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【発明の名称】 力覚提示装置、および、それを備えたパワーアシストアームおよびパワーアシスト装置
【発明者】 【氏名】足立 修一

【氏名】山岡 由広

【氏名】加藤 淳志

【氏名】高橋 正幸

【氏名】亀井 均

【氏名】細谷 ▲高▼司

【要約】 【課題】動作部における力覚を操作者に提示する力覚提示装置、および、それを備えたパワーアシストアームおよびパワーアシスト装置を提供する。

【構成】パワーアシストアーム1のアーム部4と操作部2との間には、アーム部力覚提示装置21が設けられている。アーム部力覚提示装置21は、第1および第2の油圧シリンダ31,41を備えている。第1の油圧シリンダ31のシリンダ33は、ピストン36により第1空間34と第2空間35とに仕切られている。また、第2の油圧シリンダ41のシリンダ43は、ピストン46により第3空間44と第4空間45とに仕切られている。第1空間34と第3空間44とは第1配管38を介して接続され、第2空間35と第4空間45とは第2配管39を介して接続されている。アーム部4が伸びると、第1空間34から第3空間44へ作動油が圧送され、操作ハンドル11はピストンロッド47の移動に伴いスライド移動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者によって操作される操作部と前記操作部の動作に従動する動作部との間に設けられ、前記動作部における力覚を前記操作部に伝達する力覚提示装置であって、
前記動作部と連動可能に接続された第1の液圧アクチュエータと、
前記操作部と連動可能に接続された第2の液圧アクチュエータと、を少なくとも備え、
前記第1の液圧アクチュエータと前記第2の液圧アクチュエータとは、前記第1の液圧アクチュエータと前記第2の液圧アクチュエータとの間において作動液が流通可能となるように接続されており、
前記第1の液圧アクチュエータは前記動作部に駆動され、
前記第2の液圧アクチュエータは、前記第1の液圧アクチュエータから圧送される作動液により駆動され、
前記操作部は、前記第2の液圧アクチュエータによって駆動される、力覚提示装置。
【請求項2】
前記第1の液圧アクチュエータは、
作動液を封入するための第1の密閉容器と、
前記第1の密閉容器内を第1空間と第2空間とに仕切る第1仕切部材と、を有し、
前記第2の液圧アクチュエータは、
作動液を封入するための第2の密閉容器と、
前記第2の密閉容器内を第3空間と第4空間とに仕切る第2仕切部材と、を有し、
前記第1空間と前記第3空間とは第1配管を介して接続され、
前記第2空間と前記第4空間とは第2配管を介して接続され、
前記第1仕切部材は、前記動作部の動作に従動して前記第1空間側または前記第2空間側に移動し、
前記第2仕切部材は、前記操作部を駆動する、請求項1に記載の力覚提示装置。
【請求項3】
前記第1および第2の液圧アクチュエータは、油圧シリンダにより構成されている、請求項1または2に記載の力覚提示装置。
【請求項4】
前記第1および第2の液圧アクチュエータは、油圧ロータリアクチュエータにより構成されている、請求項1または2に記載の力覚提示装置。
【請求項5】
開閉自在に構成され、対象物を把持する把持部と、
操作者によって操作される操作部と、
前記操作部と前記把持部との間に設けられ、前記操作部の操作に応じて前記把持部を開閉駆動する把持部駆動装置と、
前記動作部を前記把持部とする請求項3に記載の力覚提示装置と、
を備えたパワーアシストアーム。
【請求項6】
先端部に前記把持部が接続され、伸縮自在に構成されたアーム部と、
前記操作部と前記アーム部との間に接続され、前記操作部の操作に応じて前記アーム部を伸縮させるアーム部駆動装置と、
前記動作部を前記アーム部とする請求項3に記載の力覚提示装置と、
を備えた、請求項5に記載のパワーアシストアーム。
【請求項7】
前記アーム部と前記把持部との間に設けられ、前記把持部と前記アーム部とを回転自在に接続する関節部と、
前記操作部と前記関節部との間に接続され、前記操作部の操作に応じて前記関節部を回転させる関節部駆動装置と、
前記動作部を前記関節部とする請求項4に記載の力覚提示装置と、
