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【発明の名称】 チェーンソー
【発明者】 【氏名】伊藤 亮介

【要約】 【課題】ガイドバーの固定とその解除とをより簡単な操作で可能としたチェーンソーを提供する。

【構成】ガイドバー3の固定及びその解除操作を行う操作レバー15に、操作レバー15から出没可能で、常態ではコイルバネ26によって操作レバー15からの突出方向へ付勢されるロックボタン21を、操作レバー15の把持と共に押し込み操作可能な位置に設ける一方、操作レバー15の収容部17に、操作レバー15のガイドバー3の固定側への回転に伴うロックボタン21の摺動を許容し、固定解除側への回転に伴うロックボタン21の摺動を規制する複数の突起31,31・・を設けて、ガイドバー3の固定解除の際の操作レバー15の回転時にのみロックボタン21の押し込み操作が必要となるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の側面に、回転駆動するスプロケットと、そのスプロケットの前方にあって前記本体の前方へ突出するガイドバーとを設けて、前記スプロケットとガイドバーとに亘ってチェーンを張設させると共に、前記スプロケット及びガイドバーの基端を覆うカバーを設けて、前記カバーの外面に形成した収容部に回転操作部材を収容して、前記ガイドバーに設けた前後方向の長孔及びカバーを貫通して前記本体に螺合されるネジ部材を前記回転操作部材に固定し、前記回転操作部材の回転操作により、前記カバーを前記本体側へ押圧して前記ガイドバーを固定する固定状態と、前記カバーの押圧を解除して前記ガイドバーの前後方向への移動を許容する固定解除状態とを選択可能としたチェーンソーであって、
前記回転操作部材に、前記回転操作部材から出没可能で、常態では付勢手段によって前記回転操作部材からの突出方向へ付勢されて前記カバーの収容部に当接するロックボタンを、前記回転操作部材の把持と同時に押し込み操作可能な位置に設ける一方、
前記収容部に、前記回転操作部材の前記ガイドバーの固定側への回転に伴う前記ロックボタンの摺動を許容し、固定解除側への回転に伴う前記ロックボタンの摺動を規制する複数の突起を設けて、前記ガイドバーの固定解除の際の前記回転操作部材の回転時にのみ前記ロックボタンの押し込み操作を必要としたことを特徴とするチェーンソー。
【請求項2】
回転操作部材が、収容部内で回転可能に設けられる円盤状の操作レバーであり、ロックボタンは、前記操作レバーに形成された切欠内でスライド可能に保持されるものである請求項1に記載のチェーンソー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に設けられて回転駆動するスプロケットと、本体の前方へ突設したガイドバーとに亘ってチェーンを張設させ、スプロケットの回転に伴ってガイドバーの周縁に沿ってチェーンを回転させることで被切断材の切断を行うチェーンソーに関する。
【背景技術】
【0002】
チェーンソーは、本体の側面に、モータやエンジンによって回転駆動するスプロケットと、前方へ突出するプレート状のガイドバーとを備え、スプロケットとガイドバーとに亘ってチェーンを張設させてなり、スプロケットの回転に伴ってチェーンをガイドバーの周縁に沿って回転させることで、チェーンによる被切断材の切断が可能となっている。
このチェーンソーにおいては、チェーンの張り具合を調整したり、チェーンを交換したりするために、ガイドバーの本体に対する固定位置を前後に調整可能となっている。この調整構造としては、例えば特許文献1に開示の如く、ガイドバーを保持するクラッチカバーに設けたノブを、本体に設けられたネジピンに対して締付或いは緩めることで、工具を用いることなくガイドバーの固定とその解除とを可能とする構造が知られている。特にノブには、レバーの倒伏によって出没し、クラッチカバーに設けた歯と係脱するロック板を設けて、レバーを倒した状態ではロック板が突出してクラッチカバーの歯と噛み合ってノブの回転をロックし、レバーを起こすと、ロック板がクラッチカバーの歯から離れてレバーによるノブの回転を可能としたロック機構が設けられている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−27261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ロック機構を備えたものでは、ロック状態からノブを回転操作する際にはまずレバーを起こしてロックを解除してからノブを回転させる手順となり、逆にノブをロックする際にはノブを締め付けた後にレバーを倒してロックさせる手順となって、常にレバーの倒伏操作とノブの回転操作という異なる操作が必要となり、操作性が悪くなっている。
