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【発明の名称】 軟質樹脂発泡体の分離方法および分離装置
【発明者】 【氏名】間所 睦夫

【氏名】日下部 武則

【要約】 【課題】連結部で部分的に連結された複数の軟質樹脂発泡体を分離させる分離方法と、この分離方法を実施するための分離装置とを提供する。

【構成】連結部100で部分的に連結された複数の軟質樹脂発泡体U,Uを、前後縦列状態で移動させる。前後に隣接する軟質樹脂発泡体U,Uにおける後方側の軟質樹脂発泡体U(U2)を、下部供給ローラ22および上部供給ローラ24で挟持しながら、第1移動速度V1で移動させる。そして、先行する前方側の軟質樹脂発泡体U(U1)を、下部排出ローラ42および上部排出ローラ44で挟持しながら、第1移動速度V1より大きい第2移動速度V2で移動させる。前方側の軟質樹脂発泡体U(U1)と後方側の軟質樹脂発泡体U(U2)とは、速度差(V2−V1)により引き離されるため、連結部100が切断される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連結部で部分的に連結された複数の軟質樹脂発泡体を、前後縦列状態で移動させながら各軟質樹脂発泡体に分離させる軟質樹脂発泡体の分離方法であって、
前後に隣接する軟質樹脂発泡体における後方側の軟質樹脂発泡体を、挟持しながら第1移動速度で移動させ、
先行する前方側の軟質樹脂発泡体を、挟持しながら前記第1移動速度より大きい第2移動速度で移動させ、
前方側の軟質樹脂発泡体と後方側の軟質樹脂発泡体との速度差により、両軟質樹脂発泡体を引き離しながら前記連結部を切断する
ことを特徴とする軟質樹脂発泡体の分離方法。
【請求項2】
前記第2移動速度を、前記第1移動速度の3〜25倍の範囲内に設定して、前記軟質樹脂発泡体を移動させる請求項1記載の軟質樹脂発泡体の分離方法。
【請求項3】
前記軟質樹脂発泡体を挟持するに際し、該軟質樹脂発泡体を20〜90%の範囲内で圧縮するようにした請求項1または2記載の軟質樹脂発泡体の分離方法。
【請求項4】
連結部で部分的に連結された複数の軟質樹脂発泡体を、前後縦列状態で移動させながら各軟質樹脂発泡体に分離させる軟質樹脂発泡体の分離装置であって、
前記軟質樹脂発泡体を、第1移動速度で挟持しながら移動させる第1搬送部と、
前記第1搬送部の下流側に隣接して配設され、第1搬送部が後方側の軟質樹脂発泡体を挟持している状態で先行する前方側の軟質樹脂発泡体を挟持し、前方側の軟質樹脂発泡体を前記第1移動速度より大きな第2移動速度で挟持しながら移動させる第2搬送部とを備える
ことを特徴とする軟質樹脂発泡体の分離装置。
【請求項5】
前記第1搬送部および第2搬送部は、前記軟質樹脂発泡体を挟持した際の該軟質樹脂発泡体の圧縮率を調整し得る請求項4記載の軟質樹脂発泡体の分離装置。
【請求項6】
前記第1搬送部および第2搬送部は、前記軟質樹脂発泡体を挟持可能な一対のローラまたは回転ベルト機構と、これらローラまたは回転ベルト機構を回転駆動させる駆動手段とを備える請求項5記載の軟質樹脂発泡体の分離装置。
【請求項7】
前記軟質樹脂発泡体を前記第1搬送部へ搬送する第1搬送手段と、前記第2搬送部から送り出された前記軟質樹脂発泡体を搬送する第2搬送手段とを設けた請求項4〜6の何れか一項に記載の軟質樹脂発泡体の分離装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、軟質樹脂発泡体の分離方法および分離装置に関し、更に詳細には、連結部で部分的に連結された複数の軟質樹脂発泡体を、前後縦列状態で移動させながら各軟質樹脂発泡体に分離させる軟質樹脂発泡体の分離方法と、この分離方法を実施するための分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発泡原料を発泡させて形成された軟質ポリウレタンフォーム等の軟質樹脂発泡体からなる大型ブロック体(「原反」ともいう)を切断して、直方体のような小型ブロック状の軟質樹脂発泡体を得る方法として、例えば特許文献1または特許文献2に開示された装置を利用する方法が知られている。特許文献1に開示の装置は、「発泡樹脂裁断機」であって、大型ブロック体をバーチカルカッター(バンドソー)で切断することで、小型ブロック状の軟質樹脂発泡体を得ることができる。また特許文献2に開示の装置は、「発泡体の打抜き装置」であって、スキ加工機等により大型ブロックから規定厚みの平板状素材を予め切り出した後、この平板状素材を所要形状に形成したトムソン型で打抜くことで、該トムソン型の輪郭形状と同一形状をなす小型ブロック状の軟質樹脂発泡体を得ることができる。
【0003】
特許文献1に開示の「発泡樹脂裁断機」は、バーチカルカッターで大型ブロック体を切断するため、切り出される小型ブロック状の軟質樹脂発泡体の形状の精度を出すのが困難であることや、直線上にしか切断できないので形状の自由度が低い等の欠点を内在している。また、特許文献2に開示の「発泡体の打抜き装置」は、所要形状に形成したトムソン型(トムソン刃)で平板状素材を打抜くため、形状の精度を出すのが比較的簡単であることや、形状の自由度が高い等の特徴がある。
【特許文献1】特開平6−320483号公報
