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【発明の名称】 シート束断裁装置
【発明者】 【氏名】上野 裕司

【氏名】久保 政義

【要約】 【課題】装置構成の大型化および製造コストの上昇を招くことなく、適切に束状シートを回転させること。

【構成】背部が綴じられた束状シートSが搬送される搬送経路11と、この搬送経路11に配設され束状シートSを回転させるグリップ回転搬送機構20と、搬送経路11のグリップ回転搬送機構20の下流側に配設され束状シートSを押圧するプレス機構32と、搬送経路11のグリップ回転搬送機構20の下流側に配設され束状シートSを断裁する断裁機構30とを具備するシート束断裁装置Aにおいて、グリップ回転搬送機構20で束状シートSを回転させる際、プレス機構32または断裁機構30の領域内に束状シートSを背部から進入させることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背部が綴じられた束状シートが搬送される搬送経路と、前記搬送経路に配設され前記束状シートを回転させる回転手段と、前記搬送経路の前記回転手段の下流側に配設され前記束状シートを押圧する押圧手段と、前記搬送経路の前記回転手段の下流側に配設され前記束状シートを断裁する断裁手段とを具備するシート束断裁装置であって、前記回転手段で前記束状シートを回転させる際、前記押圧手段または断裁手段の領域内に前記束状シートを背部から進入させることを特徴とするシート束断裁装置。
【請求項2】
前記回転手段で前記束状シートを回転させる際、前記搬送経路から前記断裁手段を前記押圧手段よりも退避させ、前記押圧手段によって前記束状シートの状態を規制することを特徴とする請求項1記載のシート束断裁装置。
【請求項3】
前記押圧手段が有する押圧部材と、当該押圧部材の押圧力を前記束状シートを介して受ける押圧受け部材とで前記束状シートの状態を規制することを特徴とする請求項2記載のシート束断裁装置。
【請求項4】
前記束状シートの背部を前記搬送経路の進行方向に向けた状態で当該束状シートを搬送することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のシート束断裁装置。
【請求項5】
前記断裁手段は、前記束状シートの天部または地部、地部または天部、小口部の順番に当該束状シートを断裁することを特徴とする請求項4記載のシート束断裁装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、シート束断裁装置に関し、例えば、表紙シートを装丁した冊子状のシート束の縁部を切り揃えるシート束断裁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のシート束断裁装置は、束状シート搬入口から束状シートを受け入れ、この束状シートの縁部、例えば、天部、地部、小口部を順次断裁して収容スタッカに搬出する装置として広く知られている。このような断裁装置は、例えば、最終仕上げユニットとして製本装置に組み込まれ、或いは画像形成装置の後処理装置に組み込まれるなど広く使用されている。従来、このようなシート束断裁装置として、束状シートを搬送経路に沿って所定の回転テーブルに搬送し、この回転テーブル上に束状シートを位置決めした後、押え板によって束状シートを設定圧で押さえ付け、カッターなどの断裁装置で束状シートの縁部(天部、地部、小口部)を断裁する構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003-071779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述のようなシート束断裁装置において、束状シートを回転テーブルによって回転させる際、例えば、束状シートの小口部の表紙シートまたは中紙シートが開き気味になってしまっている場合、或いは束状シート自体が湾曲してしまっている場合には、束状シートが押え板またはカッターに接触してしまい、束状シートの回転不良が発生するという問題がある。
【0004】
束状シート全体を押さえ付け、束状シートの湾曲状態を規制することも考えられるが、この場合には、規制部材を追加しなければならないため、装置構成が大きくなってしまうという問題、並びに、装置製造に要する製造コストが上昇してしまうといった問題がある。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みて為されたものであり、装置構成の大型化および製造コストの上昇を招くことなく、適切に束状シートを回転させることができるシート束断裁装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート束断裁装置は、背部が綴じられた束状シートが搬送される搬送経路と、前記搬送経路に配設され前記束状シートを回転させる回転手段と、前記搬送経路の前記回転手段の下流側に配設され前記束状シートを押圧する押圧手段と、前記搬送経路の前記回転手段の下流側に配設され前記束状シートを断裁する断裁手段とを具備するシート束断裁装置であって、前記回転手段で前記束状シートを回転させる際、前記押圧手段または断裁手段の領域内に前記束状シートを背部から進入させることを特徴とする。
