム旋回制御を利用して、前記線引き装置による線引き動作をも実行する線引き制御機能を備えていること。
【0023】
(3−1)〜(3−4)を備えることにより、多関節ロボットのフレキシブル性を利用して、情報記入装置によっては情報記入ができない面に対する墨線等の記入を実行することができる。加工機自体が多関節ロボットであるから、線引き装置を先端アームに取り付けるという最小限の追加構成だけで足りる。
【0024】
さらに、(3−1)〜(3−4)に加えて、以下の構成をも備えることで、第3の目的をも達成するプレカット加工装置を提供することができる。
(4−1)前記線引き装置は、ホルダ本体と、該ホルダ本体に対して軸方向移動可能に嵌合されたスライド体と、該スライド体の先端に固定された接触体と、該スライド体を前記ホルダ本体に対してフローティング状態に受ける第1スプリングと、前記スライド体内に納められたボールペンと、該ボールペンを前記スライド体に対してフローティング状態に受ける第2スプリングとを備えていること。
【0025】
(4−1)の構成をも備えることにより、多関節ロボットのアーム操作としては、製品データから認識される記入面位置に対して若干押し付け気味にボールペンを押し当てる様にしてやることで、第1スプリングの作用によって接触体を確実に木材表面に押し当てた状態とすることができる。また、ボールペンも第2スプリングで付勢した状態となるので、ボールペン自体もしっかりと木材表面に接触する。これにより、反りなどがあったとしても精度よく鮮明に線引きを実行することができる。また、第2スプリングによるフローティング状態の支持により、ボールペンは筆圧をほぼ一定に保ったまま上下動することができる。これにより、年輪の影響による表面硬さの相違に対しても精度よく鮮明な線引きを実行することができる。
【0026】
加えて、上記第3の目的を達成するに当たり、さらに、以下の構成をも備える様にするとよい。
(5−1)前記ホルダ本体は、前記第1スプリングを収納する筒孔を備え、該筒孔は、下端側が大径部となり上端側が小径部となる様に上下に段差を備えていること。
(5−2)前記スライド体は、前記ボールペンを収納するための軸孔と、下端側の外面に形成されて前記第1スプリングの付勢力を受ける鍔部と、前記軸孔の下端側に段差を介して形成された細孔とを備えていること。
(5−3)前記スライド体の途中には、前記第1スプリングの付勢力によって抜け出してしまわない様にするための上端ストッパリングが固定されていること。
(5−4)前記スライド体の先端外側には、前記接触体を螺合深さ変更可能に螺合させるネジが刻設されていること。
(5−5)前記スライド体の上端には、前記第2スプリングによる付勢力を調整するためのネジ部材が取り付けられていること。
【0027】
(5−1)〜(5−5)の構成をも採用することにより、ボールペンの交換は容易であり、かつ、ボールペンのペン先を接触体表面から一定量突出した最適な状態となる様に調整することができ、長期に渡って使用しても、鮮明な線を引き続けることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、装置コストを抑制しつつ、木材に対して文字・記号も墨線も記入でき、しかも、処理全体に要する時間を短縮することができる。また、(3−1)〜(3−4)の構成をも備えることで、さらに必要に応じて記入面を変更することもできる。加えて、(4−1)の構成をも備えることにより、耐久性が高く、かつ木材という素材の性質にもマッチした情報記入が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、実施の形態としての羽柄材加工機について説明する。まず、機械装置としての構成について説明する。図1,図2に示す様に、この羽柄材加工機1は、加工材を投入する上流側から順番に、投入チェーンスラッシャ100と、投入コンべア200と、加工機本体300と、取出しコンベア400と、取出しホイールコンベア500とを備えている。
【0030】
投入チェーンスラッシャ100は、図1に示す様に、テーブル状のフレーム101と、このフレーム101の上面側に木材載置面を形成する多数のチェーン102とを備え、チェーン102の上に木材を載置することができる様になっている。そして、チェーン102を駆動することによって、加工前の木材を投入コンベア200へと送り込む。
【0031】
投入コンべア200には、図1,図2に示す様に、左右方向に伸びるフレーム201と、このフレーム201の上面に固定された左右方向に伸びるテーブル202と、このテーブル202の奧側のエッジから垂直に立ち上がる様に取り付けられて加工材の移送をガイドする定規203とからなる「テーブル部」が備えられている。
【0032】
