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【発明の名称】 産業用ロボット
【発明者】 【氏名】田村 敏功

【氏名】榑林 秀倫

【氏名】田中 康好

【要約】 【課題】比較的小型の構成でかつ高デューティでの動作を行う。

【構成】産業用ロボット(10)が、互いに同心に配置された三つの動力伝達部(21、22、23)と、これら三つの動力伝達部のそれぞれを駆動する三つの駆動手段とを具備し、三つの動力伝達部のうちの少なくとも一つの動力伝達部に対応する駆動手段が少なくとも二つのモータ(31、34)を含む。また、三つの動力伝達部および三つの駆動手段の全てが産業用ロボットのベース(15)に組入れられているのが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手首軸部と該手首軸部を三次元空間内に位置決めする三つの基本軸部とからなる産業用ロボットにおいて、
これら三つの基本軸部のそれぞれを駆動する三つの駆動手段を具備し、
前記三つの駆動手段に含まれる全てのモータが前記産業用ロボットのベースに組入れられており、
前記三つの基本軸部のうちの少なくとも一つの基本軸部に対応する前記駆動手段が少なくとも二つのモータを含んでいる産業用ロボット。
【請求項2】
前記三つの駆動手段のそれぞれが、少なくとも二つのモータを含んでいる請求項1に記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記三つの基本軸部のそれぞれは動力伝達部用歯車を有しており、これら動力伝達部用歯車は互いに同軸でかつ軸方向に順番に配置されており、
前記モータのそれぞれは前記動力伝達部用歯車のそれぞれに係合するモータ用歯車を前記モータの出力軸に有しており、
前記モータ用歯車の全ては前記動力伝達部用歯車の周方向に配置されている請求項1または2に記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記三つの基本軸部のうちの前記少なくとも一つの基本軸部に対応する前記駆動手段が第一モータおよび第二モータを含んでおり、
前記第一モータは該第一モータの速度に基づいて作成された第一モータのトルク指令により制御されており、
前記第二モータは、前記第一モータの前記トルク指令により制御されている請求項1に記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記第一モータおよび第二モータうちの一方にのみ機械的ブレーキが備えられている請求項4に記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は産業用ロボットに関する。特に、本発明は、高速でかつ長時間動作することが要求される産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
図7は従来技術における産業用ロボットの三つの動力伝達部の斜視図である。図7に示されるように、互いに同心に配置される三つの動力伝達部121、122、123には、それぞれ動力伝達部用歯車124、125、126が同軸に順番に設けられている。これら三つの動力伝達部用歯車124、125、126には、モータ151、152、153のモータ用歯車131、132、133がそれぞれ係合している。これらモータ151、152、153の定格は互いに等しい。そして、図7から分かるように、これらモータ用歯車131、132、133は動力伝達部用歯車124、125、126の周方向にほぼ等間隔で配置されている。
【0003】
ところで、特許文献1には、一つの可動部材を二つのモータで駆動するサーボ制御装置が開示されている。このサーボ制御装置の位置制御装置は、同一の位置指令を上位の制御装置から受け取り、位置検出器からの位置フィードバック量を差し引いた位置偏差量を処理して速度指令を出力する位置制御部と、速度指令を受け取り、速度検出器からの速度フィードバック量を差し引いた速度偏差量を処理して電流指令を出力する速度制御部と、電流指令を受け取り、モータ電流を検出するセンサからの電流フィードバック量を差し引いた電流偏差量を処理して電圧指令を出力し、該電圧指令によって電流増幅器を動作させる電流制御部を組みとし、この組みを各モータに対してそれぞれ備える構成としている。
【特許文献1】特開2001−273037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年においてはロボットをさらに高速化することが要求されており、生産効率を高めるために特にロボットの搬送能力の向上が求められている。搬送能力については、ロボットのアーム動作の高速性と高加速性とに加え、このような厳しい動作を連続して行うこと、すなわち、高デューティでの動作を実現することが期待されている。
【0005】
