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鋏型手動利器及びそのグリップアタッチメント - 特開2008−43578 | j-tokkyo
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【発明の名称】 鋏型手動利器及びそのグリップアタッチメント
【発明者】 【氏名】横山 詔常

【氏名】岡野 仁

【氏名】中村 幸司

【氏名】橋本 晃司

【氏名】古川 昇

【氏名】越智 資泰

【氏名】今井 俊治

【氏名】宇土 博

【氏名】宇土 明子

【氏名】宇土 昌宏

【氏名】ベン ケイ ブランランド

【要約】 【課題】比較的硬いもの(難切断材料)を切断する鋏型手動利器にあって、把持圧力の分散を増補するとともに、切断操作時の手指への衝撃を極度に緩和する。

【構成】鋏型手動利器X5が、把握体のそれぞれに単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる被覆体2を覆装するとともに、鋏半体要素の交差部軸支点14からの遠位端部又は把握体の自由端部の各内面に、単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる緩衝部材3をそれぞれ設け、かつ、切断操作時に弾性的に衝合可能に対向形成してなるものである。ここで、好適な軟質弾性材料はシリコン樹脂である。また、この特徴構成2;3を被覆体構成部(20)及び緩衝部材構成部(30)からなるグリップアタッチメント(Y)として鋏型手動利器X5に対して装着可能に別体形成してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
刃体(作用部)と把握体(操作部)を有した鋏半体要素からなる対部材を交差させ、交差部を軸支して回動可能又は開閉可能に結合するとともに、前記鋏半体要素の一部にそれぞれ衝突部又はストッパを対向形成してなる鋏型手動利器において、
前記把握体のそれぞれに単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる被覆体を覆装してなり、該軟質弾性材料がショアA硬さ15〜50範囲の表面硬さを有するものであり、
把持圧力の分散を増補するとともに、切断操作時に衝突部又はストッパ同士の撃力の発生に起因する手指への衝撃を緩和するようにしたことを特徴とする鋏型手動利器。
【請求項2】
軟質弾性材料がゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂であって、2mm以上の断面肉厚を有するものである請求項1記載の鋏型手動利器。
【請求項3】
被覆体が中指近傍の把握領域でその断面肉厚が漸増するように肥厚形成したものである請求項1又は2記載の鋏型手動利器。
【請求項4】
被覆体が把握領域の中間部に指止め手段を設けたものである請求項1乃至3のいずれか1項記載の鋏型手動利器。
【請求項5】
刃体(作用部)と把握体(操作部)を有した鋏半体要素からなる対部材を交差させ、交差部を軸支して回動可能又は開閉可能に結合するとともに、前記鋏半体要素の一部にそれぞれ衝突部又はストッパを対向形成してなる鋏型手動利器において、
前記鋏半体要素の交差部軸支点からの遠位端部又は前記把握体の自由端部の各内面に、単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる緩衝部材をそれぞれ設け、かつ、切断操作時に弾性的に衝合可能に対向形成してなり、
切断操作時に衝突部又はストッパ同士の撃力の発生を無化又は減弱して手指への衝撃を緩和するようにしたことを特徴とする鋏型手動利器。
【請求項6】
緩衝部材の軟質弾性材料がゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂であって、衝合面の硬さをショアA硬さ70以下とするものである請求項5記載の鋏型手動利器。
【請求項7】
刃体(作用部)と把握体(操作部)を有した鋏半体要素からなる対部材を交差させ、交差部を軸支して回動可能又は開閉可能に結合するとともに、前記鋏半体要素の一部にそれぞれ衝突部又はストッパを対向形成してなる鋏型手動利器において、
請求項1乃至4のいずれか1項記載の被覆体と、請求項5又は6記載の緩衝部材の双方を具備してなり、
把握体上で把持圧力の分散を増補するとともに、切断操作時に衝突部又はストッパ同士の撃力の発生を無化又は減弱して手指への衝撃を相乗的に緩和するようにしたことを特徴とする鋏型手動利器。
【請求項8】
刃体(作用部)と把握体(操作部)を有した鋏半体要素からなる対部材を交差させ、交差部を軸支して回動可能又は開閉可能に結合するとともに、前記鋏半体要素の一部にそれぞれ衝突部又はストッパを対向形成してなる鋏型手動利器において、
