トップ :: B 処理操作 運輸 :: B26 切断手工具;切断;切断機

【発明の名称】 シート裁断装置、製本装置および製本システム
【発明者】 【氏名】前原 和也

【氏名】印宮 丈晴

【氏名】児玉 健彦

【要約】 【課題】裁断刃によって切断されたシート屑が裁断刃と接する刃受け部材の刃受面に残存することを防止できる裁断装置、製本装置および製本システムの提供を目的としている。

【構成】本発明のシート裁断装置は、シート束S1を所定の裁断位置へ移動自在に保持するシート保持手段と、前記裁断位置に配置されるシート束S1と距離を隔てた待避位置と、シート束S1の裁断が完了される切断位置との間で、前記シート保持手段の移動方向に対して略垂直に移動自在な裁断刃120aと、シート束S1を介して裁断刃120aと対向配置され、裁断刃と120a接する刃受面150aを有する刃受け部材150と、裁断刃120aによって切断されたシート屑が刃受面150a上に滞留することを防止するシート屑滞留防止手段151とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを所定の裁断位置へ移動自在に保持するシート保持手段と、
前記裁断位置に配置されるシートと距離を隔てた待避位置と、シートの裁断が完了される切断位置との間で、前記シート保持手段の移動方向に対して略垂直に移動自在な裁断刃と、
シートを介して前記裁断刃と対向配置され、前記裁断刃と接する刃受面を有する刃受け部材と、
前記裁断刃によって切断されたシート屑が前記刃受面上に滞留することを防止するシート屑滞留防止手段と、
を備えることを特徴とするシート裁断装置。
【請求項2】
前記シート屑滞留防止手段は、前記裁断刃によって切断されたシート屑が前記刃受面に対して静電的に吸着することを防止するシート屑静電吸着防止手段から成ることを特徴とする請求項1に記載のシート裁断装置。
【請求項3】
前記シート屑静電吸着防止手段は、シートを除電するための除電部材と、前記裁断位置で前記裁断刃によりシートを裁断する前にシートを前記除電部材に接触させ或いは接近させて除電するように前記シート保持手段を移動させる制御手段とから成ることを特徴とする請求項2に記載のシート裁断装置。
【請求項4】
前記除電部材は、前記裁断位置からシートを排出させる排出方向の下流側に前記刃受面に近接させて設けられていることを特徴とする請求項3に記載のシート裁断装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記裁断位置で裁断されるべきシートの部位からそれに近いシートの端面までの領域を前記除電部材に接触させ或いは接近させるように前記シート保持手段を移動させることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のシート裁断装置。
【請求項6】
前記制御手段は、接着剤が塗布されるシート端縁と対向する側のシート端縁である小口部を前記裁断刃により裁断する前に、前記除電部材によるシートの除電を行なうことを特徴とする請求項3に記載のシート裁断装置。
【請求項7】
前記シート屑滞留防止手段は、前記刃受面に付着したシート屑を除去するシート屑除去手段から成ることを特徴とする請求項1に記載のシート裁断装置。
【請求項8】
前記シート屑除去手段は、前記裁断位置で前記裁断刃によりシートを裁断する前に前記シート保持手段により保持されたシートによって前記刃受面に付着したシート屑が引き剥がされるように前記シート保持手段を移動させる制御手段から成ることを特徴とする請求項7に記載のシート裁断装置。
【請求項9】
前記制御手段は、シートの直線的な動作によって前記刃受面に付着したシート屑が引き剥がされるように前記シート保持手段を移動させることを特徴とする請求項8に記載のシート裁断装置。
【請求項10】
前記制御手段は、シートの旋回動作によって前記刃受面に付着したシート屑が引き剥がされるように前記シート保持手段を移動させることを特徴とする請求項8に記載のシート裁断装置。
【請求項11】
前記制御手段は、接着剤が塗布されるシート端縁と対向する側のシート端縁である小口部を前記裁断刃により裁断した後に、前記シート保持手段により保持されたシートによって前記刃受面に付着したシート屑を引き剥がすことを特徴とする請求項8に記載のシート裁断装置。
【請求項12】
前記刃受け部材の前記刃受面は、前記裁断刃よりも軟質な材料によって形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のシート裁断装置。
【請求項13】
複数のシートを束状に集積してシート束を形成するとともに、そのシート束に接着剤を塗布して製本化する製本装置において、
シート束の端縁に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、
前記接着剤塗布手段により接着剤が塗布されたシート束の端縁を裁断する請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のシート裁断装置と、
前記接着剤塗布手段により接着剤が塗布されたシート束を前記シート裁断装置へ搬送する搬送手段と、
を備えることを特徴とする製本装置。
【請求項14】
シートに画像を形成する画像形成装置と、
画像が形成された複数のシートを前記画像形成装置から受ける請求項13に記載の製本装置と、
を備えることを特徴とする製本システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、単一シート或いは束状のシートを裁断するシート裁断装置、このシート裁断装置を備えるとともにシートを束にして製本する製本装置、および、そのような製本装置を備えた製本システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の裁断装置では、裁断テーブルにセットされたシート束を裁断する場合、円盤状のロータリカッタを回転させながらシートの一端から他端へと移動させる裁断方法と、平板状の平刃カッタによりシートをその一端から他端へと徐々に切断する裁断方法とが知られている。前者は、ロータリカッタを高速で回転させながらシートを切り進めるのに対し、後者は、平刃カッタを低速で動作させることにより徐々に大きな力でシートを切り進めるものである。
【0003】
