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【発明の名称】 複合素子の製造方法
【発明者】 【氏名】小野寺 一貴

【氏名】佐藤 徳之

【氏名】和泉 孝志

【要約】 【課題】切断工程においてクラックなどによる不良の発生を抑えることができる複合素子の製造方法を提供する。

【構成】PDIC基板10Aにプリズムバー20Aを接合した接合体30Aを形成する。プリズムカット工程で、プリズムバー20Aの厚み方向の一部に切込み20Bを入れる。第1工程ではプリズムバー20Aを厚み方向に切断する。このとき、PDIC基板10Aの厚み方向の一部まで切断してもよい。第2工程では、プリズムバー20Aの第1切断線10Bの延長方向にPDIC基板10Aを切断する。相対的に軟質な光学ガラスよりなるプリズムバー20Aを切断したのちに、より硬いシリコン(Si)よりなるPDIC基板10Aを切断することにより、硬いPDIC基板10Aを切断する際の抵抗を小さくして、ブレードにかかる負荷を軽減し、クラックを抑える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1素材上に前記第1素材とは異なる材質の第2素材を接合したのち、前記第2素材および第1素材をブレードを用いて切断することにより複合素子を製造する方法であって、
前記第2素材を厚み方向に切断する第1工程と、
前記第2素材の切断線の延長方向に前記第1素材を切断する第2工程と
を含むことを特徴とする複合素子の製造方法。
【請求項2】
前記第2素材は前記第1素材よりも軟質な材料により構成されている
ことを特徴とする請求項1記載の複合素子の製造方法。
【請求項3】
前記第1素材は光検出素子が形成された基板であり、前記第2素材は光学部品である
ことを特徴とする請求項1記載の複合素子の製造方法。
【請求項4】
前記第1工程において、前記第2素材の厚み方向の全部とともに前記第1素材の厚み方向の一部を切断する
ことを特徴とする請求項1記載の複合素子の製造方法。
【請求項5】
前記ブレードによる切断線の幅を40μm以上100μmとする
ことを特徴とする請求項1記載の複合素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、異種素材を接合したのち、ブレードを用いて所定の切断線にそって切断することにより複合素子を製造する方法に係り、特に、PDIC(Photo Diode Integrated Circuit)にプリズムを一体化したレーザカプラなどの複合光学素子の製造に好適な複合素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ用の半導体レーザは、例えば、PDICを形成したシリコン(Si)基板上にプリズムと共に集積化されたレーザカプラとして実用化されている。このようなレーザカプラの製造工程では、従来、図16(A)に示したように、PDIC基板110Aにプリズムバー120Aを接着した状態で、プリズムバー120Aに切込み120Bを設けたのち、図16(B)に示したように、PDIC基板110Aとプリズムバー120Aとをダイサーで一度に切断することにより、個々のレーザカプラを分離するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−153889号公報、第0041,0042段落
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来方法では、材質の異なるPDIC基板およびプリズムバーを一度に切断していたので、ブレードに大きな負荷がかかり、切断線が蛇行したり、PDIC基板にクラックや欠けが発生し、不良の原因となってしまうという問題があった。とりわけ、PDIC基板の裏側から発生するクラックは、目視などで発見することができず、重大な欠陥を招く可能性があった。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、切断工程でのクラックなどによる不良の発生を抑えることができる複合素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による複合素子の製造方法は、第1素材上に第1素材とは異なる材質の第2素材を接合したのち、第2素材および第1素材をブレードを用いて切断することにより複合素子を製造するものであって、第2素材を厚み方向に切断する第1工程と、第2素材の切断線の延長方向に第1素材を切断する第2工程とを含むものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の複合素子の製造方法によれば、第1工程において第2素材を厚み方向に切断したのちに、第2工程において、第2素材の切断線の延長方向に第1素材を切断するようにしたので、基板および光学部品などのような異種素材を切断する際にブレードにかかる負担を軽減し、基板等にクラックなどが発生するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施の形態に係るレーザカプラの製造方法の流れを表すものであり、図2ないし図14はこの製造方法を工程順に表したものである。