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【発明の名称】 弾性発泡体の穿孔装置
【発明者】 【氏名】富田 充彦

【要約】 【課題】弾性発泡体の圧縮動作時に弾性発泡体が圧縮方向と交差する方向に変位するのを防止して、挿通孔の真直度及び形成位置の加工精度を向上することができる弾性発泡体の穿孔装置を提供する。

【解決手段】発泡体Wを収容するケース本体21の支持板22の上面に横ズレ防止突条22aを形成し、弾性発泡体Wの上面を位置規制する蓋板28の下面に横ズレ防止突条28aを形成し、蓋板28によって発泡体Wを支持板22の上面との間に保持した状態で可動圧縮板34を圧縮(Z軸)方向に移動し発泡体Wを圧縮する。このとき、前記支持板22の横ズレ防止突条22a、蓋板28の横ズレ防止突条28aによって、発泡体Wが圧縮(Z軸)方向と直交する横(X軸)方向に変位しないので、発泡体Wの圧縮動作を適正に行うことができ、ドリル47により形成された弾性発泡体Wの挿通孔の真直度及び形成位置の加工精度を向上することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容ケースの収容室内に弾性発泡体を収容し、前記収容室内に圧縮部材を進入させて前記弾性発泡体を圧縮し、圧縮状態の弾性発泡体に穿孔工具を進入させて弾性発泡体に挿通孔を形成するようにした弾性発泡体の穿孔装置において、
前記収容ケースに対し弾性発泡体の圧縮工程の際に弾性発泡体が圧縮方向と交差する方向に変位するのを防止する変位防止手段を設けたことを特徴とする弾性発泡体の穿孔装置。
【請求項2】
請求項1において、前記収容ケースの収容室は扁平四角板状の弾性発泡体を収容可能に扁平四角筒状に形成され、前記収容ケースに設けられ、かつ弾性発泡体の圧縮力を受ける固定圧縮部材には、穿孔工具を挿通する複数の工具挿通孔が所定のピッチで直列に形成され、前記変位防止手段は、弾性発泡体の圧縮方向と同方向に配設されていることを特徴とする弾性発泡体の穿孔装置。
【請求項3】
請求項2において、前記収容ケースは、弾性発泡体の下面を支持する支持板に対し、該発泡体の左右両側縁を位置規制するための一対の位置規制部材を設けるとともに、弾性発泡体の圧縮時にその圧縮力を受ける固定圧縮部材を設けたケース本体と、前記両位置規制部材及び固定圧縮部材の上面に対し離間可能に接触されて前記ケース本体との間に弾性発泡体の収容室を形成する蓋板とにより構成され、前記支持板の上面及び蓋板の下面に前記変位防止手段が設けられていることを特徴とする弾性発泡体の穿孔装置。
【請求項4】
請求項3において、前記変位防止手段は、前記支持板の上面及び蓋板の下面に対し弾性発泡体の圧縮方向と同方向に形成された変位防止突条と、前記収容室に進入されて前記固定圧縮部材に向かって往復移動される可動圧縮部材の上下両面に形成され、かつ前記変位防止突条に沿って摺動される案内溝とにより構成されていることを特徴とする弾性発泡体の穿孔装置。
【請求項5】
請求項3〜4のいずれか一項において、前記ケース本体は、装置フレームに対しZ軸移動体及びX軸移動体を介して前後のZ軸方向及び左右のX軸方向に往復動可能に装着され、前記X軸移動体には、支持枠及びY軸移動体を介して前記蓋板が上下のY軸方向の往復動可能に装着され、前記装置フレームには、前記固定圧縮部材に形成された複数の工具挿通孔のうち一つの工具挿通孔と対応するように前記穿孔工具が所定位置において回転支持機構により回転可能に装着されていることを特徴とする弾性発泡体の穿孔装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性発泡体に対しシャフトを貫通するための挿通孔を形成するようにした弾性発泡体の穿孔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、複写機の給紙ローラやトナー供給ローラとして、図15に示すようにウレタンフォーム、ゴムスポンジ等の弾性発泡体Wよりなる角柱状のローラ素材にシャフトSの挿通孔Whを形成し、この挿通孔WhにシャフトSを貫通して接着し、前記ローラ素材の外周面を図16に示すように円柱状に機械加工したものが用いられる。図15に示す角柱状の弾性発泡体Wに挿通孔Whを開ける装置として、従来、特許文献1に開示されたものが提案されている。
