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【発明の名称】 点検ロボット
【発明者】 【氏名】井上 貴博

【氏名】村上 誠治

【氏名】宮治 伸

【要約】 【課題】建造物の床下や天井裏等の閉空間において、短時間で点検漏れのない効率の良い点検を実現可能な点検ロボットを提供する。

【構成】任意の閉空間を点検するための点検ロボットであって、閉空間内の走行面上を移動するための移動機構120と、撮像時におけるズーム倍率が可変であり、閉空間内の被写体を撮像する回動可能な撮像ユニット13と、撮像ユニットを用いて、被写体を低倍率ズームで自動撮像する第1点検制御部102と、低倍率ズームで自動撮像された被写体の一部又は全部の範囲を、撮像ユニット13を用いて、高倍率ズームで自動撮像する第2点検制御部103とを備え、第1及び第2点検制御部102,103は、移動機構120又は撮像ユニット13の少なくとも一方を制御することで、被写体における撮像位置を順次シフトする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の閉空間を点検するための点検ロボットであって、
前記閉空間内の走行面上を移動するための移動機構と、
撮像時におけるズーム倍率が可変であり、前記閉空間内の被写体を撮像する回動可能な撮像ユニットと、
前記撮像ユニットを用いて、前記被写体を第1ズーム倍率で自動撮像する第1点検制御部と、
前記第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の一部又は全部の範囲を、前記撮像ユニットを用いて、前記第1ズーム倍率よりもズーム倍率の高い第2ズーム倍率で自動撮像する第2点検制御部と
を備え、前記第1及び第2点検制御部は、前記移動機構又は前記撮像ユニットの少なくとも一方を制御することで、前記被写体における撮像位置を順次シフトすることを特徴とする点検ロボット。
【請求項2】
前記第1点検制御部は、
前記点検ロボットの位置を維持するとともに、前記撮像位置を順次シフトしながら、前記被写体を前記第1ズーム倍率で自動撮像して、前記第2ズーム倍率による自動撮像が必要な箇所又は範囲を特定する第1概略点検シーケンスを実行する第1概略点検実行部と、
前記点検ロボットの位置を維持するとともに、前記撮像位置を順次シフトしながら、前記被写体を前記第1ズーム倍率で自動撮像する第2概略点検シーケンスを実行する第2概略点検実行部と、
前記被写体に沿って前記点検ロボットを移動するとともに、前記撮像位置を順次シフトしながら、前記被写体を前記第1ズーム倍率で自動撮像して、前記第2ズーム倍率による自動撮像が必要な箇所又は範囲を特定する第3概略点検シーケンスを実行する第3概略点検実行部と
のいずれかを備えることを特徴とする請求項1に記載の点検ロボット。
【請求項3】
前記第2点検制御部は、
前記第1又は第3概略点検シーケンスの実行後において、前記点検ロボットの位置を維持しながら、前記特定された箇所又は範囲を前記第2ズーム倍率で自動撮像する第1詳細点検シーケンスを実行する第1詳細点検実行部と、
前記第2概略点検シーケンスの実行後において、前記点検ロボットの位置を維持しながら、前記第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の全範囲を前記第2ズーム倍率で自動撮像する第2詳細点検シーケンスを実行する第2詳細点検実行部と、
前記第2概略点検シーケンスの実行後において、前記被写体に沿って前記点検ロボットを移動しながら、前記第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の全範囲を前記第2ズーム倍率で自動撮像する第3詳細点検シーケンスを実行する第3詳細点検実行部と
のいずれかを備えることを特徴とする請求項2に記載の点検ロボット。
【請求項4】
任意の閉空間を点検するための点検ロボットであって、
前記閉空間内の走行面上を前後進移動及び方向転換するための移動機構と、
前記閉空間内の被写体を撮像する回動可能な撮像ユニットと、
前記移動機構又は前記撮像ユニットの少なくとも一方を制御することで前記被写体における撮像位置を順次シフトしながら、前記撮像ユニットを用いて前記被写体を自動撮像する点検制御部と、
前記撮像ユニットの撮像方向上、且つ前記撮像ユニットと前記被写体との間に障害物が存在する場合、前記撮像方向に対する前記点検ロボットの前後方向のなす角度が許容範囲内であるかを判定する判定部と
を備え、前記点検制御部は、
前記撮像方向に対する前記前後方向のなす角度が前記許容範囲内であると判定された場合には、前記方向転換を行わずに前記前後進移動を実行して死角を回避し、
前記撮像方向に対する前記前後方向のなす角度が前記許容範囲外であると判定された場合には、前記許容範囲内となるように旋回角度が小さい方向へ前記方向転換を実行した後に前記前後進移動を実行して死角を回避する
ことを特徴とする点検ロボット。
【請求項5】
前記点検制御部は、
前記走行面と平行な面内で、前記撮像位置を一定方向へ順次シフトし、
前記撮像方向に対する前記前後方向のなす角度が前記許容範囲内である場合には、前記一定方向に一致するような方向に前進移動又は後進移動し、
前記撮像方向に対する前記前後方向のなす角度が前記許容範囲外である場合には、前記方向転換した後、前記一方向に一致するような方向に前進移動又は後進移動する
ことを特徴とする請求項4に記載の点検ロボット。
【請求項6】
前記点検制御部は、前記撮像ユニットを用いて、前記被写体を第1ズーム倍率で自動撮像するとともに、前記第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の一部又は全部の範囲を、前記第1ズーム倍率よりもズーム倍率の高い第2ズーム倍率で自動撮像することを特徴とする請求項4又は5に記載の点検ロボット。
【請求項7】
前記点検制御部は、
前記点検ロボットの位置を維持するとともに、前記撮像位置を順次シフトしながら、前記被写体を前記第1ズーム倍率で自動撮像して、前記第2ズーム倍率による自動撮像が必要な箇所又は範囲を特定する第1概略点検シーケンスを実行する第1概略点検実行部と、
前記点検ロボットの位置を維持するとともに、前記撮像位置を順次シフトしながら、前記被写体を前記第1ズーム倍率で自動撮像する第2概略点検シーケンスを実行する第2概略点検実行部と、
前記被写体に沿って前記点検ロボットを移動するとともに、前記撮像位置を順次シフトしながら、前記被写体を前記第1ズーム倍率で自動撮像して、前記第2ズーム倍率による自動撮像が必要な箇所又は範囲を特定する第3概略点検シーケンスを実行する第3概略点検実行部と
のいずれかを備えることを特徴とする請求項6に記載の点検ロボット。
【請求項8】
前記点検制御部は、
前記第1又は第3概略点検シーケンスの実行後において、前記点検ロボットの位置を維持しながら、前記特定された箇所又は範囲を前記第2ズーム倍率で自動撮像する第1詳細点検シーケンスを実行する第1詳細点検実行部と、
前記第2概略点検シーケンスの実行後において、前記点検ロボットの位置を維持しながら、前記第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の全範囲を前記第2ズーム倍率で自動撮像する第2詳細点検シーケンスを実行する第2詳細点検実行部と、
前記第2概略点検シーケンスの実行後において、前記被写体に沿って前記点検ロボットを移動しながら、前記第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の全範囲を前記第2ズーム倍率で自動撮像する第3詳細点検シーケンスを実行する第3詳細点検実行部と
のいずれかを備えることを特徴とする請求項7に記載の点検ロボット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の閉空間を点検する点検ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建造物等のリフォームや防災に関する関心が高まってきており、建造物の点検を行う機会が増加している。特に、建造物の床下や天井裏等については、人目に触れにくい一方で、建造物の基幹部分であるため、点検のニーズが高いと考えられる。
【0003】
しかし、建造物の床下や天井裏等は、一般的に、非常に狭い空間であり、衛生状態も悪いため、作業員による目視点検が困難である。したがって、建造物の床下や天井裏等を点検するために、建造物の床下や天井裏等を撮像可能な点検ロボットの導入が望まれている。
【0004】
このような点検ロボットとして、カメラを搭載した自走式の点検ロボットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、低倍率から高倍率に変える点検手法として、液晶表示素子用のガラス板の欠陥を検査することを目的として、低倍率による走査撮像によって識別された欠陥候補部に対して、高倍率による撮像を行って欠陥を判断する手法が提案されている(特許文献2参照)。
【0006】
また、点検時に被写体とカメラとの間に障害物が存在する場合に、左右方向に移動することで死角を回避する手法が考えられるが、死角回避の手法に関して特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開平11−137148号公報