このようなサーボ制御装置の動作性能を上昇させることが望まれる場合には、通常は、モータの定格を上げることが行われている。しかしながら、モータの定格を上げた場合には、モータの寸法が大きくなると共に、モータのロータイナーシャも増加する。さらに、モータの寸法を大きくすることによって、モータの出力軸に関連付けられた伝達要素、例えば歯車の寸法も大きくなり、イナーシャが増大するようになる。
【0006】
このようなモータのロータイナーシャおよび伝達要素のイナーシャが増加することによって増加したトルクは、モータが負担する必要がある。従って、モータの定格を上げたとしても、モータの定格増加分の大部分は、モータのロータイナーシャおよび伝達要素のイナーシャの増加に基づいて増加したトルクに消費される。このため、モータの出力軸を駆動するための加速度を増加させるのが実質的に困難になるという問題があった。また、アームを軽量化することにより、負荷を軽減することも考えられるが、このような解決には限界がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、比較的小型の構成であっても高デューティでの動作を行うことのできる産業用ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために1番目の発明によれば、手首軸部と該手首軸部を三次元空間内に位置決めする三つの基本軸部とからなる産業用ロボットにおいて、これら三つの基本軸部のそれぞれを駆動する三つの駆動手段を具備し、前記三つの駆動手段に含まれる全てのモータが前記産業用ロボットのベースに組入れられており、前記三つの基本軸部のうちの少なくとも一つの基本軸部に対応する前記駆動手段が少なくとも二つのモータを含んでいる産業用ロボットが提供される。
【0009】
すなわち1番目の発明において、一つの基本軸部が二つのモータにより駆動される場合には、モータが二つであるのでロータイナーシャは二倍になる。しかしながら、一つのモータが負担する負荷は半減するので、トルク能力に対して余裕をもって基本軸部を駆動できる。さらに、一つの基本軸部が少なくとも二つのモータにより駆動される構成であるので、高速・高加減速動作を連続して行う場合であっても、動作を休止させる必要がなく、高デューティでの連続動作を行うことができる。また、前記三つの駆動手段に含まれる全てのモータが前記産業用ロボットのベースに組入れられているので、産業用ロボットを比較的小型にできると共にモータが産業用ロボットの上腕などに配置されている場合と比較してモータ自体が負荷になるのを避けられる。
【0010】
2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記三つの駆動手段のそれぞれが、少なくとも二つのモータを含んでいる。
すなわち2番目の発明においては、単一のモータのみによって駆動される基本軸部を備えていないので、デューティ性能の低いそのような基本軸部に合わせて動作性能を低下させる必要がない。従って、空間上のXYZ座標いずれの方向においても、高速・高加減速動作を行うことができる。
【0011】
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記三つの基本軸部のそれぞれは動力伝達部用歯車を有しており、これら動力伝達部用歯車は互いに同軸でかつ軸方向に順番に配置されており、前記モータのそれぞれは前記動力伝達部用歯車のそれぞれに係合するモータ用歯車を前記モータの出力軸に有しており、前記モータ用歯車の全ては前記動力伝達部用歯車の周方向に配置されている。
すなわち3番目の発明においては、モータの数を増やす場合であっても、動力伝達部用歯車周囲の空きスペースに追加のモータを配置することが可能であり、これらモータを収納するスペースを容易に確保することができる。
【0012】
4番目の発明によれば、1番目の発明において、前記三つの基本軸部のうちの前記少なくとも一つの基本軸部に対応する前記駆動手段が第一モータおよび第二モータを含んでおり、前記第一モータは該第一モータの速度に基づいて作成された第一モータのトルク指令により制御されており、前記第二モータは、前記第一モータの前記トルク指令により制御されている。
すなわち4番目の発明においては、モータ用歯車と動力伝達部用歯車との間のバックラッシの範囲内において、一方のモータ用歯車が動力伝達部用歯車に係合しない事態が生じるのを回避できる。
【0013】
5番目の発明によれば、4番目の発明において、前記第一モータおよび第二モータうちの一方にのみ機械的ブレーキが備えられている。
すなわち5番目の発明においては、機械的ブレーキはロボットのアームが重力により軸落下するのを防止する。また、両方のモータのそれぞれに機械的ブレーキが備えられている場合にはこれら機械的ブレーキが掛かるタイミングのズレによって動力伝達部用歯車に過大な負荷が掛かるようになるものの、5番目の発明においてはこのような問題を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の図面において同一の部材には同一の参照符号が付けられている。理解を容易にするために、これら図面は縮尺を適宜変更している。
