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【発明の名称】 刃の製造方法
【発明者】 【氏名】井岡 隼人

【氏名】吉岡 伸宏

【氏名】神田 純也

【要約】 【課題】仕上がりがよく、刃先の形状に影響をできるだけ与えないでバリなどを取り除くことができる刃の製造方法を提供する。

【構成】本発明は、開口10の縁に刃先を有する刃1を製造する刃の製造方法である。そして、開口10の端に刃先11を形成する刃先形成工程と、研磨材を含む研磨流体90中に配置して、研磨流体90を開口10に通過させるように流動させて刃先11の研磨を行う流体研磨工程とを有するものである。そして、流体研磨工程で、刃先11付近の研磨を行うので、刃先11の形状に影響をできるだけ与えないでバリなどを取り除くことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚みの基材に開口を形成して、開口の端に刃先を形成する刃先形成工程と、研磨材を含む研磨流体中に配置して、研磨流体を開口に通過させるように流動させて刃先の研磨を行う流体研磨工程とを有することを特徴とする刃の製造方法。
【請求項2】
流体研磨工程において、研磨流体の出口側の刃先の面を覆いながら行うものであることを特徴とする請求項1に記載の刃の製造方法。
【請求項3】
刃先の形状は、一方側の面が基材の面に対して傾斜し、他方側の面は基材の面に沿っているものであり、流体研磨工程において、他方側の面同士が内側となるようにしつつ開口の位置を合わせるように2枚の基材を重ね合わせ、互いに他の基材の刃先の他方側の面を覆うようにして行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の刃の製造方法。
【請求項4】
流体研磨工程において、刃先の面との間で対向するように整流部材を配置して、刃先の面と整流部材との間に隙間を形成して、前記隙間に研磨流体を通過させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の刃の製造方法。
【請求項5】
流体研磨工程において、研磨流体を前記開口に通過させる方向を交互に変えて行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刃の製造方法。
【請求項6】
刃先の形状は、一方側の面が他方側の面より、基材の面に対してより垂直側になるように傾斜し、流体研磨工程において、一方側の面から研磨流体を通過させる際の条件を、他方側の面から研磨流体を通過させる際の条件に対して、時間を長くする、又は、圧力を大きくすることを特徴とする請求項5に記載の刃の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電気シェーバの外刃などに用いる刃を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気シェーバの外刃にはシート状の刃が用いられている。そして、外刃には多数の開口を有しており、この開口の縁を鋭角状として環状の刃先が形成されている。そして、電気シェーバを使用する場合には、このような外刃の開口に入った髭などを往復動する内刃によって切断する。
【0003】
このようなシート状の刃を製造するには、プレス工程や研磨工程などによって行うことができる。そして研磨工程などを行った場合には、加工部分の端部などにいわゆるバリなどが発生するので、これを取り除く必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、刃先を形成した後に、粒体を噴射する粉体噴射加工を行って、バリを逃げ面側に押し曲げ、その後、逃げ面側を研磨してバリを取り除く方法が開示されている。
【0005】
特許文献2には、刃先に紫外線光を照射して刃先のカエリを取り除く方法が記載されており、また、特許文献2の従来技術の記載には、ウオータジェットや化学薬品で除去する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2005−152256号公報
【特許文献2】特公平8−8945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなバリを取り除く作業は、仕上がりがよく、刃先の形状に影響をできるだけ与えないで、行うことができるようにするのが望ましい。しかし、上記した方法では、このようなことが難しいものであった。
【0007】
すなわち、粒体や液体を噴射する方法では、噴射領域を小さくすることには限界があり、また、噴射作業中にも噴射領域に多少の変動があるので、バリだけでなく周囲にも当たることになる。そして、噴射力を強くすると周囲も研磨や変形が発生するおそれがあり、噴射力を弱くするとバリが残りやすくなる。
