トップ :: B 処理操作 運輸 :: B27 木材または類似の材料の加工または保存;釘打ち機またはステ−プル打ち機一般

【発明の名称】 手持鉋
【発明者】 【氏名】松原 功治

【氏名】加藤 孝章

【要約】 【課題】手持鉋において、鉋刃の切込深さ調整操作の操作性を向上する上で有効な技術を提供する。

【構成】本発明の手持鉋は、鉋本体107と、鉋刃123と、鉋本体107に上下方向に相対移動可能に連接されたフロントベース103と、使用者の操作により鉋本体107に対するフロントベース103の上下方向の相対高さ位置を変えて鉋刃123のフロントベース下面からの突出量を調整する切込深さ調整機構131と、を有する。切込深さ調整機構131は、手動で回転操作される操作部材133と、操作部材133とともに回転動作するカム部材135と、カム部材135に係合されてカムリフト量の出力に基づきフロントベース103の鉋本体107に対する相対高さ位置を変える高さ変換部137と、を有する。そしてカム部材135は、当該カム部材135が出力する単位回転角度あたりのカムリフト量を一定とするカム曲線を有する構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉋本体と、
前記鉋本体に備えられて長軸方向回りに回転動作する鉋刃と、
前記鉋本体に上下方向に相対移動可能に連接されたフロントベースと、を有し、
前記フロントベースを被加工材の加工面に当接して前方向に移動させ、前記フロントベース下面から突出された前記鉋刃によって被加工材を切削する手持鉋であって、
使用者の操作により前記鉋本体に対する前記フロントベースの上下方向の相対高さ位置を変えて前記鉋刃の前記フロントベース下面からの突出量を調整する切込深さ調整機構を更に有し、
前記切込深さ調整機構は、手動で回転操作される操作部材と、前記操作部材とともに回転動作するカム部材と、前記カム部材に係合されてカムリフト量の出力に基づき前記フロントベースの前記鉋本体に対する相対高さ位置を変える高さ変換部と、を有し、
前記カム部材は、当該カム部材が出力する単位回転角度あたりのカムリフト量を一定とするカム曲線を有することを特徴とする手持鉋。
【請求項2】
請求項1に記載の手持鉋であって、
前記操作部材を回転操作された位置に保持する位置保持機構部を有し、
前記位置保持機構部は、前記操作部材の回転軸線を中心とする円弧線上に配置された複数の凹部と、前記凹部に離脱可能に嵌合する凸部と、前記凸部を前記凹部に嵌合する方向に弾発状に付勢する付勢部材と、を有し、前記操作部材の回転操作に応じて前記凸部が前記凹部のいずれかに嵌合し、これによって前記操作部材を回転操作された位置に保持する構成とした手持鉋。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントベースを被加工材の加工面に当接して前方向に移動させ、回転動作する鉋刃によって被加工材を切削する手持鉋に関し、詳しくは被加工材の加工面に対する鉋刃の切込深さを調整する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉋刃をモータによって回転駆動する電動式の手持鉋においては、被加工材に対する鉋刃の切込深さ(切削深さ)調整は、回転動作する鉋刃を備えた鉋本体に対する前側のベース(定盤)の上下方向の相対高さ位置を変え、前側のベース下面からの鉋刃の突出量を調整することによって行われる。以下、前側のベースのことを「フロントベース」、後側のベースのことを「リアベース」、2つの総称のことを「ベース」と表記する。このような手持鉋は、例えば実公昭38−21492号公報(特許文献1)に開示されている。公報に記載の手持鉋では、切削方向に向って鉋刃の前方に配置されたフロントベースは、鉋本体に対して前後方向移動が傾斜面を介して上下方向に変換する形態で相対移動可能に装着されており、切込深さ調整機構を介して上下方向の高さ位置が調整される。切込深さ調整機構は、鉋本体に設けられて使用者により回転操作可能な切込深さ調整用のノブ、当該ノブとともに回転動作される偏心カム(偏心軸)、およびフロントベースに固定状に設けられて偏心カムと係合するガイド部材とを主体として構成されており、ノブを回転操作してフロントベースを上下方向に移動させる構成である。なおネジを利用してフロントベースの高さ位置を調整する形式の切込深さ調整機構を備えた手持鉋も知られている。例えば、特開昭62−273804号公報(特許文献2)が挙げられる。