【特許文献2】特開平7−270335号公報
【特許文献3】特開2004−297675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、床下等の閉空間の点検を点検ロボットによって行う場合には、点検漏れのない効率的な点検シーケンスが必須である。
【0008】
特許文献2の手法では、被写体(ガラス板)を保持するステージ(XYステージ)の動作を制御することによって、カメラによる撮像位置を変更している。このような構成を建造物の床下や天井裏等の点検に適用することは不可能であり、建造物の床下や天井裏等おいて点検漏れのない効率的な点検シーケンスはこれまで実現されていない。
【0009】
また、特許文献3の手法は、左右方向の移動を行うため、移動機構が全方向移動型である場合、移動距離が等しければ移動方向によらず移動に要する時間は等しい。しかし、移動機構が全方向移動型でない場合には、左右方向の移動のために方向転換のための旋回動作が必要であり、移動距離が等しくても移動に要する時間が異なる。つまり、被写体とカメラとの間に障害物が存在する場合に、死角を回避するための動作にある程度の時間を要し、障害物が多く存在するような環境下においては効率の良い点検を行うことができず、点検作業に長時間を要することになる。
【0010】
上記問題点に鑑み、本発明は、建造物の床下や天井裏等の閉空間において、短時間で点検漏れのない効率の良い点検を実現可能な点検ロボットを提供することを目的とする。
【0011】
更に、本発明は、建造物の床下や天井裏等の閉空間において、死角を回避するための動作に要する時間を短縮可能な点検ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の特徴は、任意の閉空間を点検するための点検ロボットであって、閉空間内の走行面上を移動するための移動機構と、撮像時におけるズーム倍率が可変であり、閉空間内の被写体を撮像する回動可能な撮像ユニットと、撮像ユニットを用いて、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像する第1点検制御部と、第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の一部又は全部の範囲を、撮像ユニットを用いて、第1ズーム倍率よりもズーム倍率の高い第2ズーム倍率で自動撮像する第2点検制御部とを備え、第1及び第2点検制御部は、移動機構又は撮像ユニットの少なくとも一方を制御することで、被写体における撮像位置を順次シフトすることを要旨とする。ここで、「閉空間」とは、例えば建造物の床下や天井裏等を意味する。なお、建造物の床下等が複数の区画に区切られている場合には、床下全体を「閉空間」とみなしても良く、各区画を「閉空間」とみなしても良い。また、「被写体」とは、例えば建造物の床下や天井裏の壁面(例えば基礎壁面)及び柱や設置物等を意味する。「シフト」とは、被写体において現在撮像中の撮像位置に連続した隣の撮像位置を撮像することを意味する。
【0013】
この特徴によれば、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像するとともに、第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の一部又は全部の範囲を、第1ズーム倍率よりもズーム倍率の高い第2ズーム倍率で自動撮像することによって、低倍率のズーム倍率で周囲の把握をしつつ、高倍率のズーム倍率で高精度に点検を行うことが可能となる。したがって、短時間で効率の良い点検を実現できる。更に、移動機構又は撮像ユニットの少なくとも一方を制御することで、被写体における撮像位置を順次シフトすることによって、点検漏れのない点検を行うことを可能としている。
【0014】
本発明の一の特徴は、第1点検制御部は、点検ロボットの位置を維持するとともに、撮像位置を順次シフトしながら、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像して、第2ズーム倍率による自動撮像が必要な箇所又は範囲を特定し、第2点検制御部は、点検ロボットの位置を維持しながら、上記特定された箇所又は範囲を第2ズーム倍率で自動撮像することを要旨とする。
【0015】
この特徴によれば、移動を伴わないために短時間での概略点検が可能である。また、詳細点検についても、概略点検で特定(指定)された箇所又は範囲に対して実行されるため、短時間で完了可能となる。以下においては、このような概略点検と詳細点検との組み合わせを「点検タスク1」と呼ぶ。
【0016】
本発明の一の特徴は、第1点検制御部は、点検ロボットの位置を維持するとともに、撮像位置を順次シフトしながら、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像し、第2点検制御部は、点検ロボットの位置を維持しながら、第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の全範囲を第2ズーム倍率で自動撮像することを要旨とする。
【0017】
この特徴によれば、移動を伴わないために短時間での概略点検が可能である。また、概略点検の全範囲について詳細点検を行うため、漏れなく高精度な点検を行うことができる。以下においては、このような概略点検と詳細点検との組み合わせを「点検タスク2」と呼ぶ。
【0018】
本発明の一の特徴は、第1点検制御部は、被写体に沿って点検ロボットを移動するとともに、撮像位置を順次シフトしながら、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像して、第2ズーム倍率による自動撮像が必要な箇所又は範囲を特定し、第2点検制御部は、点検ロボットの位置を維持しながら、上記特定された箇所又は範囲を第2ズーム倍率で自動撮像することを要旨とする。
【0019】
この特徴によれば、移動を伴うために第1及び点検タスク2よりも概略点検に長時間を要するが、障害物が多い場合に有効である。なお、ここでいう「障害物」とは、移動を妨げる障害物ではなく、撮像装置と被写体との間に存在し、撮像を妨げる障害物を意味する。詳細点検については、概略点検で特定された箇所又は範囲に対して実行されるため、短時間で完了可能となる。以下においては、このような概略点検と詳細点検との組み合わせを「点検タスク3」と呼ぶ。
【0020】
本発明の一の特徴は、第1点検制御部は、点検ロボットの位置を維持するとともに、撮像位置を順次シフトしながら、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像し、第2点検制御部は、被写体に沿って点検ロボットを移動しながら、第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の全範囲を第2ズーム倍率で自動撮像することを要旨とする。
【0021】
この特徴によれば、移動を伴わないために短時間での概略点検が可能である。また、概略点検の全範囲について詳細点検を行うため、漏れなく高精度な点検を行うことができる。更に、移動を伴うために第1〜点検タスク3よりも詳細点検に長時間を要するが、障害物(撮像を妨げる障害物)が多い場合に有効である。以下においては、このような概略点検と詳細点検との組み合わせを「点検タスク4」と呼ぶ。
【0022】
本発明の一の特徴は、撮像ユニットの撮像方向上、且つ撮像ユニットと被写体との間に障害物が存在する場合、走行面と平行な面内で、撮像方向に対する点検ロボットの前後方向のなす角度が許容範囲内であるかを判定する判定部を更に備え、第1及び第2点検制御部は、撮像方向に対する前後方向のなす角度が許容範囲内であると判定された場合、方向転換を行わずに前後進移動を実行して死角を回避し、撮像方向に対する前後方向のなす角度が許容範囲外であると判定された場合には、許容範囲内となるように旋回角度が小さい方向へ方向転換を実行した後に前後進移動を実行して死角を回避することを要旨とする。
【0023】
この特徴によれば、移動機構が全方向移動型でない場合であっても、方向転換のための旋回動作を行うことなく、障害物に起因する死角を回避することができる。したがって、死角回避動作に要する時間を短縮可能となる。また、方向転換のための旋回動作を行う場合であっても、許容範囲内となるための必要最小限の旋回動作とすることで、死角回避動作に要する時間を短縮可能となる。
【0024】
本発明の一の特徴は、第1及び第2点検制御部は、走行面と平行な面内で、撮像位置を一定方向へ順次シフトし、撮像方向に対する前後方向のなす角度が許容範囲内である場合には、上記一定方向に一致するような方向に前進移動又は後進移動し、撮像方向に対する前後方向のなす角度が許容範囲外である場合には、方向転換した後、上記一定方向に一致するような方向に前進移動又は後進移動することを要旨とする。
【0025】
この特徴によれば、撮像順方向への死角回避動作を優先させることによって、回避した障害物が再び死角を作ることを回避できる。このため、死角回避の効率が向上し、死角回避に要する時間を短縮可能となる。
【0026】
