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【発明の名称】 フレキシブルダイ
【発明者】 【氏名】忍 昌憲

【要約】 【課題】マグネットローラ等の円筒状のローラに「ベースの浮き」のない状態で巻き付けることが可能なフレキシブルダイを提供する。

【構成】フレキシブルベース2の一方の面(表面)にエンボス加工用凸部3が所定のパターンで形成されたフレキシブルダイ1において、フレキシブルベース2の他方の面(裏面)に、ローラ巻き付け方向と直交する方向に沿って延びる複数(もしくは1条)のスリット状の凹条(スリット状の溝)4を、ローラ巻き付け方向に沿って所定のピッチで形成する。このようにフレキシブルベース2の裏面に凹条4を形成しておくと、フレキシブルダイ1をマグネットローラ301に巻き付けるときに、各凹条4の形成部の曲げ変形により、エンボス加工用凸部3の形成部分がマグネットローラ301の外周面に沿って湾曲変形するようになるので「ベースの浮き」が発生しなくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブルベースの一方の面に押切刃またはエンボス加工用凹凸の少なくとも一方が形成されており、前記フレキシブルベースを円筒状のローラに巻き付けて使用するフレキシブルダイであって、
前記フレキシブルベースの他方の面には、少なくとも前記押切刃の裏側、または/及び、少なくとも前記エンボス加工用凹凸の裏側に相当する部分に、当該フレキシブルダイのローラへの巻き付け方向と直交する方向に沿って延びる凹条が形成されていることを特徴とするフレキシブルダイ。
【請求項2】
請求項1記載のフレキシブルダイにおいて、
前記フレキシブルダイのローラへの巻き付け方向と直交する方向に沿って延びる複数の凹条が、前記フレキシブルダイのローラへの巻き付け方向に沿って所定のピッチで形成されていることを特徴とするフレキシブルダイ。
【請求項3】
フレキシブルベースの一方の面に押切刃またはエンボス加工用凹凸の少なくとも一方が形成されており、前記フレキシブルベースを円筒状のローラに巻き付けて使用するフレキシブルダイであって、
前記フレキシブルベースの他方の面には、少なくとも前記押切刃の裏側、または/及び、少なくとも前記エンボス加工用凹凸の裏側に相当する部分に、当該フレキシブルダイの前記ローラへの巻き付け方向と直交する方向に沿って複数の凹部が所定の間隔で直線状に並ぶ形態の凹部群が形成されていることを特徴とするフレキシブルダイ。
【請求項4】
請求項3記載のフレキシブルダイにおいて、
前記フレキシブルダイの前記ローラへの巻き付け方向と直交する方向に沿って複数の凹部が所定の間隔で直線状に並ぶ形態の複数の凹部群が、前記フレキシブルダイのローラへの巻き付け方向に沿って所定のピッチで形成されていることを特徴とするフレキシブルダイ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば紙シートやプラスチックシート(フィルム)などのシート材等の打抜加工(押切加工)やエンボス加工に用いられるフレキシブルダイ(シート状刃板)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、打抜加工やハーフカットなどの加工を行う方法としては、ベニヤ板等のダイボードに、打抜パターンに応じた溝切加工を行い、その加工した溝に帯状の刃(トムソン刃)を嵌め込んだダイを作製し、このダイをプレス加工機などに装着してプラスチックシート等の打抜加工やハーフカットを行うという方法が採られている。
【0003】
最近では、フレキシブルベース(強磁性体)の片面に、カッティングラインの形状に応じたパターンの押切刃を有するフレキシブルダイを作製し、このフレキシブルダイを、図16に示すようなロータリ加工装置300のマグネットローラ301に巻き付けて、紙シートやプラスチックシートなどの打抜加工やハーフカットを行うという方法も採用されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。なお、マグネットローラ301には、フレキシブルダイを安定して磁気吸着させるために、外周面に多数の永久磁石が埋め込み配置されている。
【0004】
