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【発明の名称】 シート材切断装置
【発明者】 【氏名】小林 功

【要約】 【課題】引き出したシート材を所望の長さで切断し、かつ、引き出しのための掴み代を残すことができるとともに、シート材の引出し動作と切断動作とを一方の手だけで容易に行うことができるようにする。

【構成】本発明は、シート材Sを引き出して所要の長さに切断するためのものであり、上記シート材Sを切断するための切断刃72が設けられているとともに、シート材Sの引き出しに従ってシート切断位置(エ)に向けて往動し、かつ、シート切断位置(エ)でシート材Sを切断することにより、引き出したシート材Sを残したまま引出し開始位置(ウ)に向けて復動する切断機構Eを設けている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材を所要の長さに切断するためのシート材切断装置において、
シート材を切断するための切断刃が設けられているとともに、
シート材の引き出しに従ってシート切断位置に向けて往動し、かつ、シート切断位置でシート材を切断することにより、引き出したシート材を残したまま引出し開始位置に向けて復動する切断機構を有することを特徴とするシート材切断装置。
【請求項2】
ケース体内に収容しているシート材を引き出して所要の長さに切断するためのシート材切断装置において、
上記シート材を切断するための切断刃が設けられているとともに、
シート材の引き出しに従ってシート切断位置に向けて往動し、かつ、シート切断位置でシート材を切断することにより、引き出したシート材を残したまま引出し開始位置に向けて復動する切断機構を設けたことを特徴とするシート材切断装置。
【請求項3】
切断機構は、シート切断位置と引出し開始位置との間で揺動可能に支持されているとともに、引出し開始位置からシート切断位置に至る途中位置及びシート切断位置において、シート材に加わる引出し力の解除により引出し開始位置に復動するように重心を設定していることを特徴とする請求項1又は2に記載のシート材切断装置。
【請求項4】
引き出されるシート材に所要の張力を与える張力付与部を、切断機構のシート材の引出し方向上流側に配設しているとともに、
切断機構は、張力付与部によって生じさせた張力によってシート材との間で摩擦力を生じさせる摩擦力生成部が形成されており、その摩擦力生成部における摩擦力により引出し開始位置からシート切断位置に往動することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のシート材切断装置。
【請求項5】
張力付与部には、シート材の材質に応じて張力を増減調整するための張力調整部材が設けられていることを特徴とする請求項4に記載のシート材切断装置。
【請求項6】
切断機構又は張力付与部若しくはそれら双方に、シート材の座屈を防止する座屈防止部が配設されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシート材切断装置。
【請求項7】
シート材がロール状に巻回されており、ケース体内の底部に、ロール状にしたシート材を繰り出し自在に載置する繰出しロール部材を配設していることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のシート材切断装置。
【請求項8】
切断機構が引出し開始位置にあるときに、シート材を切断する方向への引き出しを規制する規制部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシート材切断装置。
【請求項9】
シート材の引き出しに伴う転倒を防止するためのウエイトをケース体の底部に配設していることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシート材切断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミ箔等の金属製薄板,紙等のシート材を所要の長さだけ引き出して、次回の引き出しのためにシート材の掴み代を残して切断するシート材切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシート材切断装置として、米国特許第5107732号明細書(特許文献1)、実用新案登録第3118518号公報(特許文献2)、実開昭63−197843号公報(特許文献3)、特開平8−98786号公報(特許文献4)に記載された構成のものがある。