また、投入コンベア200には、定規203の奧にフレーム201の左右方向長さ全体に渡って平行に設置されたレール204と、このレール204にガイドされてテーブル202の上を左右方向に移動可能な加工材移送位置決め移動体220とからなる「加工材移送位置決め手段」が備えられている。なお、定規203は、ところどころで分割されたものとなっている。
【0033】
さらに、投入コンベア200には、2基の上押さえローラ207L,207Rと、2基のサイドローラ209L,209Rと、1基の上クランプ211とからなる「クランプ手段」が備えられている。上押さえローラ207L,207Rは、図1に示す様に、テーブル202の左側の上方位置に、左右方向に離して設置されている。この離間距離は、加工予定素材の最短のものの全長以下となる様に設計されている。サイドローラ209L,209Rは、図1に示す様に、テーブル202の左端の加工機本体300の近くの位置の前面側に、左右方向に離して設置されている。この距離は、最短の加工予定素材の全長以下でかつ印字ヘッドの両側に振り分ける様な距離として設計されている。上クランプ211は、図1(B)に示す様に、左側のサイドローラ209Lの辺りでテーブル202の上方に設置されている。
【0034】
ここで、上押さえローラ207L,270Rは、移送位置決め中の加工材がテーブル202から浮き上がらないように押さえ付けるために設けられており、エアシリンダ208L,208Rによって昇降動作が可能な構成となっている。また、サイドローラ209L,209Rは、移送位置決め中の加工材を定規203に押し付けるためのもので、エアシリンダ210L,210Rによって水平方向に前後動が可能な構成となっている。さらに、上クランプ211は、エアシリンダ212によって昇降動作が可能な構成となっている。
【0035】
また、これらサイドローラ209L,290Rの間の部分は、図2に示す様に、テーブル202が途切れて加工材がオーバーハングの状態となる様に構成されている。そして、このオーバーハングの状態となる部分にはセンサ213と印字装置230が設置されている。なお、オーバーハングの状態となる部分の定規203は途切れていない。
【0036】
センサ213は、印字装置230の右側直近に設置されている。このセンサ213は、加工材移送位置決め移動体220によって移送されてきた加工材の左先端を検出し、その信号をシーケンサに送る。
【0037】
印字装置230は、フレーム201に支えられており、テーブル202の上面よりやや低い位置にあって、図2に示す様に、印字ヘッド231〜234を上向きにインクを吐出する様に設置したものとなっている。印字ヘッド231〜234は、右から左に徐々に奧に位置する様に前後方向にずれて配置され、一番左側の印字ヘッド231の最も奧の端の吐出孔と一番右側の印字ヘッド234の最も手前の端の吐出孔の範囲に文字・記号・線などを印字可能となっている。
【0038】
加工材移送位置決め移動体220からは、図1に示す様に、加工材の右端面を左方向に押して加工材を左方向に移送位置決めするための左側先端面221がレール204と平行に延びている。また、加工材移送位置決め移動体220は、図1,図3に示す様に、左右方向へ駆動するためのサーボモータ222が備えられている。また、図3に示す様に、このサーボモータ222のモータシャフト223には小ギヤ224が取り付けられ、大ギヤ225と噛み合っている。大ギヤ225は、駆動軸226の一端に固定されている。そして、この駆動軸226の他端にはピニオンギヤ227が固定されている。このピニオンギヤ227は、レール204と平行に設置されたラックギヤ228と噛み合っている。そして、駆動軸226の端部には、その回転に応じてカウント信号を出力するエンコーダ229が取り付けられている。このエンコーダ229の出力は、印字装置230のコントローラに直接送られている。これにより、印字装置230に、加工材移送位置決め移動体220の左右方向移動量を検出する能力を備えさせている。この加工材移送位置決め移動体220の左右方向移動量は、加工材の左右方向移動量に相当する。なお、サーボモータ222自体にもエンコーダは内蔵されている。この内蔵エンコーダは、サーボモータの駆動制御のためのものである。
【0039】
本実施形態の羽柄材加工機1は、上述の様な構成を備えたことにより、加工材移送位置決め移動体220によって加工材を左方向へ移送している最中に印字装置230を駆動して加工材に対する印字及び墨線の記入を実行することができる。なお、加工材移送位置決め移動体220は、加工機本体300による切断加工等の処理のための移送位置決めも実行する様に構成されている。
【0040】
加工機本体300は、上下・前後・左右・旋回・首振りなど6自由度の動作及び位置決めが可能で、内蔵コントローラによって速度制御される多関節ロボット301によって構成されている。
【0041】
多関節ロボット301の先端アーム301aには、ベース302が取り付けられている。このベース302に主軸丸鋸モータ303が取り付けられている。そして、主軸丸鋸モータ303のスピンドル304には、丸鋸305が取り付けられている。この丸鋸305は、主軸丸鋸モータ303によって駆動される。
