トップ :: B 処理操作 運輸 :: B26 切断手工具;切断;切断機

【発明の名称】 粘着材シート切断装置および粘着材シート切断方法
【発明者】 【氏名】長谷川 康英

【要約】 【課題】粘着材シートが備える粘着材の層と他の層との剥離を防止でき、また、刃に異物が付着することを防止することができる粘着材シート切断装置および粘着材シート切断方法を提供する。

【構成】刃ホルダ2は、トムソン刃1を支持し、またベースプレート3に固定される。トムソン刃1が張り出している刃ホルダ2の面には、潤滑剤を保持する潤滑剤保持部4が設けられる。潤滑剤保持部4のスポンジ状部材4は潤滑剤を保持し、シール部材4はトムソン刃以外の方向に潤滑剤が排出されることを防ぐ。刃ホルダ2が粘着材シート21に近づくと、潤滑剤保持部4は粘着材シート21に押し当てられ変形する。すると、スポンジ状部材4も変形して、潤滑剤を排出しつつ、トムソン刃1に接触する。トムソン刃1は、スポンジ状部材4によって潤滑剤が塗布される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着材の層を有する粘着材シートを切断する粘着材シート切断装置であって、
粘着材シートを切断する刃と、
前記刃を支持し、粘着材シート配置位置に近づいて前記刃に粘着材シートを切断させる刃支持手段と、
前記刃の刃支持手段から張り出した箇所の近傍で潤滑剤を保持する潤滑剤保持手段とを備え、
刃支持手段は、粘着材シート配置位置に近づいたときに潤滑剤保持手段を粘着材シートに押し当てて潤滑剤保持手段を変形させ、
潤滑剤保持手段は、刃支持手段によって粘着材シートに押し当てられると変形し、変形時に排出する潤滑剤を前記刃に塗布する
ことを特徴とする粘着材シート切断装置。
【請求項2】
潤滑剤保持手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を備えた請求項1に記載の粘着材シート切断装置。
【請求項3】
粘着材の層を有する粘着材シートを切断する粘着材シート切断方法であって、
粘着材シートを切断する刃を粘着材シートに近づけるときに、前記刃に潤滑剤を塗布し、潤滑剤が塗布された前記刃によって粘着材シートを切断する
ことを特徴とする粘着材シート切断方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着材の層を有する粘着材シートを切断する粘着材シート切断装置および粘着材シート切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
型抜きに用いられる刃は、トムソン刃と呼ばれる。トムソン刃の例が、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1には、基台にトムソン刃を枠状に配設し、そのトムソン刃からなる枠の内側および外側の基台上にそれぞれクッション材を配設したトムソン型が記載されている。
【0004】
また、刃によって、粘着材シートを切断する場合がある。粘着材シートは、粘着材の層を有するシートである。粘着材の例として、PSA(Pressure Sensitive Adhesive :感圧性接着材)があり、粘着材シートの例として、PSAの層の表面および裏面にセパレータと呼ばれる剥離フィルムを設けたシートがある。
【0005】
図7は、粘着材シートを切断する従来の切断装置の刃の部分の例を示す説明図である。トムソン刃101は、刃ホルダ102によって支持される。トムソン刃101の厚さは例えば0.25mmである。また、トムソン刃101として、例えば、SUS(Stainless Used Steel)の剃刀刃が用いられる。トムソン刃101は、粘着材シート21を切断する。図8は、従来の切断装置のトムソン刃101が粘着材シート21を切断した状態を示す説明図である。図8に示すように、刃ホルダ102が切断対象となる粘着材シート21に近づくことにより、トムソン刃101が粘着材シート21を切断する。
【0006】
【特許文献1】特開2005−262418号公報(段落0009−0015、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のトムソン刃で粘着材シートを切断した場合、粘着材シートの切断面のうち、粘着材層の切断面が刃に付着してしまう。そのため、切断後にトムソン刃を上昇させるときに、刃に付着している粘着材層もトムソン刃とともに引き上げられ、粘着材の層とセパレータとが剥離してしまうという問題があった。
