トップ :: B 処理操作 運輸 :: B26 切断手工具;切断;切断機

【発明の名称】 母板加工用金型、加工板の製造方法、及び、製品板の製造方法
【発明者】 【氏名】岩本 克彦

【要約】 【課題】加工工数を増大させることなく、製品板のシェービングを行うことが可能なシェービング用工具及びこれを用いた母板加工用金型、加工板の製造方法、並びに、製品板の製造方法を提供すること。

【解決手段】母板と接触する面の少なくとも一部に、前記母板の切断面をシェービングすることが可能な段差を備え、前記段差の部分から分割可能になっているシェービング用工具、このようなシェービング用工具を用いた母板加工用金型、加工板の製造方法、並びに、製品板の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母板と接触する面の少なくとも一部に、前記母板の切断面をシェービングすることが可能な段差を備え、
前記段差の部分から分割可能になっているシェービング用工具。
【請求項2】
前記母板に打ち抜き孔を形成するためのピンとして用いられる請求項1に記載のシェービング用工具。
【請求項3】
前記母板から所定の形状を有する板材を打ち抜くための雌型として用いられる請求項1に記載のシェービング用工具。
【請求項4】
前記母板から所定の形状を有する板材を打ち抜くためのパンチとして用いられる請求項1に記載のシェービング用工具。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれかに記載のシェービング用工具を用いた母板加工用金型。
【請求項6】
請求項5に記載の母板加工用金型を用いて、製品板が枠部で支持された加工板を製造する加工板の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法により得られる加工板に備えられる枠部を破断させ、製品板を分離させる製品板の製造方法。
【請求項8】
母板の搬送方向に対して下流側に配置され、前記母板から加工板を切り出すための第1領域と、
前記母板の搬送方向に対して上流側に配置され、少なくとも前記加工板1個分に相当する面積を有し、かつ前記母板に加工を施すための第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域の間に設けられた、前記母板の搬送方向に対して交差する方向に前記母板を切断する母板切断手段とを備え、
前記母板切断手段は、
上型の下面を
(イ)前記上型の前記第1領域上に固定された雌型と、
(ロ)前記雌型の上流側の側面に沿って上下動可能であり、かつ下方向に付勢された母板切断用上型ストリッパーと
に分割し、
下型の前記第2領域上には、その下流側の側面が前記雌型の上流側の側面に沿って摺動するように配置され、前記母板の搬送方向に対して垂直方向の前記母板の長さより広い横幅を有する母板切断用パンチを固定し、
前記第1領域及び前記第2領域において、それぞれ前記母板に加工を施すと同時に、前記雌型の上流側の側面及び前記母板切断用パンチの下流側の側面を用いて、前記母板の搬送方向に対して交差する方向に沿って前記母板をせん断するものであり、
前記第1領域及び/又は前記第2領域には、請求項1から4までのいずれかに記載のシェービング工具が設けられている
母板加工用金型。
【請求項9】
前記母板切断手段は、前記第2領域上にある前記加工板となる領域の下流側の辺上に沿って、前記母板を切断するものである請求項8に記載の母板加工用金型。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の母板加工用金型を用いて、前記第2領域において、母板に対し1回目のプレスを行う第1プレス工程と、
直前のプレスにおいて前記第2領域でプレスされた領域が前記第1領域上に来るように前記母板を搬送し、前記第2領域において前記母板の新たなプレスを行うと同時に、前記第1領域において、前記母板から製品板が枠部で支持された加工板を切り出す第2プレス工程と、
前記第2プレス工程と同時に、前記母板切断手段を用いて、前記母板の搬送方向に対して交差する方向に沿って前記母板をせん断する母板切断工程と
を備えた加工板の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法により得られる前記加工板に備えられる前記枠部を破断させ、前記製品板を分離させる製品板の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、シェービング用工具、母板加工用金型、加工板の製造方法、及び、製品板の製造方法に関し、さらに詳しくは、母板の切断面をシェービングするためのシェービング用工具、これを用いた母板加工用金型、このような金型を用いて製品板(例えば、プリント回路板)が枠部により仮止めされた加工板(例えば、実装用基板)を製造するための加工板の製造方法、及び、このような加工板に備えられる枠部を破断させる製品板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化に伴い、電子機器に用いられるプリント回路板に対しても小型化、異形化の要求が増大している。一方、プリント回路板に電子部品を装着するためのチップマウンターや自動挿入機などの電子部品自動装着機(以下、これを「自装機」という。)は、搬送の関係から、ワークの大きさに上限と下限がある。また、自装機に使用するワークの外形は、実質的に長方形であること、すなわち、少なくとも一つの辺が直線で、これに直交する辺の少なくとも1つが直線であることが要求される。
【0003】
そこで、小型、かつ異形のプリント回路板上に自装機を用いて電子部品を装着する場合には、まず、プリント配線母板に複数のプリント回路板を作り込み、Vカット法、プッシュバック法、ミシン目法等を用いて、プリント回路板がもとのプリント配線母板に仮止めされた状態とし、次いで、プリント配線母板の外形を自装機で搬送可能な大きさ、形状を有する基板(実装用基板)に切断する方法が用いられている。
【0004】
この内、Vカット法は、プリント配線母板上に印刷されたプリント回路の境界線に沿ってV字形、U字型等の凹溝(Vカット)を入れ、プリント回路上に電子部品を実装した後、Vカットに沿って破断させる方法である。従って、Vカット法は、その外形が直線的であるプリント回路板に対してのみ適用可能である。
また、ミシン目法は、プリント回路板の境界線に沿って、多数の小孔をあけ、小孔に沿って破断させる方法である。ミシン目法は、破断後の境界線に凹凸が残るので、外形の寸法精度が要求されないプリント回路板に対してのみ適用可能である。
【0005】
一方、プッシュバック法は、上型及び下型でプリント配線母板を狭持しながら、所定の形状を有する刃物を用いてプリント回路板を打ち抜き、次いで、打ち抜かれたプリント回路板を元の穴にはめ込む方法である。プッシュバック法は、外形の寸法精度が高く、かつ、プリント回路板の形状に制約はないので、特に、異形のプリント回路板に電子部品を自動装着する場合に有効な方法である。
【0006】
プッシュバック法を用いたプリント配線母板の加工は、一般に、
(1) 電気回路が印刷されたプリント配線母板にプッシュバック用の基準穴を形成し、
(2) プッシュバック用金型を用いて、プリント回路板のプッシュバック加工、及び、必要に応じて部品穴等の穿孔を行い、
(3) 外形切断用金型を用いてプリント配線母板の外形を切断し、所定個数のプリント回路板を含む実装用基板を母板から切り出す、
ことにより行われている。
【0007】
しかしながら、プッシュバック加工は、一般に、プリント配線母板に強いせん断力が作用するため、反りが発生しやすい。プッシュバック加工と外形切断は、従来、別個の金型を用いて行うのが一般的であったが、母板に対してプッシュバック加工のみを連続して行うと母板に大きな反りが発生し、外形切断が困難になるという問題があった。また、プッシュバック加工用の金型と外形切断用の金型が必要となり、高コスト化を招くという問題があった。さらに、製造された実装用基板に反りが発生し、あるいは、相対的に大きな残留応力があると、枠部からプリント回路板を取り外すのが困難になるという問題があった。