把握体上で把持圧力の分散を増補するとともに、切断操作時に衝突部又はストッパ同士の撃力の発生を無化又は減弱して手指への衝撃を相乗的に緩和するために付加装着する鋏型手動利器のグリップアタッチメントであって、
前記把握体のそれぞれに覆装可能に形成した単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる被覆体構成部と、前記鋏半体要素の交差部軸支点からの遠位端部又は前記把握体の自由端部の各内面に対設され、切断操作時に弾性的に衝合可能に形成した単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる緩衝部材構成部からなり、
前記被覆体構成部と緩衝部材構成部とを、それぞれ別体形成し組み合わせて付加装着するか、又は複合的に一体成形して付加装着するようにしたことを特徴とする鋏型手動利器のグリップアタッチメント。
【請求項9】
被覆体構成部の軟質弾性材料がショアA硬さ15〜50範囲のゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂であって、2mm以上の断面肉厚を有するものであり、
緩衝部材構成部の軟質弾性材料がゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂であって、衝合面の硬さをショアA硬さ70以下とするものである請求項8記載の鋏型手動利器のグリップアタッチメント。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、刃体(作用部)と把握体(操作部)を有した鋏半体要素からなる対部材を交差させ、交差部を軸支して回動可能又は開閉可能に結合するとともに、前記把握体に衝突部又はストッパを手段構成してなる鋏型手動利器に係り、詳しくは、把持圧力の分散を増補するとともに、切断操作時に衝突部又はストッパ同士の撃力の発生を無化ないしは減弱するか、又は発生した撃力に起因する手指への衝撃を極度に緩和するようにした鋏型手動利器及びそのグリップアタッチメントに関する。
【0002】
ここで、本発明に関する鋏型手動利器の適用範囲(用途)は、比較的硬いもの(難切断材料)を剪断(切断)する鋏類であって、例えば採果鋏、摘果鋏、摘花鋏、芽切り鋏、生花鋏、園芸鋏、剪定・枝切り鋏、電気工事鋏、大工用鋏、難切断繊維用裁断鋏等として指称されるものである。なお、本発明に関し「切断」と「剪断」は互換的に使用する。また、「柄」及び「グリップ」は「把握体(操作部)」と同義である。
【背景技術】
【0003】
従来より、一般的な鋏は、2枚の刃体に設けられる柄(把握体に同じ)の開閉動作によって被切断物を切り離すための手動利器として周知である。そのなかには、園芸用や農業用として提供されている鋏類には、柄の内側にそれぞれ松葉バネやコイルバネを介設して、両刃体が自動的に開くように付勢したものがある。なおかつ、2本の柄を取り付ける根脚体に対向形成された衝突部にそれぞれ緩衝体を設けて、剪断時の衝撃や衝突音の発生を減弱しようとするものがみられる(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3121120号公報
【0004】
しかしながら、衝突音に関しては、減弱化とは逆に切断作業の調子をとるために快音を発する点に技術的意義を認めたものがある(例えば、特許文献2を参照)。ここでは、輪状形成した操作部(把握体に同じ)の内側の衝突部に金属等の硬質物を出し入れ自在(当たり具合を調整可能)に対向設置して快音の発生を保障し、かつ、弾性樹脂製のグリップを用いて衝突の勢い(撃力)を吸収するようにしている。
【特許文献2】実公平7−45166号公報
【0005】
近年、多くの鋏類のグリップに、合成ゴムなどの樹脂素材を被覆したものがみられるが、この施装目的は主に滑り防止と柔軟な触感の付与であって、切断操作時の手指への衝撃の緩和を目的効果とするものはみられない(例えば、特許文献3を参照)。
【特許文献3】特開平7−285084号公報
【0006】
しかしながら、この種の棒状のグリップに樹脂被覆を施しただけでは、鋏操作を反復しているうちに指が刃先方向へ前進していくことを阻止しづらいという問題がある。このため、グリップに指止め体を設けたり(例えば、特許文献4を参照)、突起部や大きな湾曲部を有したグリップ形状としているものも多い。
【特許文献4】実公昭34−11648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明が解決しようとする課題は、少なくとも園芸用や農業用として提供されている鋏類(前掲の採果鋏、摘果鋏、摘花鋏、芽切り鋏、生花鋏、園芸鋏、剪定・枝切り鋏等)について、作業性に関する人間工学的な改善を施すことにある。具体的な問題は以下の点に求められる。