前者のロータリカッタによる切断方法は例えば特許文献1に開示されている。ここに開示される技術では、搬送ローラにより支持されたシート束が、その搬送方向と直交する幅方向の一端から他端へと移動されるロータリカッタにより切断され、このロータリカッタは、これを回転駆動させるモータと、切削方向に移動させるモータとに連結されている。
【0004】
後者の平刃カッタによる切断方法は例えば特許文献2に開示されている。ここに開示される技術では、テーブル上に保持されたシートが、油圧シリンダにより徐々に押し下げられるカッタブレードにより切断される。この場合、シートは、その一端から他端へと傾斜した刃先により徐々に切断される。また、平刃状のカッタブレードは、傾斜状態でシート束をその一端から他端へと徐々に切り進めるように駆動カムおよび駆動モータに連結されている。
【0005】
なお、特許文献2には、カッタブレードにより切断されたシート屑をどのように除去するのかが開示されていないが、平刃カッタでシート束を切断する場合には、シートの表裏からシート束の切断縁を挟圧するプレス部材を設け、このプレス部材の脇をカッタ刃が通過し、これと同時に切断屑が落下する方法と、シート束の背面側にバックアップ部材(刃受け部材)をまな板状に設ける方法とが考えられる。前者は、切断屑の除去が容易であるが、カッタ刃の移動経路とプレス部材の端面位置とが一致していなければ刃先の破損を招くため、装置を堅牢でガタつきなく構成しなければならない。一方、後者は、刃受け部材により切断後のカッタ刃を受けるものであるため、刃受け部材を合成樹脂等の軟質部材により構成して刃先を破損しないように配慮する必要がある。
【0006】
【特許文献1】特開2002−36178号公報
【特許文献2】特開2003−72258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
シート束を平刃カッタで裁断する場合には、前述したようにシート束の背面に刃受け部材を設け、この刃受面に刃先が当接するように構成すると、装置が比較的簡素になり確実に裁断できるため有益である。
【0008】
しかしながら、この場合、切断したシート屑が刃受け部材に付着して容易に除去できないという問題が発生する。また、この切断屑が刃受面に付着した状態でシートの裁断を続けると、正確に裁断できなかったり、切断刃が破損してしまう虞がある。そのため、従来にあっては、オペレータがシート裁断の仕上がり状態を見て異常と判断した場合に、装置を診断して切断屑の付着を発見し、これを取り除くようにしている。
【0009】
一般に、切り屑などはエアーを吹きかけて飛ばすことが知られているが、切り屑が飛散するという問題があり、また、刃受面に付着した切り屑はエアーによって容易に除去できない。その理由の1つは、シート束を搬送または回転させる際にシート束が刃受け部材等と擦れ合い、それにより発生した静電気によって帯電したシート束から切断された切り屑が刃受面に対して静電的に吸着してしまうからである。また、他の理由は、シート束の一端縁に塗布された接着糊が切り屑にも付着したま残存し、その残存した接着糊を媒介として切り屑が刃受面に付着するからである。更に他の理由としては、切断刃によって刃受面に形成された溝にシートが押し込まれてしまうことも挙げられる。いずれの場合であっても、エアーを吹きかけただけでは、刃受面に付着した切り屑を除去することが難しい。
【0010】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、裁断刃によって切断されたシート屑が裁断刃と接する刃受け部材の刃受面に残存することを防止できる裁断装置、製本装置および製本システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明のシート裁断装置は、シートを所定の裁断位置へ移動自在に保持するシート保持手段と、前記裁断位置に配置されるシートと距離を隔てた待避位置と、シートの裁断が完了される切断位置との間で、前記シート保持手段の移動方向に対して略垂直に移動自在な裁断刃と、シートを介して前記裁断刃と対向配置され、前記裁断刃と接する刃受面を有する刃受け部材と、前記裁断刃によって切断されたシート屑が前記刃受面上に滞留することを防止するシート屑滞留防止手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記構成によれば、裁断刃によって切断されたシート屑が刃受け部材の刃受面に残存することを確実に防止することができる。
【0013】
また、上記構成において、前記シート屑滞留防止手段は、前記裁断刃によって切断されたシート屑が前記刃受面に対して静電的に吸着することを防止するシート屑静電吸着防止手段から成っていても良い。この場合には、シートの搬送および回転で発生した静電気によって帯電したシートが裁断刃による裁断前に除電部材により除電されるため、刃受面に切り屑が静電的に吸着することがない。したがって、刃受面に切断屑が残ってしまい、それにより後続するシート裁断の際に切断刃が曲がるなどの問題が生じることはなく、また、紙詰まりなどの問題が生ずることもなく、効率的に稼働させることが出来る。また、切り屑の除去に一般的に用いられているエアー装置を使用しないで済み、また、構造も小型で且つコンパクトであるため、消費電力を低減できる安価な装置を提供できる。
【0014】
また、上記構成において、前記シート屑滞留防止手段は、前記刃受面に付着したシート屑を除去するシート屑除去手段から成っていても良い。また、この場合、前記シート屑除去手段は、前記裁断位置で前記裁断刃によりシートを裁断する前に前記シート保持手段により保持されたシートによって前記刃受面に付着したシート屑が引き剥がされるように前記シート保持手段を移動させる制御手段から成っていることが好ましい。そのような場合、刃受け部材の刃受面に付着した切断屑がシートにより確実に除去されるため、刃受面に切断屑が残ってしまい、それにより後続するシート裁断の際に切断刃が曲がるなどの問題が生じることはない。また、切断刃の刃先が刃受面に形成してしまう刻設溝に付着した切断屑もシートによって確実に除去することが出来る。特に、シートを綴じ合わせる接着糊により切断屑が刃受面に付着した場合であっても、これを容易に除去することができ、装置をジャムとして停止することなく効率的に稼働させることが出来る。
【0015】
なお、上記構成において、「切断位置」とは、裁断刃の刃先がシート(束)を貫いて剪断を完了した位置(図7(b)参照)のことであり、また、「裁断位置」とは、シート(束)を裁断刃により裁断するための位置(図7(c)にX−Xで示される位置)のことである。