を備えた、請求項6に記載のパワーアシストアーム。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一つに記載のパワーアシストアームを2つ備えた、パワーアシスト装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、動作部における力覚を操作者に提示する力覚提示装置、および、それを備えたパワーアシストアームおよびパワーアシスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、人の力では行うことができない作業や危険な作業を行う作業装置として、パワーアシスト装置やマニピュレータが用いられている。これらの装置は、人が操作する操作部と、人の操作に応じて動作を行う動作部と、操作部の操作量に基づき動作部を駆動する駆動機構と、動作部の動作量を操作部に伝達する力覚提示装置とを備えている。上記装置の操作者は、上記力覚提示装置により、動作部における力覚を享受することができ、精度のよい操作を行うことが可能となる。
【0003】
ところで、力覚提示装置には、マニピュレータのように、電気的な機構により構成されたもの(例えば、特許文献1参照)と、機械的な機構により構成されたものとがある。電気的な機構による場合、動作部には種々のセンサが設けられ、各センサは制御装置に接続されている。また、制御装置は操作部を駆動するアクチュエータに接続されている。これにより、各センサによって検知された動作部にかかる負荷に基づき、制御装置が操作部に与える負荷量を演算し、アクチュエータを運転させる。このようにして、動作部における力覚が操作部に精度よく提供される。一方、機械的な機構による場合、操作部と動作部とはリンク機構等により接続されている。これにより、動作部の動作が操作部に円滑に伝達され、操作者はあたかも直接動作しているかのような操作感を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平8−224246号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のように、特許文献1に記載された電気的な機構により構成された力覚提示装置では、センサや制御装置等を設けなければならない。そのため、装置全体が高価かつ複雑となる。また、上記力覚提示装置では、センサによって検出された負荷は、一旦、制御装置において演算され、操作部に伝達される。そのため、機械的な要素により構成された力覚提示装置に比べ、円滑性に欠ける。一方、リンク機構による力覚提示装置では、動作部と操作部とを直接リンクさせるため、配置の自由度が低くなる。そのため、伸縮や曲げ等の種々の動作部を備え、他種類の動作を行う多段式のパワーアシストアームに用いることは難しく、好ましくない。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、精度の高い力覚提示装置を簡単な構成により安価に提供すること、および、それを備えた多段式のパワーアシストアームおよびパワーアシスト装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る力覚提示装置は、操作者によって操作される操作部と前記操作部の動作に従動する動作部との間に設けられ、前記動作部における力覚を前記操作部に伝達する力覚提示装置であって、前記動作部と連動可能に接続された第1の液圧アクチュエータと、前記操作部と連動可能に接続された第2の液圧アクチュエータと、を少なくとも備え、前記第1の液圧アクチュエータと前記第2の液圧アクチュエータとは、前記第1の液圧アクチュエータと前記第2の液圧アクチュエータとの間において作動液が流通可能となるように接続されており、前記第1の液圧アクチュエータは前記動作部に駆動され、前記第2の液圧アクチュエータは、前記第1の液圧アクチュエータから圧送される作動液により駆動され、前記操作部は、前記第2の液圧アクチュエータによって駆動されるものである。
【0008】
ここで力覚とは、動作部の動作感覚をいい、力覚提示とは、例えば、動作部の動作方向や動作長さや反力等を操作部において再現することをいう。
【0009】