【特許文献2】特開平6−697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に開示の打抜き装置は、前述した特徴を有しているため、軟質樹脂発泡体の打抜き作業に広く実施に供されている。しかしながら、トムソン型の寿命が1000万〜2000万ショットとされており、トムソン型の寿命が近づくと該トムソン型の刃先に摩耗や刃欠けが発生し、打抜き加工時に切断不良が起こるおそれがある。特に、柔軟性があって伸び強度を有する軟質樹脂発泡体の平板状素材をトムソン型で打抜く場合は、該平板状素材を適宜圧縮した状態で切断が行なわれるため、図9(a)および図9(b)に示すように、隣接する軟質樹脂発泡体U,U間の骨格100の一部が切断されずに繋がったままの状態となり、所謂切断残りが発生することがある。このような切断残りが発生すると、軟質樹脂発泡体U,U同士が部分的に連結された状態で打抜き作業が終了することになるから、これら軟質樹脂発泡体U,Uを連結された状態で後工程へ搬送すると、搬送不良や梱包不良等が起こって設備停止による製造効率の低下を招来してしまう。従って、製造効率の低下を防止するため、打抜き加工後の後工程において、作業員が各軟質樹脂発泡体Uに対して目視による確認を行ない、切断残りが認められた場合は当該作業員が手作業より連結している骨格(以降、「連結部」という)100を分離させており、煩わしい作業が伴うと共に製造コストがアップする原因となっていた。
【0005】
また、トムソン型の刃型形状を変更して、打抜き作業時に切断残りを意図的に発現させ、複数の小型ブロック状の軟質樹脂発泡体Uを、連結部100で部分的に連結した状態で成形する場合もある。すなわち、複数の軟質樹脂発泡体Uを部分的に連結させた状態の単一素材とすることで、打抜き加工後の各軟質樹脂発泡体Uの取扱いの簡易化を図るためである。しかしながら、各軟質樹脂発泡体Uを製品として梱包する際には、部分的に連結された各軟質樹脂発泡体Uを個別に分離させる必要があるが、この分離作業は作業員の手作業に依存しており、煩わしい作業が伴うことや製造コストがアップすることは、前述の場合と同様である。
【0006】
本発明は、連結部で部分的に連結された複数の軟質樹脂発泡体を、前後縦列状態で移動させながら各軟質樹脂発泡体に分離させ得る軟質樹脂発泡体の分離方法と、この分離方法を実施するための分離装置とを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため、請求項1記載の発明は、連結部で部分的に連結された複数の軟質樹脂発泡体を、前後縦列状態で移動させながら各軟質樹脂発泡体に分離させる軟質樹脂発泡体の分離方法であって、
前後に隣接する軟質樹脂発泡体における後方側の軟質樹脂発泡体を、挟持しながら第1移動速度で移動させ、
先行する前方側の軟質樹脂発泡体を、挟持しながら前記第1移動速度より大きい第2移動速度で移動させ、
前方側の軟質樹脂発泡体と後方側の軟質樹脂発泡体との速度差により、両軟質樹脂発泡体を引き離しながら前記連結部を切断することを要旨とする。
【0008】
従って、請求項1に係る発明によれば、後方側の軟質樹脂発泡体より前方側の軟質樹脂発泡体を速く移動させるため、前方側の軟質樹脂発泡体が後方側の軟質樹脂発泡体から漸次引き離され、最終的には連結部を切断することで各軟質樹脂発泡体を分離させ得る。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第2移動速度を、前記第1移動速度の3〜25倍の範囲内に設定して、前記軟質樹脂発泡体を移動させることを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、軟質樹脂発泡体を部分的に連結していた連結部を確実に切断させて、各軟質樹脂発泡体を分離させ得る
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記軟質樹脂発泡体を挟持するに際し、該軟質樹脂発泡体を20〜90%の範囲内で圧縮するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、挟持した軟質樹脂発泡体との間で滑りが発生し難くなり、後方側の軟質樹脂発泡体を第1移動速度で移動させ得ると共に、前方側の軟質樹脂発泡体を第2移動速度で移動させ得る。
【0011】
請求項4に記載の発明は、連結部で部分的に連結された複数の軟質樹脂発泡体を、前後縦列状態で移動させながら各軟質樹脂発泡体に分離させる軟質樹脂発泡体の分離装置であって、
前記軟質樹脂発泡体を、第1移動速度で挟持しながら移動させる第1搬送部と、
前記第1搬送部の下流側に隣接して配設され、第1搬送部が後方側の軟質樹脂発泡体を挟持している状態で先行する前方側の軟質樹脂発泡体を挟持し、前方側の軟質樹脂発泡体を前記第1移動速度より大きな第2移動速度で挟持しながら移動させる第2搬送部とを備えることを要旨とする。
【0012】
従って、請求項4に係る発明によれば、第1移動速度で駆動する第1搬送部と、第1移動速度より大きい第2移動速度で駆動する第2搬送部とを備えるだけの簡単な構成により、連結部で部分的に連結された軟質樹脂発泡体を分離させることを可能とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の発明において、前記第1搬送部および第2搬送部は、前記軟質樹脂発泡体を挟持した際の該軟質樹脂発泡体の圧縮率を調整し得ることを要旨とする。
従って、請求項5に係る発明によれば、挟持する軟質樹脂発泡体との間での滑り発生を防止でき、該軟質樹脂発泡体を設定した規定の移動速度で適切に移動させ得る。また、物性(密度、硬さ等)が異なる軟質樹脂発泡体であっても分離作業を適切に行ない得る。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記第1搬送部および第2搬送部は、前記軟質樹脂発泡体を挟持可能な一対のローラまたは回転ベルト機構と、これらローラまたは回転ベルト機構を回転駆動させる駆動手段とを備えることを要旨とする。
従って、請求項6に係る発明によれば、第1搬送部および第2搬送部では、駆動手段によりローラの回転数または回転ベルトの搬送速度を調整することで、各軟質樹脂発泡体を設定した規定の搬送速度で移動させ得る。また、ローラ間のクリアランスまたは回転ベルト間のクリアランスを調整することで、軟質樹脂発泡体を所定の圧縮率で圧縮させ得る。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項4〜6の何れか一項に記載の発明において、前記軟質樹脂発泡体を前記第1搬送部へ搬送する第1搬送手段と、前記第2搬送部から送り出された前記軟質樹脂発泡体を搬送する第2搬送手段とを設けたことを要旨とする。