【0008】
また、切断時に生じる粘着材の層の切り屑がトムソン刃に付着してしまうという問題があった。このような異物(切り屑)が付着することにより、トムソン刃は、粘着材シートを切断しにくくなってしまう。また、異物の付着は刃の寿命を短くする要因にもなる。
【0009】
そこで、本発明は、粘着材シートが備える粘着材の層と他の層との剥離を防止でき、また、刃に異物が付着することを防止することができる粘着材シート切断装置および粘着材シート切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様1は、粘着材の層を有する粘着材シートを切断する粘着材シート切断装置であって、粘着材シートを切断する刃(例えばトムソン刃1)と、刃を支持し、粘着材シート配置位置に近づいて刃に粘着材シートを切断させる刃支持手段(例えば刃ホルダ2)と、刃の刃支持手段から張り出した箇所の近傍で潤滑剤を保持する潤滑剤保持手段(例えば潤滑剤保持部4)とを備え、刃支持手段は、粘着材シート配置位置に近づいたときに潤滑剤保持手段を粘着材シートに押し当てて潤滑剤保持手段を変形させ、潤滑剤保持手段は、刃支持手段によって粘着材シートに押し当てられると変形し、変形時に排出する潤滑剤を刃に塗布することを特徴とする粘着材シート切断装置を提供する。
【0011】
本発明の態様2は、態様1において、潤滑剤保持手段に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段(例えばポンプ6)を備えた粘着材シート切断装置。
【0012】
本発明の態様3は、粘着材の層を有する粘着材シートを切断する粘着材シート切断方法であって、粘着材シートを切断する刃を粘着材シートに近づけるときに、刃に潤滑剤を塗布し、潤滑剤が塗布された刃によって粘着材シートを切断することを特徴とする粘着材シート切断方法を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粘着材シート切断装置によれば、刃支持手段が、粘着材シート配置位置に近づいたときに潤滑剤保持手段を粘着材シートに押し当てて潤滑剤保持手段を変形させ、潤滑剤保持手段が、刃支持手段によって粘着材シートに押し当てられると変形し、変形時に排出する潤滑剤を刃に塗布する。従って、刃に粘着材の層や異物が付着することを防止できる。また、刃への粘着材の層の付着を防止できるので、刃とともに粘着材の層が引き上げられることを防止でき、粘着材の層と他の層とが剥離することを防止できる。
【0014】
本発明の粘着材シート切断方法によれば、粘着材シートを切断する刃を粘着材シートに近づけるときに、刃に潤滑剤を塗布し、潤滑剤が塗布された刃によって粘着材シートを切断する。従って、刃に粘着材の層や異物が付着することを防止できる。また、刃への粘着材の層の付着を防止できるので、刃とともに粘着材の層が引き上げられることを防止でき、粘着材の層と他の層とが剥離することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の粘着材シート切断装置が備える刃および刃の周囲の構成要素を示す模式的断面図である。本発明の粘着材シート切断装置は、刃1と、刃ホルダ2と、ベースプレート3と、潤滑剤保持部4とを備える。
【0016】
刃1は、切断対象となる粘着材シート21を切断する刃である。刃1の厚さは、例えば0.25mmであるが、0.25mmに限定されない。また、刃1は、例えば、SUS(Stainless Used Steel)の剃刀刃である。刃1は、粘着材シート21の型抜き切断のためのトムソン刃であってもよい。また、型抜きを目的とせずに単に粘着材シート21を切断する刃であってもよい。以下、刃1が、粘着材シート21の型抜き切断のためのトムソン刃である場合を例にして説明する。
【0017】
粘着材シート21は、粘着材の層を有するシートである。例えば、粘着材シート21は、PSA(Pressure Sensitive Adhesive :感圧性接着材)の層を有し、PSAの層の表面および裏面にセパレータ(剥離フィルム)が設けられたシートである。
【0018】