図1は一般的な産業用ロボットの側面図である。図1に示されるように、産業用ロボット10は、床面90に設置された不動のロボットベース15と、ロボットベース15に旋回可能に取付けられた旋回胴16と、旋回胴16から延びる上腕14と、上腕14の上端付近に取付けられた前腕基部17とを主に含んでいる。
【0015】
前腕基部17の先端には、第一手首要素11が取付けられており、第一手首要素11には、さらに、第二手首要素12が取付けられている。第二手首要素12には、作業手段、例えば把持用ハンド(図示しない)が取付けられる。これら手首要素11、12は、作業手段の空間上の姿勢を決定する。また、産業用ロボット10はライン18によりロボット制御装置19に接続されていて、ロボット制御装置19により制御される。
【0016】
ここで、図1に示される産業用ロボット10は三つの基本軸(基本三軸)を含んでいる。図示されるように、第一基本軸A1は、産業用ロボット10のロボットベース15よりも上方に位置する部分をロボットベース15および床面90に対して矢印方向に水平に旋回させる軸である。第二基本軸A2は、上腕14を床面90に対して垂直に振上げおよび振下げる軸である。さらに、第三基本軸A3は、前腕基部17を第二基本軸A2と同じ方向に回転させる軸である。つまり、三つの基本軸には、第一および第二の手首要素11、12の手首軸は含まれていない。
【0017】
図2は図1に示される産業用ロボットの部分拡大図である。図2に示されるように、ロボットベース15においては、三つの動力伝達部21、22、23が配置されている。さらに、これら三つの動力伝達部21、22、23を駆動するためのモータ51〜56の全ては産業用ロボット10のロボットベース15内に配置されている。
【0018】
図示されるように、旋回胴16は動力伝達部21に直接的に連結されており、動力伝達部21の回転によって旋回胴16は第一基本軸A1回りに回転する。旋回胴16内においては、はすば歯車を含む第一伝達要素41が組入れられており、第一伝達要素41の一部は上腕14に直接的に連結されている。従って、動力伝達部22の回転作用は第一伝達要素41を介して上腕14に伝達され、それにより、上腕14は第二基本軸A2回りに回動するようになる。
【0019】
さらに、図示されるように、上腕14内には、第一伝達要素41に接続された第二伝達要素42、例えばベルト/プーリが組入れられている。第二伝達要素42の一部は前腕基部17に直接的に連結されている。従って、動力伝達部23の回転作用は第一伝達要素41および第二伝達要素42を介して前腕基部17に伝達され、それにより、前腕基部17は第三基本軸A3回りに回動するようになる。当然のことながら、第一伝達要素41および第二伝達要素42が他の構成要素、例えば減速機、ドライブシャフトおよびチェーンなどであってもよい。
【0020】
前述したように本発明においては、比較的重い要素であるモータ51〜56の全てはロボットベース15内に配置されている。一方、これらモータの一部が旋回胴16および/または上腕14内に配置されている場合には、モータ自体が旋回胴16おおよび/または上腕14を回動させるときの負荷になり、モータのトルクが必要以上に消費される。しかしながら、本発明においては、モータ51〜56はいずれも旋回胴16および/または上腕14内に配置されていないので、旋回胴16および/または上腕14の回動時にモータ自体が負荷とならず、従って、モータの追加のトルクが発生することはない。
【0021】
さらに、本発明においては、三つの基本軸部を駆動するモータまでの接続線(図示しない)をロボットベース15から旋回胴16および/または上腕14まで通過させる必要がない。このため、本発明においては、これら接続線の配置が単純になる。さらに、旋回胴16および/または上腕14の回動時に接続線が捻れることもないので、接続線の長寿命化を図ることが可能である。
【0022】
図3は本発明に基づく産業用ロボットにおける三つの動力伝達部の斜視図である。さらに、図4は図3に示される三つの動力伝達部の部分側面図である。図4においては、単純にする目的でモータおよびモータの出力軸を省略している。
【0023】
図3および図4から分かるように、動力伝達部21、22、23の先端に動力伝達部用歯車24、25、26がそれぞれ取付けられている。これら動力伝達部用歯車24、25、26の直径は互いにほぼ等しく、また動力伝達部用歯車24、25、26は軸方向にわずかに隙間を設けつつ互いに同軸に取付けられている。なお、前述した図2においては、理解を容易にするために、これら動力伝達部用歯車24、25、26の直径を互いに異ならせて示していることに留意されたい。
【0024】
