トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 切削工具の切り込み深さ調整機構
【発明者】 【氏名】和田 康男

【要約】 【課題】作業性を損なわずに刃物の切り込み深さを微調整可能にする。

【解決手段】切削工具(100、100A)の切り込み深さを調整するように噛み合う一組のラック及びピニオン(31、33)を含み、切削工具(100、100A)は、ベース部(20)と、ベース部(20)に対して移動可能な刃物(10、B)とを含み、一組のラック及ピニオン(31、33)はベース部(20)に対して刃物(10、B)を移動するように動作可能であり、ピニオン(33)を回転させてラック(31)を移動するようにピニオン(33)の回転軸(A1)を中心に回転可能な操作つまみ(36)を含み、ピニオン(33)の回転軸(A1)上に位置決めされると共に操作つまみ(36)の回転を減速してピニオン(33)に伝達する減速機構としての遊星歯車機構(40、40A)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削工具の切り込み深さを調整するように噛み合う一組のラック及びピニオンを含み、
切削工具は、ベース部と、ベース部に対して移動可能な刃物とを含み、
一組のラック及ピニオンは、ベース部に対して刃物を移動するように動作可能であり、
ピニオンを回転させてラックを移動するようにピニオンの回転軸を中心に回転可能な操作つまみを含み、
ピニオンの回転軸上に位置決めされると共に操作つまみの回転を減速してピニオンに伝達する減速機構としての遊星歯車機構を含む切削工具の切り込み深さ調整機構。
【請求項2】
前記遊星歯車機構は減速比の逆数が整数であり、
前記操作つまみの一回転あたりの前記ラックの移動量が整数に設定される、請求項1に記載の切り込み深さ調整機構。
【請求項3】
前記遊星歯車機構は、
ベース部に分離可能に固定された内歯車部材と、
内歯車部材に対して前記操作つまみと共に回転可能な太陽歯車と、
内歯車部材及び太陽歯車と噛み合って自転可能であると共に太陽歯車の周りに公転可能な遊星歯車と、
前記遊星歯車によって前記ピニオンと共に回転可能な遊星キャリアとを含み、
前記操作つまみはロック歯を有すると共に、ベース部から分離された内歯車部材とロック歯を互いに噛み合わせるように内歯車部材と操作つまみは相対移動可能である、請求項1に記載の切り込み深さ調整機構。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ルータ、トリマのような切削工具の切り込み深さを調整可能な切削工具の切り込み深さ調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
関連のルータは、ベースプレートに対するハウジングの高さを変えることによって切削工具の切り込み深さを調整する調整機構を含む。調整機構は、ベースプレートに設けられたガイドアームと、ハウジングに設けられると共にガイドアームの歯と係合するスプロケットとを含む。スプロケットが粗調整ノブによって回転されると、ガイドアームに沿ってハウジングを移動させ、ベースプレートに対するハウジングの高さを変える。さらに、この調整機構は、ハウジングの高さを微調整する機構を有する。この微調整機構は、粗調整ノブの取り付け軸の表面に形成された微調整ノブを含む。微調整ノブは、取り付け軸に設けられた歯と係合するねじを備えた実質的に垂直な軸に取り付けられる。微調整ノブに従って垂直軸を回転すると、取り付け軸に従ってスプロケットが回転され、ガイドアームに沿ってハウジングを上昇又は下降させる(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特表2004−505811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ガイドアームはハウジングの外側に配置され、粗調整ノブがハウジングからガイドアームより外側に配置されるため、調整機構は大型になる。さらに、微調整機構は粗調整ノブの外側に取り付けられるため、調整機構はさらに大きく複雑な構造になる。したがって、片手でハウジングの外面を把持しながら、切削作業を行うと、微調整機構が操作の邪魔になり作業性が損なわれる。
【0005】
本発明の課題は、作業性を損なわずに刃物の切り込み深さを微調整可能な切削工具の切り込み深さ調整機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、本発明の特徴を符号を参照して説明する。なお、本発明の特徴は符号によって実施の形態に限定されない。