【0016】
また、本発明では、前述した特徴的な構成を含む製本装置および製本システムも開示されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、裁断刃によって切断されたシート屑が裁断刃と接する刃受け部材の刃受面に残存することを防止できる裁断装置、製本装置および製本システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて詳述する。図1および図2は本発明に係わるシート裁断装置を組み込んだ画像形成システムの全体構成図であり、図1は製本装置の詳細を、図2は画像形成装置の詳細を示す。また、図3はシート裁断ユニットの要部説明図であり、図4は図3の装置の平面説明図である。
【0019】
「画像形成システムの構成」
図1および図2に示す画像形成システムは、画像形成装置(図示のものは複写機)Aと、この画像形成装置の排紙口に連接された製本装置(製本部)Bと、この製本装置Bの下流側に配置された後処理装置(後処理部)Cとから構成され、製本装置Bには本発明に係わるシート裁断装置がユニットとして組込まれている。製本装置Bは画像形成装置Aの排紙口からのシートを受取って一連の文書を束状に集積し、その束状シートの一側縁(背部)に糊付けして表紙シートと綴じ合わせる。次いで、この冊子状に綴じ合わせたシートの周縁を所定量裁断して収納スタッカに集積する。また、後処理装置Cは製本装置に付設され、製本処理しないシートを受取ってステープル綴じ、パンチ(穿孔処理)、スタンプ(捺印処理)などの後処理を施すように構成されている。また、図示の後処理装置は画像形成装置で画像形成したシートを収納する排紙スタッカを備えている。
【0020】
まず、図2に示す画像形成装置を説明すると、画像形成装置Aは本体装置2内に設けられた画像形成部3と、この本体装置2の上部に配置された画像読取装置(スキャナユニット)7と、原稿供給装置(ADFユニット)5とから構成されている。本体装置2の画像形成部3は、給紙部9から供給される普通紙やOHPシート等のシートに画像を形成し、具体的には例えば、感光体ドラム8に光照射手段13で静電潜像を形成し、現像機でトナーを付着してシート上に転写する。このシートは定着器6で定着され排紙口19から搬出される。また、両面印刷のときは片面に印刷したシートをスイッチバック経路17で表裏反転して循環経路18から再び感光体ドラム8に送り裏面に印刷して排紙口19から搬出する。なお、図示12はシートの手差し供給口であり、例えば表紙シートなどの厚紙、コーティングシートなどの特殊シートを供給する。
【0021】
画像読取装置7はプラテンに載置した原稿を光電変換素子でスキャンして画像データを本体装置2のデータ貯蔵部14に転送する。更に画像読取装置7には上記プラテンに原稿を自動的に給送する上記原稿供給装置5が付設してある。この原稿供給装置5は給紙トレイにセットした原稿を1枚ずつ分離して上記プラテンに自動的に給送する。なお、このような画像形成装置は広く用いられ、種々の構造のものが知られているが、図示の静電印刷方式に限らず、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの方式が採用可能である。
【0022】
「製本装置の構成」
上記画像形成装置Aの排紙口19には製本装置Bが付設されている。図1にその詳細を示すように、製本装置Bは、シートSを束状に積載収納する集積部42と、接着剤塗布部22と、表紙接着部60と、裁断部23と、収納スタック部34とを備えており、画像形成装置Aの排紙口19に連なるシート搬入経路T1から画像形成されたシートを受け入れ、集積部42で一連のシートを束状に集積して整合した後、接着剤塗布部22でこの束状シートの一側縁に糊付け処理を施し、表紙接着部60で表紙シートと一体に綴じ合わせる。この接着剤塗布部22と表紙接着部60でシート綴じ手段を構成している。その後、裁断部23でこの冊子状シートの周縁をカットして仕上げる一連の製本処理を施す構成になっている。特に図示の装置は、集積部42ではでシートの集積と整合を略水平姿勢で行い、このシート束を90度旋回して略鉛直姿勢で糊付け、表紙シートとの綴じ合わせ、シート周縁の裁断揃えを、略鉛直姿勢で順次処理することを特徴としている。このようにシートを水平方向から垂直方向に移送することによって装置をコンパクトに構成している。
【0023】
また、上記シート搬入経路T1にはシートを上記集積部に導く搬送経路T2と、後処理装置Cに導く搬送経路T3が経路切替えフラッパ27を介して図示のように連接してある。なお、図1に示す製本装置は表紙シートを画像形成装置Aから供給する構成を示しているが、シート搬入経路T1に表紙シートを自動的に供給するインサート装置を設け、このインサート装置から表紙シートを供給する構成にしても良い。図示25および29は各経路に配置した搬送ローラである。そして、このように構成された装置は、上記切替フラッパ27によって、画像形成装置Aからのシートを直接後処理装置Cの排紙トレイ35に搬出する通常の排出モードと、画像形成装置からのシートを搬入経路T1から搬送経路T2に送り接着剤塗布部22で糊付け処理した後、製本綴じして非裁断状態で仕上げる製本モードと、この製本後のシートの縁部を裁断して切り揃える製本・裁断モードとでそれぞれ実行される。
【0024】
以下各構成について説明する。まず、製本装置Bは、前記搬送経路T2の排紙口40には、順次シートSを積み上げて集積する積載トレイ42aが設けられ、画像形成装置Aから排出された一連のシートを束状に形成する。この積載トレイ42aから集積部42が構成される。図示の積載トレイ42aは、シートSの積載方向(図1の上下方向)に上下昇降機構によってシート束の厚さに応じてトレイが降下するようになっている。また、積載トレイ42aは略水平方向で図示のように傾斜配置され、シートの後端側にはシート後端を突当てて整合する規制部材が設けられている。同時に積載トレイ42aにはシートの幅方向を整合する整合手段が配置され、トレイ上に搬出されたシートを搬出方向と直交方向に中央を基準にセンタ基準、若しくは一側縁を基準にサイド基準で整合する整合機構が設けられている。
【0025】