本発明の特徴は、任意の閉空間を点検するための点検ロボットであって、閉空間内の走行面上を前後進移動及び方向転換するための移動機構と、閉空間内の被写体を撮像する回動可能な撮像ユニットと、移動機構又は撮像ユニットの少なくとも一方を制御することで被写体における撮像位置を順次シフトしながら、撮像ユニットを用いて被写体を自動撮像する点検制御部と、撮像ユニットの撮像方向上、且つ撮像ユニットと被写体との間に障害物が存在する場合、撮像方向に対する点検ロボットの前後方向のなす角度が許容範囲内であるかを判定する判定部とを備え、点検制御部は、撮像方向に対する前後方向のなす角度が許容範囲内であると判定された場合、方向転換を行わずに前後進移動を実行して死角を回避し、撮像方向に対する前後方向のなす角度が許容範囲外であると判定された場合には、許容範囲内となるように旋回角度が小さい方向へ方向転換を実行した後に前後進移動を実行して死角を回避することを要旨とする。
【0027】
この特徴によれば、移動機構が全方向移動型でない場合であっても、方向転換のための旋回動作を行うことなく死角を回避することができる。したがって、死角回避動作に要する時間を短縮可能となる。
【0028】
本発明の一の特徴は、点検制御部は、走行面と平行な面内で、撮像位置を一定方向へ順次シフトし、撮像方向に対する前後方向のなす角度が許容範囲内である場合には、上記一定方向に一致するような方向に前進移動又は後進移動し、撮像方向に対する前後方向のなす角度が許容範囲外である場合には、方向転換した後、上記一定方向に一致するような方向に前進移動又は後進移動することを要旨とする。
【0029】
この特徴によれば、撮像順方向への死角回避動作を優先させることによって、回避した障害物が再び死角を作ることを回避できる。このため、死角回避の効率が向上し、死角回避に要する時間を短縮可能となる。
【0030】
本発明の一の特徴は、点検制御部は、撮像ユニットを用いて、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像するとともに、第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の一部又は全部の範囲を、第1ズーム倍率よりもズーム倍率の高い第2ズーム倍率で自動撮像することを要旨とする。
【0031】
この特徴によれば、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像するとともに、第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の一部又は全部の範囲を、第1ズーム倍率よりもズーム倍率の高い第2ズーム倍率で自動撮像することによって、低倍率のズーム倍率で周囲の把握をしつつ、高倍率のズーム倍率で高精度に点検を行うことが可能となる。したがって、短時間で効率の良い点検を実現できる。
【0032】
本発明の一の特徴は、点検制御部は、点検ロボットの位置を維持するとともに、撮像位置を順次シフトしながら、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像して、第2ズーム倍率による自動撮像が必要な箇所又は範囲を特定する。更に、点検制御部は、点検ロボットの位置を維持しながら、上記特定された箇所又は範囲を第2ズーム倍率で自動撮像することを要旨とする。
【0033】
この特徴によれば、上述した点検タスク1と同様の効果を得ることができる。
【0034】
本発明の一の特徴は、点検制御部は、点検ロボットの位置を維持するとともに、撮像位置を順次シフトしながら、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像する。更に、点検制御部は、点検ロボットの位置を維持しながら、第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の全範囲を第2ズーム倍率で自動撮像することを要旨とする。
【0035】
この特徴によれば、上述した点検タスク2と同様の効果を得ることができる。
【0036】
本発明の一の特徴は、点検制御部は、被写体に沿って点検ロボットを移動するとともに、撮像位置を順次シフトしながら、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像して、第2ズーム倍率による自動撮像が必要な箇所又は範囲を特定する。更に、点検制御部は、点検ロボットの位置を維持しながら、上記特定された箇所又は範囲を第2ズーム倍率で自動撮像することを要旨とする。
【0037】
この特徴によれば、上述した点検タスク3と同様の効果を得ることができる。
【0038】
本発明の一の特徴は、点検制御部は、点検ロボットの位置を維持するとともに、撮像位置を順次シフトしながら、被写体を第1ズーム倍率で自動撮像する。更に、点検制御部は、被写体に沿って点検ロボットを移動しながら、第1ズーム倍率で自動撮像された被写体の全範囲を第2ズーム倍率で自動撮像することを要旨とする。
【0039】
この特徴によれば、上述した点検タスク4と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、建造物の床下や天井裏等の閉空間において、短時間で点検漏れのない効率の良い点検を実現可能な点検ロボットを提供できる。
【0041】
更に、本発明によれば、建造物の床下や天井裏等の閉空間において、死角を回避するための動作に要する時間を短縮可能な点検ロボットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2実施形態を説明する。以下の第1及び第2実施形態における図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0043】
なお、以下の第1及び第2実施形態においては、建造物の床下の点検を行う点検システム及び点検ロボットについて説明する。
【0044】
[第1実施形態]
(点検システムの全体構成例)
先ず、第1実施形態に係る床下点検システム全体の構成例について説明する。図1は、第1実施形態に係る床下点検システムの全体構成図である。
【0045】
第1実施形態に係る床下点検システムは、点検ロボット1aと、無線通信によって点検ロボット1aを遠隔操作する操作端末2とを有する。操作端末2としては、例えばノートPCが使用できる。
【0046】
点検ロボット1aは、建造物の床下空間A1を点検する。具体的には、点検ロボット1aは、建造物の床下空間A1内を撮像し、撮像して得られた撮像データを操作端末2へ送信する。
【0047】
操作端末2は、点検ロボット1aから受信した撮像データをリアルタイムにユーザに対して表示する。更に、操作端末2は、ユーザ入力に応じて、点検ロボット1aを操作する操作コマンドを点検ロボット1aへ送信し、点検ロボット1aを遠隔操作する。
【0048】
また、点検ロボット1aには、床下空間A1内を点検するための点検シーケンスがあらかじめ複数設定されており、操作端末2によって選択された点検シーケンスを自動的に実行可能なように構成されている。
【0049】
特に、点検ロボット1aには、低倍率ズームを用いて自動撮像を行う点検シーケンスと、高倍率ズームを用いて自動撮像を行う点検シーケンスとを組み合わせた「点検タスク」があらかじめ複数設定されており、これらの点検タスクのいずれかを操作端末2によって選択可能なように構成されている。この結果、床下空間A1内の環境に適した点検作業を実行可能となり、短時間で効率の良い点検を実現可能としている。
【0050】
(点検ロボットの構成例)
次に、点検ロボット1aの構成例について説明する。図2は、点検ロボット1aの外観を示す図である。なお、図2(a)は点検ロボット1aの側面視を示す図であり、図2(b)は点検ロボット1aの正面視を示す図であり、図2(c)は点検ロボット1aの上面視を示す図である。
【0051】
点検ロボット1aは、床下空間A1内において、走行面Sr上を走行する。具体的には、点検ロボット1aは、図2(a)〜(c)に示すように、前輪11aと、後輪11bと、クローラ12と、撮像ユニット13と、前方センサ(障害物センサ)142l,142rと、側方センサ(距離センサ)141とを備える。
【0052】
前輪11a及び後輪11bは、クローラ12を回転させる駆動輪である。また、左クローラ12lと右クローラ12rとは独立して駆動可能であり、左右輪独立駆動型の移動機構を構成している。したがって、点検ロボット1aは、超信地旋回(その場旋回)により方向転換可能である。
【0053】
クローラ12は、前輪11a及び後輪11bに掛け渡されており、走行面の凹凸等を吸収する。
【0054】
撮像ユニット13は、走行面Srと平行及び垂直な面内で、回動可能に構成されており、床下空間A1内を撮像するカメラ131を有している。具体的には、撮像ユニット13は、カメラ131を左右方向(パン方向)に回動させるとともに、カメラ131を上下方向(チルト方向)に回動させる。
【0055】
前方センサ(障害物センサ)142l,142rは、点検ロボット1aの前方に存在する障害物を検出する。側方センサ(距離センサ)141は、例えば、被写体と平行移動する際に使用される。
【0056】
続いて、図3に示す機能ブロック図を参照して、点検ロボット1aの構成例について説明する。
【0057】
点検ロボット1aは、移動機構120と、撮像ユニット13と、センサ14と、制御部100aと、記憶部150aと、無線通信部161とを備える。