【0008】
そして、特許文献2の従来例には、ウオータジェットで除去する方法では、カエリが取れにくく、刃先が鈍るという欠点がある旨の記載があり、刃先の先端に当たった水流によって刃先の先端を必要以上に研磨するおそれがあった。また、特許文献1の方法では、粒体噴射でバリを完全に取り除くのではなく、主にバリを押し曲げて、その後、研磨によりバリを取り除いている。
【0009】
さらに、上記したような方法では、噴射領域を小さくすることにも限界があるので、対象が小さくなるほど作業が難しくなる。そのため、刃先の大きさに関係なく、安定的に行うことができる方法を開発することが望まれている。
【0010】
そこで、本発明は、刃先の面を研磨することによって、面精度が向上して仕上がりがよく、刃先の形状に影響をできるだけ与えないでバリなどを取り除くことができる刃の製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、上記した目的を達成するための請求項1に記載の発明は、所定の厚みの基材に開口を形成して、開口の端に刃先を形成する刃先形成工程と、研磨材を含む研磨流体中に配置して、研磨流体を開口に通過させるように流動させて刃先の研磨を行う流体研磨工程とを有することを特徴とする刃の製造方法である。
【0012】
本発明の刃の製造方法によれば、研磨流体を前記開口に通過させるように流動させて、開口の縁の刃先の研磨を行うので、刃先の形状に影響をできるだけ与えないでバリなどを取り除くことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、流体研磨工程において、研磨流体の出口側の刃先の面を覆いながら行うものであることを特徴とする請求項1に記載の刃の製造方法である。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、流体研磨工程において、研磨流体の出口側の刃先の面を覆いながら行うので、刃先を回り込む流れを小さくすることができるので、必要以上に刃先が研磨されないようにすることができる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、刃先の形状は、一方側の面が基材の面に対して傾斜し、他方側の面は基材の面に沿っているものであり、流体研磨工程において、他方側の面同士が内側となるようにしつつ開口の位置を合わせるように2枚の基材を重ね合わせ、互いに他の基材の刃先の他方側の面を覆うようにして行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の刃の製造方法である。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、2枚の基材を重ね合わせ、互いに他の基材の刃先の他方側の面を覆うようにして行うものであるので、他方の基材によって、刃先を回り込む流れを小さくすることができるため、必要以上に刃先が研磨されないようにすることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、流体研磨工程において、刃先の面との間で対向するように整流部材を配置して、刃先の面と整流部材との間に隙間を形成して、前記隙間に研磨流体を通過させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の刃の製造方法である。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、刃先の面との間で対向するように整流部材を配置して、刃先の面と整流部材との間に隙間を形成して、前記隙間に研磨流体を通過させるものであるので、研磨の必要な部分に研磨流体を流すことができ、研磨流体の流れを安定させることができる。
【0019】
請求項5に記載の発明は、流体研磨工程において、研磨流体を前記開口に通過させる方向を交互に変えて行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の刃の製造方法である。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、研磨流体を前記開口に通過させる方向を交互に変えて行われるので、刃先の全体の研磨を行うことができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、刃先の形状は、一方側の面が他方側の面より、基材の面に対してより垂直側になるように傾斜し、流体研磨工程において、一方側の面から研磨流体を通過させる際の条件を、他方側の面から研磨流体を通過させる際の条件に対して、時間を長くする、又は、圧力を大きくすることを特徴とする請求項5に記載の刃の製造方法である。