また、プラスチックシート(フィルム)などのシート材の表面にエンボスを加工する方法においても、フレキシブルベース(強磁性体)の片面に、所定パターンのエンボス加工用凹凸を有するフレキシブルダイを作製し、このフレキシブルダイを同様にロータリ加工装置300のマグネットローラ301に巻き付けてプラスチックシートなどの表面にエンボス加工を行うという方法が採用されている。なお、エンボス加工を行うフレキシブルダイとしては、フレキシブルベースの表面に所定パターンの加工用凸部を形成したフレキシブルダイ、または、フレキシブルベースの表面に所定パターンの加工用凹部を形成したフレキシブルダイ、あるいは、それら加工用凸部と加工用凹部とを組み合わせたフレキシブルダイがある。
【0005】
そして、以上のようなフレキシブルダイは機械加工やエッチングにて製作されており、エッチングにより製作されたものは一般にエッチングダイと呼ばれている。
【特許文献1】特開2000−190284号公報
【特許文献2】特開2002−221220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したフレキシブルダイにおいては、押切刃やエンボス加工用凹凸が部分的に集中するようなパターンである場合や、フレキシブルダイのマグネットローラへの巻き付け方向に沿って延びる押切刃やエンボス加工用凹凸が多く存在する場合、フレキシブルダイのマグネットローラへの巻き付け性が悪くなり、フレキシブルベースの一部がマグネットローラの外周面から浮くという「ベースの浮き」が生じることがある。
【0007】
例えば、図17に示すような加工パターンPのエンボス加工用凸部403がフレキシブルベース402の表面に形成されたフレキシブルダイ401では、エンボス加工用凸部403の形成部分の剛性(ローラ巻き付け方向Rの曲げ剛性)が高くて曲がり難くなる。このため、図19に示すように、フレキシブルダイ401をマグネットローラ301に巻き付ける際に、エンボス加工用凸部403の加工パターンPとPとの間に「ベースの浮き」が生じてしまい、正確なエンボス加工を行うことができなくなる。
【0008】
また、例えば図18に示すように、フレキシブルベース502の表面に、多数の押切刃503・・503がマグネットローラ301への巻き付け方向Rに沿って形成されたフレキシブルダイ501では、押切刃503・・503が集中する部分の剛性が高くて曲がり難くなるので、マグネットローラ301に巻き付けたときに、「ベースの浮き」が生じてしまい、正確な加工を行うことができなくなる。
【0009】
本発明はそのような実情を考慮してなされたもので、マグネットローラなどの円筒状のローラに「ベースの浮き」のない状態で巻き付けることが可能なフレキシブルダイの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、フレキシブルベースの一方の面に押切刃またはエンボス加工用凹凸の少なくとも一方が形成されており、前記フレキシブルベースを円筒状のローラに巻き付けて使用するフレキシブルダイであって、前記フレキシブルベースの他方の面には、少なくとも前記押切刃の裏側、または/及び、少なくとも前記エンボス加工用凹凸の裏側に相当する部分に、当該フレキシブルダイのローラへの巻き付け方向と直交する方向に沿って延びる凹条(スリット状の溝)が形成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明において、フレキシブルベースの他方の面(裏面)に形成する凹条は1条であってもよい。また、フレキシブルベースの他方の面(裏面)に、複数の凹条をフレキシブルダイのローラへの巻き付け方向に沿って所定のピッチで形成しておいてもよい。なお、複数の凹条を形成する場合、フレキシブルベースの他方の面(裏面)のほぼ全域にわたって形成しておいてもよい。
【0012】
この発明によれば、フレキシブルベースの他方の面(押切刃やエンボス加工用凹凸の形成面の裏側面)に、フレキシブルダイのローラへの巻き付け方向(以下、ローラ巻き付け方向ともいう)と直交する方向に沿って延びる複数の凹条(もしくは1条の凹条)を形成しているので、その凹条形成部の曲げ剛性が弱くなり、押切刃やエンボス加工用凹凸の形成部分が曲がり易くなる。従って、押切刃やエンボス加工用凹凸が部分的に集中するようなパターンや、ローラ巻き付け方向に沿って延びる押切刃やエンボス加工用凹凸が多く存在するパターンであっても、それら押切刃やエンボス加工用凹凸の裏面側に複数の凹条(もしくは1条の凹条)を形成しておくことで、フレキシブルダイをローラに巻き付けるときに、押切刃やエンボス加工用凹凸の形成部分がローラに外周面に沿って曲がり易くなるので、フレキシブルダイをローラに「ベースの浮き」のない状態で装着することが可能になる。