【0003】
特許文献1に開示された弾性体に対する穿孔装置は、作業板の上面に四角筒状の押圧部材を立設固定し、筒状枠体の内部に角柱状の弾性体を収容して、前記押圧部材の上方から前記筒状枠体を該押圧部材に嵌合し、該筒状枠体をピストンロッドに連結した押圧板により下方に押圧することにより弾性体を圧縮する。そして、前記押圧板及び筒状枠体の蓋板の中心部に形成した通孔から穿孔工具を回転させながら圧縮された弾性体に進入させて該弾性体に穿孔するようになっている。そして、弾性体の圧縮状態を解除することにより、図15に示すように挿通孔Whが形成された角柱状のローラ素材が得られるようになっていた。
【0004】
特許文献1に開示された弾性体の穿孔装置は、弾性体の穿孔作業を一本毎に行う必要があるので、作業能率が低いという問題があった。この問題を解消するため、従来、以下のような穿孔方法が用いられていた。すなわち、角柱状の弾性発泡体Wを多数個取りできる図17に示すような扁平板状の弾性発泡体Wを、図18に示す収容ケース51の扁平四角筒状の収容室51aに収容する。そして、可動圧縮板34をX矢印方向に離隔した左右一対の位置規制部材23の間をZ矢印方向に前進(図18の二点鎖線参照)させて、固定圧縮部材24と可動圧縮板34との間で弾性発泡体Wを圧縮する。次に、収容ケース51の固定圧縮部材24に形成した多数の工具挿通孔24aのうち端部の一つの工具挿通孔24aからドリル47を圧縮状態の弾性発泡体Wに進入させて挿通孔を形成する。そして、一回目の挿通孔の形成作業が終了した後、収容ケース51をX矢印方向に順次移動して、二つ目以降の挿通孔を順次形成し、図19に示すように弾性発泡体Wに多数の挿通孔Whを形成する。その後、扁平状の弾性発泡体Wを各挿通孔Whの間において裁断機により裁断して、図15に示すような角柱状のローラ素材とする。
【特許文献1】特開2001−18197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の穿孔装置は、図18に示す前記可動圧縮板34によって弾性発泡体Wを圧縮する工程で、弾性発泡体Wの左右両側部が圧縮(Z矢印)方向と直交する左右(X矢印)方向に弾性変形されて変位されるので、次のような予測が困難な問題が生じることが判明した。即ち、可動圧縮板34が図18の二点鎖線で示す圧縮位置に移動され、弾性発泡体Wが圧縮された状態で、該弾性発泡体Wの両側端面S1,S2はZ矢印方向の中央部で前記位置規制部材23からX矢印方向に最も離隔し、全体として平面視で二点鎖線で示すように円弧状に変位される。この状態で弾性発泡体Wに挿通孔Whが穿孔されるため、弾性発泡体Wが圧縮された状態では挿通孔Whの中心線は直線状でありその真直度が適正となっている。しかし、弾性発泡体Wの圧縮状態が図19に示すように解除された自然状態では、弾性発泡体Wの左右(X矢印)方向の中間部では挿通孔Whの真直度が保たれるが、左右両側部では挿通孔Whの真直度が低下し、挿通孔WhのZ矢印方向の中央部がX矢印方向の外方に変位し、平面視で円弧状に湾曲する。図19に示す弾性発泡体Wの左右両側部のうち右側部を裁断して得られた図20(a)に示す角柱状のローラ素材の挿通孔Whに対し図20(b)に示すように真直なシャフトSを貫通すると、該シャフトSによって挿通孔Whが強制的に真直にされるため、ローラ素材の外周面の前記シャフトSの中心からの半径方向の距離が変化する。このため、ローラ素材を円柱状に機械加工すると、材料が不足する部分が表れてローラの外周面が適正な円柱状にならず、不良品となる。
【0006】
又、図18に示す圧縮工程において、扁平状の弾性発泡体Wの側端面S1,S2がX矢印方向に蛇行するように変位した場合には、図21に示すようにローラ素材の外周面が蛇行して前述した問題と同様の問題を生じることになる。