【0058】
移動機構120は、床下空間A1内の走行面上を移動するためのものであり、上述したクローラ12やモータ121等を備える。
【0059】
撮像ユニット13は、床下空間A1内の被写体を回動可能に撮像する。具体的には、撮像ユニット13は、カメラ131と、チルト機構132と、パン機構133と、ズーム機構134と、フォーカス機構135とを備える。なお、床下空間A1内を照明する照明装置が、撮像ユニット13に備えられていても良い。
【0060】
カメラ131は例えばCCDカメラであり、カメラ131から得られた撮像データは、制御部100a及び無線通信部161を介して操作端末2に送信される。
【0061】
チルト機構132は、カメラ131をチルト方向に回動させる。パン機構133は、カメラ131をパン方向に回動させる。
【0062】
ズーム機構134は、カメラ131のズーム倍率を変更する。ズーム機構134としては光学ズームが利用できる。フォーカス機構135は、カメラ131をオートフォーカス制御する。
【0063】
制御部100aは、点検シーケンス設定部101と、第1点検制御部102と、第2点検制御部103と、操作コマンド処理部104と、ズーム倍率調整部105と、フォーカス制御部106とを備える。
【0064】
点検シーケンス設定部101は、操作端末2によって選択された点検シーケンス(点検タスク)を第1及び第2点検制御部102,103に設定する。
【0065】
第1点検制御部102は、点検シーケンス設定部101よって設定された点検シーケンスに従い、撮像ユニット13を用いて、被写体を低倍率ズームで自動撮像する。以下においては、この低倍率ズームで自動撮像を行う点検動作を「概略点検」と呼ぶ。
【0066】
この概略点検においては、概略点検を行う被写体の範囲が、操作端末2によってあらかじめ指示される。あるいは、操作端末2によって概略点検の終了指示がなされるまで連続自動撮像が実行される。
【0067】
概略点検シーケンスの実行中において、操作端末2側では、低倍率画像を表示することで、低倍率画像で検出可能な問題がユーザによって判断される。同時に、ユーザは、操作端末2を用いて、高倍率ズームで撮像すべき箇所又は範囲を指示しても良い。
【0068】
第2点検制御部103は、点検シーケンス設定部101よって設定された点検シーケンスに従い、低倍率ズームで自動撮像された被写体の一部又は全部の範囲を、撮像ユニット13を用いて高倍率ズームで自動撮像する。以下においては、この高倍率ズームで自動撮像を行う点検動作を「詳細点検」と呼ぶ。
【0069】
この詳細点検の実行中において、操作端末2側では、高倍率画像を表示することで、高倍率画像で検出可能な問題(例えばクラック等)がユーザによって判断される。
【0070】
また、第1及び第2点検制御部102,103は、移動機構120又は撮像ユニット13の少なくとも一方を制御することで、被写体における撮像位置を順次シフトする。
【0071】
具体的には、第1及び第2点検制御部102,103は、被写体の撮像中に、移動機構120を用いて前後進移動したり、超信地旋回したりして、撮像位置を順次シフトする。あるいは、第1及び第2点検制御部102,103は、被写体の撮像中に、撮像ユニット13のチルト機構132及びパン機構133を用いて、撮像位置を順次シフトする。
【0072】
操作コマンド処理部104は、操作端末2から送信され、無線通信部161が受信した操作コマンドを受け付け、操作コマンドに従った処理を実行する。上述した概略点検シーケンス及び詳細点検シーケンスを実行しない場合、つまり操作端末2が撮像ユニット13及び移動機構120の動作を制御する場合には、操作コマンド処理部104によって撮像ユニット13及び移動機構120が制御される。
【0073】
ズーム倍率調整部105は、撮像ユニット13のズーム機構134を制御する。ここで、概略点検及び詳細点検を行うに当たり、適した撮像スケール(被写体までの距離と光学ズーム率)が存在する。このため、ズーム倍率調整部105は、概略点検及び詳細点検に適した撮像スケールとなるように、光学ズーム率を調整する。なお、被写体までの距離の計測には、カメラ131のフォーカス値が利用される。
【0074】
フォーカス制御部106は、撮像ユニット13のフォーカス機構135を制御する。また、フォーカス制御部106は、被写体を撮像中に、障害物にフォーカスが移動した場合、フォーカス値を補正する機能を有する。
【0075】
具体的には、フォーカス制御部106は、連続して被写体を自動撮像中に、カメラ131のフォーカス値を読み込み、そのフォーカス値が大きく変動した際、障害物にフォーカスが移動したと判定する。なお、フォーカス値の補正処理の詳細については後述する。
【0076】
記憶部150aは、点検シーケンス情報記憶部151と、被写体箇所/範囲記憶部152と、ズーム倍率情報記憶部153と、フォーカス値記憶部154とを備える。
【0077】
点検シーケンス情報記憶部151は、上述した概略点検シーケンス及び詳細点検シーケンスを実行するための制御プログラムをあらかじめ記憶している。この制御プログラムにより、第1及び第2点検制御部102,103の機能が実現され、点検ロボット1aが自動的に点検作業を行うことができる。
【0078】
被写体箇所/範囲記憶部152は、概略点検を実行する被写体の範囲を指定するための情報や、概略点検中に操作端末2によって指定された詳細点検の必要な箇所又は範囲を示すための情報を記憶する。
【0079】
ズーム倍率情報記憶部153は、ズーム倍率調整部105がカメラ131の光学ズーム率を調整するためのテーブルや、ズーム機構134がカメラ131に設定しているズーム倍率の情報等を記憶する。なお、このテーブルは、フォーカス値と、光学ズーム率と、被写体までの距離とを対応づけて記憶するものである。
【0080】
また、ズーム倍率情報記憶部153には、概略点検及び詳細点検のそれぞれについて、適した(目標の)撮像スケール(被写体までの距離と光学ズーム率)の情報が記憶されている。この目標の撮像スケールは、随時更新可能である。
【0081】
フォーカス値記憶部154は、フォーカス機構135がカメラ131に設定しているフォーカス値を記憶する。
【0082】
なお、無線通信部161は、例えば無線LANによって構成され、操作端末2と無線通信を行う。
【0083】
(操作端末の構成例)
次に、操作端末2の構成例について説明する。図4は、操作端末2の構成例を示す機能ブロック図である。
【0084】
操作端末2は、入力部21と、点検シーケンス選択部22と、操作コマンド制御部23と、無線通信部24と、表示制御部25と、表示部26とを備える。
【0085】
入力部21は、例えばキーボード又はマウス等により構成され、ユーザ入力を受け付ける。
【0086】
点検シーケンス選択部22は、入力部21が受け付けたユーザ入力に応じて、点検ロボット1aに実行させる点検タスクを選択する。
【0087】
操作コマンド制御部23は、入力部21が受け付けたユーザ入力に応じて、点検ロボット1aに送信する操作コマンドを制御する。
【0088】
無線通信部24は、例えば無線LANであり、点検ロボット1a側の無線通信部161と無線通信を実行する。
【0089】
表示制御部25は、無線通信部24が点検ロボット1aから受信したデータ(例えば、撮像データ及び各種センサデータ)を表示部26上に表示させる。
【0090】
(床下環境の一例)
次に、床下空間A1内の環境の一例について説明する。図5は、床下環境の一例を示す図である。
【0091】
床下空間A1は、高さ32cm〜37cm程度の空間であり、基礎により長方形の区画に区切られている。区画間には通気口と呼ばれる高さ30cm、幅60cm程度の穴が存在(1区画当たり2箇所程度)する。点検ロボット1aは、床下点検時にはこの通気口を通過して隣の区画へと移動する。また、ケーブルやパイプ等が、床下天井からぶら下がっていたり、床下地面(点検ロボット1aの走行面Sr)を這い回っていたりする。
【0092】
更に、基礎近くには配管が存在し、束と呼ばれる細い柱があらゆる場所に存在する。束を固定するための束基礎と呼ばれる5cm程度の高さのコンクリ台が存在する。なお、床下地面(点検ロボット1aの走行面Sr)がコンクリである場合には、床下地面に束が直接固定されており、束基礎が存在しない場合もある。
【0093】
床下点検時に確認すべき内容としては、大きく2種類に分類される。1つは、小動物の死骸等、低倍率で全体を撮像した方が確認しやすいものであり、もう1つは、基礎のクラック等、高倍率で撮像しなければ確認できないものである。ただし、高倍率画像でなければ確認できないものであっても、低倍率画像によって点検候補箇所を探し出すことは可能である。
【0094】
(点検タスク)
次に、点検ロボット1aが実行する点検タスク1〜4について説明する。
【0095】
(1)点検タスク1
先ず、図6を参照して、点検タスク1について説明する。図6(a)は、点検タスク1に適用される概略点検シーケンスを示し、図6(b)は、点検タスク1に適用される詳細点検シーケンスを示している。
【0096】
概略点検シーケンスでは、点検ロボット1aは、操作端末2によって概略点検範囲があらかじめ指示されるか、終了指示があるまで、被写体を低倍率ズームで自動撮像する。また、点検ロボット1aは、カメラ131のパン駆動、又は移動機構120による超信地旋回を行うことで、撮像位置を順次シフトする。よって、点検ロボット1aは、位置を変更することなく概略点検を行う。