このような構成の積載トレイ42aは、その上に略水平姿勢で一連のシートが集積されると、図1に矢印で示すように、シートを積載する積載位置から矢印a方向に所定距離降下した第1の位置P1にトレイごと移動する。次いで、シート束はこのP1位置から直交する矢印b方向に移動され第2の位置P2に繰り出される。そして、第2の位置P2には、積載トレイ42aから搬出されたシート束S1の端部を保持するグリッパ55a、55b(搬送手段)が設けられている。このグリッパ55a、55bは上記シート束を水平姿勢から略鉛直姿勢に偏向して下流側に配置されている接着剤塗布部22に搬送する。これと同時に把持したシート束の厚さを検知する厚さ検知手段が設けられている。図示のグリッパ55a、55bは、図5に示すようにシート束の糊付け端面の近傍を把持するメイングリッパ56a、56bと、このメイングリッパ56a、56bにシートを案内しシート中央部を支持するサブグリッパ57a、57bとから構成されている。
【0026】
この各グリッパは、装置フレームに軸を中心に回動自在のユニットフレーム131に取付られ、このフレームは旋回モータ135で図示扇形ギア136を回転することによって所定角度回転する。このユニットフレーム131に一方のメイングリッパ56aが固定され、他方のメイングリッパ56bはロッド137でフレーム131の軸受けガイド138に支持されている。そして、ロッド137にはラック139が設けてあり、このラックにグリップ制御モータ140が連結してある。そして、各メイングリッパ56a、56bにはサブグリッパ57a、57bがそれぞれ取り付けてある。また、サブグリッパ57a、57bはメイングリッパ56a、56bに回動自在に軸141で支持され、図示しないロック爪で回動を阻止される。これはサブグリッパ57a、57bで把持したシート束S1をサブグリッパ57a、57bを回動させることによって姿勢矯正(スキュ修正)する為であり、スキュ修正した後はロック爪で固定して両者一体にシート束S1をクランプする。従ってシート束の姿勢を矯正する必要のないときはメイングリッパ56a、56bとサブグリッパ57a、57bは一体に構成しても良い。
【0027】
そこでこのように構成したグリッパには把持したシートSの厚さを検出する厚さ検知手段が例えば以下のような位置検出センサとして設けられている。前記可動側のメイングリッパ56bには、これを支持するロッド137をユニットフレーム131に対して支持するための軸受けガイド138に、位置検出センサが内蔵されている。この位置検出センサは、スライダック抵抗器で構成され、ロッド137に形成したフラッグの位置によって抵抗値が変化して、ロッド137の移動量を検出できるようになっている。同時にこの可動側のメイングリッパ56bに支持されたサブグリッパ57bには、グリッパがシートを把持した状態を検出するグリップセンサが、シート側に突出したフラグをフォトセンサで検出する通常の構成で配置されている。
【0028】
従って、グリップ制御モータ140を駆動して可動側のメイングリッパ56bを圧接方向に移動しシート束をグリップすると、その動作をグリップセンサ142が検出し、制御モータ140を停止する。そうすると、厚さ位置検知センサの抵抗値からメイングリッパの位置が検出できシート束S1の厚さが算出できることとなる。このような構成の他、シート束の厚さを検出する方法としては、例えば搬送経路T2の排紙口40に設けたシート検知センサによりシート後端を検出した信号をカウントするカウント手段と、このカウント手段のカウント値に例えば平均的なシート単体の厚さを乗ずる演算手段とによって検出することも可能である。この場合はカウント手段及び演算手段を制御CPU内に構成することが出来、構造が簡単となる。
【0029】
このように厚さ検知手段若しくはカウント手段で検出した「シート束の厚さ」情報は後続する各種制御に使用する。図示装置は、「シート束の厚さ」に応じて(1)後述の接着剤塗布手段(後述の塗布ローラ66b)でシート束S1に塗布する糊付け量を調節し、(2)シート束を切断位置に案内支持する搬送ガイド手段119a、119bのシートガイド間隔を調節し、(3)切断刃でシートを切断する際に、その待機位置を調節するか若しくは所定の待機位置からの起動タイミングを調節する。このように、シート束の厚さを装置の上流側で検出すると、後続する下流側の各種制御においてシート厚さに応じた最適の動作を実行させることが出来る。
【0030】
次に接着剤塗布部22は、接着剤(例えば、糊)を収納する糊容器66aと、この糊容器に収納された接着剤をシート束S1の端縁に塗布する塗布ローラ66bとから構成された接着手段66を備えている。この接着手段66はグリッパ55a、55bに保持され略鉛直姿勢のシート束の下端縁に糊などの接着剤を塗布する。このため図示の糊容器66aは、図1において紙面表裏方向に移動自在にシートの長さサイズより長い経路でガイドレール(図示せず)に支持され、シート束S1の下端縁に沿って移動する塗布領域と、この塗布領域の外側の待機位置と、接着剤の補充を受ける補充位置との間で移動自在に構成されている。
【0031】
また、上記糊容器66aには耐熱ゴムなどの糊を含浸する塗布ローラ66bが設けられ、この塗布ローラは、図示しない駆動モータで回転し、糊容器がシート束S1の端面に沿って移動する際にこのシートとの間に少許のギャップを形成する。そして、このギャップを束の厚さに応じて変更することによって糊付け量を調整するようになっている。
【0032】
上記接着手段66が待機位置に位置づけられるとシート束S1の搬送経路T4が確保され、糊付け処理されたシート束S1はグリッパ55a、55bにより表紙接着部60へと送られる。表紙接着部(表紙シート綴じ部)60は搬送経路T3と、搬送経路T4との交差部に設けられ、搬送経路T3には表紙シートが搬送され、シート中央が交差部に位置するように準備されている。そこで表紙シートとシート束とは逆T字状に表紙シートの中央(シートセンタ)にシート束が一致するように合わせられて接合される。なお、この接合の際、搬送経路T3にはバックアッププレート59が準備されている。なお、この場合の表紙シートの給送は画像形成装置Aから例えばタイトルなどを印刷されて供給する場合と、シート搬入経路T1に設けたインサータ装置から供給する場合がある。このように位置決めされバックアッププレート59で支持された表紙シートに対し、接着剤が塗布されたシート束S1の端縁がグリッパ55a、55bによって上側から鉛直方向で押し付けられる。その後、表紙およびシート束S1は、バックアッププレート59に突当てられた状態で、スライド自在な背折り板によって両側からプレスされる。これにより、表紙には、シート束S1の厚さに応じた折り目(背部)が形成される。
【0033】