上記力覚提示装置では、力覚の提示に際し、液圧アクチュエータを用いて、作動液を流動させることにより、動作部の動作を操作部に伝達する。そのため、動作部の動作を操作部に円滑に伝達することができ、操作者は、動作部における力覚を精度よく享受することができる。したがって、上記力覚提示装置を用いることにより、動作部を精度よく操作することができる。
【0010】
また、液圧アクチュエータを用いることにより、マニピュレータのようにセンサや制御装置等を設けることなく力覚を提示することができる。そのため、装置全体のコストを削減することができる。また、液圧アクチュエータは、作動液を封入するだけで使用可能であり、微妙な調整等が不要となる。そのため、保守管理における負担を軽減することもできる。
【0011】
さらに、液圧アクチュエータを用いたことにより、設計の自由度が向上する。したがって、本力覚提示装置であれば、伸縮や曲げ等の種々の動作部を備え、他種類の動作を行う多段式のパワーアシストアームにも好適に用いることができる。
【0012】
前記第1の液圧アクチュエータは、作動液を封入するための第1の密閉容器と、前記第1の密閉容器内を第1空間と第2空間とに仕切る第1仕切部材と、を有し、前記第2の液圧アクチュエータは、作動液を封入するための第2の密閉容器と、前記第2の密閉容器内を第3空間と第4空間とに仕切る第2仕切部材と、を有し、前記第1空間と前記第3空間とは第1配管を介して接続され、前記第2空間と前記第4空間とは第2配管を介して接続され、前記第1仕切部材は、前記動作部の動作に従動して前記第1空間側または前記第2空間側に移動し、前記第2仕切部材は、前記操作部を駆動することが好ましい。
【0013】
このことにより、精度の高い力覚提示装置を簡単な構成により安価に提供することができる。
【0014】
前記第1および第2の液圧アクチュエータは、油圧シリンダにより構成されていることが好ましい。
【0015】
このことにより、精度の高い力覚提示装置を簡単な構成により安価に提供することができる。
【0016】
前記第1および第2の液圧アクチュエータは、油圧ロータリアクチュエータにより構成されていることが好ましい。
【0017】
このことにより、精度の高い力覚提示装置を簡単な構成により安価に提供することができる。
【0018】
本発明に係るパワーアシストアームは、開閉自在に構成され、対象物を把持する把持部と、操作者によって操作される操作部と、前記操作部と前記把持部との間に設けられ、前記操作部の操作に応じて前記把持部を開閉駆動する把持部駆動装置と、前記動作部を前記把持部とする前記力覚提示装置と、を備えたものである。
【0019】
上記パワーアシスト装置によれば、把持部の開閉動作を操作部に円滑に伝達することが出来る。そのため、操作者は、把持部における力覚を精度よく享受することができる。したがって、上記パワーアシスト装置によれば、操作者は、把持部を精度よく開閉操作することができ、把持部に対象物を好適に把持させることができる。
【0020】
前記パワーアシスト装置は、先端部に前記把持部が接続され、伸縮自在に構成されたアーム部と、前記操作部と前記アーム部との間に接続され、前記操作部の操作に応じて前記アーム部を伸縮させるアーム部駆動装置と、前記動作部を前記アーム部とする前記力覚提示装置と、を備えていることが好ましい。
【0021】
上記パワーアシスト装置によれば、アーム部の伸縮動作を操作部に円滑に伝達することが出来る。そのため、操作者は、アーム部における力覚を精度よく享受することができる。したがって、上記パワーアシスト装置によれば、操作者は、アーム部を精度よく伸縮操作することができる。
【0022】
前記パワーアシストアームは、前記アーム部と前記把持部との間に設けられ、前記把持部と前記アーム部とを回転自在に接続する関節部と、前記操作部と前記関節部との間に接続され、前記操作部の操作に応じて前記関節部を回転させる関節部駆動装置と、前記動作部を前記関節部とする前記力覚提示装置と、を備えていることが好ましい。
【0023】
上記パワーアシスト装置によれば、関節部の回転動作を操作部に円滑に伝達することが出来る。そのため、操作者は、関節部における力覚を精度よく享受することができる。したがって、上記パワーアシスト装置によれば、操作者は、関節部を精度よく回転操作することができる。
【0024】