【0003】
特許文献1に記載されているシート材切断装置は、離間した細長いジョー部材の第1の対と、離間した細長いジョー部材の第2の対とからなり、一方の対のジョー部材に他方の対のジョー部材に補完する凹部を形成し、斯かる一方の対の夫々のジョー部材が斯かる他方の対のジョー部材と協働するよう配置され、更に、両対のジョー部材が互いに接離動作するようジョー部材を支持する取付手段と、該第1、第2のジョー部材の一方の、シート材料を切断するために独立して運動できるジョー部材間に設けられた細長い切断手段を備えてなり、該切断手段を隠す第1位置と該切断手段を露呈させる第2位置との間に該独立可動のジョー部材を互いに相対的に独立運動するよう該取付手段に取り付け、該第1の対のジョー部材のおよび該第2の対のジョー部材の間に該シート部材を介在させた状態で該第1、第2のジョー部材を互いに向かって移動させ、該独立可動のジョー部材の一方である協働するジョー部材の一方が該第2の対の対応するジョー部材と協働するように最初に該第1の対のジョー部材の一方を該凹部の一方に移動させて該シート材料を把持し、その後、該シート部材を該凹部の他方に付勢してこれによって該凹部間の領域で該シート材料に該ジョー部材の横方向に張力を与えるよう該凹部の他方内部に確実に収まるまで該第1の対の他方のジョー部材が他方の凹部に続いて移動するように該シート部材を把持した上で該協働ジョー部材の一方を該独立可動のジョー部材の他方に相対させて移動させ、次に、該独立可動のジョー部材を同時に斯かる第2位置に移動させて該切断手段を露呈させ、これによってシート部材を切断する領域で張力を付与されるシート部材に該切断手段を係合させてなるものである。
【0004】
特許文献2に記載されているシート材切断装置は、ロールペーパを収納するロールペーパーボックスの上側開口に、2つの天板を開閉可能に取り付けた構成になっているものであり、また、上側開口の一側辺縁には鋸刃を取り付けているとともに、2つの天板のうちの一方のものには、シート材の逆もどりを防ぐためのストッパを固定した構成になっている。
【0005】
特許文献3に記載されているシート材切断装置は、ホルダ上部に開閉可能に取り付けられた蓋板の前端部に、ホルダに収容されたロールペーパの引き出し端部を常に外方に導出せしめるべく適宜長さの延出端部を形成した構成のものである。
【0006】
特許文献4に記載されているシート材切断装置は、ペーパの引出し口にガイド部を有するペーパーロール装着用の支持体と、この支持体に回動自在に取り付けられたカバーと、引き出されるペーパーを挟持すべく前記ガイド部に対向して配置され、ロール軸線と平行な回転軸を有するブレーキ板と、このブレーキ板に対して距離をおいて手前側に配置されると共に、ロール軸線と平行な回転軸を有するペーパーを切断するためのカッタと、一端側が前記ブレーキ板に連結され且つ他端側が前記カッターに連結されてブレーキ作動時に前記カッタを露出させるリンクとより成り、前記ブレーキ板とカッタとの間に距離を設けたことにより、切断後のペーパに次回の掴み代を残す構成になっている。
【特許文献1】米国特許第5107732号明細書
【特許文献2】実用新案登録第3118518号公報
【特許文献3】実開昭63−197843号公報
【特許文献4】特開平8−98786号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載のシート材切断装置によりシート材を切断する場合、掴み代を掴んで所要の長さ分だけ引き出しておき、第1のジョー部材を押し下げ、この第1のジョー部材に取り付けられている細長い切断手段にシート材を押し当てて切断するので、一方の手でシート材を掴む操作を行うとともに、他方の手で第1のジョー部材を押さえる操作を行うか、いずれか一方の手でシート材を掴んで引き出した後、その一方の手をシート材から離した後、その同じ手で第1のジョー部材を押し下げる動作を行う必要がある。
【0008】
特許文献2に記載のシート材切断装置によりシート材を切断する場合、シート材がいずれか天板に沿った状態になっているために、指で掬いあげるという動作を必要とする。また、一方の手で掴み代を掴んで下方向に引っ張ることにより鋸刃により切断するが、同時に他方の手でシート材をボックスに押し付けた保持しなければならず、両手を同時に使用しなければならない。
