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【発明の名称】 ロボット等の旋回部構造
【発明者】 【氏名】栗田 昌兆

【要約】 【課題】ロボット等の旋回部構造を構造が簡単でかつ安価とする。

【構成】駆動モータ50の駆動回転力を出力軸51に固定された外歯車52から特定の1つのクランクピン37aに固定された外歯車53に直接伝達して偏心差動型減速機17のクランクピン37aを回転させるようにしたので、モータの回転駆動力を両端部に外歯車を有する円筒体を介してクランクピンを回転させる場合に比較し、モータの外歯車に噛み合っている円筒体の外歯車を省略することができ、これにより、構造が簡単で安価となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と回転部との間に配置された減速機および該減速機に回転駆動力を伝達する駆動モータを備えたロボット等の旋回部構造において、前記減速機は伝達部材と偏心差動型減速機を有し、前記偏心差動型減速機は、内周に多数のピン歯を有するとともに、前記固定部に固定されたケースと、ケース内に収納され、ピン歯と噛み合う外歯を有するピニオンと、ピニオンに形成された貫通孔にそれぞれ挿入された複数のクランクピンと、クランクピンを回転可能に支持するとともに、ケースに回転可能に支持されたキャリアとを備え、前記回転部にはキャリアが固定されるとともに、駆動モータが減速機の中心から半径方向に所定距離離れて取付けられ、前記伝達部材を、駆動モータの出力軸に固定された第1伝達部材と、複数のクランクピンのうちの特定の1つのクランクピンに固定され、前記第1伝達部材から回転駆動力が直接伝達される第2伝達部材とから構成したことを特徴とするロボット等の旋回部構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、産業用ロボットの旋回胴、腕関節や工作機械等の産業用機械における旋回部構造、即ちロボット等の旋回部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のロボット等の旋回部構造としては、例えば、特許文献1および特許文献2に記載されているようなものが知られている。ここで、前者のものは、固定部と回転部との間に配置され、中心部に中空孔が形成されるとともに、2本以上のクランクピンを有し、該クランクピンに付与された回転駆動力を減速して回転部に伝達し該回転部を回転させる偏心差動型減速機と、回転部に取り付けられた駆動モータと、駆動モータの出力軸に固定された第1外歯車と、前記中空孔と同軸関係を保った状態で減速機に回転可能に支持されるとともに、前記第1外歯車に直接噛み合う第2外歯車および該第2外歯車から軸方向に離れて配置された第3外歯車を有し、前記第1外歯車からの回転駆動力を受けて回転する円筒体と、前記第3外歯車に直接噛み合った状態で各クランクピンに固定され、前記円筒体の回転駆動力をクランクピンにそれぞれ伝達する第4外歯車と、を備えたものである。
【0003】
また、後者のものは、固定部と回転部との間に配置され、中心部に中空孔が形成されるとともに、2本以上のクランクピンを有し、該クランクピンに付与された回転駆動力を減速して回転部に伝達し該回転部を回転させる偏心差動型減速機と、回転部に取り付けられた駆動モータと、駆動モータの出力軸に固定された第1外歯車と、前記中空孔と同軸関係を保った状態で減速機に回転可能に支持されるとともに、軸方向に離れて配置された第2外歯車および第3外歯車を有する円筒体と、前記第1外歯車および第2外歯車の双方に直接噛み合い、第1外歯車の回転駆動力を円筒体に伝達する第4外歯車と、前記第3外歯車に直接噛み合った状態で各クランクピンに固定され、前記円筒体の回転駆動力をクランクピンにそれぞれ伝達する第5外歯車と、を備えたものである。
【特許文献1】特開平7ー108485号公報