次に、バックアッププレート59が搬送経路T4から外部に移動して退避すると、グリッパ55a、55bは、表紙が接着されたシート束S1を挟持したまま下方の裁断部23へと引き渡す。この裁断部には折りロールとして一対の搬入ローラ113(図3参照)が設けられグリッパ55a、55bから搬送されたシート束(以下冊子状シートという)を引き継いで下流側のシート裁断部23に送る。この搬送と同時にローラ113は表紙シートにシート束を折合わせる。
【0034】
「シート裁断装置」
次に、図3乃至図9に基づいて裁断部23について説明する。裁断部23は、裁断ステージ120と、裁断手段(後述の裁断縁プレス手段120b、120cと裁断刃120a)とから構成され、裁断ステージ120は回転テーブル121とこれにシートを挟圧するグリッパ122とで構成されるシート保持手段から成る。上記搬入ローラ113の下流には表紙接着部60からのシート束S1の所定個所を裁断して排紙部34に搬出する搬送経路T4が設けられている。この搬送経路T4は一対の搬送ガイド119a、119bを有しており、前記搬送経路T3が略水平方向であるのに対しこの搬送経路T4は略鉛直方向に配置されている。
【0035】
搬送経路T4には、回転テーブル121とグリッパ122とが搬送ガイド119を挟んで対向する位置に配置されている。この回転テーブル121とグリッパ122とは、シート束を把持した状態で旋回動自在に構成され、装置フレームに昇降自在に支持されたユニットフレーム122cに組み込まれている。回転テーブル121はシート中央部を支持する円盤状部材を回転モータ121bで回転可能に構成され、これと対向する位置にグリッパ122が配置されている。このグリッパ122は、グリッパ駆動モータを備えたグリッパ移動機構122aにより回転ブル121に接近および離反自在に支持され、回転テーブル121の回転に追従して回転するように構成されている。また、回転テーブル121とグリッパ122とを支持するユニットフレーム122cは装置フレームに対して昇降機構121aにより図3の上下方向に移動自在に構成されている。
【0036】
従って搬入ローラ113から搬送ガイド119に送られた冊子状シートは、回転テーブル121とグリッパ122とで把持され、回転テーブル121の回転により図3の鉛直姿勢で旋回し、シート束の所定位置(天部、地部、小口部)を下流側の裁断位置X−X(図7(c)参照)に臨ませ、昇降機構121aにより所定量移動することとなる。また、回転テーブル121にはシート束S1が存在するか否かを検知するシート検知センサが、グリッパ122にはグリッパ移動機構122aがシート束S1を把持する押圧動作の完了を検知するグリップエンドセンサが配置されている。
【0037】
上記回転テーブル121の下流側には、シートの裁断位置で裁断縁を挟圧保持する裁断縁プレス手段120b、120cと、裁断刃120aとが以下の構成で配置されている。まず、裁断位置(図7(c)で示すX−X)には刃受け部材150が設けられ、この刃受け部材150に対向して平刃状の裁断刃120aが後述する構造で切断動作を行うようになっている。この刃受け部材150はシート裁断時の剪断力に打ち勝つようなブロック部材で構成され、その表面には刃受面150a(図10参照)が合成樹脂、ゴムなどの軟質材で設けられている。これは、シートを切断した後に刃先が勢いよく刃受面に突き当るため、このとき刃先を損傷しないためである。
【0038】
そして、この刃受け部材150と対向する位置に図8(a)に示すシート束の切断縁を押圧支持する裁断縁プレス手段が配置してある。この裁断縁プレス手段は押え部材120cと可動加圧板120bと加圧機構とで構成され、まず、シートと接して押圧する押え部材120cはシートの切断方向でその全長にわたって当接する板状部材で構成され、可動加圧板120bに固定してある。可動加圧板120bは、図8(a)に示す回転軸を中心に回転自在で且つ図8(b)矢印方向に移動自在に装置フレームに取り付けてある。そして、可動加圧板120bには長手方向左右に一対の加圧機構(図4参照)が設けられている。この左右の加圧機構は、図3に示されるように、同一構造であり、加圧モータ153と、このモータに連結された減速伝動歯車154と、この歯車に連結したボールネジ155と、このボールネジ155に噛合したスライダ156と、このスライダ156に固定したベルト157と、このベルトを架け渡した可動プーリ158と、加圧スプリング159とから構成されている。
【0039】
前記可動加圧板120bは加圧ロッド160を介して可動プーリ158に連結され、この可動プーリ158は装置フレームに図8(b)矢印方向に移動自在に支持され通常の動滑車の構造になっている。そして、この可動プーリ158に懸架されたベルト157には一端に加圧スプリング159が連結され、他端はスライダ156に固定されている。従って加圧モータ153を駆動してボールネジ155を回転すると、スライダ156が図8(a)のシート束から離間した待機位置から同図(b)のシート束S1を押圧する位置に移動する。このように左右1対設けられた加圧モータ153をそれぞれ駆動することによってその駆動力の倍の押圧力が加圧ロッド160から可動加圧板120bに伝達されることとなる。このとき可動加圧板120bは回転軸で回転自在に構成されているため左右からそれぞれ加圧モータで牽引する加圧板は従動回転して片当たりすることなくシート束S1の全長を均一に加圧する。
【0040】
なお、前記減速伝動歯車154には前記ボールネジ155を高速回転する電磁クラッチ161と、低速回転する電磁クラッチ162が組込まれている。また、前記加圧スプリング159には所定の加圧力を付与した加圧センサSp(図7参照)が設けてあり、また、押え部材120cにはシート束S1と当接した状態を検知する接触センサが配置してある。これ等の構成は詳細に図示しないが、上記加圧センサSpは一端を装置フレームに固定した加圧スプリング159の延び量を検出するようにスプリングの可動端に従動するフラグを設け、これをフォトセンサなどで検知する構成を採用すれば良く、また、接触センサは押え部材にシート側に突出するフラグを設け、このフラグをセンサで検知する構成を採れば良い。
【0041】
上記構成のプレス手段の制御について説明すると、可動加圧板120bは押え部材120cと共にシートから退避したホームポジションに待機している。そして、シート束S1が前述の回転テーブル121とグリッパ122とにより裁断位置にセットされた信号を受けて加圧モータ153を駆動する。このときボールネジ155は高速側の電磁クラッチ161で予め設定された高速度で回転し、押え部材120cは高速でシート束に接近し、接触センサがシートに接触したのを検知し、この信号で低速側の電磁クラッチ162に切り換えられボールネジ155は低速で回転し押え部材120cは低速でシート束を押圧する。