また、天板の下面にシート材の逆もどりを防ぐためのストッパを固定してはいるものの、ロールペーパの直径が小さくなるのに従って、引き出されているシート材にストッパが接触しなくなり、シート材の逆もどりを常に防止できるものではない。
【0009】
特許文献3に記載のシート材切断装置によりシート材を切断する場合、シート材の掴み代が鉛直下方に垂下しているために、シート材を切断するためには指で掴みあげる必要がある。
また、一方の手で掴み代を掴んで上方向に引っ張りあげて切り刃に押し当てて切断する動作を行うのと同時に、他方の手でシート材を蓋板を押さえつけて保持しておく必要があり、両手を同時に使用しなければならない。
【0010】
特許文献4に記載のシート材切断装置によりシート材を切断する場合、片手で掴み代を掴んで下方向に引き出した後、上方向に引っ張ってカッタにより切断するようになっているが、シート材の引出し方向が下方向に限定されるという制約があるとともに、カッタ及び他の部材によって視界を妨げられて操作性が必ずしも良好ではなく、所望の長さにシート材を切断できないという欠点がある。
【0011】
そこで本発明は、引き出したシート材を所望の長さで切断し、かつ、引き出しのための一定長さ以上の掴み代を残すことができるとともに、シート材の引出し動作と切断動作とを一方の手だけで容易に行うことができるシート材切断装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明の構成は、次のとおりである。
請求項1に記載したシート材切断装置は、シート材を所要の長さに切断するためのものであり、シート材を切断するための切断刃が設けられているとともに、シート材の引き出しに従ってシート切断位置に向けて往動し、かつ、シート切断位置でシート材を切断することにより、引き出したシート材を残したまま引出し開始位置に向けて復動する切断機構を有することを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載したシート材切断装置は、ケース体内に収容しているシート材を引き出して所要の長さに切断するためのものであり、上記シート材を切断するための切断刃が設けられているとともに、シート材の引き出しに従ってシート切断位置に往動し、かつ、シート材をシート切断位置で切断することにより、引き出したシート材を残したまま引出し開始位置に復動する切断機構を設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載のシート材切断装置は、請求項1又は2に記載した切断機構が、切断機構は、シート切断位置と引出し開始位置との間で揺動可能に支持されているとともに、引出し開始位置からシート切断位置に至る途中位置及びシート切断位置において、シート材に加わる引出し力の解除により引出し開始位置に復動するように重心を設定していることを特徴としている。
【0015】
請求項4に記載のシート材切断装置は、請求項1〜3のいずれかに記載した構成に加えて、引き出されるシート材に所要の張力を与える張力付与部を、切断機構のシート材の引出し方向上流側に配設しているとともに、切断機構は、張力付与部によって生じさせた張力によってシート材との間で摩擦力を生じさせる摩擦力生成部が形成されており、その摩擦力生成部における摩擦力により引出し開始位置からシート切断位置に往動することを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載のシート材切断装置は、請求項4に記載した張力付与部に、シート材の材質に応じて張力を増減調整するための張力調整部材が設けられていることを特徴としている。
【0017】
請求項6に記載のシート材切断装置は、請求項1〜5のいずれかに記載した切断機構又は張力付与部若しくはそれら双方に、シート材の座屈を防止する座屈防止部が配設されていることを特徴としている。
【0018】
請求項7に記載のシート材切断装置は、請求項1〜6のいずれかに記載したシート材がロール状に巻回されており、ケース体内の底部に、ロール状にしたシート材を繰り出し自在に載置する繰出しロール部材を配設していることを特徴としている。
【0019】
請求項8に記載のシート材切断装置は、請求項1〜7のいずれかに記載した切断機構が引出し開始位置にあるときに、シート材を切断する方向への引き出しを規制する規制部材が設けられていることを特徴としている。
【0020】
