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【発明の名称】 用紙切断機構を備えたプリンタ
【発明者】 【氏名】櫻井 善之

【要約】 【課題】可動刃に起因する種々のトラブルを確実に防止し、非常に経済的で信頼性の高い用紙切断機構を備えたプリンタを提供する。

【構成】用紙切断機構35を備えたプリンタ1が、用紙RPを切断する可動刃45と、前記待機位置における前記可動刃の存否を検出可能な検出装置と、前記検出装置の検出結果に基づいて前記可動刃の動作を制御する制御装置と有するように構成する。さらに、前記制御装置47が、可動刃45が待機位置に到達したことを検出装置により検出した後、所定時間をおいてから前記検出装置による再度の検出を行い、前記可動刃45が前記待機位置に存在しないことが検出された場合には前記可動刃45を前記待機位置に戻すように制御を行うように設定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙切断機構を備えたプリンタであって、
前記用紙切断機構は、
待機位置及び折返し位置の間を往復移動して用紙を切断する可動刃と、
前記待機位置における前記可動刃の存否を検出可能な検出装置と、
前記検出装置の検出結果に基づいて前記可動刃の動作を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記可動刃が前記待機位置に到達したことを前記検出装置により検出した後、所定時間をおいてから前記検出装置による再度の検出を行い、前記可動刃が前記待機位置に存在しないことが検出された場合には前記可動刃を前記待機位置に戻すように制御することを特徴とする、用紙切断機構を備えたプリンタ。
【請求項2】
前記制御装置は、前記可動刃を前記待機位置に戻す制御をした後に、所定時間をおいてから前記検出装置による再々度の検出を行い、前記可動刃が前記待機位置に存在しないことが検出された場合には、前記用紙切断機構に異常が発生していると判定することを特徴とする、請求項1に記載の用紙切断機構を備えたプリンタ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記可動刃を前記待機位置に戻す際に前記可動刃を前記折返し位置まで移動させてから戻すことを特徴とする、請求項1又は2に記載の用紙切断機構を備えたプリンタ。
【請求項4】
用紙を固定可能な固定装置を備え、
前記固定装置は、前記可動刃が前記待機位置に存在しない場合には用紙を固定し、前記可動刃が前記待機位置に存在する場合には用紙の固定を解除することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の用紙切断機構を備えたプリンタ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙切断機構を備えたプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ロール紙等の連続した用紙に印刷を行うプリンタは、用紙切断機構(オートカッタ機構とも呼ばれる)を備えており、印刷した用紙を搬送方向に所定の長さずつ搬送しながら、この用紙切断機構を用いて幅方向に切断することによって、ページ単位の印刷物を形成するように構成されている。
【0003】
特許文献1には、このような用紙切断機構を備えたプリンタの一例が開示されている。この用紙切断機構では、搬送される用紙の上に設けた可動刃が、用紙の下に設けた固定刃と切断可能に係合した状態で用紙の幅方向(副走査方向)に往復移動することによって、用紙を所定の大きさに切断するようになっている。
【0004】
この可動刃は、用紙を切断するとき以外には、用紙の幅方向の一端部側における所定の待機位置に移動させ、そこで停止させるようになっている。
【特許文献1】特開2003−170391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、待機位置に移動させた可動刃が必ずしもそのまま待機位置に停止しているとは限らず、可動刃がこの待機位置から外れてしまう恐れがある。特に、長期間使用された可動刃では、可動刃を停止させる機構が消耗している可能性が高く、このような現象が発生し易い。このような場合に、上記特許文献1に記載のプリンタでは、可動刃が待機位置から外れていることを検出できずに、印刷工程をそのまま実行してしまうため、種々のトラブルが発生してしまう。
【0006】