まず、図2に示したように、シリコン(Si)ウェハに所定のウェハプロセスによりPDICを形成し、PDIC基板10Aを形成する(ステップS101)。PDIC基板10A上には、多数のチップ領域11Aが区画されており、各チップ領域11Aが一つのPDICに相当している。PDICは、光信号検出用の一対のフォトダイオード(光検出素子)PD1,PD2(図2には図示せず、図14参照。)、信号の電流−電圧(I−V)変換アンプおよび演算処理部(いずれも図示せず)などがIC化されたものであり、その構成および製造方法は特に限定されない。
【0009】
次いで、図3に示したように、各チップ領域11Aに、例えば銀ペーストを用いて、LOP(Laser on Photodiode )チップ12を接合する(ステップS102)。LOPチップ12は、半導体レーザ12Aを光出力モニター用のフォトダイオード12B上に載置したものであり、その構成および製造方法についても特に限定されない。
【0010】
続いて、図4に示したように、例えば、PDIC基板10A上の複数、例えば10個のチップ領域11A毎に、これらのチップ領域11Aにまたがる長さのバー状であり、光学ガラスよりなるプリズムバー20Aを、シリコーン樹脂などの紫外線硬化樹脂を用いて接合し、接合体30Aを形成する(ステップS103)。プリズムバー20Aの構成についても特に限定されず、例えば上記特許文献1に記載されたマイクロプリズムと同様のものを用いることができる。ここで、PDIC基板10Aが本発明における「第1素材」、プリズムバー20Aが本発明における「第2素材」の一具体例にそれぞれ対応する。
【0011】
(プリズムカット工程)
そののち、PDIC基板10Aの裏面を延伸シート(図示せず)に貼り付け、図5に示したように、プリズムバー20Aの厚み方向の一部に切込み20Bを入れるプリズムカット工程を行う(ステップS104)。このプリズムカット工程は、後述する第1工程および第2工程においてブレードにかかる負担を軽減するために、これらの工程よりも太い幅のブレードを使用してプリズムバー20Aの残し量(厚み)d1を調整するものである。具体的には、残し量d1に応じて、プリズムバー20Aの厚み方向におけるブレードの位置(以下、単に「ブレードの厚み方向の位置」という。)を調整したのち、ブレードまたは接合体30Aを厚み方向に垂直な方向に相対的に移動させ、接合体30Aの一端部から他端部に向かって順次切断を行う。なお、プリズムカット工程は、プリズムバー20Aの厚みが十分に薄い場合、必ずしも行う必要はない。
【0012】
プリズムバー20Aの残し量(厚み)d1は、例えば250μm以上とすることが好ましい。プリズムバー20Aの残し量d1をある程度厚くしておくことにより、第1工程および第2工程におけるプリズムバー20Aの欠けの発生率を低減することができるからである。
【0013】
プリズムカット工程で使用するブレードとしては、例えば、刃部41の厚みDが0.5mmないし0.6mm程度であり、先端の断面形状が図6に示したような台形のブレード40A、あるいは図7に示したような矩形のブレード40Bを用いることができる。特に、図6に示したブレード40Aが好ましい。第1工程および第2工程においてプリズムバー20Aの欠けを抑制することができるからである。なお、図5では、図6に示したブレード40Aを用いた場合の切込み20Bを表している。
【0014】
(第1工程)
