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【発明の名称】 脚式ロボット
【発明者】 【氏名】海老原 康弘

【氏名】中山 一

【要約】 【課題】歩行時に荷物や人を搭載する部分が揺れ難い脚式ロボットを提供する。

【構成】脚式ロボット10は、脚部20R、20Lと、体幹12と、コンテナ部16を有する。脚部20R、20Lは体幹12に連結されている。コンテナ部16は、コンテナ支持部材14を介して体幹12に揺動が可能な状態で吊り下げられている。コンテナ部16は、体幹12に揺動可能に吊り下げられているので、その重心Gが回転軸C1の鉛直下方に位置する状態で安定する。従って歩行時に脚部の揺動の反力で体幹12が揺動しても、コンテナ部16は揺動し難い。荷物や人を搭載するコンテナ部16が揺動し難い脚式ロボットを実現することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の脚部が体幹に連結されている脚式ロボットであり、荷物と人の少なくとも一方を搭載可能なコンテナ部が、揺動可能な状態で体幹に吊り下げられていることを特徴とする脚式ロボット。
【請求項2】
コンテナ部は、外力によって受動的に揺動することが可能な状態で体幹に吊り下げられていることを特徴とする請求項1の脚式ロボット。
【請求項3】
コンテナ部は、体側方向に伸びる回転軸の回りにのみ揺動可能な状態で体幹に吊り下げられていることを特徴とする請求項1又は2の脚式ロボット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の脚部が体幹に連結されている脚式ロボットに関する。なお、本明細書では脚式ロボットを単にロボットと称する場合がある。
【背景技術】
【0002】
脚式ロボットは、体幹に対して複数の脚部が連結されており、各々の脚部を前後方向に交互に揺動させながら歩行する。脚式ロボットの中には、体幹に荷物や人を搭載して歩行するものがある。そのような脚式ロボットが特許文献1に開示されている。特許文献1の脚式ロボットは、人が搭乗する座席部と、一対の脚部を備えている。なお、特許文献1における座席部は本明細書にいう体幹に相当する。以下では特許文献1における「座席部」を「体幹」と表現する。
【0003】
【特許文献1】特開2005−52897号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脚式ロボットが歩行する際、体幹自体も前後に揺動する。体幹は、脚部からの反力によって揺動する場合もあれば、ロボット全体のバランスを維持するための制御によって意識的に揺動させる場合もある。体幹に荷物を載せて歩行する脚式ロボットの場合、体幹が揺動すると、体幹に積載した荷物がずれる虞がある。体幹に人を乗せて歩行する脚式ロボットの場合には、体幹の揺動が乗員に不快感を与える。
歩行時に荷物や人を搭載する部分が揺れ難い脚式ロボットが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の脚式ロボットは、複数の脚部が体幹に連結されている脚式ロボットであり、荷物と人の少なくとも一方を搭載可能なコンテナ部が、揺動可能な状態で体幹に吊り下げられていることを特徴とする。
上記の脚式ロボットによれば、体幹に吊り下げられているコンテナ部は、重力の作用によってその重心が揺動中心の鉛直下方に位置する状態が最も安定となる。即ち、コンテナ部は、体幹が揺動しても絶対座標系に対して揺れ難い。歩行中に、荷物や人を搭載するコンテナ部が揺れ難い脚式ロボットを実現できる。
【0006】
上記の脚式ロボットは、コンテナ部の体幹に対する揺動を制御するアクチュエータを有していてよい。或いは、コンテナ部は、外力によって受動的に揺動することが可能な状態で体幹に吊り下げられていてもよい。
前者の場合は、コンテナ部の揺動を効果的に抑制することができる。コンテナ部の揺動を制御する場合にも、コンテナ部の重心が揺動中心の鉛直下方に位置する状態が最も安定となるので、コンテナ部の揺動を制御し易いという長所を得ることができる。
後者の場合は、脚式ロボットの構造を簡単にすることができる。なお、「外力によって受動的に揺動が可能な状態」には、コンテナ部がダンパを伴って体幹に吊り下げられている場合を含む。
【0007】
コンテナ部を揺動可能な状態で体幹に吊り下げるには、例えば3軸の夫々の軸回りに回転可能なユニバーサルジョイントを介してコンテナ部を体幹に吊り下げればよい。そうすれば、体幹が3軸のいずれの軸回りに揺動してもコンテナ部を揺れ難くすることができる。
一方、コンテナ部は、体側方向に伸びる回転軸の回りにのみ揺動可能な状態で吊り下げられていてもよい。脚式ロボットの脚部は、前後方向に大きく揺動しながら歩行する。換言すれば、脚部は体側方向に伸びる直線の回りに振子のように振れる。脚部の揺動の反力によって、体幹は主に体側方向に伸びる直線の回りに揺動する。従って、コンテナ部を体側方向に伸びる回転軸の回りにのみ揺動可能な状態で吊り下げることによって、体幹の主な揺動に対してコンテナ部を揺れ難くすることができる。