【0008】
そこでこの問題を解決するために、特許文献1には、プリント配線母板の搬送方向に対して上流側に配置され、前記プリント配線母板からプリント回路板を打ち抜き、打ち抜かれた前記プリント回路板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段と、前記プリント配線母板の搬送方向に対して下流側に配置され、プッシュバックされた1又は2以上の前記プリント回路板を含む実装用基板を前記プリント配線母板から切り出すための外形切断手段とを備えたプリント配線母板加工用金型が開示されている。
同文献には、プッシュバック手段によりプッシュバックされた領域が外形切断手段により逐次切り離されるので、プリント配線母板の反りの影響を大きく受けることなく容易に外形切断が行える点、及び、1つの金型でプッシュバック加工と外形切断加工とを行うことができるので、金型コストを低減できる点が記載されている。
【0009】
また、特許文献2には、母板の搬送方向に対して上流側に配置され、前記母板から打ち抜き板を打ち抜き、打ち抜かれた前記打ち抜き板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段と、前記母板の搬送方向に対して下流側に配置され、プッシュバックされた1又は2以上の前記打ち抜き板を含む加工板を前記母板から切り出すための外形切断手段とを備えた母板加工用金型において、前記プッシュバック手段と前記外形切断手段との間に、前記打ち抜き板がはめ込まれた前記母板を押圧し、前記母板の表面を平坦化させる平打ち手段をさらに備えた母板加工用金型が開示されている。同文献には、このような構成を採用することによって、母板の材質、打ち抜き板の形状等によらず、貫通穴等の周囲の変形・損傷等のない平坦な加工板を製造可能であり、しかも金型費用及び工数の削減が可能となる点が記載されている。
【0010】
また、特許文献3には、母板の搬送方向に対して上流側に配置され、前記母板から1又は2以上の第1プッシュバック板を打ち抜き、打ち抜かれた前記第1プッシュバック板を元の穴にはめ込むための第1プッシュバック手段と、前記母板の搬送方向に対して前記第1プッシュバック手段の下流側に配置され、前記母板から1又は2以上の第2プッシュバック板を打ち抜き、打ち抜かれた前記第2プッシュバック板を元の穴にはめ込むための第2プッシュバック手段と、前記母板の搬送方向に対して前記第2プッシュバック手段の下流側に配置され、プッシュバックされた1又は2以上の前記第1プッシュバック板及び前記第2プッシュバック板を含む加工板を前記母板から切り出すための外形切断手段とを備えた母板加工用金型が開示されている。同文献には、このような構成を採用することによって、プッシュバック板の形状が複雑であっても、プッシュバック加工が容易であり、金型の消耗が少なく、しかも材料歩留まりも向上する点が記載されている。
【0011】
さらに、特許文献4には、母板の搬送方向に対して上流側に配置された第1手段と、前記母板の搬送方向に対して下流側に配置された第2手段とを備え、前記第1手段は、加工板と同一又はそれより大きい領域を前記母板から打ち抜き、打ち抜かれた前記領域を元の穴にはめ込むプッシュバック手段と、前記領域のプッシュバックと同時に、前記領域内に形成された製品板の外周の一部分に、離散的に第1長穴を形成する第1長穴形成手段とを備え、前記第2手段は、前記製品板を含む前記加工板を前記母板から打ち抜く打抜手段と、前記加工板の打ち抜きと同時に、少なくともその一端が前記第1長穴の一端に近接するように、前記製品板の外周であって、前記第1長穴の間に第2長穴を形成する第2長穴形成手段とを備えた母板加工用金型が開示されている。同文献には、このような構成を採用することによって、母板から製品板が不連続な長穴によって枠部に仮止めされた加工板を金型プレス法を用いて製造する場合において、金型費用及び工数の削減、金型の複雑化及び強度低下の抑制、並びに母板の浮き上がりの防止を図ることができる点が記載されている。
【0012】
【特許文献1】特開2002−233996号公報
【特許文献2】特開2004−247499号公報
【特許文献3】特開2004−273992号公報
【特許文献4】特許第3496835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
金型を用いて母板を打ち抜くと、母板の切断面は、通常、荒れた状態となる。そのため、母板に対して打ち抜き加工、あるいは、プッシュバック加工を施し、プリント回路板表面に電子部品を実装した後、プリント回路板を取り外すと、切断面から切り屑が落ちる場合がある。このような切り屑がプリント回路板表面に付着したり、あるいは、プリント基板を組み込む装置内に入ると、誤動作の原因となる。そのため、このような切り屑の発生が特に嫌われる用途においては、プリント回路板の外周に対して、シェービング加工を行うのが一般的である。しかしながら、シェービング加工を別途行う方法では、シェービング加工の工数が増えるために、効率が悪いという問題がある。
【0014】
また、特許文献1〜4に開示されているように、金型を母板の搬送方向に沿って複数の領域に分割し、各領域にそれぞれ母板を加工するための加工手段を配置すると、母板に対して複雑な加工を連続的に行うことができる。しかしながら、従来の金型は、いずれも、基本的には上型又は下型のいずれか一方が雌型、他方がパンチ(雄型)になっており、母板全体を一方向に押圧する構造になっている。そのため、各領域において選択可能な加工方法は、母板の押圧方向による制約を受け、各領域における加工方法の選択の自由度が小さいという問題がある。また、加工方法の選択が可能であっても、目的とする加工を行うためには、金型が複雑化するという問題がある。
【0015】
さらに、特許文献1〜4に開示されているように、母板全体を下方に押圧する金型の場合、通常、母板を載置するための下型ストリッパーと、下型ストリッパーを支持するための下型ベース板との間に、押圧された母板及び下型ストリッパーを元の位置に復元させるための弾性部材が挿入される。プレス時には、この弾性部材の付勢力に抗して下型ストリッパーを下方に押圧する。しかしながら、弾性部材を用いて付勢する部品の数が多くなるほど、これらの弾性部材の付勢力に抗して下型ストリッパーを押圧する必要があるので、荷重の大きな大型のプレス機械が必要となる。また、金型には相対的に大きな荷重が繰り返しかかるので、弾性部材が早期に劣化し、交換作業の頻度が増大するという問題がある。
【0016】
本発明が解決しようとする課題は、加工工数を増大させることなく、製品板のシェービングを行うことが可能なシェービング用工具、これを用いた母板加工用金型、加工板の製造方法、及び、製品板の製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、シェービング加工が可能であり、かつ、小型のプレス機械を用いた場合であっても、母板の搬送方向に沿って複数の加工を施すことが容易な母板加工用金型、このような母板加工用金型を用いた加工板の製造方法、及び、製品板の製造方法を提供することにある。
さらに、本発明が解決しようとする他の課題は、シェービング加工が可能であり、かつ、金型に備えられる各部品を元の位置に復元させるための弾性部材の交換頻度の少ない母板加工用金型、このような母板加工用金型を用いた加工板の製造方法、及び、製品板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために本発明に係るシェービング用工具は、母板と接触する面の少なくとも一部に、前記母板の切断面をシェービングすることが可能な段差を備え、前記段差の部分から分割可能になっていることを要旨とする。