【0042】
図4に示す様に、主軸丸鋸モータ303の本体ケース306の外側には、スピンドル305と反対向きにペン先を向ける様に線引き装置310が取り付けられている。この線引き装置310は、図4,図5に示す様に、主軸丸鋸モータ302にブラケット311を介して固定されたホルダ本体312と、ホルダ本体312に対して軸方向移動可能に嵌合されたスライド体313と、このスライド体313の先端に固定された皿状の接触体314と、スライド体313をホルダ本体312に対してフローティング状態に受ける第1スプリング315と、スライド体313内に納められたボールペン316と、ボールペン316をスライド体313に対してフローティング状態に受ける第2スプリング317とを備えている。
【0043】
ホルダ本体312は、図5に示す様に、第1スプリング315を収納する筒孔312aを備えている。また、筒孔312aは、下端側が大径部312bとなり上端側が小径部312cとなる様に段差312d,312eを備えている。そして、大径部312b及び小径部312cには軸受ブッシュ312f,312gが嵌合されている。
【0044】
スライド体313は、図5に示す様に、ボールペン316を収納するための軸孔313aと、ホルダ本体312の大径部312aに内嵌された軸受けブッシュ312fに接する鍔部313bとを備えている。また、軸孔313aの下端側には段差313cを介して細孔313dが形成されている。この段差313cはボールペン316の押し込み方向のストッパとして機能する。
【0045】
また、スライド体313の途中には、第1スプリング315の付勢力によって抜け出してしまわない様にするための上端ストッパリング313eがイモネジ313fで固定されている。同様に、スライド体313の上端には、第2スプリング317による適度な付勢力をボールペン316に加えるための六角ボルト318が螺合されている。
【0046】
さらに、スライド体313の先端外側には、ネジ313gが刻設されている。このネジ313gは、接触体314に固定されたリングナット314aの螺合深さを変更することで、ボールペン316の先端を接触体314から僅かに露出した状態に調整するためのものである。なお、露出状態を調整した後に、リングナット314aはイモネジ314bで回転止めされる。
【0047】
なお、丸鋸305による切断動作を実行するときには線引き装置310は加工材と反対側にペン先を向けることとなり、切断動作に対して線引き装置310が干渉することはない。逆に、線引き装置310によって加工材に対して線を引くときは、丸鋸305が加工材と反対側に回転された状態となるので、線引き動作に対して丸鋸305が干渉するということもない。
【0048】
次に、取り出し側について説明する。取出しコンベア400は、図1に示す様に、加工機本体300の左側から左方向に伸びるフレーム401と、このフレーム401の上面に固定されたローラテーブル402と、このローラテーブル402の奧側のエッジから垂直に立ち上がる様に取り付けられて加工材の移送をガイドする定規403とからなるテーブル部が備えられている。なお、ローラテーブル402は、ギヤモータ(図示せず)によって回転駆動され、それ自身で加工材を左方向に移送する機能を有している。
【0049】
また、取り出しコンベア400には、2基のサイドローラ404L,404Rと、1基の上クランプ405とからなるクランプ装置が備えられている。サイドローラ404L,404Rは、図1に示す様に、ローラテーブル402の右端の加工機本体300の近くの位置の前面側に左右方向に離して設置されている。この離間距離は、加工予定素材の最短のものの全長以下となる様に設計されている。上クランプ405は、図2に示す様に、右側のサイドローラ404Rの辺りでローラテーブル402の上方に設置されている。
【0050】
ここで、サイドローラ404L,404Rは、移送位置決め中の加工材を奧の定規403に押し付けるためのもので、エアシリンダ406L,406Rによって水平方向に前後動が可能な構成となっている。さらに、上クランプ405は、エアシリンダ(図示略)によって昇降動作が可能な構成となっている。
【0051】
また、取り出しコンベア400には、ローラテーブル402上に載置された加工材を前方のホイールコンベア500に向かって取り出すための取り出し体407が備えられている。この取り出し体407は、その左右両端近くに設置されているエアシリンダ408L,408Rによって前後動される。
【0052】
取出しホイールコンベア500は、取出しコンベア400から送り出された加工材を載置するための貯木部であって、フレーム501で支えられたホイールコンベア502によって構成されている。
【0053】
