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【発明の名称】 フィルムの穿孔方法および穿孔フィルム
【発明者】 【氏名】片岡浩靖

【氏名】縣 隼人

【氏名】角之上重昭

【氏名】一柳 誠

【要約】 【課題】初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい穿孔用フィルムに、所定の形状の孔を歪み無く且つ継続して穿孔する方法を提供する。

【解決手段】穿孔用フィルムに易水溶性の接着剤層を介してキャリアフィルムを積層して破断応力が80N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が8N/15mm幅以上となるように補強した積層フィルムの状態で穿孔した後、キャリアフィルム層を剥離除去する。この際、好ましくは、水浸漬により剥離除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい穿孔用フィルムを工程に通紙した状態で連続的に穿孔する際、易水溶性の接着剤層を介してキャリアフィルムを積層して破断応力が80N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が8N/15mm幅以上となるように補強した積層フィルムの状態で穿孔した後、キャリアフィルム層を剥離除去することを特徴とする初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さいフィルムの穿孔方法。

【請求項2】
初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい穿孔用フィルムを工程に通紙した状態で連続的且つ密に穿孔する際、、易水溶性の接着剤層を介してキャリアフィルムを積層して破断応力が100N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が16N/15mm幅以上となるように補強した積層フィルムの状態で穿孔した後、キャリアフィルム層を剥離することを特徴とする初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さいフィルムの穿孔方法。

【請求項3】
剥離方法が、穿孔された積層フィルムを水系溶媒に浸漬することにより行われることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の引っ張り応力が小さいフィルムの穿孔方法。

