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【発明の名称】 ロータリー式の電気かみそり
【発明者】 【氏名】岩倉 幸太郎

【要約】 【課題】長毛やくせ毛の一次切断と、一次切断された短毛の二次切断を効果的に行うことができ、さらに往動時と同様に、復動時にもひげ切断を効果的に行えるようにして、より短い時間で効果的にひげ切断を行えるロータリー式の電気かみそりを提供する。

【構成】ツイン刃構造の電気かみそりにおいて、外刃16F・16Bのアーチ頂点Cを境界にして、前記境界より内刃22の回転方向上手側に上流側切断領域Nを、回転方向下手側に下流側切断領域Rを設ける。上流側切断領域Nにおける網刃の基本パターンは、3方向へ伸びる中央切刃35と、凹凸環状の周囲切刃36と、これら両切刃35・36で囲まれる3個のハート形の刃穴37とで構成する。基本パターンを外刃16の幅方向へ千鳥状に配置して、隣接する基本パターンどうしが周囲切刃36を互いに共有する構造として、周囲切刃36の内突縁38を隣接する基本パターンの2個の刃穴37に臨ませる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動される内刃(22)と、内刃(22)の外周面に摺接するアーチ状の外刃(16B)とを備えているロータリー式の電気かみそりであって、
外刃(16B)のアーチ頂点(C)を境界にして、前記境界より内刃(22)の回転方向上手側の外刃壁に上流側切断領域(N)が設けられ、前記境界より内刃(22)の回転方向下手側の外刃壁に下流側切断領域(R)が設けられており、
上流側切断領域(N)に設けられる刃穴(37)の湾曲方向長さが、下流側切断領域(R)に設けられる刃穴(37・40)の湾曲方向長さより大きく設定してあることを特徴とするロータリー式の電気かみそり。
【請求項2】
上流側切断領域(N)における網刃の基本パターンが、3方向へ伸びるY字状の中央切刃(35)と、各中央切刃(35)の周囲を囲む凹凸環状の周囲切刃(36)と、これら両切刃(35・36)で囲まれる3個のハート形の刃穴(37)とで構成されており、
前記基本パターンを外刃(16B)の幅方向へ千鳥状に配置して、幅方向および湾曲方向へ隣接する基本パターンどうしが周囲切刃(36)を互いに共有する状態で形成されており、
周囲切刃(36)の内突縁(38)が、隣接する基本パターンの2個の刃穴(37)に臨ませてある請求項1記載のロータリー式の電気かみそり。
【請求項3】
下流側切断領域(R)における網刃の基本パターンが、上流側切断領域(N)における網刃の基本パターンを基本形状にして、内刃(22)の回転上手側に位置する1個のハート形の刃穴(37)と、残る2個のハート形の刃穴をそれぞれ2分割して構成される合計4個の小刃穴(40)とを含んで構成してある請求項2記載のロータリー式の電気かみそり。
【請求項4】
下流側切断領域(R)における網刃の基本パターンが、上流側切断領域(N)における網刃の基本パターンを基本形状にして、内刃(22)の回転上手側に位置する1個のハート形の刃穴(37)と、前記刃穴(37)より内刃の回転下手側に配置される3個の小刃穴(44・45)とを含んで構成してある請求項2記載のロータリー式の電気かみそり。
【請求項5】
かみそりヘッド(2)に、内刃(22)および外刃(16F・16B)が前後に隣接する状態で設けられており、
内刃(22)が、それぞれの上周面が近づく向きに回転駆動してある請求項2、3または4記載のロータリー式の電気かみそり。
【請求項6】
