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【発明の名称】 裁断方法及び装置
【発明者】 【氏名】山田 秀明

【氏名】宮川 孝

【氏名】飯郷 正誼

【氏名】石井 文夫

【要約】 【課題】長期間切れ味を良好に維持しながら、しかも回転刃(上刃及び下刃)の研磨までの期間を長くすることができる。

【構成】上刃用回転軸40に所定間隔で取り付けられた複数の回転上刃26と、下刃用回転軸34に所定間隔で取り付けられた複数の回転下刃28とにより、磁気テープ原反14を複数本の磁気テープ12に裁断する装置であって、回転上刃26の先端部分と回転下刃28の先端部分とを重なり合うように配置すると共に、該重なり合った互いの先端部分を圧接させた状態で摺動回転する裁断装置において、回転上刃26と回転下刃28の重なり合った互いの先端部分を1kgf以下の圧接力で圧接させる圧接手段46と、上刃用回転軸40と下刃用回転軸34との交差角を調整する交差角調整手段59と、を備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上刃用回転軸に所定間隔で取り付けられた複数の回転上刃と、前記上刃用回転軸に平行な下刃用回転軸に所定間隔で取り付けられた複数の回転下刃とにより、幅広シートを複数本の幅狭シートに裁断する方法であって、前記回転上刃の先端部分と前記回転下刃の先端部分とを重なり合うように配置すると共に、該重なり合った互いの先端部分を圧接させた状態で摺動回転する裁断方法において、
前記圧接させる圧接力を1kgf以下に設定すると共に、前記上刃用回転軸と前記下刃用回転軸との交差角θ(°)を、0<θ≦0.05の範囲に調整することを特徴とする裁断方法。
【請求項2】
前記圧接力を0.4kgf以下に設定することを特徴とする請求項1の裁断方法。
【請求項3】
前記交差角θ(°)を、0.01≦θ≦0.03の範囲に調整することを特徴とする請求項1又は2の裁断方法。
【請求項4】
前記シートは磁気記録媒体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1の裁断方法。
【請求項5】
上刃用回転軸に所定間隔で取り付けられた複数の回転上刃と、前記上刃用回転軸に平行な下刃用回転軸に所定間隔で取り付けられた複数の回転下刃とにより、幅広シートを複数本の幅狭シートに裁断する装置であって、前記回転上刃の先端部分と前記回転下刃の先端部分とを重なり合うように配置すると共に、該重なり合った互いの先端部分を圧接させた状態で摺動回転する裁断装置において、
前記回転上刃と前記回転下刃の重なり合った互いの先端部分を1kgf以下の圧接力で圧接させる圧接手段と、
前記上刃用回転軸と前記下刃用回転軸との交差角を調整する交差角調整手段と、を備えたことを特徴とする裁断装置。
【請求項6】
前記圧接力手段による圧接力が0.4kgf以下であることを特徴とする請求項5の裁断装置。
【請求項7】
前記圧接手段は、前記回転上刃と、該回転上刃同士の所定間隔を設定するホルダと、の間に介在された皿ばねであることを特徴とする請求項5又は6の裁断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は裁断方法及び装置に係り、特に、幅広の磁気テープ原反を裁断して複数本の幅狭の磁気テープを製造する際に、裁断刃の切れ味を長期間維持することができ、しかも回転刃の研磨期間を長くすることのできる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、磁気テープは、強磁性粉末を結合剤(バインダー)中に分散させた磁性層が非磁性の支持体上に設けられている。この磁気テープは、先ず、強磁性粉末を結合剤、添加剤、有機溶剤とともに混合分散して磁性塗布液を調製し、この磁性塗布液を非磁性の支持体上に塗布した後、乾燥させて幅広の磁気テープ原反を製造する。そして、幅広の磁気テープ原反をスリッタと呼ばれる裁断装置で、8mm、1/2インチ、1インチ等の所要の幅に裁断することによって、幅狭の磁気テープを製造している。
【0003】
このような裁断方法としては、回転上刃と回転下刃との先端部分を重なるようにして摺動回転させ、その間に送られてくる長尺で広幅な磁気記録媒体を連続的に裁断して複数本の幅狭な磁気記録媒体を得る方法が一般的である。
【0004】
この裁断方法において、回転刃の摩耗状態に対応して、回転上刃の回転軸と回転下刃の回転軸との軸芯が交差する角度である交差角を調整することが提案されている。これにより、長期間良好な切れ味を得ることができるとされている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、それぞれ円盤面状に形成され、周辺部の刃部同士が接するように配置された対の回転上刃と回転下刃とを備え、相互に反対方向に回転する回転上刃と回転下刃の刃部によって、上刃及び下刃の円盤面に平行な方向で連続的に進入するシートを切断するようにしたシート切断装置において、回転上刃と回転下刃の回転に際し刃部が相互に接触しないように、回転上刃及び回転下刃を面取りすることが提案されている。これにより、刃部の磨耗が抑制され、クラックやチッピング等の刃部の欠損発生を抑制できるとされている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平7−88796号公報
【特許文献2】特開2002−273689号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の場合、切れ味を確保するためには、回転上刃と回転下刃との先端部分が互いに圧接された状態で回転するため、回転刃(上刃及び下刃)同士が磨耗する。裁断装置では、一定期間使用して回転刃の磨耗が一定以上進むと、回転刃を研磨して刃先形状を維持し、これにより良好な切れ味を確保するようにしている。研磨費用は裁断コストにおいて大きな負担となっているだけでなく、研磨のための回転刃の交換作業により裁断装置を停止しなくてはならず、交換頻度が多いと裁断効率の点でも問題がある。
【0007】
しかしながら、特許文献1は回転刃の磨耗状態に応じて交差角を調整するものであり、回転刃の磨耗を遅らせることはできない。
【0008】
また、特許文献2のように、回転上刃及び回転下刃の刃部が相互に接触しないように面取りすることで磨耗を遅らせることは可能であるが、切れ味の点で十分とは言えない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、長期間切れ味を良好に維持しながら、しかも回転刃(上刃及び下刃)の研磨までの期間を長くすることができるので、裁断コストにおける研磨費用の負担を軽減できるだけでなく、研磨のための回転刃の交換頻度も少なくなるので、裁断効率も向上できる裁断方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、上刃用回転軸に所定間隔で取り付けられた複数の回転上刃と、前記上刃用回転軸に平行な下刃用回転軸に所定間隔で取り付けられた複数の回転下刃とにより、幅広シートを複数本の幅狭シートに裁断する方法であって、前記回転上刃の先端部分と前記回転下刃の先端部分とを重なり合うように配置すると共に、該重なり合った互いの先端部分を圧接させた状態で摺動回転する裁断方法において、前記圧接させる圧接力を1kgf以下に設定すると共に、前記上刃用回転軸と前記下刃用回転軸との交差角θ(°)を、0<θ≦0.05の範囲に調整することを特徴とする裁断方法を提供する。
【0011】
本発明の発明者は、回転刃(上刃及び下刃)の磨耗を低減する対策を鋭意研究した結果、回転刃同士の圧接力を1kgf以下に設定し、これによって生じる外乱(例えば、回転上刃面の回転振れ等)に対して脆弱となる弊害については、上刃用回転軸と下刃用回転軸との軸芯を交差させた角度である交差角θ(°)を、0<θ≦0.05の範囲に調整することで解決できるとの知見を得た。即ち、本発明者は、回転刃の磨耗を抑制するために回転上刃と回転下刃との重なり合った先端部分の圧接力を低減しても、上刃回転軸と下刃回転軸の交差角を適切に調整し、回転上刃と回転下刃とをハの字形状にして幅広シートが食い込む裁断入口を閉じることにより、外乱があっても安定した裁断ができることを見いだした。
【0012】
本発明の請求項1によれば、回転下刃と回転下刃との先端部を圧接させる圧接力を1kgf以下(但し、圧接力が0kgfは含まない)になるように設定したので、回転上刃と回転下刃との磨耗を抑制でき、しかも上刃用回転軸と下刃用回転軸との交差角θ(°)を、0<θ≦0.05の範囲に調整するので、外乱に対する脆弱性も抑制できる。これにより、長期間切れ味を良好に維持しながら、しかも回転刃(上刃及び下刃)の研磨までの期間を長くすることができる。
【0013】
従って、裁断コストにおける研磨費用の負担を軽減できるだけでなく、研磨のための回転刃の交換頻度も少なくなるので、裁断効率も向上できる。
【0014】
請求項2は請求項1において、前記圧接力を0.4kgf以下に設定することを特徴とする。