【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の補強した積層フィルム。

【請求項5】
請求項4に記載の積層フィルムの状態で穿孔した後、キャリアフィルム層を剥離除去することにより得られる穿孔フィルム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムの穿孔方法および穿孔フィルムに関するものであり、さらに詳しくは、穿孔用フィルムの初期引っ張り応力が小さい場合であっても、穿孔位置のずれがなく、工程が安定する穿孔方法、その穿孔方法に供する積層フィルム及び穿孔フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にプラスチックフィルムの多くは透明であり、耐水性、耐溶媒性であり、空気や液体の透過は遮断されるため種々の包装材料や構造材料として重宝である。しかしながら、用途によっては、耐水性や耐溶剤性は必要であるが通液性、通気性が必要な場合があり、例えば、農業用のハウス用フィルムや燃料電池内部で使用されるセパレーターフィルム、イオン交換膜などの基材・芯材などの用途には、耐水性や耐溶剤性のプラスチックフィルムに適度の穿孔を施した穿孔フィルムとして使用されている。
【0003】
上記の典型的な穿孔されたフィルム(以下、穿孔フィルムと略記する)の中で、ハウス用フィルムの場合は一般に安価なポリエチレンやポリプロピレンフィルムが使用され、厚さが厚くて構造上の強度が大きく、また穿孔精度は必ずしも高いものが求められないため、穿孔方法としては、例えば、必要な孔径が実質的に均等に形成されるものであれば実用に供し得るもので、穿孔手段を例示すれば所定間隔を以って所要の通気孔を突刺形成する形成針が植設された植針ロール上を、予め選択された透明の合成樹脂フィルムを走行させながら加圧穿孔させる方法や、所定間隔を以って加熱された熔穴形成ピンが植設された熔穴ピン植設ロールに接触させて熔穴形成させる方法等大量生産方式を適用することが出来る旨開示されている。(特許文献1)
【0004】
また、前記の燃料電池内部で使用されるセパレーターフィルム、芯材などの場合は穿孔の位置、形状が燃料電池の特性に大きく影響を与えるが、さらに電池としての性能を極限まで向上させるためにセパレーターフィルム等の厚さも可能な限り薄いものが求められる。典型的な例としては、フィルムとしては例えば厚さ10〜20μmの薄いPPSフィルムなどに直径0.1〜0.5mmという微細な孔が全面にぎっしり穿孔される。このような場合、フィルムに多量の孔を穿孔する方法としては、例えば、レーザー式、ドリル式、凹凸金型刃使用のプレス式などの方法が知られているが、フィルムに孔形状を精度良く穿孔する方法としては、通常、断面が孔の形状である細い丸棒状凸型刃を穿孔位置に配列させた凸刃と穿孔用フィルムの背面に置かれる丸孔状凹型刃とを組み合わせた凹凸金型刃を使用したプレス式が好適に適用されるが、かかる複雑で高精度の凹凸金型刃の製作には時間とコストがかかるため、実用的には穿孔する孔が一つ又は少数の凹凸金型刃を有するプレス機を使用し刃位置を移動しつつ所定の配列の穿孔を行う場合もある。
【0005】
その場合、穿孔用フィルムの厚さが薄く、従って初期引っ張り応力が小さい場合、取り扱い時には引っ張りじわが生じ易く、穿孔装置に通して巻きロールから巻き出しつつ連続的に穿孔しようとするとき穿孔用フィルムに掛かるテンションにより引き伸ばされフィルム面が波打ったり、逆にこれを避けるために弱い張力で通紙すると穿孔用フィルムが幅方向に揺動する。特に、凹凸1対の金型刃を使用して金型刃位置をフィルムの幅方向、長さ方向に移動させて指定位置に穿孔するような場合、かかる薄い穿孔用フィルムが上記のように波打ったり幅方向に揺動するため、穿孔位置が所定の位置にならず、まったく商品価値が無いものになってしまうのみならず、各穿孔サイクルの中で凸型刃を押し下げて穿孔しその後に凸型刃を引き上げる際、薄いプラスチックフィルムが凸型刃に引っぱられて共に浮き上がりして上下動し、穿孔操作がスムーズに継続できないという問題が生じ易い。かかる挙動を避ける方法として、薄いプラスチックフィルムの裏面にキャリアフィルムなどを積層して厚さや引っ張り応力を補強することによりこの薄さによる欠点を穿孔時のみカバーし、穿孔後は剥離する方法が想起される。
【0006】
上記のキャリアフィルムは粘着剤層を介して穿孔用フィルムの裏面に貼り付けてこれを補強するものである。この場合、穿孔後にキャリアフィルムを剥離除去する際に穿孔用フィルムが薄いため、剥離時の引っ張り応力により引っ張りじわが生じ易い。この点については、穿孔用フィルムの厚さによっては、キャリアフィルムの粘着剤層の剥離強度(剥離する際の軽さ)を低く調節することによりある程度は避けることが出来る。
【0007】
しかしながら、上記のキャリアフィルムの粘着剤が穿孔時に孔の内側にはみ出したり、穿孔後の剥離の際に穿孔フィルムの裏面に糊残りとして一部ではあるが残留しがちであるが、かかる粘着剤としては、一般にアクリル系、ウレタン系、シリコーン系などの粘着剤であり、例えば、精密機器としての燃料電池の内部に不純物として残存することになる。上記の粘着剤は、通常非水溶性であり水系溶媒では溶解除去できず、水溶性のものであっても水系溶媒に容易には溶解せず、熱水条件で溶解するか又は長時間浸漬する必要があり、実用的ではなかった。