【0007】
本発明の特徴は、次の要素を含む切削工具(100、100A)の切り込み深さ調整機構(30)である。同機構は、切削工具(100、100A)の切り込み深さを調整するように噛み合う一組のラック及びピニオン(31、33)を含む。切削工具(100、100A)は、ベース部(20)と、ベース部(20)に対して移動可能な刃物(10、B)とを含む。一組のラック及ピニオン(31、33)は、ベース部(20)に対して刃物(10、B)を移動するように動作可能である。同機構は、ピニオン(33)を回転させてラック(31)を移動するようにピニオン(33)の回転軸(A1)を中心に回転可能な操作つまみ(36)を含む。同機構は、ピニオン(33)の回転軸(A1)上に位置決めされると共に操作つまみ(36)の回転を減速してピニオン(33)に伝達する減速機構としての遊星歯車機構(40、40A)を含む。
【0008】
以上の特徴にあって、遊星歯車機構(40、40A)は減速比の逆数が整数であり、前記操作つまみ(36)の一回転あたりの前記ラック(31)の移動量が整数に設定される。
【0009】
また、遊星歯車機構(40A)は、ベース部(20)に分離可能に固定された内歯車部材(48)を含む。遊星歯車機構(40A)は、内歯車部材(48)に対して操作つまみ(36)と共に回転可能な太陽歯車(41、44)を含む。遊星歯車機構(40A)は、内歯車部材(48)及び太陽歯車(41、44)と噛み合って自転可能であると共に太陽歯車(41、44)の周りに公転可能な遊星歯車(42、46)を含む。遊星歯車機構(40A)は、遊星歯車(42、46)によって前記ピニオンと共に回転可能な遊星キャリア(43、47)を含む。操作つまみ(36)はロック歯(36e)を有すると共に、切削工具から分離された内歯車部材(48)とロック歯(36e)とを噛み合わせるように内歯車部材(48)と操作つまみ(36)とは相対移動可能である。
【発明の効果】
【0010】
以上の発明の特徴によれば、遊星歯車機構(40、40A)をピニオン(33)の回転軸(A1)上に位置決めし、調整機構(30)を小型にしたので、作業性を損なわない。そして、遊星歯車機構(40、40A)は、操作つまみ(36)の回転を減速してピニオン(33)に伝達するので、ピニオン(33)の回転及びラック(31)の移動量を細かく制御し、刃物(10、B)の切り込み深さの微調整を許容する。
【0011】
ラック(31)は、遊星歯車機構(40、40A)の減速比の逆数を整数とし、操作つまみ(36)の一回転あたりの移動量を整数に設定したので、目盛り(M)を合わせ易くし、作業性を向上させる。
【0012】
操作つまみ(36)と内歯車部材(48)とを相対移動させ、ロック歯(36e)と内歯車部材(48)とを噛合わせる。これにより、操作つまみ(36)と同じ回転速度でピニオン(33)を回転させ、刃物(10、B)の切り込み深さを粗く調整する。したがって、刃物(10、B)の切り込み深さは、微細な調整と粗い調整とを切り替えることによって、容易に調整される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
<第一の実施形態>
図1、2を参照して、トリマ100は、トリマ100の下端に配置されて被切削材を切削するビットBと、ビットBを回転可能に支持する本体部10と、本体部10の外周面を保持する円筒状のベース部20と、被切削材に対するビットBの切り込み深さを調整する位置調整機構30とを含む。なお、ビットB及び本体部10は、本発明の「刃物」に対応する。
【0015】
本体部10は、ケース11と、ケース11に内蔵されるモータ12とを含む。ケース11は、上部に頭部11aと、下部に頭部11aと連続する円筒部11bとを含む。本体部10は、頭部11aと円筒部11bの下端に、モータ12を支持するベアリング13を含む。本体部10は、頭部11aに、モータ12の作動又は停止を制御するスイッチ14を含む。本体部10は、ベース部20に対して縦方向(図中上下方向)に摺動可能である。
【0016】