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、流体研磨工程において、一方側の面から研磨流体を通過させる際の条件を、他方側の面から研磨流体を通過させる際の条件に対して、時間を長くする、又は、圧力を大きくするものであるので、刃先が必要以上に研磨されないようにすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の刃の製造方法によれば、仕上がりがよく、刃先の形状に影響をできるだけ与えないでバリなどを取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下さらに本発明の具体的実施例について説明する。本発明の刃の製造方法によって製造される刃1は、図1〜図3に示されているものであり、多数の開口10を有し、開口10の縁に刃先11を有するものである。
【0025】
そして、刃1は、電気シェーバの外刃として使用することができるものであり、刃1には電気シェーバへ取り付けるための貫通孔18が設けられている。また、後述するように、刃1は基材80を加工して製造されるものである。そして、基材80は金属製のシートであり、プレスや研磨加工により製造される。具体的な材質は特に限定されるものではないが、マルテンサイト系ステンレスなどを用いることができ、さらに熱処理を行うなどしてHV540程度の刃物に適した硬度にすることができる。
【0026】
刃1は、細長いシート状であって、刃1の開口10が形成される領域12も細長い領域である。また、開口10は、図2に示されるように、規則的に並んでおり、開口10同士の間の距離がほとんど同じ距離となるように配列している。開口10の形状は六角形状であり、隣接する開口10の辺がほぼ平行となるような配置となっている。そのため、開口10同士の間の中間部13の幅は、いずれの部分でもほぼ同じ幅となっている。なお、開口10の形状は六角形状以外でも良く、例えば、四角形状や円形状のものを採用することができる。
【0027】
図3に示されるように、刃先11の形状は鋭角状であり、一方側の面15(図3における上側)が傾斜し、他方側の面16(図3における下側)が平行となっており、一方側の面15と他方側の面16とは先端部11aでつながっている。また、開口10の形状は、一方側が他方側に対して広がるような形状である。
【0028】
そして、刃1を電気シェーバの外刃として使用する場合、他方側の面16を内側にして取り付けるものであり、他方側の面16側に配置される内刃を用いて、開口10に入った髭などを剃ることができる。
【0029】
次に、図4〜図6等を用いて、刃1の製造方法について説明する。まず、図4に示すように、プレス工程が行われる。プレス工程では、図4(a)に示すように、平板状の基材80を、プレス型81、82の間に配置して、図4(b)のようにプレス型81、82でプレスし、開口10となる部分を変形させる。
【0030】
プレス型81には山型の突出部81aが設けられ、プレス型82の突出部81aに対応する位置には凹状の逃げ部82aが設けられており、基材80の突出部81aと逃げ部82aの間の部分が変形し、変形部85が形成される。この変形部85は、図4(c)に示すように、下側のプレス型82側に突出するような変形であり、また、プレスの際に変形部分が引っ張られるので、先端付近が切れた状態となっている。
【0031】
プレス型81の突出部81aの傾斜部81bの傾斜角度は、製造される刃1の刃先11の一方側の面15の傾斜に合わせた傾斜となっている。そして、変形部85の傾斜角度についても同様な角度になっている。そのため、プレス工程が行われた基材80には、基材80の面(基材80の厚み方向に対して垂直な面)に対して傾斜した一方側の面15が形成される。なお、プレス型81、82に、貫通孔18を形成するための打ち抜き部分を設け、プレス工程の際に、貫通孔18を形成しても良い。
【0032】
そして、プレス工程の後には、刃先形成工程が行なわれる。刃先形成工程は、図5に示されるように、研削砥石83を用いて行うものであり、研削砥石83によって、変形部85の一部を削るものである。図5に示されるように、研削砥石83はローラ状のものが用いられている。そして、研削砥石83を矢印の方向に回転させながら、変形部85が突出する側を研削砥石83側となる状態にしながら、基材80をスライドさせて行う。このスライドは、基材80の面に沿った方向に送ることにより行われる。
【0033】
そうすると、図5(b)に示されるように、変形部85の一部が削られて、開口10が形成される。また、開口10の縁に、一方側の面15と他方側の面16を有する刃先11が形成される。他方側の面16は、研削砥石83によって削られた面であるので、基材80の面に沿う方向の面となっている。
【0034】