例えば、可動刃が待機位置を外れて用紙の搬送経路を遮る位置に存在する場合には、用紙が搬送の際に可動刃に衝突して適切な印刷ができなくなってしまう。また、最悪の場合には、用紙が予想外の方向に進行して紙詰まり等が発生し、印刷そのものが行えなくなってしまう。このような事態に陥るとプリンタを修理するための経費及び手間が発生してしまう。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、可動刃に起因する種々のトラブルを確実に防止し、非常に経済的で信頼性の高い用紙切断機構を備えたプリンタを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明によれば、用紙切断機構を備えたプリンタであって、前記用紙切断機構は、待機位置及び折返し位置の間を往復移動して用紙を切断する可動刃と、前記待機位置における前記可動刃の存否を検出可能な検出装置と、前記検出装置の検出結果に基づいて前記可動刃の動作を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記可動刃が前記待機位置に到達したことを前記検出装置により検出した後、所定時間をおいてから前記検出装置による再度の検出を行い、前記可動刃が前記待機位置に存在しないことが検出された場合には前記可動刃を前記待機位置に戻すように制御することを特徴とする、用紙切断機構を備えたプリンタが提供される。
【0009】
上記プリンタにおいて、前記制御装置は、前記可動刃を前記待機位置に戻す制御をした後に、所定時間をおいてから前記検出装置による再々度の検出を行い、前記可動刃が前記待機位置に存在しないことが検出された場合には、前記用紙切断機構に異常が発生していると判定するようにしてもよい。
【0010】
上記プリンタにおいて、前記制御装置は、前記可動刃を前記待機位置に戻す際に前記可動刃を前記折返し位置まで移動させてから戻すようにしてもよい。
【0011】
上記プリンタは、用紙を固定可能な固定装置を備え、前記固定装置は、前記可動刃が前記待機位置に存在しない場合には用紙を固定し、前記可動刃が前記待機位置に存在する場合には用紙の固定を解除するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、プリンタが備える用紙切断機構の可動刃が待機位置から外れてしまった場合に従来よりも確実に検出することができ、可動刃が不測の位置に存在することによって発生する種々のトラブルを防止することが可能になる。これにより、プリンタの信頼性が向上する。また、プリンタの修理費用を低減することができ、経済性も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明をする。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係るプリンタ1の一例であるサーマルプリンタの構成を示す構成図である。図1に示すように、プリンタ1は、筐体2内において、インクリボン供給ローラ5から供給されたインクリボンRが、互いに対向配置されたサーマルヘッド10及びプラテンローラ11の間を通過してから、巻取ローラ15で巻取られるように構成されている。また、印刷媒体として帯状の用紙が巻かれたロール紙RPが、筐体2内下部に交換可能に設置されている。ロール紙RPは、搬送方向を略直角に変更する案内ローラ25を介して搬送ローラ22及びピンチローラ23の間に挟持されるようになっている。これら両ローラ22、23によって挟持されたロール紙RPは、搬送ローラ22が駆動装置(図示せず)によって駆動回転することによって、図1の矢印で示す略水平方向に搬送され、サーマルヘッド10及びプラテンローラ11の間をインクリボンRと共に通過するようになっている。
【0015】
プリンタ1による印刷は、サーマルヘッド10及びプラテンローラ11の間にインクリボンR及びロール紙RPを挟んだ状態で、サーマルヘッド10をプラテンローラ11側に押付けながら熱を加えることによってインクリボンRのインクを所望のドットパターンでロール紙RPに熱転写することで行われる。本実施の形態では、インクリボンRには、加熱による昇華性を有するY(イエロー)、M(マジェンダ)及びC(シアン)の三色の各インク層と、保護層となるオーバーコート層とが搬送方向に沿って所定の長さ単位(例えば、10インチ)で周期的に繰返して施されている。印刷の際には、搬送ローラ22が正転、逆転を繰返してロール紙RPを往復運動させることにより、これら3色のインクが順にロール紙RPに熱転写され、さらにその後にオーバーコートが行われる。これにより、3色が重ね合わせられ、銀塩写真に近い高品質の印刷物が得られるようになっている。