【特許文献1】特開平10−210870号公報
【0008】
本発明者らは、上記の観点から、穿孔用フィルムとキャリアフィルムとの積層用接着剤として、剥離時に特に穿孔用フィルムに引っ張り応力が掛からない易水溶性の接着剤層を使用し、穿孔後、この穿孔された積層フィルムを水に浸漬して穿孔フィルムを容易に単離する方法に想到した。しかしながら、上記のキャリアフィルムとして汎用の例えば厚さ38mmのポリエステルフィルムを使用した場合、キャリアフィルムが穿孔時に完全に切断できずに糸曳きして積層フィルムが穿孔装置の上下動する凸刃に引っ張られて揺動するためフィルムの穿孔位置が安定せず、時には既に穿孔された孔と連続し、結果的に切断に至るという問題点があることが分かった。特に、穿孔径が1mm以下、厳しくは500μm以下の微細で、孔と孔の間の間隔が短い場合は、この影響が大きい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の難点を解決し、穿孔用フィルムに穿孔する際、そのフィルムの厚さが薄い場合など初期引っ張り応力が小さい場合であっても、穿孔位置のずれがなく、工程が安定する穿孔方法及びその穿孔方法に供する積層フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第一の要旨は、初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい穿孔用フィルムを工程に通紙した状態で連続的に穿孔する際、易水溶性の接着剤層を介してキャリアフィルムを積層して破断応力が80N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が8N/15mm幅以上となるように補強した積層フィルムの状態で穿孔した後、キャリアフィルム層を剥離除去することを特徴とする初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さいフィルムの穿孔方法。
にある。
【0011】
そして、本発明の第二の要旨は、初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい穿孔用フィルムに、易水溶性の接着剤層を介してキャリアフィルムを積層して破断応力が80N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が8N/15mm幅以上となるように補強した積層フィルム。
にある。
【0012】
そして、本発明の第三の要旨は、初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい穿孔用フィルムに連続工程において微細穿孔を配列して穿孔する際、易水溶性の接着剤層を介してキャリアフィルムを積層して破断応力が80N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が8N/15mm幅以上となるように補強した積層フィルムの状態で穿孔した後、キャリアフィルム層を剥離除去することにより得られる穿孔フィルムにある。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい穿孔用フィルムを工程に通紙した状態で連続的に穿孔する際、易水溶性の接着剤層を介してキャリアフィルムを積層して破断応力が80N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が8N/15mm幅以上となるように補強した積層フィルムの状態で穿孔することにより、穿孔位置が安定して継続でき、しかも穿孔後水系溶媒に浸漬・洗浄することにより穿孔形状に歪みが無い穿孔フィルムを得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の穿孔方法は、穿孔用フィルムにキャリアフィルムを積層して補強した積層フィルムの状態で穿孔する。
【0015】
上記の穿孔用フィルムの素材としては、後述の穿孔方法により穿孔することが出来るものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;6−ナイロン、6−6ナイロン、6−12ナイロンなどのポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリアクリル系樹脂;フッ素系樹脂;シリコーン系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリフェニレン系樹脂:ゴム系樹脂;塩化ビニール系樹脂;その他の樹脂またはこれらの樹脂のブレンドにより製造された通常プラスチックフィルムとして使用されるものはいずれも適用でき、さらに、紙、セロハンなど一般に耐水性が劣るとされる素材であっても水系溶媒浸漬に耐える程度の耐水化処理を施したものも含まれる。
【0016】
