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【発明の名称】 裁断装置及び裁断装置における上刃の取り付け方法
【発明者】 【氏名】山田 秀明

【氏名】加福 秀行

【氏名】石井 文夫

【要約】 【課題】上刃と下刃との間に不均一なクリアランスを生じるのを抑制して切れ味を良好にすると共に、組立て作業性を向上できる。

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転シャフトに複数の上刃を所定間隔で取り付けた回転上刃部と、前記第1の回転シャフトに平行な第2の回転シャフトに複数の下刃を所定間隔で取り付けた回転下刃部と、によりシートを裁断する裁断装置において、
前記回転上刃部は、
前記上刃と、該上刃を前記所定間隔に保持するホルダと、の間に皿ばねを介在させた状態で、ねじにより前記上刃を前記ホルダに固定した複数の上刃ユニット同士を、前記第1の回転シャフトに隙間なく取り付けて成ることを特徴とする裁断装置。
【請求項2】
前記上刃ユニットは、
前記ホルダの両面のうち前記上刃が固定される面側に形成された凸部に前記皿ばねの嵌合孔を嵌め込むと共に、該凸部の面の縁部に、ねじの頭の一部が前記縁部から外へはみ出るような位置に形成された複数のねじ孔に前記ねじの先端部を螺合しておき、前記ねじ孔に対応して前記上刃の嵌合孔の周囲に形成された複数の切欠きを前記ねじの頭に通した後、前記上刃を前記ホルダに対して相対的に回転して、前記切欠きが形成されていない前記上刃面に、前記縁部からはみ出た前記ねじの頭を係合させて前記上刃を前記ホルダに固定することにより形成されることを特徴とする請求項1の裁断装置。
【請求項3】
前記ねじは皿ねじであることを特徴とする請求項2の裁断装置。
【請求項4】
前記皿ねじの頭部の座面の傾きが2度以下であることを特徴とする請求項3の裁断装置。
【請求項5】
前記皿ねじのサイズはM3×0.5であると共に、前記皿ねじの頭部の偏心は前記皿ねじの軸心に対して0.25mm以下であることを特徴とする請求項3又は4の裁断装置。
【請求項6】
前記ホルダの前記上刃を取り付ける面とは反対側の面に、隣接する上刃ユニットに設けられた前記皿ねじの頭部を収納するための溝が形成されたことを特徴とする請求項3〜5の何れか1の裁断装置。
【請求項7】
前記シートは磁気記録媒体であることを特徴とする請求項1〜6の何れか1の裁断装置。
【請求項8】
第1の回転シャフトに複数の上刃を所定間隔で取り付けた回転上刃部と、前記第1の回転シャフトに平行な第2の回転シャフトに複数の下刃を所定間隔で取り付けた回転下刃部と、によりシートを裁断する裁断装置における上刃の取り付け方法において、
前記上刃と、該上刃を前記所定間隔に保持するホルダと、の間に皿ばねを介在させた状態で、ねじにより前記上刃を前記ホルダに固定した複数の上刃ユニットを予め組み立てる上刃ユニット組立工程と、
前記組み立てた複数の上刃ユニットを前記第1の回転シャフトに隙間なく取り付ける上刃ユニット取り付け工程と、を備えたことを特徴とする裁断装置における上刃の取り付け方法。
【請求項9】
前記上刃ユニット組立工程は、
前記ホルダの両面のうち前記上刃が固定される面側に形成された凸部に前記皿ばねの嵌合孔を嵌め込む皿ばね嵌め込み工程と、
前記凸部の面の縁部に、ねじの頭の一部が前記縁部から外へはみ出るような位置に形成された複数のねじ孔に前記ねじの先端部を螺合するねじ螺合工程と、
前記ねじ孔に対応して前記上刃の嵌合孔の周囲に形成された複数の切欠きを前記ねじの頭に通した後、前記上刃を前記ホルダに対して相対的に回転して、前記切欠きが形成されていない前記上刃面に、前記縁部からはみ出た前記ねじの頭を係合させて前記上刃を前記ホルダに固定する固定工程と、
から成ることを特徴とする請求項8の裁断装置における上刃の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は裁断装置及び裁断装置における上刃の取り付け方法に係り、特に、磁気テープの製造方法において、幅広の磁気テープ原反を裁断して幅狭の磁気テープを製造する裁断装置及び裁断装置における上刃の取り付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、磁気テープは、強磁性粉末を結合剤(バインダー)中に分散させた磁性層が非磁性の支持体上に設けられている。この磁気テープは、先ず、強磁性粉末を結合剤、添加剤、有機溶剤とともに混合分散して磁性塗布液を調製し、この磁性塗布液を非磁性の支持体上に塗布した後、乾燥させて幅広の磁気テープ原反を製造する。そして、幅広の磁気テープ原反をスリッタと呼ばれる裁断装置で、8mm、1/2インチ、1インチ等の所要の幅に裁断することによって、幅狭の磁気テープを製造している。
【0003】
このような裁断方法としては、下回転刃と上回転刃との両刃先側面を合わせて摺動回転させ、その間に送られてくる長尺の磁気記録媒体を連続的に裁断して複数の磁気記録媒体を得る方法において、回転刃の摩耗状態に対応して、上回転刃の回転軸と下回転刃の回転軸との交差角を調整することが提案されている。これにより、良好な切れ味を得ることができるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、それぞれ円盤面状に形成され、周辺部の刃部同士が接するように配置された対の上刃と下刃とを備え、相互に反対方向に回転する上刃と下刃の刃部によって、上刃及び下刃の円盤面に平行な方向で連続的に進入するシートを切断するようにしたシート切断装置において、上刃と下刃の回転に際し刃部が相互に接触しないように、上刃及び下刃を面取りすることが提案されている。これにより、刃部の磨耗が抑制され、クラックやチッピング等の刃部の欠損発生を抑制できるとされている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平7−88796号公報
【特許文献2】特開2002−273689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2のような裁断装置では、上刃、皿ばね及びホルダ等の部材を順次、精度良く回転軸に取り付けることにより回転上刃部を組み立てる。しかしながら、この回転上刃部を組み立てるには相当の時間がかかり、作業性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、上刃と下刃との間に不均一なクリアランスを生じるのを抑制して切れ味を良好にすると共に、組立て作業性を向上できる裁断装置及び裁断装置における上刃の取り付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、第1の回転シャフトに複数の上刃を所定間隔で取り付けた回転上刃部と、前記第1の回転シャフトに平行な第2の回転シャフトに複数の下刃を所定間隔で取り付けた回転下刃部と、によりシートを裁断する裁断装置において、前記回転上刃部は、前記上刃と、該上刃を前記所定間隔に保持するホルダと、の間に皿ばねを介在させた状態で、ねじにより前記上刃を前記ホルダに固定した複数の上刃ユニット同士を、前記第1の回転シャフトに隙間なく取り付けて成ることを特徴とする裁断装置を提供する。
【0008】
本発明の請求項1のように、上刃、皿ばね及びホルダを組立部材として、回転上刃部を組み立てる場合、複数の上刃と複数のホルダとの間にそれぞれ介在させた皿ばねの付勢力により上刃がガタつかないようにして、回転時に上刃の面が傾かないようにすることができる。しかし、上刃、皿ばね及びホルダを個々に第1の回転シャフトに取り付けて回転上刃部を組み立てる場合、皿ばね個々の付勢力の個体差により上刃同士の所定間隔に微妙なズレが生じるために、上刃と下刃との間に不均一なクリアランスが生じ易く、切れ味が低下する。
【0009】
これに対して、本発明の請求項1によれば、上刃、皿ばね、及びホルダを一単位とする上刃ユニットを構成し、この上刃ユニットの上刃をホルダにねじで固定してユニット化したので、一定長のねじを使用すれば、複数の上刃ユニットにおける皿ばねの個体差に関係なく上刃同士の所定間隔が均一になり、上刃と下刃との間に不均一なクリアランスが生じることがなくなる。しかも、ユニット化することで回転上刃部の組立作業性を飛躍的に向上させることができる。
【0010】