【0008】
(1)把握体が素材剥き出しであったり、樹脂被覆していても硬かったり、柔らかくても厚さ1mm程度の薄いものであったりするので、接触する手指に大きな衝撃と把持圧力の増大や偏重によって痛みが発生するという問題がある。
【0009】
(2)グリップの刃先側端部を湾曲形成したものでは、グリップの直線部分が短くなるので、示指、中指、薬指、小指の4本の指でしっかりとした把握がしづらく、人差指が湾曲部の上に配置されたり、小指がグリップエンドの外側に配置されたりというようになり、4本の指で均等的に力を発揮することが困難となるため、中指や薬指に大きな筋負担と衝撃圧が掛かるという問題が生じる。
【0010】
(3)鋏を用いた長時間反復作業における衝撃の繰り返しは、手の正中神経を圧迫し慢性的に手がしびれるといったような症状が現われる手根管症候群などの頸肩腕障害を発生させ、健康を阻害する要因となることが知られており、これらの上肢負担を軽減するためには、グリップの効果的な位置に衝撃緩衝材を配置したり、グリップに被覆する樹脂の硬度や形状を適切にしたりすることが重要である。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、上記課題を解消し、切断操作時の部材衝突による手指への衝撃を緩和できるとともに、刃先への指の前進を防止し、それぞれの指が均等的に力を発揮することにより、長時間の鋏を用いた反復作業が可能な鋏型手動利器及びそのグリップアタッチメントを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
課題を解決するために、第1の発明は、刃体(作用部)と把握体(操作部)を有した鋏半体要素からなる対部材を交差させ、交差部を軸支して回動可能又は開閉可能に結合するとともに、前記鋏半体要素の一部にそれぞれ衝突部又はストッパを対向形成してなる鋏型手動利器において、把持圧力の分散を増補するとともに、切断操作時に衝突部又はストッパ同士の撃力の発生に起因する手指への衝撃を緩和するように改善した鋏型手動利器である。その特徴構成は、前記把握体のそれぞれに単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる被覆体を覆装してなり、該軟質弾性材料はショアA硬さ15〜50範囲の表面硬さを有するものである。
【0013】
また、第2の発明は、切断操作時に衝突部又はストッパ同士の撃力の発生を無化又は減弱して手指への衝撃を緩和するように改善した鋏型手動利器である。その特徴構成は、前記鋏半体要素の交差部軸支点からの遠位端部又は前記把握体の自由端部の各内面に、単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる緩衝部材をそれぞれ設け、かつ、切断操作時に弾性的に衝合可能に対向形成してなるものである。
【0014】
また、第3の発明は、把握体上で把持圧力の分散を増補するとともに、切断操作時に衝突部又はストッパ同士の撃力の発生を無化又は減弱して手指への衝撃を相乗的に緩和するように改善した鋏型手動利器である。その特徴構成は、上記被覆体と上記緩衝部材の双方を具備してなるものである。
【0015】
さらに、第4の発明は、上記被覆体と上記緩衝部材とを既存の鋏型手動利器に対して付加装着可能なアタッチメントとして構成した鋏型手動利器のグリップアタッチメントであって、
把握体のそれぞれに覆装可能に形成した単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる被覆体構成部と、鋏半体要素の交差部軸支点からの遠位端部又は前記把握体の自由端部の各内面に対設され、切断操作時に弾性的に衝合可能に形成した単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる緩衝部材構成部からなり、
前記被覆体構成部と緩衝部材構成部とを、それぞれ別体形成し組み合わせて付加装着するか、又は複合的に一体成形して付加装着するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、少なくとも以下の効果を奏する。
(1)少なくとも一方の柄のグリップエンド付近に円柱形状で十分な当て面積を有する弾性体の緩衝材を設けるか、上記緩衝材がグリップ樹脂と一体成型することにより、鋏半体(の衝突部又はストッパ)同士のぶつかり衝撃を緩和することができる。
【0017】
(2)柄把持部全体もしくは部分的にシリコン樹脂の弾性体で被覆し、衝撃緩和や把持圧力の分散を得ることができる。
【0018】
(3)ほぼ直角になる刃先から柄に移る部分を有し、柄の直線部分を長くすることにより、可能な限り自由な位置にて把持できる。
【0019】
(4)弾性体の止め具を柄把持部の中間位置に設けることにより、手を刃先方向に前進させないことを可能とする。