本発明に係る第1の母板加工用金型は、本発明に係るシェービング用工具を用いたことを要旨とする。
本発明に係る第1の加工板の製造方法は、本発明に係る第1の母板加工用金型のを用いて、製品板が枠部で支持された加工板を製造することを要旨とする。
さらに、本発明に係る第1の製品板の製造方法は、本発明に係る第1の加工板の製造方法により得られる加工板に備えられる枠部を破断させ、製品板を分離することを要旨とする。
【0018】
本発明に係る第2の母板加工用金型は、
母板の搬送方向に対して下流側に配置され、前記母板から加工板を切り出すための第1領域と、
前記母板の搬送方向に対して上流側に配置され、少なくとも前記加工板1個分に相当する面積を有し、かつ前記母板に加工を施すための第2領域と、
前記第1領域と前記第2領域の間に設けられた、前記母板の搬送方向に対して交差する方向に前記母板を切断する母板切断手段とを備え、
前記母板切断手段は、
上型の下面を
(イ)前記上型の前記第1領域上に固定された雌型と、
(ロ)前記雌型の上流側の側面に沿って上下動可能であり、かつ下方向に付勢された母板切断用上型ストリッパーと
に分割し、
下型の前記第2領域上には、その下流側の側面が前記雌型の上流側の側面に沿って摺動するように配置され、前記母板の搬送方向に対して垂直方向の前記母板の長さより広い横幅を有する母板切断用パンチを固定し、
前記第1領域及び前記第2領域において、それぞれ前記母板に加工を施すと同時に、前記雌型の上流側の側面及び前記母板切断用パンチの下流側の側面を用いて、前記母板の搬送方向に対して交差する方向に沿って前記母板をせん断するものであり、
前記第1領域及び/又は前記第2領域には、本発明に係るシェービング工具が設けられている
ことを要旨とする。
【0019】
本発明に係る第2の加工板の製造方法は、
本発明に係る第2の母板加工用金型を用いて、前記第2領域において、母板に対し1回目のプレスを行う第1プレス工程と、
直前のプレスにおいて前記第2領域でプレスされた領域が前記第1領域上に来るように前記母板を搬送し、前記第2領域において前記母板の新たなプレスを行うと同時に、前記第1領域において、前記母板から製品板が枠部で支持された加工板を切り出す第2プレス工程と、
前記第2プレス工程と同時に、前記母板切断手段を用いて、前記母板の搬送方向に対して交差する方向に沿って前記母板をせん断する母板切断工程と
を備えていることを要旨とする。
さらに、本発明に係る第2の製品板の製造方法は、本発明に係る第2の加工板の製造方法により得られる加工板に備えられる枠部を破断させ、製品板を分離させることを要旨とする。
【発明の効果】
【0020】
母板と接触する面の少なくとも一部に、母板の切断面をシェービングすることが可能な段差を備えたシェービング用工具を備えた母板加工用金型用いて母板を加工すると、プレス加工と同時に、切断面をシェービング加工することができる。しかも、シェービング加工を別途行う必要がないので、製造コストを低減することができる。
また、上型の下面を第1領域上の雌型と第2領域上の母板切断用上型ストリッパーに分割すると、母板は、プレスと同時に第1領域と第2領域の間で切断される。この時、第2領域側にある母板は下方に移動せず、第1領域側にある母板のみが下方に移動するので、第1領域及び第2領域において、それぞれ、別個の動作をさせるのが容易化する。そのため、母板全体を下方に移動させる従来の金型に比べて、第1領域及び第2領域での加工方法の選択の自由度が増大する。しかも、金型を複雑化・大型化させることなく、第1領域及び第2領域において容易に異なる加工を行うことができる。
また、上型を雌型と母板切断用上型ストリッパーに分割したことにより、加工の種類によっては使用する弾性部材の使用量を大幅に削減することができる。そのため、小型のプレス機械を用いた場合であっても、容易に加工を行うことができる。また、弾性部材には相対的に小さな力しかかからないので、弾性部材の交換頻度も減少する。
さらに、このような母板加工用金型に対して本発明に係るシェービング工具を適用すると、複雑な形状を有する製品板であっても、加工工数を増大させることなく、容易にシェービング加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、プリント配線母板から、プリント回路板が枠部で支持された実装用基板を製造する際に用いられるシェービング用工具、このような実装用基板を製造するための母板加工用金型、実装用基板の製造方法、及びプリント回路板の製造方法について説明するが、本発明は、プリント配線母板以外の「母板」、実装用基板以外の「加工板」、及びプリント回路板以外の「製品板」に対しても適用することができる。
【0022】
初めに、本発明に係るシェービング用工具について説明する。
本発明に係るシェービング工具は、プリント配線母板と接する面の少なくとも一部に、母板の切断面をシェービングすることが可能な段差を備え、段差の部分から分割可能になっていることを特徴とする。
【0023】
図1(a)に、母板に打ち抜き孔を形成するためのピンとして用いられるシェービング工具(以下、「シェービングピン」という)の断面図(左図)及びその底面図(右図)を示す。なお、図1(a)においては、見やすくするために、各部の形状を実際の寸法より拡大又は縮小して描いてある。
図1(a)において、シェービングピン100は、S字型の上部ピン102とL字型の下部ピン104からなる。シェービングピン100は、下部ピン104の先端面に、L字に折れ曲がった上部ピン102の先端を重ね合わせることによって、一体化されている。シェービングピン100は、長手方向断面が矩形状を呈しており、矩形断面の一方の長辺に、シェービングすることが可能な段差が設けられている。段差は、上部ピン102の先端の右側面と、下部ピン104の先端面によって構成されている。また、シェービングピン100は、段差の部分から分割可能になっている。
【0024】
上部ピン102の右側面と下部ピン104の右側面の間の距離(段差の幅)gは、シェービング可能な幅であれば良い。
ここで、「シェービング可能な幅」とは、上部ピン102の右側面と下部ピン104の右側面によってプリント配線母板を異なる位置で切断することがなく、かつ、上部ピン102の右側面により形成された荒れた切断面を下部ピン104の右側面で平滑にすることができる程度の幅をいう。一般に、段差の幅が狭すぎると、十分なシェービング効果が得られない。一方、段差の幅が大きくなりすぎると、下部ピン104の右側面によって新たな切断面が形成され、シェービング加工とはならない。最適な段差の幅は、プリント配線母板の材質、プリント回路板の形状等により異なるが、十数μm〜百数十μm程度である。
【0025】
上部ピン102の先端面と下部ピン104の先端面の間の距離(段差の高さ)Lは、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、段差の高さLが小さすぎると、上部ピン102の強度が低下する。一方、段差の高さLが大きくても、プレス時のストロークを大きくすればシェービング加工は可能であるので、特に問題はないが、段差の高さLを必要以上に大きくとっても実益がない。最適な段差の高さLは、プリント配線母板の材質、プリント回路板の形状等により異なるが、プリント配線母板の厚さの1〜2倍程度である。
【0026】
シェービングピン100を金型に固定する方法は、特に限定されるものではなく、シェービングピン100が用いられる金型に応じて、最適な固定方法を用いれば良い。例えば、図1(a)の右図に示すように、ホルダ106に形成された貫通孔にシェービングピン100を挿入し、ホルダ106の上にさらにホルダ108を重ねることにより、シェービングピン100の基端を固定しても良い。この場合、上部ピン102と下部ピン104は、物理的に重ね合わせるだけでも良く、あるいは、上部ピン102と下部ピン104とを適当な着脱自在な固定手段(例えば、ねじ止めなど)で固定しても良い。