請求項2は請求項1において、前記上刃ユニットは、前記ホルダの両面のうち前記上刃が固定される面側に形成された凸部に前記皿ばねの嵌合孔を嵌め込むと共に、該凸部の面の縁部に、ねじの頭の一部が前記縁部から外へはみ出るような位置に形成された複数のねじ孔に前記ねじの先端部を螺合しておき、前記ねじ孔に対応して前記上刃の嵌合孔の周囲に形成された複数の切欠きを前記ねじの頭に通した後、前記上刃を前記ホルダに対して相対的に回転して、前記切欠きが形成されていない前記上刃面に、前記縁部からはみ出た前記ねじの頭を係合させて前記上刃を前記ホルダに固定することにより形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項2のように、上刃を前記ホルダに対して相対的に回転して、切欠きが形成されていない上刃面に、縁部からはみ出たねじの頭を係合させて固定する場合には、上刃ユニットを組み立てたり分解したりするたびに、皿ばねの付勢力によりねじの頭の裏面が擦れるので、ねじ頭の裏面に傷による部分的な突起が形成され易い。ねじの裏面に部分的な突起があると、突起のある部分は上刃をホルダ側に押し込む圧力が大きくなり、突起のない部分は小さくなるので、上刃の面が微妙に傾く。これにより、上刃の回転時に、下刃との間にクリアランスのバラツキが形成され易くなる。
【0012】
請求項3は請求項2において、前記ねじは皿ねじであることを特徴とする。
【0013】
上刃をJIS B 1101における平小ねじ等で固定する際、ねじが上刃を押し込む圧力が強いと上刃の面が傾き、これにより、下刃との間にクリアランスを生じ、シートの切れ味が悪くなるという問題があった。
【0014】
請求項3では、ねじを皿ねじにしたので、上刃ユニットを組み立てたり分解したりする際に、ねじの頭の裏面が擦れることがないので、裏面に傷による突起が形成されない。これにより、上刃の面が傾くことがないので、上刃の回転時に、下刃との間にクリアランスのバラツキが形成されることがなくなる。
【0015】
請求項4は請求項3において、前記皿ねじの頭部の座面の傾きが2度以下であることを特徴とする。
【0016】
請求項5は請求項3又は4において、前記皿ねじのサイズはM3×0.5であると共に、前記皿ねじの頭部の偏心は前記皿ねじの軸心に対して0.25mm以下であることを特徴とする。
【0017】
請求項4及び5によれば、皿ねじの形状精度が高いので、皿ねじの頭の裏面で上刃を不均一に押し込んだりすることを抑制できる。これにより、上刃と下刃との間に不均一なクリアランスを生じるのを抑制し、切れ味を良好にすることができる。
【0018】
請求項6は請求項3〜5の何れか1において、前記ホルダの前記上刃を取り付ける面とは反対側の面に、隣接する上刃ユニットに設けられた前記皿ねじの頭部を収納するための溝が形成されたことを特徴とする。
【0019】
請求項6によれば、ホルダの軸方向の側面から突き出た皿ねじの頭が、隣接するホルダの溝により収納されるので、複数のユニットを軸方向に隙間なく積層することができる。
【0020】
請求項7は、請求項1〜6の何れか1において、前記シートは磁気記録媒体であることを特徴とする。
【0021】
請求項7によれば、裁断面の切れ味が良好な磁気記録媒体を得ることができる。
【0022】
本発明の請求項8は前記目的を達成するために、第1の回転シャフトに複数の上刃を所定間隔で取り付けた回転上刃部と、前記第1の回転シャフトに平行な第2の回転シャフトに複数の下刃を所定間隔で取り付けた回転下刃部と、によりシートを裁断する裁断装置における上刃の取り付け方法において、前記上刃と、該上刃を前記所定間隔に保持するホルダと、の間に皿ばねを介在させた状態で、ねじにより前記上刃を前記ホルダに固定した複数の上刃ユニットを予め組み立てる上刃ユニット組立工程と、前記組み立てた複数の上刃ユニットを前記第1の回転シャフトに隙間なく取り付ける上刃ユニット取り付け工程と、を備えたことを特徴とする裁断装置における上刃の取り付け方法を提供する。
【0023】
請求項9は請求項8において、前記上刃ユニット組立工程は、前記ホルダの両面のうち前記上刃が固定される面側に形成された凸部に前記皿ばねの嵌合孔を嵌め込む皿ばね嵌め込み工程と、前記凸部の面の縁部に、ねじの頭の一部が前記縁部から外へはみ出るような位置に形成された複数のねじ孔に前記ねじの先端部を螺合するねじ螺合工程と、前記ねじ孔に対応して前記上刃の嵌合孔の周囲に形成された複数の切欠きを前記ねじの頭に通した後、前記上刃を前記ホルダに対して相対的に回転して、前記切欠きが形成されていない前記上刃面に、前記縁部からはみ出た前記ねじの頭を係合させて前記上刃を前記ホルダに固定する固定工程と、から成ることを特徴とする。
【0024】
請求項8及び9によれば、上刃、皿ばね、及びホルダを一単位とする上刃ユニットを構成し、この上刃ユニットの上刃をホルダにねじで固定してユニット化したので、一定長のねじを使用すれば、複数の上刃ユニットにおける皿ばねの個体差に関係なく上刃同士の所定間隔が均一になり、上刃と下刃との間に不均一なクリアランスが生じることがなくなる。しかも、ユニット化することで回転上刃部の組立作業性を飛躍的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、上刃と下刃との間に不均一なクリアランスを生じるのを抑制することにより切れ味を良好にすると共に、組立て作業性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下添付図面に従って本発明に係る裁断装置及び裁断装置における上刃の取り付け方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0027】
図1は、本発明に係る裁断装置を磁気テープ(磁気記録媒体)の製造装置に組み込んだ一実施形態を示す全体構成図である。図1に示される製造装置10は、コンピュータバックアップ用高密度磁気テープ12(以下、「磁気テープ12」という)を製造する装置であり、幅広の磁気テープ原反14を裁断装置16で長手方向に裁断することによって幅狭の複数の磁気テープ12を製造する。本実施形態で製造する磁気テープ12は、非磁性の支持体上に強磁性層を形成したものであり、支持体は幅方向のヤング率が6.9GPa以上のものが用いられる。
【0028】
磁気テープ原反14は、製品となる磁気テープ12よりも広い幅で帯状に形成されており、ハブ(巻芯)18にロール状に巻回された状態で巻き戻し装置20に装着されている。磁気テープ原反14は、通常、非磁性の支持体上に強磁性微粒子を含む磁性層を塗布法や真空蒸着法等により形成し、その磁性層に配向処理、乾燥処理、表面処理等を行うことによって製造される。
【0029】
ロール状の磁気テープ原反14は、フィードローラ22を駆動することによって巻き戻し装置20から連続的に巻き戻されて送り出される。フィードローラ22は、磁気テープ原反14を走行させるためのローラであり、例えば、サクションドラムが使用される。サクションドラムは、磁気テープ原反14を表面に吸着しながら回転するドラムであり、ドラムの表面には、磁気テープ原反14の保持力を増加させるための溝が形成される。なお、フィードローラ22として、磁気テープ原反14を挟圧して搬送する一対のニップローラなど、他の公知フィード手段を用いてもよい。
【0030】
送り出された磁気テープ原反14は、複数のガイドローラ24、24…にガイドされながら裁断装置16に送られる。裁断装置16の構造については後述するが、回転上刃26(上刃)と回転下刃28(下刃)とによって、磁気テープ原反14を、100〜500本に裁断し、規定の幅寸法(例えば12.65mm、25.4mm、3.81mm等)の磁気テープ12を形成するようになっている。裁断後の磁気テープ12は、パスローラ30に巻き掛けられた後、フィードローラ22と同期して回転する巻取ハブ32に巻き取られる。なお、パスローラ30と巻取ハブ32とからなる巻取ラインは複数設けられており、隣接する磁気テープ12が異なるパスローラ30、異なる巻取ハブ32に巻き取られるようになっている。
【0031】
図2は、本発明が適用される裁断装置16の一実施形態の構造を示す断面図である。同図に示されるように、裁断装置16は、上下対になった複数対の回転上刃26と回転下刃28を備えている。
【0032】
回転下刃28、28…はタングステンカーバイト等の超硬素材によって円筒状に形成されており、シャフト34(第2の回転シャフト)に通すことによって取りつけられている。シャフト34は不図示の装置本体に回動自在に支持されており、モータ36によって回転駆動される。モータ36は制御装置37に接続されており、この制御装置37によってモータ36が駆動制御され、回転下刃28の回転方向と周速が制御される。なお、回転下刃28の回転方向と周速は特に限定するものではないが、たとえば磁気テープ原反14の走行方向に、且つ、磁気テープ原反14の走行速度に等しい周速に制御される。
【0033】