上記の穿孔用フィルムの厚さ自体は特に制限されるものではないが、通常厚さが薄い場合で、後述の穿孔工程において引っ張りジワや波打ちが生じるような初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい、例えば8N/15mm幅以下、さらに顕著な例として4N/15mm幅以下のようなフィルム、さらに穿孔後に切断などが生じるような、例えば破断
応力が80N/15mm幅以下のフィルム、特に穿孔面積密度が高い場合では100N/15mm幅以下である破断強度が小さいフィルムの場合に、顕著な効果がある。かかる厚さとしては、穿孔用フィルムを構成する素材により異なるが、おおむね40μm以下であり、さらに30μm以下であり、素材によっては20μm以下の場合もありうる。
【0017】
前記のキャリアフィルムは上記の穿孔用フィルムを補強するために積層されるフィルムであり、後述の易水溶性接着剤を介して破断応力が80N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が
8N/15mm幅以上となるように補強するものであり、特に穿孔が密に行われる場合には破断応力が100N/15mm幅未満、破断伸度が155%以上の穿孔用フィルムを連続的且つ密に穿孔する際に易水溶性の接着剤層を介してキャリアフィルムを積層して破断応力が100N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が16N/15mm幅以上となるように積層される。
【0018】
上記の穿孔が密に行われる場合とは、例えば穿孔が配列されたとき、フィルムの幅方向のフィルム残存部の実質的な幅が元のフィルム幅の30%以下、特に20%以下などの場合は、工程におけるフィルムの張力が実質的にその30%以下、20%以下の部分で支えることになり、いわゆる応力集中の状態になるため、通常の通紙工程では予想できない張力を受けることになる。因みに、本発明の実施例の場合は、直径300μmφの孔を幅方向に350μmピッチで配列されるため、フィルム残存部の実質的な幅は約14%程度になる。
【0019】
キャリアフィルムを積層した後の初期引っ張り(1%伸長時)応力が8N/15mm幅未満の場合は、この積層体を穿孔工程に通紙したとき引っ張りジワが生じ易く、穿孔形状が所期の形状から外れて歪んだものとなり易い。この引っ張りジワの発生を回避するために通紙の張力を弱めるとフィルムが波打ったり揺動して穿孔位置が不安定になり、等間隔に配列出来なくなり、極端な場合は隣接する孔が重なったり、フィルムの切断の原因ともなる。特に穿孔が密に行われる場合には初期引っ張り(1%伸長時)応力が16N/15mm幅以上であるのが好ましい。
また、積層体の破断応力が80N/15mm幅未満の場合は、通紙状態におけるフィルムの揺動が無い程度に緊張
したとき、穿孔後に残る連続部分において切断が生じ易くなり、特に穿孔が密に行われる場合には破断応力が100N/15mm幅以上であるのが好ましい。
また、破断伸度が155%以上の場合、穿孔操作の段階で積層体が完全に切断しにくく、切断残り部分による引きずり現象が生じ易く、この場合には、積層フィルムが穿孔用刃の上下動に引きずられて揺動し、穿孔用位置がずれ、時には切断の原因ともなる。
【0020】
かかるキャリアフィルムを構成する素材としては、前記の穿孔用フィルムとして列挙したフィルム類の厚さを厚くしてキャリアフィルムとしての素材特性を示すようになったものの他、銅箔、硬質アルミニウム箔、ステンレススチール箔などの金属箔類、および上記のフィルム類や金属箔類を複数種類貼り合わせたものが使用でき、中でも特性のみの観点からは破断応力が大きく破断伸度が小さい銅箔がきわめて好ましいが、キャリアフィルムはあくまで副材料であるため安価で且つ取り扱いが容易な素材がより好ましく、例えば、シリカ微粒子、炭酸カルシウム粒子など無機質粒子を添加して、キャリアフィルムで補強後の積層フィルムの破断伸度が155%程度以下を満たすポリエステル系樹脂フィルムも実用的である。
【0021】
上記のキャリアフィルムの厚さの上限は、穿孔性があるものであれば特に限定されないが、穿孔される孔の直径とのバランスの面から、孔の直径の2倍以下であるのが好ましい。また、コスト面などの観点から通常500μm以下、上記の特性を呈するものであれば100μm以下でもよく、実用的には50μm以下で十分なものもある。
【0022】
上記の穿孔用フィルムにキャリアフィルムを積層するのに使用される接着剤としては、穿孔処理工程において剥離しない程度の接着性を有し、且つ、穿孔後に容易に、すなわち穿孔フィルムとキャリアフィルムが引っ張りじわが生じない程度の引っ張り応力により、剥離できる接着剤が好ましく、例えば、積層フィルムの接着剤層を水系溶媒に浸漬することにより湿潤または溶解して水から分離しうる程度の可溶性を得ることが出来るもの、即ち易水溶性接着剤が好適に使用される。本発明で使用する易水溶性接着剤とは、水または水系溶媒に容易に溶解する接着剤を意味する。
【0023】