図6は、刃先形成工程を行った直後の基材80の状態を図示したものであるが、図6に示されるように、刃先11の先端部11a付近には、バリ86が形成されている。このバリ86は、開口10の内側に位置しているものであり、本来削られるべき部分が残ったものである。
【0035】
刃先形成工程の後には、流体研磨工程が行われる。流体研磨工程は、刃先11の状態を目的の形状に近づけるため研磨が行われるものであり、具体的には、刃先形成工程まで行った基材80を研磨流体90中に配置して、研磨流体90を開口10に通過させるように流動させて行うものである。
【0036】
この流体研磨工程に使用される装置は、例えば、図7に示されるような流路95aを持つ流動研磨装置95を用いることができる。そして、流動研磨装置95の流路95aに、刃先形成工程の加工を行った基材80を保持して行われる。流動研磨装置95は、研磨材を含む研磨流体90を流路95aで循環するように流すことができるものであり、また、この流す方向を選択して流すことができるものである。
【0037】
研磨流体90は、液体と研磨材とを含む混合物であるが、これらの種類は特に限定されるものでない。例えば、液体としては、水や油などを用いることができ、研磨材としては、アルミナなどを用いることができる。さらに、研磨材を分散させるためなどの目的で、添加剤を添加することもできる。
【0038】
研磨流体90による研磨を行う際に、流路95aに基材80を保持するが、この保持の方法は、開口10に研磨流体90が通過するように流すことができれば特に限定されることはない。例えば、基材80を直接、流動研磨装置95に固定しても良く、また、保持するための部材を用いて行っても良い。保持するための部材を用いる場合には、開口10の部分を塞がないようなものが用いられ、開口10が設けられる領域12を避けた枠状のものや、開口10に対応した貫通孔が形成されたものなどを用いることができる。
【0039】
また、研磨を行う際の基材80は、研磨流体90の流れをさえぎるような向きとなるように保持される。本実施形態では、基材80の面における法線の方向が、研磨流体90の流れの方向にほぼ平行となるように基材80が保持されているが、これらの方向が平行でなく傾いている状態であってもよい。例えば、基材80の面における法線の方向と、研磨流体90の流れの方向との角度が、30°や45°の状態となるように、基材80を保持することができる。
【0040】
基材80を研磨流体90中で保持した状態で、流動研磨装置95を作動させて研磨流体90を開口10に通過するように流して、刃先11付近の研磨を行う。研磨流体90には研磨材が含まれているので、研磨流体90の流れがある部分が研磨され、研磨流体90の流れの速い部分で特に研磨される。また、表面に凸部がある場合や、バリ86などが形成されて表面が不規則となっている部分で特に研磨される。そして、流体研磨工程が終わると、刃1の製造が完了する。本実施形態により製造された刃1は、バリ86などを取り除いて、所望の形状とすることができる。
【0041】
研磨流体90による研磨では、露出して研磨流体90の流れのある部分が研磨されるので、研磨が必要な部分が、研磨流体90の流れが早くなるようにし、研磨の不要な部分を覆ったり、流れがよどむようにすることで、効率的な研磨を行うことができる。例えば、図8に示すように、一方側の面15から他方側の面16へ研磨流体90を流す。そうすると、傾斜する一方側の面15に沿って流れた研磨流体90は、図6に示され、刃先11の先端部11a付近にあるバリ86に、特に強く当たるので、他の部分に比べてバリ86が特に研磨することができ、バリ86の除去に効果的である。
【0042】
また、図8に示すように他方側の面16を整流部材30で覆って、一方側の面15から研磨流体90を流すこともできる。このようにすることで、先端部11aで回り込む流れを小さくし、先端部11a自体の研磨が小さくなるようにすることができる。さらに、図9に示すように、2枚の基材80を重ねて、流体研磨工程を行うことができる。そして、2枚の基材80を重ねる際には、他方側の面16を内側にして合わせるようにしながら、開口10の位置を合わせて行うものである。そうすると、互いの基材80が、他の他方側の面16を覆うことができる。そして、研磨流体90の流す方向を変えて行うことにより、2枚の基材80を効率的に研磨することができる。
【0043】
基材80を重ねる場合、図10に示されるような治具50を用いることができる。治具50には、流路51を有する2個の本体部52と、ボルト53が設けられるものである。そして、本体部52の間に、2枚の基材80を挟んだ状態とし、2個の本体部52の流路51の間に、基材80の開口10を配置する。そして、治具50で挟んだ状態で、流動研磨装置95の流路95aに配置して行う。
【0044】