特に図4から分かるように、上段に位置する動力伝達部用歯車24には動力伝達部用歯車24の直径方向に互いに対向して配置されたモータ用歯車31、34が係合している。これらモータ用歯車は二つのモータ51、54の出力軸にそれぞれ取付けられている。
【0025】
中段に位置する動力伝達部用歯車25には、二つのモータ52、55のモータ用歯車32、35が同様に係合している。さらに、下段に位置する動力伝達部用歯車26には、二つのモータ53、56のモータ用歯車33、36が同様に係合している。これらモータ51〜56の定格は互いに等しく、またモータ用歯車31〜36の寸法も互いに等しい。
【0026】
本発明においては、一つの動力伝達部用歯車に対して、二つのモータ用歯車が係合するようになっている。このような構成であるので、一つの動力伝達部を単一のモータにより駆動する場合と比較して、各モータに掛かる負荷を半分に抑えつつ、一つの動力伝達部を駆動することが可能となる。従って、本発明においては、高速・高加減速動作を連続して行う場合であっても、動作を休止させる必要がなく、高デューティ、例えばデューティ約100%での連続動作を行うことが可能となる。
【0027】
図3に示されるように、これら六つのモータ用歯車31〜36は動力伝達部用歯車24、25、26の周方向にほぼ等間隔で配置されている。前述した図7を参照して分かるように、モータ151、152、153の間には三つの空きスペースが存在している。さらに、図3に示されるように、本発明においては、六つのモータ用歯車31〜36のうちの追加の三つのモータ用歯車34〜36および関連するモータ54〜56はモータ151、152、153の間の空きスペースにそれぞれ配置されている。
【0028】
従って、図3に示されるように全ての動力伝達部用歯車のそれぞれを二つのモータ用歯車により駆動する場合においては、追加のモータを前述した空きスペースに配置すれば足りる。すなわち、本発明においては、追加のモータ34〜36を配置するスペースを容易に確保することができる。
【0029】
図5は本発明において一つの動力伝達部用歯車の制御状態を説明するためのブロック図である。図5においては、三つの動力伝達部のうちの一つの動力伝達部21の動力伝達部用歯車24が代表として示されている。
【0030】
モータ51には、該モータ51の出力軸の回転速度を検出する速度検出部(図示しない)とモータ51に流れる電流を検出する電流検出部(図示しない)とが接続されている。同様に、モータ54にはモータ54に流れる電流を検出する電流検出部(図示しない)が接続されているものとする。
【0031】
以下、図5を参照して、動力伝達部用歯車24に係合するモータ用歯車31、34のモータ51、54の制御について簡単に説明する。速度検出部により検出されたモータ51の検出速度は時間で積分され、速度積分値(モータ51の出力軸の位置に対応する)として位置制御部61に送信される。
【0032】
位置制御部61においては制御装置60内で作成された位置指令値と前述した速度積分値とに基づいて公知の手法で速度指令が作成されて速度制御部62に送信される。次いで、速度制御部62においては、モータ51の検出速度と前述した速度指令とに基づいて公知の手法でトルク指令Tcが作成される。
【0033】
図示されるように、トルク指令Tcは電流制御部63Aに送信される。電流制御部63Aにおいては、モータ51の電流検出値とトルク指令Tcとに基づいて公知の手法で電流指令が作成され、この電流指令に基づいてモータ51が駆動される。
【0034】
図5から分かるように、本発明においては、速度制御部62において作成されたトルク指令Tcはモータ54のための電流制御部63Bにも送信される。そして、電流制御部63Bにおいてはモータ54の電流検出値とトルク指令Tcとに基づいて公知の手法で電流指令が作成され、この電流指令に基づいてモータ54が同様に駆動される。
【0035】
すなわち、本発明においては、一つの動力伝達部用歯車24に係合する二つのモータ用歯車31、34のモータ51、54は同一のトルク指令により駆動される。言い換えれば、本発明においては、一つのトルク指令に基づいたトルクタンデム制御が行われる。これにより、モータ用歯車31、34の両方が動力伝達部用歯車24に確実に係合し、また、モータの出力トルクが二つのモータ51、54の間で分配されるようになる。従って、モータトルクに余裕のある状況を確実に形成することが可能となる。
【0036】
一方、モータの出力軸の位置に基づいて二つのモータ51、54を制御すること、つまり所謂ポジションタンデム制御を行うことも可能である。しかしながら、この場合には、バックラッシの範囲内において二つのモータ用歯車31、34のうちの一方のモータ用歯車のみが動力伝達部用歯車24に係合し、他方のモータ用歯車が動力伝達部用歯車24に係合しない事態が生じうる。従って、ポジションタンデム制御においては、所望のトルクを作成できない場合がある。