本発明に係るパワーアシスト装置は、前記パワーアシストアームを2つ備えたものである。
【0025】
このことにより、双腕の力覚提示型パワーアシストアームを備えたパワーアシスト装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、精度の高い力覚提示装置を簡単な構成により安価に提供すること、および、それを備えた多段式のパワーアシストアームおよびパワーアシストロボットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1に示すように、パワーアシストアーム1は、操作者によって操作される操作部2と、操作部2の動作に従動する動作部3と、操作部2および動作部3を支持する支持部7とを備えている。なお、以下の説明では、図1の左側を前側、右側を後側と称する。
【0029】
動作部3は、支持部7に支持される伸縮自在なアーム部4と、アーム部4の先端部に取り付けられた関節部5と、関節部5に回転自在に取り付けられたハンド部6とを備えている。アーム部4は、後端部が支持部7に固定された固定部4aと、前端部が関節部5に取り付けられている可動部4bとにより構成されている。可動部4bの後端部は固定部4aにスライド自在に支持されている。可動部4bが固定部4aに対して前後方向にスライドすることにより、アーム部4は伸縮する。
【0030】
ハンド部6は、基端部が関節部5に回転自在に取り付けられたハンド6aと、ハンド6aの先端部に取り付けられた把持部6bとからなる。また、把持部6bは、ハンド6aの先端部に固定された断面略L字状の板状体からなる固定部6dと、固定部6dの一方の面と対峙し、固定部6dにスライド自在に接続された可動部6cとにより構成されている。把持部6bは、可動部6cが固定部6dに対してスライドすることにより、開閉する。このような動作により、把持部6bは対象物を把持することとなる。なお、固定部6dの形状は上記のものに限定されず、固定部6dと可動部6cとにより対象物を把持可能な形状であれば、いかなるものであってもよい。
【0031】
操作部2は、操作ハンドル11を備えている。操作ハンドル11は、固定プレート13にスライド自在かつ回転自在に取り付けられている。固定プレート13は、アーム部4に固定されている。操作ハンドル11の周囲には、6軸センサ12が取り付けられている。6軸センサ12は、操作者によって操作ハンドル11に前後方向または回転方向の力が加えられると、その負荷された力の大きさおよび方向を検知する。
【0032】
また、操作部2は、把持操作部14を備えている。把持操作部14は、水平方向に延びる板状体14bと、板状体14bの後端部の上面に設けられた筒状体からなる指入れ14aとにより構成されている。板状体14bは、回転プレート15に所定方向(図1中の矢印Bの方向)にスライド自在に取り付けられている。回転プレート15は、操作ハンドル11に取り付けられており、操作ハンドル11の回転に伴って回転する。また、板状体14bの指入れ14aよりも前側には歪みゲージ16が取り付けられている。歪みゲージ16は、操作者により把持操作部14に所定のB方向の力が加えられると、その力と方向とを検知する。
【0033】
支持部7は、鉛直方向に延びる支柱7aと、水平方向に延び、支柱7aの下端部が固定された支持台7bとを備えている。支柱7aにはアーム部4の固定部4aが取り付けられている。なお、本実施形態ではアーム部4の固定部4aは支柱7aに固定されているが、アーム部4は関節部を介して支柱7aに回転自在に接続されていてもよい。
【0034】
アーム部4と操作部2との間には、操作部2の操作(操作ハンドル11に対し、A方向に力を負荷する操作)に応じてアーム部4を伸縮させるアーム部駆動装置22と、アーム部4の伸縮動作に応じた力覚(伸縮速度、伸縮長さ、反力等)を操作部2に伝達するアーム部力覚提示装置21とが設けられている。アーム部力覚提示装置21は、操作ハンドル11を、アーム部4の伸縮速度および反力に応じた速度および力で、アーム部4の伸縮長さに応じた長さ分だけA方向にスライドさせることにより、操作部2に力覚を提示する。
【0035】