プリズムカット工程を行ったのち、プリズムバー20Aを厚み方向に切断する第1工程を行う(ステップS105)。この第1工程では、例えば、図8に示したように、厚みDが40μmないし50μm程度の断面矩形の刃部41を基台42に取り付けたブレード40Cを用い、切断したい厚みに応じてブレード40Cの厚み方向の位置を調整したのち、ブレード40Cまたは接合体30Aを厚み方向に垂直な方向に相対的に移動させ、接合体30Aの一端部から他端部に向かって順次切断を行う。このときに形成される第1切断線10Bは、図9に示したように、プリズムバー20AとPDIC基板10Aとの境界線まで達していてもよいし、図10に示したように、プリズムバー20AとPDIC基板10Aとの境界線に達しなくてもよい。特に、図11に示したように、プリズムバー20Aの残り厚みの全部と、PDIC基板10Aの厚み方向の一部とを切断し、PDIC基板10Aに案内溝10Cを設けることが好ましい。PDIC基板10Aのほうがプリズムバー20Aよりも硬いので、軟らかいプリズムバー20Aのみを切断する場合に比べてブレードの走行を安定させることができ、プリズムバー20Aの剥がれ・飛びを抑えることができるからである。案内溝10Cの深さd2は、例えば、PDIC基板10Aの厚みが330μmである場合、100μm程度とする。
【0015】
(第2工程)
第1工程を行ったのち、図11に示したように、プリズムバー20Aの第1切断線10Bの延長方向に、すなわち第1切断線10Bからより深くなる方向に、PDIC基板10Aを切断する第2工程を行う(ステップS106)。すなわち、ブレード40Cの厚み方向の位置を、接合体30A全体を切断できるように調整したのち、ブレード40Cまたは接合体30Aを厚み方向に垂直な方向に相対的に移動させ、接合体30Aの一端部から他端部に向かって第1切断線10Bに沿って順次切断を行う。このように、相対的に軟質なプリズムバー20Aを切断したのちに、より硬いPDIC基板10Aを切断することにより、PDIC基板10Aを切断する際の抵抗を小さくして、ブレードにかかる負荷を軽減することができ、クラックを抑えることができる。また、PDIC基板10Aの裏面からクラックが発生するのを抑えることができ、品質を向上させることができる。
【0016】
第1工程および第2工程で使用するブレードは同一のものでもよいし、異なっていてもよい。また、第1工程による第1切断線10Bの幅w1および第2工程による第2切断線10Dの幅w2は、それぞれ例えば、50μm以上200μm以下および40μm以上100μm以下とすることが好ましい。
【0017】
なお、本実施の形態のように第1工程と第2工程とに分けてフルカット工程を行った場合、第2切断線10Dは、図13に示したように、ブレードの揺らぎなどにより、二度切断されたプリズムバー20A内の幅のほうが、一度しか切断されていないPDIC基板10A内の幅よりも広くなる可能性がある。よって、従来のように両者を一度に切った場合とは、切断線の断面形状および切断線の側面に生じる擦り傷の状態が異なってくるものと予想される。
【0018】
以上により、図14に示したようなPDIC10にプリズム20が接着されたレーザカプラ50が個々に分離される。
【0019】
このように本実施の形態では、第1工程でプリズムバー20Aを切断したのち、第2工程でPDIC基板10Aを切断するようにしたので、材質の異なるPDIC基板10Aおよびプリズムバー20Aを切断する際にブレードにかかる負担を軽減し、PDIC基板10Aにクラックなどが発生するのを抑制することができる。また、目視では発見困難な裏面からのクラック発生を抑え、品質を向上させることができる。更に、同一ブレードでフルカットする場合には、ステップカット法などのように第1工程と第2工程とでブレードを変更する必要がなく、1種類のブレードで対応することができ、作業効率も高めることができる。
【0020】
加えて、第1工程において、プリズムバー20Aの残り厚みの全部と、PDIC基板10Aの厚み方向の一部とを切断するようにすれば、プリズムバー20Aよりも硬いPDIC基板10Aに案内溝10Cを設けることによりブレードの走行を安定させることができ、プリズムバー20Aの剥がれ・飛びを抑えることができる。
【実施例】
【0021】
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0022】
上記実施の形態と同様にして、レーザカプラを作製し、ロット別に不良率を調べた。その際、プリズムカット工程において、プリズムバー20Aの残し量(厚み)d1が300μmとなるように切断したのち、第1工程において、プリズムバー20Aの残り厚みの全部と、PDIC基板10Aの厚み方向の一部とを切断することにより、PDIC基板10Aに深さ100μmの案内溝10Cを設けた。得られた結果を図15に示す。
【0023】
(比較例)
また、従来のように、プリズムバー120Aに切込み120Bを設けたのち、PDIC基板110Aとプリズムバー120Aとを一度に切断し、同様に不良率を調べた。その結果を図15に併せて示す。
【0024】