【0013】
本発明は、フレキシブルベースの一方の面に押切刃またはエンボス加工用凹凸の少なくとも一方が形成されており、前記フレキシブルベースを円筒状のローラに巻き付けて使用するフレキシブルダイであって、前記フレキシブルベースの他方の面には、少なくとも前記押切刃の裏側、または/及び、少なくとも前記エンボス加工用凹凸の裏側に相当する部分に、当該フレキシブルダイの前記ローラへの巻き付け方向と直交する方向に沿って複数の凹部が所定の間隔で直線状に並ぶ形態の凹部群が形成されていることを特徴としている。
【0014】
本発明において、フレキシブルベースの他方の面(裏面)に形成する凹部群は1列であってもよい。また、フレキシブルベースの他方の面(裏面)に、複数の凹部群をフレキシブルダイのローラへの巻き付け方向に沿って所定のピッチで形成しておいてもよい。なお、複数の凹部群を形成する場合、フレキシブルベースの他方の面(裏面)のほぼ全域にわたって形成しておいてもよい。
【0015】
この発明によれば、フレキシブルベースの他方の面(押切刃やエンボス加工用凹凸の形成面の裏側面)に、ローラ巻き付け方向と直交する方向に沿って延びる複数の凹部群(もしくは1列の凹部群)を形成しているので、その凹部群の形成部の曲げ剛性が弱くなり、押切刃やエンボス加工用凹凸の形成部分が曲がり易くなる。従って、押切刃やエンボス加工用凹凸が部分的に集中するようなパターンや、ローラ巻き付け方向に沿って延びる押切刃やエンボス加工用凹凸が多く存在するパターンであっても、それら押切刃やエンボス加工用凹凸の裏面側に複数の凹部群(もしくは1列の凹部群)を形成しておくことで、フレキシブルダイをローラに巻き付けるときに、押切刃やエンボス加工用凹凸の形成部分がローラに外周面に沿って曲がり易くなるので、フレキシブルダイをローラに「ベースの浮き」のない状態で装着することが可能になる。
【0016】
なお、本発明は、フレキシブルベースの表面にエンボス加工用凹凸(エンボス加工用凸部やエンボス加工用凹部)のみが形成されたフレキシブルダイや、フレキシブルベースの表面に押切刃のみが形成されたフレキシブルダイに限られることなく、フレキシブルベースの表面にエンボス加工用凹凸及び押切刃の双方が形成されたフレキシブルダイにも適用することができる。
【0017】
また、本発明は、マグネットローラに装着して使用されるフレキシブルダイのほか、マグネット(永久磁石)を備えていないローラに装着されるフレキシブルダイにも適用することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のフレキシブルダイによれば、フレキシブルベースの裏面で押切刃やエンボス加工用凹凸の裏側となる部分に、ローラ取り付け方向と直行する方向に延びる凹条(または凹部群)を形成しているので、当該フレキシブルダイをマグネットローラなどの円筒状ローラに「ベースの浮き」のない状態で巻き付けることが可能になり、打抜加工(押切加工)やエンボス加工などの加工を正確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1は本発明のフレキシブルダイの一例を示す正面図である。図2はそのフレキシブルダイの要部縦断面図である。図3は図1のフレキシブルダイの裏面図である。
【0021】
この例のフレキシブルダイ1は、エンボス加工を行うロータリ加工装置に使用するロータリダイであって、フレキシブルベース2の一方の面(表面)にエンボス加工用凸部3が所定のパターンで形成されている。エンボス加工用凸部3の加工パターンPは、長方形「□」の内部に対角線に沿って延びる「×」模様を組み合わせた形状となっている。加工パターンP・・Pは、フレキシブルダイ1のマグネットローラ301への巻き付け方向R(以下、ローラ巻き付け方向Rともいう)と直交する方向及びローラ巻き付け方向Rに沿う方向の各方向にそれぞれ複数配置されている。
【0022】
以上の構造のフレキシブルダイ1は、図4に示すようにロータリ加工装置のロータリマグネット301に巻き付けて使用される。ここで、この例のフレキシブルダイ1では、ローラ巻き付け方向Rに沿って多数のエンボス加工用凸部3・・3が存在するので、そのエンボス加工用凸部3の形成部分の剛性(ローラ巻き付け方向Rの曲げ剛性)が高くて曲がり難くなる。このような点を考慮して、この例のフレキシブルダイ1では、フレキシブルベース2の他方の面(エンボス加工用凸部3の形成面とは反対側の面(裏面))に、ローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って延びる複数のスリット状の凹条4・・4を、ローラ巻き付け方向Rに沿って所定のピッチで形成している点に特徴がある。
