トップ :: B 処理操作 運輸 :: B26 切断手工具;切断;切断機

【発明の名称】 スリッタ装置用スペーサ及びスリッタ装置
【発明者】 【氏名】藤本 幸雄

【要約】 【課題】幅寸法や側面の仕上げ状態及び平面度を高精度に仕上げたスペーサを組み込んでいるスリッタ装置において、切断幅寸法変更に伴うスペーサの交換を容易に行えるようにする。

【構成】リング状のスペーサ8を径方向Rに分割された2つの半割りスペーサ20、21で構成し、その半割りスペーサ20、21の分割端面22、23を、半割りスペーサ20、21が組み合わされてスペーサ8の状態になっている時には相対的に軸心方向Xへの移動は可能で径方向Rへの移動は不可能になるような形状にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上丸刃が装着されている上回転軸と、下丸刃が装着されている下回転軸とが平行に設けられ、前記上丸刃と前記下丸刃との間に送られた帯状の被切断部材を、長さ方向に沿って複数の狭幅帯体に切断するスリッタ装置の前記上回転軸または前記下回転軸の少なくとも一方の回転軸に装着されたリング状のスリッタ装置用スペーサにおいて、
前記スリッタ装置用スペーサは、径方向に分割された2つの半割りスペーサで構成されており、
該2つの半割りスペーサは、相対的に軸心方向への移動は可能で径方向への移動は不可能な分割端面を有してリング状に組み合わされていることを特徴とするスリッタ装置用スペーサ。
【請求項2】
前記スリッタ装置用スペーサは、該スリッタ装置用スペーサの前記回転軸への装着用の孔の軸心を含む平面と前記装着用の孔の内周面とが交わる2つの交差線をそれぞれ基線として分割された2つの半割りスペーサとされていることを特徴とする請求項1に記載のスリッタ装置用スペーサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスリッタ装置用スペーサを取り付けていることを特徴とするスリッタ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の被切断部材を長さ方向に沿って複数の狭幅帯体に切断するためのスリッタ装置に関し、特に、コンピュータ用高精度磁気テープや二次電池用基材、或いは電子回路用基板材料等の帯状の被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の幅に切断するためのスリッタ装置に用いて有効なスペーサ及びそのスペーサを取り付けたスリッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スリッタ装置は、上丸刃が装着されている上回転軸と、下丸刃が装着されている下回転軸とが平行に設けられ、前記上丸刃と前記下丸刃との間に送られた帯状の被切断部材を長さ方向に沿って複数の狭幅帯体に切断するもので、図8及び図9はそれぞれ上回転軸と下回転軸の関係を示す概略断面図である。
【0003】
図8に示すように、上回転軸受箱5a、5bと下回転軸受箱6a、6bにはそれぞれ回転軸受7により上回転軸1と下回転軸2が回転自在に支持されている。
下回転軸2には所定の幅のリング状のスペ−サ8を介してリング状の下刃4が装着されており、軸フランジ10とナット9によって下回転軸2の所定の位置に固定されている。一方、上回転軸1にはリング状の上刃3が、移動用ホルダー31にネジ固定された上刃ホルダー32の丸刃取り付け部に皿バネ33により所定の圧力で下刃4に付勢されて取り付けられている。そして、図示しない駆動手段によって上回転軸1と下回転軸2にそれぞれ切断方向の回転が与えられると、上刃3と下刃4との間に通された帯状の被切断部材(図示せず)が、複数の帯体に切断されるようになっている。
【0004】
また、図9に示すスリッタ装置においては、上回転軸1及び下回転軸2にそれぞれ所定の幅のリング状のスペ−サ8、8aを介してリング状の上刃3及び下刃4が装着されており、軸フランジ10とナット9によって上回転軸1及び下回転軸2の所定の位置に固定されている。そして、図示しない駆動手段によって上回転軸1と下回転軸2にそれぞれ切断方向の回転が与えられると、上刃3と下刃4との間に通された帯状の被切断部材(図示せず)が、複数の帯体に切断されるようになっている。
【0005】