上記の易水溶性接着剤としては、具体的には、対象とする穿孔用フィルム、キャリアフィルムを構成する素材の種類により、公知の接着剤から適宜選択して使用されるが、易水溶性接着剤の市販品の具体例としては、水溶解性ウレタン樹脂系の「パラミリオンAF−36」、「パラミリオンFL−34」(いずれも商品名、大原パラジウム株式会社製)を好適に挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
【0024】
なお、上記の水系溶媒としては、水の他、通常水系溶媒として認識される溶媒は全て含まれ、例えば、水100質量部に対してメタノール、エタノール、プロパノール、グリコール類などの水溶性有機溶媒を100質量部以下配合した混合溶媒を挙げることが出来る。また、浸漬する際の溶媒の温度は、常温であることが望ましいが、例えば、45℃以下の温度であっても良い。
【0025】
前記の穿孔用フィルムとキャリアフィルムとを積層して積層フィルムを形成する方法としては、公知の手段により行うことが出来る。例えば、接着剤として上記のパラミリオンAF−36のような加熱接着性の接着剤を使用する場合は、通常、薄い穿孔用フィルムに過大な引っ張り応力が掛かるのを避けるため、キャリアフィルムの接着すべき面に接着剤溶液を塗布し乾燥して、接着剤層を有するキャリアフィルムを得、この接着剤層を有するキャリアフィルムの接着剤層表面に穿孔用フィルムの接合すべき面を重ね合わせて加熱ラミネートする方法が例示される。なお、上記の積層工程においては、穿孔用フィルムに可能な限り張力がかからないようにするのが好ましく、例えば連続的に長尺物を製造する場合にはテンションカッターなどの装置を併用するなどの配慮をするのが好ましい。
【0026】
上記接着剤溶液の濃度は、それぞれの接着剤の種類、特性に応じて適宜設定されるが、通常、2〜50質量%であるが、接着剤の塗布量は、乾燥後の厚さとして、通常0.1〜5μm、実用的には0.2〜1μm程度で比較的少なくてもよいため、接着剤溶液の濃度は2〜10質量%でも十分である。また、乾燥条件は、使用した接着剤の種類、溶液の濃度、塗布量等により適宜設定されるが、通常80〜100℃の熱風中で30〜180秒程度である。
【0027】
以上のようにして得られた穿孔用フィルム層/接着剤層/キャリアフィルム層の構成を有する積層フィルムは、穿孔用フィルム自体の初期引っ張り応力が低位のものであっても引っ張り応力が補強されているため穿孔工程に適した積層フィルムであり、この積層フィルムの状態で穿孔することによって穿孔工程が安定し、穿孔位置の精度が優れている。
【0028】
上記の積層フィルムを穿孔する手段としては、格別限定するものではなく、公知の手段を適用することが出来るが、例えば、目的とする穿孔形状に対応する先端形状の凸型とこれに対応する凹型とを組み合わせて所望のパターン状に配列した凹凸金型刃によるプレス式穿孔を挙げることができる。なお、特に、凹凸1対の金型刃を使用して、制御機構により穿孔位置を適宜制御するタイプの穿孔装置も好適に使用できる。
【0029】
上記の手段で穿孔された積層フィルムは、積層されている接着剤層およびキャリアフィルム層を除去および/または剥離して目的とする穿孔フィルムが単離される。この際、特にフィルムの穿孔が密集している部分があり、フィルムの走行方向に非穿孔部の面積比が大きい部分を有しない場合、僅かな引っ張り応力により容易に引っ張りじわが生じやすい。従って、穿孔された積層フィルムには可能な限り引っ張り応力がかからないように注意深く取り扱うのが好ましい。
【0030】
上記の手段で穿孔された積層フィルムの接着剤層およびキャリアフィルム層を除去および/または剥離する方法は、上記の穿孔された積層フィルムの接着剤層に水系溶媒を作用させて接着剤層を膨潤または溶解させて穿孔フィルムに強い引っ張り応力をかけない状態で剥離または除去する方法を挙げることが出来る。かかる方法の具体例としては、例えば、穿孔された積層フィルムの末端に剥離口を形成した後、室温の水系溶媒の浴中に浸漬し、剥離口を水系溶媒の中に維持しつつ剥離し水系溶媒の浴から取り出す方法を挙げることが出来る。上記の水浴から取り出す速度は、使用する接着剤の水溶性および穿孔の程度等の条件により適宜調節される。このようにして単離された穿孔フィルムは、必要により残存する接着剤を前記の水系溶媒の浴内またはその流れの中で、必要により温浴内またはその流れの中で洗浄し、濯ぐことにより穿孔ピッチが一様で、接着剤等の不純物の残留が無い穿孔フィルムを容易に得ることが出来る。
【実施例】
【0031】
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
なお、本実施例および比較例において、各種特性の評価方法は以下の基準によった。
【0032】
(1)
穿孔用フィルム物性(初期引っ張り応力)
測定装置としてテンシロン引っ張り試験機を使用し、試験片幅:15mm、チャック間距離:150mm、引張速度:200mm/分条件で引っ張り、長さ方向(MD)および幅方向(TD)毎に3試験片について測定し、それらの平均値を評価結果とした。
(2)
キャリアフィルムの物性(破断応力、破断伸度、初期引っ張り(1%伸長時)応力)
上記の測定装置を使用し、同じ測定条件により、長さ方向(MD)および幅方向(TD)毎に3試験片について測定し、それらの平均値を評価結果とした。
(3)
穿孔の正確性