従って、請求項7に係る発明によれば、分離装置への分離前の軟質樹脂発泡体の供給作業を自動的に行ない得ると共に、該分離装置から送り出された分離後の各軟質樹脂発泡体の排出作業を自動的に行ない得る。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る軟質樹脂発泡体の分離方法によれば、部分的に連結された軟質樹脂発泡体を移動させながら自動的に分離させ得る。
また、別の発明に係る軟質樹脂発泡体の分離装置によれば、所要の速度差を以て駆動させる第1搬送部および第2搬送部とを備えることで、部分的に連結された軟質樹脂発泡体を移動させながら分離させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明に係る軟質樹脂発泡体の分離方法および分離装置につき、好適な実施例を挙げ、添付図面を参照しながら、以下に説明する。
【実施例】
【0018】
先ず、本実施例に係る軟質樹脂発泡体の分離方法を実施するための分離装置につき、図1〜図4を引用して説明する。図1は、本実施例に係る軟質樹脂発泡体の分離方法を実施する分離装置を示した正面図、図2は、図1に示した分離装置の平面図、図3は、分離装置の機能を示した説明図である。
【0019】
本実施例の分離装置Tは、例えば図4に示すように、打抜き装置Mの製品排出側に設置したパーツフィーダーFと梱包装置Pとの間に架設された搬送コンベア(搬送装置)Cの途中に配設されている。搬送コンベアCは、本実施例の分離装置Tの上流側(パーツフィーダーF側)に配設される第1搬送コンベア(第1搬送手段)C1と、該分離装置Tの下流側(梱包装置P側)に配設される第2搬送コンベア(第2搬送手段)C2とから構成されている。なお、図4中の符号Hは、打抜き装置Mで打抜き加工を実施して形成された各軟質樹脂発泡体Uを一時的に収容しておき、各軟質樹脂発泡体Uを所要のタイミングでパーツフィーダーFに向けて供給する供給ホパーである。
【0020】
本実施例の分離装置Tは、連結部100で部分的に連結された複数の軟質樹脂発泡体Uを前後縦列状態で通過移動させるようになっており、該軟質樹脂発泡体Uを通過させるに際して該連結部100を切断し、各軟質樹脂発泡体Uに分離するよう構成されている。すなわち分離装置Tは、各軟質樹脂発泡体Uを順次通過させる第1搬送部20と、軟質樹脂発泡体Uの移動方向を基準とした第1搬送部20の下流側において該第1搬送部20に隣接して配設され、各軟質樹脂発泡体Uを順次通過させる第2搬送部40とを有している。そして、第1搬送部20と第2搬送部40とは、図5に示すように、前後に隣接する軟質樹脂発泡体U(U1),U(U2)における後方側の軟質樹脂発泡体U(U2)を第1搬送部20が挟持している状態で、先行する前方側の軟質樹脂発泡体U(U1)を第2搬送部40が挟持し得る挟圧し得る間隔(位置関係)となっている。なお、前述した「前後縦列状態」とは、図5に示すように、連結部(骨格)100で部分的に連結した各軟質樹脂発泡体Uを、搬送コンベアCによる軟質樹脂発泡体Uの移動方向に沿って直線状に整列させた状態を意味する。
【0021】
図1および図2に示すように、搬送コンベアCにおける第1搬送コンベアC1の下流端および第2搬送コンベアC2の上流端の間には、本実施例の分離装置Tを構成する支持フレーム10が、搬送コンベアCのフレームに固定した状態で配設されている。この支持フレーム10は、搬送コンベアCのフレームに水平状態で固定される水平板部12と、搬送コンベアCの搬送ライン左側において水平板部12の端部から立設された第1垂直板部14と、該搬送コンベアCの搬送ライン右側において水平板部12の端部から立設された第2垂直板部16とを有し、上方に開放した略コ字形を呈している。
【0022】
第1搬送部20は、第1搬送コンベアC1の下流端に隣接した位置において前述した支持フレーム10に配設され、各軟質樹脂発泡体Uを上下から挟圧しながら移動させるようになっている。この第1搬送部20は、図1および図2に示すように、軟質樹脂発泡体Uの移動ラインを挟んで対向的に位置する一対の下部供給ローラ22および上部供給ローラ24と、これら下部供給ローラ22および上部供給ローラ24を回転駆動させる駆動手段としての第1駆動モータ26とを有している。下部供給ローラ22は、前述した支持フレーム10の第1垂直板部14および第2垂直板部16に設けた軸支持部18,18間において搬送ラインと交差する方向に架設された下部回転軸28に装着されている。また上部供給ローラ24は、前述した軸支持部18,18間において下部回転軸28と平行に架設された上部回転軸30に装着されている。
【0023】
第1駆動モータ26は、支持フレーム10における第1垂直板部14の外側に水平に固定されており、その駆動軸に第1ギア32が配設されている。この第1ギア32は、前述した下部回転軸28の一端に配設された第2ギア34と噛合しており、第1駆動モータ26の回転がこれら第1ギア32および第2ギア34を介して下部回転軸28へ伝達される。また、上部回転軸30の一端には、前述した第2ギア34に噛合する第3ギア36が配設されており、これら第2ギア34および第3ギア36を介して、下部回転軸28の回転が上部回転軸30へ伝達されるようになっている。なお、第2ギア34および第3ギア36は、同一外径および歯数を有しており、下部回転軸28と上部回転軸30とは逆方向へ同じ速度で同期的に回転するようになる。
【0024】