次に、本実施形態の羽柄材加工機1の制御系統の構成について説明する。本実施形態の制御系統は、図6に示す様に、イーサネット(登録商標)600を介して接続された制御コンピュータ610と、シーケンサ620と、印字機コントローラ630と、加工機コントローラ640とによって構成されている。
【0054】
制御コンピュータ610には、CAD/CAMデータ入力部611及びマニュアル指令入力部612から、加工条件や印字条件などの各種情報が入力される様に構成されている。そして、制御コンピュータ610は、これら入力された加工条件や印字条件などの各種情報に基づいて、シーケンサ620、印字機コントローラ630及び加工機コントローラ640に対して、加工データ、印字データ、印字位置データなどの加工及び印字のためのデータを送信する。
【0055】
制御コンピュータ610は、CAD/CAMデータ入力部611又はマニュアル指令入力部612を介して入力されたデータに基づいて、製品長さと製品形状、部材番号などの文字・記号とその印字位置、墨線形状とその印字位置を算出する。この際、製品形状及び墨線形状は、屋根勾配と当該部材の種類とを考慮した演算によって部材に対してどの様な角度で切断や墨線記入を実行すべきかが演算によって求められる。こうして、製品毎に加工データ、印字データ、印字位置データが算出され、イーサネット(登録商標)610を介してシーケンサ620、印字機コントローラ630及び加工機コントローラ640に指令されるのである。
【0056】
シーケンサ620には、チェーン駆動モータ110、投入側上押さえローラ駆動用エアシリンダ208L,208R、投入側サイドローラ駆動用エアシリンダ210L,210R、投入側上クランプ駆動用エアシリンダ212、加工材移送位置決め移動体220のサーボモータ222、ローラテーブル402のギヤモータ410、排出側サイドローラ駆動用エアシリンダ406L,406R、排出側上クランプ駆動用エアシリンダ411、及び取り出し体駆動用エアシリンダ408L,408Rが接続されている。シーケンサ620は、これらの機器に対して駆動信号を出力して素材の投入・搬送・クランプ・排出等の機械動作を制御する役割を担っている。
【0057】
また、シーケンサ620には、サーボモータ222の内蔵エンコーダ621からの信号が入力されており、加工材移送位置決め移動体220の位置制御を実行している。さらに、シーケンサ620には、センサ213からの信号も入力されている。シーケンサ620は、内蔵エンコーダ621及びセンサ213からの信号を用いて素材の長さを計測し、当該計測結果を制御コンピュータ610に対して送信する役割も担っている。具体的には、シーケンサ620は、チェーン駆動モータ110を制御して素材を取り込み、サーボモータ222を駆動して加工材移送位置決め移動体220で素材を左に送り、素材の先端(左端)をセンサ213が検出した時の加工材移送位置決め移動体220の移動位置を内蔵エンコーダ621のセンサ信号の累積値から計測し、その計測結果に基づいて素材の長さを算出する演算処理を実行している。
【0058】
制御コンピュータ610は、シーケンサ620から受信した素材長さから、CAD/CAMデータ又はマニュアル入力データとして入力された製品長さと、機械設備の配置上一定量に定めている端切長さとを減じることで、残材長さを求めてシーケンサ620に送信する。なお、残材長さ、製品長さ及び端切長さは、図7に示した様な関係となる。
【0059】
印字機コントローラ630は、シーケンサ620及びエンコーダ229と直接配線されている。シーケンサ620は、この配線を介して、印字機コントローラ630に対して印字許可信号を出力する。印字機コントローラ630は、この印字許可信号を入力してからのエンコーダ信号から印字タイミングを判定している。
【0060】
シーケンサ620は、上述の様に素材長さ計測結果に対応して制御コンピュータ610から送信されてきた残材長さに基づき、印字装置230の右端の印字ヘッド234の印字位置に製品部分の先端が位置する様に素材を送って一旦停止する。この送り量は、印字ヘッド234とセンサ213の取付間隔と、残材長さと、センサ213で素材先端を検出した後の内蔵エンコーダ621からのエンコーダ信号の累積値とから算出する。この制御を実行する結果、製品部分の先端が印字ヘッド234による印字位置に停止することとなる。
【0061】
シーケンサ620は、上述の様に、製品部分の先端を印字ヘッド234の印字位置に停止した後、一定速度で素材を送る。印字機コントローラ630は、エンコーダ229からの信号をカウントし、製品部分に対する文字・記号・墨線を印字すべき位置が印字ヘッド231〜234の印字位置に達したか否かを判定する。そして、印字ヘッド231〜234の印字位置に印字すべき部分が到達したら、印字機コントローラ630は、エンコーダ229からの入力信号に基づいて各印字ヘッド231〜234のインク吐出タイミングを制御して印字動作を開始する。