ところで、以上のようなスリッタ装置において、帯状の被切断部材の切断幅を変える場合には幅の異なるスペ−サと交換しなければならないが、従来のスペ−サは一体のリング状とされていたため、スペーサの交換は、まずスリッタ装置から回転軸を取り外したうえで、回転軸から丸刃と共にスペーサを取り外さなければならないので、時間がかかり作業性が悪いという問題があった。
【0006】
それを改善すべく、特許文献1や特許文献2においては、2つに分割して一端をヒンジとし、他端が連結具として回転軸に装着されるスペーサが提案されている。また、別の改善例として、特許文献3においては、切込み部を有し、径方向に着脱自在とした弾性部材のスペーサが提案されている。
これらによれば、回転軸をスリッタ装置から取り外すことなくスペーサを交換して切断幅を変更することができる。
【0007】
【特許文献1】実開昭57−177618号公報
【特許文献2】実開平6−33617号公報
【特許文献3】実開平4−76315号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、近年、コンピュータ用高精度磁気テープや二次電池用基材、或いは電子回路用基板材料等の帯状の被切断部材を切断するスリッタ装置においては、被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の幅に切断するために、丸刃はその間隔をミクロンオーダーに保つようにしてスリッタ装置の回転軸に装着されていることが必要となり、そのために、スペーサは幅寸法や側面の仕上げ状態及び平面度が高精度に加工されていることが要求されている。
【0009】
さらに、上記スリッタ装置においては、切断時に微細な切断粉等が発生し、被切断部材の表面に付着するなどして品質を劣化させることがあるため、それを防止することが要求されている。そのために、スペーサは外周面に切断粉が付着しやすい突起物等がなく切断粉等が入り込む隙間の少ない形状にして、切断時あるいは切断後に圧縮空気や不織布等で容易に切断粉を除去できることが重要になってくる。
【0010】
ところが、前記の特許文献1及び2の場合、スペーサは幅寸法や側面の仕上げ状態及び平面度が高精度に加工されて、帯状の被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の幅に切断することはできるが、外周部にヒンジや突出した連結具があるため、突出部や連結部の隙間には切断粉等がたまりやすく除去し難いため、たまった切断粉等が切断された帯体の表面に付着して品質を劣化させるという問題があった。また、部品点数が多いため、スリッタ装置への組み込み以前にスペーサ自体を組み立てておかなければならず、その組み立ての時間を要し作業性が悪いという問題があった。さらに、スペーサの外周部に突出している連結具が邪魔になり、半径が小さい丸刃を使用するスリッタ装置では使用できないという問題もあった。
【0011】
また、前記の特許文献3の場合は、スペーサの外周部にヒンジや突出した連結具がないので切断粉等を容易に除去することはできるが、この場合のスペーサは弾性部材でなければならず、このような弾性部材のスペーサでは幅寸法や側面の仕上げ状態及び平面度を高精度に加工することはできないので、被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の幅に切断することが求められるコンピュータ用高精度磁気テープや二次電池用基材、或いは電子回路用基板材料等の帯状の被切断部材を切断するスリッタ装置には使用できないという問題があった。
【0012】
本発明は、上述したような従来のスリッタ装置用スペーサの欠点に鑑みてなされたものであり、帯状の被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の幅に切断することができ、その上切断された帯体への切断粉の付着を防止して、品質を安定して保つことができるとともに、切断幅の変更を容易に行うことができるスリッタ装置用スペーサ及びそのスペーサを取り付けたスリッタ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述の課題を解決するため、上丸刃が装着されている上回転軸と、下丸刃が装着されている下回転軸とが平行に設けられ、上丸刃と下丸刃との間に送られた帯状の被切断部材を、長さ方向に沿って複数の狭幅帯体に切断するスリッタ装置の上回転軸または下回転軸の少なくとも一方の回転軸に装着されたリング状のスリッタ装置用スペーサにおいて、そのスリッタ装置用スペーサは径方向に分割された2つの半割りスペーサで構成されており、それら2つの半割りスペーサは相対的に軸心方向への移動は可能で径方向への移動は不可能な分割端面を有してリング状に組み合わされているスリッタ装置用スペーサとする。