【0020】
(5)把持部に被覆する弾性体は、中指部付近の厚みを増大させ被覆することにより、衝撃緩和効果を増大することを可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の実施の最良形態は、上記構成の鋏型手動利器において、軟質弾性材料はゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂であって、2mm以上の断面肉厚を有するものである。
【0022】
また、被覆体は、中指近傍の把握領域でその断面肉厚が漸増するように肥厚形成したものである。
【0023】
また、被覆体は、把握領域の中間部に指止め手段を設けたものである。
【0024】
また、緩衝部材の軟質弾性材料は、ゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂であって、衝合面の硬さをショアA硬さ70以下とするものである。
【0025】
さらに、上記構成のグリップアタッチメントにおいて、被覆体構成部の軟質弾性材料は、ショアA硬さ15〜50範囲のゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂であって、2mm以上の断面肉厚を有するものであり、緩衝部材構成部の軟質弾性材料は、ゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂であって、衝合面の硬さをショアA硬さ70以下とするものである。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例である鋏型手動利器(以下、第1、第2、第3、第4、及び第5実施例鋏体。)及びグリップアタッチメント(以下、実施例アタッチメント。)についてそれぞれ添付図面を参照して以下詳細説明する。
【0027】
(実施例1)
第1実施例鋏体X1は、把握体12(1)のそれぞれに単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる被覆体2を覆装している。ここで、軟質弾性材料は、後述する適宜硬さのゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂である〔請求項1〕。この構成により、把持圧力の分散を増補するとともに、切断操作時に衝突部13(1)又はストッパ同士の撃力の発生に起因する手指への衝撃を緩和する。なお、被覆体2を組成する軟質弾性材料に関しては、単一材料であるか複合材料であるかは問わない。
【0028】
図1は、第1実施例鋏体X1の正面視説明図であって、湾曲部を有する把握体12に被覆体2を設けた構成例を示すものである。図示のバネ5は公知の付勢手段であって、把握体12を開方向に常時付勢するものである。
【0029】
図1に示すように、第1実施例鋏体X1は把握体12(柄)にシリコン樹脂製の被覆体2を覆装している。シリコン樹脂は、撥水性、耐熱性、耐寒性、耐候性に優れるため、農作業や園芸作業など屋外での作業に適する。また、シリコン樹脂のショアA硬さを15〜50(好適には30〜41)の範囲とすると、弾性効果により手指への圧迫を緩和し、手指筋の筋肉ポンプ作用(筋収縮弛緩による血流改善作用)を促進して筋血流を改善するので長時間の作業に適する。なお、被覆体2の断面肉厚は2mm以上であるのが好ましい。
【0030】
第1実施例鋏体X1について、平均年齢44.0±13.6歳 [28〜61歳] の健康な男性被検者12名を対象にショアA硬さによる切断操作時の衝撃について比較実験を行った。対象者の属性は、利き手は全て右手であり、手指長縦18.1±0.7cm[16.4〜19cm] 、第1指〜第5指幅 8.6±0.3cm[7.9 〜9.2cm]、第1指〜第5指幅11.2±0.6cm[10.3〜11.8cm] 、右握力50.2±6.5kg[40〜62kg] 、左握力47.5±5.6kg[37〜57kg] であった。年齢は、壮年から高年齢者まで幅広く含んでいた。手の長さ、および握力では極端に偏った被検者はいなかった。標準的な被検者の集団と考えられる。
【0031】
従来品と新しく製作したシリコン樹脂製のショアA硬さ15、30、41および50の握りの鋏を使用し、2分間のヒゴのカット作業を行わせ、衝撃による上肢の自覚症状および手指負担に関する評価を比較した。表1に拇指と2−5指(示指、中指、薬指及び小指)のショアA硬さによる痛みの自覚症状結果を示す。痛み自覚症状検査には「Borgスケールの10点法」を採用している。得点が高いほど、痛みを発症していることとなる。なお、数値データは平均値である。表2は、被検者に握りの硬さについて手指負担の少ない順にランク(1−5)を付けさせたものである。なお、数値データは平均ランクを示す。
【0032】
【表1】