各回転下刃28、28同士の間にはスペーサ38が介在されており、このスペーサ38によって回転下刃28、28…がシャフト34の軸方向に一定の間隔で配置される。そして、両端が下刃押さえ35で固定されている。なお、回転下刃28、28…は、一方側の側面(図2の左側の側面)が略円形の裁断面28aとして作用するようになっている。回転下刃28の裁断面28aは、シャフト34の軸方向において、磁気テープ12の幅寸法と同じ間隔で配置されている。
【0034】
一方、各回転上刃26、26…はタングステンカーバイト等の超硬素材によって薄い円盤状に形成されており、凸部43(図3参照)を備えたホルダ44と、凸部43において回転上刃26を付勢する皿ばね46とが一体化された上刃ユニット50がシャフト40(第1の回転シャフト)の軸方向に複数積層されて取り付けられている。この上刃ユニット50の各部材の詳細については、後述する。
【0035】
シャフト40は、前述のシャフト34に平行に配置され、装置本体に回動自在に支持されるとともに、モータ42によって回転駆動するようになっている。モータ42は制御装置37に接続されており、この制御装置37によってモータ42が駆動制御され、回転上刃26の回転方向と周速が制御される。制御装置37は、図1のフィードローラ22にも接続されており、このフィードローラ22の回転速度、即ち磁気テープ原反14の走行速度に応じて回転上刃26の回転方向と周速を制御している。すなわち、回転上刃26の回転を磁気テープ原反14の走行方向に、且つ、磁気テープ原反14の速度よりも大きい周速、好ましくは磁気テープ原反14の1.03倍以上の周速に制御している。
【0036】
また、回転上刃26、26…は、その下端部が回転下刃28、28同士の間に入り込むように(すなわち、側方から見てオーバーラップするように)配置されている。さらに、回転上刃26は、その一方側の側面(図2の右側の側面)が裁断面26aとして、回転下刃28の裁断面28aとによって裁断作用を生じるようになっている。すなわち、回転上刃26の裁断面26aと、回転下刃28の裁断面28aとによって、幅広の磁気テープ原反14をその長手方向に裁断するように構成されている。
【0037】
なお、スリット数及びスリット幅は、用途に応じて設定されるが、例えば、本実施形態のように、厚さ15μmのコンピュータ用バックアップテープを製造する際は、スリット数を78に設定することが好ましい。
【0038】
次に、上刃ユニット50の構成部材についてさらに詳細に説明する。
【0039】
図3は、本実施形態における上刃ユニット50の分解した状態を示す分解斜視図である。図4は、ホルダ44の構造を説明する説明図であり、このうち図4(a)はホルダ44の上面図であり、図4(b)は図4(a)のA−A線断面図であり、図4(c)はホルダ44の下面図である。
【0040】
図4に示されるようにホルダ44の凸部43の上刃取り付け面43aの縁には、軸心に対して対称な位置に複数のねじ孔56…(本実施形態では3つのねじ孔56…)が設けられている。これらのねじ孔56は、皿ねじ48が差し込まれると、皿ねじ48の頭の一部が凸部43の縁から若干はみ出すように形成されている。回転上刃26を取り付けた時に、回転上刃26に形成された切欠き58…と重なるようになっている。
【0041】
ホルダ44の凸部43の上刃取り付け面43aとは反対側の面44bには、隣接して設けられる上刃ユニット50の皿ねじ48の頭部を収納するための溝52が形成されている。この溝52は、隣接して設けられる上刃ユニット50の皿ねじ48に対応する位置に複数設けられている。これにより、複数の上刃ユニット50…を軸方向に積層した場合、皿ねじ48の頭部により、隣接する上刃ユニット50、50間に不均一な隙間が生じるのを抑制することができる(図2参照)。
【0042】
固定手段としてのねじは、公知公用のねじ、例えば、皿ねじ(丸皿ねじを含む)、丸ねじ等を使用できるが、皿ねじを使用することが好ましい。
【0043】
図5は、皿ばね46の上面図であり、図6は、回転上刃26の上面図である。
【0044】
皿ばね46は、ホルダ44の凸部43に回転上刃26を傾くことなく固定するためのものである。図5に示されるように、皿ばね46は、中央部に嵌合孔60を有しており、皿ばね46をホルダ44の凸部43に嵌め込むことにより、回転上刃26をホルダ44と軸方向に離間するように付勢できるようになっている。また、皿ばね46の嵌合孔60の周囲には、軸心に対して対称な位置に複数の切欠き62…(本実施形態では3つの切欠き62…)が形成されている。この切欠き62は、ホルダ44の凸部43の縁から若干はみ出す皿ねじ48の頭よりも大きめに形成されている。これにより、凸部43に嵌めた皿ねじ48に皿ばね46の切欠き62…を嵌めた後、軸心に対して回転させることで、皿ばね46をホルダ44に固定することができる。
【0045】
回転上刃26を付勢するための手段としては、上記の皿ばねだけでなく、回転上刃26を付勢することができるものであれば、その他の手段でもよい。
【0046】
皿ばね46の具体例としては、回転上刃26をホルダ44の上刃取り付け面43aから120μm外側に寄せた状態で、0.4kgfの寄せ力を有するものを好ましく使用できる。
【0047】
回転上刃26の中央の嵌合孔64は、ホルダ44の凸部43の上刃取り付け面43aの径よりも若干大きく形成されている。図6に示されるように、回転上刃26の嵌合孔64の周囲には、軸心に対して対称な位置に複数の切欠き58…が設けられている。この切欠き58は、ホルダ44の凸部43の縁から若干はみ出す皿ねじ48の頭の最大径よりも大きめに形成され、厚さ方向に貫通している。すなわち、固定機構は、予め凸部43の上刃取り付け面43aに固定した皿ねじ48に回転上刃26の切欠き58を嵌め込んだ後、回転上刃26を回転させることにより、回転上刃26をホルダ44に固定できるようになっている。
【0048】
なお、本実施形態では、回転上刃26には切欠き58を3箇所設け、凸部43の上刃取り付け面43aにねじ孔56を3箇所ずつ設ける例を示したが、これに限定されることはなく、軸心に対して対象な位置に2以上の任意の箇所に、それぞれ切欠き58及びねじ孔56を設けることができる。
【0049】
また、本実施形態では、回転上刃26に形成される切欠き58の形状は上記実施形態に限定されることはなく、例えば、ねじの頭の最大径よりも大きなサイズであれば矩形であってもよい。
【0050】
図7は、固定手段として丸ねじ48’を用いた場合の上刃ユニット50の部分断面図であり、図8は、固定手段として皿ねじ48を用いた場合の上刃ユニット50の部分断面図である。
【0051】
図7に示されるように、固定手段として丸ねじ48’を用いた場合、上刃ユニットの組立てや分解を繰り返すことにより、丸ねじ48’の頭部の裏面に凸キズ(同図で符号49の斜線部分)がつきやすい。この凸キズは、回転上刃26をホルダ44に過剰に押し込み、回転上刃26はシャフト40の軸方向に対して傾いた状態で固定される。これにより、回転上刃26と回転下刃28との間に不均一なクリアランス(同図では符号dの部分)を生じ易い。
【0052】
一方、固定手段として皿ねじ48を用いた場合、図8に示されるように、皿ねじ48の頭部は逆円錐になっているので、皿ねじ48の頭部の裏面が回転上刃26に接触せず、回転上刃26をホルダ44に過剰に押し込むのを抑制できる。これにより、回転上刃26はシャフト40の軸方向に対して垂直に安定して固定でき、回転上刃26と回転下刃28との間に不均一なクリアランスを生じるのを抑制できる。したがって、固定手段としてのねじは、ねじの頭部の裏面が回転上刃26と接触し易い形状のねじ(例えば、丸ねじ等)ではなく、ねじの頭部の裏面が回転上刃26と接触しにくい形状である皿ねじ48を使用することが好ましい。このような皿ねじ48の具体例としては、JIS B 1101のさら小ねじ等が挙げられる。
【0053】
図9は、本発明において使用するのに好ましくない皿ねじ48の各種形状を示す模式図であり、このうち、図9(a)は皿ねじ48の頭部のすり割りの偏心を示す側面図であり、図9(b)は皿ねじ48の頭部の偏心を示す側面図であり、図9(c)は皿ねじ48の頭部の座面の傾きを示す側面図である。
【0054】
本実施形態において、皿ねじ48の形状精度によっては、皿ねじ48の裏面が、回転上刃26と接触することがある。例えば、図9(c)に示されるように、頭部の座面が傾いていると、皿ねじ48をねじ込む時に、皿ねじ48の頭部が回転上刃26に不均一に接触し、回転上刃26を過剰に押し込み易い。
【0055】
このため、本発明において使用する皿ねじとしては、皿ねじ48の頭部の座面の傾きGが2度以下であることが好ましい。また、M3×0.5サイズの皿ねじ48において、頭部のすり割りの偏心E及び頭部の偏心Eが皿ねじ48の軸心に対して0.25mm以下であることが好ましい。
【0056】