【0007】
上記シート束断裁装置によれば、回転手段で束状シートを回転させる際、押圧手段または断裁手段の領域内に束状シートを背部から進入させることから、束状シートが押圧手段または断裁手段に接触する事態を回避しつつ、束状シートを回転させることができる。また、束状シートを背部から押圧手段等に進入させることで、束状シートと押圧手段等との接触を回避する構成を採るため、束状シートの状態を規制する規制部材等を追加する必要がない。この結果、装置構成の大型化および製造コストの上昇を招くことなく、適切に束状シートを回転させることが可能となる。
【0008】
上記シート束断裁装置においては、前記回転手段で前記束状シートを回転させる際、前記搬送経路から前記断裁手段を前記押圧手段よりも退避させ、前記押圧手段によって前記束状シートの状態を規制することが好ましい。例えば、押圧手段が有する押圧部材と、当該押圧部材の押圧力を前記束状シートを介して受ける押圧受け部材とで前記束状シートの状態を規制することが好ましい。この場合には、押圧手段によって束状シートの状態が規制されることから、束状シートを回転させる過程で、束状シートの端部(例えば、小口部)が押圧手段等に接触する事態を防止することが可能となる。
【0009】
特に、上記シート束断裁装置においては、前記束状シートの背部を前記搬送経路の進行方向に向けた状態で当該束状シートを搬送することが好ましい。この場合には、背部を搬送経路の進行方向に向けた状態で束状シートが搬送されるので、簡単且つ迅速に、押圧手段等の領域内に束状シートを背部から進入させることが可能となる。
【0010】
例えば、上記シート束断裁装置において、前記断裁手段は、前記束状シートの天部または地部、地部または天部、小口部の順番に当該束状シートを断裁することが考えられる。この場合には、束状シートを、天部または地部を断裁すべく背部から押圧手段等の領域内に進入させ、続いて、地部または天部を断裁すべく再び背部から押圧手段等の領域内に進入させることができるので、束状シートを断裁する際の大部分で、束状シートが押圧手段等に接触する事態を回避しつつ、束状シートを回転させることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回転手段で束状シートを回転させる際、押圧手段または断裁手段の領域内に束状シートを背部から進入させるようにしたことから、束状シートが押圧手段または断裁手段に接触する事態を回避することができるので、装置構成の大型化および製造コストの上昇を招くことなく、適切に束状シートを回転させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るシート束断裁装置Aの概略的な全体構成図である。図2は、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aが有する断裁機構の周辺の拡大図である。
【0013】
本実施の形態に係るシート束断裁装置Aは、それ単独でも使用可能であるが、複写機等の画像形成装置におけるシート搬送経路の下流側に設けられるシート後処理装置として使用可能である他、製本システムの一部を構成することも可能であり、任意の用途に適用することができる。
【0014】
図1に示すように、シート束断裁装置Aは、束状シートSの断裁処理に必要な各種構成要素を収容する外装体としてのハウジング10を備えている。ハウジング10内には、束状シートSの受入口11aと排紙口11bとを有する搬送経路11が形成されている。この搬送経路11には、受入口11aの近傍に搬入ローラ12が配設されると共に、その下流側に回転手段として機能するグリップ回転搬送機構20、押圧手段として機能するプレス機構32、並びに、断裁手段として機能する断裁機構30が順次配設され、さらにその下流側に排紙ローラ40が配設されている。この排紙ローラ40の下方領域には、収納スタッカ45および屑収納ボックス50が配設されている。なお、ハウジング10には、受入口11aを開閉する開閉カバー10aが回動可能に取り付けられている。
【0015】
本実施の形態に係るシート束断裁装置Aにおいては、搬送経路11を、図1に示す鉛直方向に形成し、排紙ローラ40からの束状シートSが収納スタッカ45に倒立姿勢で収納される一方、この搬送経路11に配設される断裁機構30において発生する断裁屑が屑収納ボックス50に落下収容されるように構成されている。
【0016】
搬送経路11における受入口11aには、製本綴じされた束状シートSが製本状態、例えば、中綴じシート束の表裏を表紙シートで包んで背部を接着糊で綴じ合わせた(くるみ製本)状態で搬入されるか、或いは束状シートSの背部をステイプル綴じされた状態で搬入される。
【0017】