請求項9に記載のシート材切断装置は、請求項1〜8のいずれかに記載したシート材の引き出しに伴う転倒を防止するためのウエイトをケース体の底部に配設されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1,2に記載した発明によれば、シート材の引き出しに従ってシート切断位置に往動し、かつ、シート材をシート切断位置で切断することにより、引き出したシート材を残したまま引出し開始位置に復動する切断機構を設けているので、引き出したシート材を所望の長さで切断し、かつ、引き出しのための一定長さ以上の掴み代を残すことができる。
【0022】
請求項1,2に記載の発明で得られる効果に加え、各請求項に記載した発明によれば次の各効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、切断機構が、シート切断位置と引出し開始位置との間で揺動可能に支持されているとともに、引出し開始位置からシート切断位置に至る途中位置において、シート材に加わる引出し力の解除により引出し開始位置に復動するように重心を設定されているので、引出し開始位置に復動させるための機構等を設ける必要がなく、構成を簡略化することができる。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、摩擦力生成部における摩擦力により引出し開始位置からシート切断位置に往動するので、引き出しのための機構を必要とせず簡略化を図ることができる。また、切断機構が引出し開始位置に復動するときにも、引き出されているシート材をそのまま残置させられる。さらに、シート材の引出し動作と切断動作とを一方の手だけで容易に行うことができる。
【0024】
請求項5に記載の発明によれば、シート材の材質に応じて張力を増減調整するための張力調整部材を設けているので、シート材の材質等に対応した張力を付与できる。
【0025】
請求項6に記載の発明によれば、切断機構又は張力付与部若しくはそれら双方に配設した座屈防止部により、シート材に座屈が生じることを防ぐことができ、座屈の発生に伴う動作異常を防止できる。
【0026】
請求項7に記載の発明によれば、ロール状にしたシート材を繰り出し自在に載置する繰出しロール部材をケース体内の底部に配設しているので、シート材の引き出しを容易に行うことができるとともに、単位面積あたりの重量が大きな例えばアルミ箔等をシート材としたときにも、引き出しに伴う傷等の生成を防ぐことができる。
【0027】
請求項8に記載の発明によれば、切断機構が引出し開始位置にあるときに、シート材を切断する方向への引き出しを規制することができるので、シート材が不時に切断されてしまうことを防止できる。
【0028】
請求項9に記載の発明によれば、シート材の引き出しに伴う転倒を防止するためのウエイトをケース体の底部に配設しているので、小型化を図りつつシート材の引き出しに伴う転倒を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るシート材切断装置の外観斜視図、図2は、図1に示すシート材切断装置の一部を取り外すとともに後側分割体を開いた状態の断面斜視図、図3は、図1に示すシート材切断装置のケース体のみを示すものであり、(A)はその正面図、(B)はその側面図、図4は、図1に示すシート材切断装置の断面図であり、後側分割体を開いた状態を示している。
【0030】
本発明の一実施形態に係るシート材切断装置Aは、シート材載置部C、移動抑制部D、及び切断機構Eをケース体B内に配設した構成になっている。
ケース体Bは、前側分割体10と後側分割体20を連結することによって、内部に所要の収容空間を区画形成した略縦長方形のものである。
【0031】
前側分割体10は、前壁11の左右両側に側壁12,12を折曲形成した平面視略コ字形に形成されているとともに、前壁11の上半部には横長の開口13を形成している。
前壁11の上辺縁には、詳細を後述する切断刃72によってシート材Sを切断できるように、そのシート材Sの引出し方向を規制するL字形の規制部材14,14を開口13の辺縁13a,13aの上部であって互いに対向する位置に突出して形成している。
前壁11と側壁12,12の下辺縁は、底壁をなすウエイト支持片15が水平に折曲連成されており、これにより詳細を後述するウエイト部Fを支持するようにしている。
【0032】