【0023】
このように、フレキシブルベース2の他方の面(裏面)に、ローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って延びる複数のスリット状の凹条(スリット状の溝)4・・4を形成しておくと、フレキシブルベース2をマグネットローラ301に「ベースの浮き」のない状態で巻き付けることが可能になる。この点について以下に説明する。
【0024】
まず、図1に示すような加工パターンPでエンボス加工用凸部3が形成されたフレキシブルダイ1では、エンボス加工用凸部3の形成部分の剛性が高くて曲がり難いため、フレキシブルベース2の裏面に凹条が形成されていない場合、マグネットローラ301に巻き付けたときに、図19に示すように、エンボス加工用凸部3(403)の形成部分は殆ど変形せず、加工パターンPとPとの間に「ベースの浮き」が生じる。
【0025】
これに対し、エンボス加工用凸部3の形成部分の曲げ剛性が高くても、エンボス加工用凸部3の形成部分の裏面にローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って延びる複数の凹条4・・4を形成しておくと、フレキシブルダイ1をマグネットローラ301に巻き付けるときに各凹条4の形成部が曲げ変形する。これによって図5に示すように、エンボス加工用凸部3の形成部分がマグネットローラ301の外周面に沿って湾曲変形するようになり、フレキシブルダイ1をマグネットローラ301に「ベースの浮き」のない状態で装着することが可能になる。その結果として、正確なエンボス加工を実現することができる。
【0026】
ここで、フレキシブルベース2の裏面に形成するスリット状の凹条4の幅・深さ、及び凹条4のローラ巻き付け方向Rにおけるピッチは、フレキシブルダイ1をマグネットローラ301に巻き付けたときに「ベースの浮き」が生じないように、フレキシブルベース2の厚さ、エンボス加工用凸部3の形成部分の曲げ剛性、及び、マグネットローラ301の外周面の曲率などを考慮して、実験・計算等により決定するようにすればよい。
【0027】
なお、図1〜3に示す例では、複数の凹条4・・4をフレキシブルベース2の裏面のほぼ全域にわたって形成しているが、これに限られることなく、フレキシブルベース2の裏面のうち、エンボス加工用凸部3の形成部分の裏側に相当する部分のみに凹条4・・4を形成するようにしてもよい。また、凹条4の断面形状は四角形に限られることなく、半円形や三角形などの他の任意の形状であってもよい。
【0028】
さらに、図1〜3に示す例では、複数の凹条4・・4をフレキシブルベース2の裏面に形成しているが、例えばエンボス加工用凸部の巻き付け方向Rのパターン幅が小さい場合には、そのエンボス加工用凸部の形成部分の裏側に1条の凹条4を形成してもよい。
【0029】
−製造方法−
次に、図1〜図3に示すフレキシブルダイの製造方法の一例を図6〜図8を参照しながら説明する。
【0030】
(1)図7に示すように、図1のエンボス加工用凸部3の形状に対応する露光パターン23aを有するフォトマスク(ネガフィルム)23を製版しておく。また、図8に示すように、フレキシブルベース2の裏面のスリット状の凹条4・・4に対応する形状の露光パターン24aを有するフォトマスク(ポジフィルム)24を製版しておく。
【0031】
(2)図6(A)に示すように、金属板10の表面にフォトレジストを一様に塗布し、さらに、金属板10の裏面にフォトレジストを一様に塗布して、金属板10の表面及び裏面にそれぞれフォトレジスト膜21,22を形成する。
【0032】
(3)図6(B)に示すように、金属板10の表面のフォトレジスト膜21上にフォトマスク(ネガフィルム)23(図7参照)を配置・位置決めするとともに、金属板10の裏面のフォトレジスト膜22上に前記フォトマスク(ポジフィルム)24(図8参照)を配置・位置決めする。なお、金属板10の表面側のフォトマスク23と裏側のフォトマスク24とはレジストマークを基準として相互に位置合わせした状態で、それらフォトマスク23,24の一端部を粘着テープ30にて接合する。
【0033】
(4)金属板10の表裏のフォトレジスト膜21,22の露光と現像を行ってレジストパターン21aと、複数の凹条4・・4に相当する位置に開口部22b・・22bを有するレジストパターン22aとを形成する(図6(C))。