関節部5と操作部2との間には、操作部2の操作(操作ハンドル11に対し、C方向に力を負荷する操作)に応じて関節部5を回転させる関節部駆動装置24と、関節部5の回転動作に応じた力覚(回転速度、回転角度、反力等)を操作部2に伝達する関節部力覚提示装置23とが設けられている。関節部力覚提示装置23は、操作ハンドル11を、関節部5の回転速度および反力に応じた回転速度および力で、関節部5の回転角度に応じた回転角度分だけC方向に回転させることにより、操作部2に力覚を提示する。
【0036】
ハンド部6の把持部6bと操作部2との間には、操作部2の操作(把持操作部14に対し、B方向に力を負荷する操作)に応じて把持部6bを開閉させる把持部駆動装置26と、把持部6bの開閉動作に応じた力覚(開閉速度、開閉度合い、反力等)を操作部2に伝達する把持部力覚提示装置25とが設けられている。把持部力覚提示装置25は、把持操作部14を、把持部6bの開閉速度および反力に応じた速度および力で、把持部6bの開閉度合いに応じた分だけB方向にスライドさせることにより、操作部2に力覚を提示する。
【0037】
以上がパワーアシストアーム1の全体構成である。次に、各力覚提示装置21,23、25について詳述する。
【0038】
図2に示すように、アーム部力覚提示装置21は、第1の油圧シリンダ31および第2の油圧シリンダ41を備えている。第1の油圧シリンダ31は、シリンダ33と、シリンダ33内部を第1空間34と第2空間35とに仕切るピストン36と、ピストン36に取り付けられたピストンロッド37により構成されている。第2の油圧シリンダ41も第1の油圧シリンダと同様に、シリンダ43と、シリンダ43内部を第3空間44と第4空間45とに仕切るピストン46と、ピストン46に取り付けられたピストンロッド47により構成されている。第1および第2の油圧シリンダ31,41のシリンダ33,43内には作動油が封入されている。
【0039】
また、第1の油圧シリンダ31の第1空間34と第2の油圧シリンダ41の第3空間44とには第1配管38が接続されており、第1空間34と第3空間44とは連通している。一方、第1の油圧シリンダ31の第2空間35と第2の油圧シリンダ41の第4空間45とには第2配管39が接続されており、第2空間35と第4空間45とは連通している。また、ピストンロッド37とアーム部4の可動部4bとは、図示しないリンク機構等を介して接続されている。また、ピストンロッド47と操作ハンドル11とは、図示しないリンク機構等を介して接続されている。
【0040】
図3に示すように、関節部力覚提示装置23は、第1の油圧ロータリアクチュエータ51および第2の油圧ロータリアクチュエータ61を備えている。第1および第2の油圧ロータリアクチュエータ51,61は、いわゆるラックピニオンタイプのピストン形油圧ロータリアクチュエータである。第1および第2の油圧ロータリアクチュエータ51,61は、第1配管50および第2配管60により、作動油が両油圧ロータリアクチュエータ51,61間を流通可能に接続されている。
【0041】
図4に示すように、第1の油圧ロータリアクチュエータ51は、シリンダ53と、シリンダ53内を摺動するピストン54,55と、ピストン54,55に挟まれたラック56と、ラック56と噛み合うピニオン57とにより構成されている。ピニオン57は関節部5(図3参照)のシャフト5aと係合している。また、シリンダ53内は、ピストン54,55およびラック56により第1空間58と第2空間59とに仕切られている。シリンダ53の第1空間58側には第1ポート58aが設けられ、第2空間59には第2ポート59aが設けられている。また、第1の油圧ロータリアクチュエータ51のシリンダ53内には作動油が封入されている。
【0042】
一方、第2の油圧ロータリアクチュエータ61も、第1の油圧ロータリアクチュエータ51と同様に、シリンダ63と、シリンダ63内を摺動するピストン64,65と、ピストン64,65に挟まれたラック66と、ラック66と噛み合うピニオン67とにより構成されている。ピニオン67は操作ハンドル11の回転軸11aと係合している。また、シリンダ63内は、ピストン64,65およびラック66により第3空間68と第4空間69とに仕切られている。シリンダ63の第3空間68側には第3ポート68aが設けられ、第4空間69には第4ポート69aが設けられている。また、第2の油圧ロータリアクチュエータ61のシリンダ63内には作動油が封入されている。
