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【発明の名称】 理髪用鋏の枢着部の構造
【発明者】 【氏名】柳生 松夫

【要約】 【課題】刃体が枢軸に対し傾いて開くことによる切れ味の低下を防ぐことができる理髪用鋏の枢軸部の構造を提供する。

【構成】段付ボルト状をなす枢軸3の断面略椀形状をなす頭部3bが動刃となる刃体1の座繰り孔6に装着され、矩形部3cが静刃となる刃体2の矩形孔7に嵌合して刃体2と廻り止めされる。刃体2から突出する枢軸3のネジ部3aに樹脂製の弾性体11を挿入し、その外側にワッシャー12を嵌挿する。弾性体11は常態において、ワッシャー12より突出し、ナット5を弾性体11がワッシャー12と面一になるまで捩じ込むと、弾性体11が押し潰され、刃体2、枢軸3などに圧着してこれらを一体化する。これにより鋏の開閉操作中、刃体2が刃先1より開いて切れ味が損なわれることがないようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静刃となる刃体と動刃となる刃体を枢軸により開閉可能に軸着した理髪用鋏の枢軸部の構造であって、前記枢軸にはゴム又は樹脂製のリング状の弾性体が規制手段により径方向外方への膨張を規制された状態で嵌挿され、ナットの枢軸への捩じ込みにより弾性体が静刃となる刃体に圧着されて枢軸と静刃となる刃体とを一体化したことを特徴とする枢着部の構造。
【請求項2】
前記弾性体が径方向外方への膨張を規制する規制手段よりナット側に突出するか、或いはナット側に規制手段に嵌合する突起部が形成されることを特徴とする請求項1記載の枢着部の構造。
【請求項3】
前記一対の刃体のうち、少なくとも動刃となる刃体の枢軸を通す座繰り孔はエッジが面取りされ、該面取り部分は、その軸心が座繰り孔の軸心に対し、刃先先端側と刃側の少なくとも一方の側に傾斜することを特徴とする請求項1又は2記載の枢着部の構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、理容院や美容院等で用いられ、一対の刃体を枢軸により開閉可能に軸着した理髪用鋏の枢着部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の理髪用鋏の枢着部の代表的な例を示すもので、一対の刃体1、2を軸着する枢軸3は段付ボルト状で、動刃となる刃体1とは回転自在、静刃となる刃体2とは回転不可に軸着され、刃体2から突出するネジ部3aに皿バネ4を介してナット5が捩じ込まれている。
【0003】
刃体1及び2は長手方向において若干湾曲し、枢軸3では刃体1、2間に隙間dが形成されるようになっており、皿バネ4はそのバネ作用により静刃となる刃体2を押えて閉じた刃体1、2の先端側刃先を接合させ、また刃体1、2を開いたときでも互いの刃を接合させて切れ味が損なわれることがないようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1に示すように、枢軸3と刃体1及び2との間には若干の遊びdがあり、この遊びdの範囲内で鋏の開閉操作中、刃体1が枢軸3に対し傾き、刃体1が刃体2より開いて切れ味が損なわれるようになる。
【0005】
本発明は、刃体が枢軸に対し傾いて開くことによる切れ味の低下を防ぐことができるようにすることを目的とし、そのための理髪用鋏の枢軸部の構造を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係わる発明は、静刃となる刃体と動刃となる刃体を枢軸により開閉可能に軸着した理髪用鋏の枢軸部の構造であって、前記枢軸にはゴム又は樹脂製のリング状の弾性体が規制手段により径方向外方への膨張を規制された状態で嵌挿され、ナットの枢軸への捩じ込みにより弾性体が静刃となる刃体に圧着されて枢軸と静刃となる刃体とを一体化したことを特徴とする。
【0007】
本発明の枢軸は、例えば図1に示されるように先端にネジ部3aを備えた段付ボルトで構成されるか、或いは動刃となる刃体に差込んで軸支される段付軸と、該段付軸に捩じ込まれるネジ部を備えたダイヤル状ナットのネジ部とで構成される。
【0008】
弾性体の径方向外方への膨張を規制する規制手段は、例えば弾性体が嵌合する鋼製のワッシャー、静刃となる刃体に形成され、弾性体が嵌合する嵌合孔で構成される。
【0009】
請求項2に係わる発明は、請求項1に係わる発明の弾性体が径方向外方への膨張を規制する規制手段よりナット側に突出するか、或いはナット側に規制手段に嵌合する突起部が形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係わる発明は、請求項1又は2に係わる発明において、一対の刃体のうち、少なくとも動刃となる刃体の枢軸を通す座繰り孔はエッジが面取りされ、該面取り部分は、その軸心が座繰り孔の軸心に対し、刃先先端側と刃側の少なくとも一方の側に傾斜することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係わる発明によると、ナットの捩じ込みにより弾性体が押し潰されてナットと枢軸と規制手段と静刃となる刃体とに圧着し、これにより枢軸と静刃となる刃体とを一体化して該刃体のがた付きを防止し、開閉操作中、静刃となる刃体が開くことによる切れ味の低下を防ぐことができ、しかも弾性体は従来の皿バネと同様のバネ作用を行い、開閉操作中常に静刃となる刃体を動刃となる刃体に押付けて、先端側の刃先や刃を互いに接合させ、切れ味を良好に維持させることができる。