前側の外刃(16F)の上流側切断領域(N)における基本パターンの湾曲方向の配列数が、後側の外刃(16B)の上流側切断領域(N)における基本パターンの湾曲方向の配列数より少なく設定してある請求項5記載のロータリー式の電気かみそり。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、網刃状の外刃を備えているロータリー式の電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の電気かみそりに関して、外刃の壁面を二つの領域に分け、各領域で刃穴パターンを異ならせることは特許文献1に公知である。但し、特許文献1の電気かみそりは、垂直軸回りに回転駆動される内刃と、内刃の上面に外接するドーム状網刃とを備えた電気かみそりを対象としていて、ロータリー式の電気かみそりとはひげ切断方式が根本的に異なる。
【0003】
前後一対の外刃を備えている、いわゆるツイン刃構造のロータリー式の電気かみそりにおいて、一方の外刃の刃穴を長穴とスリットとで構成し、他方の外刃の刃穴を六角形の短孔群で構成することが特許文献2に公知である。本発明の刃穴の配置パターン、および刃穴の構造に関して、Y字状の切刃の内隅に沿ってく字状の3個の刃穴を配置し、この基本パターンを縦横に繰り返して網刃を構成すること(特許文献3参照)、正三角形状の刃穴の辺部のそれぞれに部分円弧状の刃穴を隣接配置して基本パターンとすること(特許文献4参照)、刃穴の一部に毛起用の突起部を設けること(特許文献5参照)が公知である。
【0004】
【特許文献1】実開昭54−61795号公報(第2頁15〜17行、第1図)
【特許文献2】特開2001−198366号公報(段落番号0027、図7)
【特許文献3】実開昭51−44493号公報(第3頁7〜17行、第3図)
【特許文献4】特開昭52−84063号公報(第2頁右上欄2〜7行、第1図)
【特許文献5】実開昭59−59977号公報(第4頁1〜3行、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、刃穴の配置パターンや切刃の構造に関して各種の提案があるものの、長毛やくせ毛の一次切断を確実に行い、さらに一次切断された短毛の二次切断を確実に行うこととを両立させるのは難しく、ひげそりに多くの時間を要する点に改善の余地がある。また、実際の使用状態においては、電気かみそりを肌面に沿って往復移動させてひげ切断を行うが、往動時に比べて、復動時の切断効率が大幅に低下することが多く、このこともひげそりに多くの時間を要する要因のひとつであった。
【0006】
本発明の目的は、長毛やくせ毛の一次切断と、一次切断された短毛の二次切断を効果的に行うことができ、さらに、電気かみそりを肌面に沿って往復移動させてひげ切断を行う場合に、往動時と同様に、復動時にもひげ切断を効果的に行えるようにして、全体としてより短い時間でひげ切断を行えるロータリー式の電気かみそりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気かみそりは、回転駆動される内刃22と、内刃22の外周面に摺接するアーチ状の外刃16Bとを備えているロータリー式の電気かみそりを対象にして、外刃16Bのアーチ頂点Cを境界にして、前記境界より内刃22の回転方向上手側の外刃壁に上流側切断領域Nを設け、前記境界より内刃22の回転方向下手側の外刃壁に下流側切断領域Rを設ける。上流側切断領域Nに設けられる刃穴37の湾曲方向長さが、下流側切断領域Rに設けられる刃穴37・40の湾曲方向長さより大きく設定してあることを特徴とする。
【0008】
図6に示すように、上流側切断領域Nにおける網刃の基本パターンは、3方向へ伸びるY字状の中央切刃35と、各中央切刃35の周囲を囲む凹凸環状の周囲切刃36と、これら両切刃35・36で囲まれる3個のハート形の刃穴37とで構成する。そのうえで基本パターンを外刃16Bの幅方向へ千鳥状に配置して、幅方向および湾曲方向へ隣接する基本パターンどうしが周囲切刃36を互いに共有する状態で形成する。以て、周囲切刃36の内突縁38を、隣接する基本パターンの2個の刃穴37に臨ませる。