ベース部20は、上記円筒部11bに係合する縦方向に延びる円筒状の把持部21を含む。ベース部20は、この把持部21の下端に水平に延びる環状の支持部22とを含む。把持部21は、その一部を縦方向に開いて、周方向において所定の間隔で向き合う端縁21a、21bを有する。ベース部20は、把持部21の両端縁21a、21bに一体に形成され、互いに対向する半円状の軸受け部24A、24Bを含む。軸受け部24A、24Bのそれぞれの中心は、後述する軸33aの回転軸A1と一致する。軸受け部24Aは、回転軸A1の周りを囲むと共に回転軸A1と軸心を同一とする環状の凹所24cを含む(図4参照)。把持部21の下部は、加工塵を排出するために周面に沿って開かれた排出窓21cを有する。支持部22の周縁22aは、把持部21の外周より半径方向外側に張り出しており、トリマ100を起立状態に保つことができる。また、支持部22の中央部は、ビットBが自在に挿通することを許容する開口部22bを有する。
【0017】
ベース部20は、支持部22の下面に固定された正方形のベースプレート23を含む。ベースプレート23の一辺の長さは支持部22の直径と同寸法である。このベースプレート23の中央部は、ビットBが自在に挿通することを許容する開口部23aを有する。
【0018】
位置調整機構30は、ケース11の円筒部11bの外面に縦方向の略中央部から下端まで形成されたラック31を有する。ラック31は把持部21の端縁21a、21bの間に位置決めされる。このラック31の幅は、端縁21a、21bの間の幅よりやや狭く形成される。位置調整機構30は、円筒部11bの外面にラック31に隣接して案内溝32を有する(図3(A)参照)。この案内溝32は、ラック31と同様に縦方向の中央部から下端まで形成される。
【0019】
位置調整機構30は、ラック31と回転可能に噛み合うピニオン33を含む。例えば、ピニオン33の歯数Z=12、モジュールm=0.849とすると、ピニオン33の1回転に対するラック31の移動量(本体部10の移動量)=3.14×mz=32mm/回転に設定される。ピニオン33は、回転中心から両側へ延びる軸33aを含む。この軸33aは回転の中心となる回転軸A1を規定する。軸33aは、軸受け部24A、24Bに挿入されると共に軸受け部24A、24Bによって回転可能に支持される。
【0020】
位置調整機構30は、一方の軸受け部24Bに取り付けられてベース部20を本体部10の円筒部11bに締め付ける締め付けねじ34を含む。位置調整機構30は、他方の軸受け部24Aを介在してピニオン33の軸33aに取り付けられた操作つまみ36を含む。
【0021】
操作つまみ36は、回転軸A1を中心とした円盤状のベース部36aと、べ−ス部36aの周縁からピニオン33へ向けて軸方向に延びる筒状の腕部36bを含む。操作つまみ36は、腕部36の先端に環状の係止爪36cを有する。操作つまみ36は、ピニオン33と同軸(A1)上で回転可能である。
【0022】
図4を参照して、位置調整機構30は、操作つまみ36の径方向内側に配置された遊星歯車機構40を含む。つまり、遊星歯車機構40は、回転軸A1を中心とする操作つまみ36のベース部36a及び腕部36bの外周より径方向内側に配置される。遊星歯車機構40は、ピニオン33の回転軸A1にセンタリングされ、操作つまみ36及ピニオン33と共に回転軸A1を中心に回転可能である。よって、遊星歯車機構40は操作つまみ36の径方向外側に配置されず、位置調整機構30は小型になり、作業性を損なわない。
【0023】
遊星歯車機構40は、回転軸A1(操作つまみ36の回転軸)の周りを囲み、操作つまみ36に形成された第一の太陽歯車41を含む。遊星歯車機構40は、軸受け部24Aに固定された内歯車部材48を含む。遊星歯車機構40は、第一の太陽歯車41と内歯車部材48とに噛み合う第一の遊星歯車42を含む。遊星歯車機構40は、第一の遊星歯車42を回転可能に支持する遊星キャリア43を含む。遊星歯車機構40は、回転軸A1の周りを囲み、遊星キャリア43に形成された第二の太陽歯車44を含む。遊星歯車機構40は、第二の太陽歯車44と内歯車部材48とに噛み合う第二の遊星歯車46を含む。遊星歯車機構40は、操作つまみ36、第一及び第二の太陽歯車41、44並びに第二の遊星歯車46を回転可能に支持する遊星キャリアとしての出力軸47を含む。
【0024】
円筒状の第一の太陽歯車41は、操作つまみ36の中心にあって回転軸A1上に一体に位置決めされる。第一の太陽歯車41は、操作つまみ36と同じ回転速度で回転軸A1を中心に回転する。
【0025】
第一の遊星歯車42は、回転軸A1を中心に周方向に等間隔で配置され、遊星キャリア43に自転可能に支持される。第一の遊星歯車42は自転可能であると共に第一の太陽歯車41の周りで公転可能である。
【0026】
円盤状の遊星キャリア43は、径方向外側へ向けて延びて回転軸A1を中心に回転可能である。遊星キャリア43は回転軸A1を中心に周方向に等間隔で挿入され、固定された軸51を有する。この軸51は、第一の遊星歯車42に挿入されて、第一の遊星歯車42の回転を許容する。