【0097】
更に、概略点検シーケンスの実行中は、操作端末2において、撮像画像を表示し、ユーザによって詳細点検の必要有無が判断される。詳細点検が必要である箇所又は範囲が指定された場合には、その箇所又は範囲を記憶して、詳細点検シーケンスへ移行する。以下においては、このような概略点検シーケンスを「第1概略点検シーケンス」と呼ぶ。
【0098】
一方、詳細点検シーケンスでは、点検ロボット1aは、概略点検時に指定された箇所又は範囲を高倍率ズームにて自動撮像する。ここで、ズーム倍率が不足している場合には、点検ロボット1aは、被写体へ自律接近し、その後自律復帰を行っても良い。更に、点検ロボット1aは、カメラ131のパン・チルト駆動によって、撮像位置を順次シフトする。また、詳細点検シーケンスの実行中は、操作端末2において、撮像画像を表示し、ユーザによって問題有無が判断される。以下においては、このような詳細点検シーケンスを「第1詳細点検シーケンス」と呼ぶ。概略点検が指示されている範囲の点検が未完了の場合には、第1概略点検シーケンスが再度実行される。
【0099】
(2)点検タスク2
次に、図7を参照して、点検タスク2について説明する。図7(a)は、点検タスク2に適用される概略点検シーケンスを示し、図7(b)は、点検タスク2に適用される詳細点検シーケンスを示している。
【0100】
概略点検シーケンスでは、点検ロボット1aは、操作端末2によって概略点検範囲があらかじめ指示されるか、終了指示があるまで、被写体を低倍率ズームで自動撮像する。また、点検ロボット1aは、撮像位置を順次シフトするために、カメラ131をパン駆動する、又は移動機構120を用いて超信地旋回を行う。
【0101】
概略点検シーケンスの実行において、操作端末2では、撮像画像を表示して、ユーザによって問題有無が判断される。あらかじめ指示された範囲の概略点検が完了した場合、又は終了指示があった場合には、詳細点検シーケンスへ移行する。以下においては、このような概略点検シーケンスを「第2概略点検シーケンス」と呼ぶ。
【0102】
一方、詳細点検シーケンスでは、点検ロボット1aは、概略点検が行われた全範囲を高倍率ズームにて自動撮像する。ここで、点検ロボット1aは、撮像位置を順次シフトするために、カメラ131のパン・チルト駆動、移動機構120による超信地旋回を行う。
【0103】
詳細点検シーケンスの実行中は、操作端末2において、撮像画像に対する画像処理により、疑わしい画像が選出される。この結果、疑わしい画像に対して問題有無が判断される。以下においては、このような詳細点検シーケンスを「第2詳細点検シーケンス」と呼ぶ。
【0104】
(3)点検タスク3
次に、図8を参照して、点検タスク3について説明する。図8(a)は、点検タスク3に適用される概略点検シーケンスを示し、図8(b)は、点検タスク3に適用される詳細点検シーケンスを示している。
【0105】
概略点検シーケンスでは、点検ロボット1aは、撮像位置を順次シフトするために、移動機構120を用いて被写体(壁面)と平行に移動、及び超信地旋回を行う。また、点検ロボット1aは、操作端末2から終了指示があるまで、被写体を低倍率ズームで自動撮像する。
【0106】
概略点検シーケンスの実行において、操作端末2では、撮像画像を表示して、ユーザによって問題の有無、及び詳細点検の必要有無が判断される。詳細点検が必要である箇所又は範囲が発見された場合には、その箇所又は範囲を記憶して、詳細点検シーケンスへ移行する。以下においては、このような概略点検シーケンスを「第3概略点検シーケンス」と呼ぶ。
【0107】
一方、詳細点検シーケンスでは、上述した第1詳細点検シーケンスと同様の点検シーケンスが実行される。
【0108】
(4)点検タスク4
次に、図9を参照して、点検タスク4について説明する。図9(a)は、点検タスク4に適用される概略点検シーケンスを示し、図9(b)は、点検タスク4に適用される詳細点検シーケンスを示している。
【0109】
概略点検シーケンスでは、上述した第2概略点検シーケンスと同様の点検シーケンスが実行される。
【0110】
一方、詳細点検シーケンスでは、点検ロボット1aは、概略点検が行われた全範囲を高倍率ズームにて自動撮像する。ここで、点検ロボット1aは、撮像位置を順次シフトするために、カメラ131のパン・チルト駆動、移動機構120による壁面平行移動、及び超信地旋回を行う。
【0111】
詳細点検シーケンスの実行中は、操作端末2において、撮像画像に対する画像処理により、疑わしい画像が選出される。この結果、疑わしい画像に対して問題有無が判断される。以下においては、このような詳細点検シーケンスを「第3詳細点検シーケンス」と呼ぶ。
【0112】
(5)各点検タスクの比較
続いて、点検タスク1〜4を比較して説明する。図10は、点検タスク1〜4を比較するための図である。
【0113】
点検タスク1は、概略点検及び詳細点検のいずれにおいても点検ロボット1aの移動を伴わないため、短時間での点検が可能であるが、障害物(撮像を妨げる障害物)が多い場合は不向きである。また、概略点検時に指定された箇所・範囲についてのみ詳細点検を行うため、詳細点検を短時間で行うことができる。
【0114】
点検タスク2は、点検タスク1と同様に、概略点検及び詳細点検のいずれにおいても点検ロボット1aの移動を伴わないため、短時間での点検が可能であるが、障害物(撮像を妨げる障害物)が多い場合は不向きである。また、概略点検の全範囲について詳細点検を行うため、漏れなく詳細点検を行うことができるが、点検タスク1と比較して詳細点検に要する時間が増大する。
【0115】
点検タスク3は、概略点検時に、点検ロボット1aの移動を伴うため、概略点検に要する時間が増大するが、障害物(撮像を妨げる障害物)が多い場合に有効である。また、概略点検時に指定された箇所・範囲についてのみ詳細点検を行うため、詳細点検を短時間で行うことができる。
【0116】
点検タスク4は、詳細点検時に、点検ロボット1aの移動を伴うため、詳細点検に要する時間が増大するが、障害物(撮像を妨げる障害物)が多い場合に有効である。また、概略点検の全範囲について詳細点検を行うため、漏れなく詳細点検を行うことができるが、詳細点検に要する時間が増大する。
【0117】
なお、以下においては、説明の便宜上、第1〜第3概略点検シーケンス及び第1〜第3詳細点検シーケンスのそれぞれを、必要に応じて「点検モジュール」と呼ぶ。また、点検そのものではないが、点検を補助するための機能を「点検サブモジュール」と呼ぶ。この点検サブモジュールには、後述する死角回避のための移動機能等が含まれる。
【0118】
点検ロボット1aは、点検タスクの選択機能に加えて、点検モジュール単体を選択可能なように構成されていても良い。この場合、図4の点検シーケンス選択部22は、ユーザ入力に応じて、点検ロボット1aに実行させる点検モジュールを選択する機能を有する。
【0119】
(詳細点検の具体例)
次に、詳細点検の具体例について説明する。図11は、詳細点検の具体例を説明するための図である。
【0120】
詳細点検には、(1)指示箇所のみ、(2)指示箇所周辺、(3)指示範囲、(4)指示高さ指定、の4つの種類が設けられている。
【0121】
「指示箇所のみ」、「指示箇所周辺」、「指示範囲」の3つは、概略点検時に指定された箇所・範囲についてのみ詳細点検を行う場合、すなわち上述した点検タスク1及び3で利用される。
【0122】
これに対して、「指示高さ指定」は、概略点検の全範囲について詳細点検を行う場合、すなわち上述した点検タスク2及び4で利用される。
【0123】
「指示箇所のみ」では、概略点検時に、詳細点検の必要な箇所が指定されており、点検ロボット1aは、指定された箇所を高倍率ズームで拡大撮像する。
【0124】
「指示箇所周辺」では、概略点検時に、詳細点検の必要な箇所が指定されており、点検ロボット1aは、指定された箇所周辺に対して、撮像位置を順次シフトしつつ、高倍率ズームで拡大撮像する。
【0125】
「指示範囲」では、概略点検時に、詳細点検の必要な範囲が指定されており、点検ロボット1aは、指定された範囲に対して、撮像位置を順次シフトしつつ、高倍率ズームで拡大撮像する。
【0126】
「指示高さ指定」では、詳細点検を行う高さと、範囲と、点検方向とが指定され、点検ロボット1aは、指定された高さ及び範囲に対して、撮像位置を順次シフトしつつ、高倍率ズームで拡大撮像する。
【0127】
(点検シーケンスの全体概略フロー)
次に、点検ロボット1aが実行する点検シーケンスの全体概要フローについて説明する。図12は、点検ロボット1aが実行する点検シーケンスの全体概要フローを示すフローチャートである。
【0128】
図12のステップS101において、点検ロボット1aが、点検口(床下空間A1の入り口)より床下空間A1に投入される。
【0129】
ステップS102において、操作端末2は、遠隔操作により、点検ロボット1aを床下空間A1内の点検未完了箇所へ移動させる。
【0130】
ステップS103において、操作端末2は、遠隔操作により、点検ロボット1aの撮像方向(カメラ方向)を制御して、床下空間A1内の点検開始地点に撮像方向を設定する。
【0131】