【0062】
シーケンサ620は、印字装置230による印字を実行させつつ素材送りを実行し、素材の製品部分の先頭が切断位置に達したときに素材送りを停止する。これによってエンコーダ229の信号が停止する。印字機コントローラ630は、エンコーダ229からの信号が停止することで、印字途中の場合も印字ヘッド231〜234に対するインク吐出命令を停止する。そして、印字機コントローラ630は、シーケンサ620による素材送りが再開された後、エンコーダ信号に基づいて印字命令を再開する。
【0063】
即ち、シーケンサ620による素材送り動作は、印字のための送りではなく、長さ切断のために実行されているのである。このため長さ切断のための送り動作が優先され、印字動作は途中であっても一旦中断された状態となるのである。
【0064】
加工機コントローラ640は、シーケンサ620から素材搬送停止に伴って切断許可信号が入力されると切断動作を実行する。この際、制御コンピュータ610から受信した加工データに基づいて、丸鋸305が正しい角度で切断動作を実行する様にアームの旋回動作を実行する。なお、加工機コントローラ640は、素材の側面に墨線を記入すべき場合には、線引き装置310を素材に対面させる様にアーム先端301aを旋回させ、墨線の記入動作を実行する。
【0065】
次に、制御コンピュータ610の実行する制御処理の内容について説明する。制御コンピュータ610は、CAD/CAMデータ入力部611から入力された設計データとしての住宅の間取り、屋根勾配、部材組立位置、部材寸法、部材形状などを記憶しておくための設計データ記憶領域616を備えた記憶装置615を備えている。そして、図8に示す様に、加工データ生成指令が入力されると(S110)、記憶装置615から設計データを読み出し(S120)、羽柄材加工機1における部材加工順を決定し(S130)、データ生成処理を実行する(S140)。このデータ生成処理では、各部材毎に、部材番号、寸法、形状、印字データと印字位置、墨線データと墨線記入位置が算出される。こうして生成されたデータは、加工順に読み出し可能な様に、記憶装置615の加工データ記憶領域617に記憶される(S150)。
【0066】
また、、制御コンピュータ610は、図9に示す様に、自動運転開始指令が入力されると(S210)、記憶装置615の加工データ記憶領域617から、加工順に従ってデータを読み出し(S220)、イーサネット(登録商標)600を介してシーケンサ620、印字機コントローラ630及び加工機コントローラ640に対して送信する(S230)。そして、シーケンサ620から素材計測結果が入力されるのを待つ(S240)。素材計測結果が入力されると(S240:YES)、当該素材計測結果から、S220で読み出した部材長さと、本実施形態において一定に定めてある端切長さとを減算して残材長さを算出する(S250)。そして、この残材長さをイーサネット(登録商標)600を介してシーケンサ620に送信する(S260)。次に、加工データ記憶領域617に次の加工順のデータがあるか否かを判定する(S270)。次の加工順のデータがあると判定された場合は、シーケンサ620からの次の加工が可能になったことを示す信号が入力されるのを待ち、S120へ戻る(S280)。一方、次の加工順のデータがないと判定された場合は、本処理を終了する(S270:NO)。
【0067】
次に、シーケンサ620の実行する制御処理の内容について説明する。シーケンサ620は、図10,図11に示す様に、制御コンピュータ610から加工データを受信すると(S310:YES)、チェーン駆動モータ110を駆動して素材を投入コンベア200へと投入する(S320)。素材の投入が完了したか否かを図示略のセンサによって検知したら(S330:YES)、サーボモータ222を駆動して素材を加工機本体300の方向へと移送開始する(S340)。そして、センサ213からの検出信号が入力されたら(S350:YES)、そのときの内蔵エンコーダ621からの検出信号から素材長さを演算により計測して制御コンピュータ610へと送信すると共に(S360,S370)、素材の移送はそのまま継続してエンコーダ621からの検出信号をカウントすることによって素材先端の位置計測を実行する(S380)。
【0068】
この計測結果を受けて制御コンピュータ610から残材長さが入力されると(S390:YES)、S370で計測している先端位置と、センサ213と印字ヘッド234の取付間隔と、残材長さとから、素材の製品部分の先端が印字ヘッド234の印字位置に達するための送り量を算出し(S400)、当該量だけ素材を送ったところでサーボモータ222を停止させる(S410,S420)。
【0069】