第2搬送部40は、第2搬送コンベアC2の上流端に隣接した位置において前述した支持フレーム10に配設され、各軟質樹脂発泡体Uを上下から挟圧しながら移動させるようになっている。この第2搬送部40は、図1および図2に示すように、前述した第1搬送部20と基本的に同一構成とされ、軟質樹脂発泡体Uの移動ラインを挟んで対向的に位置する一対の下部排出ローラ42および上部排出ローラ44と、これら下部排出ローラ42および上部排出ローラ44を回転駆動させる駆動手段としての第2駆動モータ46とを有している。下部排出ローラ42は、前述した支持フレーム10の第1垂直板部14および第2垂直板部16に設けた軸支持部18,18間において搬送ラインと交差する方向に架設された下部回転軸48に装着されている。また上部排出ローラ44は、前述した軸支持部18,18間において下部回転軸48と平行に架設された上部回転軸50に装着されている。
【0025】
第2駆動モータ46は、支持フレーム10における第1垂直板部14の外側へ水平に固定されており、その駆動軸に第1ギア52が配設されている。この第1ギア52は、前述した下部回転軸48の一端に配設された第2ギア54と噛合しており、第2駆動モータ46の回転がこれら第1ギア32および第2ギア34を介して下部回転軸48へ伝達される。また、上部回転軸50の一端には、前述した第2ギア54に噛合する第3ギア56が配設されており、これら第2ギア54および第3ギア56を介して、下部回転軸48の回転が上部回転軸50へ伝達されるようになっている。なお、第2ギア54および第3ギア56は、同一外径および歯数を有しており、下部回転軸48と上部回転軸50とは逆方向へ同じ速度で同期的に回転するようになる。
【0026】
従って第1搬送部20は、第1駆動モータ26を駆動制御して下部供給ローラ22および上部供給ローラ24の回転数を調整することで、軟質樹脂発泡体Uを第1移動速度V1で移動させ得る。また第2搬送部40は、第2駆動モータ46を駆動制御して下部排出ローラ42および上部排出ローラ44の回転数を調整することで、軟質樹脂発泡体Uを第2移動速度V2で移動させ得る。すなわち、第1駆動モータ26および第2駆動モータ46を個別にかつ同期的に制御することで、第1搬送部20の第1移動速度V1と第2搬送部40の第2移動速度V2と速度差を、自由に設定することが可能である。なお、本実施例の分離装置Tでは、第1移動速度V1に対する第2移動速度V2の速度比S(V2/V1)を少なくとも3〜25の範囲内で調整可能であり、常には第2移動速度V2を第1移動速度V1の3〜25倍の範囲内で設定するようになっている。
【0027】
そして、第1搬送部20の下部回転軸28と第2搬送部40の下部回転軸48との軸間距離(第1搬送部20の上部回転軸30と第2搬送部40の上部回転軸50との軸間距離)Gは、図3に示すように、分離対象である軟質樹脂発泡体Uの縦W1(移動方向における前後方向の寸法)と略同一となっている。このように、軸間距離Gと縦W1と略同一とした場合には、図5(c)に示すように、先行する前方側の軟質樹脂発泡体U(U1)が第1搬送部20から抜け出て第2搬送部40の下部排出ローラ42および上部排出ローラ44に挟持され始めると、これと略同タイミングで、次行の後方側の軟質樹脂発泡体U(U2)が第1搬送部20の下部供給ローラ22および上部供給ローラ24に挟持され始める。そして、図5(d)に示すと共に前述したように、後方側の軟質樹脂発泡体U(U2)が第1搬送部20で挟持されている状態で、先行する前方側の軟質樹脂発泡体U(U1)が第2搬送部40で挟持される。
【0028】
また、第1搬送部20の上部回転軸30および第2搬送部40の上部回転軸50は、支持フレーム10に対する軸支持部18,18の位置調整を行なうことで、水平状態で上下方向へ昇降移動可能に構成されている。このように各上部回転軸30,50を昇降移動可能に構成してあることにより、図3に示すように、上部供給ローラ24と下部供給ローラ22とのローラクリアランスL1と、上部排出ローラ44と下部排出ローラ42とのローラクリアランスL2とを、軟質樹脂発泡体Uの厚みW3より小さく設定することができる。すなわち第1搬送部20では、上部供給ローラ24の位置調整を行ない、該上部供給ローラ24と下部供給ローラ22とのローラクリアランスL1を、軟質樹脂発泡体Uの厚みW3より適宜小さく設定すれば、該軟質樹脂発泡体Uを厚み方向へ圧縮した状態で挟持しながら移動させ得る。一方、第2搬送部40では、上部排出ローラ44の位置調整を行ない、該上部排出ローラ44と下部排出ローラ42とのローラクリアランスL2を、軟質樹脂発泡体Uの厚みW3より適宜小さく設定すれば、該軟質樹脂発泡体Uを厚み方向へ圧縮した状態で挟持しながら移動させ得る。なお、本実施例の分離装置Tでは、第1搬送部20および第2搬送部40における該軟質樹脂発泡体Uの厚み方向への圧縮率B(L1/W3),(L2/W3)を、0〜95%の範囲内で設定し得るようになっている。
【0029】
なお、前述した第1搬送部20の下部供給ローラ22および上部供給ローラ24、第2搬送部40の下部排出ローラ42および上部排出ローラ44の夫々は、図2に示したように、回転軸の軸方向へ所要間隔毎に4個が直列配置して構成されている。但し、各ローラ22,24,42,44は、4個に分割した形態に限定されるものではなく、搬送コンベアCの回転ベルトの幅寸法と略同一の全長を有する単一ローラ形態等としてもよい。
【0030】
また、前述した下部供給ローラ22および上部供給ローラ24、下部排出ローラ42および上部排出ローラ44は、分離対象である軟質樹脂発泡体Uを、圧縮して挟持すると同時に、第1移動速度V1または第2移動速度V2の規定移動速度で移動させる必要がある。従って、これら各ローラ22,24,42,44は、軟質樹脂発泡体Uとの間で摩擦抵抗が大きい材質が望まれるため、ゴム等から形成されたローラ本体の外周面(軟質樹脂発泡体Uに接触する面)に対し、樹脂引きまたはゴム引き等の加工を施したり、凹凸加工(ローレット加工)等を施すことで、軟質樹脂発泡体Uとの間での滑り防止対策が図られている。
【0031】