本実施形態で使用されるねじの材質としては、ステンレススチール、アルミニウム(アルマイト処理されたものを含む)等であることが好ましい。
【0057】
次に、本実施形態における回転上刃部の取り付け方法について、図3を参照して説明する。
【0058】
まず、ホルダ44の両面のうち、上刃取り付け面43a側に形成された凸部43に、皿ばね46の嵌合孔60を嵌め込む。
【0059】
次いで、凸部43の面に形成された複数のねじ孔56に皿ねじ48の先端部を螺合する。このとき、皿ねじ48のねじ部が、上刃取り付け面43aから若干出る程度に螺合することが好ましい。
【0060】
次いで、ねじ孔56に対応して回転上刃26に形成された複数の切欠き58を皿ねじ48の頭に通した後、回転上刃26をホルダ44に対して相対的に回転して、回転上刃26の内周縁に皿ねじ48のねじ部を係合させて回転上刃をホルダ44に固定する。これにより、回転上刃26、皿ばね46及びホルダ44を皿ねじ48で一体化した上刃ユニット50を組み立てることができる(上刃ユニット組立工程)。
【0061】
また、組み立てた複数の上刃ユニット50…をシャフト40に隙間なく取り付ける(上刃ユニット取り付け工程)。
【0062】
このようにして組み立てた上刃ユニット50を複数、シャフト40の軸方向に組み込んだ後、上刃押さえ54(図2参照)により両端を固定する。これにより、回転上刃部を組み立てることができる。
【0063】
本実施形態では、予め垂直方向に上刃ユニット50を皿ねじ48で固定して組み立てた後、シャフト40に固定する例について説明したが、シャフト40の軸方向に、上刃ユニット50を構成する各部材を順次組み立てることもできる。
【0064】
上記の如く構成された裁断装置16を組み込んだ磁気テープの製造装置10において、図1に示されるように、磁気テープ原反14が回転下刃28に圧接するようにセットされる。すなわち、磁気テープ原反14が回転下刃28に所定のラップ角度で接するようになっている。このように磁気テープ原反14を配置することによって、磁気テープ原反14を安定して連続走行させることができる。
【0065】
連続走行する磁気テープ原反14は、回転上刃26と回転下刃28との間を通過した際に、回転上刃26の裁断面26aと回転下刃28の裁断面28aとの作用によって長手方向に裁断される(図2参照)。これにより、所定幅の磁気テープ12を精度良く製造することができる。
【0066】
また、回転上刃26を簡単且つ高精度に取り付けることができるので、大幅に作業性を向上できる。また、皿ねじで回転上刃を安定且つ傾きなく固定できるので、回転上刃部の耐久性及び強度を向上できる。
【0067】
以上、本発明に係る裁断装置及び裁断装置における上刃の取り付け方法を適用した一例として磁気テープの裁断装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0068】
また、本発明は、磁気記録媒体の製造分野に限らず、各種技術分野において帯状の支持体を所定幅に裁断する技術(電極材料、機能性フィルム、光学フィルム、磁性材料の塗布工程等)に適用することができる。
【0069】
以下、本実施形態における磁気テープの構成についてさらに詳細に説明する。本実施形態における磁気テープは、非磁性の支持体と、この支持体上に設けられた磁性層と、必要に応じて磁性層と反対側に設けられるバックコート層(単にバック層ともいう)とからなる。
【0070】
磁性層は強磁性微粉末と必要に応じてカーボンブラック、研磨剤、粉末状潤滑剤等の粉状成分とこの粉状成分が分散している結合剤とからなり、バックコート層は、強磁性微粉末の代わりに非磁性粉末を使用する以外は、磁性層と同様のものからなる。結合剤は樹脂成分とさらに必要に応じて配合される硬化剤とにより構成されている。
【0071】
まず、非磁性支持体について説明する。本実施形態で使用する非磁性支持体は、特に限定されないが、厚み5〜10μm程度、特に6〜9μm程度が好ましく、幅方向のヤング率は700kg/mm以上、1000kg/mm以上、特に1200kg/mm以上が好ましい。また、長手方向のヤング率は、400〜1200kg/mm、好ましくは450〜1000kg/mmの範囲である。
【0072】
素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂類、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン等のプラスチックが使用できるが、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド及びポリイミド、特に好ましくは、ポリエチレンナフタレート(PEN)が使用される。これら支持体は塗布に先立って、コロナ放電処理、プラズマ処理、下塗処理、熱処理、除塵埃処理、金属蒸着処理、アルカリ処理を行ってもよい。これら支持体に関しては、例えば、西独特許3338854A明細書、特開昭59−116926号公報、米国特許4388368号明細書;三石幸夫著、「繊維と工業」31巻 p50〜55、1975年などに記載されている。これら支持体の中心線平均表面粗さは、0.001〜0.5μm(カットオフ値0.25mm)が好ましい。
【0073】
また、ポリエチレンナフタレートは、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートホモポリマーを始め、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート繰り返し単位を70重量%以上含む共重合体、これらと他種ポリマーとの混合体(但し、PEN成分が70重量%以上を占める)の如く本質的にPENの性質を失わないポリエステル組成物を包含する。このPENはフィルム形成能を有するポリマーである。
【0074】
本実施形態で使用されるPENフィルムは未延伸フィルムを2軸配向させることによって、製造することができる。2軸配向は、例えば逐次2軸配向ではPENのガラス転移温度よりも高い温度、好ましくは3〜10℃高い温度で1段目の延伸を行い、次いで1段目の延伸温度と同じ、ないし10℃高い温度範囲で2段目の延伸を行う。延伸倍率は少なくとも1軸方向で2以上、更に好ましくは2.5以上とし、面積倍率で6倍以上さらには8倍以上とするのが好ましい。熱処理(ヒートセット)は170℃以上、さらに好ましくは190℃以上の温度で緊張下に行うのが好ましい。熱処理温度の上限は処理時間にもよるが、フィルムが安定した形状をとる温度であるのはいうまでもない。熱処理時間は数秒から数十秒、さらには3〜30秒間が好ましい。その後、さらに(ガラス転移温度から10℃低い温度)〜(溶融温度から40℃低い温度)の範囲の条件で縦方向に1.05〜2.5倍、横方向に1.05〜2.5倍の逐次延伸を行い、再熱処理は(ガラス転移温度から50℃低い温度)〜(溶融温度から10℃低い温度)の範囲で行うのが好ましい。
【0075】
磁性層で使用する強磁性粉末は、特に限定されないが、鉄、コバルトあるいはニッケルを含む強磁性金属粉末を用いるとその効果が顕著であって、α−Fe、Co、Ni、Fe−Co合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−Co−Ni−P合金、Fe−Co−Ni−B合金、Fe−Ni−Zn合金、Ni−Co合金、Co−Ni−Fe合金などの強磁性金属微粉末が好ましい。
【0076】
これらの強磁性金属粉末の形状は特に制限はなく、通常は、針状、粒状、サイコロ状、米粒状及び板状のものなどが使用される。粒子サイズは、針状の場合は、0.05〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.3μm、特に好ましくは0.10〜0.25μmの長軸長で、長軸長/短軸長は2/1〜25/1、好ましくは3/1〜15/1、特に好ましくは4/1〜12/1であり、板状の場合は、板径は、0.02〜0.20μm、好ましくは0.03〜0.10μm、特に好ましくは0.04〜0.07μmで、板径/板厚は、1/1〜30/1、好ましくは2/1〜10/1、特に好ましくは2.5〜7/1である。
【0077】
また、これらの強磁性金属粉末の比表面積(比表面積SBET )は、47〜80m2 /g、より好ましくは53〜70m/g、抗磁力(Hc)は、1250〜2500Oe、飽和磁化(σS )は、100〜180emu/g、好ましくは110〜150emu/gである。含水率は、0.1〜2.0重量%、pHは3〜11(5g強磁性粉末/100g水)が好ましい。これらの強磁性金属粉末の表面に、後で述べる防錆剤、表面処理剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤等をそれぞれの目的の為に分散に先立って溶剤中で含浸させて吸着させてもよい。