刃ホルダ2は、トムソン刃1を支持する金属製の部材である。刃ホルダ2は、溝を有し、その溝にトムソン刃1が差し込まれる。刃ホルダ2は、溝に差し込まれたトムソン刃1を支持する。刃ホルダ2によって支持されるトムソン刃1は、刃ホルダ2の外部に張り出す。
【0019】
ベースプレート3は、刃ホルダ2を固定する部材である。ベースプレート3は、複数の刃ホルダ2を支持してもよい。トムソン刃1は、刃ホルダ毎に交換(着脱)される。また、刃ホルダ2は、例えばボルト等(図示せず。)によって、ベースプレート3に固定される。
【0020】
また、本発明の粘着材シート切断装置は、切断対象となる粘着材シート21が配置される下部定盤と、下部定盤に対して近づいたり、離れたりするように移動する上部定盤とを備える。ベースプレート3は、上部定盤に設けられる。上部定盤が下部定盤に近づくと、上部定盤とともに、ベースプレート3、刃ホルダ2およびトムソン刃1も下部定盤に近づき、トムソン刃1が下部定盤上の粘着材シート21を切断する。なお、図1では、上部定盤および下部定盤の図示を省略しているが、上部定盤および下部定盤については、図5を参照して説明する。
【0021】
トムソン刃1が張り出している刃ホルダ2の面には、潤滑剤を保持する潤滑剤保持部4が設けられる。潤滑剤保持部4は、潤滑剤として、例えばエタノールを保持する。潤滑剤保持部4は、刃ホルダ2から張り出すトムソン刃1を挟むようにして、刃ホルダ2から張り出すトムソン刃1の両側に設けられる。
【0022】
潤滑剤保持部4は、変形可能であり、下部定盤(図1において図示せず。図5参照。)上に配置された粘着材シート21に、刃ホルダ2によって押し当てられると、変形し、保持している潤滑剤を排出する。また、潤滑剤保持部4は、刃ホルダ2によって下部定盤上の粘着材シート21に押し当てられて変形すると、刃ホルダ2から張り出すトムソン刃1に接触する。従って、潤滑剤保持部4は、刃ホルダ2によって粘着材シート21に押し当てられると、変形し、排出する潤滑剤を刃ホルダ2から張り出すトムソン刃1に塗布する。
【0023】
潤滑剤保持部4は、トムソン刃1の刃ホルダ2から張り出した箇所の近傍に設けられる。潤滑剤保持部4と刃ホルダ2との間隔は、潤滑剤保持部4が刃ホルダ2によって粘着材シート21に押し当てられて変形したときに、スポンジ状部材4aがトムソン刃1に接触可能な距離であればよい。また、潤滑剤保持部4は、トムソン刃1が粘着材シート21から離れて停止しているときであってもスポンジ状部材4aがトムソン刃1に接触するように配置されていてもよい。すなわち、変形していないときであっても、スポンジ状部材4aがトムソン刃1に接触するように配置されていてもよい。
【0024】
図2は、潤滑剤保持部4の断面を示す断面図である。図3は、潤滑剤保持部4の外観の例を示す斜視図である。潤滑剤保持部4は、多くの孔を有するスポンジ状部材4aと、そのスポンジ状部材4aを内部に収め、トムソン刃1(図2において図示せず。図1参照。)の方向が開口したシール部材4bとを備える。潤滑剤保持部4は、スポンジ状部材4aがシール部材4bで挟まれた構成になっている。また、トムソン刃1が存在する方向にシール部材4bが開口し、潤滑剤保持部4の側面のうち、トムソン刃1が存在する方向とは異なる方向を向いている各側面は、シール部材4bで覆われる。
【0025】
スポンジ状部材4aは、多くの孔を有したスポンジ状の部材であり、潤滑剤を吸収して保持する。一方、シール部材4bは、潤滑剤を透過させない変形可能な部材である。従って、潤滑剤保持部4が刃ホルダ2によって粘着材シート21に押し当てられて変形する場合、スポンジ状部材4aおよびシール部材4bがともに変形する。このとき、スポンジ状部材4aは、刃ホルダ2から張り出すトムソン刃1に接触する。また、スポンジ状部材4aは、刃ホルダ2によって粘着材シート21に押し当てられて変形すると、保持していた潤滑剤を排出する。よって、潤滑剤保持部4が刃ホルダ2によって粘着材シート21に押し当てられると、スポンジ状部材4aは、変形し、排出する潤滑剤を刃ホルダ2から張り出すトムソン刃1に塗布する。
【0026】
ただし、潤滑剤保持部4の側面のうち、トムソン刃1が存在する方向とは異なる方向を向いている各側面はシール部材4bで覆われ、スポンジ状部材4aの上層および下層もシール部材4bで覆われている。従って、潤滑剤は、潤滑剤保持部4の側面のうちトムソン刃1が存在する方向の側面のみから排出され、シール部材4bは、トムソン刃1が存在しない方向への潤滑剤の排出を防ぐ。