一方、前述した第1搬送コンベアC1の搬送速度は、分離装置Tの第1搬送部20へ分離前の軟質樹脂発泡体Uを円滑に供給するため、該第1搬送部20の第1移動速度V1と同等程度に設定される。また、第2搬送コンベアC2の搬送速度は、分離装置Tの第2搬送部40から分離後の各軟質樹脂発泡体Uを円滑に排出するため、第1搬送コンベアC1の搬送速度と同等かやや大きく設定される。なお、第1搬送コンベアC1の回転ベルトは、軟質樹脂発泡体Uとの摩擦抵抗が小さいもので形成されており、分離装置Tに向けて搬送される軟質樹脂発泡体Uがベルト上に直列状態で多数整列した場合には適宜に滑りが生じ、該軟質樹脂発泡体Uの重なり等が発生しないよう考慮されている。
【0032】
次に、前述のように構成された分離装置Tを使用した軟質樹脂発泡体の分離方法を、図5を引用して説明する。なお図5では、連結部100により部分的に連結された2個の軟質樹脂発泡体U,Uを分離させる場合を例示する。但し、本願の分離方法によれば、3個以上の多数の軟質樹脂発泡体Uが直列に連結された場合であっても、前述した分離装置Tの第1搬送部20および第2搬送部40に向けて前後直列状態で供給して通過させることで、各軟質樹脂発泡体Uを順次分離させることが可能である。
【0033】
先ず図5(a)に示すように、所定の搬送速度で駆動させた搬送コンベアCの第1搬送コンベアC1上に、連結部100で部分的に連結された各軟質樹脂発泡体U,Uを前後縦列状態で載置することで、これら軟質樹脂発泡体U,Uは該分離装置Tに向けて所定の搬送速度で搬送される。
【0034】
そして、第1搬送コンベアC1で搬送された軟質樹脂発泡体U,Uが、分離装置Tの第1搬送部20へ到来すると、先ず第1移動速度V1で駆動する下部供給ローラ22および下部供給ローラ22の間を、先行する前方側の軟質樹脂発泡体U(U1)が通過する。このとき、前方側の軟質樹脂発泡体U(U1)は、図5(b)に示すように、下部供給ローラ22および下部供給ローラ22により圧縮されながら第1移動速度V1で下流側へ移動し、後方側の軟質樹脂発泡体U(U2)も第1移動速度V1で下流側へ移動する。
【0035】
そして、図5(c)に示すように、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)が前記第1搬送部20を略完全に通過すると、該軟質樹脂発泡体U(U1)の前端部分が、第2移動速度V2で駆動する下部排出ローラ42および上部排出ローラ44へ到来するようになる。そして、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)の前端部分が、下部排出ローラ42および上部排出ローラ44の間を通過し始めると、これと略同タイミングで、次行する後方側の軟質樹脂発泡体U(U2)の前端部分が、第1移動速度V1で駆動する第1搬送部20の下部供給ローラ22および下部供給ローラ22の間を通過し始める。
【0036】
そして、図5(c)の状態以降は、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)は第2移動速度V2で第2搬送コンベアC2に向けて移動し、また次行の軟質樹脂発泡体U(U2)は第1移動速度V1で第2搬送部40に向けて移動する。このとき、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)が圧縮された状態で下部排出ローラ42および上部排出ローラ44に挟持されているので、該軟質樹脂発泡体U(U1)とローラ42,44との間では滑りが発生しない。また、次行の軟質樹脂発泡体U(U2)が圧縮された状態で下部供給ローラ22および上部供給ローラ24に挟持されているので、該軟質樹脂発泡体U(U2)とローラ22,24との間でも滑りが発生しない。すなわち、下部排出ローラ42および上部排出ローラ44、下部供給ローラ22および上部供給ローラ24は、空転することなく各々の軟質樹脂発泡体U,Uを挟持するため、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)は第2移動速度V2で移動し、次行の軟質樹脂発泡体U(U2)は第1移動速度V1で移動する。
【0037】
従って、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)が次行の軟質樹脂発泡体U(U2)に引張られて減速したり、次行の軟質樹脂発泡体U(U2)が先行の軟質樹脂発泡体U(U1)に引張られて増速することがないから、図5(d)に示すように、両発泡体U,U間に速度差(V2−V2)が生じ、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)が次行の軟質樹脂発泡体U(U2)から漸次引き離れるようになる。すなわち、次行の軟質樹脂発泡体U(U2)に対して先行の軟質樹脂発泡体U(U1)を引張った状態と同一の状態が発現されるようになり、この引張り状態が時間の経過と共に漸次増大するから、図5(e)に示すように、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)が第2搬送部40を完全に通過する前に、連結部100に応力が集中して該連結部100が切断される(引き千切られる)に至る。従って、部分的に連結されていた両軟質樹脂発泡体U,Uは、連結部100の切断により相互分離し、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)は単独で第2搬送コンベアC2へ移送される。
【0038】
そして、次行の軟質樹脂発泡体U(U2)は、第1搬送部20から第2搬送部40へ移動し、第2移動速度V2で該第2搬送部40を移動した後、先行の軟質樹脂発泡体U(U1)から適宜距離をおいて第2搬送コンベアC2へ移動する。
【0039】