【0015】
請求項2のように、圧接力を0.4kgf以下に設定することで、回転刃同士の磨耗を顕著に抑制できる。
【0016】
請求項3は請求項1又は2において、前記交差角θ(°)を、0.01≦θ≦0.03の範囲に調整することを特徴とする。
【0017】
外乱に対する脆弱性を抑制する効果的な交差角は、大きければ良いと言うものではなく、回転上刃と回転下刃とを適切なハの字形状に配置することが重要であり、0.01<θ≦0.03の範囲が一層好ましい。
【0018】
請求項4は請求項1〜3のいずれか1において、前記シートは磁気記録媒体であることを特徴とする。
【0019】
磁気記録媒体は表面に磁性塗布層を有しており、刃が磨耗し易く、回転刃の研磨を頻繁に行わなくてはならないので、本発明を適用することが極めて有効である。
【0020】
本発明の請求項5は前記目的を達成するために、上刃用回転軸に所定間隔で取り付けられた複数の回転上刃と、前記上刃用回転軸に平行な下刃用回転軸に所定間隔で取り付けられた複数の回転下刃とにより、幅広シートを複数本の幅狭シートに裁断する装置であって、前記回転上刃の先端部分と前記回転下刃の先端部分とを重なり合うように配置すると共に、該重なり合った互いの先端部分を圧接させた状態で摺動回転する裁断装置において、前記回転上刃と前記回転下刃の重なり合った互いの先端部分を1kgf以下の圧接力で圧接させる圧接手段と、前記上刃用回転軸と前記下刃用回転軸との交差角を調整する交差角調整手段と、を備えたことを特徴とする裁断装置を提供する。
【0021】
請求項5は、本発明を装置として構成したものであり、1kgf以下の圧接力の小さな圧接手段を用いる一方、交差角調整手段により上刃回転軸と下刃回転軸とを適切な交差角に交差させることにより、切れ味の低減や外乱に対する脆弱性を抑制しながら、回転刃の磨耗を顕著に抑制できる。
【0022】
請求項6は請求項5において、前記圧接力手段による圧接力が0.4kgf以下であることを特徴とする。
【0023】
圧接力を0.4kgf以下にすることで、回転刃の磨耗を飛躍的に抑制することができ、回転刃の研磨までの期間を顕著に延ばすことができるからである。
【0024】
請求項7は請求項5又は6において、前記圧接手段は、前記回転上刃と、該回転上刃同士の所定間隔を設定するホルダと、の間に介在された皿ばねであることを特徴とする。
【0025】
圧接手段としては、回転上刃とホルダとの間に介在させた皿ばねを好ましく使用することができ、皿ばねのばね定数を適切に選択することで、圧接力を1kgf、好ましくは0.4kgfにすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の裁断方法及び装置によれば、長期間切れ味を良好に維持しながら、しかも回転刃(上刃及び下刃)の研磨までの期間を長くすることができる。従って、裁断コストにおける研磨費用の負担を軽減できるだけでなく、研磨のための回転刃の交換頻度も少なくなるので、裁断効率も向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下添付図面に従って本発明に係る裁断方法及び装置における好ましい実施の形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明に係る裁断装置を磁気テープ(磁気記録媒体)の製造装置に組み込んだ一実施形態を示す全体構成図である。図1に示される製造装置10は、コンピュータバックアップ用高密度磁気テープ12(以下、「磁気テープ12」という)を製造する装置であり、幅広の磁気テープ原反14を裁断装置16で長手方向に裁断することによって幅狭の複数の磁気テープ12を製造する。本実施形態で製造する磁気テープ12は、非磁性の支持体上に強磁性層を形成したものであり、支持体は幅方向のヤング率が6.9GPa以上のものが用いられる。
【0029】
磁気テープ原反14は、製品となる磁気テープ12よりも広い幅で帯状に形成されており、ハブ(巻芯)18にロール状に巻回された状態で巻き戻し部20に装着されている。磁気テープ原反14は、通常、非磁性の支持体上に強磁性微粒子を含む磁性層を塗布法や真空蒸着法等により形成し、その磁性層に配向処理、乾燥処理、表面処理等を行うことによって製造される。
【0030】
ロール状の磁気テープ原反14は、フィードローラ22を駆動することによって巻き戻し装置20から連続的に巻き戻されて送り出される。フィードローラ22は、磁気テープ原反14を走行させるためのローラであり、例えば、サクションドラムが使用される。サクションドラムは、磁気テープ原反14を表面に吸着しながら回転するドラムであり、ドラムの表面には、磁気テープ原反14の保持力を増加させるための溝が形成される。なお、フィードローラ22として、磁気テープ原反14を挟圧して搬送する一対のニップローラなど、他の公知フィード手段を用いてもよい。
【0031】
送り出された磁気テープ原反14は、複数のガイドローラ24、24…にガイドされながら裁断装置16に送られる。裁断装置16の構造については後述するが、回転上刃26と回転下刃28とによって、磁気テープ原反14を、100〜500本に裁断し、規定の幅寸法(例えば12.65mm、25.4mm、3.81mm等)の磁気テープ12を形成するようになっている。裁断後の磁気テープ12は、パスローラ30に巻き掛けられた後、フィードローラ22と同期して回転する巻取ハブ32に巻き取られる。なお、パスローラ30と巻取ハブ32とからなる巻取ラインは複数設けられており、隣接する磁気テープ12が異なるパスローラ30、異なる巻取ハブ32に巻き取られるようになっている。
【0032】
図2は、本発明の裁断装置16の一実施形態を示す斜視図である。
【0033】
裁断装置16は、主として、多数の回転上刃26が固定された上刃用回転軸40を回転自在に支持する上側軸受ブロック60,60と、多数の回転下刃28が固定された下刃用回転軸34を回転自在に支持する下側軸受ブロック62,62と、回転上刃26の先端部分(刃先部分)と回転下刃28の先端部分(刃先部分)とが重なり合った互いの先端部分を圧接させる圧接手段(例えば皿ばね46、図3、4参照)と、上刃用回転軸40の軸芯と下刃用回転軸34の軸芯との交差角θを調整する交差角調整装置59と、で構成される。
【0034】
図3に示すように、裁断装置16は、上下対になった複数対の回転上刃26と回転下刃28を備えている。回転下刃28、28…はタングステンカーバイト等の超硬素材によって円筒状に形成されており、比較的厚い刃先を有している。そして、複数の回転下刃28を下刃用回転軸34に通すことによって取りつけられる。各回転下刃28、28同士の間にはスペーサ38が介在されており、このスペーサ38によって回転下刃28、28…がシャフト34の軸方向に一定の間隔で配置され、両端が下刃押さえ35で固定されている。尚、回転下刃28、28…は、図3の右側の側面が裁断面28aとして作用するようになっている。回転下刃28の裁断面28aは、シャフト34の軸方向において、磁気テープ12の幅寸法と同じ間隔で配置されている。
【0035】
一方、各回転上刃26、26…はタングステンカーバイト等の超硬素材によって薄い円板状に形成されており、各回転上刃26、26同士の間にホルダ44を介在させることにより、回転上刃26が上刃用回転軸40に所定間隔で配置され、両端が上刃押さえ54で固定されている。上刃用回転軸40はモータ42によって回転駆動されると共に、モータ42の回転動力がギア36を介して下刃用回転軸34に伝達され、下刃用回転軸34が回転駆動される。モータ42は制御装置45に接続されており、この制御装置45によってモータ42が駆動制御され、回転上刃26と回転下刃28の周速が制御される。尚、回転上刃26と回転下刃28の回転方向と周速は特に限定するものではないが、たとえば磁気テープ原反14の走行方向に、且つ、磁気テープ原反14の走行速度に等しい周速に制御される。
【0036】
また、回転上刃26の先端部分が回転下刃28、28同士の間に入り込むように(即ち、側方から見て重なり合うように)配置されている。更に、回転上刃26は、その一方側の側面(図3の左側の側面)が裁断面26aとして、回転下刃28の裁断面28aとによって裁断作用を生じるようになっている。即ち、回転上刃26の裁断面26aと、回転下刃28の裁断面28aとによって、幅広の磁気テープ原反14をその長手方向に裁断するように構成されている。
【0037】
また、回転上刃26とホルダ44との間には、圧接手段としての皿ばね46が介在されている。この皿ばね46により、回転上刃26はスラスト方向(上刃用回転軸40の軸芯方向)に押圧され、回転上刃26と回転下刃28との先端部分が所定の圧接力で圧接される。この圧接力により、磁気テープ原反14を裁断するときの裁断抵抗によって回転上刃26が回転下刃28から逃げることを防ぐと共に、回転上刃26の先端部分と回転下刃28の先端部分との間に良好な重なり合いを形成し、切れ味を確保している。
【0038】