【0009】
下流側切断領域Rにおける網刃の基本パターンは、上流側切断領域Nにおける網刃の基本パターンを基本形状にして、内刃22の回転上手側に位置する1個のハート形の刃穴37と、残る2個のハート形の刃穴をそれぞれ2分割して構成される合計4個の小刃穴40とを含んで構成する。
【0010】
下流側切断領域Rにおける網刃の基本パターンは、上流側切断領域Nにおける網刃の基本パターンを基本形状にして、内刃22の回転上手側に位置する1個のハート形の刃穴37と、前記刃穴37より内刃の回転下手側に配置される3個の小刃穴44・45とを含んで構成する。
【0011】
かみそりヘッド2に、内刃22および外刃16F・16Bを前後に隣接する状態で設ける。内刃22は、それぞれの上周面が近づく向きに回転駆動する。
【0012】
前側の外刃16Fの上流側切断領域Nにおける基本パターンの湾曲方向の配列数を、後側の外刃16Bの上流側切断領域Nにおける基本パターンの湾曲方向の配列数より少なく設定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明においては、外刃16Bのアーチ頂点Cを境界にして、この境界より内刃22の回転方向上手側の外刃壁に上流側切断領域Nを設け、前記境界より内刃22の回転方向下手側の外刃壁に下流側切断領域Rを設けた。さらに、上流側切断領域Nに設けられる刃穴37の湾曲方向長さを、下流側切断領域Rに設けられる刃穴37・40の湾曲方向長さより大きく設定して、上流側切断領域Nにおいて長毛やくせ毛を効果的に捕捉して一次切断し、下流側切断領域Rにおいて一次切断された短毛を二次切断できるようにした。
【0014】
上記のように、上流側切断領域Nと下流側切断領域Rとで、刃穴37・40の湾曲方向長さを異ならせ、一方の領域Nで長毛やくせ毛を一次切断し、他方の領域Rで短毛を二次切断すると、内刃22の回転方向と、肌面に沿った外刃16Bの移動方向とが逆である場合(順そり)に、長毛やくせ毛を上流側切断領域Nで効果的に一次切断し、さらに一次切断された短毛を下流側切断領域Rで二次切断して、より効果的にひげ切断を行うことができ、刃穴が均等に形成してある従来のロータリー式の電気かみそりに比べて、より短い時間でひげ切断を行える。
【0015】
さらに、従来のシングル刃構造のロータリー式電気かみそりにおいては、内刃の回転方向と、肌面に沿った外刃の移動方向とが同じである場合(逆そり)に、引っ張り感を生じやすいが、本発明の外刃構造によれば、このような逆そり時の引っ張り感を解消できる。逆そり時には、主として湾曲方向長さが小さな刃穴37・40が肌面に接触するので、ひげが内刃22に捕捉された後、切断されるまでの間に引っ張られる距離を小さくして、引っ張り感を伴うこともなくひげを切断できるからである。
【0016】
上流側切断領域Nにおける網刃の基本パターンを、3方向へ伸びる中央切刃35と、凹凸環状の周囲切刃36と、これら両切刃35・36で囲まれる3個のハート形の刃穴37とで構成し、この基本パターンを外刃16の幅方向へ千鳥状に配置して、各基本パターンどうしが周囲切刃36を互いに共有する外刃構造によれば、3個のハート形の刃穴37によって、多方向からひげを誘い込んで切断できるうえ、ハート形の刃穴37の内突縁38で長毛やくせ毛を強制的に起毛して、内突縁38に隣接する2個の刃穴37へと誘い込むことができるので、長毛やくせ毛をさらに効果的に切断することができる。
【0017】