【0027】
第二の太陽歯車44は、遊星キャリア43の中心にあって回転軸A1上に一体に位置決めされる。第二の太陽歯車44は、遊星キャリア43と同じ回転速度で回転軸A1を中心に回転する。
【0028】
円柱状の出力軸47の一端は、ピニオン33の軸33aに固定される。出力軸47の他端は、回転軸A1上に位置決めされ、固定された第一の軸52を有する。この第一の軸52は、第二の太陽歯車44、遊星キャリア43、第一の太陽歯車41を貫通し、操作つまみ36に挿入され、これらの回転を許容する。出力軸47の他端は、径方向外側に延びるフランジ47aを有する。このフランジ47aは、円周方向に等間隔で固定された第二の軸53を有する。この第二の軸53は、第二の遊星歯車46に挿入されて、第二の遊星歯車46の回転を許容する。
【0029】
円筒状の内歯車部材48は、出力軸47と操作つまみ36との間に配置される。内歯車部材48の一端には、軸受け部24Aの凹所24cに挿入され、固定された取付部48aを有する。取付部48aは、外周面に目盛りMを表示する。この取付部48aの内周面は出力軸47と摺動可能である。内歯車部材48は、他端に噛合い部48bを有する。この噛合い部48bの内周面は、第一及び第二の遊星歯車42、46と噛み合う内歯車48cを有する。内歯車部材48の外周には、取付部48aと噛合い部48bとの間に係止凹所48dを有する。係止凹所48dには、操作つまみ36の係止爪36cが引っ掛かる。内歯車部材48はベース部20に固定されるので、操作つまみ36と内歯車部材48とは相対回転可能である。
【0030】
ここで、遊星歯車機構40の減速比は、例えば、次のように設定される。第一及び第二の太陽歯車41、44はそれぞれ同じ歯数を有し、歯数Z1=12に設定される。第一及び第二の遊星歯車42、46はそれぞれ同じ歯数を有し、歯数Z2=12に設定される。内歯車48cは、歯数Z3=36に設定される。そして、各歯車は、モジュールm=0.45に設定される。減速比は、1/[(Z3/Z1+1)×(Z3/Z1+1)]=1/(4×4)=1/16に設定され、操作つまみ36の回転は、出力軸47及びピニオン33で1/16に減速する。すなわち、操作つまみ36の16回転に対して出力軸47及びピニオン33が1回転するところとしている。そして、前記減速比の逆数は整数である。さらに、操作つまみ36の1回転あたりのラック31の移動量は整数に設定されている。すなわち、ラック31の移動量は、ピニオン33の1回転に対し32mm移動するので、操作つまみ36の1回転(出力軸47及びピニオン33の1/16回転)に対しては、32×1/16=2mm移動する。この設定は目盛りMを合わせ易くし、作業性を向上させる。
【0031】
次に、トリマ100の使用方法を説明する。
【0032】
トリマ100によって加工材の表面に溝加工をする場合、本体部10のケース11をベース部20に対して縦方向に移動させることで、ベースプレート23の下端面からビットBを所望の長さ突出させて、切込み深さを設定して加工を行う。
【0033】
先ず、ビットBの切り込み深さを粗く調整する。図1を参照して、トリマ100を凹凸のない平坦な平滑面の上において、締め付けねじ34を弛める。図3(B)に示すように、ケース11を反時計方向に回転させてラック31からピニオン33を外し、案内溝32にピニオン33を移動させる。これにより、ピニオン33は、案内溝32内で縦方向に自由に移動可能になる。ケース11を手で把持して、ベース部20に対して縦方向に所望の距離分移動させる。
【0034】
次に、ケース11を反時計方向に回転させてラック31にピニオン33を噛み合わせる。操作つまみ36を手動で回転して、ベース部20に対するケース11の縦方向の移動を行い、ビットBの切り込み深さを微細に調整する。
【0035】
このとき、図4を参照して、操作つまみ36は第一の太陽歯車41と共に回転軸A1を中心に回転する。第一の太陽歯車41は逆方向に第一の遊星歯車42を自転させる。内歯車48cは静止しているので、第一の遊星歯車42は、回転軸A1を中心に第一の太陽歯車41の周りに公転する。公転する第一の遊星歯車42は、第二の太陽歯車46と共に遊星キャリア43を回転軸A1を中心に同公転速度で回転させる。ここで、遊星キャリア43及び第二の太陽歯車46は、回転速度について操作つまみ36及び第一の太陽歯車41の1/4に減速される。第二の太陽歯車44は、第二の遊星歯車46を自転させると同時にその周りに公転させる。公転する第二の遊星歯車46は、出力軸47を同公転速度で回転させる。ここで、出力軸47は、回転速度について第二の太陽歯車44の1/4に減速される。したがって、操作つまみ36の回転は1/16の速度比に減速されて出力軸47に出力され、ピニオン33に伝達される。