所定の位置に穿孔でき、しかも穿孔壁がきれいであった。

所定の位置に穿孔できる。
×1 穿孔位置が所定の位置からずれ、穿孔形状は歪んでいた。
×2 積層フィルムが揺動し、新しい穿孔部の位置が前の穿孔部と重なった。
(4)
穿孔操作時のフィルムの搬送性

フィルムの揺動が無く且つ引っ張りジワもなく、トラブル無く穿孔が継続できた。
×1 最初は穿孔用フィルムと共にきれいに穿孔されたが、穿孔後の搬送時の張力により積層フィルムが切断し、穿孔操作が継続できなかった。
×2 積層フィルムに引っ張りジワが生じない様に調節したらフィルムが揺動し、穿孔位置が安定しなかった。
×3 キャリアフィルムの切断が不完全で、切断残り部分による引きずり現象が生じ、凸型刃の上下に伴って積層フィルムが引っ張られて揺動。
【0033】
[実施例1]
接着剤としてのパラミリオンAF−36(易水溶性ウレタン樹脂系、固形分35質量%、大原パラジウム株式会社製)100質量部を有機溶媒IPA(イソプロピルアルコール)600mlに溶解した接着剤溶液をキャリアフィルムとしての厚さ35μmの銅箔に、乾燥後の厚さが0.5μmと成るように塗布し、100℃の熱風中で2分間乾燥して接着剤層付きキャリアフィルムを作製した。このキャリアフィルムの接着剤層側表面に穿孔用の幅48mm、厚さ12μmのPPS(ポリフェニレンサルファイト)フィルムを重ね合わせ、ロール型ラミネーターを用いてロール温度80℃で積層し、積層フィルムを得た。
【0034】
得られた積層フィルムを、目的とする300μmφの円形孔に対応する凸型刃と凹型刃の一対から成り、穿孔部の位置が制御できる駆動装置により幅方向および長さ方向に間歇的に穿孔できる一穴式のプレス型穿孔機に通して、積層フィルムの幅方向に350μmピッチで100孔、長さ方向に350μmピッチで1000mm長さに亘って1分間に100孔の速度で穿孔試験することを目標とし穿孔操作を進め、その間のキャリアフィルムの変形を観察した。穿孔処理後、水洗して穿孔されたPPSフィルムとキャリアフィルムとの間の接着剤を溶解して穿孔されたPPSフィルムを分離して得た。分離されたPPSフィルムの穿孔された孔の形状を観察し、これらの結果および使用したキャリアフィルムの物性と共に表1に示した。
【0035】
[実施例2]〜[実施例4]
実施例2〜4として、使用したキャリアフィルムをそれぞれ、厚さ38μmのトレリナ(PPS樹脂フィルム、東レ株式会社製)、厚さ38μmのルミラー38E20(ポリエステルフィルム、東レ株式会社製)フィルム、10μmのアルミニウム箔と厚さ25μmのポリエステルフィルムとの積層品、に代えた以外は実施例1と全く同様に積層フィルムの試験片を作製し、また同様に穿孔操作を進め、その間の積層フィルムの変形および穿孔された孔の形状を観察した。これらの結果および使用したキャリアフィルムの物性と共に表1に示した。
【0036】
[比較例1]〜[比較例2]
比較例1〜2として、使用したキャリアフィルムとしてそれぞれ厚さ30μmのアルミニウム箔、および厚さ38μmのルミラー38S10(ポリエステルフィルム、東レ株式会社製)に代えた以外は実施例1と全く同様に積層フィルムの試験片を作製し、また同様に穿孔操作を進め、その間の積層フィルムの変形および穿孔された孔の形状を観察した。これらの結果および使用したキャリアフィルムの物性と共に表1に示した。
【0037】
[参考例1]〜[参考例3]
実施例1において、穿孔用フィルムの代わりに、[参考例1]〜[参考例3]としてそれぞれ厚さ12μmのPPSフィルム、厚さ16μmのPPSフィルム、および厚さ25μmのPPSフィルムを使用し、さらにキャリアフィルムを積層しないこと以外は、実施例1と同様に穿孔操作を進め、その操作中の穿孔用フィルムの挙動および穿孔された孔の形状を観察し、これらの結果を、使用した穿孔用フィルムの物性と共に表1に示した。
【0038】