下流側切断領域Rにおける網刃の基本パターンを、内刃22の回転上手側に位置する1個のハート形の刃穴37と、残る2個のハート形の刃穴が占めていた領域をそれぞれ2分割して構成される合計4個の小刃穴40とで構成すると、上流側切断領域Nにおける刃穴37の湾曲方向長さの平均値に比べて、下流側切断領域Rにおける刃穴37および小刃穴40の湾曲方向長さの平均値を小さくできる。これにより、刃穴37および小刃穴40内でのひげの移動距離を小さくして、ひげが内刃22に接触してから中央切刃35や周囲切刃36に接当するまでの距離を小さくできるので、つまり、下流側切断領域Rにおいては、ひげが内刃22に捕捉された後、切断されるまでの間に引っ張られる距離を小さくして、引っ張り感を伴うこともなくひげを切断できる。とくに、先に説明したように逆そり時には、主として湾曲方向長さが小さな刃穴37・40が肌面に接触するので、ひげが内刃22に捕捉された後、切断されるまでの間に引っ張られる距離を小さくして、引っ張り感を伴うこともなくひげを切断できる。さらに下流側切断領域Rにおける刃穴の形成個数が、上流側切断領域Nにおける刃穴の形成個数より多くなる分だけひげの切断機会を増加して、短毛の二次切断を効果的に行うことができる。
【0018】
下流側切断領域Rにおける網刃の基本パターンを、上流側切断領域Nにおける網刃の基本パターンを基本形状にして、内刃22の回転上手側に位置する1個のハート形の刃穴37と、前記刃穴37より内刃の回転下手側に配置される3個の小刃穴44・45とを含んで構成する外刃構造によれば、上記と同様の理由で、刃穴37および小刃穴44・45内でのひげの移動距離を小さくして、ひげが内刃22に接触してから中央切刃35や周囲切刃36、あるいは切刃43に接当するまでの距離を小さくできるので、下流側切断領域Rにおいて、ひげが内刃22に捕捉された後、切断されるまでの間に引っ張られる距離を小さくして、引っ張り感を伴うこともなくひげを切断できる。下流側切断領域Rにおける刃穴の形成個数が多い分だけひげの切断機会を増加して、上記と同様に短毛の二次切断を効果的に行うことができる。
【0019】
かみそりヘッド2に、内刃22および外刃16F・16Bを前後に隣接する状態で設け、内刃22をそれぞれの上周面が近づく向きに回転駆動するロータリー式の電気かみそりによれば、例えば図11に示すように、電気かみそりをあごの下面側からくちびるの側へ移動させる往動時には、主として後側の外刃16Bの上流側切断領域Nと、前側の外刃16Fの下流側切断領域Rとが肌面に接触する状態でひげを切断し、電気かみそりをくちびるの側からあごの下面側へ移動させる復動時には、主として前側の外刃16Fの上流側切断領域Nと、後側の外刃16Bの下流側切断領域Rとが肌面に接触する状態でひげを切断することができる。つまり、ツイン刃構造の電気かみそりにおいては、長毛やくせ毛の一次切断と一次切断された短毛の二次切断とを、往動時と復動時のいずれの場合にも確実に行ってひげ切断を効果的に行うことができ、ひげ切断に要する時間をさらに短縮できる。
【0020】
なお、内刃22をそれぞれの上周面が近づく向きに回転駆動するツイン刃構造の電気かみそりにおいては、前側のメイン刃13と後側のメイン刃13とは、常に順そりと逆そりの関係になる。例えば、図11に示すように、後側のメイン刃13における内刃22の回転方向と、肌面に接触する外刃16Bの上流側切断領域Nの移動方向Pとが逆であるとき(順そり)、前側のメイン刃13においては、内刃22の回転方向と肌面に接触する外刃16Fの下流側切断領域Rの移動方向とが同じ(逆そり)になる。また、肌面に接触する外刃16F・16Bの移動方向が矢印Pと逆になる場合には、前側の外刃16Fの上流側切断領域Nが順そりとなり、後ろ側の外刃16Bの下流側切断領域Rが逆そりとなる。
【0021】