【0034】
(5)金属板10の表裏のレジストパターン21a,22aをマスクとして金属板10のエッチングを開始し、エッチングの進行が、凹条4の深さに相当する量に達した時点でエッチングを一度停止する(図6(D))。この1度目のエッチングにより、フレキシブルベース2の裏面に、ローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って延びる複数のスリット状の凹条4・・4が、ローラ巻き付け方向Rに沿って一定のピッチで形成される(図2、図3参照)。このように、凹条4のエッチングを先に実施することにより、凹条4の深さを精度よくコントロールすることができるので、凹条4の形成部分の曲げ剛性を容易に調整することができる。
【0035】
(6)図6(E)に示すように、金属板10の裏面にマスキングシート25を貼着して、先のエッチングで形成したスリット状の凹条4・・4をエッチング液に対して保護し、この状態で、再度エッチングを開始する。この2度目のエッチングの進行が、所定深さ([エンボス加工用凸部3の高さ]−[凹条4の深さ]を考慮した深さ)に達した時点でエッチングを停止する。このようなエッチングにより、図6(F)に示すように、フレキシブルベース2及び断面台形状の突部(突条)つまりエンボス加工用凸部3が形成される。このエッチングの完了後にマスキングシート25を剥がしておく。また、フレキシブルベース2の上面側及び裏側に残ったレジストパターン21a,22aを除去しておく。
【0036】
なお、エッチングによりエンボス加工用凸部3を形成した後(図6(F)の工程が終了した後)、必要であれば、NC加工機等を使用して、エンボス加工用凸部3の両側面等に切削工具にて切削するという工程(仕上工程など)を付加してもよい。
【0037】
以上の例では、フレキシブルベース2の裏面の複数のスリット状の凹条4・・4をエッチングにより加工しているが、これに限られることなく、各凹条4を微細な機械加工によって形成してもよい。
【0038】
以上の例では、フレキシブルベース2の他方の面(エンボス加工用凸部3の形成面とは反対側の面(裏面))に、フレキシブルダイ1のローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って延びる複数のスリット状の凹条4・・4を形成しているが、本発明はこれに限られることなく、例えば図9に示すように、フレキシブルベース12の他方の面(裏面)にローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って複数の凹部14a・・14aが所定の間隔で直線状に並ぶ形態の複数の凹部群14・・14を、ローラ巻き付け方向Rに沿って所定のピッチで形成しておいてもよい。
【0039】
このように、エンボス加工用凸部3の形成部分の裏面に、凹部14a・・14aが直線状に並ぶ形態の凹部群14・・14を形成しておくと、エンボス加工用凸部3の形成部分の曲げ剛性が高くても、フレキシブルダイ11をマグネットローラ301(図4参照)に巻き付けるときに、各凹部群14の形成部の曲げ変形によって、エンボス加工用凸部3の形成部分がマグネットローラ301の外周面に沿って湾曲変形するようになり、フレキシブルダイ11をマグネットローラ301に「ベースの浮き」のない状態で装着することが可能になる。その結果として、正確なエンボス加工を実現することができる。
【0040】
ここで、フレキシブルベース12の裏面に形成する各凹部群14の各凹部14aの大きさ・深さ、及び、凹部群14のローラ巻き付け方向Rにおけるピッチは、フレキシブルダイ11をマグネットローラ301に巻き付けたときに「ベースの浮き」が生じないように、フレキシブルベース12の厚さ、エンボス加工用凸部3(図1、図3参照)の形成部分の曲げ剛性、及び、マグネットローラ301の外周面の曲率などを考慮して、実験・計算等により決定するようにすればよい。
【0041】
なお、各凹部群14を構成する凹部14aの正面形状は、四角形に限られることなく、円形や楕円形などの他の任意の形状であってもよい。
【0042】
また、図9に示す例では、複数の凹部群14・・14をフレキシブルベース12の裏面に形成しているが、例えば、エンボス加工用凸部の巻き付け方向Rのパターン幅が小さい場合には、そのエンボス加工用凸部の形成部分の裏側に1列の凹部群14を形成してもよい。
【0043】