また、図11に示されるように、整流部材31、32を用いて、流体研磨工程を行うことができる。整流部材31は断面形状は三角形状であり、開口10付近に配置される。また、整流部材32は他方側の面16側に配置されており、開口10に対応する位置に貫通孔33が形成されている。そして、この整流部材31、32は、それぞれ、一方側の面15や他方側の面16に対向するように配置されるものであり、整流部材31と一方側の面15の間に隙間31aを形成し、また、整流部材32と他方側の面16との間に隙間32aを形成している。隙間31aは開口10の内側に形成されるので環状となっている。
【0045】
整流部材31、32を用いて流体研磨工程を行う場合、隙間31a、32aに研磨流体90を通過させるようにして行われる。また、隙間31a、32aにおいて、研磨流体90の流れる向きは、刃先11の先端部11aに向かっており、隙間31a、32aで流れた研磨流体90は先端部11a付近で合流する。整流部材31、32を用いて行う流体研磨工程では、刃先11の先端部11aを回り込む流れが発生しにくくなるので、表面の凹凸を小さくしつつバリ86を取り除くことができ、さらに、先端部11aを必要以上に研磨されないようにすることができる。
【0046】
図12には、刃先11の先端部11aで合流するような流れにするための具体的方法を図示したものであり、整流部材32の内部には流路36が形成されている。そして、流路36には研磨流体90が入る入口部35が設けられ、基材80の中間部13付近に出口部37が設けられる。そして、入口部35から入った研磨流体90は流路36を通じて出口部37から出て、隙間32aへと流れて先端部11a付近へと至り、一方、隙間31aから入った研磨流体90も先端部11a付近へと至り、先端部11a付近で合流する。
【0047】
また、整流部材31、32と基材80とを、基材80の厚み方向に相対移動できるようにして、隙間31a、32aのいずれかを塞いだ状態で、別の面の隙間32a、31aに研磨流体90を通過させるように行うことができる。
【0048】
そして、図13(a)に示されるように、基材80を一方側の面15に配置される整流部材31側に移動させて、一方側の面15と整流部材31との間の隙間31aを形成されないようにして、隙間32aのみとし、隙間32aに研磨流体90を通過させて、主として他方側の面16の研磨を行う。また、図13(b)に示されるように、基材80を他方側の面16に配置される整流部材32側に移動させて、他方側の面16と整流部材32との間の隙間32aを形成されないようにして、隙間31aのみとし、隙間31aに研磨流体90を通過させて、主として一方側の面15の研磨を行う。このように、隙間31a、32aのいずれかを塞ぐようにした状態として、別の隙間32a、31aに研磨流体90を通過させて流体研磨工程を行うことができる。
【0049】
また、開口10付近に位置し、一方側の面15との間で隙間31aを形成する整流部材31の配置や大きさは、特に限定されるものではないが、図14に示されるように、隙間31aの流路断面積S1を、刃先11の先端部11aによって囲まれる開口面積S2よりも狭い状態とすることにより、より効率的な研磨を行うことができる。
【0050】
なお、流路断面積S1は、開口10の内側にできる環状の隙間31aの流れ方向に垂直な方向の断面積であり、隙間31aの幅と開口10の入口部分の長さを乗じたものである。そして、流路断面積S1が大きいと研磨流体90の隙間31aでの流速が相対的に遅くなり、流路断面積S1が小さいと研磨流体90の流速が相対的に早くなる。
【0051】
また、刃先11の先端部11aで囲まれる開口面積S2は、製造される刃1の開口10の形状により決まるので、製造される刃1に左右されるが、流路断面積S1は、整流部材31の配置によって決まるものであり、この位置を変えることによって調節することができる。そして、流路断面積S1を開口面積S2よりも狭い状態とすると、隙間31aでの流れが、先端部11aの流れよりも速くなる。したがって、一方側の面15の表面の研磨が効率的に行われ、先端部11aで必要以上に研磨されにくくすることができる。
【0052】
また、流体研磨工程において、開口10に研磨流体90を通過させる場合、方向を変えて交互に行うことができる。そして、研磨流体90を通過させる方向を変えるには、流動研磨装置95の流路95aに流れる研磨流体90の流れを反対となるようにすることにより行うことができる。かかる方法では、基材80の研磨を全体的に行うことができる。
【0053】
このとき、それぞれの方向に研磨流体90を通過させる時間を変えて行うことができる。具体的には、一方側の面15から開口10に研磨流体90を通過させる時間を、他方側の面16から研磨流体90を通過させる時間よりも長くすることができる。これは、図15に示すように、研磨流体90の流れの向きに対する一方側の面15の入射角度θ1が、研磨流体90の流れの向きに対する他方側の面16の入射角度θ2よりも小さく、小さい入射角度からの流れの向きの時間を長くするものである。このようにすることにより、刃先11の先端部11aを必要以上に研磨されないようにすることができる。