【0003】
上述した従来の偏心カムを利用した切込深さ調整機構は、ネジ式に比べてノブの回転動作が少なくて済むという長所を有する。しかしながら、ノブの回転軸線回りに円弧運動する偏心カムの、円弧運動における前後方向の変位量を利用してフロントベースを上下方向に移動させる構成のため、ノブの単位回転角度当たりのフロントベースの上下方向の移動量が一定にならない。すなわち、ノブの単位角度当たりのフロントベースの移動量は、サインカーブを描いて変位し、上昇端および下降端付近では移動量が小さくなる。そういった理由から、フロントベースの高さ位置が操作し難いものであり、この点において、なお改良の余地がある。
【特許文献1】実公昭38−21492号公報
【特許文献2】特開昭62−273804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、手持鉋において、鉋刃の切込深さ調整操作の操作性を向上する上で有効な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、鉋本体と、鉋本体に備えられて長軸方向回りに回転動作する鉋刃と、鉋本体に上下方向に相対移動可能に連接されたフロントベースと、を有し、フロントベースを被加工材の加工面に当接して前方向に移動させ、フロントベース下面から突出された鉋刃によって被加工材を切削する手持鉋が構成される。なお本発明における「上下方向に相対移動可能に連接」とは、フロントベースが上下方向に傾斜状に相対移動する態様、あるいは上下方向に真っ直ぐに相対移動する態様のいずれも好適に包含する。またここでいう、「上下方向」とは、手持鉋においては、本来、フロントベースが鉋本体の下部に位置していることから、当該鉋本体に対する高さ位置を変える方向を上下方向と表現したものである。したがって、「上下方向」とは、フロントベースと鉋本体との切削方向と交差する方向の相対位置を変える方向を意味する。
本発明の手持鉋は、使用者の操作により鉋本体に対するフロントベースの上下方向の相対高さ位置を変えて鉋刃のフロントベース下面からの突出量を調整する切込深さ調整機構を更に有する。切込深さ調整機構は、手動で回転操作される操作部材と、当該操作部材とともに回転動作するカム部材と、カム部材に係合されてカムリフト量の出力に基づきフロントベースの鉋本体に対する相対高さ位置を変える高さ変換部と、を有する。そしてカム部材は、当該カム部材が出力する単位回転角度当たりのカムリフト量を一定とするカム曲線を有する構成とした。すなわち、本発明においては、カム部材は、垂直方向ないし水平方向間の任意の方向に延在する回転軸線回りに回転可能とされており、当該カム部材が回転軸線回りに回転される際、高さ変換部を介してフロントベースが鉋本体に対して上下方向に相対移動する構成とされている。なお本発明における「カムリフト量」とは、カム部材が回転動作される際の当該カム部材の回転軸線と交差する方向の変位量である。また本発明における「単位回転角度当たりのカムリフト量を一定とする」とは、カム部材の一定の回転角度の入力で高さ変換部に一定のカムリフト量を出力する態様がこれに該当する。
【0006】
本発明によれば、カム部材が出力する単位回転角度当たりのカムリフト量を一定とするカム曲線を有するカム部材を設けたことにより、操作部材を回転操作し、鉋本体に対するフロントベースの高さ位置を変えて鉋刃のフロントベース下面からの突出量を調整する際、カム部材の回転角度とフロントベースの上下方向の移動量の関係が一定となる。このため、鉋刃の突出量が調整し易く、操作性が向上する。なおこのように単位回転角度当たりのカムリフト量が一定とされる「カム部材」としては、典型的には、輪郭形状がハート形をした板カムがこれに該当する。
【0007】
(請求項2に記載の発明)