以上の例では、フレキシブルベースの表面に所定パターンのエンボス加工用凸部を形成したフレキシブルダイに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られることなく、フレキシブルベースの表面に所定パターンのエンボス加工用凹部を形成したフレキシブルダイ、あるいは、フレキシブルベースの表面にエンボス加工用凸部及びエンボス加工用凹部の双方を形成したフレキシブルダイにも適用可能である。
【0044】
−他の実施形態−
図10は本発明のフレキシブルダイの他の例を示す正面図である。図11はそのフレキシブルダイの要部縦断面図である。
【0045】
この例のフレキシブルダイ101は、ロータリ加工装置のマグネットローラ301(図4参照)に巻き付けて使用するロータリダイであって、フレキシブルベース102の一方の面(表面)に多数の押切刃103・・103が形成されている。押切刃103・・103は、プラスチックシート等に切込みを入れる傾斜刃であり、フレキシブルベース102のマグネットローラ301への巻き付け方向R(以下、ローラ巻き付け方向Rともいう)に沿って所定ピッチで配置されている。
【0046】
このように多数の押切刃103・・103がローラ巻き付け方向Rに沿って部分的に集中した形態で形成されたフレキシブルダイ101では、それら押切刃103・・103の形成部分の剛性(ローラ巻き付け方向Rの曲げ剛性)が高くて曲げ難くなる。このような点を考慮して、この例のフレキシブルダイ101においては、フレキシブルベース102の他方の面(押切刃103の形成面とは反対側の面(裏面))に、ローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って延びる複数のスリット状の凹条104・・104を、ローラ巻き付け方向Rに沿って所定のピッチで形成している点に特徴がある。
【0047】
このようにフレキシブルベース102の他方の面(裏面)に、ローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って延びる複数のスリット状の凹条104・・104を形成しておくと、フレキシブルダイ101をマグネットローラ301に巻き付けるときに、各凹条104の形成部の曲げ変形により、押切刃103の形成部分がマグネットローラ301の外周面に沿って湾曲変形するようになるので、フレキシブルダイをローラに「ベースの浮き」のない状態で装着することが可能になる。その結果として、正確な加工(切込み加工)を実現することができる。
【0048】
なお、図10及び図11に示す例において、スリット状の凹条104・・104は、図3に示すフレキシブルダイ1と同様に、フレキシブルベース102の裏面のほぼ全域にわたって形成しておいてもよいし、フレキシブルベース102の裏面のうち、押切刃103の形成部分の裏側に相当する部分のみに形成してもよい。また、凹条104の断面形状は四角形に限られることなく、半円形や三角形などの他の任意の形状であってもよい。
【0049】
この例のフレキシブルダイ101は、上記した図8に示した処理と基本的には同様なエッチング処理によって作製することができる。ただし、エッチングによりフレキシブルベース102の裏面に複数のスリット状の凹条104・・104を形成し、フレキシブルベース102の表面に断面台形状の突部(突条)を形成した後(図6(F)の工程が終了した後)、NC加工機等を使用して、図12(A)〜(C)に示すように、押切刃103に対応する断面台形状の突部103′の両側面を円錐形状の切削工具100にて切削して刃先加工を行うことにより、図11及び図12に示す形状の押切刃103を得る。
【0050】
なお、この例においても、フレキシブルベース102の裏面の複数のスリット状の凹条104・・104を微細な機械加工によって形成してもよい。
【0051】
また、複数のスリット状の凹条104・・104に替えて、フレキシブルベース102の裏面に、図9に示すような凹部群14・・14をローラ巻き付け方向Rに沿って所定のピッチで形成しておいてもよい。
【0052】
また、図10及び図11に示す例では、複数の凹条104・・104をフレキシブルベース2の裏面に形成しているが、例えば押切刃の巻き付け方向Rのパターン幅(押切刃の集中幅)が小さい場合には、そのエンボス加工用凸部の形成部分の裏側に1条の凹条104(または1列の凹部群)を形成してもよい。
【0053】