この場合、回転上刃26、皿ばね46、ホルダ44をねじ48で固定して一体化させた上刃ユニット50として構成することが好ましい。
【0039】
次に、図4〜図6を使用して、上刃ユニット50の構成部材についてさらに詳細に説明する。
【0040】
図4は、本実施形態における上刃ユニット50の分解した状態を示す分解斜視図である。図5は、ホルダ44の構造を説明する説明図であり、このうち図5(a)はホルダ44の上面図であり、図5(b)は図5(a)のB−B線断面図であり、図5(c)はホルダ44の下面図である。図6(A)は皿ばね46の上面図であり、図6(B)は回転上刃26の上面図である。
【0041】
これらの図に示すように、中央部に嵌合孔41(上刃用回転軸40に通す孔)が形成されたホルダ44の凸部43の上刃取り付け面43aの縁には、軸心に対して対称な位置に複数のねじ孔58…(本実施形態では3つのねじ孔58…)が設けられている。これらのねじ孔58は、ねじ48が差し込まれると、ねじ48の頭の一部が凸部43の縁から若干はみ出すように形成されている。これにより、回転上刃26を取り付けた時に、回転上刃26に形成された切欠き56…と重なるようになっている。
【0042】
ホルダ44の凸部43の上刃取り付け面43aとは反対側の面44bには、隣接して設けられる上刃ユニット50のねじ48の頭部を収納するための溝52(図5参照)が形成されている。この溝52は、隣接して設けられる上刃ユニット50のねじ48に対応する位置に複数設けられている。これにより、複数の上刃ユニット50…を軸方向に積層した場合、ねじ48の頭部により、隣接する上刃ユニット50、50間に不均一な隙間が生じるのを抑制することができる。
【0043】
ねじ48は、公知公用のねじ、例えば、皿ねじ(丸皿ねじを含む)、丸ねじ等を使用できるが、皿ねじを使用することが好ましい。
【0044】
皿ばね46は、ホルダ44の凸部43に回転上刃26を傾くことなく固定するためのものである。図4及び図5に示されるように、皿ばね46は、中央部に嵌合孔47を有しており、皿ばね46をホルダ44の凸部43に嵌め込むことにより、回転上刃26をホルダ44と軸方向に離間するように付勢できるようになっている。皿ばね46の付勢力は、例えば図6(A)に示すように、周面に形成した複数の孔49の数によって調整されるが、これには限定されない。また、皿ばね46の内周面には、軸心に対して対称な位置に複数の切欠き57…(本実施形態では3つの切欠き57…)が形成されている。この切欠き57は、ホルダ44の凸部43の縁から若干はみ出す前記したねじ48の頭よりも大きめに形成されている。これにより、凸部43に嵌めたねじ48に皿ばね46の切欠き57…を嵌めた後、軸心に対して回転させることで、皿ばね46をホルダ44に固定することができる。
【0045】
図4及び図6(B)に示されるように、回転上刃26の中央部の嵌合55は、ホルダ44の凸部43の上刃取り付け面43aの径よりも若干大きく形成されている。回転上刃26の嵌合孔55の周囲には、軸心に対して対称な位置に複数の切欠き56…が設けられている。この切欠き56は、ホルダ44の凸部43の縁から若干はみ出すねじ48の頭の最大径よりも大きめに形成され、厚さ方向に貫通している。即ち、予め凸部43の上刃取り付け面43aに固定したねじ48に回転上刃26の切欠き56を嵌め込んだ後、回転上刃26を回転させることにより、回転上刃26をホルダ44に固定できるようになっている。
【0046】
なお、本実施形態では、回転上刃26には切欠き56を3箇所設け、凸部43の上刃取り付け面43aにねじ孔58を3箇所ずつ設ける例を示したが、これに限定されることはなく、軸心に対して対象な位置に2以上の任意の箇所に、それぞれ切欠き56及びねじ孔58を設けることができる。
【0047】
また、本実施形態では、回転上刃26に形成される切欠き56の形状は上記実施形態に限定されることはなく、例えば、ねじの頭の最大径よりも大きなサイズであれば矩形であってもよい。
【0048】
上記した上刃ユニット50の形成において、皿ばね46を凸部43に嵌め込んだ状態でねじ48により回転上刃26をホルダ44に固定すると、皿ばね46が回転上刃26とホルダ44とで圧縮(変形)されるので、圧縮(変形)が元に戻ろうとする力で回転上刃26の先端部分(刃先部分)を押圧する。これにより、回転上刃26はスラスト方向(上刃用回転軸40に軸芯方向)に押圧され、回転上刃26と回転下刃28との先端部分が所定の圧接力で圧接される。
【0049】
この圧接力が大きいと、回転上刃26と回転下刃28との磨耗が大きくなるので、ばね定数の小さな皿ばね46に変えることで、同じ寄せ量であって圧接力を小さくすることができる。本発明においては、皿ばね46によって回転上刃26と回転下刃28との重なり合う互いの先端部分(刃先部分)の圧接力を、1kgf以下に、好ましくは0.4kgf以下になるようにした。この場合、皿ばね46のばね定数が同じでも、図7に示すように、寄せ量が異なると圧接力が異なる。図7は、横軸に寄せ量を取り、縦軸に圧接力を取ったグラフであり、寄せ量が120μmのときに圧接力1kgfの皿ばねAと、圧接力0.4kgfの皿ばねBの例を示したものである。図7に示すように、A,Bの皿ばね共に寄せ量が異なると圧接力が異なることが分かる。
【0050】
ここで「寄せ量」とは、図8(図3のA部拡大図)に示すように、皿ばね46が回転上刃26とホルダ44とで圧縮されていないフリーの状態(点線で示した)での皿ばね46の外周縁位置を基準として、皿ばね46が回転上刃26とホルダ44とで圧縮された状態(実線で示した)での皿ばね46の外周縁位置との距離Dを寄せ量という。図8のFは皿ばねが圧縮される圧縮力であり、この圧縮力の反力が圧接力として回転上刃26に作用する。
【0051】
従って、圧接力が0.4kgfの皿ばね46を選択するには、皿ばね46のばね定数の他に上刃ユニット50を組み立てる際の寄せ量を加味することが必要である。例えば、寄せ量120μmのときの圧接力が0.4kgfになるばね定数の皿ばね46を選択する。この場合、従来のように、上刃回転軸40に回転上刃26、皿ばね46、ホルダ44を別個に通すことも可能であるが、上刃ユニット50の形で通すことが好ましい。上刃ユニット50は、全ての上刃ユニット50について上記したねじ48の長さを一定にすることで、全ての上刃ユニット50における寄せ量を一定にすることができるので、全ての上刃ユニット50の皿ばね46の圧縮力Fを均一化することができる。これにより、複数組からなる回転上刃26と回転下刃28の圧接力を均一化することができる。
【0052】
このように、回転上刃26と回転下刃28の圧接力を小さくすることで、刃の磨耗を抑制できる反面、外乱に対して脆弱になるという弊害が発生すると、刃の磨耗は軽減できても切れ味が悪くなる。
【0053】
そこで、本発明では、上刃用回転軸40と下刃用回転軸34の交差角θを調整する交差角調整装置59を設けることで、外乱に対する脆弱性を抑制し、これにより長期間切れ味を良好に維持しながら、しかも回転刃(上刃及び下刃)の研磨までの期間を長くできるようにした。
【0054】
次に、図2、図9及び図10に従って交差角調整装置59について説明する。
【0055】
これらの図に示すように、交差角調整装置59は、一対の板部材64、64(図10参照)を有し、板部材64の下部が下側軸受ブロック62、62に複数の固定ボルト66、66によって取り付け固定されている。また、板部材64、64の上部が上側軸受ブロック60、60側に張り出すように形成され、この張り出した部分に調整ねじ68、68が設けられている。即ち、調整ねじ68、68は、一対の板部材64、64を貫通してその先端が上側軸受ブロック60、60の側面を押圧できるように構成される。従って、一対の板部材64、64に設けられたそれぞれの調整ねじ68、68をねじ込む方向に操作することによって、調整ねじ68の貫通長さが長くなり、上側軸受ブロック60、60を互に逆方向に押す。
【0056】
また、上側軸受ブロック60、60は、該上側軸受ブロック60、60を貫通して下側軸受ブロック62、62に螺合する複数の固定用ボルト70、70…により固定されている。この場合、連結天板71も固定用ボルト70によって上側軸受ブロック60と共に固定される。また、図10のように、固定用ボルト70が貫通する上側軸受ブロック60、60のボルト孔72は、交差角調整のために調整ねじ68で上側軸受ブロック60の側面を押圧したときに上側軸受ブロック60、60の移動を許容する大きさ構成されている。そして、交差角調整時には固定用ボルト70を緩めておき、調整ねじ68、68によって上側軸受ブロック60、60を所定量移動させて調整し、その後に固定用ボルト70を締め付けて固定する。この移動調整は当然のことながらボルト孔72と固定用ボルト70との隙間ε分だけ移動でき、この移動許容範囲内で上刃用回転軸40の交差角θが調整される。
【0057】
このように交差角調整装置59を構成したことにより、図11に示したように上刃用回転軸40がその長さ方向の中心部Oを中心として揺動するので、上刃用回転軸40と下刃用回転軸34との軸芯が交差する角度である交差角θを微調整することができる。交差角θは例えば磁気テープ原反14の幅が1100mm程度、回転上刃26と回転下刃28の直径が150〜130mm程度のときに0.5度までの範囲で調節することが可能である。