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の手持鉋において、操作部材を回転操作された位置に保持する位置保持機構部を有している。位置保持機構部は、操作部材の回転軸線を中心とする円弧線上に所定間隔で配置された複数の凹部と、当該凹部に離脱可能に嵌合する凸部と、当該凸部を凹部に嵌合する方向に弾発状に付勢する付勢部材とを有し、操作部材の回転操作に応じて凸部が凹部のいずれかに嵌合し、これによって操作部材を回転操作された位置に保持する構成とした。なお本発明における「凸部」は、典型的には、ボールがこれに該当し、本発明における「付勢部材」は、典型的には、バネがこれに該当する。また本発明における「凹部」と「凸部」は、鉋本体側に凸部が設けられ、操作部材側に凹部が設けられる態様、あるいは鉋本体側に凹部が設けられ、操作部材側に凸部が設けられる態様のいずれも好適に包含する。
本発明によれば、操作部材を回転操作し、鉋本体に対するフロントベースの高さ位置を変えて鉋刃のフロントベース下面からの突出量を調整する際、当該調整を凹部の配置間隔単位で行うことができるとともに、操作部材を回転操作された位置に保持することができる。
【0008】
ところで、鉋刃のフロントベース下面からの突出量は、例えば鉋刃の突出量を示す目盛と指針とからなる切込深さ表示手段によって表示されるのが一般的である。そして位置保持機構部の凹部は、目盛の間隔に対応して定められる。本発明によれば、請求項1に記載の発明において説明したように、操作部材を回転操作し、鉋本体に対するフロントベースの高さ位置を変えて鉋刃のフロントベース下面からの突出量を調整する際、カム部材の回転角度とフロントベースの上下方向の移動量の関係が一定になることに基づき、鉋刃の突出量を示す目盛間隔を等間隔に設定することが可能となり、それに対応して位置保持機構部の凹部の配置間隔も等間隔に設定することが可能になる。例えば、偏心カムを利用して鉋刃の突出量の調整を行う従来の構成であれば、偏心カムが回転動作されたときの単位回転角度当たりのフロントベースの上下方向の移動量が変化するため、凹部の配置間隔が不等になってしまう。その結果、隣接する凹部の間隔が狭い箇所の隔壁については、薄肉となって耐久性を確保することが難しい。しかるに、本発明によれば、凹部を等間隔で配置できるため、上記のような問題を解消して耐久性を向上できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、手持鉋において、鉋刃の切込深さ調整操作の操作性を向上する上で有効な技術が提供されることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態につき、図1〜図7を参照しつつ詳細に説明する。図1および図2には本実施の形態に係る電動式手持鉋の全体構成が示されている。図1および図2に示すように、本実施の形態に係る手持鉋101は、概括的に見て、切削作業時に被加工材に沿って移動させる際の、移動方向(進行方向)の前後に配置されたフロントベース103,リアベース105と、それらフロントベース103、リアベース105の上部間に跨るように配置された本体部107と、本体部107の上面部に連接された使用者が握るハンドル109とを主体として構成されている。なお図1および図2には、電動鉋101の切削作業時の進行方向が矢印によって示される。すなわち、図中左側が進行方向前方となる。本体部107、リアベース105、およびハンドル109は、本発明における「鉋本体」に対応する。
【0011】
本体部107は、駆動モータ121および鉋刃123を収容するモータハウジング111と、駆動モータ121の回転出力を鉋刃123に伝達する動力伝達機構(便宜上図示を省略する)を収容するサイドハウジング113と、サイドハウジング113の側面開口部分を開閉するために当該サイドハウジング113に着脱可能に取り付けられるカバー115によって構成されている。鉋刃123は、本発明における「鉋刃」に対応する。
【0012】
駆動モータ121は、その回転軸方向が切削作業時の電動鉋101の進行方向(切削方向)と交差する水平方向となるように、モータハウジング111内に配置されている。なお鉋刃123は、図3に模式図で示すように、駆動モータ121の回転軸線と平行な軸線回りに回転自在に支持された略円筒状の回転ドラム123aと、当該回転ドラム123aに周方向に所定の間隔で取り付けられた軸方向に延在する複数のブレード(切刃)123bによって構成されている。鉋刃123は、フロントベース103とリアベース105との間に配置され、その下縁部がフロントベース103とリアベース105間の開口から露出される。