【0016】
サーマルヘッド10の搬送方向出側には、ロール紙RPを案内する案内板34が設けられており、さらに、この案内板34の搬送方向出側には、サーマルヘッド10によって印刷されたロール紙RPを幅方向に沿って切断する用紙切断機構35が設けられている。図1に示すように、用紙切断機構35は、搬送方向の上流側に設けた固定装置40でロール紙RPを固定した状態で、搬送方向の下流側に設けた可動刃45及び固定刃46を用いてロール紙RPを切断するように構成されている。
【0017】
用紙切断機構35には、図1に示すように、サーマルヘッド10、巻取ローラ15及び搬送ローラ22等に接続されてプリンタ1の印刷動作を制御する制御装置47が接続されている。この制御装置47の制御により用紙切断機構35は、印刷されたロール紙RPの先端部を適宜切断して印刷物Pを完成するように構成されている。筐体2には、用紙切断機構35の搬送方向出側の位置にスリット状の排出口38が設けられており、用紙切断機構35によって切断されて完成した印刷物Pは、自重によりこの排出口38を介して筐体2の外に排出されるようになっている。
【0018】
次に、用紙切断機構35について詳述する。図2は、用紙切断機構35を正面(図1中、左側)から見た構成図である。図2に示すように、固定装置40は、ロール紙RPを下側で支持するように水平に配置された平板形状の支持台50と、この支持台50の上方に設けられて鉛直方向に昇降可能な押さえロール51とを備えている。押さえロール51は、ロール紙RPの幅方向に沿って水平に配置されたシャフト52に例えばゴム等で形成された円筒形状の押さえ部分53を設けた構成を有する。本実施の形態では、押さえロール51は、所定の間隔をあけて配置された2つの押さえ部分53をシャフト52が軸方向に沿って貫通するように構成されている。また、これら2つの押さえ部分53は周方向に回転しないようにシャフト52に固定されている。
【0019】
シャフト52はロール紙RPの幅方向に沿って配置され、ロール紙RPの幅方向の長さよりも長くなっている。また、図2に示すように、シャフト52の両端部は、幅方向においてロール紙RPの両外側に各々設けられた支持壁55に昇降自在に固定されている。本実施の形態では、ロール紙RPの両外側の各支持壁55に鉛直方向に沿って長細形状のスロット(図示せず)が設けられており、シャフト52の両端部がこのスロット内に移動自在及び回転自在に取付けられている。これにより、シャフト52が軸方向を水平な姿勢を保持したまま昇降できるようになっている。
【0020】
後述するように、押さえロール51は、可動刃45が図2、3中において最も左側に移動した位置である待機位置Mに存在する場合に持上げられて図2に示す状態になる。一方、可動刃45が待機位置Mに存在しない場合には自重により下降し、図3に示すように、可動刃45が動く影響ではシャフト52が回転しない程度に、押さえ部分53でロール紙RPを固定するようになっている。
【0021】
可動刃45は周縁部が鋭角に形成された円板形状をしており、その周縁部が刃になっている。可動刃45は、ロール紙RPの上側で幅方向に沿って往復移動する水平な平板形状の支持体56に設けられている。これにより、可動刃45は、支持体56と共にロール紙RPの一端部側の待機位置Mと他端部側の折返し位置Nとの間を往復移動することができるようになっている。図4は、ロール紙RPの幅方向(図2中、左側)から支持体56及び可動刃45を見た構成図である。図2及び図4に示すように、可動刃45は、その円板面が鉛直方向に平行に配置されて支持体56上で回転自在に固定されている。また、可動刃45の周縁部(刃)は支持体56の開口部(図示せず)から下側に突出している。
【0022】
一方、固定刃46は、面が鉛直方向に平行な平板形状をしており、上側に刃を備えている。固定刃46は、図2に示すように、ロール紙RPの下側に幅方向に沿って配設されている。これにより、上側にある可動刃45が支持体56と共に幅方向に沿って待機位置Mと、図2、3中において最も右側に移動した位置である折返し位置Nとの間を往復移動する際に、下側にある固定刃46に沿って移動し、可動刃45及び固定刃46の間で水平に配置されたロール紙RPが幅方向に切断されるようになっている。
【0023】