【0027】
図1(b)に、母板から所定の形状を有する板材を打ち抜くための雌型として用いられるシェービング工具(以下、「シェービングダイス」という)の断面図を示す。なお、図1(b)においては、見やすくするために、各部の形状を実際の寸法より拡大又は縮小して描いてある。
図1(b)において、シェービングダイス110は、階段状の内周面を持つ上部ダイス112と、L字型断面を有する下部ダイス114からなる。シェービングダイス110は、上部ダイス112の内周面に形成された階段状の凹部に下部ダイス114を挿入し、下部ダイス114の先端面に、L字に折れ曲がった上部ダイス112の先端を重ね合わせることによって、一体化されている。シェービングダイス110の先端の内周面には、シェービングすることが可能な段差が設けられている。段差は、上部ダイス112の先端の内周面と、下部ダイス114の先端面によって構成されている。また、シェービングダイス110は、段差の部分から分割可能になっている。
【0028】
なお、段差の幅g及び段差の高さLの詳細については、図1(a)に示すシェービングピン100と同様であるので、説明を省略する。
また、シェービングダイス110の固定方法は、特に限定されるものではなく、シェービングダイス110が用いられる金型に応じて、最適な固定方法を用いればよい。例えば、図1(b)に示すように、シェービングダイス110にベース板116を重ね合わせることにより、シェービングダイス110を固定しても良い。この場合、上部ダイス112と下部ダイス104は、物理的に重ね合わせるだけでも良く、あるいは上部ダイス112と下部ダイス114とを適当な着脱自在な固定手段(例えば、ねじ止めなど)で固定しても良い。
【0029】
図1(c)に、母板から所定の形状を有する板材を打ち抜くためのパンチとして用いられるシェービング工具(以下、「シェービングパンチ」という)の断面図を示す。なお、図1(c)においては、見やすくするために、各部の形状を実際の寸法より拡大又は縮小して描いてある。
図1(c)において、シェービングパンチ120は、断面がT字型の上部パンチ122と、上部パンチ122を挿入可能な貫通孔を有する下部パンチ124からなる。シェービングパンチ120は、下部パンチ124の先端面に、T字型に張り出した上部パンチ122の先端を重ね合わせることによって、一体化されている。シェービングパンチ120の先端の外周面には、シェービングすることが可能な段差が設けられている。段差は、上部パンチ122の先端の側面と、下部パンチ124の先端面によって構成されている。また、シェービングパンチ120は、段差の部分から分割可能になっている。
【0030】
なお、段差の幅g及び段差の高さLの詳細については、図1(a)に示すシェービングピン100と同様であるので、説明を省略する。
また、シェービングパンチ120の固定方法は、特に限定されるものではなく、シェービングパンチ120が用いられる金型に応じて、最適な固定方法を用いればよい。例えば、図1(c)に示すように、シェービングパンチ120の先端が上向きとなるように使用する場合、上部パンチ122を下部パンチ124の貫通孔に単に挿入するだけでも良く、あるいは、上部パンチ122と下部パンチ124とを適当な着脱自在な固定手段(例えば、ねじ止めなど)で固定しても良い。
【0031】
次に、本発明に係るシェービング工具の使用方法について説明する。図2に、シェービングピンを用いたプリント配線母板の加工方法の工程図を示す。
シェービングピン100は、上型130に固定し、下型140には、シェービングピン100を誘導するための誘導穴140aを形成する。シェービングピン100の相手方となる誘導穴140aには、段差を設ける必要はない。この点は、シェービングダイス及びシェービングパンチも同様である。
図2(a)に示すように、下型140の上面にプリント配線母板1を載せる。次いで、上型130を下降させると、図2(b)に示すように、まず、上部ピン102がプリント配線母板1を打ち抜く。さらに上型130を下降させると、図2(c)に示すように、上部ピン102により形成された穴の1辺が下部ピン104によりシェービングされる。
なお、図2においては、シェービングピン100の段差の幅gを実際の寸法より拡大して描いてあるので、下部ピン104によりプリント配線母板1が新たに切断されているように見えるが、実際には、段差の幅gを最適化すれば、下部ピン104によりプリント配線母板1が新たに切断されることはなく、上部ピン102により切断された面が下部ピン104によりシェービングされる。
【0032】
図1(b)に示すシェービングダイス110も同様であり、これを金型に取り付けてプレス加工すれば、シェービングダイス110によってプリント配線母板から板材が打ち抜かれると同時に、シェービングダイス110の先端の内周面によって、打ち抜かれた板材の外周をシェービングすることができる。また、打ち抜かれた板材を元の穴にはめ込むと、板材のプッシュバックと同時に板材の外周のシェービング加工をすることができる。
また、図1(c)に示すシェービングパンチ120も同様であり、これを金型に取り付けてプレス加工すれば、シェービングパンチ120によってプリント配線母板から板材が打ち抜かれると同時に、シェービングパンチ120の先端の外周面によって、板材を打ち抜いた後にプリント配線母板に形成される打ち抜き穴の内周面をシェービングすることができる。
【0033】
次に、本発明に係る母板加工用金型について説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る母板加工用金型は、金型のいずれかの部分に本発明に係るシェービング工具を用いたことを特徴とする。プリント回路板が枠部で支持された実装用基板を製造するための各種金型に対して、これらのシェービングピン、シェービングダイス及び/又はシェービングパンチを用いると、プレス加工と同時に、実装用基板のいずれかの部分に対してシェービング加工を施すことができる。
【0034】
例えば、プリント回路板のプッシュバック用金型、実装用基板の外形切断用金型、不要部分を打ち抜き又はプッシュバックすることによってプリント回路板が枠部で支持された実装用基板を製造するための金型等の各種金型に対して、本発明に係るシェービングピンを適用すると、母板のプレス加工によりプリント回路板が枠部で支持された実装用基板を製造すると同時に、実装用基板のいずれかの部分に、内周面がシェービング加工された貫通穴を形成することができる。
また、例えば、プリント回路板をプッシュバック加工するための雌型として本発明に係るシェービングダイスを用いると、母板のプレス加工によりプリント回路板がプッシュバックされた実装用基板を製造すると同時に、プリント回路板の外周面をシェービング加工することができる。
また、例えば、不要部分を打ち抜き又はプッシュバックするためのパンチとして本発明に係るシェービングパンチを用いると、母板のプレス加工により不要部分が打ち抜かれ又はプッシュバックされた実装用基板を製造すると同時に、プリント回路板の外周面をシェービング加工することができる。
このようにして得られた実装用基板の枠部を破断させると、プリント回路板を容易に分離することができる。
【0035】
図1(a)〜図1(c)に示すシェービング工具を用いて加工を連続的に行うと、やがて先端面の角部と段差部分の角部が摩耗してRが付き、切断効率及びシェービング効率が低下する。この場合、シェービング工具が一体化されていると、段差部分の再研磨は容易ではない。これに対し、シェービング工具を段差の部分から分割可能とすると、角部が摩耗したときにシェービング工具を分解し、上部側の工具(上部ピン、上部ダイス、上部パンチ)の先端面と下部側の工具(下部ピン、下部ダイス、下部パンチ)の先端面をそれぞれ平面研磨するだけで、段差部分の角部を容易に再生することができる。