次に、印字機コントローラ630に対して印字許可信号を出力すると共に(S440)、素材の送り動作を再開する(S450)。そして、素材の製品部分の先端が加工機本体300による加工位置に達したか否かを内蔵エンコーダ621からの信号に基づいて判定し(S460)、到達したと判定されたときに(S460:YES)、サーボモータ222を停止すると共に(S470)、投入側上クランプ駆動用エアシリンダ212を駆動して素材をクランプする(S480)。そして、加工機コントローラ640に対して加工許可信号を出力する(S490)。
【0070】
そして、加工機コントローラ640から加工完了信号が入力されたら(S500:YES)、投入側上クランプ駆動用エアシリンダ212を駆動して素材をアンクランプする(S510)。そして、再びサーボモータ222を駆動して素材の移送を再開して次の加工位置まで素材を送って停止する(S520〜S540)。通常は、この動作によって製品長さ分だけ素材が送られ、端切位置が加工位置になる様に停止される。しかし、本実施形態では、墨線記入位置が素材の側面であるときは、墨線記入を加工機本体300の線引き装置310で実施する。従って、加工データ中に側面への墨線記入データが含まれているときは、当該墨線記入データに基づく墨線記入位置で一旦停止が行われる。この位置も内蔵エンコーダ621からの検出信号に基づいて管理されている。
【0071】
なお、この加工データに基づく移送・停止を実行する処理の間に、加工材移送位置決め移動体の移動状況に合わせて、投入側上押さえローラ駆動用エアシリンダ208L,208R及び投入側サイドローラ駆動用エアシリンダ210L,210Rが突出・没入動作する。また、排出側サイドローラ駆動用エアシリンダ406L,406Rについても突出・没入動作が実行される。ローラ突出動作は、素材の先端がローラの設置位置を通過したことを検出したときに実行され、ローラ没入動作は、素材の後端がローラの設置位置を通過すると予測される時期の少し前に実行される。こうしたローラの突出・没入動作は、ローラの設置位置近傍に配置された光センサと、加工材移送位置決め移動体220の移動位置とからタイミング調整されている。
【0072】
素材を製品長さ分だけ送って停止したら、排出側上クランプ駆動用エアシリンダ411を駆動して素材をクランプし(S550,S560)、加工機コントローラ640に対して加工許可信号を出力する(S570)。そして、加工機コントローラ640から加工完了信号が入力されたら(S580:YES)、排出側上クランプ駆動用エアシリンダ411を駆動して素材をアンクランプする(S590)。そして、サーボモータ222を駆動して加工材移送位置決め移動体220を原点位置へと復帰させる(S600)。また、ギヤモータ410を素材送り方向に駆動して製品部分を取り出しコンベア400へと完全に取り込む(S620)。この時点では、排出側サイドローラ駆動用エアシリンダ406L,406Rを没入位置へ移動されている。そして、取り出しコンベア400へと取り込みが完了したことを図示略のセンサで検知したら(S630:YES)、ギヤモータ410を停止すると共に(S640)、取り出し体駆動用エアシリンダ408L,408Rを駆動して取り出し体407にて素材を取り出しホイールコンベア500へと押し出す(S650)。そして、次の加工が可能になった旨の信号を制御コンピュータ610に対して送信する(S660)。
【0073】
次に、印字機コントローラ630の実行する制御処理の内容について説明する。印字機コントローラ630は、制御コンピュータ610から加工データを受信すると(S710:YES)、印字データ展開メモリ631にインク吐出データを展開する(S720)。このインク吐出データは、製品の左端からの座標位置と製品の幅方向の座標位置とからなる座標系に対するデータとして展開される。そして、シーケンサ620から印字許可信号が入力されるのを待つ(S730)。印字許可信号が入力されたら(S730:YES)、エンコーダ229からの信号に基づいて、印字データ展開メモリ631に展開したインク吐出データによるインク吐出タイミングを計測し(S740)、インク吐出タイミングになったら(S750:YES)、印字ヘッド231〜234の内の該当するヘッドの該当するノズルにインク吐出信号を出力する(S760)。この間、エンコーダ信号が停止したときはインク吐出制御を中断する(S770,S780)。そして、エンコーダ信号が再開したら、中断した後のインク吐出制御を再開する(S790,S800)。そして、インク吐出動作が完了したら(S810)、印字完了信号をイーサネット(登録商標)600に出力する(S820)。
【0074】
次に、加工機コントローラ640の実行する制御処理の内容について説明する。加工機コントローラ640は、制御コンピュータ610から加工データを受信すると(S910:YES)、加工データメモリ641にこれを記憶する(S920)。このとき、加工データは、通常は両端の切断データであって、必要に応じて切断線の角度が指定されたものとなっている。しかし、製品の側面に墨線を記入する場合には、両端の切断データ以外に、製品の墨線記入位置に対する墨線記入データが含まれている。