ウエイト部Fは、図2,4,5に示すように、シート材Sの引き出しによって、ケース体Bがシート材Sの引出し動作による転倒を防止するためのものであり、上面を開口した器体30と、この器体30の上面開口30aを閉じる蓋板31とからなり、その器体30の内部に鉛等の比重の大きな金属製のウエイト32を収容した構成になっている。
なお、ウエイトとしては金属製のものに限らず、例えばコンクリート等を容器30に充填することができ、また、容器にウエイトを収容した構成のものに限らず、鉄板等であってもよい。
【0033】
器体30は、底壁33、前後壁34,35及び側壁36,36により直方体形に囲繞形成されており、側壁36,36の前半部が上記した前側分割体10の側壁12,12間に挿入嵌合されるように形成されている。
【0034】
後側分割体20は、ウエイト部Fの側壁36と同じ高さにした固定部21と、可動部22とからなる。
固定部21は、後壁23の左右両側辺縁に側壁24,24を折曲形成した断面略コ字形に形成されている。
可動部22は、後壁25の左右両側辺縁に側壁26,26を直角に折曲形成し、また、上側辺縁に上壁27を傾斜形成した断面略コ字形に形成されており、後壁25の下辺縁に互いに離間して形成した蝶番部材37,37、及び器体30の後壁35の上辺縁に互いに離間して形成された蝶番部材38,38を介し、前側分割体10に連結した閉位置(ア)と、この閉位置(ア)から所要の角度に開いた開位置(イ)との間で開閉自在に支持されている。
【0035】
本実施形態における「シート材S」は、アルミ箔等の金属製薄板,紙,合成樹脂等の樹脂製薄板等である。なお、本実施形態においては、図2,4に示すように、シート材Sをロール状に巻回したロールを「R」で示す。なお、「R′」は、シート材Sを引き出して小径となったロールを示している。
【0036】
ところで、ウエイト部Fの蓋板31上面、従ってまた、ケース体10内の底部には、ロール状にしたシート材Sを繰り出し自在に載置するシート材繰出し部Gを配設している。
【0037】
繰出しロール部Gは、一対の繰出しロール40,40を互いに所要の間隔にして配列したものである。
繰出しロール40(40)は、蓋板31の両側端部及び中央部に突設した3つの支持片41,42,43間にロール部材44,44を回転自在に支持した構成のものであり、これにより、ロール状にしたシート材Sを小さな引出し力で引き出せるようにしている。また、単位面積当たりの重量が大きアルミ箔等をシート材として採用した場合にも、引き出しに伴って傷をつけることなく、軽快かつ良好に引き出すことができる。
【0038】
移動抑制部Dは、引き出されるシート材Sに所要の張力を与える張力付与部としての機能を有するものであり、ケース体B内の上部に配設されている。換言すると、移動抑制部Dは、詳細を後述する切断機構Eのシート材Sの引出し方向上流側に配設されている。
【0039】
この移動抑制部Dは、前側分割体10側に配設した受け台50と、後側分割体20側に配設した押さえ機構60とからなり、前側分割体10に後側分割体20を連結することにより、受け台50に押さえ機構部60が対向し、それら受け台50と押さえ機構部60との間を通過するシート材Sを押圧して所要の摩擦力を生じさせるようにしている。
【0040】
受け台50は、前側分割体10の側壁12,12の起立辺縁12a,12a上部に一体にして突設した取付け片51,51間に断面略V字形の当接部材52を架設したものである。
当接部材52の上側辺縁52aには、シート材Sの座屈を防止するための複数の座屈防止部材53…が配設されている。
座屈防止部材53は平面視直方体形に形成されており、当接部材52の両端部間に互いに一定の間隔をおき、かつ、受け台50上を通過するシート材Sと略並行にして形成されている。
【0041】
また、可動部22の上壁27には、座屈防止部材53…の間隔に対向するように一定の間隔で配列された座屈防止部材100…が突設されている。
座屈防止部材100は座屈防止部材53とほぼ同じ長さに形成されているとともに、座屈防止部材76…の間隔にほぼ一致して配列されている。
【0042】
一方、押さえ機構部60は、後側分割体20の上壁27内面に互いに離間して突設した円柱状の支持部材61,61と、これらの支持部材61,61に鉛直面で遊動可能に支持された当接部材62と、支持部材61,61に介装されて当接部材62を付勢するためのコイルスプリング63,63とからなる。
この構成により、当接部材62を上記した受け台50に正対させた状態で所要の弾圧力を付与できるようにしている。換言すると、シート材Sとの間で所要の摩擦力を生じさせて、引き出されるシート材Sに適正な張力を付与できるとともに、引き出されたシート材Sがケース体10内に逆戻りすることを防止している。