【0058】
この交差角θは、例えば上側と下側の軸受ブロック60、62の接触端面等に適当な目盛をつけることにより調整量を決めることができる。尚、図2、図9、図10の符号74は、底板である。
【0059】
上記の如く構成された裁断装置16を用いて本発明の裁断方法を説明する。
【0060】
先ず、皿ばね46のばね定数と寄せ量とを適切に選択することにより、回転上刃26と回転下刃28との先端部分を圧接させる圧接力が1kgf以下、好ましくは0.4kgf以下になるように設定する。次に、交差角調整装置59により、上刃用回転軸40と下刃用回転軸34との軸芯同士の角度である交差角θを、0<θ≦0.05の範囲、好ましくは0.01≦θ≦0.03の範囲に調整する。そして、裁断運転を開始する。
【0061】
これにより、長期間切れ味を良好に維持しながら、しかも回転刃(上刃及び下刃)の研磨までの期間を長くすることができる。従って、裁断コストにおける研磨費用の負担を軽減できるだけでなく、研磨のための回転刃の交換頻度も少なくなるので、裁断効率も向上できる。
【0062】
以上、本発明に係る裁断方法及び装置を組み込んだ装置として、磁気テープの裁断装置の例について説明したが、磁気記録媒体の製造分野に限らず、各種技術分野において帯状の支持体を所定幅に裁断する技術(電極材料、機能性フィルム、光学フィルム、磁性材料の塗布工程等)に適用することができる。
【0063】
以下、本実施形態における磁気テープの構成についてさらに詳細に説明する。本実施形態における磁気テープは、非磁性の支持体と、この支持体上に設けられた磁性層と、必要に応じて磁性層と反対側に設けられるバックコート層(単にバック層ともいう)とからなる。
【0064】
磁性層は強磁性微粉末と必要に応じてカーボンブラック、研磨剤、粉末状潤滑剤等の粉状成分とこの粉状成分が分散している結合剤とからなり、バックコート層は、強磁性微粉末の代わりに非磁性粉末を使用する以外は、磁性層と同様のものからなる。結合剤は樹脂成分とさらに必要に応じて配合される硬化剤とにより構成されている。
【0065】
まず、非磁性支持体について説明する。本実施形態で使用する非磁性支持体は、特に限定されないが、厚み5〜10μm程度、特に6〜9μm程度が好ましく、幅方向のヤング率は700kg/mm以上、1000kg/mm以上、特に1200kg/mm以上が好ましい。また、長手方向のヤング率は、400〜1200kg/mm、好ましくは450〜1000kg/mmの範囲である。
【0066】
素材としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル等のビニル系樹脂類、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン等のプラスチックが使用できるが、好ましくはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド及びポリイミド、特に好ましくは、ポリエチレンナフタレート(PEN)が使用される。これら支持体は塗布に先立って、コロナ放電処理、プラズマ処理、下塗処理、熱処理、除塵埃処理、金属蒸着処理、アルカリ処理を行ってもよい。これら支持体に関しては、例えば、西独特許3338854A明細書、特開昭59−116926号公報、米国特許4388368号明細書;三石幸夫著、「繊維と工業」31巻 p50〜55、1975年などに記載されている。これら支持体の中心線平均表面粗さは、0.001〜0.5μm(カットオフ値0.25mm)が好ましい。
【0067】
また、ポリエチレンナフタレートは、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートホモポリマーを始め、エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート繰り返し単位を70重量%以上含む共重合体、これらと他種ポリマーとの混合体(但し、PEN成分が70重量%以上を占める)の如く本質的にPENの性質を失わないポリエステル組成物を包含する。このPENはフィルム形成能を有するポリマーである。
【0068】
本実施形態で使用されるPENフィルムは未延伸フィルムを2軸配向させることによって、製造することができる。2軸配向は、例えば逐次2軸配向ではPENのガラス転移温度よりも高い温度、好ましくは3〜10℃高い温度で1段目の延伸を行い、次いで1段目の延伸温度と同じ、ないし10℃高い温度範囲で2段目の延伸を行う。延伸倍率は少なくとも1軸方向で2以上、更に好ましくは2.5以上とし、面積倍率で6倍以上さらには8倍以上とするのが好ましい。熱処理(ヒートセット)は170℃以上、さらに好ましくは190℃以上の温度で緊張下に行うのが好ましい。熱処理温度の上限は処理時間にもよるが、フィルムが安定した形状をとる温度であるのはいうまでもない。熱処理時間は数秒から数十秒、さらには3〜30秒間が好ましい。その後、さらに(ガラス転移温度から10℃低い温度)〜(溶融温度から40℃低い温度)の範囲の条件で縦方向に1.05〜2.5倍、横方向に1.05〜2.5倍の逐次延伸を行い、再熱処理は(ガラス転移温度から50℃低い温度)〜(溶融温度から10℃低い温度)の範囲で行うのが好ましい。
【0069】
磁性層で使用する強磁性粉末は、特に限定されないが、鉄、コバルトあるいはニッケルを含む強磁性金属粉末を用いるとその効果が顕著であって、α−Fe、Co、Ni、Fe−Co合金、Fe−Co−Ni合金、Fe−Co−Ni−P合金、Fe−Co−Ni−B合金、Fe−Ni−Zn合金、Ni−Co合金、Co−Ni−Fe合金などの強磁性金属微粉末が好ましい。
【0070】
これらの強磁性金属粉末の形状は特に制限はなく、通常は、針状、粒状、サイコロ状、米粒状及び板状のものなどが使用される。粒子サイズは、針状の場合は、0.05〜0.5μm、好ましくは0.05〜0.3μm、特に好ましくは0.10〜0.25μmの長軸長で、長軸長/短軸長は2/1〜25/1、好ましくは3/1〜15/1、特に好ましくは4/1〜12/1であり、板状の場合は、板径は、0.02〜0.20μm、好ましくは0.03〜0.10μm、特に好ましくは0.04〜0.07μmで、板径/板厚は、1/1〜30/1、好ましくは2/1〜10/1、特に好ましくは2.5〜7/1である。
【0071】
また、これらの強磁性金属粉末の比表面積(比表面積SBET )は、47〜80m2 /g、より好ましくは53〜70m2 /g、抗磁力(Hc)は、1250〜2500Oe、飽和磁化(σS )は、100〜180emu/g、好ましくは110〜150emu/gである。含水率は、0.1〜2.0重量%、pHは3〜11(5g強磁性粉末/100g水)が好ましい。これらの強磁性金属粉末の表面に、後で述べる防錆剤、表面処理剤、分散剤、潤滑剤、帯電防止剤等をそれぞれの目的の為に分散に先立って溶剤中で含浸させて吸着させてもよい。
【0072】
また、強磁性金属粉末として、その金属分は60重量%以上であり、そして金属分の70重量%以上が少なくとも1種類の強磁性金属粉末あるいは合金(例、Fe、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Co、Ni、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe)であり、該金属分の40重量%以下、より好ましくは20重量%以下の範囲で他の成分(例、Al、Si、S、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zn、Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、Ba、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、Ce、Pr、Nd、B、P)を含むことのある合金や、窒化鉄や炭化鉄等を挙げることができる。特にこの中で金属鉄の強度を補うためにAl、Si、Crを単独乃至混合して表層に設けることが望ましい。また、上記強磁性金属粉末が少量の水酸化物又は酸化物、アルカリ金属元素(Na、K等)、アルカリ土類金属元素(Mg、Ca、Sr)を含むものなどであってもよい。これらの強磁性金属粉末の製造方法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性金属粉末の代表例である強磁性金属粉末についてもこれら公知の方法に従って、製造することができる。
【0073】