以上の図10の例では、多数の押切刃103・・103がローラ巻き付け方向Rに沿って形成されたフレキシブルダイ101に本発明を適用した例を示しているが、本発明はこれに限られることなく、例えば図13に示すように、多数の押切刃113・・113がローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って並ぶ形態の押切刃群130・・130がローラ巻き付け方向Rに沿って所定の間隔で形成されたフレキシブルダイ111にも適用可能である。
【0054】
以上の各例では、エンボス加工用凸部3(またはエンボス加工用凹部)のみがフレキシブルベース2に形成されたフレキシブルダイ1、あるいは、押切刃103・・103のみがフレキシブルベース102に形成されたフレキシブルダイ101に、本発明を適用した例について説明したが、本発明はこれに限られることなく、フレキシブルベースの表面にエンボス加工用凹凸及び押切刃の双方が形成されたフレキシブルダイにも適用することができる。
【0055】
その一例として、図14に示すように、フレキシブルベース202の表面に矩形パターン(4角アール)の押切刃231が形成され、その押切刃231にて囲われる領域内に、図1に示すような加工パターンPのエンボス加工用凸部232が複数箇所に形成されたフレキシブルダイ201を挙げることができる。そして、このようなフレキシブルダイ201においても、図15に示すように、フレキシブルベース202の他方の面(押切刃231及びエンボス加工用凸部232の形成面とは反対側の面(裏面))に、ローラ巻き付け方向Rと直交する方向に沿って延びる複数のスリット状の凹条204・・204(または複数の凹部群)を、ローラ巻き付け方向Rに沿って所定のピッチで形成しておくことで、フレキシブルダイ201をマグネットローラ301(図4参照)に「ベースの浮き」のない状態で装着することが可能になる。
【0056】
ここで、フレキシブルダイに形成するエンボス加工用凹凸や押切刃の形状(加工パターン)は図1や図10に示すような形状に限られることなく、例えば、三角形や丸形状、あるいは、動物・アニメーションのキャラクタ等の図柄、花柄模様、文字等の他の任意の形状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のフレキシブルダイの一例を示す正面図である。
【図2】図1のフレキシブルダイの要部縦断面図である。
【図3】図1のフレキシブルダイの裏面図である。
【図4】図1のフレキシブルダイをマグネットローラに巻き付けた状態を示す斜視図である。
【図5】図1のフレキシブルダイの作用説明図である。
【図6】図1〜図3のフレキシブルダイの製造方法の一例を模式的に示す図である。
【図7】図6の製造方法に使用するフォトマスクを模式的に示す図である。
【図8】図6の製造方法に使用するフォトマスクを模式的に示す図である。
【図9】図1のフレキシブルダイの変形例を示す裏面図である。
【図10】本発明のフレキシブルダイの他の例を示す正面図である。
【図11】図10のフレキシブルダイの要部縦断面図である。
【図12】図10及び図11のフレキシブルダイの製造方法の一例を模式的に示す図である。
【図13】本発明のフレキシブルダイの他の例を示す正面図である。
【図14】本発明のフレキシブルダイの他の例を示す正面図である。
【図15】図14のフレキシブルダイの要部縦断面図である。
【図16】ロータリ加工装置の一部を模式的に示す斜視図である。
【図17】エンボス加工用のフレキシブルダイの一例を示す正面図である。
【図18】切込み用押切刃を有するフレキシブルダイの一例を示す正面図である。
【図19】図17のフレキシブルダイをマグネットローラに巻き付ける際に発生する問題点を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1,101 フレキシブルダイ
2,102 フレキシブルベース
3 エンボス加工用凸部
103 押切刃
4,104 スリット状の凹条
P 加工パターン
R ローラ巻き付け方向
301 マグネットローラ
【出願人】 【識別番号】391002568
【氏名又は名称】株式会社塚谷刃物製作所
【出願日】 平成18年7月10日(2006.7.10)
【代理人】 【識別番号】100075502
【弁理士】
【氏名又は名称】倉内 義朗


【公開番号】 特開2008−12646(P2008−12646A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−189088(P2006−189088)