【0075】
加工機コントローラ640は、シーケンサ620から加工許可信号が入力されるのを待ち(S930)、加工許可信号が入力されたら(S930:YES)、加工データメモリ641から加工動作の順番に従ってデータを読み出す(S940)。そして、切断データであるか墨線記入データであるかを判定し(S950)、切断データであるときは(S950:切断)、多関節ロボット301のアーム旋回動作を実行すると共に主軸丸鋸モータ303を駆動して丸鋸305による切断動作を実行する(S960)。一方、墨線記入データであるときは(S950:墨線)、多関節ロボット301のアーム旋回動作において線引き装置310のペン先が素材の側面に対面する様に先端アーム301aを旋回させた上で墨線記入動作を実行する(S970)。そして、切断動作又は墨線記入動作が完了したら、いずれの場合も加工完了信号をイーサネット(登録商標)600に出力し(S980)、主軸丸鋸モータ303の停止と原位置復帰とを実行する(S990)。
【0076】
なお、加工機コントローラ640に対して与えられる加工データには、切断データ及び墨線記入データ以外に文字・記号記入データが含まれる場合もある。これは、素材の側面に部材番号等を記入する必要がある場合である。このときも墨線記入の場合と同様に文字・記号の記入をロボットアーム301の動作によって実行する。
【0077】
以上の様に構成したので、本実施形態によれば、隅木材の様に正立状態で加工する部材に対しては、ロボットアーム301に装着したボールペン316で加工時の前後面(部材の側面)に対して墨線記入を実行することができる。一方、加工時の下面に墨線を記入することの可能な垂木などについては、インクジェット方式の印字装置330で墨線記入を実行することができる。そして、インクジェット方式による墨線記入においては、加工材移送位置決め移動体220の駆動軸226の回転に応じてカウント信号を出力するエンコーダ229から印字機コントローラ640に直接入力される信号を利用してインク吐出タイミングを制御しており、しかも、製品先端を印字ヘッド234の印字位置に一旦停止させることで初期位置を定めているので、素材を比較的速い速度で移送しながらであっても正確な位置に墨線を記入することができる。
【0078】
また、センサ213の検出信号と内蔵エンコーダ621のエンコーダ信号とから、演算によって素材の全長を計測する構成を採用したので、全長計測のために搬送を停止するなどといった制御が不要となり、搬送開始から全長計測及び位置決めまでの処理を連続動作で実行することができる。
【0079】
さらに、加工機による切断等の加工の際にはクランプ装置によってしっかりとクランプした状態とすることで正確な加工を可能にすると共に、この間は、インク吐出制御を中断とし、アンクランプ後にインク吐出制御を再開させる構成を採用したので、シーケンサ620は、印字を意識することなく加工のための素材移送動作を実行すればよい。よって、制御全体の構成を複雑化することがない。また、印字のための搬送制御を別個に行うための制御装置を備えなくてもよい。
【0080】
加えて、線引き装置310の構成を上述の様にすることで、線引きに際しての多関節ロボットのアーム操作としては、製品データから認識される記入面位置に対して若干押し付け気味にボールペン316を押し当てる様にしてやることで、第1スプリング315の作用によって接触体314を確実に木材表面に押し当てた状態とすることができる。また、ボールペン316も第2スプリング317で付勢した状態となるので、ペン先がしっかりと木材表面に接触する。これにより、反りなどがあったとしても精度よく鮮明に線引きを実行することができる。また、第2スプリング317によるフローティング状態の支持により、ボールペン316は筆圧をほぼ一定に保ったまま上下動することができる。これにより、年輪の影響による表面硬さの相違に対しても精度よく鮮明な線引きを実行することができる。
【0081】
また、ボールペン316の交換は容易であり、かつ、ボールペン316のペン先を接触体314の表面から一定量突出した最適な状態となる様に容易に調整することができ、長期に渡って使用しても、鮮明な線を引き続けることができる。
【0082】
さらに、内蔵エンコーダ621の信号をシーケンサ620経由で入力するのではなく、エンコーダ229を設置して印字機コントローラ630に直接入力する様に構成したので、タイムラグ等が生じることがなく、しかも、内蔵エンコーダ621から直接配線する場合の配線の複雑化も避けることができている。
【0083】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々の態様にて実施することができる。
【0084】