本実施の形態では、支持体56は、無端ベルト60に駆動されてロール紙RPの幅方向に往復移動するようになっている。環状の無端ベルト60は、ロール紙RPの幅方向において支持壁55の両外側に設けられた2つのプーリ65、66に巻かれている。これら2つのプーリ65、66は同じ直径であり、その軸方向をロール紙RPの搬送方向に平行にして同じ高さに設けられている。これにより、無端ベルト60は、両プーリ65、66の間に水平に掛け渡された状態になっている。プーリ65は、例えばモータ等の駆動装置70によってギアを介して回転駆動され、常に一定の回転方向で回転するように構成されている。本実施の形態では、プーリ65は、図2に向かって見て反時計周りに回転するように設定されているため、両プーリ65、66間の上側にある無端ベルト60はプーリ66からプーリ65に進行し、下側にある無端ベルト60はプーリ65からプーリ66に進行するようになっている。
【0024】
本実施の形態では、支持体56は内部に欠け歯歯車(図示せず)を備えたギアボックス71を有する。一方、移動無端ベルト60には、この欠け歯歯車(図示せず)と噛合する歯(図示せず)が設けられている。欠け歯歯車(図示せず)の歯は、一部が欠けているため、両プーリ65、66間で上側又は下側の無端ベルト60のいずれか一方だけと噛合して支持体56を無端ベルト60に固定するように構成されている。これにより、支持体56が上側の無端ベルト60に固定された状態では、支持体56は無端ベルト60と共に折返し位置Nから待機位置Mに向かって移動し、支持体56が下側の無端ベルト60に固定された状態では、支持体56は無端ベルト60と共に待機位置Mから折返し位置Nに向かって移動するようになっている。
【0025】
支持体56が上側の無端ベルト60に固定された状態と下側の無端ベルト60に固定された状態との間での切替えは、支持体56が無端ベルト60と共に移動できなくなったタイミングで行われるようになっている。具体的に説明すると、例えば支持体56が固定刃46に沿って移動し、待機位置M又は折返し位置Nに到達した場合や、待機位置M及び折返し位置Nの間の途中の位置で何らかの問題が生じた場合には、支持体56が無端ベルト60と共に移動できない状態になる。この状態になると、無端ベルト60の移動により噛合している欠け歯歯車(図示せず)の歯に加わる負荷が上昇し、この負荷が所定値を越えると欠け歯歯車(図示せず)が回転して歯の噛合相手が無端ベルト60の上下で切替わる。これにより、欠け歯歯車(図示せず)が上側の無端ベルト60固定されていた場合には下側の無端ベルト60に固定された状態に切替わり、下側の無端ベルト60に固定されていた場合には上側の無端ベルト60に固定された状態に切替わる。さらに、支持体56の移動方向も切替わる。
【0026】
切断機構35は、可動刃45の存否を検出可能な検出装置として、待機位置Mにセンサ80を備えており、折返し位置Nにセンサ81を備えている。本実施の形態では、センサ80、81は、図2に示すように、板ばねを介してスイッチを設けた構成を有する。これにより、センサ80(81)は、支持体56が待機位置M(折返し位置N)に存在する場合に板ばねを介してスイッチが入り(ONになり)、支持体56が待機位置M(折返し位置N)から外れると板ばねが解放されてスイッチが切れる(OFFになる)ようになっている。これらセンサ80、81は制御装置47に接続されており、各々のスイッチの情報(スイッチのON/OFF情報)が制御装置47に入力されるように構成されている。これにより、制御装置47は、可動刃45が待機位置M(折返し位置N)に存在するか否かを検出し、この検出結果に基づいて無端ベルト60を駆動する駆動装置70の駆動を制御することができるようになっている。
【0027】
図2及び図4に示すように、支持体56の上には、シャフト52の長手方向(即ち、ロール紙RPの幅方向)に沿って徐々に高くなり、所定の最高点まで高くなってから徐々に低くなるように形成された略三角柱形状の支持用突出部90が設けられている。一方、シャフト52の待機位置Mには、ロール紙RPの搬送方向側に突出した柱状部分と、この柱状部分から鉛直方向下方に突出した平板部分とで構成される被支持突出部91が設けられている。これにより、支持体56が待機位置Mに存在する場合には、支持用突出部90が被支持用突出部91の平板部分を介してシャフト52を持上げ、押さえロール51を上昇させてロール紙RPの固定が解除されるようになっている。一方、支持体56が待機位置Mから完全に外れている場合には、シャフト52は自重により下降し、押さえ部分53がロール紙RPを上から押圧して固定するようになっている。
【0028】