【0008】
また、上記の脚式ロボットによれば次の効果を得ることもできる。コンテナ部は、重力の作用によってその重心が揺動中心の鉛直下方に位置する状態が最も安定する。その状態は、脚式ロボットが倒れる際にも変わらない。従って、上記の脚式ロボットは、ロボットが倒れる際に、コンテナ部の姿勢を保持し易い。
さらに、コンテナ部が外力によって受動的に揺動することが可能な状態で体幹に吊り下げられている場合には、荷物と人の少なくとも一方を搭載可能なコンテナ部の姿勢を動力に頼らずに安定にすることができる。ロボットが倒れる際に、搭載した荷物や人が受けるダメージを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、歩行時に荷物や人を搭載する部分が揺れ難い脚式ロボットを実現することができる。
【実施例】
【0010】
本発明に係る脚式ロボットについて、図面を参照しつつ説明する。図1(A)は、脚式ロボット10の正面図である。図1(B)は、脚式ロボット10の側面図である。なお、図では、図面手前側に位置する部品によって隠れてしまう部品の隠れ線は、主要な線を除いて図示を省略してある。
脚式ロボット10は、体幹12と、一対の脚部(右脚部20R、左脚部20L)と、荷物や人を搭載可能なコンテナ部16を有する。
図1に示すXYZ座標系は体幹12に固定された座標系である。X軸は、体幹リンク12の前方へ伸びている。X軸をロール軸と称する。Y軸は、体幹リンク12の体側方向へ伸びている。Y軸をピッチ軸と称する。Z軸は、体幹リンク12の上方へ伸びている。Z軸をヨー軸と称する。ロール軸(X軸)とピッチ軸(Y軸)とヨー軸(Z軸)は互いに直交している。
【0011】
脚式ロボット10の左脚部20Lの構造について説明する。左脚部20Lは、左第1リンク22L、左第2リンク26L、左第3リンク30L、左第4リンク34L、左第5リンク38L、左第6リンク42Lを有している。また左脚部20Lは、左第1関節24L、左第2関節28L、左第3関節32L、左第4関節36L、及び左第5関節40Lを有している。
左第1リンク22Lは、一端が体幹12の左体側部12Lに連結しており、他端が左第1関節24Lに連結している。左第2リンク26Lは、一端が左第1関節24Lに連結しており、他端が左第2関節28Lに連結している。左第3リンク30Lは、一端が左第2関節28Lに連結しており、他端が左第3関節32Lに連結している。左第4リンク34Lは、一端が左第3関節32Lに連結しており、他端が左第4関節36Lに連結している。左第5リンク38Lは、一端が左第4関節36Lに連結しており、他端が左第5関節40Lに連結している。左第6リンク42Lは、一端が左第5関節40Lに連結している。左第6リンク42Lは、左脚部20Lの足平に相当し、その下面で歩行面Sと接地する。
【0012】
各関節には、アクチュエータ(不図示)が内蔵されており、そのアクチュエータを適宜制御することによって、連結されたリンク同士を相対的に揺動させることができる。なお、図1において、左第関節24L、左第2関節28L、及び左第5関節40Lは、連結されたリンク同士をピッチ軸の回りに揺動させることができ、左第3関節32Lは、連結されたリンク同士をヨー軸の回りに揺動させることができ、左第4関節36Lは、連結されたリンク同士をロール軸の回りに揺動させることができる。
【0013】
右脚部20Rは、右第1リンク22R、右第2リンク26R、右第3リンク30R、右第4リンク34R、右第5リンク38R、及び右第6リンク42Rを有している。また右脚部20Rは、右第1関節24R、右第2関節28R、右第3関節32R、右第4関節36R、右第5関節40Rを有している。右脚部20Rは、右第1リンク22Rの一端で体幹12の右体側部12Rに連結している。右脚部20Rの構造は左脚部20Lの構造と同じである。但し、右脚部20Rの全体の形状は、ロール軸方向(X軸方向)から観測したときに体幹12の中心を通りヨー軸に平行な直線に対して左脚部20Lの全体の形状と左右対称をなす形状となっている。
左脚部20Lの各部品に対応する右脚部20Rの部品には同じ数字の符号を付してある。符号の添え字Lが左脚部20Lの部品であることを表しており、符号の添え字Rが右脚部20Rの部品であることを表している。
右脚部20Rの構造は左脚部20Lの構造と同じであるので、右脚部20Rについては詳細な説明を省略する。
【0014】
脚式ロボット10は、図示しないコントローラを備えており、コントローラが、各関節に内蔵されたアクチュエータへ適宜駆動指令値を出力する。コントローラが適切な駆動指令値を各アクチュエータへ出力することによって、夫々のリンクが協調して揺動し、その結果、脚式ロボット10は歩行する。脚式ロボット10を歩行させるためのアルゴリズムについては説明を省略する。
