トップ :: B 処理操作 運輸 :: B26 切断手工具;切断;切断機

【発明の名称】 裁断機
【発明者】 【氏名】近藤 孝次郎

【要約】 【課題】従来の裁断機は、多数枚重ねた紙を切断しようとすると過大な力を必要としたり、あるいは切り口が不揃いになる傾向があり、このための専用の裁断機では紙を押さえる機構と高剛性の刃物を必要とするために大重量、高価格であったり、操作が煩雑であったりするという問題があった。

【構成】真直両刃の刃物をその中央位置において倍力機構を介して受け台へ押し付ける構造とした。薄い両刃の刃物は、切断時に紙のずれを生じないので、刃物と筐体とを板部材として必要な剛性を確保することができ、刃物の中央位置を行程終端で倍力効果が最大となる構造として、片手で簡便な操作が可能な軽量で小型の断裁機とすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非切断材の最大厚さに相当する刃先部分が厚さ2mm以下の真直両刃の刃物と、筐体に固定した前記刃物の刃先に対向する受け台と、前記刃物をその中央位置において前記受け台側へ駆動する倍力駆動機構を特徴とする裁断機。
【請求項2】
一対の平板の中央近傍に被切断シート材を通過させる開口部を持つ筐体と前記筐体の間の上方に刃物、下方に受け台を配置した構造の請求項1に記載の裁断機。
【請求項3】
刃物は、刃先材の刃先部分を突出させて、前記刃先材の両側面を把持する一対の側面材と前記刃先材の背面に前記刃先材より薄い背面材を配置して、前記側面材間を複数個のねじによって固定した構造の請求項1に記載の裁断機。
【請求項4】
筐体は、矩形断面の受け台の背面に前記受け台より薄い背面補強材を配置して、一対の平板で把持し、前記平板間を複数個のねじによって固定した構造の請求項1に記載の裁断機。
【請求項5】
裁断行程の終端において、倍力駆動機構の力の増幅が最大となる構造の請求項1に記載の裁断機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、フィルム、布などのシート材(以下「紙」という)を複数枚重ねて直線に裁断するために用いる裁断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙を直線に裁断するためには、(1)直線固定刃と可動刃の一端を軸で連結して、相互の刃先を摺接する構造のもの(例えば、特許文献1参照。)、(2)円形刃を保持して摺動するスライダと円形刃の刃先の受け部より構成されたもの(例えば、特許文献2参照。)、あるいは(3)高剛性の刃物を紙と平行に押し付ける構造のもの(例えば、特許文献3参照。)があり、さらに(4)真直両刃の薄刃を用いるもの(特許文献4参照。この出願は本発明と同じ発明者および特許出願人に係るものである。)がある。
【特許文献1】 実開平3−29295号公報
【特許文献2】 実開平2−27890号公報
【特許文献3】 特開2000−254892号公報
【特許文献4】 特開2005−193366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の裁断機のうち(1)あるいは(2)の構造のものでは、重ねた紙を裁断しようとすると操作するための力が著しく増大し、また重ねた紙にずれを生じて、裁断面が不揃いとなってしまう傾向がある。
【0004】
従来の裁断機(1)あるいは(2)の構造のものにおけるこのような不具合は、操作力を減じる目的で、被切断材(紙)を一端から他端へと順次切断する構造としているのであるが、このことが裁断中の紙にずれを生じさせ、また裁断する紙の枚数の増加に比例した操作力の増加を招いている。
【0005】
このために、従来の裁断機(1)あるいは(2)の構造のものでは、通常使用されている事務用紙(厚さ0.09mm程度)を一度に裁断できる枚数は10〜20枚が限度であり、これを越える枚数を裁断しようとしても、操作に要する力が過大となり、また裁断面が著しく不揃いとなる傾向がある。
【0006】
これに対して、従来の裁断機のうち(3)の構造のものは、もともと重ねた紙を裁断するためのものであり、整った裁断面を得ることができるが、この目的のために用紙を強力に押さえておく機構を備え、また刃物とこれを案内する摺動部の双方に十分な剛性を確保するために、大きさも重量も著しく大きく、したがって高価である。
【0007】
このような従来の裁断機の欠点を克服するために(4)の構造のものが提案されているが、なお大きさや操作性に課題が多い。
【0008】
(4)の裁断機では、刃物と受け台双方に剛性を付与するために、各々U断面の部材を用い、両端のねじによって、刃物の駆動を行っている。
【0009】