【0036】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る母板加工用金型について説明する。
図3及び図4に、本発明の第2の実施の形態に係る母板加工用金型10を示す。なお、図3及び図4においては、見やすくするために各部の寸法を適宜、実際の寸法より拡大・縮小して描いてある。図3及び図4において、母板加工用金型10は、下型20と、上型50とを備えている。
【0037】
母板加工用金型10は、プリント配線母板の搬送方向に対して下流側が第1領域12、上流側が第2領域14になっている。
第1領域12は、プリント配線母板から実装用基板を切り出すための領域である。本実施の形態において、第1領域12は、実装用基板を打ち抜くための打ち抜き手段を備えている。なお、図示は省略するが、第1領域12には、必要に応じて、プリント配線母板からプリント回路板を打ち抜き、打ち抜かれたプリント回路板を元の穴にはめ込むためのプッシュバック手段、実装用基板の打ち抜きに代えて実装用基板をプッシュバックするためのプッシュバック手段、プリント回路板や枠部に各種の貫通穴を形成する貫通穴形成手段等を設けることができる。
第2領域14は、少なくとも実装用基板1個分に相当する面積を有し、かつ母板に加工を施すための領域である。なお、図示は省略するが、第2領域14には、必要に応じて、プリント回路板のプッシュバックを行うためのプッシュバック手段、プリント回路板や枠部に各種の貫通穴を形成する貫通穴形成手段等を設けることができる。
プリント配線母板は、第2領域14から第1領域12に向かってステップ送りされながら、第2領域14及び第1領域12で順次プレスされる。
【0038】
下型20は、図3に示すように、下型ベース板22と、実装用基板打ち抜き用パンチ24と、下型ストリッパー28と、母板切断用パンチ38とを備えている。
【0039】
下型ベース板22の下流側の角部には、プレス時に上型50の位置決めに用いられる2つのガイドポスト30、30が立設されている。下型ストリッパー28は、ガイドポスト30、30…の周壁面に沿って上下動可能になっている。一方、下型ベース板22の上流側には、上型50に立設されるガイドポストを誘導するための2つのガイドポスト誘導穴30a、30aが設けられている。
【0040】
実装用基板打ち抜き用パンチ24は、下型20上に載置されたプリント配線母板から実装用基板を上方向に打ち抜くためのパンチ(雄型)であり、下型ベース板22の第1領域12のほぼ中央に固定されている。なお、図1において、実装用基板打ち抜き用パンチ24の外形は長方形であるが、その形状はこれに限定されるものではなく、少なくとも1辺が直線であり、少なくとも1つの辺がこれに直交していればよい。各辺には、部分的に応力緩和のためのスリット、半円状・長方形状の切り欠き等を形成するための凹凸があっても良い。
【0041】
実装用基板打ち抜き用パンチ24の上面には、プリント配線母板をプレス加工する際の位置決めに用いられる位置決めピン32a、32aが立設されている。なお、図1においては、実装用基板打ち抜き用パンチ24の対角に、2個の位置決めピン32a、32aが設けられているが、これは単なる例示であり、位置決めピン32a、32aの位置及び個数は、目的に応じて任意に選択することができる。
【0042】
下型ストリッパー28は、加工時にプリント配線母板を載置するためのものであり、実装用基板打ち抜き用パンチ24及び母板切断用パンチ38の周壁面に沿って上下動可能となるように下型20に支持され、かつ上方向に付勢されている。下型ストリッパー28の下面には、下型ベース板22の下面から遊挿される支持ボルト34、34…が固定されている。支持ボルト34、34…は、下型ベース板22内を上下動可能になっている。また、下型ストリッパー28の下面と下型ベース板22の上面との間には、弾性部材36、36…が挿入されている。すなわち、下型ストリッパー28は、支持ボルト34、34…により上方向への移動が規制され、かつ弾性部材36、36…により上方向に付勢されている。
支持ボルト34、34…及び弾性部材36、36…の個数及び配置は、特に限定されるものではなく、プリント配線母板の加工が円滑に行われるように、適宜最適な個数及び配置を選択する。また、弾性部材36、36…の材質は特に限定されるものではないが、ウレタンゴム等が好適である。
【0043】
さらに、下型ストリッパー28には、実装用基板打ち抜き用パンチ24の左辺の上端及び下端、並びに、右辺の上端及び下端に、シェービングピン誘導穴28a、28a…が設けられている。シェービングピン誘導穴28a、28a…は、下型ベース板22を貫通しており、後述するシェービングピンで打ち抜かれた抜きカスを下型ベース板22の下方に落下させるようになっている。
【0044】
母板切断用パンチ38は、第2領域14上にある下型ベース板22に固定されている。母板切断用パンチ38は、第1領域12上にある実装用基板となる領域(実装用基板打ち抜き用パンチ24の外周で囲まれる領域)と、第2領域14上にある実装用基板となる領域(図3中、点線で表示する領域)との間において、プリント配線母板の搬送方向に対して交差する方向にプリント配線母板を切断するためのもの(母板切断手段)である。そのため、母板切断用パンチ38の横幅は、プリント配線母板の横幅より広くなっている。本実施の形態において、母板切断用パンチ38は、第2領域14上にある実装用基板となる領域の下流側の辺上に沿って、プリント配線母板の搬送方向に対して垂直方向にプリント配線母板が切断されるように、その形状が定められている。
【0045】
また、本実施の形態において、母板切断用パンチ38は、母板切断手段であると同時に、実装用基板の外周の一部分を切断するための手段でもある。そのため、母板切断用パンチ38には、第2領域14上にある実装用基板となる領域の上流側の辺を切断するためのピン誘導穴38a、及び、左右の辺の一部を切断するためのピン誘導穴38b、38bが設けられている。ピン誘導穴38b、38bは、それぞれ、第1領域12に設けられたシェービングピン誘導穴28a、28aの間を切断するようになっている。ピン誘導穴38a、38b、38bは、いずれも、下型ベース板22を貫通しており、打ち抜いたきりカスを下方に排出するようになっている。
さらに、母板切断用パンチ38の上面には、位置決めピン32a、32aに対応する位置に、位置決めピン32b、32bが設けられている。
その他、図示はしないが、母板切断用パンチ38には、必要に応じて、貫通穴を形成するためのピンを誘導するための貫通穴形成孔、プリント回路板のプッシュバックを行うためのプッシュバック手段等を設けることができる。
【0046】
なお、実装用基板となる領域の下流側の辺をシェービングするためには、図3に示すように、母板切断用パンチ38の下流側の辺と、第2領域14上の実装用基板となる領域の下流側の辺を一致させる必要があるが、下流側の辺をシェービングする必要がない場合には、母板切断用パンチ38の下流側の辺は、枠部打ち抜き用パンチ24の上流側の辺と第2領域14上の実装用基板となる領域の下流側の辺の間にあっても良い。
【0047】
上型50は、トッププレート52と、押圧板ホルダー54と、ピンホルダー56と、パンチプレート58と、雌型60と、母板切断用上型ストリッパー70とを備えている。すなわち、本発明において、上型50の下面は、雌型60と、母板切断用上型ストリッパー70に分割されている。トッププレート52、押圧板ホルダー54、ピンホルダー56、パンチプレート58、及び雌型60は、ノックピン52a、52a…を介して積層され、締結ボルト52b、52b…により固定されいてる。
雌型60は、実装用基板を打ち抜くためのものであり、上型50の第1領域12上に固定されている。雌型60は、その上流側の側面が母板切断用上型ストリッパー70の下流側の側面に沿って摺動するように、第1領域12上に配置されている。また、雌型60の横幅は、プリント配線母板の幅より広くなっている。さらに、雌型60には、ガイドポスト30、30…に対応する位置に、ガイドポスト誘導穴60a、60a…が形成されている。