すなわち、移動抑制部Dは、引き出されるシート材Sに適正な張力を付与する機能とともに、引き出されたシート材Sがケース体10内に逆戻りすることを防止する機能を有している。
【0043】
次に、一例に係る切断機構Eについて、図1,2,4を参照して説明する。
一例に係る切断機構Eは、シート材Sの引き出しに従ってシート切断位置(エ)に向けて往動し、かつ、シート切断位置(エ)でシート材Sを切断することにより、引き出したシート材Sを残したまま引出し開始位置(ウ)に向けて復動するように構成されている。
【0044】
具体的には、前側分割体10の内面の下部に突設した縦長の軸支片39,39にそれぞれ軸70,70が回動自在に支持されており、切断機構Eは、それらの軸70,70を中心として揺動自在に支持された正面視縦長方形の基板71の上辺縁に、切断刃72を配設するとともに、摩擦力生成部H、座屈防止部Iを形成した構成のものであり、シート切断位置(エ)と引出し開始位置(ウ)との間で揺動可能に支持されている。
【0045】
本実施形態においては、引出し開始位置(ウ)からシート切断位置(エ)に至る途中位置及びシート切断位置(エ)において、シート材Sに加わる引出し力の解除により引出し開始位置(ウ)に復動するように重心Jを設定している。
すなわち、図4に示す側面視において、軸70,70を通る鉛直線O1よりも図示右側に重心Jを位置させている。これにより、シート材Sに加わる引出し力の解除により、切断機構Eを引出し開始位置(ウ)に復動するようにしている。
【0046】
「シート切断位置(エ)」は、基板71が前側分割体10の前壁11に当接した位置、また、「引出し開始位置(ウ)」は、後述する座屈防止部Iの上側接触片76,下側接触片77が前述した受け台50に当接した位置であり、軸70を中心とする切断刃72の移動の軌跡の長さ(円弧の長さ)Lがシート材Sの掴み代となる。
すなわち、切断機構Eの揺動角度θを変更するだけで、シート材Sの掴み代を容易に長短調整することができる。
【0047】
摩擦力生成部Hは、前述した移動抑制部Dによって生じさせた張力によってシート材Sとの間で摩擦力を生じさせるものであり、基板71の上端部前側に切断刃72がほぼ鉛直上向きにして固定されているとともに、切断刃72のシート材Sの引出し方向上流側に、下側溝形成面73が側面視において緩やかな凹曲面をなすよう曲成されている。
【0048】
基板71の上端部には、切断刃72を覆うカバー部材74が着脱自在に固定されており、そのカバー部材74には、基板71の上端部の下側溝形成面73と所要の間隔を形成するようにして上側溝形成面75が側面視において緩やかな下向き凸曲面をなすように曲成されている。
すなわち、基板71の下側溝形成面73と、基板71の上端部に固定されたカバー部材74の上側溝形成面75により、移動抑制部Dによって生じさせた張力によってシート材Sとの間で摩擦力を生じさせるための溝αが形成されている。
【0049】
切断刃72は、シート材Sの幅よりもやや長く形成された直刃である。すなわち、鋸刃状に形成した部分がないものであり、シート材Sの切断面を直線的に切断できるものである。
【0050】
座屈防止部Iは、カバー部材74のシート材Sの引出し方向上流側に延出された複数の上側接触片76…と、基板71のシート材Sの引出し方向上流側に延出された複数の下側接触片77…とからなり、それら上側接触片76…と、上側接触片77…とをシート材Sを遊挿できる上下間隔にしたものである。
また、上側接触片76…と下側接触片77…とは互いに同形同大にして形成されており、シート材Sの引出し方向と直交する方向において一定の間隔で配列され、かつ、互いの間隔に互い違いに位置させている。
さらに、上側接触片76…と下側接触片77…は、引出し開始位置(ウ)とシート切断位置(エ)とを結ぶ円弧の長さL(図4参照)のほぼ半分の長さになっており、また、上記した座屈防止部材53,100も円弧の長さL(図4参照)のほぼ半分の長さになっている。
従って、切断機構Eがシート切断位置(エ)に移動したとき、上側接触片76…と下側接触片77…、及び座屈防止部材53,100により、引出し開始位置(ウ)との間に延出されているシート材Sを上下で覆った状態となるようにしている。
これにより、切断機構Eが引出し開始位置(ウ)に復動するときにも、薄いシート材Sが摩擦により生成される圧縮力により座屈してしまうことを防止できる。