また、レバーの採用によって構造が複雑となる上、部品点数も多くなってロック機構に係る製造コストもかさむことになる。
【0005】
そこで、本発明は、工具を用いずに行えるガイドバーの固定とその解除とをより簡単な操作で可能とすると共に、当該固定/解除に係る構造もより簡単にして、操作性やコスト面に優れるチェーンソーを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、回転操作部材に、回転操作部材から出没可能で、常態では付勢手段によって回転操作部材からの突出方向へ付勢されてカバーの収容部に当接するロックボタンを、回転操作部材の把持と同時に押し込み操作可能な位置に設ける一方、収容部に、回転操作部材のガイドバーの固定側への回転に伴うロックボタンの摺動を許容し、固定解除側への回転に伴うロックボタンの摺動を規制する複数の突起を設けて、ガイドバーの固定解除の際の回転操作部材の回転時にのみロックボタンの押し込み操作を必要としたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、ロックボタンを合理的に設けるために、回転操作部材を、収容部内で回転可能に設けられる円盤状の操作レバーとし、ロックボタンを、操作レバーに形成された切欠内でスライド可能に保持される構成としたものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ガイドバーの固定の際には回転操作部材をそのまま回転操作すれば足り、固定解除の際にのみロックボタンの押し込み操作が必要となるため、ガイドバーの固定及びその解除操作の手順が簡単となって操作性に優れる。而もロックボタンは回転操作部材を把持する動作と同時に押し込むことができるため、異なる動作をする意識がなくスムーズな固定解除が可能となる。また、回転操作部材に設けたロックボタンと収容部との間でワンウェイクラッチを形成する構造であるから、構成が簡単となってコストアップも抑えられる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、ロックボタンを円盤状の操作レバー内でコンパクトに収めることができ、より合理的な構成となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、チェーンソーの一例を示す斜視図で、チェーンソー1は、モータ及びその減速機構を内蔵した本体2の側面に、減速機構の出力軸に設けられる図示しないスプロケットと、そのスプロケットの前方(図1の右側)で本体2よりも前方へ突出される長円板状のガイドバー3とを設けて、スプロケットとガイドバー3とに亘って張設したチェーン4を、スプロケットの回転に伴いガイドバー3の周縁に沿って回転させて、被切断材の切断を可能としたものである。本体2の上方には、モータを駆動させるスイッチレバー6を設けたハンドル5が延設され、ハンドル5の後方に、電源となるバッテリーパック7が装着されている。8は本体2におけるガイドバー3と反対側の側面から横向きに突設されたグリップ、9はその前方に設けられたガード板で、スプロケット及びガイドバー3の基端側は、本体2の側面に装着されたスプロケットカバー10によって覆われている。
【0009】
ガイドバー3は、図3に示すように、基端部中央へ前後方向に形成された長孔11に、本体2へ前後に並設されたインサートナット12,12を遊挿することで、前後方向へスライド可能となっている。13は、スプロケットカバー10に嵌合された段付スリーブ14とガイドバー3の長孔11とを貫通して後方側のインサートナット12に螺合されたネジ部材としての六角ボルトで、頭部には、回転操作部材となる円盤状の操作レバー15の中央部16が嵌着されている。よって、操作レバー15を介して六角ボルト13をインサートナット12にねじ込むと、操作レバー15の中央部16が段付スリーブ14を介してスプロケットカバー10を本体2の側面側に押圧し、ガイドバー3を本体2との間で挟持固定する。操作レバー15を介して六角ボルト13を緩めると、スプロケットカバー10によるガイドバー3の押圧が解除されて、ガイドバー3を前後へスライドさせることができる。
【0010】