【0036】
ピニオン33はラック31と噛み合いながら回転して、ラック31を上方あるいは下方へ移動させる。具体的には、ピニオン33の歯数ZをZ=12、モジュールmをm=0.849とし、ラックの移動量をピニオン33の一回転あたり、3.14×12×0.849=32mmとしているので、ラック31は操作つまみ36の1回転に対して32×1/16=2mmの距離を移動し、微調整が可能となっている。ここで、ラック31の移動量は、操作つまみ36の1回転に対して整数であり、遊星歯車機構40の減速比の逆数が整数に設定されたので、目盛りMを合わせ易い。これにより、本体部10は、ラック31の移動量に従ってベース部20に対して上方あるいは下方へ移動し、ビットBはベースプレート23の開口部23aを通過して、ベースプレート23よりも下方への突出量を変化させ、所定の切り込み深さで突出する。
【0037】
締め付けねじ34を締め付けて、ベース部20に対してケース11を介して本体部10を固定する。スイッチ14を倒して、モータ12を作動させ、ビットBを回転させる。ビットBは加工物に溝を形成する。
【0038】
以上の実施形態によれば、遊星歯車機構40をピニオン33の回転軸A1上に位置決めし、位置調整機構30を小型にしたので、作業性を損なわない。そして、遊星歯車機構40は、操作つまみ36の回転を減速してピニオン33に伝達するので、ピニオン33の回転及びラック33の移動量を細かく制御するので、ビットBの切り込み深さの微調整を許容する。
【0039】
ラック31の移動量は、遊星歯車機構40の減速比の整数倍に設定されたので、目盛りMを合わせ易くし、作業性を向上させる。
【0040】
<第二の実施形態>
図5を参照して、第二の実施形態に係わるトリマ100Aを説明する。
【0041】
このトリマ100Aは、第一の実施形態のトリマ100と類似の構造を有するので、同じ部材には同じ符号を付してその説明を省略する。このトリマ100Aの特徴は、内歯車部材48を軸方向へ相対移動可能とし、操作つまみ36と内歯車部材48とをロック可能にしたことにある。
【0042】
図5(B)を参照して、操作つまみ36は、ベース部36aの周縁に、軸方向へ延びる凹所36dを有する。操作つまみ36は、凹所36dの側壁から径方向外方へ突出するロック歯36eを有する。このロック歯36eは凹所36dに入り込んだ内歯車部材48の内歯車48cと噛み合い可能である。
【0043】
遊星歯車機構40Aの出力軸47は、その中心を通って径方向に直交貫通する孔47bを有する。出力軸47はこの孔47bに挿入された2つのボール61を含む。出力軸47は、孔47bの内側に配置されて両ボール61を径方向外側へ向かって付勢する弾性体としてのコイルバネ62を含む。
【0044】
内歯車部材48は、取付部48aと噛合い部48bとの間の外周面に、軸方向に長く延びた環状の凹溝48eを有する。この凹溝48eは、操作つまみ36と内歯車部材48とが軸方向へ相対移動することを許容する。凹溝48eには操作つまみ36の係止爪36cが係合する。内歯車部材48は、取付部48aの内周面に軸方向に並列して配置された環状の第一及び第二の位置決め凹所48f、48gを有する。この位置決め凹所48f、48gにボール61が嵌って、内歯車部材48を軸方向の位置を決定する。図5(A)に示すように、ボール61が第一の位置決め凹所48fに嵌ると、内歯車部材48の取付部48aは軸受け部24Aの凹所24cから外れる。外れると同時に、ロック歯36eと内歯車48cとが噛み合い、操作つまみ36と内歯車部材48とが一体化する。また、軸受け24Aに対して内歯車部材48が回転可能になる。図5(B)に示すように、ボール61が第二の位置決め凹所48gに嵌ると、取付部48aは凹所24cに嵌め込まれ、回転が規制される。このように、ボール61、コイルバネ62、第一及び第二の位置決め凹所48f、48gは、位置決め機構として作用する。
【0045】
なお、本形態において、ケース11はラック31の隣に案内溝を有しない。
【0046】
次に、このトリマ100Aの使用方法を説明する。
【0047】