【0007】
上記の問題は、図15に示す角柱状のローラ素材を圧縮して挿通孔Whを形成する際にも程度の差はあるももの存在することが判った。すなわち、ローラ素材の外周面を適正な円柱状に機械加工することはできても、図20(b)又は図21に示す場合には、弾性発泡体Wの挿通孔Whに対しシャフトSを貫通する際に、弾性発泡体Wに余計な弾性変形を強いられる部位が生じ、この部位の気泡が小さくなって、弾性発泡体W全体として気泡径のバラツキが生じたり、弾性発泡体Wの内部応力も不均一になったりして、適正品質のローラを製造することができないという問題が判明した。
【0008】
本発明は、弾性発泡体の圧縮動作時に弾性発泡体が圧縮方向と交差する方向に変位するのを防止して、挿通孔の真直度及び形成位置の加工精度を向上することができる弾性発泡体の穿孔装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、収容ケースの収容室内に弾性発泡体を収容し、前記収容室内に圧縮部材を進入させて前記弾性発泡体を圧縮し、圧縮状態の弾性発泡体に穿孔工具を進入させて弾性発泡体に挿通孔を形成するようにした弾性発泡体の穿孔装置において、前記収容ケースに対し弾性発泡体の圧縮工程の際に弾性発泡体が圧縮方向と交差する方向に変位するのを防止する変位防止手段を設けたことを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記収容ケースの収容室は扁平四角板状の弾性発泡体を収容可能に扁平四角筒状に形成されている。前記収容ケースに設けられ、かつ弾性発泡体の圧縮力を受ける固定圧縮部材には、穿孔工具を挿通する複数の工具挿通孔が所定のピッチで直列に形成されている。さらに、例えば前記収容室の上下の対向面に突条として形成された前記変位防止手段は、弾性発泡体の圧縮方向と同方向に配設されていることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2において、前記収容ケースは、弾性発泡体の下面を支持する支持板に対し、該発泡体の左右両側縁を位置規制するための一対の位置規制部材を設けるとともに、弾性発泡体の圧縮時にその圧縮力を受ける固定圧縮部材を設けたケース本体を備えている。又、収容ケースは、前記両位置規制部材及び固定圧縮部材の上面に対し離間可能に接触されて前記ケース本体との間に弾性発泡体の収容室を形成する蓋板を備えている。前記支持板の上面及び蓋板の下面に例えば突条等の前記変位防止手段が設けられていることを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記変位防止手段は、前記支持板の上面及び蓋板の下面に対し弾性発泡体の圧縮方向と同方向に形成された変位防止突条と、前記収容室に進入されて前記固定圧縮部材に向かって往復移動される可動圧縮部材の上下両面に形成され、かつ前記変位防止突条に沿って摺動される案内溝とにより構成されていることを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3〜4のいずれか一項において、前記ケース本体は、装置フレームに対しZ軸移動体及びX軸移動体を介して前後のZ軸方向及び左右のX軸方向に往復動可能に装着されている。前記X軸移動体には、支持枠及びY軸移動体を介して前記蓋板が上下のY軸方向の往復動可能に装着されている。前記装置フレームには、前記固定圧縮部材に形成された複数の工具挿通孔のうち一つの工具挿通孔と対応するように前記穿孔工具が所定位置において回転支持機構により回転可能に装着されていることを要旨とする。
【0014】
(作用)