操作レバー15は、図5,6にも示すように、スプロケットカバー10の外面に凹設された円形の収容部17内で回転可能に設けられる円盤部18と、その円盤部18の中央外面で直径方向へ突設される凸部19とを備えている。また、操作レバー15には、円盤部18から凸部19にかけて凸部19との直交方向へ切欠20が設けられており、切欠20内に、ロックボタン21が設けられている。このロックボタン21は、図7,8にも示すように、端部が円盤部18の周縁と連続する円弧状に形成される平坦部22と、その平坦部22から外側に立ち上がって凸部19内に遊挿する段部23とを有し、操作レバー15の円盤部18の裏面で切欠20の両端縁に突設されたガイド片24,24によって、切欠20内でその形成方向へスライド可能に保持される。ロックボタン21の裏面で円盤部18の中心側の端縁には、ガイド片24に係合する断面L字状の案内片25が形成されている。
【0011】
また、ロックボタン21の段部23内には、一対のコイルバネ26,26が遊挿されて、ロックボタン21を円盤部18からの突出方向へ付勢している。但し、ロックボタン21の裏面で凸部19側の基端には爪27が突設されて、円盤部18の裏面に固着された四角枠状のストッパ28内に位置していることから、爪27がストッパ28の先端側の内縁に係止する位置でロックボタン21の突出が規制されることになる。この突出位置では、平坦部22の端部が円盤部18の周縁と連続状に連なり、段部23が凸部19からやや突出する。さらに、平坦部22の裏面におけるロックボタン21の突出方向先端寄りには、端部の円弧形状に沿った長円状の係止突起29が突設されている。
【0012】
一方、スプロケットカバー10の収容部17の底部には、操作レバー15の円盤部18の下面側で円盤部18よりも一回り小径の円形凹部30が連設されており、この円形凹部30の内周に、図3(C)に示すように、複数の突起31,31・・が周方向へ等間隔(ここでは30°間隔で12箇所)に形成されている。この各突起31の間に、コイルバネ26,26によって付勢されるロックボタン21の係止突起29が係止可能となっている。
【0013】
但し、各突起31の平面形状は、一方側が傾斜面32、他方側が円形凹部30の半径方向に沿った規制面33となる台形状で形成されていることから、六角ボルト13の締付操作に伴う操作レバー15の右回転(同図では左回転)の際には、傾斜面32によって係止突起29による突起31の乗り越えが許容され、六角ボルト13の緩め操作に伴う操作レバー15の左回転(同図では右回転)の際には、規制面33によって係止突起29による突起31の乗り越えが阻止される。すなわち、ロックボタン21と収容部17との間にワンウェイクラッチが形成されるものである。
そして、ロックボタン21を、段部23を凸部19内へ押し込むようにコイルバネ26の付勢に抗して後退させると、係止突起29が突起31から離れてそのまま操作レバー15を回転させることができる。なお、円盤部18の裏面には、切欠20の形成部分を除いて同心円上で円弧状の突条34が突設されている。この突条34は、円形凹部30内で外周面に突起31の先端が近接する位置で突出して、回転操作時の操作レバー15の安定を図るものである。
【0014】
以上の如く構成されたチェーンソー1においては、図2(A)に示す操作レバー15の回転位置では、六角ボルト13がインサートナット12にねじ込まれてスプロケットカバー10によってガイドバー3は固定状態にある。また、ロックボタン21は突出位置にあって図3(B)(C)に示すように係止突起29を突起31間に係止させている。
ここからチェーン4の張り具合を調整したりチェーン4を交換したりするためにガイドバー3をスライドさせたい場合は、操作レバー15の凸部19を把持すると共にロックボタン21の段部23を凸部19内へ押し込む。すると、ロックボタン21が後退して係止突起29が突起31,31から離れるため、そのまま操作レバー15を図2(B)及び図4のように左回転させて六角ボルト13を緩めることができる。よって、スプロケットカバー10によるガイドバー3の固定が解除され、ガイドバー3が前後方向へスライド可能となる。
【0015】
チェーン4の調整等が終了すると、今度は操作レバー15を右回転させれば、六角ボルト13をインサートナット12にねじ込んで段付スリーブ14を介してスプロケットカバー10を本体2側へ押圧し、ガイドバー3を本体2との間で挟持固定することができる。このとき、ロックボタン21の係止突起29は傾斜面32によって突起31を次々に乗り越えることができるため、ロックボタン21を凸部19内へ押し込み操作する必要がない。勿論ロックボタン21が操作レバー15の回転に支障を与えることはない。
【0016】