なお、既述したように、支持用突出部90はシャフト52の長手方向に沿って傾斜した形状を有するため、支持体56が(折返し位置Nから)待機位置Mに戻る際には、待機位置Mに近付いた支持体56の支持用突出部90がシャフト52を徐々に持上げ、支持体56が待機位置Mに完全に到達した位置において、シャフト52が支持体56の支持用突出部90の最高点によって持上げられた状態になる。支持体56が待機位置Mから(折返し位置N側に)外れる場合についても同様に、待機位置Mから外れるに従って支持用突出部90が徐々に低くなるためにシャフト52が徐々に下降し、完全に外れた状態では押さえロール51が自重により下降してロール紙RPを固定するようになっている。
【0029】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るプリンタ1を用いて用紙を切断する際に制御装置47によって行われる制御方法を説明する。図5は、用紙を切断する際に制御装置47が実行する制御方法の手順を説明するフロー図である。
【0030】
まず、図5に示すように、用紙を切断する前の初期状態では、可動刃45は待機位置Mに停止している(ステップ1)。この状態では、図2に示すように、センサ80のスイッチは支持体56によって押圧されてONになっている。また、待機位置Mに存在する支持体56の支持用突出部90によって押さえロール51の被支持用突出部91が支持されて押さえロール51が上昇し、ロール紙RPの固定が解除された状態になっている。
【0031】
制御装置47は、搬送ローラ22等を制御し、サーマルヘッド10による印刷が終了したロール紙RPの先端を、案内板34を介してカット分だけ用紙切断機構35に搬送する(ステップ2)。本実施の形態では、サーマルヘッド10によって1枚の印刷物Pに該当する部分の印刷が終了する度に、この印刷物Pの該当部分より先にある不要部分(以下、カットスラグと呼ぶ)を切断除去する1回目の切断と、印刷物Pを完成させるように印刷物Pの該当部分をロール紙RPから切断する2回目の切断との計2回の切断が行われる。この場合には、1回目の切断であるので、ロール紙RPがカット分としてカットスラグの長さだけ搬送される。なお、1回目の切断と2回目の切断は、搬送するカット分が異なるだけで同様にして行われる。また、ロール紙RPの搬送方向において印刷物Pの該当部分同士の間に存在するカットスラグは、所望に応じて適切な大きさに設定されてよい。
【0032】
制御装置47は、駆動装置70を作動させて無端ベルト60の循環運動を開始する。これにより、下側の無端ベルト60に固定された支持体56が可動刃45と共に待機位置Mから折返し位置Nに向かって移動し始める。図3に示すように、可動刃45が支持体56と共に待機位置Mから外れると、センサ80のスイッチはOFFになる。また、支持体56の支持用突出部90が待機位置Mから移動するため、被支持用突出部91の支持が外れて押さえロール51が自重で下降し、ロール紙RPが押さえ部分53によって固定される。
【0033】
可動刃45が待機位置Mから折返し位置Nに向かって移動する際に、固定刃46に沿って移動し、押さえロール51で固定されたロール紙RPを幅方向に沿って切断し(ステップ3)、印刷物Pの該当部分より先にあるカットスラグが切落とされる。下側の無端ベルト60に固定された支持体56が可動刃45と共に折返し位置Nに到達する(ステップ4)。折返し位置Nに存在する支持体56によって、センサ81のスイッチが押圧されてONになる。制御装置47は、可動刃45が折返し位置Nに到達したことをセンサ81からの入力情報によって検出する。なお、下側の無端ベルト60に固定された支持体56が、折返し位置Nに到達すると、折返し位置Nからは下側の無端ベルト60と共にそれ以上進行できないため、無端ベルト60により所定値を越える負荷が加えられ、支持体56は下側の無端ベルト60に固定された状態から上側の無端ベルト60に固定された状態に切替わる。これにより、上側の無端ベルト60に固定された支持体56は可動刃45と共に折返し位置Nから待機位置Mに向かって移動し始める。可動刃45が支持体56と共に折返し位置Nから外れると、センサ81のスイッチはOFFになる。
【0034】
可動刃45が折返し位置Nから待機位置Mに向かって移動する際に、固定刃46に沿って移動し(ステップ5)、上側の無端ベルト60に固定された支持体56が可動刃45と共に待機位置Mに到達する(ステップ6)。待機位置Mに存在する支持体56によって、センサ80のスイッチが押圧されてONになる。制御装置47は、可動刃45が待機位置Mに到達したことをセンサ80からの入力情報によって検出し、駆動装置70を停止させて無端ベルト60の循環運動を停止させる。これにより、支持体56及び可動刃45が待機位置Mに停止する。なお、上側の無端ベルト60に固定された支持体56が、待機位置Mに到達すると、待機位置Mからは上側の無端ベルト60と共にそれ以上進行できないため、無端ベルト60により所定値を越える負荷が加えられ、支持体56は上側の無端ベルト60に固定された状態から下側の無端ベルト60に固定された状態に切替わる。