【0014】
スリッタ装置用スペ−サを上記のようにしたことによって、切断幅の変更を行う際は、スペーサの交換を容易に行うことができるようになる。さらにスペーサの幅寸法や側面の仕上げ状態及び平面度を高精度に加工することができるので、帯状の被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の切断幅にすることができる。また、スペーサの外周部に突出した連結部がないため、切断粉の除去が容易になるので、切断された帯体の品質を安定して保つことができる。
【0015】
また、スリッタ装置用スペーサは回転軸への装着用の孔の軸心を含む平面と、その装着用の孔の内周面とが交わる2つの交差線をそれぞれ基線として分割された2つの半割りスペーサとすることが望ましい。
【0016】
スリッタ装置用スペーサをこの交差線を基線として分割することによって、回転軸の外径寸法に対してスペーサの内径寸法をほぼ同一寸法で仕上げるようにしておけば、回転軸の外周面にスペーサの内周面を密着させて嵌合することができるので、回転軸の回転バランスがよくなる。このことによって、回転バランスが悪い場合に生じる軸の振れや振動等による被切断部材の切り口のムラ等の悪影響を防ぐことができ、切り口の状態をさらに高精度に保つことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、切断幅の変更を容易に行うことができるとともに、帯状の被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の幅に切断することができ、切断された帯体への切断粉の付着を防止してその品質を安定して保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明してゆく。
図1は本発明に係るスリッタ装置用スペーサを説明するための斜視図であり、図2は図1に示したスペーサを軸心方向Xに移動した状態の斜視図である。図3は本発明に係わるスペーサの分割基線を説明するための斜視図である。図4は本発明に係るスペーサの分割端面の別の実施形態を説明するための図である。図5は本発明に係るスリッタ装置用スペーサの別の実施形態を説明するための斜視図であり、図6は図5に示したスペーサを軸心方向Xに移動した状態の斜視図である。図7は本発明に係わるスペーサを交換する手順を説明するためのスリッタ装置の回転軸回りの図である。図8はスリッタ装置の上回転軸と下回転軸の関係を示す概略断面図である。図9は別のスリッタ装置の上回転軸と下回転軸の関係を示す概略断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、リング状のスペ−サ8は、径方向Rに2つに分割された半割りスペーサ20、21によって構成されており、それら2つの半割りスペーサ20、21は、相対的に軸心方向Xへの移動は可能で径方向Rへの移動は不可能な分割端面22、23を有してリング状に組み合わされており、半割りスペーサ20、21のいずれか一方を軸心方向Xに、その幅Wより僅かに広い距離Lだけ移動させることによって径方向Rに移動することが可能になる。
【0020】
また、スペーサ8は図3に示すように、回転軸への装着用の孔の軸心12を含む平面13と、回転軸への装着用の孔の内周面14とが交わる2つの交差線15、16をそれぞれ基線として2つに分割するのが望ましい。このように交差線15、16を基線とすることによって、回転軸の径とスペーサ8の内周面14の径をほぼ同一径としておけば、回転軸の外周面にスペーサ8の内周面14を密着させることが可能となるので、回転軸とスペーサ8の間には片寄り隙間が生じることがなく、その結果、回転軸の回転バランスがよくなり、回転バランスが悪い場合に生じる軸の振れや振動等による被切断部材の切り口の状態への悪影響をなくすことができ、切り口の状態をより高精度に保つことができる。
【0021】