【特許文献2】特開平7ー124883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前者のようなロボット等の旋回部構造にあっては、第2外歯車が大径となるため、旋回時に大きな騒音が発生するという問題点がある。その理由は、駆動モータの出力軸と減速機の中心軸との間の距離は、駆動モータと中空孔を通す配線、配管等との干渉を避ける等の理由から一定値以上としなければならないが、駆動モータの出力軸に固定されている第1外歯車は装置全体を小型化するという要請によって小径としなければならないため、必然的に第2外歯車が大径となってしまうからである。このような第2外歯車を小径とするため、後者のように第1外歯車と第2外歯車との間にアイドルギアとしての第4外歯車を介装することも提案されているが、このようにすると、2本のクランクピンを同期回転させるためには、第1、第2、第3、第4外歯車およびクランクピン2本に対応する2個の第5外歯車、合計6個の外歯車が必要となり、この結果、構造が複雑でかつ製作費も高価となるという問題点がある。
【0005】
この発明は、構造が簡単でかつ安価でありながら旋回時における騒音を効果的に低減することができるロボット等の旋回部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、固定部と回転部との間に配置された減速機および該減速機に回転駆動力を伝達する駆動モータを備えたロボット等の旋回部構造において、前記減速機は伝達部材と偏心差動型減速機を有し、前記偏心差動型減速機は、内周に多数のピン歯を有するとともに、前記固定部に固定されたケースと、ケース内に収納され、ピン歯と噛み合う外歯を有するピニオンと、ピニオンに形成された貫通孔にそれぞれ挿入された複数のクランクピンと、クランクピンを回転可能に支持するとともに、ケースに回転可能に支持されたキャリアとを備え、前記回転部にはキャリアが固定されるとともに、駆動モータが減速機の中心から半径方向に所定距離離れて取付けられ、前記伝達部材を、駆動モータの出力軸に固定された第1伝達部材と、複数のクランクピンのうちの特定の1つのクランクピンに固定され、前記第1伝達部材から回転駆動力が直接伝達される第2伝達部材とから構成したロボット等の旋回部構造により、達成することができる。
【発明の効果】
【0007】
回転部を固定部に対して旋回させる場合には、駆動モータを作動して出力軸、第1伝達部材を一体的に回転させる。このとき、特定の1つのクランクピンに固定されている第2伝達部材は前記第1伝達部材から直接回転駆動力を受け、該特定のクランクピンを回転させる。この結果、偏心差動型減速機は前記特定のクランクピンに付与された回転駆動力を減速して回転部に伝達し、該回転部を回転させる。このとき、特定のクランクピン以外のクランクピンにも第2伝達部材から回転駆動力を伝達し、該クランクピンも前記特定のクランクピンと同様に回転させてもよい。ここで、クランクピンを回転させるためには、第1、第2伝達部材だけでよく、構造が簡単となるとともに、製作費も安価となり、旋回時における騒音を効果的に低減させることもできる。
【0008】
前記第1、第2伝達部材としては、外歯車あるいはベルトが掛け渡されたプーリを用いることができる。
【実施例1】
【0009】
以下、この発明の実施例1を図面に基づいて説明する。
図1、2において、11は固定部としての産業用ロボットの本体部(基台)であり、この本体部11内には配線、配管が収納される空間12が形成されている。この本体部11の上方には垂直な軸線回りに回転する回転部としての旋回体13が設置され、この旋回体13の回転軸上には上下に延びる孔14が形成されている。
【0010】
17は本体部11と旋回体13との間に配置された偏心差動型減速機であり、この減速機17は本体部11の上端に固定された略円筒状のケース19を有し、このケース19の内周でその軸方向中央部には円柱状をした多数のピン歯20がほぼ半分だけ埋設された状態で設けられている。そして、これらのピン歯20は軸方向に延びるとともに、周方向に等距離離れて配置されている。21はケース19内に収納された円板状の2個のピニオンであり、これらのピニオン21の中心部には大径の貫通孔22がそれぞれ形成されている。また、これらピニオン21の外周にはケース19のピン歯20より歯数が少ない外歯23が形成され、これらの外歯23は前記ピン歯20に噛み合っている。26はケース19内に配置されたキャリアであり、このキャリア26は、ピニオン21の軸方向一側(下側)に配置された一側フランジ27と、ピニオン21の軸方向他側(上側)に配置されるとともに前記旋回体13に固定された他側フランジ28と、下端が一側フランジ27に一体的に連結されるとともに上端が他側フランジ28に着脱可能に連結された軸方向に延びる複数本の連結ロッド29と、から構成され、これらの連結ロッド29はいずれも前記ピニオン21に形成された遊嵌孔30内に遊嵌されている。