【0048】
また、雌型60のほぼ中央であって、実装用基板打ち抜き用パンチ24に対応する位置にはスライドスペースが設けられ、スライドスペース内にはプリント配線母板から実装用基板を打ち抜くための上型ストリッパー62が遊挿されている。
上型ストリッパー62は、パンチプレート58の上方から遊挿される支持ボルト62a、62a…により支持され、かつ下方向への移動が規制されている。支持ボルト62a、62a…の上端は、ピンホルダー56内に形成された貫通孔に沿って上下動できるようになっている。上型ストリッパー62は、無負荷状態においてその下端が雌型60の下面から僅かに突き出すように、支持ボルト62a、62a…により支持されている。さらに、上型ストリッパー62には、位置決めピン32a、32aに対応する位置に、位置決めピン誘導穴62b、62bが設けられている。
【0049】
ピンホルダー56及びパンチプレート58を貫通する貫通穴には、押圧ピン66c、66c…が遊挿されている。押圧ピン66c、66c…の下端は、上型ストリッパー62の上面に接しており、押圧ピン66c、66c…の上端は、押圧板ホルダー54のスライドスペース内に設けられた押圧板66dの下面に接触している。
さらに、トッププレート52には、押圧板66dに対応する位置に貫通穴が設けられ、貫通穴には、ノックアウトブッシュ66e、66e…が挿入される。ノックアウトブッシュ66e、66e…は、無負荷状態においてその先端がトッププレート52の上面から僅かに突き出すように、その長さが定められている。
【0050】
上型ストリッパー62の左右辺には、シェービングピン誘導穴28a、28a…に対応する位置に、シェービングピン100、100…が設けられている。シェービングピン100、100…は、上型ストリッパー62と接する面にシェービング可能な段差が設けられている。また、シェービングピン100、100…は、ピンホルダー56により固定され、その先端は、雌型60の下面から突き出た状態になっている。
【0051】
母板切断用上型ストリッパー70は、雌型60の上流側の側面に沿って上下動可能になっている。母板切断用上型ストリッパー70と雌型60の境界線は、母板切断用パンチ38の下流側の辺上にある。母板切断用上型ストリッパー70は、支持ボルト70a、70a…により支持され、下方向への移動が規制されている。支持ボルト70a、70a…は、パンチプレート58の上方から遊挿されており、その上端は、ピンホルダー56内に形成された貫通孔内に沿って上下動できるようになっている。
【0052】
パンチプレート58には、母板切断用上型ストリッパー70の上方に貫通孔が設けられ、貫通孔の上部にはめ込まれたキャップボルト58cの下面と、母板切断用上型ストリッパー70の上面との間には、母板切断用上型ストリッパー70を下方に付勢するための弾性部材58dが挿入されている。弾性部材58dの個数や配置は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。弾性部材58dの材質は、特に限定されるものではないが、ウレタンゴム等が好適である。
【0053】
また、母板切断用上型ストリッパー70には、ピン誘導穴38a、及び、ピン誘導穴38b、38bに対応する位置に貫通孔が設けられ、貫通孔内には、それぞれ、実装用基板となる領域の上流側の辺を切断するための切断ピン68a、及び、実装用基板となる領域の左右の辺の一部を切断するための切断ピン68b、68bが遊挿されている。切断ピン68a、及び、切断ピン68b、68bは、パンチプレート58の上方から挿入され、ピンホルダー56により固定されている。そのため、母板切断用上型ストリッパー70が上方に移動するに伴い、母板切断用上型ストリッパー70の下面から切断ピン68a、及び、切断ピン68b、68bの先端が突き出すようになっている。
また、母板切断用上型ストリッパー70には、位置決めピン32b、32bに対応する位置に、位置決めピン誘導穴70b、70bが設けられている。
【0054】
さらに、パンチプレート58には、下型20に設けられたガイドポスト誘導穴30a、30aに対応する位置に、ガイドポスト74、74が立設される。母板切断用上型ストリッパー70は、ガイドポスト74、74の周壁面に沿って上下動可能になっている。ガイドポスト74、74は、下型20に立設しても良いが、上型50に設けると、母板切断用上型ストリッパー70が上下動する際に、横方向にずれるのを抑制できるという利点がある。
【0055】
なお、切断ピン68a、及び/又は、切断ピン68b、68bを上型50に立設することに代えて、下型20に立設すると同時に、母板切断用パンチ38の形状を最適化し、下型ストリッパー28が下方に移動するに伴い、その先端が下型ストリッパー28の上面から突き出るようにしても良い。しかしながら、この場合は、上型50の構造が複雑になるので、切断ピン68a、及び、切断ピン68b、68bは、上型50に立設するのが好ましい。
【0056】
次に、図3及び図4に示す母板加工用金型を用いた実装用基板の製造方法、及びプリント回路板の製造方法について説明する。図5及び図6に、搬送方向に対して垂直方向から見たプリント配線母板の加工工程の工程図を示す。
【0057】
まず、図5(a)に示すように、下型20の上にプリント配線母板1を載せる。プリント配線母板1には、予めプッシュバック基準穴が設けられており、位置決めは、このプッシュバック基準穴を位置決めピン32a、32a、及び位置決めピン32b、32bに挿入することにより行う。
なお、図5(a)に例示するプリント配線母板1は、直前のプレスにおいて、第2領域14で切断ピン68a及び切断ピン68b、68bによる切断が行われたものである。第2領域14でプレスを行った後、プリント配線母板1を右方向に搬送し、第2領域14でプレスが行われた部分を第1領域12上に載せる。
【0058】
また、プリント配線母板1は、予め他の金型を用いてプリント回路板のプッシュバック、不要部分の打ち抜き又はプッシュバック、プリント回路板の外周に沿った不連続な長穴の形成等が行われ、プリント回路板が仮止めされているものでも良く、あるいは、プリント回路板の仮止めが行われる前のものでも良い。プリント回路板の仮止めが行われていないプリント配線母板1を用いる場合には、第1領域12又は第2領域14のいずれかに、プリント回路板のプッシュバックを行うためのプッシュバック手段、プリント回路板を構成しない不要部分の打ち抜き又はプッシュバックを行うための手段、プリント回路板の外周に沿って不連続な長穴を形成するための手段等、プリント回路板の仮止めを行うための各種の手段を設ける。この点については、後述する。
【0059】
この状態から上型50を下降させると、図5(b)に示すように、第1領域12では、上型ストリッパー62がプリント配線母板1に接触し、上方に移動する。これに伴い、シェービングピン100、100…の先端がプリント配線母板1を打ち抜く。上型ストリッパー62がさらに上方に移動すると、プリント配線母板1から実装用基板2が打ち抜かれると同時に、シェービングピン100、100…の段差によって、切断面がシェービングされる。さらに、上型ストリッパー62が上方に移動するに伴い、押圧ピン66c、66c…が押圧板66dを上方に押し上げる。その結果、ノックアウトブッシュ66e、66e…がトッププレート52の上面に突き出す。
一方、第2領域14では、母板切断用パンチ38が弾性部材58dの付勢力に抗して母板切断用上型ストリッパー70を上方に押し上げる。その結果、母板切断用上型ストリッパー70の先端から切断ピン68a及び切断ピン68b、68b…が突きだし、プリント配線母板1を打ち抜く。
【0060】
さらに、第2領域14では、母板切断用パンチ38によりプリント配線母板1の下方向への移動が制限されているので、上型50をさらに下降させると、母板切断用パンチ38の下流側の側面と雌型60の上流側の側面によって、プリント配線母板1が搬送方向に対して垂直方向にせん断される。