【0027】
スポンジ状部材4aおよびシール部材4bの材質は、例えば、フッ素樹脂やウレタンである。スポンジ状部材4aおよびシール部材4bの材質が同一であってもよい。例えば、スポンジ状部材4aおよびシール部材4bの材質をいずれもフッ素樹脂としてもよい。あるいは、スポンジ状部材4aおよびシール部材4bの材質をいずれもウレタンとしてもよい。ただし、スポンジ状部材4aには、潤滑剤を吸収して保持するように多数の孔を設ける。スポンジ状部材4aに多数の孔を設ける場合、例えば、発泡剤によって孔を設ければよい。一方、シール部材4bには、潤滑剤の透過を防止するため、そのような孔を設けなければよい。すなわち、発泡剤によって多数の孔を設けたフッ素樹脂やウレタンなどをスポンジ状部材4aとすればよい。また、潤滑剤を透過させるような孔が設けられていないフッ素樹脂やウレタンなどをシール部材4bとすればよい。
【0028】
また、本発明の粘着材シート切断装置は、潤滑剤保持部4のスポンジ状部材4aに潤滑剤を供給するためのタンク、ポンプおよび潤滑剤供給管とを備える。図4は、潤滑剤を供給するためのタンク、ポンプおよび潤滑剤供給管を示す説明図である。ただし、図1で示した構成要素と同一の構成要素については、図1に示す符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0029】
タンク7は、潤滑剤保持部4のスポンジ状部材4aに供給する潤滑剤を収容する。タンク7に収容される潤滑剤は、粘着材シート21が有する粘着材がトムソン刃1に付着することを防ぐ潤滑剤である。潤滑剤として、例えばエタノールが使用される。潤滑剤には、粘着材がトムソン刃1に付着することを防止することの他に、揮発性を有すること、粘着材シート21の層(例えば、セパレータの層)を溶かさないことが要求される。エタノールはこれらの要求を満たすので、潤滑剤として好ましい。これらの要求を満たす液剤であれば、潤滑剤としてエタノール以外の液剤を用いてもよい。
【0030】
ポンプ6は、タンク7に収容されている潤滑剤を、潤滑剤供給管5を介して、潤滑剤保持部4のスポンジ状部材4aに供給する定量吐出ポンプである。ポンプ6は、潤滑剤を供給することを命令する信号(以下、供給命令信号と記す。)が入力されると、タンク7から所定量の潤滑剤を吸い上げ、潤滑剤供給管5を介してその潤滑剤をスポンジ状部材4aに供給する。
【0031】
本発明の粘着材シート切断装置は、例えば、上部定盤(図4において図示せず。図5参照。)が上昇するときに、供給命令信号をポンプ6に入力する。この場合、上部定盤が上昇する毎(すなわち、粘着材シート21を切断したトムソン刃1が上昇する毎)に、ポンプ6に供給命令信号が入力される。その結果、上部定盤が上昇する毎に、ポンプ6が所定量の潤滑剤をスポンジ状部材4aに供給する。すなわち、トムソン刃1が粘着材シート21を一回切断して上昇する毎に、ポンプ6が所定量の潤滑剤をスポンジ状部材4aに供給する。
【0032】
潤滑剤供給管5は、潤滑剤保持部4のスポンジ状部材4aに潤滑剤を供給するパイプである。図4に示すように、潤滑剤供給管5は、刃ホルダ2の内部およびシール部材4bを通過してスポンジ状部材4aに到達するように設けられる。また、潤滑剤供給管5は、ベースプレート3(図1参照。)および上部定盤(図5参照。)の内部も通過するように設けられる。なお、上部定盤、ベースプレート3、刃ホルダ2およびトムソン刃1が一体的に移動できるように、潤滑剤供給管5の少なくとも一部は、変形可能な部材によって形成される。
【0033】
図5は、本発明の粘着材シート切断装置の構成を模式的に示す説明図である。ただし、図1で示した構成要素と同一の構成要素については、図1に示す符号と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0034】
図5に示すように、本発明の粘着材シート切断装置は、シリンダ31と、上部定盤32と、支柱33と、下部定盤35と、ベースプレート3と、刃ホルダ2と、トムソン刃1と、潤滑剤保持部4とを備える。また、図5では、タンク7、ポンプ6および潤滑剤供給管5の図示を省略している。
【0035】