受入口11aの内側には、搬送モータM1に連結された搬入ローラ12が配設されている。この搬入ローラ12においては、一対のローラが束状シートSの厚さに応じて接近離間するように配置されている。搬入ローラ12には、一対のローラ間隔(ローラの移動量)を検出することにより、束状シートSの厚さを検知するシート束厚検知手段13が連結されている。搬入ローラ12の近傍には、束状シートSの先端を検知するシートセンサS1が設置されている。このシートセンサS1による検知結果は、後続する制御、例えば、後述する断裁機構30の待機位置設定などに使用される。
【0018】
搬送経路11における搬入ローラ12の下流側には、束状シートSをグリップし、方向姿勢の偏向および搬送可能なグリップ回転搬送機構20が配設されている。グリップ回転搬送機構20は、回転テーブル21と、グリッパ22とで構成され、これらで束状シートSをグリップした状態で回転および搬送経路方向下方側に移動可能に構成されている。このため、回転テーブル21は、ユニットフレーム23に旋回動自在に支持されると共に、上下方向に移動可能に支持されている。一方、グリッパ22は、ユニットフレーム23に搬送経路11と直交する方向(ここでは、図1に示す水平方向)に移動可能に支持されている。なお、回転テーブル21は、回転モータMTおよび昇降モータMSに連結されており、これらの駆動力によって旋回動すると共に上下移動する。一方、グリッパ22は、グリッパモータMGに連結されており、このグリッパモータMGの駆動力によって水平移動する。
【0019】
搬入ローラ12からグリップ回転搬送機構20に搬送された束状シートSは、回転テーブル21とグリッパ22との間に挟持された状態で、回転テーブル21の回転により束状シートSの方向姿勢が偏向される。これにより、束状シートSの天部、地部、小口部をそれぞれ下流側のプレス機構32および断裁機構30に臨ませることが可能となる。これと同時に、グリップ回転搬送機構20は、昇降モータMSによって搬送経路11の下流側の図2に示す断裁位置Xに移動し、その送り量で断裁幅を設定することとなる。なお、断裁位置Xには、図2に示すように、束状シートSの先端を検知する先端検知センサS2が設置されている。
【0020】
搬送経路11におけるグリップ回転搬送機構20の下流側には、プレス機構32および断裁機構30が配設されている。プレス機構32は、プレス板32aと、断裁刃受け部材33と、プレス板32aを断裁刃受け部材33側に押圧移動させるプレスモータMPとを含んで構成されている。プレスモータMPからの駆動力によってプレス板32aが断裁刃受け部材33側に移動することで束状シートSが保持される。一方、断裁機構30は、装置フレームに水平移動可能に支持される平刃状の断裁刃31と、断裁刃31を断裁刃受け部材33側に水平移動させるカッターモータMCとを含んで構成されている。カッターモータMCからの駆動力によって断裁刃31が水平移動することで束状シートSの縁部が断裁される。
【0021】
グリップ回転搬送機構20から搬送された束状シートSは、プレス機構32で保持され、この状態で断裁機構30によって縁部が断裁される。例えば、束状シートSの天部を断裁した後に回転テーブル21で姿勢偏向され、続いて束状シートSの地部を断裁した後、束状シートSの小口部を断裁する。このように所定の縁部を断裁した後、回転テーブル21とグリッパ22との挟持が解除されると、束状シートSは、搬送経路11の下流側に落下する。
【0022】
搬送経路11における断裁機構30の下流側には、搬送ローラ40が配設されている。排紙ローラ40は、一対のローラで構成され、不図示の駆動モータに連結されている。排紙ローラ40の下流側には、搬送経路11に連なる位置に、収納スタッカ45および屑収納ボックス50が配設されている。さらに、排紙ローラ40の下流側には、フラッパ部材41が、断裁位置Xから落下する断裁屑を屑収納ボックス50に案内するように配設されている。このフラッパ部材41は、図2に示すように、装置フレームに基端部を揺動自在に支持されている。また、シフトモータMFに連結されており、このシフトモータMFからの駆動力によって揺動可能に構成されている。
【0023】
次に、上記構成を有するシート束断裁装置Aにおける束状シートSの断裁動作について図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aにおける束状シートSの断裁動作を説明するためのフロー図である。
【0024】
束状シートSは、本シート束断裁装置Aに投入される前工程として、例えば、製本綴じ処理が施され、或いは受入口11aの上流側に連結された製本綴じ装置から綴じ処理される。このように綴じ処理等が行われた束状シートSが受入口11aにセットされる(ステップ(以下、「St」という)100)。なお、図示を省略しているが、搬入ローラ12の下流には、ゲートストッパまたはレジストローラなどの束状シートSの先端を突き当て規制するゲート手段が配設されている。
【0025】