【0035】
制御装置47は、可動刃45を所定時間として設定された例えば500ミリ秒だけ待機させる(ステップ7)。この所定時間は、可動刃45が待機位置Mに到達した後にずれたりして移動していないことを確認するための時間であり、任意の値に設定してよい。
【0036】
所定時間経過後、制御装置47は、可動刃45が待機位置Mに存在している否かを、センサ80からの入力情報に基づいて再度の検出を行う(ステップ8)。可動刃45が待機位置Mに存在している場合(ステップ8のYes)には、可動刃45に問題が発生することなく用紙の切断が正常に終了したことが確認され、次の切断処理に備えて上記ステップ1に戻る。
【0037】
一方、可動刃45が待機位置Mに存在していない場合(ステップ8のNo)には、可動刃45が待機位置Mからずれてしまっているので、制御装置47は、駆動装置70を作動させて無端ベルト60の循環運動を開始することにより、可動刃45を待機位置Mに戻す(ステップ9)。なお、本実施の形態では、上述したように、可動刃45が待機位置Mに到達した時点で、支持体56は上側の無端ベルト60に固定された状態から下側の無端ベルト60に固定された状態に切替わっているため、可動刃45を待機位置Mに直接的に戻さずに、一度、待機位置Mから折返し位置Nに向けて移動させる。この移動の前に、制御装置47は、搬送ローラ22等を制御し、ロール紙RPを搬送方向と反対方向(図1に示す矢印方向と反対方向)に搬送し、可動刃45の軌道から引込むように退避させておく。
【0038】
折返し位置Nに到達した可動刃45は、下側の無端ベルト60に固定された状態から上側の無端ベルト60に固定された状態に切替わり、折返し位置Nから待機位置Mに向かって移動し、その後、待機位置Mに到達する。待機位置Mに存在する支持体56によって、センサ80のスイッチが押圧されてONになる。制御装置47は、可動刃45が待機位置Mに到達したことをセンサ80からの入力情報によって検出し、駆動装置70を停止させて無端ベルト60の循環運動を停止させる。これにより、支持体56及び可動刃45が待機位置Mに停止する。
【0039】
制御装置47は、可動刃45を所定時間として設定された例えば500ミリ秒だけ待機させる(ステップ10)。この所定時間は、上記ステップ7の所定時間と同様に、可動刃45が待機位置Mに到達した後にずれたりして移動していないことを確認するための時間であり、任意の値に設定してよい。
【0040】
所定時間経過後、制御装置47は、可動刃45が待機位置Mに存在している否かを、センサ80からの入力情報に基づいて再々度の検出を行う(ステップ11)。可動刃45が待機位置Mに存在している場合(ステップ11のYes)には、可動刃45に問題が発生することなく用紙の切断が正常に終了したことが確認され、次の切断処理に備えて上記ステップ1に戻る。
【0041】
一方、可動刃45が待機位置Mに存在していない場合(ステップ11のNo)には、可動刃45が待機位置Mから再びずれてしまっているために、制御装置47は、可動刃45に何らかの異常(エラー)が発生していると判定する(ステップ12)。本実施の形態では、上記ステップ12のように可動刃45に何らかの異常(エラー)が発生していると判定した場合には、制御装置47はプリンタ1の動作を停止し、筐体2の外側にあるメッセージ表示部(図示せず)にエラー表示をするように設定されている。
【0042】
上記ステップ1〜8(又は上記ステップ1〜11)の手順により1回目の切断が正常に終了してカットスラグの切断除去された後に、制御装置47は上記ステップ1に戻って上記ステップ1からの手順を実行することにより1回目の切断と同様に2回目の切断を行う。なお、2回目の切断の場合には、既述したように、ステップ2において搬送されるロール紙RPのカット分は、印刷物Pの該当部分であり、この印刷物Pの該当部分をロール紙RPから切断することによって印刷物Pを完成させる。切断されて完成した印刷物Pは、自重によりこの排出口38を介して筐体2の外に排出される。
【0043】