上部定盤32は、支柱33に沿って上下方向に移動する。上部定盤32は、ばね(図示せず。)によって、下面から支えられる。このばね(図示せず。)は、上部定盤32、ベースプレート3および刃ホルダ2等の自重によって、上部定盤32が下方に降下しないように、上部定盤32を下方から支える。
【0036】
シリンダ31は、動作時に上部定盤32を下方に一定距離だけ押し込み、上部定盤32を一定距離だけ下部定盤35の方向に移動させる。このとき、ベースプレート3、刃ホルダ2およびトムソン刃1も上部定盤32と一体的に下部定盤35の方向に移動し、その結果、トムソン刃1が下部定盤35上に配置された粘着材シート21を切断する。シリンダ31は、非動作時には上部定盤32に力を加えない。従って、シリンダ31が動作を停止したときには、上述のばね(図示せず。)が、上部定盤32を上方に押し上げ、上部定盤32、ベースプレート3、刃ホルダ2およびトムソン刃1を元の位置に戻す。なお、上部定盤32を下方から支えるばね(図示せず。)の代わりにシリンダを用いてもよい。この場合、上部定盤32を下方に押し込むシリンダ31とは別に、上部定盤32を下方から支えるシリンダ(図示せず。)が設けられることになる。
【0037】
下部定盤35には、切断対象となる粘着材シート21が配置される。また、下部定盤35の高さは、調整可能である。粘着材シート21を切断する場合、シリンダ31は一定距離だけ上部定盤32を降下させるので、トムソン刃1の降下距離も一定である。よって、粘着材シート切断時におけるトムソン刃1の切り込み深さは、下部定盤35の高さを変更することによって調整する。
【0038】
また、下部定盤32を水平方向に移動させるスライド機構を設けて、下部定盤32を自動的に水平方向に移動できる構成であってもよい。このような構成の場合、切断対象となる粘着材シート21を自動的に水平方向に移動させることができるので、切断位置を変えながら連続的に粘着材シート21を切断することができる。
【0039】
次に、動作について説明する。ここでは、潤滑剤がエタノールである場合を例にして説明する。
【0040】
下部定盤32には、あらかじめ粘着材シート21が配置されている。まず、シリンダ31が動作を開始する。すなわち、シリンダ31が、上部定盤32を下部定盤35の方向に一定距離押し込む。この結果、上部定盤32、ベースプレート3、刃ホルダ2およびトムソン刃1は、一体的に下部定盤35に一定距離近づく。
【0041】
すると、刃ホルダ2と粘着材シート21との距離が短くなり、潤滑剤保持部4は、刃ホルダ2によって下部定盤35上の粘着材シート21に押し当てられて変形する。また、上部定盤32を下方から支えるばね(図示せず。)の長さは短縮する。
【0042】
潤滑剤保持部4のスポンジ状部材4a(図1、図2参照。)は押し当てられて変形すると、トムソン刃1の刃ホルダ2から張り出している部分に接触する。また、このとき、スポンジ状部材4aは、保持しているエタノールを排出し、接触しているトムソン刃1に塗布する。
【0043】
トムソン刃1は、エタノールを塗布されながら降下し、粘着材シート21を切断する。図6は、刃ホルダ2やトムソン刃1が降下して粘着材シート21を切断した状態を示す説明図である。トムソン刃1は、エタノールを塗布されながら降下するので、粘着材シート21における粘着材の層がトムソン刃1に付着することを防止することができる。また、粘着材シート21の粘着材の層の切り屑が生じたとしても、そのような異物(切り屑)がトムソン刃1に付着することを防止することができる。
【0044】
シリンダ31は上部定盤32を一定距離押し下げると動作を停止する。すると、シリンダ31から上部定盤32に加えられる力がなくなり、ばね(上部定盤32を下方から支えるばね。図示せず。)が上部定盤32を上昇させ、元の長さに戻る。
【0045】
ばね(図示せず。)が上部定盤32を上昇させると、上部定盤32、ベースプレート3、刃ホルダ2およびトムソン刃1は一体的に上昇し、それぞれシリンダ31の動作開始前の位置に戻る。エタノールが塗布されることによってトムソン刃1への粘着材シートの粘着材の層の付着は防止されているので、トムソン刃1が上昇するときに粘着材の層が引き上げられることも防止でき、その結果、粘着材の層と他の層(セパレータなど)とが剥離してしまうことも防止できる。
【0046】