このようにセットされた束状シートSをシートセンサS1が検知すると、搬送モータM1が駆動され、搬入ローラ12で束状シートSをニップする(St101)。このとき、シート束厚検知手段13は、搬入ローラ12の移動量から束状シートSの厚さ(束厚)を検知する。なお、この束厚情報は、例えば、シート束断裁装置Aの制御CPUに送信され、後続する動作制御に使用される。
【0026】
シート束厚検知手段13によってシート束Sの厚さが検知されると、搬送モータM1が駆動され、その駆動力が搬入ローラ12に伝達される。これにより、搬入ローラ12が回転し、搬送経路11に沿ってシート束Sが下流側のグリップ回転搬送機構20に搬送される。そして、所定位置でシート束Sが位置決めされると、グリップ回転搬送機構20によりグリッパ22が駆動され、回転テーブル21とグリッパ22との間にシート束Sが挟持される(St102)。
【0027】
回転テーブル21とグリッパ22との間にシート束Sが挟持されると、回転モータMTが駆動され、その駆動力が回転テーブル21に伝達される。これにより、回転テーブル21が所定角度、例えば、90度回転し、束状シートSの姿勢を偏向する(St103)。
【0028】
このように束状シートSが予め設定された姿勢に偏向されると、昇降モータMSが駆動され、その駆動力が回転テーブル21に伝達される。これにより、回転テーブル21が搬送経路11に沿って下降する。このとき、束状シートSが一定量以上下降すると、先端検知センサS2が束状シートSの先端を検知する(St104)。この先端検知センサS2による束状シートSの検知から所定量だけ搬送されると、束状シートSにおける予め設定されたカットラインが断裁位置Xに到達する(St105)。
【0029】
束状シートSにおける所定のカットラインが断裁位置Xに到達すると、プレスモータMPが駆動され、その駆動力がプレス板32aに伝達される。これにより、プレス板32aが束状シートSを断裁刃受け部材33に押圧保持する(St106)。束状シートSが押圧保持されると、プレス板32aに設置されたプレスエンドセンサ(不図示)からの信号(プレスエンド信号)が断裁機構30に出力される。
【0030】
このプレスエンド信号を受け取ると、カッターモータMCが駆動され、その駆動力が断裁刃31に伝達される。これにより、断裁刃31は、図2に示す待機位置WPから、図4に示すように断裁位置CPまで水平移動し、束状シートSの下縁部を断裁する(St107)。なお、断裁刃31は、図2に示すホームポジションHPから、上述したシート束厚検知手段13からの束厚情報に応じて待機位置WPに移動して待機している。束状シートSの各縁部を断裁する際の詳細な処理については後述する。
【0031】
束状シートSの断裁と同時に、断裁屑は、自重により落下して屑収納ボックス50に収納される(St108)。このとき、フラッパ部材41は、シフトモータMFからの駆動力によって、図2に示す実線位置から図4に示す実線位置に移動しており、断裁機構30から落下する断裁屑を屑収納ボックス50側に案内するように配置されている。
【0032】
束状シートSを断裁し終わると、プレスモータMPが逆転駆動され、その駆動力がプレス板32aに伝達される。これにより、プレス板32aが束状シートSの押圧を解除する(St109)。また、これと前後してカッターモータMCが逆転駆動され、その駆動力が断裁刃31に伝達される。これにより、断裁刃31は、図2に示す待機位置WPへ退避する(St110)。
【0033】
断裁刃31が待機位置WPへ退避した後、予め設定された束状シートSの縁部、例えば、3方向(天部、地部、小口部)が断裁されたか否かが判断される(St111)。予定された全ての断裁が終了している場合、束状シートSは、収納スタッカ45に搬出される(St112)。なお、束状シートSを収納スタッカ45に搬出する際には、フラッパ部材41を図2に示す鎖線位置にシフトモータMFで移動させた後、排紙ローラ40を回転駆動する。排紙ローラ40で繰り出された束状シートSは、収納スタッカ45に搬入され、図1に示すような倒立姿勢で順次積み重ねられる。
【0034】
一方、予定された全ての断裁が終了していない場合には、回転テーブル21は、束状シートSを回転させるエリアを確保するため、搬送経路11から所定量後退する(St113)。回転テーブル21が搬送経路11から所定量後退したならば、所定位置まで束状シートSを回転させる(St114)。その後、処理をSt104に戻し、再び、St104以降の処理を行う。このようにして本シート束断裁装置Aにおける一連の束状シートSの断裁動作が終了する。
【0035】
ここで、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aにおいて、束状シートSの縁部を断裁する際の処理について図5〜図7を用いて説明する。図5は、束状シートSの天部を断裁する前の回転状態を示す説明図であり、図6は、束状シートSの地部を断裁する前の回転状態を示す説明図であり、図7は、束状シートSの小口部を断裁する前の回転状態を示す説明図である。なお、以下においては、束状シートSの天部を「Sa」と呼び、地部を「Sb」と呼び、小口部を「Sc」と呼び、背部を「Sd」と呼ぶものとする。