このように上記形態のチェーンソー1によれば、操作レバー15に、操作レバー15から出没可能で、常態ではコイルバネ26によって操作レバー15からの突出方向へ付勢されて収容部17に当接するロックボタン21を、操作レバー15の把持と同時に押し込み操作可能な位置に設ける一方、収容部17に、操作レバー15のガイドバー3の固定側への回転に伴うロックボタン21の摺動を許容し、固定解除側への回転に伴うロックボタン21の摺動を規制する複数の突起31,31・・を設けて、ガイドバー3の固定解除の際の操作レバー15の回転時にのみロックボタン21の押し込み操作を必要としたことで、ガイドバー3の固定の際には操作レバー15をそのまま回転操作すれば足り、ガイドバー3の固定及びその解除操作の手順が簡単となって操作性に優れる。而もロックボタン21は凸部19を把持する動作と同時に押し込むことができるため、異なる動作をする意識がなくスムーズな固定解除が可能となる。また、操作レバー15に設けたロックボタン21と収容部17との間でワンウェイクラッチを形成する構造であるから、構成が簡単となってコストアップも抑えられる。
【0017】
また、回転操作部材を、収容部17内で回転可能に設けられる円盤状の操作レバー15とし、ロックボタン21を、操作レバー15に形成された切欠20内でスライド可能に保持されるものとしたことで、ロックボタン21を操作レバー15内でコンパクトに収めることができ、より合理的な構成となっている。
さらにここでは、円盤部18の下面側でロックボタン21の係止突起29が円形凹部30の突起31と係脱する構造であるため、当該係脱部分が円盤部18によって露出することなく保護される。よって、粉塵等が侵入して操作レバー15の操作性を低下させるおそれがなくなる。
【0018】
なお、上記形態では、回転操作部材となる操作レバーは円盤部の外面に突設した凸部を把持して操作する形状となっているが、円盤部の外面に複数の凹部を凹設し、各凹部に指を差し込んで回転操作するようにしてもよい。勿論回転操作部材は円盤状でなくても差し支えない。
また、ロックボタンは、収容部の突起との位置関係によっては上記形態のような裏面の係止突起を無くして、突出方向先端に係止突起に相当する係止部を形成してもよいし、平坦部に代えて棒状や軸状の先端を収容部の突起に係止させるようにしてもよい。さらに、上記形態のように操作レバーに設けた切欠内でスライドさせる構造に限らず、例えば操作レバーの外面や底面に設けた凹溝内でスライド可能に設けることも考えられる。
【0019】
一方、収容部に設ける突起の数も適宜変更可能で、ロックボタンの付勢手段も板バネ等の他の部材を用いることができる。
そして、チェーンソーも、モータ駆動の場合は交流式であっても本発明は採用可能であるし、エンジン駆動であっても本発明の適用は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】チェーンソーの全体斜視図である。
【図2】チェーンソーの一部側面図で、(A)がガイドバーの固定状態、(B)が固定解除状態を夫々示す。
【図3】(A)(B)は夫々図2のA−A線断面、B−B線断面を示し、(C)は(B)のD−D線断面を示す。
【図4】(A)は図2のC−C線断面を示し、(B)は(A)のE−E線断面を示す。
【図5】操作レバーの斜視図である(ロックボタンは除く)。
【図6】操作レバーの説明図で、上が平面、中が側面、下が底面を夫々示す(ロックボタンは除く)。
【図7】ロックボタンの斜視図である。
【図8】ロックボタンの説明図で、上が裏面、中が基端側側面、下が平面、右が側面を夫々示す。
【符号の説明】
【0021】
1・・チェーンソー、2・・本体、3・・ガイドバー、4・・チェーン、10・・スプロケットカバー、11・・長孔、12・・インサートナット、13・・六角ボルト、15・・操作レバー、17・・収容部、18・・円盤部、19・・凸部、20・・切欠、21・・ロックボタン、22・・平坦部、23・・段部、26・・コイルバネ、29・・係止突起、31・・突起、32・・傾斜面、33・・規制面。
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成18年8月30日(2006.8.30)
【代理人】 【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹

【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一


【公開番号】 特開2008−55711(P2008−55711A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234093(P2006−234093)