【0078】
また、強磁性金属粉末として、その金属分は60重量%以上であり、そして金属分の70重量%以上が少なくとも1種類の強磁性金属粉末あるいは合金(例、Fe、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Co、Ni、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe)であり、該金属分の40重量%以下、より好ましくは20重量%以下の範囲で他の成分(例、Al、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、B、P)を含むことのある合金や、窒化鉄や炭化鉄等を挙げることができる。特にこの中で金属鉄の強度を補うためにAl、Si、Crを単独乃至混合して表層に設けることが望ましい。また、上記強磁性金属粉末が少量の水酸化物又は酸化物、アルカリ金属元素(Na、K等)、アルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr)を含むものなどであってもよい。これらの強磁性金属粉末の製造方法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性金属粉末の代表例である強磁性金属粉末についてもこれら公知の方法に従って、製造することができる。
【0079】
特に、本実施形態において、強磁性粉末として用いられる強磁性合金粉末の製造方法の例としては、下記の方法を挙げることができる。(a)複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)を水素などの還元性気体で還元する方法、(b)酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得る方法、(c)金属カルボニル化合物を熱分解する方法、(d)強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、(e)水銀陰極を用い強磁性金属粉末を電解析出させたのち水銀と分離する方法、(f)金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法。
【0080】
強磁性粉末としては、板状六方晶のバリウムフェライトも使用できる。バリウムフェライトの粒子サイズは約0.001〜1ミクロンの直径で厚みが直径の1/2〜1/20である。バリウムフェライトの比重は4〜6g/ccで、比表面積は1m/g〜70m/gである。また、所望により、FeO(X=1.33〜1.50)、Co含有FeO、等を使用することもできる。
【0081】
必要に応じて設けられるバック層に使用できる非磁性粉末としては、カーボンブラック、グラファイト、二硫化タングステン、窒化ホウ素、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、リトポン、タルク、酸化第二スズ等が挙げられる。
【0082】
磁性層とバック層に使用される結合剤の樹脂成分としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂やこれらの混合物が使用される。
【0083】
熱可塑性樹脂としては軟化温度が150℃以下、数平均分子量が10000〜300000、重合度が約50〜2000程度のもので、より好ましくは200〜600程度であり、例えば塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合体、メタクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステルスチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、ポリフッカビニル、塩化ビニリデンアクリロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合体、アミノ樹脂、各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物等が使用される。
【0084】
熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては塗布液の状態では200000以下の分子量であり、塗布、乾燥後に加熱加湿することにより、縮合、付加等の反応により分子量は無限大のものとなる。また、これらの樹脂のなかで、樹脂が熱分解するまでの間に軟化又は溶融しないものが好ましい。具体的には、例えばフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂(電子線硬化樹脂)、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシアネートの混合物、ポリアミン樹脂、ポリイミン樹脂及びこれらの混合物等である。
【0085】
これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂は、主たる官能基以外に官能基としてカルボン酸(COOM)、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホン酸(SOM)、燐酸(PO(OM)(OM))、ホスホン酸、硫酸(OSOM)及びこれらのエステル基等の酸性基(Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、炭化水素基)、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性類基、アミノ基、イミノ基、イミド基、アミド基等また、水酸基、アルコキシル基、チオール基、アルキルチオ基、ハロゲン基(F、Cl、Br、I)、シリル基、シロキサン基、エポキシ基、イソシアナト基、シアノ基、ニトリル基、オキソ基、アクリル基、フォスフィン基を通常1種以上6種以内含み、各々の官能基は樹脂1gあたり1×10-6当量〜1×10-2当量含む事が好ましい。
【0086】
硬化剤としては、通常はポリイソシアネート化合物が使用される。本発明の磁性層及び或いはバック層に用いるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート類、又は当該イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、又はイソシアネート類の縮合に依って生成した2〜10量体のポリイソシアネート、又はトリイソシアネートとポリウレタンとの生成物で末端官能基がイソシアネートであるもの等を使用することができる。これらポリイソシアネート類の平均分子量は、100〜20000のものが好適である。これらポリイソシアネート化合物の市販されている商品名としては、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL(日本ポリウレタン(株)、タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、タケネート300S、タケネート500(武田薬品(株)製)、スミジュールT−80、スミジュール44S、スミジュールPF、スミジュールL、スミジュールN、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL、デスモジュールT65、デスモジュール15、デスモジュールR、デスモジュールRF、デスモジュールSL、デスモジュールZ4273(住友バイエル社製)等があり、これらを単独若しくは硬化反応性の差を利用して二つ若しくはそれ以上の組み合わせによって使用することができる。又、硬化反応を促進する目的で、水酸基(ブタンジオール、ヘキサンジオール、分子量が1000〜10000のポリウレタン、水等)、アミノ基(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等)を有する化合物や金属酸化物の触媒を併用する事も出来る。これらの水酸基やアミノ基を有する化合物は多官能である事が望ましい。これらのポリイソシアネートは磁性層、バック層とも結合剤樹脂とポリイソシアネートの総量100重量部あたり2〜70重量部で使用することが好ましく、より好ましくは5〜50重量部である。これらの例示は、特開昭60−131622号公報、特開昭61−74138号公報等において示されている。
【0087】