【0051】
以上の構成からなる一実施形態に係るシート材切断装置Aによりシート材Sの切断動作について、図6〜図9を参照して説明する。図6は、本装置からシート材を引き出す動作を示す説明図、図7は、切断機構の動作状態を示す断面図、図8は、切断機構の動作状態を示す断面図、図9は、掴み代を残した状態の本装置の斜視図である。
【0052】
前記したロールRをケース体10内の繰出しロール部Gに載置し、巻回されているシート材Sを巻き解しながら、移動抑制部D、切断機構Eを介して外部に掴み代をケース体10外に導出させておく。
【0053】
図6に示すように、掴み代S1を一方の手hで掴んで引き出すと、この引出し動作に従ってシート材Sが移動抑制部Dで生じる張力に抗して引出し方向に移動する。
この移動に従って、切断機構Eの摩擦力生成部Hには、移動抑制部Dによって生じた張力によって、シート材Sとの間で摩擦力が生じる。
この摩擦力によって切断機構Eは、シート材Sの引き出しとともに、図7に示す引出し開始位置(ウ)から、図8に示すシート切断位置(エ)に向けて傾動する。
【0054】
切断機構Eがシート切断位置(エ)に到達し、ここでシート材Sを下方向に引き出すことにより、切断刃72によってシート材Sが切断される。以上のように、片手だけでシート材Sを所望の長さに切断することができる。
【0055】
シート材Sが切断されると、シート材Sに加えられていた張力がなくなり、これにより、切断機構Eの摩擦力生成部Hにおいて生じていた摩擦力も解消する。
摩擦力の解消により、切断機構Eはシート切断位置(エ)から引出し開始位置(ウ)に復動するが、引き出されているシート材Sは、移動抑制部Dによって押さえられた状態が維持されて、図9に示すように引き出されたまま残置される。すなわち、掴み代S1を残したままの状態が維持される。
【0056】
次に、移動抑制部の変形例について説明する。図10は、第一の変形例に係る移動抑制部を中心とした部分断面図、図11は、第二の変形例に係る移動抑制部を中心とした部分断面図、図12は、第三の変形例に係る移動抑制部を中心とした部分断面図である。なお、前記した移動抑制部において説明したものと同等のものには、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0057】
第一の変形例に係る移動抑制部D1は、シート材Sの材質に応じて張力を増減調整するための張力調整部材80が設けられているものである。
このような張力調整部材80は、シート材Sの幅よりもやや長い板状体であり、シート材Sとの摺接面80aに、断面半円形の凸部80bが形成されている。
すなわち、紙等のシート材Sを採用したときには、アルミ箔等をシート材Sとして採用した場合に比較して、大きな摩擦力を必要とする。このため、張力調整部材80を当接部材62に装着することにより、スプリング63による弾発力が大きくなって、より大きな摩擦力を発揮するようになる。
一方、アルミ箔等をシート材Sとして採用した場合に比較して、小さな摩擦力で足りる場合には、張力調整部材80として、そのシート材の材質に合わせたものを採用する。
【0058】
第二の変形例に係る移動抑制部D2は、コイルスプリングの長さをやや短く設定しておくことにより、張力調整部材80を当接部材62から取り外したときに、その当接部材62に弾発力を及ぼさないようにしたものである。
【0059】
アルミ箔をシート材として採用した際、スプリングによって当接部材62を弾発する上述した構成においては、当該シート材を引き出す際にビビリ振動が当該シート材に生じることがあったが、当接部材62の自重のみでアルミ箔製のシート材を押さえることにより、シート材にビビリ振動が生じることを防ぐことができる。
従って、ビビリ振動に伴う雑音の発生を防止でき、例えば静寂な室内で使用するときに最適である。
なお、アルミ箔製のシート材の厚み等に合わせて、当接部材62の肉厚を厚く又は薄くすることにより自重を変更するとよい。
【0060】
このような構成により、張力調整部材80を当接部材62から取り外したときに、その当接部材62に弾発力を及ぼさない短い長さのコイルスプリングを、図10に示す移動抑制部D1に適用することにより、同じ構造で材質の異なるシート材に極めて容易に対応することができる。
【0061】
第三の変形例に係る移動抑制部D3は、前述した当接部材と異なる形状のものを用いた構成になっている。