前側の外刃16Fの上流側切断領域Nにおける基本パターンの湾曲方向の配列数を、後側の外刃16Bの上流側切断領域Nにおける基本パターンの湾曲方向の配列数より少なく設定した外刃構造によれば、図11に示すように、電気かみそりをあごの下面側からくちびるの側へ移動させながらひげ切断を行うとき、後側の外刃16Bの上流側切断領域Nによって長毛やくせ毛をさらに確実に捕捉して一次切断でき、最も使用頻度が高い電気かみそりの使用態様においてひげ切断を効果的に行える点で有利である。また、前側の外刃16Fの下流側切断領域Rにおける基本パターンの湾曲方向の配列数は、後側の外刃16Bの下流側切断領域Rにおける基本パターンの湾曲方向の配列数より多くなるので、その分だけひげの切断機会を増加して、短毛の二次切断を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施例) 図1ないし図10は本発明に係る電気かみそりの実施例を示す。図2および図3において電気かみそりは、本体部1と、その上部に設けられるかみそりヘッド2とからなり、本体部1の内部に二次電池3や回路基板を配置し、かみそりヘッド2の内部にモーター4と、モーター動力を減速伝導する伝導機構などが設けてある。本体部1の前面にはモーター起動用のスイッチボタン5と、表示灯6が設けられ、本体部1の背面にはきわ剃り刃7と、きわ剃り刃7を駆動位置へ押し上げる操作するスライドノブ8が設けてある。
【0023】
かみそりヘッド2は、下半側のヘッドケース11と、ヘッドケース11に対して着脱可能に装着される外刃ホルダー12を主な外殻体にして構成してあり、ヘッドケース11の内部に、モーター4や伝導機構などが配置してある。かみそりヘッド2の上部には、前後一対のメイン刃13と、両メイン刃13の間に配置されるセンター刃14とが設けてあり、メイン刃13は先の伝導機構の回転動力で、センター刃14は伝導機構から分岐された往復動力系でそれぞれ駆動できるように構成してある。
【0024】
外刃ホルダー12は、ヘッドケース11に対して着脱可能に装着される外ケース12aと、外ケース12aに対して着脱可能に装着される内ケース12bとで構成してある。内ケース12bに、メイン刃13を構成する前後一対の外刃16F・16Bが、それぞれアーチ状に保形支持され、両外刃16F・16Bの間にセンター刃14が組み込んである。内ケース12bの内面の前後中央には、プレス成形品からなる補強フレーム17が内ケース12bの左右側壁を橋絡する状態で固定してある(図5参照)。この補強フレーム17の内部に組み込んだ外刃緊張ばね18に外刃16F・16Bの一端が連結され、外刃16F・16Bの他端が内ケース12bの前壁、および後壁に固定してある。
【0025】
メイン刃13は、ヘッドケース11に対して着脱可能に装着される内刃ユニットと前後の外刃16F・16Bとで構成する。図4に示すように、内刃ユニットは逆門形の内刃フレーム21と、内刃フレーム21で回転自在に支持される前後一対の内刃22とで構成する。図1および図5に示すように内刃22は、12枚の小刃22aを、プラスチック製の芯軸22bに対してスパイラル状に埋設固定して構成してある。これにより各小刃22aは、展開状態において図8、図9および図10に示すように、芯軸22bの軸中心に対して斜めに傾くこととなる。両内刃22はロータリー刃として構成してあり、互いに水平軸回りに逆向きに回転駆動される。詳しくは、図5に示すように電気かみそりの前部側(図5に向かって左側)の内刃22は、その内刃軸に固定した受動ギヤ23が先の伝導機構の終ギヤ24と噛合して時計回転方向へ回転駆動される。また、電気かみそりの後部側の内刃22は、その内刃軸に固定した受動ギヤ25を、反転ギヤ26を介して伝導機構の終ギヤ24と噛合させることにより、反時計回転方向へ回転駆動される。
【0026】
上記のような電気かみそりにおいて、メイン刃13によるひげ切断を効果的に行うために、外刃16F・16Bの切刃の構造や刃穴の配置パターンを以下のように構成する点に本発明の特長がある。外刃16F・16Bはニッケル、あるいはニッケルコバルト合金を用いて電鋳法によって形成したシート状の網刃からなる。前側の外刃16Fと後側の外刃16Bとは僅かに構造が異なるが、両者の基本構造は概ね同じであるので、まず共通の構造を後側の外刃16Bによって説明する。