このような構造では、裁断機はあまり小型化することができず、また両端のねじによる駆動操作を両手で行い、裁断後の刃物の復帰動作も同様に両手でねじを回転させるために迅速な操作を行うことができない。
【0010】
本発明は、以上の欠点を排除して、より操作性が優れ、小型で軽量の断裁機として、日常の事務作業において、卓上で文具として用いることができるものを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の裁断装置は、非切断材の最大厚さに相当する刃先部分が厚さ2mm以下の真直両刃の刃物と、筐体に固定した前記刃物の刃先に対向する受け台と、前記刃物をその中央位置において前記受け台側へ駆動する倍力駆動機構を設けたものである。
【0012】
前記筐体は、一対の平板の中央近傍に被切断シート材を通過させる穴を持ち、前記筐体間の上方に刃物、下方に受け台を配置している。
【0013】
前記刃物は、刃先部を突出させて、前記刃物の両側面を把持する一対の側面板材と前記刃物の背面に前記刃物より薄い背面板材を配置して、前記側面板材間を複数個のねじによって固定した構造である。
【0014】
矩形の断面の前記受け台は、その背面に前記受け台より薄い背面補強材を配置して、筐体で把持し、前記筐体間を複数個のねじによって固定している。
【0015】
前記倍力駆動機構は、裁断行程の終端において、その力の増幅が最大となる構造である。
【0016】
本発明の裁断装置は、以上のような構造であるので、重ねた紙を特に押さえて固定しなくても、両刃の刃先はその両側に対して均等に裁断を行うために切断中の紙のずれを生じることがなく、倍力駆動機構を介して刃物の中央位置を押さえるので操作も簡便である。
【0017】
本発明の裁断装置において、筐体を一対の平板とすれば、裁断にかかる力は、板が最も変形し難い方向(面内方向)に働くので、装置を薄いものとすることができる。
【0018】
本発明の裁断装置において、刃物の背面と両側面を補強する構造とすれば、高硬度で鋭利な刃先をもつ刃物を薄くて細いものとしても、刃物全体として十分な剛性を得ることができ、ねじによる固定した構造であるので、繰り返しの使用により損耗した刃物の交換も容易である。
【0019】
本発明の裁断装置において、矩形断面の受け台の背面を一対の筐体平板で挟みこんで、ねじにより固定した構造した構造であるので、繰り返しの使用により、損耗した受け台の交換も容易である。
【0020】
本発明の裁断装置において、倍力駆動機構の行程終端でその力の増幅が最大となる構造とすれば、紙の裁断抵抗に加えて、行程終端では刃物と受け台の形状誤差によって生じる隙間を構成部材の撓みによってなくすか、刃先の先端を受け台に陥入させることによって確実な裁断を行うために必要となる駆動力を有効に活用することができる。
【発明の効果】
【0021】
上述したように、本発明の裁断装置は、小型軽量で簡素な構造でありながら、重ねた紙にずれを生じることなく、まっすぐ直線に裁断できる装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5にもとづいて説明する。
【0023】
図において、刃物1は筐体2の内部において駆動桿3に取り付けられた二つの軸、駆動軸4および回転支軸5のうち駆動軸4により略々その中央位置で吊り下げられており、回転支軸5は筐体2に保持されて、駆動桿3を回転支持し、駆動桿3を矢印Aの方向に回すと刃物1は下方へ移動して、受け台6にその刃先を押し付ける。
【0024】
筐体2に設けられた開口部2bに置かれた紙(図示せず)は、刃物1と受け台6とに挟まれ、刃物1の鋭利な刃先によって切断される。
【0025】
通常用いられている刃物の刃先を台上の紙に平行に押し付けて切断するのに必要な力は切断される紙の種類と刃先の鋭利さにより大きく変化するが、その値は1mm当たり2〜5Nである。
【0026】
図に示す本発明の実施の形態では、筐体2の開口部2bの幅を220mmとしており、これは、JIS規格A4判の紙の短辺(210mm)を切断することを目しているので、刃物1を下方に押し付けて紙を切断するためには、420〜1050Nの力が必要であるが、駆動軸4と回転支軸5の距離12mmに対して、駆動桿3の腕の長さは約125mmであるので、略々10倍の倍力となり、駆動桿3の先端に加えるべき力は、42〜105N程度で、これは通常の手動工具として容易に得ることができる程度の力である。
【0027】
しかしながら、刃物1が下降してその刃先が受け台6に接する行程終端位置では、刃物1および受け台6が紙の厚さに対して無視できるほど真直あるいは平面であることを期待するのは難しいので、刃物1を受け台6に押し付けたとき双方の部材に生じる弾性変形および刃物1の刃先が受け台6に嵌入することによって、確実な切断が行われるようにしなくてはならない。