ステップS104において、点検タスク、若しくは点検モジュールを使用するか否かが判定される。点検タスク、若しくは点検モジュールを使用する場合には、ステップS105の処理に移行する。一方、点検タスク、若しくは点検モジュールを使用しない場合には、ステップS106の処理に移行する。
【0132】
ステップS105において、ユーザ入力に応じて、点検タスク、若しくは点検モジュールが選択される。
【0133】
ステップS106において、点検ロボット1aは、操作端末2による遠隔操作によって、撮像、点検、画像保存等を行う。
【0134】
ステップS107において、点検ロボット1aは、点検タスク、若しくは点検モジュールに従った点検シーケンスを実行する。ステップS106及びS107では、上述した点検サブモジュールが随時利用される。
【0135】
ステップS108において、点検を継続するか否かが判定される。点検を継続する場合には、ステップS102の処理に戻る。点検を終了する場合には、ステップS109の処理に移行する。
【0136】
ステップS109において、操作端末2は、遠隔操作により、点検ロボット1aを点検口まで移動する。
【0137】
ステップS110において、点検ロボット1aが点検口より回収され、点検作業が完了する。
【0138】
(概略点検シーケンスの具体例)
次に、点検ロボット1aの第1点検制御部102が実行する概略点検シーケンスの具体例について説明する。図13は、上記点検タスク1を実行する際の概略点検シーケンス(第1概略点検シーケンス)を示すフローチャートである。
【0139】
図13のステップS201において、第1点検制御部102は、ズーム機構134に対して、光学ズーム倍率を低倍率に設定する。この結果、第1点検制御部102は、低倍率ズームにて被写体の自動撮像を行う。自動撮像によって得られた撮像データは、操作端末2に送信される。
【0140】
ステップS202において、操作端末2は、撮像データを一時的に記憶する。また、操作端末2の表示制御部25は、表示部26上に画像データを表示する。
【0141】
ステップS203において、画像データ上に問題箇所があるか否かがユーザによって判断される。画像データ上に問題箇所がある場合には、ステップS204の処理に移行する。一方、画像データ上に問題箇所がない場合には、ステップS205の処理に移行する。
【0142】
ステップS204において、ステップS203で問題箇所があると判定された画像データが、操作端末2に保存される。
【0143】
ステップS205において、画像データ上に詳細点検の候補箇所があるか否かがユーザによって判定される。画像データ上に詳細点検の候補箇所がある場合には、ステップS206の処理に移行する。一方、画像データ上に詳細点検の候補箇所がない場合には、ステップS207の処理に移行する。
【0144】
ステップS206において、第2点検制御部103は、詳細点検(第1詳細点検シーケンス)を実行する。詳細点検が完了すると、ステップS207の処理に移行する。
【0145】
ステップS207において、概略点検を継続するか否かが判定される。概略点検を継続する場合には、ステップS208の処理に移行する。概略点検を終了する場合には、点検シーケンスが終了する。
【0146】
ステップS208において、第1点検制御部102は、次の撮像区画へカメラ131のパン・チルト制御を行う。
【0147】
ステップS209において、必要に応じて障害物へのフォーカス移動回避処理が実行される。この処理の詳細については後述する。
【0148】
(詳細点検シーケンスの全体概要フロー)
次に、第2点検制御部103が実行する詳細点検シーケンスの全体概要フローについて説明する。図14は、詳細点検シーケンスの全体概要フローを示すフローチャートである。
【0149】
図14のステップS301において、点検モジュールを使用するか否かが判定される。点検モジュールを使用する場合には、ステップS302の処理に移行する。一方、点検モジュールを使用しない場合には、ステップS303の処理に移行する。 ステップS303では、点検ロボット1aは、操作端末2による遠隔操作によって、撮像、点検、画像保存等を行う。
【0150】
ステップS302において、ユーザのユーザ入力に応じて、詳細点検種類、すなわち図11の(1)〜(4)のいずれかが選択される。
【0151】
ステップS304において、点検ロボット1aは、ステップS302で選択された詳細点検を実行する。
【0152】
ステップS305において、詳細点検を継続するか否かが判定される。詳細点検を継続する場合には、ステップS301の処理に戻る。
【0153】
(詳細点検シーケンスの具体例)
次に、第2点検制御部103が実行する詳細点検シーケンスの具体例について説明する。図15は、図11の(2)「指示箇所周辺」又は(3)「指示範囲」の詳細点検を実行する場合の処理フローを示すフローチャートである。
【0154】
図15のステップS401において、操作端末2によって、詳細点検を行う範囲が指示される。詳細点検を行う範囲を示す情報は、被写体箇所/範囲記憶部152に記憶される。
【0155】
ステップS402において、第2点検制御部103は、光学ズーム倍率を高倍率に設定する。この結果、高倍率ズームにて被写体の撮像が行われる。撮像して得られた画像データは、操作端末2に送信される。
【0156】
ステップS403において、画像データ上に問題点があるか否かが判定される。画像データ上に問題点がある場合には、ステップS404の処理に移行する。一方、画像データ上に問題点がない場合には、ステップS406の処理に移行する。
【0157】
ステップS404において、問題箇所があると判定された画像データが保存される。
【0158】
ステップS405において、問題有無及びパン・チルト角度と、画角とが保存される。
【0159】
ステップS406において、第2点検制御部103は、ステップS401で指示された範囲内で撮像を継続するか否かを判定する。ステップS401で指示された範囲内で撮像を継続する場合には、ステップS407の処理に移行する。一方、ステップS401で指示された範囲内で撮像を終了する場合には、ステップS409の処理に移行する。
【0160】
ステップS407において、第2点検制御部103は、次の撮像区画へカメラ131のパン・チルト制御を行う。
【0161】
ステップS408において、必要に応じて障害物へのフォーカス移動回避処理が実行される。この処理の詳細については後述する。
【0162】
ステップS409においては、第2点検制御部103は、光学ズーム倍率を低倍率に設定して、詳細点検シーケンスが終了する。
【0163】
(ズーム率自動設定フロー)
次に、ズーム倍率調整部105が実行するズーム率自動設定フローについて説明する。図16は、ズーム率自動設定フローを示すフローチャートである。
【0164】
図16のステップS501において、ズーム倍率調整部105は、フォーカス値記憶部154からフォーカス値を取得する。
【0165】
ステップS502において、ズーム倍率調整部105は、ズーム倍率情報記憶部153から光学ズーム率を取得する。
【0166】
ステップS503において、ズーム倍率調整部105は、ズーム倍率情報記憶部153から、フォーカス値と、光学ズーム率と、被写体までの距離とを対応づけたテーブルを読み込む。
【0167】
ステップS504において、ズーム倍率調整部105は、ステップS503で読み込んだテーブルと、ステップS501及びS502でそれぞれ取得されたフォーカス値及び光学ズーム率とに基づき、被写体までの距離を算出する。
【0168】
ステップS505において、ズーム倍率調整部105は、ズーム倍率情報記憶部153から、撮像スケール(被写体までの距離と光学ズーム率)の目標値を読み込む。
【0169】
ステップS506において、ズーム倍率調整部105は、ステップS504で算出された被写体までの距離と、ステップS505で読み込んだ撮像スケール目標値とに基づき、撮像スケール目標値とするための光学ズーム率を算出する。
【0170】
ステップS507において、ズーム倍率調整部105は、ズーム機構134に対して、ステップS506で算出された光学ズーム率を設定する。
【0171】
ステップS508において、ズーム倍率調整部105は、光学ズーム率を微調整する必要があるか否かを判定する。光学ズーム率を微調整する必要がある場合には、ステップS506の処理に移行する。一方、光学ズーム率を微調整する必要がない場合には、ズーム率自動設定フローが終了する。
【0172】
ステップS509において、ズーム倍率調整部105は、ズーム機構134に対して、光学ズーム率の微調整を行う。
【0173】
ステップS510において、ズーム倍率調整部105は、ステップS509での微調整の結果を反映するため、ズーム倍率情報記憶部153から、撮像スケール(被写体までの距離と光学ズーム率)の値を更新する。
【0174】
(障害物へのフォーカス移動回避処理)
次に、フォーカス制御部106が実行する障害物へのフォーカス移動回避処理について説明する。上述したように、床下空間A1内には、ケーブル、パイプ、配管、及び束等の点検の妨げとなる障害物が多数存在する。フォーカス制御部106、これらの障害物にフォーカスが移ったことを検知し、フォーカス値を補正する。
【0175】
図17は、フォーカス制御部106によるフォーカス値の補正処理の一例を示す図である。
【0176】