【0027】
図1および図10に示すように、後側の外刃16Bの内刃22との摺接面には、アーチ頂点Cを境界にして、その両側に上流側切断領域Nと下流側切断領域Rとを設け、前者領域Nに隣接してスリット刃30の一群と放熱穴31の一群を形成し、後者領域Rに隣接してスリット刃32を形成する。外刃16Bのアーチ頂点Cは、内刃22の回転中心を通る垂直線で規定されている。
【0028】
上流側切断領域Nにおける網刃の基本パターンは、図7に示すように中心部分から3方向へ伸びるY字状の3個の中央切刃35と、各中央切刃35の周囲を囲む凹凸環状の周囲切刃36と、両切刃35・36で囲まれる3個のハート形の刃穴37とで構成してある。個々の中央切刃35で挟む角度はそれぞれ均等に設定してあり、その内のひとつ(図7において横長の切刃)が内刃22の回転中心軸線と直交している。周囲切刃36は、各中央切刃35の突端から周方向へ伸びる部分円弧状の外突円弧部36aと、隣接する外突円弧部36aどうしを繋ぐ部分円弧状の内突円弧部36bとで無端環状に形成してある。
【0029】
この基本パターンを、図8および図10に示すように外刃16Bの幅方向へ千鳥状に配置することにより、幅方向および湾曲方向へ隣接する基本パターンどうしが、周囲切刃36を互いに共有するように構成する。基本パターンを千鳥状の配置パターンとすることにより、周囲切刃36の内突縁38を、隣に位置する基本パターンの2個の刃穴37に臨ませることができる。その意味は後述する。図8〜図10において符号22aは内刃22の小刃であり、矢印a・bは小刃22aの移動方向、矢印Pは、外刃16F・16Bを肌面に密着させた状態で往復移動させてひげ切断を行う時の、往動時の移動方向を示す(図10参照)。
【0030】
下流側切断領域Rにおける網刃の基本パターンは、基本的に上流側切断領域Nにおける網刃の基本パターンと同様に、中央切刃35および周囲切刃36と刃穴37で構成するが、内刃22の回転中心軸線と直交する中央切刃35の両側に位置する刃穴のそれぞれを、別の切刃39で小刃穴40に二等分する点が先の基本パターンと異なる。その結果、下流側切断領域Rにおける基本パターンは、内刃22の回転上手側に位置する1個のハート形の刃穴37と、合計4個の小刃穴40とを備え、さらに3個中央切刃35とは別に2個の切刃39を備えることとなる。4個の小刃穴40の開口形状、および開口寸法は全て同じであり、各切刃35・39に沿って花弁状に配置してある。
【0031】
図8および図9に示すように、前側の外刃16Fの内刃22との摺接面には、先の外刃16Bと同様にアーチ頂点Cを境界にして、その両側に上流側切断領域Nと下流側切断領域Rとを設ける。上流側切断領域Nに隣接してスリット刃30の一群と放熱穴31の一群を形成し、下流側切断領域Rに隣接してスリット刃32を形成する点も同じである。上流側切断領域Nにおける基本パターンを、3個の中央切刃35と、凹凸環状の周囲切刃36と、両切刃35・36で囲まれる3個のハート形の刃穴37とで構成する点も同じである。さらに、下流側切断領域Rにおける基本パターンが、内刃22の回転上手側に位置する1個のハート形の刃穴37と、合計4個の小刃穴40とを備え、さらに3個の中央切刃35とは別に2個の切刃39を備える点も同じである。
【0032】
前側の外刃16Fが、後側の外刃16Bと異なるのは、図8に示すように、後側の外刃16Bの上流側切断領域Nにおける基本パターンの一部が、アーチ頂点Cを越えて下流側切断領域Rにまで形成してあるのに対し、前側の外刃16Fの上流側切断領域Nにおける基本パターンの形成領域が、アーチ頂点Cまでとする点にある。具体的には、前部の上流側切断領域Nにおける基本パターンの湾曲方向の配列数が2ピッチ分であるとき、後部の上流側切断領域Nにおける基本パターンの湾曲方向の配列数を2.5ピッチ分としている。