これらの結合剤の単独又は組合わされたものが使われ、ほかに添加剤が加えられる。磁性層の強磁性粉末と結合剤との混合割合は重量比で強磁性粉末100重量部に対して結合剤5〜300重量部の範囲で使用される。バック層の粉末と結合剤の混合割合は重量比で粉末100重量部に対して結合剤8〜400重量部の範囲で使用される。添加剤としては、カーボンブラック、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤等が加えられる。
【0088】
カーボンブラックとしてはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。これらカーボンブラックはテープの帯電防止、遮光剤、摩擦係数調節剤、耐久性向上を目的として使用される。これらカーボンブラックの米国における略称の具体例をしめすと、SAF 、ISAF、IISAF 、T 、HAF 、SPF 、FF、FEF 、HMF 、GPF 、APF 、SRF 、MPF 、ECF 、SCF 、CF、FT、MT 、HCC 、HCF 、MCF 、LFF 、RCF 等があり、米国のASTM規格のD-1765-82aに分類されているものを使用することができる。本発明に使用されるこれらカーボンブラックの平均粒子サイズは5 〜1000nm( 電子顕微鏡) 、窒素吸着法比表面積は1〜800m/g、pHは4〜11(JIS規格K-6221-1982 法)、ジブチルフタレート(DBP) 吸油量は10〜800mL(ミリリットル)/100g(JIS規格K−6221−1982法)である。本発明に使用されるカーボンブラックのサイズは、塗布膜の表面電気抵抗を下げる目的で5〜100nmのカーボンブラックを、また塗布膜の強度を制御するときに50〜1000nmのカーボンブラックを使用することができる。また塗布膜の表面粗さを制御する目的でスペーシングロス減少のための平滑化のためにより微粒子のカーボンブラック(100nm未満)を、粗面化して摩擦係数を下げる目的で粗粒子のカーボンブラック(100nm以上)を用いる。このようにカーボンブラックの種類と添加量は磁気記録媒体に要求される目的に応じて使い分けられる。
【0089】
また、これらのカーボンブラックを、後述の分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化したりして使用してもよい。また、カーボンブラックを製造するときの炉の温度を2000℃以上で処理して表面の一部をグラファイト化したものも使用できる。また、特殊なカーボンブラックとして中空カーボンブラックを使用することもできる。
【0090】
これらのカーボンブラックは磁性層の場合、強磁性粉末100重量部に対して0.1 〜30重量部で用いることが望ましく、また、バック層の場合は、樹脂100重量部に対し20〜400重量部で用いることが望ましい。本発明に使用できるカーボンブラックは、例えば、『カーボンブラック便覧』、カーボンブラック協会編(昭和46年発行) を参考にすることができる。これらカーボンブラックの例示は米国特許4539257号明細書、同4614685号明細書、特開昭61−92424号公報、特開昭61−99927号公報等に記載されている。
【0091】
研磨材は磁気記録媒体の耐久性やVTRのヘッドクリーニング効果を向上させるために用いられ、一般的に研磨作用もしくは琢磨作用をもつ材料で、α−アルミナ、γ−アルミナ、α,γ−アルミナ、熔融アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)、ガーネット、珪石、窒化珪素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化硼素、炭化タングステン、チタンカーバイド、クオーツ、トリポリ、珪藻土、ドロマイト等で、主としてモース硬度6以上、より好ましくはモース硬度8以上の材料が1内至4種迄の組合わせで使用される。これらの研磨材は平均粒子サイズが0.005〜5ミクロンの大きさのものが使用され、特に好ましくは0.01〜2ミクロンである。これらの研磨材は磁性層の場合、強磁性粉末100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲で添加される。また、バック層の場合、後述する樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部で用いることが望ましい。これらの具体例としては、住友化学(株)製のAKP1、AKP15、AKP20、AKP30、AKP50、AKP80、Hit50、Hit100等が挙げられる。これらについては特公昭52−28642号公報等に記載されている。
【0092】
粉末状潤滑剤としては、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、弗化黒鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、二硫化タングステン等の無機微粉末、アクリルスチレン系樹脂微粉末、ベンゾグアナミン系樹脂微粉末、メラミン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリエステル系樹脂微粉末、ポリアミド系樹脂微粉末、ポリイミド系樹脂微粉末、ポリ弗化エチレン系樹脂微粉末等の樹脂微粉末等がある。
【0093】
また有機化合物系潤滑剤としては、シリコンオイル(ジアルキルポリシロキサン、ジアルコキシポリシロキサン、フェニルポリシロキサン、フルオロアルキルポリシロキサン(信越化学製KF96、KF69等)、脂肪酸変性シリコンオイル、フッ素アルコール、ポリオレフィン(ポリエチレンワックス、ポリプロピレン等)、ポリグリコール(エチレングリコール、ポリエチレンオキシドワックス等)、テトラフルオロエチレンオキシドワックス、ポリテトラフルオログリコール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロ脂肪酸、パーフルオロ脂肪酸エステル、パーフルオロアルキル硫酸エステル、パーフルオロアルキルスルホン酸エステル、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸エステル、パーフルオロアルキル燐酸エステル等のフッ素や珪素を導入した化合物、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アルキルホスホン酸トリエステル、アルキルホスホン酸モノエステル、アルキルホスホン酸ジエステル、アルキル燐酸エステル、琥珀酸エステル等の有機酸及び有機酸エステル化合物、トリアザインドリジン、テトラアザインデン、ベンゾトリアゾール、ベンゾジアゾール、EDTA等の窒素、硫黄を含む複素(ヘテロ)環化合物、炭素数10〜40の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜40個の一価のアルコールもしくは二価のアルコール、三価のアルコール、四価のアルコール、六価のアルコールのいずれか1つもしくは2つ以上とから成る脂肪酸エステル類、炭素数10個以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素数が11〜70個と成る一価〜六価のアルコールから成る脂肪酸エステル類、炭素数8〜40の脂肪酸或いは脂肪酸アミド類、脂肪酸アルキルアミド類、脂肪族アルコール類も使用できる。
【0094】
これら化合物の具体的な例としては、カプリル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸2エチルヘキシル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸2エチルペンチル、ステアリン酸2ヘキシルデシル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アルキルアミド、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、アンヒドロソルビタンテトラステアレート、オレイルオレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、モンタンワックス、カルナウバワックス等が有り単独若しくは組合わせ使用出来る。
【0095】
また、潤滑剤としては所謂潤滑油添加剤も単独若しくは組合わせで使用出来、防錆剤として知られている酸化防止剤(アルキルフェノール、ベンゾトリアジン、テトラアザインデン、スルファミド、グアニジン、核酸、ピリジン、アミン、ヒドロキノン、EDTA等の金属キレート剤)、錆どめ剤(ナフテン酸、アルケニルコハク酸、燐酸、ジラウリルフォスフェート等)、油性剤(ナタネ油、ラウリルアルコール等)、極圧剤(ジベンジルスルフィド、トリクレジルフォスフェート、トリブチルホスファイト等)、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、泡どめ剤等がある。これらの潤滑剤は結合剤100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲で添加される。