【0013】
使用者は、ハンドル109および後述する切込深さ調整機構131の操作ノブ133を掴み、トリガ109aを引き操作して駆動モータ121を通電駆動し、鉋刃123を回転駆動した状態で、フロントベース103を被加工材の加工面に載せるとともに、被加工材に沿って前方へ滑らせることによって、当該鉋刃123のブレード123bによる切削作業を行うことができる。この切削作業時の鉋刃123の切込深さは、切削作業に際し、切込深さ調整機構131を手動操作して本体部107に対するフロントベース103の上下方向の相対高さ位置を調整し、当該フロントベース103下面から突出される鉋刃123のブレード123bの突出量Hを変えることによって調整することができる。
【0014】
次に鉋刃127の切込み深さ調整を行うための切込深さ調整機構131について説明する。本実施の形態では、フロントベース103は、図1および図2に示すように、水平線(ベース下面)に対して本体部107の前方斜め上に所定角度(η)で延在する傾斜面103a,107aを案内面として、本体部107に上下方向への相対移動可能に連接されている。すなわち、フロントベース103の左右の側面部に形成された傾斜面103aが、本体部107の左右の側面部に形成された傾斜面107aに摺動可能に当接されるとともに、図4に示す板バネ141によってフロントベース103の傾斜面103aが本体部107の傾斜面107aに対して常時に弾発状に押し付けられている。板バネ141は、延在方向(前後方向)の略中央部をネジ143によってフロントベース103に取付けられるとともに、延在方向の両端部が本体部107のバネ受部107bに上方から弾発状に当接されており、これによりフロントベース103に対して常時に上向きに付勢力を作用している。なおフロントベース103は、ガイド部材(便宜上図示を省略する)を介して左右方向の動きが規制された状態で本体部107の傾斜面107aに沿って移動される構成とされる。
【0015】
本実施の形態に係る切込深さ調整機構131は、図1および図2に示すように、使用者によって概ね水平面内にて回転操作される操作ノブ133と、操作ノブ133とともに概ね水平面内にて回転動作するカム135と、カム135に係合される係合凹部137とを主体として構成される。操作ノブ133は、本発明における「操作部材」に対応し、カム135は、本発明における「カム部材」に対応する。操作ノブ133は、本体部107の外側上面に配置されるとともに、当該操作ノブ133の下面から本体部107の内部を通りフロントベース103側に向って下方へと延在するノブ軸133aを有する。ノブ軸133aは、本体部107に回転自在に装着され、その延在端部である下端部にカム135が一体に形成されている。なおノブ軸133aとカム135は、それぞれ別体で形成したものを一体回転するように接合してもよい。
【0016】
係合凹部137は、フロントベース103の平面部中央上面に一体に形成された左右方向(切削方向と交差する方向)に長い長円形状に形成され(図6参照)、カム135の外周面における前端部と後端部に平面当たりで係合(接触)するように設定されている。すなわち、フロントベース103は、カム135の外周面に係合凹部137を介して係合され、カム135の回転動作に伴い前後方向に直線状に移動する構成とされる。そしてフロントベース103の前後方向の移動(Y)は、上述した傾斜面103a,107aを介して上下方向の移動(H)に変換され、これによって本体部107に対するフロントベース103の上下方向の相対高さ位置が変化し、当該フロントベース103の下面から突出される鉋刃123のブレード123bの突出量H(図3参照)、すなわち切込深さが調整される構成とされる。なお、フロントベース103の前後方向の移動量(Y)に対する上下方向の移動量(H)の関係は一定で、H=Ytanηの方程式で表わされる。係合凹部137および傾斜面103a,107aは、本発明における「高さ変換部」に対応する。
【0017】