【0033】
表1の結果、好適にはショアA硬さ30〜41の範囲のシリコンの被覆体2を覆装したものが痛みを発症しにくく、衝撃緩和効果が顕著であることが確認された。
【0034】
【表2】


【0035】
表2の結果、自覚症状と同様に、好適にはショアA硬さ30〜41の範囲のシリコンの被覆体2を覆装したものが、手指負担が少ないと評価された。
【0036】
また、第1実施例鋏体X1について、その保護範囲を逸脱しない限り、作業性の改善と被覆体の効果を増補するために把握体12の形状を直線的でやや長めに改変することが考慮される。図2は、その正面視説明図であって、直線的でやや長めに形成した把握体12に被覆体2を設けた構成例を示すものである。
【0037】
図2に示すように、具体的な構成は、把握体12の肩部121 を直角に近い角度とし、把握体12の突起部や湾曲部をなくしている〔ストレート&ロングカバーグリップ〕。この形状により、把握体12の肩部121 まで被覆体2を覆装して握る箇所(把握領域)を広くすることができる。
【0038】
(実施例2)
第2実施例鋏体X2は、第1実施例鋏体X1における被覆体2について、中指近傍の把握領域でその断面肉厚が漸増するように肥厚形成部21を設けたものである〔請求項2〕。
【0039】
図3は、第2実施例鋏体X2の正面視説明図であって、湾曲部を有する把握体12に部分的に肥厚形成した被覆体2を設けた構成例を示すものである。
【0040】
図3に具体的な構成を示すように、把握体12を内側に湾曲させ、切断操作時の衝撃が一番かかる中指付近の被覆体2の断面肉厚を大きくしている(肥厚形成部21)。
【0041】
(実施例3)
第3実施例鋏体X3は、第1実施例鋏体X1における被覆体2について、把握領域の中間部に指止め手段4を設けたものである〔請求項3〕。この構成は、鋏作業の反復操作により、手が刃先(11)へ移動することを防止することを目的としている。
【0042】
図4は、第3実施例鋏体の正面視説明図であって、中指と薬指の間に指止め手段4を設けた構成例を示すものである。
【0043】
図示の構成は、細かく早い作業などで刃先に近い位置で短く握りたい場合〔ショートストローク・グリッピング〕に採用される。
【0044】
また、第3実施例鋏体X3について、その保護範囲を逸脱しない限り、作業性の改善と被覆体2の効果を増補するために把握体12の形状を直線的でやや長めに改変することが考慮される。
【0045】
図5は、その正面視説明図であって、直線的でやや長めに形成した把握体12に被覆体2を設け、把握領域の示指と中指の間に指止め手段4を設けた構成例を示すものである。
【0046】
図示の構成は、比較的大きな力を発揮するために、刃先から離れた位置で長く握りたい場合〔ロングストローク・グリッピング〕に採用される。
【0047】
(実施例4)
第4実施例鋏体X4は、鋏半体要素1の交差部軸支点14からの遠位端部又は把握体の自由端部の各内面に、単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる緩衝部材3をそれぞれ設け、かつ、切断操作時に弾性的に衝合可能に対向形成している〔請求項4、5〕。この構成により、切断操作時に衝突部13又はストッパ同士の撃力の発生を無化又は減弱して手指への衝撃を緩和する。なお、緩衝部材3を組成する軟質弾性材料に関しては、単一材料であるか複合材料であるかは問わない。
【0048】
図6は、第4実施例鋏体X4の正面視説明図である。図示の固定具6は公知の拘束手段であって、不使用時(又は収納時)に刃体11を閉鎖しておくものであり、その固定端を緩衝部材3の固設手段の1つとして利用している。
【0049】
図7は、同じく開状態の外観視説明図である。
【0050】
図6、7にそれぞれ示すように、把握体12(柄)の自由端に弾性体の緩衝材3を設け、固定具6と一緒に把握体1及び被覆体2に係合する。鋏を閉じる時、つまり切断する時に、衝突部13より先に、緩衝部材3同士が当たり、緩衝部材3は樹脂等の弾性体でできているため、手にかかる衝撃が著しく少ない。また、ネジで係合する場合(図示省略)、緩衝部材3は取替えが可能となる。
【0051】
ここで、緩衝部材3の軟質弾性材料は、ゴム、シリコン樹脂その他の弾性樹脂であって、衝合面31の硬さをショアA硬さ70以下(好適には15〜55)とするものである。
【0052】
第4実施例鋏体X4について、健康な男性被検者1名(30歳)を対象に1時間の鋏作業による痛み自覚症状検査(比較実験)を行った。
【0053】
比較実験に用いた第4実施例鋏体X4の具体的構成は、被覆体2がショアA硬さ30のシリコン樹脂で断面肉厚3mm、緩衝部材3がショアA硬さ15〜70のシリコン樹脂で直径20mm、高さ20±1mmの円柱形状とした。また、比較実験に使用した他の鋏体の構成条件は、被覆体及び緩衝部材ともになし(条件1)、被覆体のみ(条件2;第2実施例鋏体)である。
【0054】
痛み自覚症状検査には「Borgスケールの10点法」を採用した。表3に鋏使用側の拇指と2−5指(示指、中指、薬指及び小指)の痛みの程度について、カット作業5分毎に聴取した結果をそれぞれ示す。得点が高いほど、痛みを発症していることとなる。なお、表欄では2−5指(示指、中指、薬指及び小指)を4指と表示している。
【0055】
【表3】