特に、本実施形態において、強磁性粉末として用いられる強磁性合金粉末の製造方法の例としては、下記の方法を挙げることができる。(a)複合有機酸塩(主としてシュウ酸塩)を水素などの還元性気体で還元する方法、(b)酸化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはFe−Co粒子などを得る方法、(c)金属カルボニル化合物を熱分解する方法、(d)強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナトリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元剤を添加して還元する方法、(e)水銀陰極を用い強磁性金属粉末を電解析出させたのち水銀と分離する方法、(f)金属を低圧の不活性気体中で蒸発させて微粉末を得る方法。
【0074】
強磁性粉末としては、板状六方晶のバリウムフェライトも使用できる。バリウムフェライトの粒子サイズは約0.001〜1ミクロンの直径で厚みが直径の1/2〜1/20である。バリウムフェライトの比重は4〜6g/ccで、比表面積は1m/g〜70m/gである。また、所望により、FeO(X=1.33〜1.50)、Co含有FeO、等を使用することもできる。
【0075】
必要に応じて設けられるバック層に使用できる非磁性粉末としては、カーボンブラック、グラファイト、二硫化タングステン、窒化ホウ素、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、リトポン、タルク、酸化第二スズ等が挙げられる。
【0076】
磁性層とバック層に使用される結合剤の樹脂成分としては、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂、電子線硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、可視光線硬化型樹脂やこれらの混合物が使用される。
【0077】
熱可塑性樹脂としては軟化温度が150℃以下、数平均分子量が10000〜300000、重合度が約50〜2000程度のもので、より好ましくは200〜600程度であり、例えば塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル重合体、塩化ビニル酢酸ビニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合体、メタクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、メタクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタクリル酸エステルスチレン共重合体、ウレタンエラストマー、ナイロン−シリコン系樹脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、ポリフッカビニル、塩化ビニリデンアクリロニトリル共重合体、ブタジエンアクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースアセテートブチレート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース等)、スチレンブタジエン共重合体、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エステル共重合体、アミノ樹脂、各種の合成ゴム系の熱可塑性樹脂及びこれらの混合物等が使用される。
【0078】
熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては塗布液の状態では200000以下の分子量であり、塗布、乾燥後に加熱加湿することにより、縮合、付加等の反応により分子量は無限大のものとなる。また、これらの樹脂のなかで、樹脂が熱分解するまでの間に軟化又は溶融しないものが好ましい。具体的には、例えばフェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタンポリカーボネート樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系反応樹脂(電子線硬化樹脂)、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロースメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシアネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジオール/トリフェニルメタントリイソシアネートの混合物、ポリアミン樹脂、ポリイミン樹脂及びこれらの混合物等である。
【0079】
これらの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂は、主たる官能基以外に官能基としてカルボン酸(COOM)、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホン酸(SO3 M)、燐酸(PO(OM)(OM))、ホスホン酸、硫酸(OSO3 M)及びこれらのエステル基等の酸性基(Mは、H、アルカリ金属、アルカリ土類金属、炭化水素基)、アミノ酸類、アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性類基、アミノ基、イミノ基、イミド基、アミド基等また、水酸基、アルコキシル基、チオール基、アルキルチオ基、ハロゲン基(F、Cl、Br、I)、シリル基、シロキサン基、エポキシ基、イソシアナト基、シアノ基、ニトリル基、オキソ基、アクリル基、フォスフィン基を通常1種以上6種以内含み、各々の官能基は樹脂1gあたり1×10-6当量〜1×10-2当量含む事が好ましい。
【0080】
硬化剤としては、通常はポリイソシアネート化合物が使用される。本発明の磁性層及び或いはバック層に用いるポリイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート類、又は当該イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、又はイソシアネート類の縮合に依って生成した2〜10量体のポリイソシアネート、又はトリイソシアネートとポリウレタンとの生成物で末端官能基がイソシアネートであるもの等を使用することができる。これらポリイソシアネート類の平均分子量は、100〜20000のものが好適である。これらポリイソシアネート化合物の市販されている商品名としては、コロネートL、コロネートHL、コロネート2030、コロネート2031、ミリオネートMR、ミリオネートMTL(日本ポリウレタン(株)、タケネートD−102、タケネートD−110N、タケネートD−200、タケネートD−202、タケネート300S、タケネート500(武田薬品(株)製)、スミジュールT−80、スミジュール44S、スミジュールPF、スミジュールL、スミジュールN、デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュールN、デスモジュールHL、デスモジュールT65、デスモジュール15、デスモジュールR、デスモジュールRF、デスモジュールSL、デスモジュールZ4273(住友バイエル社製)等があり、これらを単独若しくは硬化反応性の差を利用して二つ若しくはそれ以上の組み合わせによって使用することができる。又、硬化反応を促進する目的で、水酸基(ブタンジオール、ヘキサンジオール、分子量が1000〜10000のポリウレタン、水等)、アミノ基(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等)を有する化合物や金属酸化物の触媒を併用する事も出来る。これらの水酸基やアミノ基を有する化合物は多官能である事が望ましい。これらのポリイソシアネートは磁性層、バック層とも結合剤樹脂とポリイソシアネートの総量100重量部あたり2〜70重量部で使用することが好ましく、より好ましくは5〜50重量部である。これらの例示は、特開昭60−131622号公報、特開昭61−74138号公報等において示されている。
【0081】
これらの結合剤の単独又は組合わされたものが使われ、ほかに添加剤が加えられる。磁性層の強磁性粉末と結合剤との混合割合は重量比で強磁性粉末100重量部に対して結合剤5〜300重量部の範囲で使用される。バック層の粉末と結合剤の混合割合は重量比で粉末100重量部に対して結合剤8〜400重量部の範囲で使用される。添加剤としては、カーボンブラック、研磨剤、潤滑剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、溶剤等が加えられる。
【0082】
カーボンブラックとしてはゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。これらカーボンブラックはテープの帯電防止、遮光剤、摩擦係数調節剤、耐久性向上を目的として使用される。これらカーボンブラックの米国における略称の具体例をしめすと、SAF 、ISAF、IISAF 、T 、HAF 、SPF 、FF、FEF 、HMF 、GPF 、APF 、SRF 、MPF 、ECF 、SCF 、CF、FT、MT 、HCC 、HCF 、MCF 、LFF 、RCF 等があり、米国のASTM規格のD-1765-82aに分類されているものを使用することができる。本発明に使用されるこれらカーボンブラックの平均粒子サイズは5 〜1000nm( 電子顕微鏡) 、窒素吸着法比表面積は1〜800m/g、pHは4〜11(JIS規格K-6221-1982 法)、ジブチルフタレート(DBP) 吸油量は10〜800mL(ミリリットル)/100g(JIS 規格K-6221-1982 法) である。本発明に使用されるカーボンブラックのサイズは、塗布膜の表面電気抵抗を下げる目的で5 〜100nm のカーボンブラックを、また塗布膜の強度を制御するときに50〜1000nmのカーボンブラックを使用することができる。また塗布膜の表面粗さを制御する目的でスペーシングロス減少のための平滑化のためにより微粒子のカーボンブラック(100nm未満) を、粗面化して摩擦係数を下げる目的で粗粒子のカーボンブラック(100nm以上) を用いる。このようにカーボンブラックの種類と添加量は磁気記録媒体に要求される目的に応じて使い分けられる。
【0083】
また、これらのカーボンブラックを、後述の分散剤などで表面処理したり、樹脂でグラフト化したりして使用してもよい。また、カーボンブラックを製造するときの炉の温度を2000℃以上で処理して表面の一部をグラファイト化したものも使用できる。また、特殊なカーボンブラックとして中空カーボンブラックを使用することもできる。
【0084】
これらのカーボンブラックは磁性層の場合、強磁性粉末100重量部に対して0.1 〜30重量部で用いることが望ましく、また、バック層の場合は、樹脂100重量部に対し20〜400重量部で用いることが望ましい。本発明に使用できるカーボンブラックは、例えば、『カーボンブラック便覧』、カーボンブラック協会編(昭和46年発行) を参考にすることができる。これらカーボンブラックの例示は米国特許4539257号明細書、同4614685号明細書、特開昭61−92424号公報、特開昭61−99927号公報等に記載されている。
【0085】
研磨材は磁気記録媒体の耐久性やVTRのヘッドクリーニング効果を向上させるために用いられ、一般的に研磨作用もしくは琢磨作用をもつ材料で、α−アルミナ、γ−アルミナ、α,γ−アルミナ、熔融アルミナ、炭化珪素、酸化クロム、酸化セリウム、コランダム、人造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ザクロ石、エメリー(主成分:コランダムと磁鉄鉱)、ガーネット、珪石、窒化珪素、窒化硼素、炭化モリブデン、炭化硼素、炭化タングステン、チタンカーバイド、クオーツ、トリポリ、珪藻土、ドロマイト等で、主としてモース硬度6以上、より好ましくはモース硬度8以上の材料が1内至4種迄の組合わせで使用される。これらの研磨材は平均粒子サイズが0.005〜5ミクロンの大きさのものが使用され、特に好ましくは0.01〜2ミクロンである。これらの研磨材は磁性層の場合、強磁性粉末100重量部に対して0.01〜20重量部の範囲で添加される。また、バック層の場合、後述する樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部で用いることが望ましい。これらの具体例としては、住友化学(株)製のAKP1、AKP15、AKP20、AKP30、AKP50、AKP80、Hit50、Hit100等が挙げられる。これらについては特公昭52−28642号公報等に記載されている。
【0086】
粉末状潤滑剤としては、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、弗化黒鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化珪素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、二硫化タングステン等の無機微粉末、アクリルスチレン系樹脂微粉末、ベンゾグアナミン系樹脂微粉末、メラミン系樹脂微粉末、ポリオレフィン系樹脂微粉末、ポリエステル系樹脂微粉末、ポリアミド系樹脂微粉末、ポリイミド系樹脂微粉末、ポリ弗化エチレン系樹脂微粉末等の樹脂微粉末等がある。
【0087】
また有機化合物系潤滑剤としては、シリコンオイル(ジアルキルポリシロキサン、ジアルコキシポリシロキサン、フェニルポリシロキサン、フルオロアルキルポリシロキサン(信越化学製KF96、KF69等)、脂肪酸変性シリコンオイル、フッ素アルコール、ポリオレフィン(ポリエチレンワックス、ポリプロピレン等)、ポリグリコール(エチレングリコール、ポリエチレンオキシドワックス等)、テトラフルオロエチレンオキシドワックス、ポリテトラフルオログリコール、パーフルオロアルキルエーテル、パーフルオロ脂肪酸、パーフルオロ脂肪酸エステル、パーフルオロアルキル硫酸エステル、パーフルオロアルキルスルホン酸エステル、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸エステル、パーフルオロアルキル燐酸エステル等のフッ素や珪素を導入した化合物、アルキル硫酸エステル、アルキルスルホン酸エステル、アルキルホスホン酸トリエステル、アルキルホスホン酸モノエステル、アルキルホスホン酸ジエステル、アルキル燐酸エステル、琥珀酸エステル等の有機酸及び有機酸エステル化合物、トリアザインドリジン、テトラアザインデン、ベンゾトリアゾール、ベンゾジアゾール、EDTA等の窒素、硫黄を含む複素(ヘテロ)環化合物、炭素数10〜40の一塩基性脂肪酸と炭素数2〜40個の一価のアルコールもしくは二価のアルコール、三価のアルコール、四価のアルコール、六価のアルコールのいずれか1つもしくは2つ以上とから成る脂肪酸エステル類、炭素数10個以上の一塩基性脂肪酸と該脂肪酸の炭素数と合計して炭素数が11〜70個と成る一価〜六価のアルコールから成る脂肪酸エステル類、炭素数8〜40の脂肪酸或いは脂肪酸アミド類、脂肪酸アルキルアミド類、脂肪族アルコール類も使用できる。
【0088】
これら化合物の具体的な例としては、カプリル酸ブチル、カプリル酸オクチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸オクチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸オクチル、ミリスチン酸2エチルヘキシル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸イソブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸2エチルヘキシル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソアミル、ステアリン酸2エチルペンチル、ステアリン酸2ヘキシルデシル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸アミド、ステアリン酸アルキルアミド、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレート、アンヒドロソルビタンテトラステアレート、オレイルオレート、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、モンタンワックス、カルナウバワックス等が有り単独若しくは組合わせ使用出来る。
【0089】
また、潤滑剤としては所謂潤滑油添加剤も単独若しくは組合わせで使用出来、防錆剤として知られている酸化防止剤(アルキルフェノール、ベンゾトリアジン、テトラアザインデン、スルファミド、グアニジン、核酸、ピリジン、アミン、ヒドロキノン、EDTA等の金属キレート剤)、錆どめ剤(ナフテン酸、アルケニルコハク酸、燐酸、ジラウリルフォスフェート等)、油性剤(ナタネ油、ラウリルアルコール等)、極圧剤(ジベンジルスルフィド、トリクレジルフォスフェート、トリブチルホスファイト等)、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、泡どめ剤等がある。これらの潤滑剤は結合剤100重量部に対して0.01〜30重量部の範囲で添加される。
【0090】