なお、前述した次行(後方側)の軟質樹脂発泡体U(U2)の後方側に、更に別の連結部100で部分的に連結された軟質樹脂発泡体U(U3)がある場合には、前述した先行の軟質樹脂発泡体U(U1)の分離後に、次行(後方側)の軟質樹脂発泡体U(U2)が先行する前方側の軟質樹脂発泡体Uとなって、分離装置Tを通過することで軟質樹脂発泡体U(U3)から分離されるようになる。
【0040】
従って、本実施例に係る軟質樹脂発泡体の分離方法によれば、次のような作用効果を奏する。すなわち、後方側の軟質樹脂発泡体より前方側の軟質樹脂発泡体を速く移動させるため、前方側の軟質樹脂発泡体が後方側の軟質樹脂発泡体から漸次引き離され、最終的には連結部を切断(引き千切る)することで、各軟質樹脂発泡体を分離させ得る。そして、前方側の軟質樹脂発泡体の移動速度を、後方側軟質樹脂発泡体の移動速度の3〜25倍の範囲内に設定することで、連結部を適切に切断させることができる。また、軟質樹脂発泡体を圧縮した状態で挟持するため、軟質樹脂発泡体との間で滑りが発生し難くなり、後方側の軟質樹脂発泡体を第1移動速度で移動させ得ると共に、前方側の軟質樹脂発泡体を第2移動速度で移動させ得る。
【0041】
また、本実施例に係る軟質樹脂発泡体の分離装置によれば、次のような作用効果を奏する。第1移動速度V1で駆動する第1搬送部20と、第1移動速度V1より大きい第2移動速度V2で駆動する第2搬送部40とを備えるだけの簡単な構成により、連結部100で部分的に連結した各軟質樹脂発泡体U,Uを分離させることが可能である。しかも、第1搬送部20および第2搬送部40は、第1移動速度V1と第2移動速度V2との設定により速度比Sを調整し得ると共に、軟質樹脂発泡体Uに対する圧縮率Bを調整できるため、挟持する該軟質樹脂発泡体Uとの間での滑り発生を防止でき、該軟質樹脂発泡体Uを設定した規定の移動速度で適切に移動させ得る。また、速度比Sおよび圧縮率Bの設定により、物性(密度、硬さ等)が異なる軟質樹脂発泡体であっても分離作業を適切に行ない得る。
【0042】
そして第1搬送部20は、第1駆動モータ26で駆動される下部供給ローラ22および上部供給ローラ24で構成したので、該第1駆動モータ26により両供給ローラ22,24の回転数を調整して第1移動速度V1を適切に設定し得ると共に、両供給ローラ22,24間のローラクリアランスL1を調整することで、軟質樹脂発泡体Uの圧縮率Bを適切に設定し得る。また第2搬送部40も、第2駆動モータ46で駆動される下部排出ローラ42および上部排出ローラ44で構成したので、該第2駆動モータ46により両排出ローラ42,44の回転数を調整して第2移動速度V2を適切に設定し得ると共に、両排出ローラ42,44間のローラクリアランスL2を調整することで、軟質樹脂発泡体Uの圧縮率Bを適切に設定し得る。
【0043】
また、分離装置Tの上流側および下流側に第1搬送コンベアC1および第2搬送コンベアC2を配設してあるから、軟質樹脂発泡体U,Uを搬送している間に分離作業が行なわれ、分離作業工程を別途設ける必要がないから作業効率が向上する。また、軟質樹脂発泡体U,Uの分離作業に際して人手を要しないから、作業員に煩わしい作業を行なわせる必要がないと共に、人件費削減等に伴う製造コストの低減も期待できる。
【0044】
次に、本願発明者が行なった「速度比の最適範囲確認実験」および「圧縮率の最適範囲確認実験」について説明する。本願発明者は、本実施例に係る軟質樹脂発泡体の分離方法を実施するに際し、この分離方法に使用される分離装置Tの第1搬送部20および第2搬送部40の各設定条件(速度比Sおよび圧縮率B)の最適範囲を確認するため、次のような実験を行なった。
【0045】
すなわち、分離装置Tの各設定条件を特定するため、3種類の物性の異なる軟質樹脂発泡体UのサンプルA,B,Cを準備し、夫々のサンプルA,B,Cに関して速度比Sおよび圧縮率Bを様々に変更しながら分離実験を行なった。表1に、各サンプルA,B,Cを形成する軟質樹脂発泡体の物性等を示した。サンプルAは、材質がポリウレタンフォームであり、密度が0.030g/cm、硬さが115Nで、JIS K6400に準じたものである。サンプルBは、材質がポリウレタンフォームであり、密度が0.040g/cm、硬さが210Nで、JIS K6400に準じたものである。サンプルCは、材質がポリエチレンフォームであり、密度が0.062g/cm、硬さが0.090MPaで、JIS K6767に準じたものである。また、各サンプルのサイズは、図6(a)および(b)に、サンプルAおよびサンプルBは、縦W1=50mm、横W2=50mm、厚みW3=20mmの矩形状であり(図6(a))、サンプルCは、縦W1=50mm、横W2=50mm、厚みW3=10mmの矩形状である(図6(b))。
【0046】
【表1】


【0047】
表2は、サンプルAを使用して行なった速度比Sの最適範囲確認実験に係る実験結果を表わしたものである。すなわち、圧縮率Bを一定としたもとで、速度比S(V2/V1)を変化させた場合において、連結部100の切断状況およびサンプル表面状況の結果を示している。この実験結果において、実験No.S−3〜S−10は、圧縮率Bを25%としたもとで、速度比S(V2/V1)を1.0、3.0、7.0、11.8、15、20、25、30に設定した場合において、連結部100の切断状況(切断:○、非切断:×)およびサンプル表面状況(裂傷なし:○、裂傷あり:×)の結果を示している。また、実験No.S−1およびS−2は、圧縮率Bを50%としたもとで、速度比S(V2/V1)を3.0および20に設定した場合において、連結部100の切断状況およびサンプル表面状況の結果を示している。更に、実験No.S−11およびS−12は、圧縮率Bを75%としたもとで、速度比S(V2/V1)を3.0および20に設定した場合において、連結部100の切断状況およびサンプル表面状況の結果を示している。
【0048】
【表2】


【0049】