【0036】
本実施の形態において、束状シートSは、背部Sdを搬送経路11の進行方向側(図1に示す下方側)に向けた状態で搬送経路11を搬送される。このため、搬送経路11を搬送された束状シートSは、図5(a)に示すように、背部Sdを搬送経路11の進行方向側(下方側)に向けた状態で回転テーブル21とグリッパ22とによって挟持される。このように挟持された束状シートSの縁部を断裁する際、まず、天部Saを断裁するために、束状シートSを、図5(b)および図5(c)に示す矢印方向に90度回転させる。このとき、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aにおいては、束状シートSがプレス板32aおよび断裁刃31の領域内に進入する際、束状シートSが引っ掛ることのないように背部Sdから進入するように回転させる。そして、図5(c)に示すように、束状シートSを90度回転させた後、プレス機構32によって束状シートSを押圧すると共に、断裁機構30によって天部Saを断裁する。
【0037】
天部Saを断裁したならば、今度は、束状シートSの地部Sbを断裁するために、束状シートSを、図6(a)〜図6(c)に示す矢印方向(天部Saを断裁する際の回転と逆方向)に180度回転させる。このとき、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aにおいては、天部Saを断裁する際の回転と同様に、束状シートSがプレス板32aおよび断裁刃31の領域内に進入する際、束状シートSの背部Sdから進入するように回転させる。そして、図6(c)に示すように、束状シートSを180度回転させた後、プレス機構32によって束状シートSを押圧すると共に、断裁機構30によって地部Sbを断裁する。
【0038】
地部Sbを断裁したならば、今度は、束状シートSの小口部Scを断裁するために、束状シートSを、図7(a)および図7(b)に示す矢印方向(地部Sbを断裁する際の回転と逆方向)に270度回転させる。このとき、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aにおいては、天部Saおよび地部Sbを断裁する際の回転と同様に、束状シートSがプレス板32aおよび断裁刃31の領域内に進入する際、束状シートSの背部Sdから進入するように回転させる。
【0039】
このように束状シートSを回転させた場合、小口部Scにおける天部Sa側の角部がプレス板32aおよび断裁刃31の領域内に進入してしまう。この場合において、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aは、図8に示すように、断裁刃31をプレス板32aよりも退避させ、プレス機構32(より具体的には、プレス板32aおよび断裁刃受け部材33)により束状シートSの状態を規制している。これにより、束状シートSは、常にプレス機構32の領域内で回転するようになることから、断裁機構31に小口部Scが引っ掛ることなく束状シートSを回転させることが可能となる。このように小口部Scを回転させた後、プレス機構32によって束状シートSを押圧すると共に、断裁機構30によって小口部Scを断裁する。
【0040】
なお、ここでは、小口部Scを断裁する際に束状シートSを、地部Sbを断裁する際の回転と逆方向に回転させる場合について示している。しかし、これに限定されず、図7(c)および図7(d)に示すように、地部Sbを断裁する際の回転と同一の方向に回転させることも可能である。この場合においても、プレス機構32によって束状シートSの状態を規制することにより、束状シートSが同様にプレス機構32の領域内での回転するようになることから、断裁機構31に小口部Scが引っ掛ることなく束状シートSを回転させることが可能となる。
【0041】
このように本実施の形態に係るシート束断裁装置Aによれば、グリップ回転搬送機構20で束状シートSを回転させる際、プレス機構32または断裁機構30の領域内に束状シートSを背部から進入させることから、束状シートSがプレス機構32または断裁機構30に接触する事態を回避しつつ、束状シートSを回転させることができる。また、束状シートSを背部からプレス機構32等に進入させることで、束状シートSとプレス機構32等との接触を回避する構成を採るため、束状シートSの状態を規制する規制部材等を追加する必要がない。この結果、装置構成の大型化および製造コストの上昇を招くことなく、適切に束状シートSを回転させることが可能となる。
【0042】
また、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aによれば、束状シートSの小口部Scを断裁する前に、断裁刃31をプレス機構32よりも退避させ、プレス機構32によって束状シートSの状態を規制していることから、束状シートSを回転させる過程で、束状シートSの小口部Sdがプレス機構32等と接触して湾曲してしまうような事態を確実に防止することが可能となる。