図5には本実施の形態に係るカム135のカム線図が示される。横軸に回転角度θを示し、縦軸にカムリフト量Yを示す。フロントベース103の上下方向の移動量は、カム135が回転動作することによって出力するカムリフト量Yによって決定される。本実施の形態では、カム135が出力する単位回転角度θ1当たりのカムリフト量y1が常に一定となるように、すなわち、カム135の単位回転角度θ1当たりの、フロントベース103の上下方向の移動量y1が常に一定となるように、カム曲線が設定されている。換言すれば、カム135の等速回転運動をフロントベース103の等速直線運動に変換するように、カム135のカム曲線が形成されている。本実施の形態においては、係合凹部137がカム135に対して平面当たりで係合する場合において、カム135が半回転する間、一定の回転角度θ1毎にフロントベース103を等しい移動量y1で上昇させ、残りの半回転の間に、同様に一定の回転角度θ1毎にフロントベース103を等しい移動量y1で下降させることが可能な輪郭形状を有するカム135を形成した。その結果、カム135は、図5に示すような輪郭形状が概ねハート形状に形成される。なおカム135の輪郭形状の作成の仕方については、周知の技術につき、その説明については省略する。
【0018】
本実施の形態に係る切込深さ調整機構131は、上記のように構成されている。したがって、使用者は操作ノブ133を右回りあるいは左回りに回転操作してカム135を回転動作し、当該カム135に係合する係合凹部137および傾斜面103a,107aを介してフロントベース103を上下方向へと移動させ、本体部107に対するフロントベース103の相対高さ位置を定め、鉋刃123の突出量Hを調整することができる。
このとき、本実施の形態によれば、カム135の単位回転角度θ1当たりのカムリフト量y1が一定となるように設定した。このため、鉋刃123の突出量Hが調整し易く、操作性が向上する。
【0019】
また本実施の形態では、図6に示すように、操作ノブ133が取付けられる本体部107の上面には、例えば当該操作ノブ133の周囲約140度の範囲につき、鉋刃123の突出量H(例えば、最小0mm〜最大4mm)を表示する目盛145が設けられている。本実施の形態では、目盛145の間隔は、鉋刃123の突出量Hを、例えば0.1mm刻みで表示する等間隔に設定されている。一方、操作ノブ133の円形フランジ部133bには、目盛145を読み取るための指針147が設けられている。本実施の形態によれば、使用者は、鉋刃123の突出量Hを0.1mm単位で調整することができるとともに、指針147が指し示す目盛145を読むことによって鉋刃123の突出量Hを確認することができる。図6には上述したハート形状のカム135の回転角度(紙面上段側)と、鉋刃123の突出量H(紙面下段側)との関係が動作図として示される。
【0020】
本実施の形態では、鉋刃123の突出量Hが0mm(最小)のときに、カム135の最大径部と最小径部とを結ぶ直線Pから、例えば10度回転された位置で係合凹部137がカム135に係合するように設定されており、この状態が図6の右端に示される。そして当該係合位置からカム135(操作ノブ133)が図中の右回りに35度回転される毎に、突出量Hが1mmずつ増える場合を、図中左側に向って順に示される。すなわち、本実施の形態によれば、カム135の単位回転角度θ1当たりのカムリフト量y1が一定となるように設定したことにより、目盛145の間隔を等間隔に形成することが可能となる。偏心カムを用いてフロントベースを移動させる従来構造の場合であれば、操作ノブの単位回転角度当たりのフロントベースの移動量が変化するために、鉋刃の突出量を表示する目盛の間隔を不等間隔に設定せざるを得ず、確認し難いものとなるが、本実施の形態によれば、このような問題もなく、鉋刃123の突出量Hの調整操作がやり易い。
【0021】