例えば、羽柄材加工機に限らず、各種のプレカット加工装置に本発明を適用することができることはもちろんである。また、印字機コントローラ630へのエンコーダ信号は、サーボモータ322の内蔵エンコーダ621からの信号を直接入力する様に配線してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施形態の羽柄材加工機を示し、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図2】実施形態の羽柄材加工機の印字装置の部分を示す拡大平面図である。
【図3】実施形態の羽柄材加工機のサーボモータの部分を示す拡大断面図である。
【図4】実施形態の羽柄材加工機のロボットアーム先端部分を示す拡大断面図である。
【図5】実施形態の羽柄材加工機の線引き装置を示す拡大断面図である。
【図6】実施形態の制御系統を示すブロック図である。
【図7】実施形態における残材長さ、製品長さ及び端切長さの関係を示す模式図である。
【図8】実施形態における制御コンピュータによる加工データ生成のフローチャートである。
【図9】実施形態における制御コンピュータによる自動運転のフローチャートである。
【図10】実施形態におけるシーケンサによる制御のフローチャートである。
【図11】実施形態におけるシーケンサによる制御のフローチャートである。
【図12】実施形態における印字機コントローラによる制御のフローチャートである。
【図13】実施形態における加工機コントローラによる制御のフローチャートである。
【図14】従来例を示す説明図である。
【図15】従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0086】
1・・・羽柄材加工機
100・・・投入チェーンスラッシャ
101・・・フレーム
102・・・チェーン
110・・・チェーン駆動モータ
200・・・投入コンべア
201・・・フレーム
202・・・テーブル
203・・・定規
204・・・レール
207L,207R・・・上押さえローラ
208L,208R・・・エアシリンダ
209L,209R・・・サイドローラ
210L,210R・・・エアシリンダ
211・・・上クランプ
212・・・エアシリンダ
213・・・センサ
220・・・加工材移送位置決め移動体
221・・・左側先端面
222・・・サーボモータ
223・・・モータシャフト
224・・・小ギヤ
225・・・大ギヤ
226・・・駆動軸
227・・・ピニオンギヤ
228・・・ラックギヤ
229・・・エンコーダ
230・・・印字装置
231〜234・・・印字ヘッド
300・・・加工機本体
301・・・多関節ロボット
301a・・・先端アーム
302・・・ベース
303・・・主軸丸鋸モータ
304・・・スピンドル
305・・・丸鋸
306・・・本体ケース
310・・・線引き装置
311・・・ブラケット
312・・・ホルダ本体
312a・・・筒孔
312b・・・大径部
312c・・・小径部
312d,312e・・・段差
312f,312g・・・軸受けブッシュ
313・・・スライド体
313a・・・軸孔
313b・・・鍔部
313c・・・段差
313d・・・細孔
313e・・・上端ストッパリング
313f・・・イモネジ
313g・・・ネジ
314・・・接触体
314a・・・リングナット
314b・・・イモネジ
315・・・第1スプリング
316・・・ボールペン
317・・・第2スプリング
318・・・六角ボルト
400・・・取出しコンベア
401・・・フレーム
402・・・ローラテーブル
403・・・定規
404L,404R・・・サイドローラ
405・・・上クランプ
406L,406R・・・エアシリンダ
407・・・取り出し体
408L,408R・・・エアシリンダ
410・・・ギヤモータ
411・・・上クランプ駆動用エアシリンダ
500・・・取出しホイールコンベア
501・・・フレーム
502・・・ホイールコンベア
600・・・イーサネット(登録商標)
610・・・制御コンピュータ
611・・・CAD/CAMデータ入力部
612・・・マニュアル指令入力部
615・・・記憶装置
616・・・設計データ記憶領域
617・・・加工データ記憶領域
620・・・シーケンサ
621・・・内蔵エンコーダ
630・・・印字機コントローラ
631・・・印字データ展開メモリ
640・・・加工機コントローラ
641・・・加工データメモリ
【出願人】 【識別番号】390017385
【氏名又は名称】宮川工機株式会社
【出願日】 平成19年2月9日(2007.2.9)
【代理人】 【識別番号】100104514
【弁理士】
【氏名又は名称】森 泰比古


【公開番号】 特開2008−194895(P2008−194895A)
【公開日】 平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願番号】 特願2007−30834(P2007−30834)