【0096】
分散剤、分散助剤としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸、ベヘン酸、マレイン酸、フタル酸等の炭素数2〜40個の脂肪酸(R1 COOH、R1 は炭素数1〜39個のアルキル基、フェニル基、アラルキル基)、前記の脂肪酸のアルカリ金属(Li、Na、K等)又はアルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba等)、NH4+ 、Cu、Pb等から成る金属石鹸(オレイン酸銅)、脂肪酸アミド;レシチン(大豆油レシチン)等が使用される。この他に炭素数4〜40の高級アルコール(ブタノール、オクチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール)及びこれらの硫酸エステル、スルホン酸、フェニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、スルホン酸エステル、燐酸モノエステル、燐酸ジエステル、燐酸トリエステル、アルキルホスホン酸、フェニルホスホン酸、アミン化合物等も使用可能である。また、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、スルホ琥珀酸、スルホ琥珀酸金属塩、スルホ琥珀酸エステル等も使用可能である。これらの分散剤は通常一種類以上で用いられ、一種類の分散剤は結合剤100重量部に対して0.005〜20重量部の範囲で添加される。これら分散剤の使用方法は、強磁性粉末や非磁性粉末の表面に予め被着させても良く、また分散途中で添加してもよい。
【0097】
防黴剤としては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、10,10′−オキシビスフェノキシサルシン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、P−トリルジョードメチルスルホン、トリヨードアリルアルコール、ジヒドロアセト酸、フェニルオレイン酸水銀、酸化ビス(トリブチル錫)、サリチルアニライド等がある。
【0098】
このようなものは、例えば「微生物災害と防止技術」1972年工学図書、「化学と工業」32,904(1979)等に於いて示されている。カーボンブラック以外の帯電防止剤としてはグラファイト、変性グラファイト、カーボンブラックグラフトポリマー、酸化錫−酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン−酸化錫−酸化アンチモン、等の導電性粉末;サポニン等の天然界面活性剤;アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、多価アルコール、多価アルコールエステル、アルキルフェノールEO付加体等のノニオン界面活性剤;高級アルキルアミン類、環状アミン、ヒダントイン誘導体、アミドアミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ピリジンそのほかの複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類、等のカチオン界面活性剤;カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、燐酸、硫酸エステル基、ホスホン酸エステル、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類;アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等が使用される。これらの界面活性剤は単独又は混合して添加しても良い。また、磁気記録媒体におけるこれらの界面活性剤の使用量は、強磁性粉末100重量部当たり0.01〜10重量部である。また、バック層での使用量は結合剤100重量部当たり0.01〜30重量部である。これらは帯電防止剤として用いられるものであるが、時としてそのほかの目的、例えば分散、磁気特性の改良、潤滑性の改良、塗布助剤、湿潤剤、硬化促進剤、分散促進剤として適用される場合もある。
【0099】
磁性層の形成は、通常の方法に従って行うことができる。例えば、上記強磁性粉末及び樹脂成分ならびに必要に応じて配合される研磨剤及び硬化剤などの磁性層形成成分を溶剤とともに混練分散して磁性塗料を調製し、この磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する方法を利用できる。
【0100】
分散、混練、塗布の際に使用する有機溶媒としては、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン系;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系;ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、スチレンなどのタール系(芳香族炭化水素);メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ヘキサン等のものが使用できる。これらの溶媒は通常任意の比率で2種以上で用いる。また1重量%以下の量で微量の不純物(その溶媒自身の重合物、水分、原料成分等)を含んでもよい。これらの溶剤は磁性層形成塗料もしくはバック層形成塗料、下塗液の合計固形分100重量部に対して100〜20000重量部で用いられる。好ましい磁性層形成塗料の固形分率は10〜40重量%である。また、バック層形成塗料の好ましい固形分率は5〜20重量%である。有機溶媒の代わりに水系溶媒(水、アルコール、アセトン等)を使用することもできる。
【0101】
分散、混練の方法には特に制限はなく、また各成分の添加順序(樹脂、粉体、潤滑剤、溶媒等)、分散・混練中の添加位置、分散温度(0〜80℃)などは適宜設定することができる。磁性層形成塗料及びバック層形成塗料の調製には、通常の混練機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アトライター、高速インペラー、分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、ディスパーザー、ホモジナイザー、単軸スクリュー押し出し機、二軸スクリュー押し出し機、及び超音波分散機などを用いることができる。通常分散・混練にはこれらの分散・混練機を複数備え、連続的に処理を行う。混練分散に関する技術の詳細は、T.C.PATTON著(テー.シー.パットン)“ Paint Flow and Pigment Dispersion" (ペイント フロー アンド ピグメント ディスパージョン)1964年John Wiley & Sons社発行(ジョン ウイリー アンド サンズ)や田中信一著「工業材料」25巻37(1977)などや当該書籍の引用文献に記載されている。これら分散、混練の補助材料として分散・混練を効率よく進めるため、球相当径で10cmφ〜0.05mmφの径のスチールボール、スチールビーズ、セラミックビーズ、ガラスビーズ、有機ポリマービーズを用いることができる。またこれら材料は球形に限らない。また、米国特許第2581414号及び同第2855156号などの明細書にも記載がある。本発明においても上記の書籍や当該書籍の引用文献などに記載された方法に準じて混練分散を行い磁性塗料及びバック層塗料を調製することができる。
【0102】
支持体上へ前記の磁性塗料ならびにバック層塗料を塗布する方法としては、塗布液の粘度を1〜20000センチストークス(25℃)に調製し、エアードクターコート、ブレードコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、ロッドコート、正回転ロールコート、カーテンコート、バーコート、押出しコート、スピンコート等が利用出来、その他の方法も可能であり、これらの具体的説明は浅倉書店発行の「コーテイング工業」253頁〜277頁(昭和46.3.20.発行)に詳細に記載されている。
【0103】
これら塗布液の塗布の順番は任意に選択でき、また所望の液の塗布の前に下塗り層あるいは支持体との密着力向上のためにコロナ放電処理等を行っても良い。また磁性層もしくはバック層を多層で構成したいときは、同時多層塗布、逐次多層塗布等を行ってもよい。
【0104】