また本実施の形態における手持鉋101は、操作ノブ133を回転操作された位置に保持する位置保持機構部151を有する。位置保持機構部151は、図7に示すように、鋼球153と、当該鋼球153が嵌合する複数の球面状凹部155と、鋼球153を球面状凹部155に嵌合する方向に付勢する付勢バネ157とを主体として構成されている。鋼球153は、本発明における「凸部」に対応し、球面状凹部155は、本発明における「凹部」に対応し、付勢バネ157は、本発明における「付勢部材」に対応する。球面状凹部155は、操作ノブ133の、本体部107の外側上面と対向する円形フランジ部133bの下面領域に設けられている。球面状凹部155は、操作ノブ133の回転軸線を中心とする円弧線上において、上述した目盛145の間隔に対応した間隔、すなわち、鉋刃123の突出量0.1mmに対応する間隔で設けられている。鋼球153は、本体部107の設けた上方が開放された筒状の鋼球保持部107c内に収容されている。そして鋼球153は、鋼球保持部107c内に収容された付勢バネ157によって上向きに弾発状に付勢され、球面状凹部155に押し付けられている。
【0022】
上記のように構成された位置保持機構部151においては、鉋刃123の突出量Hを調整するべく操作ノブ133が回転操作されると、球面状凹部155と鋼球153が操作ノブ133の回転軸線回りの周方向に相対移動する。すなわち、鋼球153が付勢バネ157の付勢力に抗して球面状凹部155間の隔壁を乗り越えつつ相対移動する。そして操作ノブ133の回転操作が終了すると、鋼球153は、当該回転操作された位置に対応する球面状凹部155に嵌合して操作ノブ133を回転操作された位置に保持する。
【0023】
本実施の形態によれば、前述したように、カム135の単位回転角度θ1当たりのカムリフト量y1が一定となるように設定したことにより、位置保持機構部151の球面状凹部155を、目盛145と同様に等間隔に配置することが可能となる。例えば、偏心カムを利用してフロントベースの高さ調整を行う従来の構成であれば、凹部の配置間隔が不等となるため、凹部の配置間隔が狭い箇所の隔壁については、強度を確保することが難しく、耐久性が低下するといった点で問題となる。しかるに、本実施の形態によれば、球面状凹部155を等間隔に配置することが可能なため、隣接する球面状凹部155を隔てる隔壁の厚みを均等化して耐久性を向上することができる。
【0024】
なお本実施の形態は、カム135につき、板カムの場合で説明したが、板カムに限定されるものではなく、例えば溝カムに変えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本実施の形態に係る手持鉋の全体構成を示す側面図である。
【図2】本実施の形態に係る手持鉋の全体構成を示す側面図であり、フロントベースが上方へ移動されて鉋刃がフロントベースの下面から突出された状態を示す。
【図3】鉋刃の構成を示す模式図である。
【図4】フロントベースを上方に付勢する付勢バネを示す断面図である。
【図5】カム線図の作成を説明する図である。
【図6】カムと鉋刃の突出量(切込深さ)との関係を示す動作図である。
【図7】操作ノブの位置保持機構部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0026】
101 手持鉋
103 フロントベース
103a 傾斜面(高さ変換部)
105 リアベース
107 本体部(鉋本体)
107a 傾斜面(高さ変換部)
107b バネ受部
107c 鋼球保持部
109 ハンドル
109a トリガ
111 モータハウジング
113 サイドハウジング
115 カバー
121 駆動モータ
123 鉋刃
123a 回転ドラム
123b ブレード
131 切込深さ調整機構
133 操作ノブ(操作部材)
133a ノブ軸
133b 円形フランジ部
135 カム(カム部材)
137 係合凹部(高さ変換部)
141 板バネ
143 ネジ
145 目盛
147 指針
151 位置保持機構部
153 鋼球(凸部)
155 球面状凹部(凹部)
157 付勢バネ(付勢部材)
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成18年9月11日(2006.9.11)
【代理人】 【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸

【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行


【公開番号】 特開2008−62625(P2008−62625A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−245956(P2006−245956)