【0042】
次いで、加圧スプリング159が所定の加圧力を付与すると、加圧センサSpがこれを検知し加圧モータ153を停止する。そうすると、ボールネジ155とナットの歯合摩擦でその位置に停止する。シート束の裁断後は加圧モータ153を逆転すると、加圧スプリング159の蓄力で押え部材120cは原位置に復帰し、シートへの加圧力が解除される。なお、このときクラッチは高速側の電磁クラッチ161に切り換えられ、ボールネジ155は高速で回転し押え部材120cは高速で復帰する。このように押え部材120cの移動を無負荷時は高速で負荷時は低速で駆動することによりシートを棄損することなく確実に押圧するのと同時に加圧動作を短時間で効率的に行うことが出来る。
【0043】
次に、裁断刃120aは平刃カッタで構成され、図3に示すように回転テーブル121の下流側の裁断位置(図7(c)にX−Xで示す)に配置され、図示水平方向に往復動自在に構成されている。その構成を図6に示す。裁断位置で水平方向に移動する裁断刃120aは装置フレームにガイド支持されている。そして、裁断刃120aにはガイドピン170とカムピン171a、171bとが植設され、ガイドピン170はフレームの逃げ溝172に挿通し、カムピン171a、171bはフレームに形成したカム溝173a、173bにそれぞれ嵌合してある。さらに、ガイドピン170は図示左右方向に移動するスライド部材174の係合溝174aに嵌合してあり、スライド部材174にはボールネジ(以下スクリュネジという)175が螺合してある。このスクリュネジ175には正逆転可能なDCモータで構成されたカッタ駆動モータ176が高速側電磁クラッチ177aと低速側電磁クラッチ177bを介して連結してある。
【0044】
従って、カッタ駆動モータ176を駆動回転すると、スクリュネジ175が回転し、スライド部材174を軸方向に移動する。この場合、スライド部材174は、高速側電磁クラッチ177aでは高速で、低速側電磁クラッチ177bでは低速で移動する。このスライド部材174の移動でガイドピン170も軸方向に移動する。例えばモータを時計方向に回転すると、ガイドピンは図示右方向に移動し、反時計方向に回転すると、図示左方向に移動し、このガイドピンを植設した裁断刃120aも同方向に高速又は低速で移動する。
【0045】
そして、前述したように、この裁断刃120aには左右に対を成すカムピン171a、171bが植設され、これらのカムピン171a、171bはカム溝173a、173bに係合して図示上下方向に移動するようになっている。特に図示のカム溝には、裁断刃120aが右に移動するときに案内する右カムC1a、C1bと、左に移動するときに案内する左カムC2a、C2bとがそれぞれ傾斜方向を異ならせて設けられている。従って、図示位置(ホームポジション)から裁断刃120aが右に移動すると、右カムC1a、C1bに沿って裁断刃120aは右方向に移動しながら降下して裁断位置に移動する。同様に裁断刃120aが左に移動すると、裁断刃120aは左カムC2a、C2bに沿って左に移動しながら徐々に降下し裁断位置に移動する。そして、左右対を成す右カムC1a、C1bと左カムC2a、C2bとはそれぞれ、傾斜角度(位相差)を異ならせることにより、裁断刃120aを右に移動するときには図9(a)のように傾斜させ、左に移動するときには図9(c)のように傾斜させる。なお、このカムは図6(b)のホームポジションHpと裁断位置Cpでは裁断刃を水平姿勢にする。
【0046】
つまり、裁断刃120aは、右移動のときには水平姿勢から徐々に右端が低くなるように傾斜して徐々に降下し水平姿勢で裁断位置に至り、左移動のときにも同様となる。このように裁断刃120aを傾斜させる理由は、シート束をその一端から他端へと徐々に切り進むようにするためであり、右傾斜と左傾斜とにした理由は、糊綴じ端の背部から小口部S1cへと切断するためであり、例えば右傾斜で天部を裁断し、左傾斜で地部を裁断するためである。これは糊綴じした背部から反対側の小口部S1cに向かって裁断することによって最も負荷の大きい背部(糊綴じ部)を先に裁断し、比較的負荷の小さい小口部S1cで刃の側部に加わる切断済みのシート端面の摩擦負荷を受けるようにするためである。このよう裁断刃を切断方向に向かって傾斜させて徐々に切り進むことによって切断負荷を最小限にして装置の小型、軽量化を図っている。なお、上記右カムと左カムは裁断刃をそれぞれ反対方向に傾斜させることとなるが、シートに対する傾斜角度は左右同一角度で、この剪断角度は例えば30度など実験により好適な角度に設定してある。
【0047】
以上の構成の裁断刃120aは次の切断動作を行う。
(1)シート天部の裁断
まず、装置起動時には裁断刃120aはシート表面から離間したホームポジションHpに位置する(図6(a))。このホームポジション位置は裁断刃120aに形成したフラグF1をセンサN1で検知する(図7参照)。前記搬入ローラ113によりシートが搬入されるタイミングでカッタ駆動モータ176を回転し裁断刃120aを右カムC1a、C1bに沿って裁断位置Cpに移動する。この移動は高速側電磁クラッチ177aにより高速移動で行なわれ、裁断刃120aが切断位置に至ったことをポジションセンサN2で検知して停止する。この状態で切断位置の裁断刃120aにシート束S1の下端が突き当たって位置決めされ、前述の回転テーブル121とグリッパ122とがシート束S1を把持し、グリッパのセンサがグリップ完了を検出すると、その信号に基づいてカッタ駆動モータ176が高速側電磁クラッチ177aにより逆回転され、これにより裁断刃は高速で待機位置Wp(図6(b)参照)に戻る。次いで、回転テーブル121とグリッパ122がシート束を90度回転させシート束の天部S1bを裁断位置にセットする。
【0048】
そうすると、このセット完了の信号から再びカッタ駆動モータ176を低速側電磁クラッチ177bで低速回転させスクリュネジ175を図6右側に移動して右カムC1a、C1bに沿って裁断刃120aを移動する。そうすると、図9(a)の状態で裁断刃120aは背部S1a側を先に徐々に小口部S1c側に切り進み裁断位置に進んで切断を終える。この裁断刃120aが裁断位置Cpに到達したのをポジションセンサN2が検知し、モータを停止する。これと同時にカッタ駆動モータ176を高速側電磁クラッチ177aで逆回転し、裁断刃120aがホームポジションに復帰すると、ポジションセンサN1がこれを検知して停止する。