フォーカス値記憶部154には、例えば撮像位置のシフト毎のフォーカス値が記憶されている。フォーカス制御部106は、前回のフォーカス値F3と今回のフォーカス値F4との差分を求め、この差分を所定の閾値と比較することで、フォーカス値F4の大幅な変動を検出する。つまり、フォーカス制御部106は、前回のフォーカス値F3と今回のフォーカス値F4との差分が所定の閾値を超えた場合には、障害物にフォーカスが移動したと判定する。
【0177】
障害物にフォーカスが移動したと判定された場合には、フォーカス制御部106は、前回までのフォーカス値の履歴(図17ではF1,F2,F3の値)より推定されるフォーカス値を補正値として使用する。あるいは、フォーカス制御部106は、前回のフォーカス値F3を補正値として使用しても良い。
【0178】
このようにして得られた補正値は、マニュアルフォーカス設定により、フォーカス機構135に設定される。なお、図17においては、カメラのパン角度を横軸に設定しているが、撮像位置のシフト方向によってはチルト角度としても良い。
【0179】
次に、フォーカス制御部106が実行する障害物へのフォーカス移動回避処理の処理フローについて説明する。図18は、障害物へのフォーカス移動回避処理の処理フローを示すフローチャートである。
【0180】
図18のステップS601において、フォーカス制御部106は、フォーカス値が前回のフォーカス値と比較して大きく変動したか否かを判定する。フォーカス値が前回のフォーカス値と比較して大きく変動した場合には、ステップS602の処理に移行する。一方、フォーカス値が前回のフォーカス値と比較して大きく変動していない場合には、ステップS603の処理に移行する。ステップS603では、今回のフォーカス値が、フォーカス値記憶部154に記憶される。
【0181】
ステップS602において、フォーカス制御部106は、障害物にフォーカスが移動していると判断する。
【0182】
ステップS604において、フォーカス制御部106は、フォーカス機構135をマニュアルフォーカスに設定する。
【0183】
ステップS605において、フォーカス制御部106は、前回までのフォーカス値の履歴より推定されるフォーカス値、あるいは、前回のフォーカス値を補正後のフォーカス値としてフォーカス機構135に設定する。
【0184】
ステップS606において、フォーカス制御部106は、補正後のフォーカス値をフォーカス値記憶部154に記憶する。
【0185】
ステップS607において、フォーカス制御部106は、フォーカス機構135をオートフォーカスに戻して、フォーカス値の補正処理が終了する。
【0186】
(作用・効果)
以上詳細に説明したように、第1実施形態によれば、床下空間A1内の被写体を低倍率ズームで自動撮像するとともに、低倍率ズームで自動撮像された被写体の一部又は全部の範囲を高倍率ズームで自動撮像することによって、低倍率のズーム倍率で周囲の把握をしつつ、高倍率のズーム倍率で高精度に点検を行うことが可能となる。
【0187】
したがって、短時間で効率の良い点検を実現できる。更に、移動機構120又は撮像ユニット13の少なくとも一方を制御することで、被写体における撮像位置を順次シフトすることによって、点検漏れが生じることを防止可能としている。
【0188】
[第2実施形態]
以下の第2実施形態においては、第1実施形態と異なる点を主に説明し、重複する説明を省略する。
【0189】
上述したように、床下空間A1内には、ケーブル、パイプ、配管、及び束等の点検の妨げとなる障害物が多数存在しており、点検ロボット1bと被写体との間に障害物が存在する場合には、障害物の死角となっている箇所を点検する必要がある。
【0190】
そこで、第2実施形態では、障害物の死角となっている箇所を短時間で点検可能な点検ロボットについて説明する。
【0191】
(点検ロボットの構成例)
先ず、第2実施形態に係る点検ロボットの構成例について説明する。図19は、第2実施形態に係る点検ロボット1bの構成例を示す機能ブロック図である。なお、第2実施形態においては、第1及び第2点検制御部102,103を総称して単に「点検制御部」という。
【0192】
図19に示すように、点検ロボット1bは、判定部107と、許容角度記憶部155とを備えている点で、図3とは異なっている。
【0193】
判定部107は、撮像ユニット13(カメラ131)の撮像方向上、且つ撮像ユニット13(カメラ131)と被写体との間に障害物が存在する場合、撮像方向に対する点検ロボット1bの前後方向のなす角度が許容範囲内であるかを判定する。
【0194】
点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、撮像方向に対する前後方向のなす角度が許容範囲内であると判定された場合、方向転換、つまり超信地旋回を行わずに前後進移動を実行して死角を回避する。
【0195】
許容角度記憶部155は、判定部107による判定処理に使用する許容角度の値をあらかじめ記憶している。
【0196】
(死角回避動作)
次に、図20〜図23を参照して、点検ロボット1bが実行する死角回避動作について説明する。
【0197】
図20は、点検ロボット1bが実行する死角回避動作を説明するための図である。図20(a)に示すように、点検ロボット1bの上面から観て、カメラ131の撮像方向を“A”とし、点検ロボット1bの前後進方向を“B”とすると、Aに対するBのなす角度“α”が規定される。
【0198】
また、図20(b)に示すように、死角回避時に超信地旋回を必要としない最小“α”角度として“β”が、死角回避時に超信地旋回を必要としない最大“α”角度として“γ”がそれぞれ規定されている。
【0199】
したがって、図21に示すように、“β<α<γ”が成り立つ場合、又は“−β<α<−γ”が成り立つ場合には、点検ロボット1bは、障害物による死角を前後進により回避する。一方、“β<α<γ”及び“−β<α<−γ”のいずれも成り立たない場合には、超信地旋回後、前後進により、障害物による死角を回避する。
【0200】
図21において、死角回避のための最短移動経路R1,R2は存在するが、この最短移動経路R1,R2は、障害物の大きさや、距離、撮像方向等に依存して変化するため、最短移動経路を算出することは困難である。しかしながら、上述した死角回避動作によれば、“β”及び“γ”を適切に設定しておけば、最短移動経路ではないものの死角回避としては十分に機能する。
【0201】
更に、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、死角回避のために移動する場合、移動する方向を、点検シーケンスの撮像順方向(撮像位置のシフト方向)に基づき決定する。
【0202】
図22は、死角回避のために移動経路の優先順位を説明するための図である。図22(a)に示すように、走行面と平行な面内で、右回り(時計回り)に点検しているような場合、図22(b)に示す移動経路R1,R2のうち、障害物の右側に移動する移動経路R1が優先される。このようにして、撮像順方向への移動を優先することにより、回避した障害物が再び死角を作らないようにすることができ、点検効率を向上させることができる。
【0203】
(死角回避処理フロー1)
次に、点検タスク又は点検モジュール使用時の死角回避時の処理フローについて説明する。図23は、点検タスク又は点検モジュール使用時の死角回避時の処理フローを示すフローチャートである。
【0204】
ステップS701において、判定部107は、概略点検(又は詳細点検)の撮像順方向を正とした場合に、“β<α<γ”が成り立つか否かを判定する。“β<α<γ”が成り立つ場合には、ステップS703の処理に移行する。一方、“β<α<γ”が成り立たない場合には、ステップS702の処理に移行する。
【0205】
ステップS702において、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、超信地旋回により、“β<α<γ”となるように移動機構120を制御する。具体的には、“β<α<γ”となるように旋回角度が小さい方向へ方向転換(超信地旋回)を実行する。
【0206】
ステップS703において、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、概略点検(又は詳細点検)の撮像順方向へ移動するよう移動機構120を制御する。
【0207】
ステップS704において、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、障害物センサ142l,142rを用いて、障害物等のために移動不可であるかを判定する。ここで移動不可とは、点検ロボット1bの前方に障害物が存在し、全く移動できないような状況、つまり左右の障害物センサ142l,142rが両方反応していることを意味している。よって、少し方向を変えれば障害物を回避できるような状況、つまり左右の障害物センサ142l,142rの一方のみが反応しており、わずかな回避移動で反応が無くなるような場合では、死角回避動作を継続するものとする。
【0208】
ステップS705において、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、ステップS703で移動した距離だけ自律復帰する。
【0209】