【0037】
このため、本発明においては、前述したようにトルクに基づいたトルクタンデム制御を行うのが有利である。なお、他の動力伝達部用歯車25、26に関するモータについても同様なトルクタンデム制御を行うことができるのが分かるであろう。
【0038】
図6は本発明の他の実施形態において一つの動力伝達部用歯車を拡大して示す部分拡大図である。図6においては、三つの動力伝達部のうちの一つの動力伝達部21の動力伝達部用歯車24および関連するモータ51、54が代表として示されている。
【0039】
図6において、これら二つのモータ51、54のうちの一方のモータ51には、モータ51の回転軸を制動するブレーキ71が設けられている。他方のモータ54には、そのようなブレーキは設けられていない。ブレーキ71は上腕14が重力により軸落下するのを防止する役目を果たす。
【0040】
図6に示されるように一つの動力伝達部用歯車24を二つのモータ用歯車31、34により駆動する場合には、一方のモータ51のみにブレーキ71を備えるようにするのが好ましい。その理由は、両方のモータ51、54のそれぞれにブレーキが備えられている場合にはこれらブレーキが掛かるタイミングのズレによって動力伝達部用歯車24に過大な負荷が掛かる場合があるためである。一方のモータ51のみにブレーキ71を備える構成にすることによって、このような問題を回避するのが可能である。
【0041】
また、ロボットベース15が開口部を備えている場合、つまりロボットベース15内の一部または全てがモータ51〜56が露出している場合であっても本発明の範囲に含まれる。また、図1においてはロボットベース15は床面90に設置されているが、ロボットベース15が天井(図示しない)に設置されていてもよく、またロボットベース15が天井(図示しない)と床面90との間の壁部(図示しない)に設置されていてもよい。
【0042】
さらに、図面を参照して説明した実施形態においては、二つのモータ用歯車が一つの動力伝達部用歯車に係合しているが、三つ以上のモータ用歯車が動力伝達部用歯車に係合する構成であってもよい。そのような場合には、三つ以上のモータ用歯車は動力伝達部用歯車において周方向に配置されるものとする。
【0043】
また、図示しない実施形態においては、パラレルリンク構造のロボットアームを備えた産業用ロボットに本発明を適用してもよい。パラレルリンク構造のロボットアームにおいても、三つの動力伝達部のためのモータによって手首先端の空間的な三次元位置を定めている。従って、二つのモータによって一つの動力伝達部を駆動することによって、モータのトルク性能に余裕ができ、高速・高加減速連続運転が可能となる。
【0044】
さらに図示しない実施形態においては、水平多関節構造のロボットアームを備えた産業用ロボットに本発明を適用してもよい。この場合にも同様に、高速・高加減速連続運転が可能なことが明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】一般的な産業用ロボットの側面図である。
【図2】図1に示される産業用ロボットの部分拡大図である。
【図3】本発明に基づく産業用ロボットにおける三つの動力伝達部の斜視図である。
【図4】図3に示される三つの動力伝達部の部分側面図である。
【図5】本発明において一つの動力伝達部用歯車の制御状態を説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の他の実施形態において一つの動力伝達部用歯車を拡大して示す部分拡大図である。
【図7】従来技術における産業用ロボットの三つの動力伝達部の斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
10 産業用ロボット
11 第一手首要素
12 第二手首要素
14 上腕
15 ロボットベース
16 旋回胴
17 前腕基部
18 ライン
19 ロボット制御装置
21、22、23 動力伝達部
24、25、26 動力伝達部用歯車
31〜36 モータ用歯車
41 第一伝達要素
42 第二伝達要素
51〜56 モータ
61 位置制御部
62 速度制御部
63A 電流制御部
63B 電流制御部
71 ブレーキ
90 床面
A1 第一基本軸
A2 第二基本軸
A3 第三基本軸
【出願人】 【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一

【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎

【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹


【公開番号】 特開2008−55550(P2008−55550A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−235393(P2006−235393)