表2の実験結果によれば、圧縮率B=25%の場合、速度比S=1の場合では連結部100が切断されなかったものの、速度比S=3以上の場合では連結部100が切断されたことを確認できる。但し、速度比S=30の場合では、サンプル表面に多少の裂傷が確認できた。すなわち、速度比Sが30前後になると、特に第2搬送部40の下部排出ローラ42および上部排出ローラ44の回転数が相当に高くなるため、これら下・上排出ローラ42,44と軟質樹脂発泡体Uとの間で滑りが発生したり、或いは次行の軟質樹脂発泡体U(U2)に対して先行の軟質樹脂発泡体U(U1)が急激に引張られるようになるため、裂傷等が発生するものと思われる。従って、圧縮率B=25%の場合では、少なくとも速度比Sが3.0〜25の範囲内であれば、連結部100が適切に切断すると共に、サンプル表面状況も良好であると判断し得る。
【0050】
圧縮率B=50%の場合では、速度比Sが3.0および20の何れの場合においても、連結部100が切断されると共にサンプル表面状況も良好であった。従って、圧縮率B=50%では、少なくとも速度比Sが3.0〜20の範囲内であれば、連結部100が適切に切断すると共に、サンプル表面状況も良好であると判断し得る。また、圧縮率B=75%の場合では、圧縮率B=50%の場合と同様に、速度比Sが3.0および20の何れの場合においても、連結部100が切断されると共にサンプル表面状況も良好であった。従って、圧縮率B=75%では、少なくとも速度比Sが3.0〜20の範囲内であれば、連結部100が適切に切断すると共に、サンプル表面状況も良好であると判断し得る。
【0051】
従って、表2の実験結果から、速度比S(V2/V1)の最適範囲は3〜25であると判断し得る。但し、連結部100の確実な切断を考慮した場合は、速度比Sを大きめにすることが有効であり、また軟質樹脂発泡体Uの表面へ裂傷等が確実に発生しないことを考慮した場合は、速度比Sを小さめにすることが有効であると思われる。従って速度比Sは、可能であれば7〜15程度の範囲内で設定するのが望ましいと思われる。
【0052】
表3は、サンプルAを使用して行なった圧縮率Bの最適範囲確認実験に係る実験結果を表わしたものである。すなわち、速度比Sを一定としたもとで、圧縮率Bを変化させた場合において、連結部100の切断状況およびサンプル表面状況の結果を示したものである。この実験結果において、実験No.P−1〜P−8は、速度比Sを10としたもとで、圧縮率Bを95%、90%、70%、50%、30%、20%、15%、5%に設定した場合において、連結部100の切断状況(切断:○、非切断:×)およびサンプル表面状況(裂傷なし:○、裂傷あり:×)の結果を示している。
【0053】
【表3】


【0054】
表3の実験結果によれば、速度比S=10の場合、圧縮率95%の場合では連結部100が切断されなかったものの、圧縮率B=90%〜15%の範囲では連結部100が切断されたことを確認できる。圧縮率B=95%の場合は、圧縮度合が極めて小さいためにサンプルAとの間に滑りが発生して、設定した速度比SをサンプルAへ付与できなかったためと判断できる。また、圧縮率B=90〜20%の範囲では、サンプル表面は裂傷等は確認されずに良好であったが、圧縮率B=15%の場合では、サンプルに多少の裂傷が確認できた。すなわち、圧縮率B=15%前後になると、軟質樹脂発泡体Uが過度に圧縮されてしまうため、素材自体に損傷が発生するようになるためであると思われる。この傾向は、特に素材が硬くなるほど顕現するものと想像できる。また圧縮率B=5%の場合では、第1搬送部20の下部供給ローラ22および上部供給ローラ24間のローラクリアランスL1が小さすぎてサンプルAが通過できなかったため、測定結果が空欄となっている。
【0055】
従って、表3の実験結果から、圧縮比Bの最適範囲は20〜90%であると判断し得る。但し、連結部100の確実な切断および軟質樹脂発泡体Uの損傷等が確実に発生しないことを考慮すると、圧縮比Bは、可能であれば30〜70%程度の範囲内で設定するのが望ましいと思われる。
【0056】
【表4】


【0057】
表4は、サンプルBおよびサンプルCを使用して行なった速度比Sおよび圧縮率Bの最適範囲確認実験に係る実験結果の一部を抜粋したものである。サンプルBおよびサンプルCにおいても、前述したサンプルAと同様の実験を行なったが、前述した速度比Sの最適範囲(3〜25)および圧縮率Bの最適範囲(20〜90%)においては、連結部100が適切に切断されると共に、サンプル表面の裂傷やサンプル自体の損傷等は確認できなかった。従って、サンプルBおよびサンプルCにおいても、速度比Sの最適範囲は3〜25であり、圧縮率Bの最適範囲は20〜90%であると判断し得る。
【0058】
なお、本実施例の分離装置Tを利用した軟質樹脂発泡体の分離方法によれば、図6に示した矩形ブロック形状のもののみならず、例えば図7(a)に示した円形状の軟質樹脂発泡体Uや、図7(b)に示した屈折形状の軟質樹脂発泡体U等であっても、好適に分離させ得る。
【0059】
図8(a)〜(d)は、変更例に係る軟質樹脂発泡体の分離装置を示した概略構成図である。このうち、図8(a)に示す分離装置Tは、第1搬送部20を、前述した第1駆動モータ26で駆動される駆動プーリ62および従動プーリ64にベルト66を巻き掛けて構成される下部供給回転ベルト機構60と、該第1駆動モータ26で駆動される駆動プーリ72および従動プーリ74にベルト76を巻き掛けて構成される上部供給回転ベルト機構70とを装備したものである。第1搬送部20をこのような回転ベルト機構とした場合でも、前述した実施例の分離装置Tにおける第1搬送部20と同等の作用効果が得られると共に、本実施例に係る軟質樹脂発泡体の分離方法を好適に実施可能である。また、第1搬送コンベアC1から移動する各軟質樹脂発泡体Uをベルト66,76における直線部66A,76Aで挟持するため、該軟質樹脂発泡体Uを広い面積で圧縮するようになり、滑りがより一層発生し難くなる効果が期待できる。
【0060】