【0043】
前述した第1配管50は、第1ポート58aおよび第3ポート68aに接続されており、第1空間58と第3空間68とは連通している。一方、第2配管60は、第2ポート59aおよび第4ポート69aに接続されており、第2空間59と第4空間69とは連通している。
【0044】
図5に示すように、把持部力覚提示装置25は、第1の油圧シリンダ71および第2の油圧シリンダ81を備えている。第1の油圧シリンダ71は、シリンダ73と、シリンダ73内部を第1空間74と第2空間75とに仕切るピストン76と、ピストン76に取り付けられたピストンロッド77とにより構成されている。第2の油圧シリンダ81も第1の油圧シリンダ71と同様に、シリンダ83と、シリンダ83内部を第3空間84と第4空間85とに仕切るピストン86と、ピストン86に取り付けられたピストンロッド87とにより構成されている。
【0045】
また、第1の油圧シリンダ71の第1空間74と第2の油圧シリンダ81の第3空間84とは第1配管78を介して接続されている。第1の油圧シリンダ71の第2空間75と第2の油圧シリンダ81の第4空間85とは第2配管79を介して接続されている。ピストンロッド77と把持部6bの可動部6cとは、図示しないリンク機構等を介して接続されている。また、ピストンロッド87は操作部2の把持操作部14の板状体14bに接続されている。
【0046】
以上が各力覚提示装置21,23、25の構成である。次に、パワーアシストアーム1の動作について説明する。
【0047】
パワーアシストアーム1は、重量物の運搬等に用いられる。そのため、まず、アーム4を伸縮させ、関節部5を回転させることにより、把持部6bを重量物に近接させる。その後、把持部6bを開閉させて重量物を把持し、再度、アーム4を伸縮させ、関節部5を回転させることにより、把持部6bを所定の位置まで移動させる。そして、所定の位置において把持部6bを開くと、重量物は把持部6bから離れ、所定の位置に載置される。このような動作により、重量物は所定の位置まで運搬される。
【0048】
次に、動作部3のアーム部4、関節部5、ハンド部6と、操作部2との間における動作について具体的に説明する。
【0049】
まず、アーム部4と操作部2との動作について説明する。まず、操作者により操作ハンドル11に対してA方向(前方または後方)に力が負荷されると、操作ハンドル11に取り付けられた6軸センサ12によりその力の向きおよび大きさ等が検知される。これらのデータはアーム部駆動装置22に伝達される。アーム部駆動装置22は、このデータに基づき、アーム4の伸縮速度および伸縮長さを決定し、アーム4の可動部4bを前方または後方に移動させる。これにより、アーム部4は伸縮することとなる。
【0050】
一方、アーム部4が伸縮すると、アーム部力覚提示装置21が駆動され、操作ハンドル11がA方向(前方または後方)にスライド移動する。これにより、操作者にアーム部4における力覚(伸縮の速度、伸縮長さ、反力等)を提示することができる。具体的には、アーム部4が伸縮すると、第1の油圧シリンダ31のピストンロッド37がアーム部4の可動部4bにリンクしてシリンダ33の一方側または他方側に移動する。これにより、第1の油圧シリンダ31が伸縮する。第1の油圧シリンダ31が伸縮すると、第1配管38または第2配管39を介して第1の油圧シリンダ31の一方の空間から第2の油圧シリンダ41の一方の空間に作動油が圧送される。そして、ピストン46およびピストンロッド47が油圧により第2の油圧シリンダ41の他方の空間側へ押圧される。ここで、ピストンロッド47は、操作ハンドル11とリンク機構等を介して接続されている。そのため、操作ハンドル11は、ピストンロッド47の移動にリンクしてA方向(前方または後方)にスライド移動することとなる。
【0051】
次に、関節部5と操作部2との動作について説明する。まず、操作者により操作ハンドル11に対してC方向(周方向)に力が負荷されると、操作ハンドル11に取り付けられた6軸センサ12により力の向および大きさ等が検知される。これらのデータは関節部駆動装置24に伝達される。関節部駆動装置24は、このデータに基づき、関節部5の回転速度および回転角度等を決定し、関節部5を回転駆動する。これにより、関節部5に接続されたハンド部6が旋回することとなる。