【0012】
請求項2に係わる発明によると、ナットの捩じ込みによりナットが弾性体を確実に圧着して押し潰すことができるようになり、上記効果を確実に生じさせることができる。
【0013】
請求項3に係わる発明によると、少なくとも動刃となる刃体は、刃体先端側と刃側のいずれか一方又は双方に傾いて静刃となる刃体に押付けられ、刃体先端側の刃先及び若しくは刃を互いに接合させる作用を行って切れ味を向上させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の理髪用鋏の枢着部の構造について図面により説明する。図中、図1に示す構造と同一構造部分には同一符号を付した。
【0015】
図2に示す枢着部の構造は、段付ボルト状をなす枢軸3の断面略逆椀形状をなす頭部3bが動刃となる刃体1の座繰り孔6に装着され、かつ矩形部3cが静刃となる刃体2の矩形孔7に嵌合して刃体2を廻り止めされる点は、図1に示す枢着部の構造と変わりがない。図1に示す構造と異なる点は、刃体2に形成される座繰り孔8のエッジにテーパ状の面取り部9を形成すると共に、皿バネ4に代えて下端外周をテーパ状に面取りしたリング状の樹脂製弾性体11を枢軸3のネジ部3aに挿入し、更にその外周側に規制手段としての鋼製のワッシャー12を弾性体11に適宜の間隙を存して嵌挿してなるもので、弾性体11は図3に示すように、ワッシャー12より厚肉で常態においてワッシャー12より突出し、ナット5を捩じ込むと、弾性体11はワッシャー12と面一になるまで押し潰され、面一になると、図2に示されるように枢軸3のネジ部3a、ナット5、刃体2の面取り部9及びワッシャー12に圧着し、これらを一体化して刃体2が枢軸3に対し傾くことがないようにしている。
【0016】
以上のように、刃体2は枢軸3に対し遊びcを存していても枢軸3に対し傾いて開くことはないが、刃体1についても座繰り孔6のテーパ6aに頭部3bのテーパ3dが係合することにより枢軸3に対する傾き、さらには横ずれが防止される。したがって両刃体1及び2は枢軸3に対し傾くことなく、開閉操作中、刃体1、2が開いて切れ味が損なわれる、といった問題を生ずることがない。
【0017】
図4に示す実施形態は、図2に示す枢着部の構造におけるナット5にワッシャー12に適宜の間隙を存して嵌合する突起部5aを形成したもので、この場合、弾性体11は前記実施形態の弾性体11と同様、ワッシャー12より肉厚で、常態においてワッシャー12より突出していてもよいが、好ましくは弾性体11より薄肉にされ、ワッシャー12より突出しないか、突出するにしても、その突出量が小さくされる。なお、突起部5aは、ワッシャー12に遊嵌することによりワッシャー12との間には遊びeが形成される。遊びeがない場合、テーパ6aで支持される弾性体周縁部での圧縮には大きな力を要し、ナット5の捩じ込みにも大きな操作力が必要となるが、上述の遊びeを設けることにより、弾性体周縁部での圧縮力が軽減され、ナット5の捩じ込みに要する操作力も軽減される。
【0018】
図5に示す実施形態は、図4に示す枢着部の構造において、枢軸を頭部3bと矩形部3cよりなる段付軸15と、該段付軸15に捩じ込まれるダイヤル状ナット16のネジ部17とで構成したものである。
【0019】
図6に示す実施形態は、図2に示す枢着部の構造において、枢軸3の頭部3bを皿ボルトの頭部状に形成してテーパ3dを長くし、かつ刃体1、座繰り孔6のラーバ6bも長くして、その軸心o´を座繰り孔6の軸心oに対し角度θだけ図の時計方向に若干傾けて刃体1を先端側の刃先が上向きとなるように傾斜させ、静刃2の先端側の刃先に押付けられるようにし、これにより切れ味を向上させたものである。
【0020】
図6に示す実施形態では、テーパ6bの軸心o´が座繰り孔6の軸心oに対し、図の時計方向に傾いているが、図6の紙面と直交する方向の刃側に傾けて刃体1の刃が刃体2の刃に押付けられるようにしてもよいし、斜め前方の図の時計方向と刃側の双方に傾けて先端側の刃先と刃の双方が互いに押付けられるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】理髪用鋏の従来の枢着部の構造を示す断面図。
【図2】本発明に係わる枢着部の構造を示す断面図。
【図3】ナットを捩じ込む前の状態を示す断面図。
【図4】別の実施形態の断面図。
【図5】更に別の実施形態の断面図。
【図6】更に別の実施形態の断面図。
【符号の説明】
【0022】
1・・動刃となる刃体
2・・静刃となる刃体
3・・枢軸
3a、17・・ネジ部
3b・・頭部
3c・・矩形部
3d、6a・・テーパ
5・・ナット
5a・・突起部
6、8・・座繰り孔
7・・矩形孔
9・・面取り部
11・・弾性体
12・・ワッシャー
15・・段付軸
16・・ダイヤル状ナット
【出願人】 【識別番号】504332931
【氏名又は名称】株式会社レオックス
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100079636
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 晃一


【公開番号】 特開2008−174(P2008−174A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169752(P2006−169752)