【0061】
プレス終了後、上型50を上昇させると、図6(a)に示すように、弾性部材36、36…が下型ストリッパー28を上方に押し上げる。また、これと同時に、弾性部材58dが母板切断用上型ストリッパー70を下方に押し下げる。一方、上型ストリッパー62には、下方向への付勢力が働かない。その結果、上型50が下型20から完全に離脱したときには、実装用基板2は、雌型60のスライドスペース内に保持された状態のままとなる。
【0062】
この後、上型50をさらに上昇させ、上型50が上死点近傍に近づくと、図示しない押圧手段がノックアウトブッシュ66e、66e…を下方に押圧する。その結果、押圧板66dが押圧ピン66cを介して上型ストリッパー62を下方に押し下げ、実装用基板2を上型50から払い落とす。
得られた実装用基板2は、自動実装工程に送られ、プリント回路板上に電子部品が自動実装される。自動実装終了後、枠部を破断させると、プリント回路板を分離することができる。
【0063】
図7に、母板加工用金型10の下型20及びプリント配線母板1の平面図を示す。図7(a)に示すように、プリント配線母板1に形成されたプッシュバック基準穴1a、1a…を位置決めピン32b、32bに挿入し、第2領域14において1回目のプレスを行う(第1プレス工程)と、切断ピン68aにより、実装用基板となる領域の上流側の辺が切断される。また、切断ピン68b、68bにより、実装用基板となる領域の左右の辺の一部が切断される。さらに、母板切断用パンチ38の下流側の辺に沿って、プリント配線母板1がせん断される。なお、図7(a)においては、1回目のプレスで切り取られるよう域をハッチングで示してある。
【0064】
次に、直前のプレスにおいて第2領域14で加工された部分が第1領域12上に来るように、プリント配線母板1を搬送し、下型20に載せる。プリント配線母板1の位置決めは、位置決めピン32a、32a及び位置決めピン32b、32bを用いて行う。この状態から2回目のプレスを行う(第2プレス工程)と、図7(b)に示すように、第2領域14では、切断ピン68a、切断ピン68b、68b、及び、母板切断用パンチ38により、プリント配線母板1が切断される。
【0065】
また、第1領域12上では、実装用基板打ち抜き用パンチ24により、実装用基板2が打ち抜かれる。この場合、上流側の辺は、実装用基板打ち抜き用パンチ24と切断ピン68aにより同一箇所が2度切りされた状態となるので、切断面はシェービングされた状態となる。同様に、下流側の辺は、実装用基板打ち抜き用パンチ24と母板切断用パンチ38により2度切りされ、左右辺のほぼ中央は、実装用基板打ち抜き用パンチ24と切断ピン68b、68bにより同一箇所が2度切りされた状態となるので、いずれも、切断面は、シェービングされた状態となる。
【0066】
一方、上型50に本発明に係るシェービングピン100、100…がない場合、実装用基板2の左右辺の上端及び下端は、実装用基板打ち抜き用パンチ24により、1回だけ切断された状態となり、シェービングをすることができにない。
これに対し、実装用基板2の左右辺の上端及び下端を切断するためのシェービングピン100、100…を上型50に設けると、シェービングピン100、100…により、1回のプレスで実質的に同一箇所を2度切りすることができる。そのため、実装用基板2が切り出された時点では、実装用基板2の全周がシェービングされた状態となる。
【0067】
本実施の形態に係る母板加工用金型10は、上型50の下面が雌型60と母板切断用上型ストリッパー70に分割されているので、第1領域12及び第2領域14において別個の動作を行わせるのが容易化する。また、これによって、第1領域12及び第2領域14において行える加工の選択の自由度が大きい。
【0068】
また、第2領域14において実装用基板となる領域の辺に沿って貫通穴を形成する場合において、貫通穴は、下方向に向かって打ち抜いた方が金型の構造が単純となる。この場合、母板切断用パンチがない金型において、上型50に貫通穴を形成するための切断ピンを立設し、下型ストリッパー28に切断ピン誘導穴を設け、下型ストリッパー28全体を弾性部材により上方向に付勢し、弾性部材で下型ストリッパー28を支持しながら、切断ピンで下方向に貫通穴を打ち抜くこともできる。
しかしながら、そのためには、貫通穴が形成されるまでの間、下型ストリッパー28の位置が動かない程度の強さを有する弾性部材を下型ストリッパー28と下型ベース板22の間に介挿させる必要がある。そのため、貫通穴を形成した後さらに加工を続けるためには、弾性部材の付勢力に抗して下型ストリッパー28を下方に押し下げる必要があるので、荷重の大きな大型のプレス機械が必要となる。また、弾性部材には大きな繰り返し荷重がかかるので、弾性部材の劣化が加速され、弾性部材の交換頻度が高くなる。
【0069】
これに対し、第2領域14の下型20に母板切断用パンチ38を固定し、母板切断用パンチ38に切断ピン誘導穴を形成すると、貫通穴を形成する際に下型ストリッパー28に下向きの力がかからない。そのため、下型ストリッパー28と下型ベース板22の間に介挿させる弾性部材の量を減らすことができる。また、その結果、貫通穴を形成した後さらに上型50を下降させる際に必要な荷重も小さくなる。そのため、小型のプレス機械を用いた場合であっても容易に加工を行うことができる。また、弾性部材にかかる荷重も相対的に小さいので、弾性部材の交換頻度も減少する。
【0070】
さらに、実装用基板の外周のシェービング加工は、例えば、第2領域14で実装用基板と同寸法の領域をプッシュバック加工し、第1領域12において、再度、実装用基板と同寸法の領域を打ち抜き加工することによっても行うことができる。
しかしながら、実装用基板2の形状や寸法、あるいは、第1領域12及び/又は第2領域14において行われる加工の種類によっては、実装用基板2を第1領域12及び第2領域14において、それぞれ打ち抜くのが困難となる場合がある。
これに対し、図5及び図6に示すように、母板切断用パンチ38、切断ピン68a、切断ピン68b、68b及び実装用基板打ち抜き用パンチ24の位置を最適化し、これらを用いて実装用基板の外周の一部をシェービングし、残った部分を本発明に係るシェービングピンを用いてシェービングすれば、第1領域12及び第2領域14において、それぞれ、異なる加工をしながら、実装用基板2の全周をシェービング加工することができる。
【0071】
その他、母板加工用金型10の第1領域12及び/又は第2領域14で行うことが可能な加工方法としては、以下のようなものがある。
例えば、不要部分が打ち抜かれ、プリント回路板の両端が枠部で支持された実装用基板を製造する場合、図3及び図4に示す構成に加えて、第2領域14の上型50に、母板切断用上型ストリッパー70が上方に移動するに伴い、その先端が母板切断用上型ストリッパー70の下面から突き出すように不要部分の打ち抜き用パンチを固定し、母板切断用パンチ38に打ち抜き用パンチを誘導するための誘導穴を設ければよい。これにより、実装用基板2の全周がシェービングされると同時に、不要部分を打ち抜くことができる。
また、この時、不要部分を打ち抜くための打ち抜き用パンチとして、本発明に係るシェービングパンチを用いると、不要部分の打ち抜きと同時に、プリント回路板の外周の一部をシェービングすることができる。あるいは、第2領域14に加えて、第1領域にも不要部分を打ち抜くためのパンチを設けると、シェービングパンチを用いなくても、第2領域14の打ち抜き手段及び第1領域12の打ち抜き手段を用いて同一箇所を2度打ち抜くことにより、不要部分が打ち抜かれた後の穴の内周をシェービングすることができる。
得られた実装用基板は、プリント回路板の外周の一部分が枠部に連結した状態になっているが、連結部に沿ってVカットを形成すれば、自動実装後にVカットに沿って枠部を破断させることにより、プリント回路板を容易に分離することができる。