32は一側、他側フランジ27、28とケース19との間に介装された一対の軸受であり、これらの軸受32によりキャリア26はケース19に回転可能に支持される。また、前記一側、他側フランジ27、28とケース19の軸方向両端部との間にはシール部材33が介装されている。37は周方向に等距離離れて配置された軸方向に延びる2本以上、ここでは2本のクランクピンであり、各クランクピン37はその軸方向一端(下端)が軸受38を介して一側フランジ27に、他端部が軸受39を介して他側フランジ28に回転可能に支持されている。また、各クランクピン37は中央部に偏心した2個のクランク部40を有し、これらクランク部40はそれぞれピニオン21に形成された貫通孔41にニードル軸受42を介装した状態で挿入されている。43は円筒体であり、この円筒体43は、その軸方向一端部(下端部)が一側フランジ27内に挿入されて固定され、また、その軸方向中央部が前記貫通孔22内に遊嵌され、さらに、その軸方向他端部(上端部)が旋回体13の孔14内に遊嵌されている。なお、44は円筒体43の軸方向他端と旋回体13との間に介装されたシール部材である。前述したケース19、ピニオン21、キャリア26、クランクピン37、円筒体43は全体として、クランクピン37に付与された回転駆動力を減速して旋回体13に伝達することにより該旋回体13を垂直な軸線回りに回転させる前記減速機17を構成し、この減速機17は前述のような円筒体43が設けられることで、中心部に旋回体13の内部と空間12とを連通する中空孔45が形成されている。そして、この中空孔45は配線、配管等、ここではケーブル類46を通すために用いられている。
【0011】
50は旋回体13に取り付けられた駆動モータ(サーボモータ)であり、この駆動モータ50の出力軸51は、前記ケーブル類46との干渉を避ける等の理由から、中空孔45の中心から半径方向に所定距離だけ離れて配置されており、この所定距離は中空孔45の中心からクランクピン37の回転軸までの距離より大きい。この結果、駆動モータ50の出力軸51と円筒体43との間にクランクピン37が位置することになる。前記出力軸51の先端には第1伝達部材としての外歯車52が固定され、また、前記クランクピン37のうち特定の1つのクランクピン37aのキャリア26から突出した軸方向他端(上端)には第2伝達部材としての外歯車53が固定され、この外歯車53と前記外歯車52とは直接噛み合っている。この結果、外歯車52の回転駆動力は外歯車53に直接伝達されて前記特定のクランクピン37aをまず回転させる。そして、このように外歯車52、53同士を直接噛み合わせるようにすれば、駆動モータ50をクランクピン37aの周囲の広い範囲に配置することができる。前記減速機17内、詳しくは外歯車53と円筒体43との間には前記中空孔45と同軸の円筒状歯車55が配置され、この円筒状歯車55の軸方向一端部(下端部)は軸受56を介して減速機17の他側フランジ28に回転可能に支持されている。なお、この円筒状歯車55の軸方向他端部(上端部)は軸受57を介して旋回体13に回転可能に支持されている。そして、この円筒状歯車55は前記外歯車53に直接噛み合っており、この結果、該円筒状歯車55は前記外歯車53からの回転駆動力を直接受けて回転する。前記特定のクランクピン37a以外のクランクピン37bのキャリア26から突出した軸方向他端(上端)には前記円筒状歯車55に直接噛み合う外歯車58が固定され、この外歯車58は前記円筒状歯車55から回転駆動力を直接受けてクランクピン37bを回転させ、回転トルクを2本のクランクピン37に分配している。なお、駆動モータ50は本体部(固定部)11やケース19の固定部分に取り付けてもよい。
【0012】
次に、この発明の実施例1の作用について説明する。
旋回体13を本体部11に対して旋回させる場合には、駆動モータ50を作動して出力軸51、外歯車52を一体的に回転させる。このとき、外歯車53は前記外歯車52に直接噛み合っているため、該外歯車52から回転駆動力を直接受け、特定のクランクピン37aをまず回転させる。これにより、ピニオン21がクランクピン37aと同一回転数で偏心回転(公転)する。このとき、ピニオン21の外歯23は歯数がケース19のピン歯20より少なく、かつ、ケース19のピン歯20に噛み合っており、しかも、ケース19が回転できないよう本体部11に固定されているため、前記特定のクランクピン37aに付与された回転駆動力はケース19、ピニオン20によって高比で減速されてキャリア26に取り出され旋回体13に伝達される。