【0049】
(2)地部の切断
この裁断刃の復帰と並行して回転テーブル121とグリッパ122とがシート束S1を180度回転し、それにより地部S1dを下向きにして図9(b)の状態にセットされる。このシート束S1の旋回と裁断位置へのセットの過程でモータ176を先と逆方向に高速側電磁クラッチ177aで回転し、左カムC2a、C2bに沿って裁断刃120aは待機位置に高速移動して停止待機する。シート束S1の裁断位置へのセット完了信号を受けてモータ176を同方向に低速側電磁クラッチ177bで低速回転する。そうすると、裁断刃120aは先と逆方向に背部S1aから小口部S1cに徐々に切り進み切断位置に到達する。そうすると、先と同様に、モータを高速側電磁クラッチ177aで逆転し裁断刃120aは待機位置に戻る。
【0050】
(3)小口部の切断
次に、回転テーブル121とグリッパ122とがシート束を90度回転して小口部S1cを図9(c)の状態にセットする。このときの裁断刃120aはいずれの方向に傾いていても良いので直前の地部S1dと同様に左カムに沿って切断する。切断終了後はモータを高速側電磁クラッチ177aで逆転して裁断刃120aをホームポジションに高速で復帰させその位置に停止保持する。裁断刃120aはこの状態で後続するシート束S1の切断に備える。なお、前記切断縁プレス手段は、上記各天部S1b、地部S1d、小口部S1cの切断の際、押え部材120cがシートを押圧保持して切断する状態と、シート束S1から離反して旋回を可能にする退避位置との間で係脱動作を繰り返す。
【0051】
ここで、本実施形態では、以上のように構成された裁断部23に以下の構成が採用される。前述のシート束S1は、回転テーブル121とグリッパ122で把持され、裁断位置にセットされるとともに、裁断縁プレス手段(前記押え部材120c)で押圧される。このシート束の背面には刃受け部材150が設けられ、切断刃120aの刃先が当接する刃受面150aが設けられている。そして、刃受け部材150は剛性に富んだ金属材料で強靱に構成され、刃受面はゴム、合成樹脂などの軟質材(裁断刃120aよりも軟質)で構成されている。
【0052】
このような構成で、本実施形態では、裁断刃120aによって切断されたシート屑が刃受面150a上に滞留することを防止するシート屑滞留防止手段が設けられている。図10には、シート屑滞留防止手段の第1の実施例として、裁断刃120aによって切断されたシート屑が刃受面150aに対して静電的に吸着することを防止するシート屑静電吸着防止手段が示されている。このシート屑静電吸着防止手段では、シート束S1の搬送及び回転時に発生した静電気によって帯電した切断屑の刃受面150aへの付着を防ぐため、シート束S1に対して以下のような静電気対策を施している。
【0053】
図10に示されるように、切断刃120aが当接する刃受面150aのシート搬送(排出)方向下流側に除電部材151をシート束に接触又は近接(接近)して通過し得る状態に配置する(本実施形態においては除電部材151を刃受面150aのシート搬送方向下流側へ配置しているが、上流側でもよい)。なお、除電部材151は電気ライン310を介して除電源に接続されている。
【0054】
除電部材151としては、ステンレス等の導電性繊維、または、導電性塗料などを繊維等に塗布して編んだもの等を使用している。なお、このような除電部材151としては、シートの通過を阻害しないように薄く柔軟なものであることが好ましい。
【0055】
なお、前述したように、シート束は回転テーブル121とグリッパ122で把持され、昇降機構121aにより裁断位置に向かい下降するが、裁断位置へ到達したシート束S1は、裁断位置を通過し更に所定量下降する。このときの下降量は、シート束端部から裁断位置までの領域(切断屑としてシート束から切り離される領域・・・裁断位置で裁断されるべきシートの部位からそれに近いシートの端面までの領域)が除電部材151と接触するように設定することが望ましい。
【0056】
上記シート束S1の除電を行った後、昇降機構121aがシート搬送方向に対し逆側へ移動し、これによりシート束S1が再度シート裁断位置へ向かい上昇する。シート束S1が裁断位置へセットされると、裁断刃120aにより切断する。
【0057】
このように、裁断刃120aによる切断の直前にシート束S1の切断屑として切り離される領域の除電がなされていれば、刃受面150aと切断屑との静電気による吸着を防ぐことができる。なお、このような制御は、制御手段400(図1参照)により行なわれる。
【0058】
図7(c)に示されるScは裁断位置のシートが切断されて切断屑が落下したことを検知するセンサであり、前述の裁断刃120aが切断位置に至ったポジションセンサN2がONした信号からこのセンサがOFFする信号でシートの切断完了信号を発し、このセンサがON状態を維持すると、ジャムと判断しジャム信号を発する。
【0059】
以上、シート束S1の切断領域の除電動作について説明したが、図10(a )はシート束S1の切断屑S2として切り離される領域が、除電部材151と接触している態様を示し、前述の通りシート束S1を天部S1b、地部S1d、小口部S1cの順に裁断すると、天部S1b、地部S1dの場合にはシート束S1の切断片(裁断屑)は背部を接着糊で接着されているため塊となって付着しその自重で落下する。しかし、小口部S1cの切断片はバラバラでその一部が刃受面に静電気により吸着し付着する現象が現れる。そのため、上記シート束S1の切断領域の除電動作は、前述の図9の動作手順において、小口部S1cを切断する前に行なわれると有益である。
【0060】
図11および図12には、シート屑滞留防止手段の第2の実施例として、刃受面150aに付着したシート屑S2を除去するシート屑除去手段が示されている。ここで、図11においては、制御手段400の制御に基づき、シート束S1の直線的な動作によって刃受面150aに付着したシート屑S2が引き剥がされるようになっている。一方、図12においては、制御手段400の制御に基づき、シート束S1の旋回動作によって刃受面150aに付着したシート屑S2が引き剥がされるようになっている。
【0061】
これについて具体的に説明すると、図11においては刃受け面150aに付着する切断屑S2を以下のような構成で除去する。
【0062】