【0072】
また、例えば、プリント回路板又は不要部分がプッシュバックされた実装用基板を製造する場合、図3及び図4に示す構成に加えて、第2領域14の上型50に、母板切断用上型ストリッパー70が上方に移動するに伴い、その先端が母板切断用上型ストリッパー70の下面から突き出すようにプリント回路板又は不要部分のプッシュバックを行うためのパンチを固定し、母板切断用パンチ38に弾性部材で上向きに付勢されたストリッパーを設ければよい。これにより、実装用基板の全周がシェービングされると同時に、不要部分又はプリント回路板をプッシュバックすることができる。
プリント回路板をプッシュバックする場合、母板切断用パンチ38として、プッシュバック用のパンチを誘導するための穴の内周面に段差が設けられた本発明に係るシェービングダイスを用いると、プリント回路板のプッシュバックと同時に、プリント回路板の全周をシェービングすることができる。
また、不要部分をプッシュバックする場合、上型50に取り付ける不要部分のプッシュバックを行うためのパンチとして、本発明に係るシェービングパンチを用いると、不要部分のプッシュバックと同時に、不要部分を打ち抜いた後に残る穴の内周面(すなわち、プリント回路板の外周面)をシェービングすることができる。
不要部分をプッシュバックする場合、プリント回路板の外周の一部分が枠部に連結した状態になっているが、連結部に沿ってVカットを形成すれば、自動実装後にVカットに沿って枠部を破断させることにより、プリント回路板を容易に分離することができる。また、プリント回路板をプッシュバックする場合であっても、プッシュバックラインに接するようにVカットを形成すると、プリント回路板の取り外しが容易化する。
【0073】
また、例えば、第1領域12において、プリント回路板とこれを支持するための枠部を同時にプッシュバックする場合、上型ストリッパー62を用いて、実装用基板の打ち抜き及びノックアウトを行う手段に代えて、
(1)上型ストリッパー62を弾性部材により下方向に付勢し、
(2)上型ストリッパー62の内部に、上型ストリッパー62が上方に移動するに伴い、その先端が上型ストリッパー62の下面から突き出すように、プリント回路板をプッシュバックするためのパンチを固定し、
(3)実装用基板打ち抜き用パンチ24の内部に、プリント回路板をプッシュバックするためのプッシュバック用ストリッパーを設け、プッシュバック用ストリッパーを弾性部材により上方向に付勢する、
という手段を付加すれば良い。
【0074】
これにより、第1領域12において、実装用基板2の全周がシェービングされると同時に、プリント回路板と枠部とを互いに逆方向にプッシュバックすることができる。
この場合、無負荷状態において、上型ストリッパー62の下面からその先端が突き出すように、リフトピンを設けても良い。リフトピンを設けると、プリント回路板及び枠部が互いに逆方向にプッシュバックされた実装用基板にリフトピンが突き刺さり、上型50の上昇と共にリフトピンの摩擦力により、実装用基板を上方に持ち上げることができる。
さらに、上型50が上死点に達したときに、リフトピンに沿って下方向に移動し、実装用基板を下方に払い落とすための払い落とし用ストリッパーを上型ストリッパー62に設けても良い。このような払い落とし用ストリッパーをさらに設けると、上型50が上死点に達したときに、リフトピンの摩擦力により持ち上げられた実装用基板を下方に払い落とすことができる。
【0075】
さらに、実装用基板打ち抜き用パンチ24として、プリント回路板をプッシュバックするためのスライドスペースの内周面に段差が設けられた本発明に係るシェービングダイスを用いると、プリント回路板のプッシュバックと同時に、プリント回路板の全周をシェービングすることができる。
【0076】
また、例えば、プリント回路板の外周に沿って、不連続な長穴を離散的に形成することによってプリント回路板が枠部に仮止めされた実装用基板を製造する場合、第1領域12及び/又は第2領域14に、不連続な長穴を離散的に形成するためのピンを立設すれば良い。これにより、実装用基板の全周がシェービングされると同時に、プリント回路板の外周に沿って、不連続な長穴を離散的に形成することができる。
この時、不連続な長穴を離散的に形成するためのピンとして、本発明に係るシェービングピンを用いると、実装用基板を切り出すと同時に、長穴の内周面をシェービング加工することができる。あるいは、第1領域12及び第2領域14において、同一の長穴を2度打ち抜くと、シェービングピンを用いなくても、長穴の内周面をシェービングすることができる。
得られた実装用基板は、不連続な長穴間の連結部によってプリント回路板と枠部が結合しているので、この連結部を破断させることにより、プリント回路板を分離することができる。
【0077】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係るシェービング用工具、母板加工用金型、加工板の製造方法、及び、製品板の製造方法は、プリント回路板が枠部で支持された実装用基板、あるいは、プリント回路板が離散的に形成された長穴の連結部で枠部に支持された実装用基板を製造する際に用いられるシェービング用工具、このような実装用基板を製造するための母板加工用金型、このような実装用基板の製造方法、及び、このような実装用基板から枠部を分離するプリント回路板の製造方法として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係るシェービング用工具(図1(a):シェービングピン、図1(b):シェービングダイス、図1(c):シェービングパンチ)の一例を示す図である。
【図2】図1(a)に示すシェービングピンの使用方法を説明する工程図である。
【図3】図3(a)、図3(b)、及び、図3(c)は、それぞれ、本発明の一実施の形態に係る母板加工用金型の下型の平面図、そのB−B’線断面図、及び、そのC−C’線断面図である。
【図4】図4(a)、図4(b)、及び、図4(c)は、それぞれ、本発明の一実施の形態に係る母板加工用金型の上型の平面図、そのB−B’線断面図、及び、そのC−C’線断面図である。
【図5】図3及び図4に示す母板加工用金型を用いた実装用基板の製造方法を示す工程図である。
【図6】図3及び図4に示す母板加工用金型を用いた実装用基板の製造方法を示す工程図であって、図5の続きである。
【図7】図3及び図4に示す母板加工用金型を用いた実装用基板の製造方法を示す工程図であって、プリント配線母板の法線方向から見た図である。
【符号の説明】
【0080】
10 母板加工用金型
12 第1領域
14 第2領域
20 下型
24 実装用基板打ち抜き用パンチ
28a シェービングピン誘導穴
38 母板切断用パンチ(母板切断手段)
50 上型
62 上型第1ストリッパー
63 シェービングピン
70 母板切断用上型ストリッパー(母板切断手段)
100 シェービングピン(シェービング工具)
102 上部ピン
104 下部ピン
110 シェービングダイス(シェービング工具)
112 上部ダイス
114 下部ダイス
120 シェービングパンチ(シェービング工具)
122 上部パンチ
124 下部パンチ
【出願人】 【識別番号】500055670
【氏名又は名称】太平電子工業有限会社
【出願日】 平成18年10月17日(2006.10.17)
【代理人】 【識別番号】100110227
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 文夫

【識別番号】100123537
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 かおる


【公開番号】 特開2008−100288(P2008−100288A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−282195(P2006−282195)