また、トムソン刃1が上昇を開始した後も、少しの間、潤滑剤保持部4は刃ホルダ2によって粘着材シート21に押し当てられて変形した状態になっている。このとき、潤滑剤保持部4は、徐々に元の厚さに戻っていく。従って、トムソン刃1が上昇を開始した後、トムソン刃1は、少しの間、潤滑剤保持部4によって擦られつつ上昇することになる。よって、仮に潤滑剤保持部4に異物(切り屑)が付着していたとしても、潤滑剤保持部4がその異物をトムソン刃1から落とすことを期待できる。
【0047】
また、粘着材シート切断装置は、上部定盤32が上昇するときに、ポンプ6(図4参照。)に供給命令信号を入力する。例えば、粘着材シート切断装置が、上部定盤32の上昇を検出する検出装置(図示せず。)と、供給命令信号をポンプ6に入力する情報処理装置(図示せず。)とを備え、その検出装置が上部定盤32の上昇を検出したときに、情報処理装置がポンプ6に供給命令信号を入力してもよい。
【0048】
ポンプ6に供給命令信号が入力されると、ポンプ6は、タンク7(図4参照。)から所定量のエタノールを吸い上げ、潤滑剤供給管5(図4参照。)を介してそのエタノールをスポンジ状部材4aに供給する。スポンジ状部材4aは、供給されたエタノールを保持する。このように、トムソン刃1が粘着材シート21を切断して上昇する度に、スポンジ状部材4aにエタノールが補充される。
【0049】
ばね(図示せず。)が上部定盤32を元の位置まで上昇させると、粘着材シート切断装置はシリンダ31(図5参照。)の動作開始前の状態に戻る。再度、粘着材シート21を切断する場合には、上記と同様の動作を繰り返せばよい。
【0050】
本発明によれば、トムソン刃1を粘着材シート21に近づけるときに、潤滑剤保持部4が変形してトムソン刃1に潤滑剤を塗布する。そして、潤滑剤が塗布されたトムソン刃1が粘着材シート21を切断する。従って、トムソン刃1に粘着材シート21の粘着材の層が付着してしまい、トムソン刃1の上昇時に粘着材の層と他の層とが剥離してしまうことを防止できる。また、トムソン刃1への異物(粘着材シート21の切り屑)の付着を防止することができる。
【0051】
また、トムソン刃1が上昇するときに、ポンプ6がタンク7から潤滑剤を吸い上げ、その潤滑剤を潤滑剤保持部4のスポンジ状部材4aに供給する。従って、自動的に潤滑剤保持部4に潤滑剤を補充することができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、粘着材の層を有する粘着材シートを切断する粘着材シート切断装置や粘着材シート切断方法に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の粘着材シート切断装置が備える刃および刃の周囲の構成要素を示す模式的断面図。
【図2】潤滑剤保持部の断面を示す断面図。
【図3】潤滑剤保持部の外観の例を示す斜視図。
【図4】潤滑剤を供給するためのタンク、ポンプおよび潤滑剤供給管を示す説明図。
【図5】本発明の粘着材シート切断装置の構成を模式的に示す説明図。
【図6】刃ホルダやトムソン刃が降下して粘着材シートを切断した状態を示す説明図。
【図7】粘着材シートを切断する従来の切断装置の刃の部分の例を示す説明図。
【図8】従来の切断装置のトムソン刃101が粘着材シート21を切断した状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0054】
1 刃
2 刃ホルダ
3 ベースプレート
4 潤滑剤保持部
4a スポンジ状部材
4b シール部材
5 潤滑剤供給管
6 ポンプ
7 タンク
31 シリンダ
32 上部定盤
33 支柱
35 下部定盤
【出願人】 【識別番号】000103747
【氏名又は名称】オプトレックス株式会社
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】100103090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩壁 冬樹

【識別番号】100124501
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 誠人


【公開番号】 特開2008−30137(P2008−30137A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204666(P2006−204666)