この発明は、変位防止手段により収容ケースに対し弾性発泡体のZ軸方向の圧縮工程の際に弾性発泡体が圧縮方向と交差する方向に変位するのが阻止される。このため、圧縮状態の弾性発泡体に形成された適正な真直度及び形成位置の挿通孔は、弾性発泡体が圧縮状態から非圧縮状態に復元されても圧縮方向と交差する方向に変位されることはなく、挿通孔の真直度及び形成位置の加工精度が向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、弾性発泡体の圧縮動作時に弾性発泡体がZ軸方向の圧縮方向と交差する方向に変位するのを防止して、挿通孔の真直度及び形成位置の加工精度を向上することができる。この結果、前記弾性発泡体の挿通孔にシャフトを貫通接着してローラを形成する製造工程において、不良品が発生したりローラの品質が低下したりするのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の穿孔装置を具体化した一実施形態を図1〜図11に従って説明する。なお、この実施形態は、図18に示す穿孔装置と同様の原理を用いている。
図2に示すように、装置フレーム11の上面には、一対のZ軸案内レール12が前後方向であるZ軸方向に、かつ互いに平行に敷設されている。両Z軸案内レール12には、Z軸移動体13が例えばエアシリンダ等のZ軸送り機構14によって、Z軸方向の往復動可能に装着されている。前記Z軸移動体13の上面には、一対のX軸案内レール16が、前記Z軸と直交する左右方向であるX軸方向に、かつ互いに平行に敷設されている。両X軸案内レール16には、X軸移動体17が例えばサーボモータとボールねじ送り機構とにより構成されたX軸送り機構18によって、X軸方向の往復動可能に装着されている。前記X軸移動体17の上面には、複数本(この実施形態では4本)の支持ロッド20によって、後述する蓋板28とともに収容ケース51を構成する扁平状のケース本体21が装着されている。
【0017】
上記ケース本体21は、図1に示すように、平面視、長方形状の支持板22と、この支持板22の左右両側縁にボルトによって固定され、かつ弾性発泡体Wの左右両端縁を位置規制する左右一対の位置規制部材23と、前記支持板22のZ軸方向の後端縁(図1の右端縁)にボルトによって固定された固定圧縮部材24とによって構成されている。前記固定圧縮部材24には穿孔工具としての後述する木工用ドリル47の挿通孔24aが複数(例えば20)箇所にX軸方向に等ピッチで形成されている。
【0018】
図2及び図3に示すように、前記X軸移動体17の上面には支持枠25が立設され、この支持枠25の上部には、案内部材26が取り付けられ、この案内部材26に形成された左右一対のガイド穴26aには、Y軸移動体としてのY軸移動ロッド27が上下方向であるY軸方向の往復動可能に挿入され、両Y軸移動ロッド27の下端部には蓋板28が水平に架橋連結されている。この蓋板28は、前記案内部材26に取り付けた昇降用エアシリンダ29のピストンロッドによってY軸方向の往復動可能に装着されている。
【0019】
図2,3において昇降用エアシリンダ29によって蓋板28が上方の退避位置から下方に移動されると、蓋板28の下面が前記ケース本体21の位置規制部材23及び固定圧縮部材24の上面に接触される。この状態は、図7及び図8に示されており、前記ケース本体21と蓋板28とにより、ウレタンフォーム、ゴムスポンジ等の弾性発泡体Wを非圧縮状態で収容するための収容室51aを有する収容ケース51が形成されるようにしている。
【0020】
図3に示すように、前記X軸移動体17の上面には、ブロック状の案内部材31が固着され、この案内部材31に形成された複数のガイド穴31aには、左右一対のZ軸移動ロッド32がZ軸方向の往復動可能に貫通支持され、両Z軸移動ロッド32の先端部には取付板33が連結されている。該取付板33の上端部には、可動圧縮部材としての可動圧縮板34がボルトによって水平に取り付けられている。前記取付板33は、前記X軸移動体17の上面に配置された圧縮用エアシリンダ35のピストンロッドによってZ軸(圧縮)方向に往復動されるようになっている。前記可動圧縮板34の先端部は、図3及び図5に示すように前記ケース本体21の前端(図3,5の左端)の両位置規制部材23の間の開放部に進入されている。前記可動圧縮板34には、前記固定圧縮部材24の各工具挿通孔24aと対応するように、複数の貫通孔34aが互いに平行に形成され、各貫通孔34aにはドリル47の先端部が進入可能になっている。