図5(A)を参照して、ビットBの切り込み深さの粗調整について説明する。内歯車部材48の取付部48aは軸受け部24Aの凹所24cから外れている。内歯車部材48の第一の位置決め凹所48fにボール61が配置される。内歯車部材48の取付部48aが軸受け部24Aの凹所24cから外れると同時に、内歯車部材48の内歯車48cは、ロック歯36eと噛み合い、操作つまみ36に内歯車部材48を固定し一体化する。
【0048】
操作つまみ36を回転させる。内歯車部材48は操作つまみ36と一体に同じ回転速度で回転するので、第一の太陽歯車41と内歯車48cとの間に相対回転を生じさせない。第一の遊星歯車42は、第一の太陽歯車41と内歯車48cとの間で、自転も公転もせずに、第一の太陽歯車41及び内歯車部材48と一体化している。よって、操作つまみ36、内歯車部材48、第一の太陽歯車41、遊星キャリア43、第一の遊星歯車42間の相対回転を生じず、一体化する。同様に、遊星キャリア43、第二の太陽歯車44、第二の遊星歯車46、出力軸47も、操作つまみ36と一体化し、同じ回転速度で回転軸A1を中心に回転する。その結果、ピニオン33は、操作つまみ36と同じ回転速度で回転軸A1を中心に回転する。つまり、操作つまみ36を1回転すると、ピニオン33は1回転する。これにより、ビットBの切り込み深さを粗く調整する。
【0049】
次に、ビットBの切り込み深さを微細に調整する。図5(A)、(B)を参照して、内歯車部材48を図5(A)の状態から図5(B)の状態になるように軸受け24Aへ向けて軸方向に押す。内歯車部材48は軸受け24Aへ向かって移動し、その取付部48aは軸受け部24Aの凹所24cに嵌め込まれ、固定される。この間、ボール61は第一の位置決め凹所48fとの嵌合が外れ、第二の位置決め凹所48に嵌る。一方、内歯車部材48は、操作つまみ36から離れるように移動する。この間、取付部48aに近い凹溝48eの側壁は係止爪36cから離れ、噛合い部48bに近い凹溝48eの側壁は係止爪36cに当たって止まる。内歯車48cはロック歯36eから外れ、凹所36dから離脱する。これにより、内歯車部材48は軸受け部24Aに固定され、操作つまみ36は軸受け部24Aに対して回転可能になる。そして、操作つまみ36を回転させて、第一の実施形態と同様に、ビットBの切り込み深さを微調整する。
【0050】
以上のトリマ100Aによれば、内歯車部材48を出力軸47上で操作つまみ36に対して相対移動可能とし、操作つまみ36と内歯車部材48とをロック可能とした。したがって、ビットBの切り込み深さは、微細な調整と粗い調整とを切り替えることによって、容易に調整される。
【0051】
本実施の形態は、本発明の趣旨の範囲で変更できる。例えば、ラック31をベース部20に形成し、ピニオン33及び遊星歯車機構40Aを本体部10(本発明の「刃物」に対応)取り付ける。また、遊星キャリア43及び出力軸47をベース部20に固定し、内歯車部材48を出力としてピニオン33の軸33aに連結する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】第一の実施形態に係わるトリマの正面図である。
【図2】図1に示すトリマの内部構造を示す断面側面図である。
【図3】図1に示すトリマの位置調整機構部の断面図であり、(A)は互いに係合したラックとピニオンを示し、(B)は案内溝に配置されたピニオンを示す。
【図4】図3(A)に示す操作つまみ及び遊星歯車機構の拡大断面図である。
【図5】第二の実施形態に係わるトリマの位置調整機構部の断面図であり、(A)は粗い調整を行う位置調整機構を示し、(B)は微細な調整を行う位置調整機構示す。
【符号の説明】
【0053】
100 トリマ
B ビット
10 本体部
11 ケース
12 モータ
20 ベース部
21 把持部
22 支持部
30 位置調整機構
31 ラック
32 案内溝
33 ピニオン
36 操作つまみ
40 遊星歯車機構
41 第一の太陽歯車
42 第一の遊星歯車
43 遊星キャリア
44 第二の太陽歯車
46 第二の遊星歯車
47 出力軸
48 内歯車部材
【出願人】 【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
【出願日】 平成18年9月22日(2006.9.22)
【代理人】 【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男


【公開番号】 特開2008−73988(P2008−73988A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−256936(P2006−256936)