【0054】
また、一方側の面15から開口10に研磨流体90を通過させる際の圧力を、他方側の面16から研磨流体90を通過させる際の圧力よりも高くすることができる。そして、研磨流体90の流れの向きに対する一方側の面15の入射角度θ1が、研磨流体90の流れの向きに対する他方側の面16の入射角度θ2よりも小さく、小さい入射角度からの流れの向きの圧力を高くするものである。このようにすることにより、刃先11の先端部11aを必要以上に研磨されないようにすることができる。
【0055】
次に、流体研磨工程での研磨の効果について確認する。プレス工程、刃先形成工程を行った基材80を、図16に示されるような状態で保持して、流体研磨工程を行う。具体的には、基材80の開口10の周りの中間部13の両側にパッキン96を配置し、流動研磨装置95の流路95aからの流れが開口10につながるようにする。そして、流路95aの研磨流体90を開口10を通過するように流す。研磨流体90は、水に、#2000のアルミナを添加したものを用いた。
【0056】
このとき、研磨流体90の流れる向きを変えながら行う。具体的には、11秒ごとに向きを変えて繰り返し、各方向10回行って、合計流体研磨を220秒間行った。また、研磨流体90を流す向きによって圧力を変えて行っており、刃先11の一方側の面15(面A)側から流す場合(図16において左から右)には6MPaの圧力とし、刃先11の他方側の面16(面B)から流す場合(図16において右から左)には1.3MPaの圧力とした。
【0057】
流体研磨工程を行う前は、図17に示されるように、一方側の面15である面Aや、他方側の面16である面Bの表面が粗く、境界部分(先端部11a付近)にバリ86のようなものが確認されるが、流体研磨工程を行った後では、図18に示されるように、面Aや面Bの表面が平滑になり、バリ86のようなものは確認されておらず、良好な状態となっている。
【0058】
上記した方法では、プレス工程と刃先形成工程によって、開口10の縁に刃先11を形成するものであったが、切削など、上記で示した方法以外の方法によって行っても良い。
【0059】
また、上記の実施例は、電気シェーバの外刃について説明したが、このほかにもループ刃としての用途は種々考えられ、例えば、より刃先角度を鋭く形成することによって、安全カミソリの刃として使用することもできる。この場合、ループ刃となっているのでより安全で、剃る方向を限定しないものになる。または、布地など、種々の基材表面のケバや異物取り用の工具などとして用いるなど、さまざま考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の刃の製造方法によって製造される刃の正面図である。
【図2】図1の刃の開口を拡大した図である。
【図3】図2におけるA−A断面図である。
【図4】(a)はプレス工程におけるプレス前を示した説明図、(b)はプレス工程におけるプレス状態を示した説明図、(c)はプレス工程におけるプレス後を示した説明図である。
【図5】(a)は刃先形成工程における研削前の状態を示した説明図、(b)は刃先形成工程における研削後の状態を示した説明図である。
【図6】刃先形成工程が終わった状態を示した拡大図である。
【図7】流動研磨装置を示した模式図である。
【図8】流体研磨工程での開口付近を拡大した説明図である。
【図9】(a)及び(b)は流体研磨工程での開口付近を拡大した説明図である。
【図10】基材を重ねるための治具を示した説明図である。
【図11】流体研磨工程での開口付近を拡大した説明図である。
【図12】流体研磨工程での開口付近を拡大した説明図である。
【図13】(a)及び(b)は流体研磨工程での開口付近を拡大した説明図である。
【図14】流体研磨工程での開口付近を拡大した説明図である。
【図15】流体研磨工程での開口付近を拡大した説明図である。
【図16】流体研磨工程での開口付近を拡大した説明図である。
【図17】流体研磨工程を行う前の顕微鏡写真である。
【図18】流体研磨工程を行った後の顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0061】
1 刃
10 開口
11 刃先
11a 先端部
15 一方側の面
16 他方側の面
30、31、32 整流部材
31a、32a 隙間
80 基材
S1 流路断面積
S2 開口面積
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−5895(P2008−5895A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176623(P2006−176623)