次に、図5及び図6に示すスペーサ8は、本発明に係わるスリッタ装置用スペーサの別の実施形態を示すものであり、被切断部材を比較的広い幅で切断する場合のスリッタ装置に組み込まれて用いられるスペーサである。
図5に示すように、全幅がWからなるスペーサ8の軸心方向中央部近傍には幅がFからなるフランジ24が設けられており、2つの半割りスペーサ20、21は、フランジ24の分割端面22、23が相対的に軸心方向Xへの移動は可能で径方向Rへの移動は不可能な形状を有して組み合わされており、半割りスペーサ20、21のいずれか一方を、フランジ24の幅Fより僅かに広くなる距離Lだけ軸心方向Xに移動させることによって径方向Rに移動することが可能になる。
【0022】
なお、図1及び図5に示した実施形態では、スペーサは左右対称の分割端面としたが、例えば図4のように左右非対称の分割端面とすることもでき、分割端面が図示した形態に限定されるものではない。
【0023】
また、図5では、軸心方向Xの中央部近傍に、フランジ24を1個所設けたスペーサ8について示したが、フランジ24を2個所以上とすることもできる。
【0024】
次に、本発明に係わるスリッタ装置用スペーサを交換するときの手順について、下回転軸2を例にとり、図7及び図1と図2に基づいて説明してゆく。まず、現在組み込まれているスペーサ8と、そのスペーサ8に替えて新たに組み込もうとする別のスペーサ8のうち、幅の広い方のスペーサ8の幅Wより僅かに広くなる距離Lまでナット9を緩める。次に、交換しようとするスペーサ8に至るまでの上刃及び下刃を、交互に移動させて、交換しようとするスペーサ8の手前を距離Lだけ広げておく。次に、半割りスペーサ20、21のいずれか一方を軸心方向に距離Lだけ移動させる。このことにより、半割りスペーサ20、21はそれぞれ径方向Rに容易に取り外しができるようになる。
次に、新たに組み込もうとするスペーサ8の2つの半割りスペーサ20、21の組み合わせを外して別々にしておき、それぞれの内周面14を下回転軸2の外周面に被せる。その後、2つの半割りスペーサ20、21を、それらの分割端面22、23が組み合わせ可能な状態になるように下回転軸2の外周面上で回転させ、分割端面22、23が一致したところで半割りスペーサ20、21の一方を軸心方向Xに移動させて一体のスペーサ8とする。これらの作業を各スペーサ8に対して行った後にナット9を締め付けてスペーサ8の交換作業は完了する。
以上、図7では下回転軸の場合について説明したが、図9に示したスリッタ装置の上回転軸1のスペーサ8aについても同じように実施することができる。
【0025】
以上述べたように、本実施形態のスリッタ装置用スペーサ及びそのスペーサを取り付けたスリッタ装置によれば、切断幅の変更を容易に行うことができ、さらに帯状の被切断部材を幅寸法や切り口の状態を高精度に保って所定の幅に切断することができ、また切断された帯体への切断粉の付着を防止して、その品質を安定して保つことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るスペーサを説明するための斜視図。
【図2】図1に示したスペーサを軸心方向に移動した状態の斜視図。
【図3】本発明に係るスペーサの分割基線を説明するための斜視図。
【図4】本発明に係るスペーサの別の実施形態を説明するための図。
【図5】本発明に係るスペーサの別の実施形態を説明するための斜視図。
【図6】図5に示したスペーサを軸心方向に移動した状態の斜視図。
【図7】本発明に係わるスペーサを交換する手順を説明するためのスリッタ装置の回転軸回りの図。
【図8】スリッタ装置の上回転軸と下回転軸の関係を示す概略図。
【図9】別のスリッタ装置の上回転軸と下回転軸の関係を示す概略図。
【符号の説明】
【0027】
1 上回転軸
2 下回転軸
3 上刃
4 下刃
5 上軸受箱
6 下軸受箱
7 軸受
8 スペーサ
9 ナット
10 軸フランジ
20 半割りスペーサ
21 半割りスペーサ
22 分割端面
23 分割端面
24 フランジ
【出願人】 【識別番号】000222772
【氏名又は名称】東洋刃物株式会社
【出願日】 平成18年8月17日(2006.8.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−44071(P2008−44071A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−222269(P2006−222269)