【0021】
図3及び図4に示すように、前記フレーム11の後端(図3の右端)部上面には、支持筒41が立設され、この支持筒41の外周面にはY軸移動筒42が位置調節機構43によって、Y軸方向の位置調節可能に装着されている。このY軸移動筒42には、ドリル47の回転支持機構が装着されている。Y軸移動筒42には、前後一対の軸受44を介して、回転軸45がZ軸方向と同方向に支持され、その先端部に連結された工具チャック46には、Z軸方向に指向するドリル47の基端部が連結されている。図4に示すように前記Y軸移動筒42の側壁には、モータ48が取り付けられ、ベルト伝動機構49を介して前記回転軸45が回転されるようになっている。
【0022】
次に、この発明の要部の構成について説明する。
図1に示すように、前記支持板22の左右両側の上面には、複数条(この実施形態では左右で各4条)の変位防止突条としての横ズレ防止突条22aが圧縮方向であるZ軸方向と同方向に、かつ互いに平行に形成されている。前記蓋板28には、前記支持板22の各横ズレ防止突条22aと上下方向に対応するように、変位防止突条としての複数条の横ズレ防止突条28aが一体に形成されている。前記可動圧縮板34の下面には、前記支持板22の各横ズレ防止突条22aに沿って案内移動される複数の下部案内溝34bが形成されている。同じく可動圧縮板34の上面には、前記蓋板28が位置規制部材23、固定圧縮部材24及び可動圧縮板34の上面に接触された状態で、前記蓋板28の横ズレ防止突条28aに沿って案内移動される複数の上部案内溝34cが形成されている。
【0023】
次に、前記のように構成した穿孔装置の動作について説明する。
最初に、図4に示すように、X軸移動体17をX軸方向の最左方に移動して、固定圧縮部材24の工具挿通孔24aのうち最右側の工具挿通孔24aをドリル47とZ軸方向に対応させる。次に、図5,6に示すように、蓋板28が上方の退避位置に保持されるとともに、圧縮用エアシリンダ35の後退によって可動圧縮板34が退避位置に保持された状態で、前記ケース本体21の内部に二点鎖線で示すように弾性発泡体Wを収容する。この状態では、弾性発泡体Wの下面が支持板22の上面に支持され、横ズレ防止突条22aが弾性発泡体Wの下面に食い込み、弾性発泡体Wの上面は位置規制部材23及び固定圧縮部材24の上面とほぼ同じ高さとなる。なお、弾性発泡体Wの厚さ寸法の変化に応じて、弾性発泡体Wの上面が位置規制部材23及び固定圧縮部材24の上面とほぼ同じ高さとなるように、位置規制部材23及び固定圧縮部材24は図示しないが上下方向の位置調節機構を備えている。
【0024】
次に、図5において、図2に示す昇降用エアシリンダ29を前進動作して、蓋板28を退避位置から図7及び図8に示すように下方の作動位置に移動させる。この状態では、図8に示すように弾性発泡体Wの上面が蓋板28の下面により位置規制されるとともに、弾性発泡体Wの上面に対し横ズレ防止突条28aが食い込む。この結果、両横ズレ防止突条22a,28aは弾性発泡体Wの上下両面に食い込んだ状態となる。
【0025】
次に、図7において、前記圧縮用エアシリンダ35を前進させて、可動圧縮板34をZ軸方向に前進させ、図9に示すように、弾性発泡体WをZ軸方向に圧縮する。次に、図2に示す前記Z軸送り機構14を作動させて、図3に示すZ軸移動体13、X軸移動体17、支持枠25及び収容ケース51等(以下、収容ケース51等という)をZ軸方向の前方(図3の右方)に移動する。そして、図4に示す固定圧縮部材24のX軸方向の最右端の工具挿通孔24aからドリル47を圧縮状態の発泡体Wに進入させて、図9及び図10に示すように発泡体Wに挿通孔Whを形成する。
【0026】