このような方法により、支持体上に約1〜200μmほどで塗布された磁性塗料は必要により層中の強磁性粉末を直ちに20℃〜130℃で多段階で乾燥しながら500〜5000G程で所望の方向(垂直、長手、幅、ランダム、斜め等)へ配向させる処理、即ち磁場配向処理を施した後、形成した磁性層を0.1〜30μm厚みに乾燥する。このときの支持体の搬送速度は、通常10m/分〜900m/分で行われ、複数の乾燥ゾーンで乾燥温度を20℃〜130℃で制御し塗布膜の残留溶剤量を0.1〜40mg/(1/2吋)/mとする。
【0105】
また、このようにして乾燥された後、塗布層に必要によりカレンダー処理を行う。カレンダー処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。カレンダー処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が減少し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。
【0106】
カレンダー処理された段階では、結合剤の形成成分として硬化剤を使用した場合、磁性層に含まれる硬化剤のうち、通常90重量%以上が未反応の状態で磁性層に含有されているので、硬化処理を行って、少なくとも硬化剤の50重量%(特に好ましくは80重量%以上)を反応させた後に、その次の処理を行うことが望ましい。硬化処理には、加熱硬化処理と電子線硬化処理とがあり、本発明においては、いずれの方法であっても利用することができる。この硬化処理によりカレンダー処理された磁性層に含有される未反応の硬化剤が、例えば塩化ビニル系共重合体及びポリウレタン系樹脂のような樹脂成分と三次元網状の架橋構造を形成するように反応する。加熱処理の工程自体は既に公知であり、本発明においてもこれらの方法に準じて加熱処理を行うことができる。例えば、加熱処理は、加熱時間を通常40℃以上(好ましくは50〜80℃の範囲内)、加熱時間を通常20時間以上(好ましくは24時間〜7日間)に設定して行われる。また、電子線照射による硬化処理の工程自体も既に公知であり、これらの方法に準じて硬化処理を行うことができる。
【0107】
このように作成した磁気記録媒体をスリッター等の通常の裁断機等を使用して通常の条件で所望の形状に裁断した後、プラスチックや金属のリールに巻き取る。こうして作成した磁性層の表面、又は磁性層の表面及びバック層の表面を、巻き取る直前ないしそれ以前の工程において磁気記録媒体(磁性層、バック層、エッジ端面、ベース面)を研磨テープによりバーニッシュ処理を行ってもよい。これらは、例えば、特開昭63−259830号公報等に開示されている。
【0108】
また、磁気記録媒体の拭き取り処理は、磁気記録媒体表面の汚れや余分な潤滑剤を除去する目的で磁気記録媒体表層を不織布などで磁性層面、バック層面、エッジ端面、バック側のベース面をワイピングすることにより行う。このようなワイピングの材料としては、例えば日本バイリーン製の各種バイリーンや東レ製のトレシー、エクセーヌやクラレ製のクラレWRPシリーズ、また不織布としてナイロン製不織布、ポリエステル製不織布、レーヨン製不織布、アクリロニトリル製不織布、混紡不織布等も使用できる。その他、ティッシュペーパー、キムワイプ等も使用できる。これらは、特開平1−201824号公報等に記載されている。この拭き取り処理によって、磁性層及び/又はバック層の付着物及び有機物質の除去が完全に行われることになり、ドロップアウトあるいは目詰まり発生頻度が低下する。
【0109】
これらの製造方法は粉体の予備処理・表面処理、混練・分散、塗布・配向・乾燥、カレンダー処理、硬化処理(熱処理、放射線照射(EB)処理)、裁断、バーニッシュ処理、拭き取り処理及び巻き取りの工程を連続して行う事が望ましい。また特公昭41−13181号公報にしめされる方法はこの分野における基本的、かつ重要な技術と考えられている。但し、処理を行う順序は、上記順序に限定するものではない。
【0110】
本実施形態に使用される強磁性粉末又は非磁性粉末、結合剤、添加剤(潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、表面処理剤、カーボンブラック、研磨材、遮光剤、酸化防止剤、防黴剤等)、溶剤及び支持体(下塗層、バック層、バック下塗を有してもよい)或いは磁気記録媒体の製法等は特公昭56−26890号公報等に記載されているものも参考にできる。
【実施例】
【0111】
次に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0112】
図2の裁断装置16を用いて、前述した丸ねじを使用して、ねじの頭の裏面に突起が形成された場合に、回転上刃26の過剰な押し込みが与える回転上刃面の振れへの影響について擬似試験を行った。
【0113】
試験は、M3×0.5のサイズの皿ねじ48を使用して回転上刃26を3箇所固定し、そのうち1箇所だけに厚さ130μmのワッシャを組み込み、他の箇所よりも回転上刃26を130μm余分に押し込むことにより、ねじの裏面に突起が形成されたのと同様の条件に設定した。
【0114】
図10は、回転上刃26の振れ測定位置及びワッシャ位置を説明する説明図である。図10に示されるように、測定位置は回転上刃26の円中心に対して対称な2箇所(測定点B及びD)とし、矢印方向に回転させた。なお、図10において、符号1〜8は移動するワッシャ位置を示す。
【0115】
回転上刃26の振れは、電子マイクロメータを用いて測定した。回転上刃26の周速は、2m/分とした。この振れ試験の結果を図11に示す。なお、図11において、横軸は時間経過を示し、縦軸は回転下刃から離れる方向の距離(クリアランス)を示す。
【0116】
また、図12は、回転上刃26と回転下刃28との位置関係を説明する説明図であり、このうち図12(a)は回転上刃26のワッシャ位置の変化を示す説明図であり、図12(b)は回転上刃26と回転下刃28との位置関係を上から見た場合の説明図である。
【0117】
図11及び図12(b)に示されるように、測定点Dにおいて、ワッシャ位置が6から5を通過する時に、回転上刃26の振れが大きくなり、回転下刃28からのクリアランスが大きくなることがわかった。これと同様に、測定点Bにおいても、ワッシャ位置が5から4を通過する時に、回転上刃26の振れが大きくなり、回転下刃28からのクリアランスが大きくなることがわかった。
【0118】
一方、ワッシャを全く組み込まなかった場合、即ち、皿ねじを使用してねじの頭の裏面に突起を形成しなかった場合、上記のような回転上刃26と回転下刃28とのクリアランスは発生しなかった。すなわち、図12(b)の中央の図に示されるように、常時、回転上刃26の裁断面と回転下刃28の裁断面が均一に接することがわかった。
【0119】
以上より、本発明では皿ねじを使用することで、回転上刃と回転下刃と間に不均一なクリアランスが生じるのを抑制できると共に、良好な切れ味を維持できることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明に係る裁断装置を磁気テープの製造装置に組み込んだ一実施形態を示す全体構成図である。
【図2】本発明が適用される裁断装置の一実施形態の構造を示す断面図である。
【図3】図2の上刃ユニットを分解した状態を示す分解斜視図である。
【図4】図3のホルダの構造を示す上面図である。
【図5】図3の皿ばねの正面図である。
【図6】図3の上刃の正面図である。
【図7】丸ねじを用いた場合の上刃ユニットの部分断面図である。
【図8】皿ねじを用いた場合の上刃ユニットの部分断面図である。
【図9】皿ねじの各種形状を示す模式図である。
【図10】本実施例における回転上刃の測定位置及びワッシャ位置を示す模式図であ る。
【図11】本実施例における振れ試験のグラフ図である。
【図12】本実施例における回転上刃と回転下刃との間の位置関係を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0121】
10…製造装置、12…磁気テープ、14…磁気テープ原反、16…裁断装置、26…回転上刃、28…回転下刃、37…制御装置、43…凸部、43a…上刃取り付け面、44…ホルダ、46…皿ばね、48…皿ねじ、50…上刃ユニット、54…上刃押さえ、34、40…シャフト、52…溝、55、60、64…嵌合孔、56…ねじ孔、58、62…切欠き
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三


【公開番号】 特開2008−850(P2008−850A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172994(P2006−172994)