【0052】
一方、関節部5が回転すると、関節部力覚提示装置23が駆動され、操作ハンドル11がC方向(周方向)に回転する。これにより、操作者に関節部5における力覚(回転の速度、回転角度、反力等)を提示することができる。具体的には、関節部5が回転すると、第1の油圧ロータリアクチュエータ51のピニオン57が関節部5のシャフト5aと共に回転する。これに伴い、ラック56およびピストン54,55がシリンダ53の一方の空間側へ移動する。これにより、一方の空間内にあった作動油は第1の油圧ロータリアクチュエータから排出され、第2の油圧ロータリアクチュエータ61の一方の空間に圧送される。第1の油圧ロータリアクチュエータ51から第2の油圧ロータリアクチュエータ61の一方の空間へ作動油が圧送されると、第2の油圧ロータリアクチュエータ61のラック66およびピストン64,65はシリンダ63の他方の空間側へ押圧される。これにより、ラック66が他方の空間側へ移動し、これに伴いピニオン67が操作ハンドル11の回転軸11aと共に回転駆動されることとなる。
【0053】
次に、把持部6bと操作部2との動作について説明する。まず、操作者により把持操作部14の板状体14bに対してB方向(上方または下方)に力が負荷されると、板状体14bに取り付けられた歪みゲージ16により力の向きおよび大きさ等が検知される。これらのデータは、把持部駆動装置26に伝達される。把持部駆動装置26は、このデータに基づき、把持部6bの開閉速度および開閉度合いを決定し、把持部6bの可動部6cをスライド移動させる。これにより、把持部6bは開閉することとなる。
【0054】
一方、把持部6bが開閉すると、把持部力覚提示装置25が駆動され、把持操作部14の板状体14bがB方向(上方または下方)にスライド移動する。これにより、操作者に把持部6bにおける力覚(開閉の速度、開閉度合い、反力等)を提示することができる。具体的には、把持部6bが開閉すると、第1の油圧シリンダ71のピストンロッド77が把持部6bの可動部6cにリンクしてシリンダ73の一方側または他方側に移動する。これにより、第1の油圧シリンダ71が伸縮する。第1の油圧シリンダ71が伸縮すると、第1配管78または第2配管79を介して第1の油圧シリンダ71の一方の空間から第2の油圧シリンダ81の一方の空間に作動油が圧送される。これにより、ピストン86およびピストンロッド87が油圧により第2の油圧シリンダ81の他方の空間側へ押圧される。ここで、ピストンロッド87は、把持操作部14の板状体14bに接続されている。そのため、把持操作部14は、ピストンロッド87の移動によりB方向(上方または下方)にスライド移動することとなる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係るパワーアシストアーム1によれば、把持部力覚提示装置25により、把持部6bの開閉動作を操作部2の把持操作部14に円滑に伝達することが出来る。そのため、操作者は、把持部6bにおける力覚(開閉の速度、開閉度合い、反力等)を精度よく享受することができる。したがって、本パワーアシストアーム1によれば、操作者は、把持部6bを好適に開閉操作することができ、把持部6bに対象物を好適に把持させることができる。
【0056】
また、本パワーアシストアーム1によれば、アーム部力覚提示装置21により、アーム部4の伸縮動作を操作部2の操作ハンドル11に円滑に伝達することが出来る。そのため、操作者は、アーム部4における力覚(伸縮の速度、伸縮の長さ、反力等)を精度よく享受することができる。したがって、本パワーアシストアーム1によれば、操作者は、アーム部4を好適に伸縮操作することができる。
【0057】
本パワーアシストアーム1によれば、関節部力覚提示装置23により、関節部5の回転動作を操作部2の操作ハンドル11に円滑に伝達することが出来る。そのため、操作者は、関節部5における力覚(回転速度、回転角度、反力等)を精度よく享受することができる。したがって、本パワーアシストアーム1によれば、操作者は、関節部5を好適に回転操作することができる。
【0058】