最初の挿通孔Whが形成された後、前記収容ケース51等をZ軸方向に後退させて、挿通孔Whからドリル47を離脱させ、前記可動圧縮板34の貫通孔34aから、図示しないエアジェットノズルを用いて、発泡体Wの挿通孔Wh内に清掃用のエアを供給し、挿通孔Wh内の清掃を行う。
【0027】
この最初の挿通孔Whの穿孔作業の後に、図4に示すX軸送り機構18を作動して、X軸移動体17を収容ケース51等とともに、X軸方向に工具挿通孔24aの配列ピッチの一ピッチ分だけ移動し、2番目の発泡体Wの挿通孔Whの穿孔作業を行う。以下、順次同様にして、3番目以降の挿通孔Whの形成作業を順次行い、全ての挿通孔Whの形成作業が終了した後、前記圧縮用エアシリンダ35を作動して、可動圧縮板34を圧縮位置から退避位置に移動するとともに、昇降用エアシリンダ29を後退して、蓋板28を作動位置から上方の退避位置に移動する。これによって圧縮されていた弾性発泡体Wがその弾性復元力により、元の形状に復元されて、図11に示すように、多数の挿通孔Whが平行に形成された弾性発泡体Wを得ることができる。図11に示す扁平状の弾性発泡体Wは、裁断機により多数の角柱状のローラ素材(図15参照)に裁断され、各ローラ素材の挿通孔Whにシャフトが貫通接着され、ローラ素材の外周面が円柱状に機械加工されて例えば複写機の給紙ローラやトナー供給ローラ(図16参照)として使用される。
【0028】
上記実施形態の穿孔装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、前記ケース本体21の支持板22の上面に横ズレ防止突条22aを圧縮(Z軸)方向と同方向に形成すると共に、蓋板28の下面に横ズレ防止突条28aを圧縮方向と同方向に形成し、発泡体Wの上下両面に横ズレ防止突条22a,28aを食い込ませ、可動圧縮板34によって発泡体Wを圧縮するようにした。このため、発泡体WがZ軸方向に圧縮される際に、発泡体WのX軸方向の両側部が圧縮方向と直交するX軸方向へ変位することが防止され、圧縮動作を本来の圧縮方向のみに適正に行い、弾性発泡体Wが非圧縮状態に復元されても挿通孔Whの真直度が変化したり、挿通孔Whの形成位置が圧縮方向と直交するX軸方向へ変位したりすることがなくなり、挿通孔Whの加工精度を向上することができる。従って、ローラを製造する工程で不良品が発生したり、弾性発泡体W内の気泡径や内部応力のバラツキが抑制されて高品質のローラを製造することができる。
【0029】
(2)上記実施形態では、支持板22及び蓋板28に対し、横ズレ防止突条22a,28aを形成するとともに、可動圧縮板34に案内溝34b,34cを形成するのみのため、部品点数を増加する必要がなく、製造及び組み付け作業を容易に行い、コストを低減することができる。
【0030】
(3)上記実施形態では、ケース本体21と蓋板28により収容ケース51を分離可能に形成したので、ケース本体21に弾性発泡体Wを容易にセットすることができる。
(3)上記実施形態では、ケース本体21の支持板22及び蓋板28の左右両側部のみに横ズレ防止突条22a及び横ズレ防止突条28aを形成したので、全域に形成するのと比較して、支持板22及び蓋板28に対する弾性発泡体Wの摺動抵抗が弱くなり、可動圧縮板34による弾性発泡体Wの圧縮工程において圧縮動力を低減することができる。
【0031】
(4)上記実施形態では、ケース本体21の固定圧縮部材24に多数の工具挿通孔24aを設け、各工具挿通孔24aにドリル47を順次挿入して、弾性発泡体Wに多数の挿通孔Whを形成するようにしたので、挿通孔Whの加工作業の能率を向上することができる。
【0032】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・図12に示すように、一体的に構成された収容ケース51の収容室51aに弾性発泡体Wを収容可能にするとともに、収容ケース51の下部保持板51b及び上部保持板51cに対し、横ズレ防止突条52aを取り付けた取付板52を位置切換用のエアシリンダ53により収容室51a内に出没させるようにしてもよい。
【0033】