【0028】
このように刃物1と受け台6に生じる弾性変形は、双方の部材の形状精度を補う効果がある一方、紙を切断するためには1mm当たり2〜5Nの力が必須であるので、双方の部材はこの力を伝えうるだけの剛性を有していなくてはならず、したがってあまり容易に弾性変形を生じることは許されない。
【0029】
また受け台6の材質は、軟質であっては繰り返し使用による損耗を生じ易かったり、刃先での応力集中を妨げて紙を切断しないまま押し込む状態を起こしたりするので、硬質の樹脂あるいは木材を用いることが望ましい。
【0030】
すなわち、確実な切断を行うためには行程の終端において、紙の切断力に加えて、構成部材の弾性変形あるいは刃先の受け台への嵌入を行うための力が必要となる。
【0031】
本発明の実施の形態では、図1に示す待機位置において、駆動軸4は回転支軸5に対して約30度回転方向にあり、図2に示す行程終端位置においては約60度回転した方向に位置するので、前述の腕長比による約10倍の倍力に加えて、待機位置では約15%増、終端位置では約100%増の力を得る構造となり、例えば駆動桿3の先端に100Nの力を加えれば、行程終端では約2000Nの力を発生させることができる。
【0032】
本発明の実施の形態では、手動の断裁機としたので、駆動軸4と回転支軸5をこのような配置としたが、例えばモーターのような回転動力を利用する場合は、原動機側において偏心カム、トグル、4節リンクなどの機構を用いて、行程終端の倍力を大きくすることが可能である。
【0033】
さて、裁断装置では、このように大きな力が発生するので、構成部材は過大な変形を生じることなく安定した操作が行われるために十分な剛性が必要であるが、本発明の実施の形態では、図3において、刃先材1aは、一対の側面材1bに挟持され、刃先材1aよりも幾分薄い背面板材1cに背面を保持され、複数個のねじ1dによって固定されている。
【0034】
刃物1をこのような構造とすれば、刃物1に作用する力は、側面材1bおよび背面板材1cの面方向であるので、全体として軽量でありながら大きな剛性を得ることができる。
【0035】
従来の裁断機(3)では、片刃の刃物を用いるために、刃物の厚さ方向に作用する力に抗して刃物を真直に保つ必要から、厚さ方向にも高い剛性を必要とするために、全体として重量の大きい刃物となっていたのである。
【0036】
また、刃物1をこのような構造とすれば、繰り返し使用により刃先が磨耗したり、欠けたりした場合には、ねじ1dを利用して、容易に新しい刃先材1aに交換できる。
【0037】
この実施形態を示す図3では、刃先材1として市販のカッター刃を複数枚使用することを示したが、一枚の長い刃先材を用いれば交換は一層容易である。
【0038】
さらに本発明の実施の形態における筐体2は、図4において、開口部2bを有する一対の平板2aにより構成され、その間にある矩形断面の受け台6とこれを背面で支え、受け台6よりも厚さの薄い背面補強材2cを配置して、ねじ2dによって固定されている。
【0039】
このような構造により、受け台6は、両側の平板2aと背面補強材2cと一体としての高い剛性をもつことができ、平板2aと背面補強材2cとはいずれも板材を用いて、面方向の高い剛性を利用するために、全体として薄型で軽量な断裁機とすることができる。
【0040】
また、筐体2をこのような構造とすれば、繰り返し使用により受け台6が損耗した場合には、ねじ2dを利用して、容易に新しい受け台6に交換することができ、受け台6を本発明の実施の形態のように正方形断面とすれば、4面を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】 本発明の第1実施形態の待機状態を示す断裁機の正面図
【図2】 同断裁機の動作完了状態を示す断裁機の正面図
【図3】 同断裁機の刃物の構成を示す分解図
【図4】 同断裁機の筐体の構成を示す分解図
【図5】 同断裁機の全体の構成を示す分解図
【符号の説明】
【0042】
1 刃物
1a 刃先材
1b 側面材
1c 背面板材
2 筐体
2a 平板
2b 開口部
2c 背面補強材
3 駆動桿
4 駆動軸
5 回転支軸
6 受け台
【出願人】 【識別番号】503097369
【氏名又は名称】近藤 孝次郎
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−6576(P2008−6576A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−202540(P2006−202540)