【0015】
体幹12は、左脚部20Lの左第1リンク22Lの一端が連結されている左体側部12Lと、右脚部20Rの右第1リンク22Rの一端が連結されている右体側部12Rと、左体側部12Lと右体側部12Rをその上方で連結する連結部12Aを有する。また、体幹12は、コンテナ支持部材14を有する。コンテナ支持部材14は、その一端が左体側部12Lの内側面に連結されており、その他端が右体側部12Rの内側面に連結されている。
荷物や人を搭載することのできるコンテナ部16が、コンテナ支持部材14を介して体幹12に連結されている。コンテナ部16は、コンテナ支持部材14の長手方向(体側方向)に伸びる回転軸C1の回りに揺動可能に吊り下げられている。コンテナ部16は、回転軸C1の回りに揺動可能であるため、コンテナ部16の重心Gは、体側方向から観測したときに、回転軸C1と鉛直線V上に揃う状態が最も安定した状態となる。換言すれば、コンテナ部16は、重力の作用によって常に安定した姿勢を保持することができる。
【0016】
次に、コンテナ部16が、揺動可能な状態で体幹12に吊り下げられていることによる効果を、図2と図3を参照しながら説明する。図2は、脚式ロボット10の歩行中のある瞬間における側面図である。図3は、倒れる瞬間における脚式ロボット10の側面図である。
【0017】
図2に示すように、脚式ロボット10は、左脚部20Lと右脚部20Rを交互に前後に揺動させながら歩行する。夫々の脚部は、歩行面Sから最も高い位置に配置されており、体側方向(ピッチ軸方向)に伸びる回転軸を有する関節(左第1関節24Lと右第1関節24R)を中心に大きく前後に揺動する。体幹12は、脚部の揺動の反動によってピッチ軸回りに大きく揺動する。図2は、体幹12が揺動してピッチ軸回りの姿勢角がθとなった状態を示している。なお、体幹12のピッチ軸回りの姿勢角θは、体側方向から観測して、体幹の上下方向に伸びる直線Wと鉛直線Vがなす角度で定義される。
コンテナ部16は、重力の作用によって、その重心Gと回転軸C1が体側方向から観測して鉛直線V上に揃う状態が最も安定した状態となる。従って、体幹12のピッチ軸回りの姿勢角が変化しても、コンテナ部16は、その重心Gと回転軸C1が体側方向から観測して鉛直線V上に揃う状態を保持しようする。即ち、脚式ロボット10は、歩行時に体幹12が揺動しても荷物や人を乗せるコンテナ部16を揺れ難くすることができる。
【0018】
コンテナ部16は、重力の作用によって、その重心Gが回転軸C1の鉛直下方に位置する状態が最も安定した状態となる。換言すれば、脚式ロボット10は、動力によらずにコンテナ部16をそのような姿勢に維持することができる。従って、図3に示すように、脚式ロボット10が倒れそうになり、体幹12のピッチ軸回りの姿勢角がαとなった状態においてもコンテナ部16はその重心Gが回転軸C1の鉛直下方に位置する姿勢を保持する。脚式ロボット10が倒れる際には、コンテナ部16はそのような姿勢のまま歩行面Sに接触する。脚式ロボット10は、動力に頼ることなく、コンテナ部16に搭載した荷物や人が受けるダメージを抑制することができる。
【0019】
上記実施例では、コンテナ部16は、体幹12に対して体側方向に伸びる回転軸C1の回りにのみ揺動可能に吊り下げられている。コンテナ部は、体幹に対して2軸回り、あるいは3軸回りに揺動可能に吊り下げられていても良い。
また、実施例の脚式ロボットは2本の脚部を有する。脚式ロボットが有する脚部の数は2本以上であれば何本でもよい。
【0020】
コンテナ部は、ダンパを伴って体幹に吊り下げられていてもよい。コンテナ部の揺動をより効果的に抑制することができる。
また、脚式ロボットは、体幹に対するコンテナ部の揺動を制御するアクチュエータを有していてもよい。その場合には、コンテナ部の揺動を効果的に抑制することができる。コンテナ部の揺動を制御する場合にも、コンテナ部の重心が揺動中心の鉛直下方に位置する状態が最も安定となるので、コンテナ部の揺動を制御し易いという長所を得ることができる。
【0021】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1(A)は、脚式ロボットの正面図である。図1(B)は、脚式ロボットの側面図である。
【図2】脚式ロボットの歩行中のある瞬間における側面図である。
【図3】倒れる瞬間における脚式ロボットの側面図である。
【符号の説明】
【0023】
10:脚式ロボット
12:体幹
14:コンテナ支持部材
16:コンテナ部
20L、20R:脚部
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−30133(P2008−30133A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204091(P2006−204091)