【0039】
(実験結果のまとめ)
表1の結果からも明らかなように、穿孔用フィルムの初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい場合であっても、キャリアフィルムを積層して破断応力が80N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り応力境界値(1%伸長時、)を8N/15mm幅以上に補強した積層フィルムの状態で穿孔することにより、穿孔位置のずれが無く、継続して穿孔できたが、比較例1は、キャリアフィルムの破断応力が小さ過ぎるため積層フィルムの破断応力も小さく、穿孔中で切断してキャリアフィルムとしての役目を果たすことが出来ず、比較例2(破断伸度が155%超)の場合は、伸度が大きすぎるため切断操作時に穿孔しても孔部のキャリアフィルムが完全に分離されず、切断残り部分による引きずり現象が生じ、穿孔用刃に引っ張られて積層フィルムが揺動して穿孔位置が連続し、結局積層フィルムが切断した。また、参考例2は積層フィルムではないが、破断応力が80N/15mm幅未満、初期引っ張り応力境界値(1%伸長時、)が8N/15mm幅未満では、引っ張りジワが生じて穿孔形状が歪み、これを避けるため張力を低下させたときはフィルムの揺動が始まった。参考例3は穿孔用フィルムの破断応力が80N/15mm幅以上、初期引っ張り応力境界値(1%伸長時、)が8N/15mm幅以上で、キャリアフィルムの搬送性は安定し、穿孔形状は正確であった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の積層フィルムは、初期引っ張り(1%伸長時)応力が小さい穿孔用フィルムでも、易水溶性の接着剤層を介してキャリアフィルムを積層して破断応力が80N/15mm幅以上、破断伸度が155%以下、初期引っ張り(1%伸長時)応力が8N/15mm幅以上となるように補強することにより工程に通紙した状態で初期の形状の穿孔を継続して行うことが出来、穿孔した後に、キャリアフィルム層を剥離除去することにより、穿孔位置がずれないで目的とする位置に継続して穿孔できるため、産業上の効果は大である。
【出願人】 【識別番号】591145335
【氏名又は名称】パナック株式会社
【出願日】 平成18年10月20日(2006.10.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−100327(P2008−100327A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−286104(P2006−286104)