【0056】
表3の結果より、第4実施例鋏体X4の痛みの自覚は作業時間と痛みの程度において有意(顕著)に低減(抑制)されており、被覆体2と緩衝部材3の組み合わせにより相乗的な衝撃緩和効果を奏することが認められた。
【0057】
(実施例5)
第5実施例鋏体X5は、第1、第2、第3実施例鋏体(X1,X2,X3)のいずれかに用いた被覆体2(図示の被覆体は、第1、第2、第3実施例鋏体の特徴構成の全てを満たす)と、第4実施例鋏体X4に用いた緩衝部材3の双方を具備している〔請求項6〕。この構成により、把握体12上で把持圧力の分散を増補するとともに、切断操作時に衝突部13又はストッパ同士の撃力の発生を無化又は減弱して手指への衝撃を相乗的に緩和する。
【0058】
図8は、第5実施例鋏体X5の正面視説明図であって、別体形成した被覆体2と緩衝部材3を組み合わせて取着した構成例を示すものである。
【0059】
図8に示すように、把握体12の肩部121 を直角に近い角度とし、中指付近で内側に大きく湾曲させる。これに、ショアA硬さ30〜41のシリコン樹脂の被覆体2を覆装する。また、被覆体2は指が均等にかかるように、肥厚形成(21)して表面を直線的な形状とするとともに、中間位置には指止め手段4を形設する。さらに、把握体12の自由端の内面に緩衝部材3を対設し、固定具6と一体的に把握体12に固設する。当然のことながら、梃子の原理から、緩衝部材3は鋏半体要素1の交差部軸支点14から遠位端部に設けるほうが、緩衝作用効果が高い。
【0060】
また、図9は、第5実施例類似鋏体X5’の正面視説明図であって、緩衝部付被覆体7を取着した構成例を示すものである。ここで、緩衝部付被覆体10は、被覆体構成部20(2)と緩衝部材構成部30(3)を複合的に一体成形したものである。
【0061】
(実施例6)
実施例アタッチメントYは、第1、第2、第3実施例鋏体(X1,X2,X3)のいずれかに用いた被覆体(2)と、第4実施例鋏体X4に用いた緩衝部材(3)のそれぞれを機能構成部20;30 とし、既存の鋏型手動利器に対して付加装着可能なアタッチメントとして脱着可能に構成している。
【0062】
すなわち、把握体12のそれぞれに覆装可能に形成した単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる被覆体構成部20と、鋏半体要素1の交差部軸支点14からの遠位端部又は把握体12の自由端部の各内面に対設され、切断操作時に弾性的に衝合可能に形成した単一の又は複合的な軟質弾性材料からなる緩衝部材構成部30からなる。
【0063】
図10は、実施例アタッチメントYの正面視説明図である。
【0064】
図10に示すように、実施例アタッチメントYは、被覆体構成部20と緩衝部材構成部30を複合的に一体成形して付加装着するように単体構成したもの(緩衝部付被覆体10)が好ましい。
【0065】
もちろん、被覆体構成部20(2)と緩衝部材構成部30(3)とを、それぞれ別体形成し、組み合わせて付加装着するものであってよい〔装着状態については図8を参照〕。
【0066】