図8(b)に示す分離装置Tは、第2搬送部40を、前述した第2駆動モータ46で駆動される駆動プーリ82および従動プーリ84にベルト86を巻き掛けて構成される下部排出回転ベルト機構80と、該第2駆動モータ46で駆動される駆動プーリ92および従動プーリ94にベルト96を巻き掛けて構成される上部排出回転ベルト機構90とを装備したものである。第2搬送部40をこのような回転ベルト機構とした場合でも、前述した実施例の分離装置Tにおける第2搬送部40と同等の作用効果が得られると共に、本実施例に係る軟質樹脂発泡体の分離方法を好適に実施可能である。また、第1搬送部20から移動する各軟質樹脂発泡体Uをベルト86,96における直線部86A,96Aで挟持するため、該軟質樹脂発泡体Uを広い面積で圧縮するようになり、滑りがより一層発生し難くなる効果が期待できる。
【0061】
図8(c)に示す分離装置Tは、第1搬送部20を、図8(a)に示した下部供給回転ベルト機構60および上部供給回転ベルト機構70とすると共に、第2搬送部40を、図8(b)に示した下部排出回転ベルト機構80および上部排出回転ベルト機構90としたものである。第1搬送部20および第2搬送部40の両方をこのような回転ベルト機構とした場合でも、前述した実施例の分離装置Tにおける第1搬送部20および第2搬送部40と同等の作用効果が得られると共に、本実施例に係る軟質樹脂発泡体の分離方法を好適に実施可能である。特に、各軟質樹脂発泡体Uを広い面積で圧縮するようになるから、滑りがより一層発生し難くなる効果が期待できる。
【0062】
なお、図8(a)および図8(c)に示した分離装置Tでは、図8(d)に示すように、第1搬送部20における上部供給回転ベルト機構70を、第1搬送コンベアC1側が高くなるような傾斜状態で設置するようにしてもよい。このように上部供給回転ベルト機構70を傾斜状態で設置した場合には、第1搬送コンベアC1から第1搬送部20へ移動する各軟質樹脂発泡体Uが徐々に圧縮されるようになるため、例えば第1搬送部20における軟質樹脂発泡体Uの圧縮率Bを大きく設定してある場合でも、該軟質樹脂発泡体Uが該第1搬送部20をスムーズに移動するようになる。
【0063】
また図示省略するが、図8(b)および図8(c)に示した分離装置Tにおいて、第2搬送部40における上部排出回転ベルト機構90を、図8(d)に示した上部供給回転ベルト機構70と同様に、第1搬送部20側が高くなるような傾斜状態で設置するようにしてもよい。このように上部排出回転ベルト機構90を傾斜状態で設置した場合には、第1搬送部20から第2搬送部40へ移動する各軟質樹脂発泡体Uが徐々に圧縮されるようになるため、例えば第2搬送部40における軟質樹脂発泡体Uの圧縮率Bを大きく設定してある場合でも、該軟質樹脂発泡体Uが該第2搬送部40をスムーズに通過するようになる。
【0064】
なお、第1搬送部20および第2搬送部40の駆動手段は、第1駆動モータ26および第2駆動モータ46に限定されるものではなく、第1搬送部20を第1移動速度V1で駆動させ得ると共に、第2搬送部40を第1移動速度V1より大きい第2移動速度V2で駆動させ得るものであれば、モータ以外であってもよい。
【0065】
また前述した実施例では、分離装置Tを搬送コンベアCの途中に配設して、該分離装置Tの上流側に配設した第1搬送コンベアC1で軟質樹脂発泡体Uを供給し、該分離装置Tの下流側に配設した第2搬送コンベアC2で軟質樹脂発泡体Uを排出する場合を例示した。しかし、分離装置Tを傾斜状態または垂直状態に配設し、供給側および排出側を傾斜状態または垂直状態とすれば、分離前の軟質樹脂発泡体Uが自重で該分離装置Tへ供給され、また分離後の各軟質樹脂発泡体Uが自重で排出されるするようになるから、搬送コンベアCが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施例に係る軟質樹脂発泡体の分離方法を実施する分離装置の正面図。
【図2】図1に示した分離装置の平面図。
【図3】図1に示した分離装置の概略構成図。
【図4】分離装置が配設される位置を示した説明図。
【図5】分離装置を利用した本実施例の分離方法を概略的に示した説明図。
【図6】実験のためにサンプルとして準備した軟質樹脂発泡体の概略斜視図。
【図7】分離作業の対象とされる軟質樹脂発泡体の別形態例を示した説明斜視図。
【図8】分離装置における第1搬送部および第2搬送部の別形態例を示した説明図。
【図9】連結部により部分的に連結された軟質樹脂発泡体を概略的に例示した斜視図および縦断面図。
【符号の説明】
【0067】
20 第1搬送部,22 下部供給ローラ(ローラ),24 上部供給ローラ(ローラ),
26 第1駆動モータ(駆動手段),40 第2搬送部,42 下部排出ローラ(ローラ),
44 上部排出ローラ(ローラ),46 第2駆動モータ(駆動手段),
60 下部供給回転ベルト機構(回転ベルト機構),
70 上部供給回転ベルト機構(回転ベルト機構),
80 下部排出回転ベルト機構(回転ベルト機構),
90 上部排出回転ベルト機構(回転ベルト機構),
100 連結部(骨格),B 圧縮率,C1 第1搬送コンベア(第1搬送手段),
C2 第2搬送コンベア(第2搬送手段),S 速度比(V2/V1),T 分離装置,
U(U1,U2) 軟質樹脂発泡体,V1 第1移動速度,V2 第2移動速度
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【出願日】 平成18年9月5日(2006.9.5)
【代理人】 【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾


【公開番号】 特開2008−62317(P2008−62317A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−240638(P2006−240638)