分散剤、分散助剤としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸、ベヘン酸、マレイン酸、フタル酸等の炭素数2〜40個の脂肪酸(R1 COOH、R1 は炭素数1〜39個のアルキル基、フェニル基、アラルキル基)、前記の脂肪酸のアルカリ金属(Li、Na、K等)又はアルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba等)、NH4+ 、Cu、Pb等から成る金属石鹸(オレイン酸銅)、脂肪酸アミド;レシチン(大豆油レシチン)等が使用される。この他に炭素数4〜40の高級アルコール(ブタノール、オクチルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール)及びこれらの硫酸エステル、スルホン酸、フェニルスルホン酸、アルキルスルホン酸、スルホン酸エステル、燐酸モノエステル、燐酸ジエステル、燐酸トリエステル、アルキルホスホン酸、フェニルホスホン酸、アミン化合物等も使用可能である。また、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、スルホ琥珀酸、スルホ琥珀酸金属塩、スルホ琥珀酸エステル等も使用可能である。これらの分散剤は通常一種類以上で用いられ、一種類の分散剤は結合剤100重量部に対して0.005〜20重量部の範囲で添加される。これら分散剤の使用方法は、強磁性粉末や非磁性粉末の表面に予め被着させても良く、また分散途中で添加してもよい。
【0091】
防黴剤としては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−フタルイミド、10,10′−オキシビスフェノキシサルシン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、P−トリルジョードメチルスルホン、トリヨードアリルアルコール、ジヒドロアセト酸、フェニルオレイン酸水銀、酸化ビス(トリブチル錫)、サリチルアニライド等がある。
【0092】
このようなものは、例えば「微生物災害と防止技術」1972年工学図書、「化学と工業」32,904(1979)等に於いて示されている。カーボンブラック以外の帯電防止剤としてはグラファイト、変性グラファイト、カーボンブラックグラフトポリマー、酸化錫−酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン−酸化錫−酸化アンチモン、等の導電性粉末;サポニン等の天然界面活性剤;アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシドール系、多価アルコール、多価アルコールエステル、アルキルフェノールEO付加体等のノニオン界面活性剤;高級アルキルアミン類、環状アミン、ヒダントイン誘導体、アミドアミン、エステルアミド、第四級アンモニウム塩類、ピリジンそのほかの複素環類、ホスホニウム又はスルホニウム類、等のカチオン界面活性剤;カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、燐酸、硫酸エステル基、ホスホン酸エステル、燐酸エステル基などの酸性基を含むアニオン界面活性剤;アミノ酸類;アミノスルホン酸類、アミノアルコールの硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベタイン型等の両性界面活性剤等が使用される。これらの界面活性剤は単独又は混合して添加しても良い。また、磁気記録媒体におけるこれらの界面活性剤の使用量は、強磁性粉末100重量部当たり0.01〜10重量部である。また、バック層での使用量は結合剤100重量部当たり0.01〜30重量部である。これらは帯電防止剤として用いられるものであるが、時としてそのほかの目的、例えば分散、磁気特性の改良、潤滑性の改良、塗布助剤、湿潤剤、硬化促進剤、分散促進剤として適用される場合もある。
【0093】
磁性層の形成は、通常の方法に従って行うことができる。例えば、上記強磁性粉末及び樹脂成分ならびに必要に応じて配合される研磨剤及び硬化剤などの磁性層形成成分を溶剤とともに混練分散して磁性塗料を調製し、この磁性塗料を非磁性支持体上に塗布する方法を利用できる。
【0094】
分散、混練、塗布の際に使用する有機溶媒としては、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン等のケトン系;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコールモノエチルエーテル等のエステル系;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル系;ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼン、スチレンなどのタール系(芳香族炭化水素);メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素、N,N−ジメチルホルムアルデヒド、ヘキサン等のものが使用できる。これらの溶媒は通常任意の比率で2種以上で用いる。また1重量%以下の量で微量の不純物(その溶媒自身の重合物、水分、原料成分等)を含んでもよい。これらの溶剤は磁性層形成塗料もしくはバック層形成塗料、下塗液の合計固形分100重量部に対して100〜20000重量部で用いられる。好ましい磁性層形成塗料の固形分率は10〜40重量%である。また、バック層形成塗料の好ましい固形分率は5〜20重量%である。有機溶媒の代わりに水系溶媒(水、アルコール、アセトン等)を使用することもできる。
【0095】
分散、混練の方法には特に制限はなく、また各成分の添加順序(樹脂、粉体、潤滑剤、溶媒等)、分散・混練中の添加位置、分散温度(0〜80℃)などは適宜設定することができる。磁性層形成塗料及びバック層形成塗料の調製には、通常の混練機、例えば、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、ゼグバリ(Szegvari)、アトライター、高速インペラー、分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速ミキサー、リボンブレンダー、コニーダー、インテンシブミキサー、タンブラー、ブレンダー、ディスパーザー、ホモジナイザー、単軸スクリュー押し出し機、二軸スクリュー押し出し機、及び超音波分散機などを用いることができる。通常分散・混練にはこれらの分散・混練機を複数備え、連続的に処理を行う。混練分散に関する技術の詳細は、T.C.PATTON著(テー.シー.パットン)“ Paint Flow and Pigment Dispersion" (ペイント フロー アンド ピグメント ディスパージョン)1964年John Wiley & Sons社発行(ジョン ウイリー アンド サンズ)や田中信一著「工業材料」25巻37(1977)などや当該書籍の引用文献に記載されている。これら分散、混練の補助材料として分散・混練を効率よく進めるため、球相当径で10cmφ〜0.05mmφの径のスチールボール、スチールビーズ、セラミックビーズ、ガラスビーズ、有機ポリマービーズを用いることができる。またこれら材料は球形に限らない。また、米国特許第2581414号及び同第2855156号などの明細書にも記載がある。本発明においても上記の書籍や当該書籍の引用文献などに記載された方法に準じて混練分散を行い磁性塗料及びバック層塗料を調製することができる。
【0096】
支持体上へ前記の磁性塗料ならびにバック層塗料を塗布する方法としては、塗布液の粘度を1〜20000センチストークス(25℃)に調製し、エアードクターコート、ブレードコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビアコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、ロッドコート、正回転ロールコート、カーテンコート、バーコート、押出しコート、スピンコート等が利用出来、その他の方法も可能であり、これらの具体的説明は浅倉書店発行の「コーテイング工業」253頁〜277頁(昭和46.3.20.発行)に詳細に記載されている。
【0097】
これら塗布液の塗布の順番は任意に選択でき、また所望の液の塗布の前に下塗り層あるいは支持体との密着力向上のためにコロナ放電処理等を行っても良い。また磁性層もしくはバック層を多層で構成したいときは、同時多層塗布、逐次多層塗布等を行ってもよい。
【0098】
このような方法により、支持体上に約1〜200μmほどで塗布された磁性塗料は必要により層中の強磁性粉末を直ちに20℃〜130℃で多段階で乾燥しながら500〜5000G程で所望の方向(垂直、長手、幅、ランダム、斜め等)へ配向させる処理、即ち磁場配向処理を施した後、形成した磁性層を0.1〜30μm厚みに乾燥する。このときの支持体の搬送速度は、通常10m/分〜900m/分で行われ、複数の乾燥ゾーンで乾燥温度を20℃〜130℃で制御し塗布膜の残留溶剤量を0.1〜40mg/(1/2吋)/mとする。
【0099】
また、このようにして乾燥された後、塗布層に必要によりカレンダー処理を行う。カレンダー処理には、例えばスーパーカレンダーロールなどが利用される。カレンダー処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が減少し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上するので、電磁変換特性の高い磁気記録媒体を得ることができる。
【0100】