・図13及び図14に示すように、前記蓋板28に対し、Z軸方向に案内溝28bを形成し、この案内溝28bに複数の移動体55を収容し、各移動体55に対し弾性発泡体Wに挿し込まれる変位防止手段としての変位防止ピン56を連結し、弾性発泡体Wの圧縮動作時に変位防止ピン56がZ軸方向に移動されるようにしてもよい。前記各移動体55は弾性発泡体Wが非圧縮状態に復元される工程で、図示しないコイルバネにより離隔されるようにしている。
【0034】
・図示しないが、前記ケース本体21の固定圧縮部材24を可動圧縮板34と同様に圧縮方向に移動可能に構成してもよい。この実施形態では、弾性発泡体Wの圧縮動作を迅速に行うことができる。
【0035】
・前記Z軸案内レール12、Z軸移動体13及びZ軸送り機構14を省略するとともに、ドリル47をZ軸方向に往復動させるようにしてもよい。
・前記支持板22及び蓋板28の全域に横ズレ防止突条22a,28aを形成してもよい。この場合には、弾性発泡体WのX軸方向の中央部における弾性発泡体WのZ軸方向と交差する方向への変位が防止され、この中央部の弾性発泡体Wから得られた角柱状のローラ素材からローラを製造する工程で弾性発泡体W内の気泡径や内部応力のバラツキが抑制されて高品質のローラを製造することができる。
【0036】
・前記ケース本体21に対し蓋板28を手動操作により脱着するように構成してもよい。
・単体の角柱状のローラ素材を圧縮して、穿孔する穿孔装置に具体化してもよい。この場合には、角柱状のローラ素材からローラを製造する工程で弾性発泡体W内の気泡径や内部応力のバラツキが抑制されて高品質のローラを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の穿孔装置に用いられるケース本体、蓋板及び可動圧縮板を示す分解斜視図。
【図2】穿孔装置のドリル及びその回転支持機構を省略した正面図。
【図3】穿孔装置の右側面図。
【図4】穿孔装置の案内部材、Y軸移動ロッド、昇降用エアシリンダ及び蓋板を省略した平面図。
【図5】弾性発泡体に対する穿孔動作を説明する縦断面図。
【図6】図5の横断面図。
【図7】弾性発泡体に対する穿孔動作を説明する縦断面図。
【図8】図7の横断面図。
【図9】弾性発泡体に対する穿孔動作を説明する縦断面図。
【図10】図9の横断面図。
【図11】挿通孔が形成された扁平状の弾性発泡体を示す斜視図。
【図12】この発明の別の実施形態を示す収容ケースの横断面図。
【図13】この発明の別の実施形態を示す収容ケースの部分縦断面図。
【図14】図13の1−1線断面図。
【図15】複写機に用いられるローラを製造する角柱状のローラ素材を示す斜視図。
【図16】複写機に用いられる円柱状のローラを示す斜視図。
【図17】扁平状の弾性発泡体を示す斜視図。
【図18】従来の弾性発泡体の穿孔装置を示す平断面図。
【図19】挿通孔が形成された扁平状の弾性発泡体を示す斜視図。
【図20】(a)はローラ素材単体の縦断面図,(b)はローラ素材にシャフトを貫通した縦断面図。
【図21】シャフトを貫通したローラ素材の縦断面図。
【符号の説明】
【0038】
W…弾性発泡体、Wh…挿通孔、11…装置フレーム、13…Z軸移動体、17…X軸移動体、21…ケース本体、22…支持板、23…位置規制部材、24…固定圧縮部材、24a…工具挿通孔、25…支持枠、28…蓋板、28b,34b,34c…案内溝、34…可動圧縮部材としての可動圧縮板、51…収容ケース、51a…収容室。
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【出願日】 平成18年9月26日(2006.9.26)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠


【公開番号】 特開2008−80419(P2008−80419A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−261131(P2006−261131)