【0033】
以上のように構成した電気かみそりは、例えば図11に示すように、本体部1の前面が使用者と対向する状態で電気かみそりを保持し、外刃16F・16Bを肌面に密着させた状態で往復移動させてひげ切断を行う。電気かみそりをあごの下面側からくちびるの側へ移動させる往動時(矢印Pの方向)には、主として後側の外刃16Bの上流側切断領域Nと、前側の外刃16Fの下流側切断領域Rとが肌面に接触する状態でひげが切断される。また、電気かみそりをくちびるの側からあごの下面側へ移動させる復動時には、主として前側の外刃16Fの上流側切断領域Nと、後側の外刃16Bの下流側切断領域Rとが肌面に接触する状態でひげが切断される。
【0034】
因みに、前後の外刃16F・16Bの上流側切断領域Nにおける刃穴37の湾曲方向の長さの平均値は、前後の外刃16F・16Bの下流側切断領域Rにおける刃穴37、および小刃穴40の湾曲方向の長さの平均値に比べて充分に大きく、その分だけ長毛や肌面に倒れこんだくせ毛を捕捉しやすい。しかも、各刃穴37に入り込んだひげを周囲切刃36の内突縁38で引っ掛けて強制的に起毛し、内突縁38に隣接する2個の刃穴37へと送り込むことができる。したがって、上流側切断領域Nにおいては、通常のひげの切断を的確に行えるのはもちろん、長毛やくせ毛の一次切断を確実に行って短毛化できる。
【0035】
また、外刃16F・16Bの下流側切断領域Rにおける刃穴37、および小刃穴40においては、湾曲方向の長さの平均値が小さい分だけ、刃穴37および小刃穴40内でのひげの移動距離が小さくなり、そのため、ひげが内刃22に接触してから中央切刃35や周囲切刃36に接当するまでの距離が小さくなる。つまり、下流側切断領域Rにおいては、ひげが内刃22に捕捉された後、切断されるまでの間に引っ張られる距離を小さくでき、引っ張り感を伴うこともなくひげを切断できる。
【0036】
したがって、往動時に後側の外刃16Bの上流側切断領域Nが先行してひげを一次切断し、次いで前側の外刃16Fの下流側切断領域Rが追随してひげを二次切断するひげ切断形態によれば、長毛やくせ毛の切断と、一次切断された短毛の二次切断を効果的に行うことができる。同様に復動時には、前側の外刃16Fの上流側切断領域Nでひげを一次切断、あるいは二次切断し、さらに、後側の外刃16Bの下流側切断領域Rで主として短毛の二次切断を効果的に行うことができ、全体としてより短い時間でひげそりを完了できる。
【0037】
上記のように前後の外刃16F・16Bの上流側切断領域Nで長毛やくせ毛の切断を行うことに加え、両外刃16F・16Bの間にセンター刃14が配置してあると、長毛やくせ毛の切断をセンター刃14によっても行って、さらに効果的にひげそりを行うことができる。
【0038】
本発明は、メイン刃13がかみそりヘッド2の前後に設けてあるツイン刃構造の電気かみそりにおいて最も効果的にひげ切断を行えるが、シングル刃構造の電気かみそりにおいても、同様にひげ切断効果を向上するのに役立つ。その場合には、上記の実施例における外刃16Bの上流側切断領域Nで長毛やくせ毛の一次切断を行い、下流側切断領域Rで一次切断された短毛を二次切断できるからである。
【0039】
上記の実施例以外に、下流側切断領域Rにおける基本パターンは図12および図13に示すように形成することができる。そこでは、上流側切断領域Nにおける基本パターンを基本形状にして、内刃22の回転上手側に位置する1個のハート形の刃穴37と、残る2個のハート形の刃穴が占めていた領域を3分割して構成される合計3個の小刃穴44とで構成する。詳しくは、図12に示すように、内刃22の回転下手側に位置する2個のハート形の刃穴が占めていた領域を2個の切刃43で3分割して、2個の台形状の小刃穴44と、楕円状の1個の小刃穴45とを形成する。さらに詳しくは、ハート形の刃穴37と楕円形の小刃穴45とを周囲切刃36内の湾曲方向両端に配置し、両刃穴37・45の間に台形状の小刃穴44を左右対称に配置して基本パターンとする。この基本パターンを図13に示すように外刃16Bの幅方向へ千鳥状に配置することにより、下流側切断領域Rの切断刃を構成する。