カレンダー処理された段階では、結合剤の形成成分として硬化剤を使用した場合、磁性層に含まれる硬化剤のうち、通常90重量%以上が未反応の状態で磁性層に含有されているので、硬化処理を行って、少なくとも硬化剤の50重量%(特に好ましくは80重量%以上)を反応させた後に、その次の処理を行うことが望ましい。硬化処理には、加熱硬化処理と電子線硬化処理とがあり、本発明においては、いずれの方法であっても利用することができる。この硬化処理によりカレンダー処理された磁性層に含有される未反応の硬化剤が、例えば塩化ビニル系共重合体及びポリウレタン系樹脂のような樹脂成分と三次元網状の架橋構造を形成するように反応する。加熱処理の工程自体は既に公知であり、本発明においてもこれらの方法に準じて加熱処理を行うことができる。例えば、加熱処理は、加熱時間を通常40℃以上(好ましくは50〜80℃の範囲内)、加熱時間を通常20時間以上(好ましくは24時間〜7日間)に設定して行われる。また、電子線照射による硬化処理の工程自体も既に公知であり、これらの方法に準じて硬化処理を行うことができる。
【0101】
このように作成した磁気記録媒体をスリッター等の通常の裁断機等を使用して通常の条件で所望の形状に裁断した後、プラスチックや金属のリールに巻き取る。こうして作成した磁性層の表面、又は磁性層の表面及びバック層の表面を、巻き取る直前ないしそれ以前の工程において磁気記録媒体(磁性層、バック層、エッジ端面、ベース面)を研磨テープによりバーニッシュ処理を行ってもよい。これらは、例えば、特開昭63−259830号公報等に開示されている。
【0102】
また、磁気記録媒体の拭き取り処理は、磁気記録媒体表面の汚れや余分な潤滑剤を除去する目的で磁気記録媒体表層を不織布などで磁性層面、バック層面、エッジ端面、バック側のベース面をワイピングすることにより行う。このようなワイピングの材料としては、例えば日本バイリーン製の各種バイリーンや東レ製のトレシー、エクセーヌやクラレ製のクラレWRPシリーズ、また不織布としてナイロン製不織布、ポリエステル製不織布、レーヨン製不織布、アクリロニトリル製不織布、混紡不織布等も使用できる。その他、ティッシュペーパー、キムワイプ等も使用できる。これらは、特開平1−201824号公報等に記載されている。この拭き取り処理によって、磁性層及び/又はバック層の付着物及び有機物質の除去が完全に行われることになり、ドロップアウトあるいは目詰まり発生頻度が低下する。
【0103】
これらの製造方法は粉体の予備処理・表面処理、混練・分散、塗布・配向・乾燥、カレンダー処理、硬化処理(熱処理、放射線照射(EB)処理)、裁断、バーニッシュ処理、拭き取り処理及び巻き取りの工程を連続して行う事が望ましい。また特公昭41−13181号公報にしめされる方法はこの分野における基本的、かつ重要な技術と考えられている。但し、処理を行う順序は、上記順序に限定するものではない。
【0104】
本実施形態に使用される強磁性粉末又は非磁性粉末、結合剤、添加剤(潤滑剤、分散剤、帯電防止剤、表面処理剤、カーボンブラック、研磨材、遮光剤、酸化防止剤、防黴剤等)、溶剤及び支持体(下塗層、バック層、バック下塗を有してもよい)或いは磁気記録媒体の製法等は特公昭56−26890号公報等に記載されているものも参考にできる。
【実施例】
【0105】
次に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0106】
実施例では、圧接力及び交差角θを、表1の如く設定することにより、磁気テープ原反14の裁断長(m)と回転刃の磨耗量(回転上刃と回転下刃との合計磨耗量)との関係がどのように異なるかを試験した。合わせて、交差角が有る無しによる外乱に対する脆弱性の抑制力を調べた。
【0107】
【表1】


【0108】
試験結果を図12に示す。
【0109】
図12より分かるように、圧接力1kgfとすると共に交差角θを0.02°とした試験1は、裁断が開始されて間もなく刃の磨耗量が2.0μm程度まで上昇し、その後も緩やかに上昇し、裁断長65万mでは磨耗量が2.5μmになった。
【0110】
これに対して、圧接力0.4kgfとした試験2(交差角なし)及び試験3(交差角θ:0.02°)は、裁断が開始されて間もなく刃の磨耗量が0.7〜0.8μm程度まで上昇したが、試験1に比べて上昇が小さかった。また、交差角有る無しによる磨耗量の違いはなかった。試験2及び3も、その後も緩やかに上昇したが、裁断長65万mでは磨耗量が1.5μm程度で納まった。このように、圧接力を小さくすることで、回転刃の磨耗量を確実に抑制することができ、上記試験では、圧接力を1kgfから0.4kgfに小さくすることで、同じ裁断長における回転刃の磨耗量を半分程度まで軽減することができる。
【0111】
一方、交差角が有る無しによる外乱に対する脆弱性の抑制力についての試験は、次のように行った。即ち、回転上刃26、ホルダ44、及び皿ばね46で上刃ユニット50を組み立てる際に、ねじ48により回転上刃26の3箇所を固定し、そのうち1箇所だけにワッシャを組み込み、回転上刃26とホルダ44との間に段差を形成するようにした。このように、上刃ユニット50の1箇所だけに段差を形成することにより、他の箇所よりも回転上刃26の寄せ量を大きくし、これにより意図的に外乱(回転上刃面の振れ)を形成した。
【0112】
そして、表2及び表3に示すように、段差を大きくしていったときに、交差角の有る無しにより外乱に対する脆弱性をどのように抑制できるかを試験した。交差角有りの場合の交差角θは0.02°とした。表2及び表3において、○は裁断が合格の場合であり、×は裁断が不合格の場合である。合格、不合格の判断は、磁気テープ原反14を裁断した磁気テープの裁断面を顕微鏡で観察し、裁断面にクラックの有る無しで、判断した。
【0113】
表2は、交差角が無い場合であり、表3は交差角が有る場合である。
【0114】
【表2】


【0115】
【表3】



【0116】
表2及び表3の結果から分かるように、圧接力0.4kgfで交差角無しの場合、段差30μmまで裁断が合格であるのに対し、圧接力0.4kgfで交差角有りの場合には、段差50μmまで裁断が合格であった。同様に、圧接力1.0kgfで交差角無しの場合、段差50μmまで裁断が合格であるのに対し、圧接力1.0kgfで交差角有りの場合には、段差86μmまで裁断が合格であった。尚、段差86μm以上は試験をしておらず、段差86μm以上でも合格の可能性がある。
【0117】
このように、交差角を付与することにより、外乱に対する脆弱性を著しく抑制することができ、特に、圧接力を0.4kgfと小さくした場合であっても、交差角(試験での交差角は0.02°)を付与することにより、外乱に対して対応することができる。
【0118】
従って、圧接させる圧接力を1kgf以下、好ましくは0.4kgf以下に設定すると共に、交差角θ(°)を、0<θ≦0.05の範囲、好ましくは0.01≦θ≦0.03の範囲に調整することを特徴とする本発明の裁断方法によれば、長期間切れ味を良好に維持しながら、しかも回転刃(上刃及び下刃)の研磨までの期間を長くすることができる。これにより、裁断コストにおける研磨費用の負担を軽減できるだけでなく、研磨のための回転刃の交換頻度も少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明に係る裁断装置を磁気テープの製造装置に組み込んだ一実施形態を示す全体構成図
【図2】本発明の裁断装置の一実施形態を示す斜視図
【図3】上刃回転軸に装着された回転上刃と下刃回転軸に装着された回転下刃を説明する断面図
【図4】上刃ユニットを分解した状態を示す分解斜視図
【図5】上刃ユニットの構成部材であるホルダを説明する説明図
【図6】上刃ユニットの構成部材である皿ばねと上刃について説明する説明図
【図7】皿ばねにおける寄せ量と圧接力との関係を示すグラフ
【図8】図3のA部の拡大図で、寄せ量を説明する図
【図9】裁断装置における交差角調整装置の構造を説明する正面図
【図10】図9の側面図
【図11】交差角を説明する説明図
【図12】本発明の実施例を説明するグラフ
【符号の説明】
【0120】
10…製造装置、12…磁気テープ、14…磁気テープ原反、16…裁断装置、26…回転上刃、28…回転下刃、41…ホルダの嵌合孔、43…ホルダの凸部、43a…上刃取り付け面、44…ホルダ、46…皿ばね(圧接手段)、47…(皿ばねの)嵌合孔、48…皿ねじ、50…上刃ユニット、54…上刃押さえ、34、40…シャフト、52…凹部、55…(回転上刃の)嵌合孔、56…切欠き、57…切欠き、58…切欠き、59…交差角調整装置、60…上側軸受ブロック、62…下側軸受ブロック、64…板部材、66…固定ボルト、68…調整ねじ、70…固定用ボルト、72…ボルト孔
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三


【公開番号】 特開2008−839(P2008−839A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171494(P2006−171494)