ステップS706において、判定部107は、概略点検(又は詳細点検)の撮像順方向を正とした場合に、“−β<α<−γ”が成り立つか否かを判定する。“−β<α<−γ”が成り立つ場合には、ステップS708の処理に移行する。一方、“−β<α<−γ”が成り立たない場合には、ステップS707の処理に移行する。
【0210】
ステップS707において、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、超信地旋回により、“−β<α<−γ”となるように移動機構120を制御する。
【0211】
ステップS708において、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、概略点検(又は詳細点検)の撮像順方向へ移動するよう移動機構120を制御する。
【0212】
ステップS709において、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、概略点検(又は詳細点検)を実行する。
【0213】
ステップS710において、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、ステップS708で移動した距離だけ自律復帰する。
【0214】
ステップS711において、点検制御部(第1及び第2点検制御部102,103)は、概略点検(又は詳細点検)を再開する。
【0215】
(死角回避フロー2)
次に、点検タスク又は点検モジュールを使用しない場合の死角回避時の処理フローについて説明する。図24は、点検タスク又は点検モジュールを使用しない場合の死角回避時の処理フローを示すフローチャートである。
【0216】
ステップS801において、操作端末2は、ユーザ入力に従って、死角回避を指示する操作コマンドを点検ロボット1bへ送信する。この操作コマンドには、死角回避方向を指示する情報も含まれている。
【0217】
ステップS802において、判定部107は、ステップS801で指示された方向を正とした場合に、“β<α<γ”が成り立つか否かを判定する。“β<α<γ”が成り立つ場合には、ステップS804の処理に移行する。一方、“β<α<γ”が成り立たない場合には、ステップS803の処理に移行する。
【0218】
ステップS803において、操作コマンド処理部104は、超信地旋回により、“β<α<γ”となるように移動機構120を制御する。
【0219】
ステップS804において、操作コマンド処理部104は、ステップS801で指示された方向へ移動するよう移動機構120を制御する。
【0220】
ステップS805において、操作コマンド処理部104は、障害物センサ142l,142rを用いて、障害物等のために移動不可であるかを判定する。障害物等のために移動不可である場合には、ステップS806の処理に移行する。移動可能である場合には、ステップS801で指示された方向へ移動し、死角回避処理が終了する。
【0221】
ステップS806においては、操作端末2は、障害物センサ142l,142rの状態を表示する。
【0222】
ステップS807において、死角回避処理を継続するか否かが判定される。死角回避処理を継続する場合には、ステップS801の処理に戻る。死角回避処理を中止する場合には、死角回避処理が終了する。
【0223】
(作用・効果)
このように、第2実施形態によれば、移動機構120が全方向移動型でない場合であっても、方向転換のための旋回動作を行うことなく死角を回避することができる。したがって、死角回避動作に要する時間を短縮可能となる。
【0224】
また、第2実施形態によれば、撮像順方向への死角回避動作を優先させることによって、回避した障害物が再び死角を作ることを回避できる。このため、死角回避の効率が向上し、死角回避に要する時間を短縮可能となる。
【0225】
[その他の実施形態]
上記のように、本発明は第1及び第2実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0226】
例えば、操作端末2は、建造物の外部から点検ロボット1aを遠隔操作することも可能である。
【0227】
また、上述した第1及び第2実施形態では、光学ズームを利用する一例を説明するが、デジタルズーム等を利用しても構わない。
【0228】
更に、第1及び第2実施形態に係る点検ロボット1a,1bは、建造物の床下に限定されるものではなく、例えば建造物の天井裏等であっても適用可能であることは勿論である。
【0229】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0230】
【図1】第1実施形態に係る床下点検システムの全体構成図である。
【図2】図2(a)は第1実施形態に係る点検ロボットの側面視を示す図であり、図2(b)は第1実施形態に係る点検ロボットの正面視を示す図であり、図2(c)は第1実施形態に係る点検ロボットの上面視を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る点検ロボットの構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る操作端末の構成例を示す機能ブロック図である。
【図5】床下環境の一例を示す図である。
【図6】図6(a)は、第1実施形態に係る点検タスク1に適用される概略点検シーケンスを示し、図6(b)は、第1実施形態に係る点検タスク1に適用される詳細点検シーケンスを示している。
【図7】図7(a)は、第1実施形態に係る点検タスク2に適用される概略点検シーケンスを示し、図7(b)は、第1実施形態に係る点検タスク2に適用される詳細点検シーケンスを示している。
【図8】図8(a)は、第1実施形態に係る点検タスク3に適用される概略点検シーケンスを示し、図8(b)は、第1実施形態に係る点検タスク3に適用される詳細点検シーケンスを示している。
【図9】図9(a)は、第1実施形態に係る点検タスク4に適用される概略点検シーケンスを示し、図9(b)は、第1実施形態に係る点検タスク4に適用される詳細点検シーケンスを示している。
【図10】第1実施形態に係る点検タスク1〜4を比較するための図である。
【図11】第1実施形態に係る詳細点検の具体例を説明するための図である。
【図12】第1実施形態に係る点検ロボットが実行する点検シーケンスの全体概要フローを示すフローチャートである。
【図13】第1実施形態に係る点検タスク1を実行する際の概略点検シーケンス(第1概略点検シーケンス)を示すフローチャートである。
【図14】第1実施形態に係る詳細点検シーケンスの全体概要フローを示すフローチャートである。
【図15】図11の(2)「指示箇所周辺」又は(3)「指示範囲」の詳細点検を実行する場合の処理フローを示すフローチャートである。
【図16】第1実施形態に係るズーム率自動設定フローを示すフローチャートである。
【図17】第1実施形態に係るフォーカス制御部によるフォーカス値の補正処理の一例を示す図である。
【図18】障害物へのフォーカス移動回避処理の処理フローを示すフローチャートである。
【図19】第2実施形態に係る点検ロボットの構成例を示す機能ブロック図である。
【図20】第2実施形態に係る点検ロボットが実行する死角回避動作を説明するための図である(その1)。
【図21】第2実施形態に係る点検ロボットが実行する死角回避動作を説明するための図である(その2)。
【図22】第2実施形態に係る死角回避のために移動経路の優先順位を説明するための図である。
【図23】第2実施形態に係る点検タスク又は点検モジュール使用時の死角回避時の処理フローを示すフローチャートである。
【図24】第2実施形態に係る点検タスク又は点検モジュールを使用しない場合の死角回避時の処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0231】
1a,1b…点検ロボット、2…操作端末、11a…前輪、11b…後輪、12…クローラ、12l…左クローラ、12r…右クローラ、13…撮像ユニット、14…センサ、21…入力部、22…点検シーケンス選択部、23…操作コマンド制御部、24…無線通信部、25…表示制御部、26…表示部、100a,100b…制御部、101…点検シーケンス設定部、102…第1点検制御部、103…第2点検制御部、104…操作コマンド処理部、105…ズーム倍率調整部、106…フォーカス制御部、107…判定部、120…移動機構、121…モータ、131…カメラ、132…チルト機構、133…パン機構、134…ズーム機構、135…フォーカス機構、142l,142r…障害物センサ、150a,150b…記憶部、151…点検シーケンス情報記憶部、152…被写体箇所/範囲記憶部、153…ズーム倍率情報記憶部、154…フォーカス値記憶部、155…許容角度記憶部、161…無線通信部
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進

【識別番号】100122910
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 広之


【公開番号】 特開2008−55569(P2008−55569A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−236927(P2006−236927)