シート束裁断後、回転テーブル121とグリッパ122とにより裁断位置で保持されたシート束S1が、昇降機構121aを所定量下降させることより下方向へスライドする。従って、シート束S1のカット面によって刃受面150aに付着した切断屑S2を刃受面150aから引き剥がし除去することとなる。図11(a)で示す現象が起こると自重で落下せず、刃受面150aに屑が付着して装置内に残留する恐れがある。そのため、上述にように付着した切断屑S2を強制的に徐去する必要がある。また、この場合、上記シート束S1の下降スライド動作は、前述した理由により、前述の図9の動作手順において、小口部S1cを切断した後に行なわれることが有益である。このとき、シート束スライド動作は前記センサSc(図7(c)参照)がON状態のときは裁断屑S2が除去されていないと判断し、再度上記除去動作を繰り返し、その後も尚センサがON状態のときは紙詰まりと判断してジャム信号を発し、後続する次の裁断動作を行わないように装置を停止する。なお、上記センサScはジャム信号の他、裁断不良として裁断刃の損耗状態を例えば前記カッタ駆動モータの負荷を検知して裁断刃の交換を警告表示する構成にすることも可能である。
【0063】
一方、図12においては刃受け面150aに付着する切断屑S2を以下のような構成で除去する。
【0064】
シート束裁断後、回転テーブル121とグリッパ122により裁断位置で保持されたシート束を所定量回転する。従って、シート束S1のカット面によって刃受面150aに付着した切断屑S2を刃受面150aから引き剥がし除去することとなる。図10(a)で示す現象が起こると自重で落下せず、刃受面150aに屑が付着して装置内に残留する恐れがある。そのため、上述にように付着した切断屑S2を強制的に徐去する必要がある。また、この場合も、上記シート束S1の回転動作は、前述した理由により、前述の図9の動作手順において、小口部S1cを切断した後に行なわれることが有益である。
【0065】
以上のように裁断が終了すると、前記センサScがこれを検出して裁断が完了するが、その屑は裁断位置の下流側の屑箱194に収容される。
【0066】
図3に示すように、裁断位置の下流には排紙ローラ300が設けられ、排紙スタッカ34aに裁断後のシート束S1を収納する。この排紙スタッカ34aに隣接して屑箱194が配置されるとともに、切断位置から落下する切断屑を屑箱194側に案内するワイパー部材195が設けられている。このワイパー部材195は、図3の状態からシート束を排紙スタッカに案内するときは時計方向に揺動するように配置される。なお、屑箱194には満タン検知センサSf1、プレ満タン検知センサSf2がそれぞれ配置してある。そして、このプレ満タン検知センサSf2が切断屑を検知すると、検知信号を基にアラームを発し、使用者にゴミ除去を促す構成としてある。また、屑箱194は装置に着脱自在に構成され、この屑箱が正常な位置に装着されているか否かを検知するセンサ(図示せず)も設けてある。
【0067】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、前述した実施形態では、画像形成装置として転写方式を利用する複写機が示されているが、本発明における画像形成装置には、転写方式以外の画像形成装置(例えばプリンタ等)も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、シート束を形成して裁断・製本化するあらゆる製本装置、および、そのような製本装置を組み込む様々なシステムに対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】画像形成システムの構成図であり、製本装置の詳細構成を示している。
【図2】画像形成システムの構成図であり、画像形成装置の詳細構成を示している。
【図3】製本装置の詳細構成の説明図である。
【図4】図3の装置における裁断部の平面図である。
【図5】図3の装置におけるシートグリップ搬送機構の斜視図である。
【図6】図3の装置における断裁刃を駆動するカムの構造説明であり、(a)は駆動機構の斜視図であり、(b)はカムの動作状態図である。
【図7】図3の装置における裁断刃と裁断縁プレス手段の動作状態を示しており、(a)は退避位置の図、(b)は作動位置の図、(c)は裁断位置のシートの状態を示す図である。
【図8】図3の装置における裁断縁プレス手段の動作状態を示し、(a)はシートから押え部材が退避した退避状態の図、(b)はシートを押え部材が押圧する作動状態の図である。
【図9】シートの裁断手順を示す説明図であり、(a)は天部の裁断、(b)は地部の裁断、(c)は小口部の裁断をそれぞれ示している。
【図10】図3の装置における除電部材の効果の説明図であり、(a)は作動状態の図、(b)はシート束が裁断位置へセットされた状態の図である。
【図11】図3の装置における裁断位置に付着した切断屑を除去する手段(スライド動作)の説明図であり、(a)は非作動状態の図、(b)は作動状態の図である。
【図12】図3の装置における裁断位置に付着した切断屑を除去する手段(回転動作)の説明図であり、(a)は非作動状態の図、(b)は作動状態の図である。
【符号の説明】
【0070】
1 製本システム
120a 裁断刃
121 回転テーブル(シート保持手段)
122 グリッパ(シート保持手段)
150 刃受け部材
150a 刃受面
151 除電部材
400 制御手段
B 製本装置
S1 シート束
【出願人】 【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテック株式会社
【出願日】 平成18年8月9日(2006.8.9)
【代理人】 【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章

【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司

【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義

【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行

【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅


【公開番号】 特開2008−36805(P2008−36805A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−217225(P2006−217225)