図15から分かるように、実施例によれば、比較例に比べて不良率が著しく改善されていた。また、実施例で得られたレーザカプラを観察したところ、PDIC10の裏面にクラックの発生はまったく認められなかった。すなわち、第1工程でプリズムバー20Aの厚み方向の全部と、PDIC基板10Aの厚み方向の一部とを切断したのち、第2工程でPDIC基板10Aを切断するようにようにすれば、クラックの発生を抑制し、品質を向上させることができることが分かった。
【0025】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態および実施例において説明した各要素の材料および厚み、または切断条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の切断条件としてもよい。また、例えば、上記実施の形態および実施例では、ブレードの構成および寸法を具体的に挙げて説明したが、他の構造または寸法のブレードを用いてもよい。
【0026】
更に、上記実施の形態および実施例では、フルカット工程を第1工程および第2工程の二段階に分けて行う場合について説明したが、本発明は、フルカット工程を三段階以上に分けて行う場合にも適用可能である。例えば、プリズムバー20Aのフルカット工程を二段階以上に分けて行ったのち、PDIC基板10Aのフルカット工程を行う場合は、プリズムバー20Aのフルカット工程の最終段階が本発明にいう「第1工程」、PDIC基板10Aのフルカット工程が本発明にいう「第2工程」にそれぞれ対応するものとなる。
【0027】
加えて、上記実施の形態および実施例では、PDIC基板10Aおよびプリズムバー20Aという異なる二つの素材を接合した接合体30Aを例として説明したが、本発明は、異なる素材が三つ以上接合された場合にも適用可能である。それらの素材は、互いに重ねて接合されていてもよいし、一つの素材の同一面上に他の二つ以上の素材が接合されていてもよい。三つ以上の素材を切断する場合には、それらのうち任意の重なり合う二素材の切断工程について本発明を適用可能である。例えば、最後に切断される素材に接合された素材を切断する工程(最後から二番目の切断工程)を本発明にいう「第1工程」と見た場合には、最後に切断される素材の切断工程が本発明にいう「第2工程」に相当する。
【0028】
更にまた、本発明はレーザカプラなどの半導体レーザ集積素子の製造に限らず、シリコン(Si)ICにプリズム,レンズ,光学結晶材料,ミラーまたは位相板などの光学素子または光学部品を実装したものなど、材質の異なる第1素材と第2素材とを接合したさまざまな複合素子に広く応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態に係るレーザカプラの製造方法の流れを表す図である。
【図2】図1に示したレーザカプラの製造方法を工程順に表す図である。
【図3】図2に続く工程を表す平面図である。
【図4】図3に続く工程を表す断面図である。
【図5】図4に続く工程を表す断面図である。
【図6】図5に示した工程で用いるブレードの構成例を表す側面図である。
【図7】ブレードの他の構成例を表す側面図である。
【図8】図9ないし図11および図12に示した工程で用いるブレードの構成例を表す側面図である。
【図9】図5に続く工程の一例を表す断面図である。
【図10】図5に続く工程の他の例を表す断面図である。
【図11】図5に続く工程の更に他の例を表す断面図である。
【図12】図9ないし図11に続く工程を表す断面図である。
【図13】図12に示した工程で形成される切断線の形状を説明するための断面図である。
【図14】図12に示した工程で作製されるレーザカプラの構成を表す斜視図である。
【図15】本発明の実施例の結果を表す図である。
【図16】従来のレーザカプラの製造方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10…PDIC、10A…PDIC基板、10B…第1切断線、10C…案内溝、10D…第2切断線、11A…チップ領域、12…LOPチップ、20…プリズム、20A…プリズムバー、20A…切込み、30A…接合体、41…刃部、42…基台、50…レーザカプラ
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】 【識別番号】100098785
【弁理士】
【氏名又は名称】藤島 洋一郎

【識別番号】100109656
【弁理士】
【氏名又は名称】三反崎 泰司


【公開番号】 特開2008−55519(P2008−55519A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−232448(P2006−232448)