以上の実施の形態によれば、プリンタ1が備える用紙切断機構35の可動刃45が待機位置Mに到達後、例えば500ミリ秒の所定時間おいてから再度、待機位置Mに存在するか否かを検出するようにしたことによって、可動刃45が確実に待機位置Mに停止しているかどうかを従来よりも確実に検出できる。特に、可動刃45を支持する例えば支持体56の支持用突出部90等の各種の構成要素が磨耗したこと等に起因して待機位置Mに停止していられない状態になった場合等に、可動刃45の異常状態を従来よりも早期に検出することが可能になる。さらに、可動刃45がロール紙RPの搬送を遮る位置等、不測の位置に存在している状態を確実に見つけ出すことができ、種々のトラブルを未然に防止することが可能になる。これにより、プリンタ1の信頼性が向上すると共に、これらのトラブルによって発生してしまうプリンタ1の修理費用を削減することができ、経済性も向上する。
【0044】
さらに、可動刃45が待機位置Mから外れていたことを検出した場合に、一度目の再検出で可動刃45が異常な状態であると判定せずに、可動刃45を待機位置Mに戻して所定時間おいてから二度目の再検出(再々度の検出)によって待機位置Mに存在するか否かの検出を行い、この検出結果に基づいて可動刃45が異常な状態であるか否かを判定するようにしたことによって、可動刃45がたまたま待機位置Mから外れてしまった場合等のように重要度の低い問題に対しては制御装置47によって自動的に処理させることが可能になる。また、重要度の高い問題だけを適切に抽出して対応することが可能になる。
【0045】
さらに、上記ステップ9において可動刃45を待機位置Mに直接的に戻さずに、一度、折返し位置Nまで移動させてから待機位置Mに戻す場合に、制御装置47が、搬送ローラ22等を制御し、ロール紙RPを搬送方向と反対方向(図1に示す矢印方向と反対方向)に搬送し、可動刃45の軌道から引込むように退避させるようにしたことによって、検出作業の際に不必要な問題が発生することを防止することができる。また、可動刃45の進行方向を容易に切替えることができない従来公知の用紙切断機構を備えたプリンタに対する適用が非常に容易である。
【0046】
本発明の第2の実施形態として、シャフト52の折返し位置Nに待機位置Mと同様に被支持用突出部91を設けるようにしてもよい。これにより、可動刃45が折返し位置Nに到達した際に、支持用突出部90が被支持用突出部91の平板部分を介してシャフト52を持上げ、押さえロール51を上昇させてロール紙RPの固定が解除されるようになる。このように構成したことによって、本発明の第2の実施形態では、以下のようにして、可動刃45が待機位置M及び折返し位置Nとの間を往復する間に、カットスラグを切断除去する1回目の切断と印刷物Pを完成させる2回目の切断とを一度に行うことが可能になる。
【0047】
制御装置47は、1回目の切断を図5に示すステップ3で行った後に、ステップ4において可動刃45が折返し位置Nに到達したことをセンサ81からの入力情報によって検出した際に、駆動装置70を停止させて無端ベルト60の循環運動を停止させる。これにより、支持体56及び可動刃45を折返し位置Nに停止させる。上述したように本発明の第2の実施形態では、可動刃45が折返し位置Nに存在する場合には、ロール紙RPの固定が解除されているので、制御装置47は、2回目の切断を行うようにロール紙RPを印刷物Pに該当する分だけ搬送方向に搬送する。次いで、制御装置47は、駆動装置70を作動させて無端ベルト60の循環運動を開始することによって、図5のステップ5に示すように移動刃45を折返し位置Nから待機位置Mに移動させてロール紙RPを幅方向に沿って切断し、印刷物Pを完成させる。
【0048】
本発明の第2の実施形態によれば、可動刃45が待機位置M及び折返し位置Nとの間を往復する間に、ロール紙RPを2回切断することが可能になるため、用紙の切断作業が非常に効率的になる。また、本発明の第2の実施形態は、本発明の第1の実施形態と同様の効果も有する。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0050】
上述した実施形態においては、プリンタ1がサーマルヘッド10の加熱によりインクリボンRのインクをロール紙RPに熱転写して印刷を行うサーマルプリンタである場合について説明したが、プリンタ1は、印刷媒体として感熱紙を用いるサーマルプリンタであってもよい。さらに、プリンタ1は、例えばインクジェットプリンタ、レーザプリンタ等のようにサーマルプリンタ以外のプリンタであってもよい。
【0051】
上述した実施形態においては、可動刃45が上側に設けられており、下側の固定刃46に沿って移動することによってロール紙RPを切断する場合について説明したが、可動刃45は例えば下側に設けられている等、その他の構成であってもよいし、固定刃を用いずにロール紙RPを単独で切断するように構成されてもよい。また、可動刃45は円板形状以外の任意の形状であってもよい。さらに、固定刃46を用いる場合には、固定刃46は平板形状以外の形状であってもよい。