いずれにしても、実施例アタッチメントYは弾性樹脂製品であるから、装着に係る適用性については柔軟性(許容度)があり、種々の既存の鋏類に対応する付属品やサプライ用品として、いくつかの汎用タイプのアタッチメントを市場提供することが考慮される。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の活用例として、摘果、摘粒などの果実の収穫、摘花、芽切り、剪定、枝切、切花など農業や園芸分野に用いるとともに、電気工事、大工仕事、繊維裁断作業等で用いる難切断材料用の鋏や、反復作業の多い一般事務用鋏にも活用できる。特に衝撃の緩和、滑り防止、柔軟な接触感の効果を有するため、長時間の反復作業を強いられる場合により効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1実施例鋏体の正面視説明図であって、湾曲部を有する把握体に被覆体を設けた構成例を示すものである。
【図2】第1実施例鋏体の正面視説明図であって、直線的でやや長めに形成した把握体に被覆体を設けた構成例を示すものである。
【図3】第2実施例鋏体の正面視説明図であって、湾曲部を有する把握体に部分的に肥厚形成した被覆体を設けた構成例を示すものである。
【図4】第3実施例鋏体の正面視説明図であって、中指と薬指の間に指止め手段を設けた構成例を示すものである。
【図5】第3実施例鋏体の正面視説明図であって、直線的でやや長めに形成した把握体に被覆体を設け、把握領域の示指と中指の間に指止め手段を設けた構成例を示すものである。
【図6】第4実施例鋏体の正面視説明図である。
【図7】同じく開状態の外観視説明図である。
【図8】第5実施例鋏体の正面視説明図であって、別体形成した被覆体と緩衝部材を組み合わせて取着した構成例を示すものである。
【図9】第5実施例類似鋏体の正面視説明図であって、一体成形した緩衝部付被覆体を取着した構成例を示すものである。
【図10】実施例アタッチメントの正面視説明図である。
【符号の説明】
【0069】
1 鋏半体要素
11 刃体(作用部)
12 把握体(柄;操作部)
121 肩部
13 衝突部(又はストッパ)
14 交差部軸支点
2 被覆体
21 肥厚形成部
3 緩衝部材
31 衝合面
4 指止め手段
5 バネ
6 固定具
10 緩衝部付被覆体(一体成形)
20 被覆体構成部
30 緩衝部材構成部
X1 第1実施例鋏体
X2 第2実施例鋏体
X3 第3実施例鋏体
X4 第4実施例鋏体
X5 第5実施例鋏体
X5' 第5実施例類似鋏体
Y 実施例アタッチメント
【出願人】 【識別番号】591079487
【氏名又は名称】広島県
【識別番号】501304423
【氏名又は名称】有限会社ウド・エルゴ研究所
【出願日】 平成18年8月18日(2006.8.18)
【代理人】 【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄


【公開番号】 特開2008−43578(P2008−43578A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−223109(P2006−223109)