すなわち、当接部材90は、上側を開口したコ字形の本体91の一側縁に下向きL字形の延出片92を設けた構成のものである。
延出片92は、これの折曲部分92aが、ロールRから移動抑制部D3に張架されているシート材Sに接触するように形成する。
これにより、シート材Sとしてアルミ箔を採用した場合、受け台50の当接部材52の辺縁52aに当接しているシート材Sには、辺縁52aにおいてく字形に塑性変形が生じる。
【0062】
従って、シート材Sを移動抑制部D3が押さえきれずにシート材Sの引出し方向と逆方向に移動しようとすると、上記のく字形に塑性変形した部分がその形状を保ったまま当接部材52の当接面52bに沿って斜行しようとするが、このとき、延出片92の折曲部分92aがシート材SのS′で示す部分に当接していることにより、シート材Sの引出し方向と逆方向に移動することを阻止できるのである。
【0063】
なお、本発明は前述した実施形態に限るものではなく、次のような変形実施が可能である。
・前述した実施形態においては、切断機構が、シート切断位置と引出し開始位置との間で揺動可能に支持されているとともに、引出し開始位置からシート切断位置に至る途中位置において、シート材に加わる引出し力の解除により引出し開始位置に復動するように重心を設定した構成のものについて説明したが、このような構成に限らず、例えば引出し開始位置に移動している切断機構をシート切断位置に向けて弾性的に引張して復動させるための弾性部材(引張部材)を設けた構成にしてもよい。
弾性部材(引張部材)としては、コイルスプリング、板ばね、ゴム等の公知のものを含む。
さらに、切断機構がシート切断位置に移動したことを検知するセンサと、引出し開始位置に移動したことを検知するセンサとを設けておき、それらのセンサから出力された検知信号に基づいて、サーボモータ等の駆動源により切断機構をシート切断位置と引出し開始位置との間で揺動させるようにしてもよい。
【0064】
・前述した本装置は、美容師がヘアカラーの多色染めに使用するアルミ箔又は紙製の分離シート(シート材)等を一定の長さに切断する際に極めて便利なものであるが、家庭用のアルミホイル、ラップ材、キッチンペーパ、トイレットペーパ等の長尺なシート材の切断に用いることができることは勿論である。
【0065】
・前述した実施形態においては、ロール状にしたシート材を一例として示したが、長尺のシート材であればよく、例えば一定の長さ単位に折り畳んだ状態でケース内に収容されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係るシート材切断装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示すシート材切断装置の一部を取り外すとともに後側分割体を開いた状態の断面斜視図である。
【図3】図1に示すシート材切断装置のケース体のみを示すものであり、(A)はその正面図、(B)はその側面図である。
【図4】図1に示すシート材切断装置の断面図であり、後側分割体を開いた状態を記している。
【図5】ウエイト部を分解して示す分解斜視図である。
【図6】本装置からシート材を引き出す動作を示す説明図である。
【図7】切断機構の動作状態を示す断面図である。
【図8】切断機構の動作状態を示す断面図である。
【図9】切断機構の動作状態を示す断面図である。
【図10】第一の変形例に係る移動抑制部を中心とした部分断面図である。
【図11】第二の変形例に係る移動抑制部を中心とした部分断面図である。
【図12】第三の変形例に係る移動抑制部を中心とした部分断面図である。
【符号の説明】
【0067】
10 ケース体
14 規制部材
32 ウエイト
72 切断刃
80 張力調整部材
D,D1,D2,D3 移動抑制部
E 切断機構
G 繰出しロール部
H 摩擦力生成部
I 座屈防止部
J 重心
S シート材
(ウ) 引出し開始位置
(エ) シート切断位置
【出願人】 【識別番号】593024922
【氏名又は名称】小林 功
【識別番号】301044004
【氏名又は名称】富士紙化学株式会社
【出願日】 平成18年8月24日(2006.8.24)
【代理人】 【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春


【公開番号】 特開2008−49442(P2008−49442A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−228487(P2006−228487)