【0043】
さらに、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aによれば、束状シートSの背部を搬送経路11の進行方向に向けた状態で、束状シートSを搬送させていることから、簡単且つ迅速に、プレス機構32等の領域内に束状シートSを背部から進入させることが可能となる。
【0044】
さらに、本実施の形態に係るシート束断裁装置Aによれば、束状シートの天部Sa(または地部Sb)、地部Sb(または天部Sa)、小口部Scの順番に当該束状シートSを断裁するようにしている。これにより、束状シートSを、天部Sa(または地部Sb)を断裁すべく背部からプレス機構32等の領域内に進入させ、続いて、地部Sb(または天部Sa)を断裁すべく再び背部からプレス機構32等の領域内に進入させることができるので、束状シートSを断裁する際の大部分で、束状シートSがプレス機構32等に接触する事態を回避しつつ、束状シートSを回転させることが可能となる。
【0045】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0046】
例えば、上記実施の形態においては、束状シートSの天部Sa、地部Sbおよび小口部Scの順に断裁する場合について示しているが、束状シートSの断裁順序については、上述の順序と反対に、すなわち、地部Sb、天部Saおよび小口部Scの順に断裁するようにしても良い。このように変更した場合においても、上述の場合と同様の効果を得ることが可能である。
【0047】
また、上記実施の形態においては、束状シートSの小口部Scを断裁する前に、断裁刃31をプレス板32aよりも退避させ、プレス機構32により束状シートSの状態を規制する場合について説明しているが、これに限定されるものではない。束状シートSの断裁動作を開始する前に、断裁刃31をプレス板32aよりも退避させ、プレス機構32により束状シートSの状態を規制するようにしても良い。
【0048】
さらに、本実施の形態においては、図2に示すように、プレス板32aを一体の構成物とする場合について示しているが、プレス板32aの構成については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、プレスモータMPの駆動力に応じて水平移動する可動プレス板と、搬送経路11の近傍に固定され、可動プレス板の水平移動に応じて搬送経路11上の束状シートSを押圧する固定プレス板とで構成するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施の形態に係るシート束断裁装置の概略的な全体構成図。
【図2】上記実施の形態に係るシート束断裁装置が有する断裁機構の周辺の拡大図。
【図3】上記実施の形態に係るシート束断裁装置における束状シートの断裁動作を説明するためのフロー図。
【図4】上記実施の形態に係るシート束断裁装置が有する断裁機構の周辺の拡大図。
【図5】上記実施の形態に係るシート束断裁装置において、束状シートの天部を断裁する前の回転状態を示す説明図。
【図6】上記実施の形態に係るシート束断裁装置において、束状シートの地部を断裁する前の回転状態を示す説明図。
【図7】上記実施の形態に係るシート束断裁装置において、束状シートの小口部を断裁する前の回転状態を示す説明図。
【図8】上記実施の形態に係るシート束断裁装置が有する断裁機構の周辺の拡大図であって、断裁刃がプレス機構より退避した状態について示す図。
【符号の説明】
【0050】
10 ハウジング
11 搬送経路
12 搬入ローラ
20 グリップ回転搬送機構
30 断裁機構
31 断裁刃
32 プレス機構
33 断裁刃受け部材
40 排紙ローラ
S 束状シート
Sa 天部
Sb 地部
Sc 小口部
Sd 背部
【出願人】 【識別番号】000208743
【氏名又は名称】キヤノンファインテック株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100098589
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 善章

【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司

【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義

【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行

【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅


【公開番号】 特開2008−30143(P2008−30143A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205595(P2006−205595)