これにより、旋回体13は垂直軸線回りに低速大トルクで回転する。このとき、特定のクランクピン37a以外のクランクピン37bには外歯車53からの回転駆動力が、互いに直接噛み合っている円筒状歯車55、外歯車58を介して伝達され、これにより、該クランクピン37bも前記特定のクランクピン37aと同様に回転する。ここで、外歯車52(駆動モータ50の出力軸51)と円筒状歯車55との間にはクランクピン37aに固定された外歯車53が位置しているので、これら外歯車52、53および円筒状歯車55をいずれも小径とすることができ、これにより、旋回時における騒音を効果的に低減させることができる。しかも、前述した2本のクランクピン37a、bを回転させるためには、外歯車52、53、58および円筒状歯車55の4個の歯車でよく、この結果、構造が簡単となるとともに、製作費も安価となる。
【実施例2】
【0013】
図3、4はこの発明の実施例2示す図である。この実施例においては、駆動モータ50の出力軸51に固定された第1伝達部材としてプーリ60を、また、特定のクランクピン37aに固定された第2伝達部材としてもプーリ61を用い、これらプーリ60、61にタイミングベルト62を掛け渡して回転駆動力をプーリ60から61へ直接伝達するようにしている。また、この実施例においては、特定のクランクピン37aの軸方向中央部、詳しくは2つのクランク部40間に中間歯車63を設けるとともに、前記ピニオン21および中間歯車63と円筒体43との間に両端部が軸受64を介してキャリア26に回転可能に支持された円筒状歯車65を設けている。そして、前記中間歯車63と円筒状歯車65とを直接噛み合わせることにより、プーリ61の回転駆動力を特定のクランクピン37a、中間歯車63を介して円筒状歯車65に伝達するようにしている。なお、この円筒状歯車65には他のクランクピン37bの軸方向中央部に設けられた外歯車66が直接噛み合っており、この結果、クランクピン37bはクランクピン37aと同一方向に同一回転速度で回転する。そして、前述の中間歯車63は、両端支持されたクランクピン37aの軸方向中央部に設けられているので、円筒状歯車65との噛み合いによる騒音が小さくなり、また、クランクピン37aの回転力を円筒状歯車65、外歯車66を介して単にクランクピン37bに伝達するだけであるため、その幅は狭いもので十分である。また、この実施例では前述した2本のクランクピン37a、bを回転させるために、プーリ60、61、中間歯車63、円筒状歯車65、外歯車66の5個のプーリ、歯車でよく、この結果、構造が簡単となるとともに、製作費も安価となる。さらに、前述のように円筒状歯車65を減速機17内に収納するとともに、クランクピン37と他側フランジ28との間にシール部材67を設けたので、減速機17内の油・グリースを密封することができ、これにより、第1、第2伝達部材としてプーリ60、61を使用することができる。なお、他の構成、作用は前記実施例1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
この発明は、ロボット等の旋回部構造の産業分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の実施例1を示す正面断面図である。
【図2】図1のI−I矢視断面図である。
【図3】この発明の実施例2を示す正面断面図である。
【図4】図2のII−II矢視断面図である。
【符号の説明】
【0016】
11…固定部 13…回転部
17…偏心差動型減速機 37…クランクピン
37a…特定のクランクピン 45…中空孔
50…駆動モータ 51…出力軸
52…第1伝達部材 53…第2伝達部材
55…円筒状歯車 58…外歯車
【出願人】 【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
【出願日】 平成19年10月3日(2007.10.3)
【代理人】 【識別番号】100080540
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 敏雄


【公開番号】 特開2008−23711(P2008−23711A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−259462(P2007−259462)