【0052】
上述した実施形態においては、ロール紙RPを固定する固定装置40は、可動刃45と共に移動する支持用突出部90が押さえロール51を昇降させることによって、ロール紙RPの固定や固定の解除を行うように構成されている場合について説明したが、ロール紙RPを固定する固定装置40は、可動刃45とは無関係に単独で動作するように構成されていてもよい。また、固定装置40が支持台50及び押さえロール51を有する場合について説明したが、固定装置40はその他の構成であってもよい。
【0053】
上述した実施形態においては、可動刃45の存否を検出可能な検出装置が、板ばねを介してスイッチを押圧するセンサ80、81である場合について説明したが、検出装置は、その他の構成であってもよい。
【0054】
上述した実施形態においては、1回目及び2回目の再検出後に待機する所定時間が500ミリ秒である場合について説明したが、1回目の再検出後に待機する所定時間と2回目の再検出後に待機する所定時間は異なる時間に設定してもよい。また、再検出後に待機する所定時間は任意の時間に設定してもよい。
【0055】
上述した実施形態においては、1回目の再検出により、可動刃45が待機位置Mに存在していない場合に、待機位置Mから折返し位置Nに移動させてから待機位置Mに戻す場合について説明したが、直接的に待機位置Mに戻すようにしてもよい。
【0056】
上述した実施形態においては、無端ベルト60を駆動させる駆動装置70の制御によって可動刃45の動作を制御する場合について説明したが、可動刃45の動作を直接的に制御する等してもよい。また、可動刃45を駆動する駆動機構として無端ベルト60及び欠け歯歯車が用いられている駆動機構について説明したが、可動刃45を駆動する駆動機構はその他の構成であってもよい。
【0057】
上述した実施形態においては、2回目の再検出(再々度の検出)により可動刃45が待機位置Mに存在しない場合に、可動刃45に異常(エラー)が発生していると判定する場合について説明したが、3回以上の再検出を行ってから可動刃45に異常(エラー)が発生していると判定するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、用紙切断機構を備えたプリンタに特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタ1の構成を示す構成図である。
【図2】用紙が固定装置40によって固定されていない状態である用紙切断機構35を正面から見た構成図である。
【図3】用紙が固定装置40によって固定されている状態である用紙切断機構35を正面から見た構成図である。
【図4】ロール紙RPの幅方向から支持体56及び可動刃45を見た構成図である。
【図5】用紙を切断する際に制御装置47が実行する制御方法の手順を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0060】
1 プリンタ
2 筐体
5 供給ローラ
10 サーマルヘッド
11 プラテンローラ
15 巻取りローラ
22 搬送ローラ
23 ピンチローラ
25 案内ローラ
34 案内板
35 用紙切断機構
38 排出口
40 固定装置
45 可動刃
46 固定刃
47 制御装置
50 支持台
51 押さえロール
52 シャフト
53 押さえ部分
55 支持壁
56 支持体
60 無端ベルト
65、66 プーリ
70 駆動装置
71 ギアボックス
80、81 センサ
90 支持用突出部
91 被支持用突出部
M 待機位置
N 折返し位置
P 印刷物
R インクリボン
RP ロール紙
【出願人】 【識別番号】000001225
【氏名又は名称】日本電産コパル株式会社
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】 【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司

【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男

【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明


【公開番号】 特開2008−55520(P2008−55520A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−232480(P2006−232480)