【0040】
このように、外刃16F・16Bの下流側切断領域Rに設けた刃穴37、および小刃穴44、45においては、湾曲方向の長さの平均値が小さい分だけ、刃穴37および小刃穴44・45内でのひげの移動距離を小さくでき、ひげが内刃22に接触してから中央切刃35、周囲切刃36、あるいは切刃43に接当するまでの距離が小さくなる。したがって、下流側切断領域Rにおいては、ひげが内刃22に捕捉された後、切断されるまでの間に引っ張られる距離を小さくでき、引っ張り感を伴うこともなくひげを切断できる。
【0041】
図14は、図12と同様に2個のハート形の刃穴が占めていた領域を3分割して3個の小刃穴44・45を形成するが、切刃35と切刃43とが挟む角度と、両切刃43が挟む角度の三者をそれぞれ均等にして、小刃穴45を三角形状に形成する点が先の刃穴パターンと異なる。
【0042】
上記の実施例では、3個の中央切刃35と、凹凸環状の周囲切刃36と、両切刃35・36で囲まれる3個のハート形の刃穴37とで基本パターンを構成したがその必要はなく、刃穴の形状は、四角形、円形、長円形、く字形など、必要に応じて変更することができる。詳しくは、上流側切断領域Nと下流側切断領域Rとで同じ刃穴形状とする場合、例えば刃穴形状を円形とする場合には、前者領域Nの刃穴直径を大きくし、後者領域Rの刃穴直径を小さくするとよい。あるいは、上流側切断領域Nに円形や四角形の刃穴を設け、下流側切断領域Rに楕円形やく字形などの刃穴を設けて、湾曲方向の刃穴長の平均値を上流側切断領域Nと下流側切断領域Rとで大小に異ならせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】メイン刃の縦断側面図である。
【図2】電気かみそりの正面図である。
【図3】電気かみそりの側面図である。
【図4】かみそりヘッドの縦断側面図である。
【図5】外刃を内刃から分離した状態の分解断面図である。
【図6】前側の外刃の基本パターンを示す平面図である。
【図7】後側の外刃の基本パターンを示す平面図である。
【図8】前後の外刃の配列パターンを示す平面図である。
【図9】前側の外刃の全体平面図である。
【図10】後側の外刃の全体平面図である。
【図11】使用状態における外刃の状態を示す説明図である。
【図12】下流側切断領域Rにおける基本パターンの別実施例を示す平面図である。
【図13】後側の外刃の配列パターンを示す平面図である。
【図14】下流側切断領域Rにおける基本パターンのさらに別の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0044】
13 メイン刃
16F・16B 外刃
22 内刃
35 中央切刃
36 周囲切刃
37 刃穴
N 上流側切断領域
R 下流側切断領域
C アーチ頂点
【出願人】 【識別番号】000164461
【氏名又は名称】九州日立マクセル株式会社
【出願日】 平成18年7月19日(2006.7.19)
【代理人】 【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡

【識別番号】100081891
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 茂雄


【公開番号】 特開2008−22974(P2008−22974A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−197003(P2006−197003)