また、各力覚提示装置21,23,25では、力覚の提示に際し、油圧アクチュエータ(油圧シリンダまたは油圧ロータリアクチュエータ)を用いて、作動液を流動させることにより、各動作部(アーム部4、関節部5、把持部6b)の動作を操作部2に伝達することとしている。そのため、マニピュレータのようにセンサや制御装置等を設けることなく力覚を提示することができ、コストを削減することができる。なお、本実施形態では、力覚の提示に際し、作動液として油を用いる油圧アクチュエータを用いているが、作動液は油に限定されず、他の液体を用いてもよい。
【0059】
さらに、各力覚提示装置21,23,25では、1対の油圧アクチュエータにより構成されている。そのため、作動油を封入するだけで使用可能であり、微妙な調整等が不要となる。したがって、本パワーアシストアーム1によれば、保守管理における負担を軽減することもできる。
【0060】
本パワーアシストアーム1では、各力覚提示装置21,23,25として油圧アクチュエータを用いたことにより、設計の自由度が向上する。そのため、動作部3から操作部2までの配管経路を自由に設定することができる。したがって、本パワーアシストアーム1によれば、他種類の動作(伸縮や曲げ等)を行う種々の動作部3を備えた多段式のパワーアシストアーム1を簡単な構成かつ安価に提供することができる。
【0061】
なお、本実施形態に係るパワーアシストアーム1は、動作部3としてアーム部4、関節部5、把持部6bを備えていた。しかし、動作部3はこれらに限定されない。例えば、図6に示すように、動作部3としてアーム部4を捻るための捻り機構91や、アーム部4を上下方向に回動してアーム部4を起伏させるための関節部92や、アーム部4を水平方向に旋回させるための旋回機構93を加え、これらの動作部3と操作部2との間に駆動装置および油圧アクチュエータを用いた力覚提示装置を備えていてもよい。このようなパワーアシストアーム1によれば、把持部6bの可動範囲が広がるため、重量物の運搬等だけでなく、組み立て作業、除去・撤去作業等、他目的に使用可能となる。
【0062】
また、本実施形態に係るパワーアシストアーム1では、支持部7は地面に固定されていた。しかし、支持部7は可動式の支持台であってもよい。また、駆動装置を設け、支持部7を自走可能としてもよい。このようなパワーアシストアーム1によれば、決まった現場だけでなく、事故現場や災害現場等の外部の任意の現場において使用することが可能となる。
【0063】
さらに、図7に示すように、本発明によれば、本パワーアシストアーム1を2つ用いることにより、双腕のパワーアシストアーム1を備えたパワーアシスト装置100を提供することができる。当該パワーアシスト装置100によれば、両アーム1を用いることにより、より人間の動作に近い動作を行うことが可能となる。したがって、当該パワーアシスト装置100は、幅広い用途に用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、力覚提示装置、および、それを備えた多段式のパワーアシストアームおよびパワーアシスト装置について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施形態に係るパワーアシストアームの構成図である。
【図2】図1のアーム部力覚提示装置の詳細を示す図である。
【図3】図1の関節部力覚提示装置の詳細を示す図である。
【図4】関節部力覚提示装置の詳細図である。
【図5】図1の把持部力覚提示装置の詳細を示す図である。
【図6】変形例に係るパワーアシストアームの構成図である。
【図7】実施形態に係るパワーアシスト装置の構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1 パワーアシストアーム
2 操作部
3 動作部
4 アーム部
5 関節部
6 ハンド部
6b 把持部
21 アーム部力覚提示装置
22 アーム部駆動装置
23 関節部力覚提示装置
24 関節部駆動装置
25 把持部力覚提示装置
26 把持部駆動装置
31 第1の油圧シリンダ(第1の液圧アクチュエータ)
41 第2の油圧シリンダ(第2の液圧アクチュエータ)
51 第1の油圧ロータリアクチュエータ(第1の液圧アクチュエータ)
61 第2の油圧ロータリアクチュエータ(第2の液圧アクチュエータ)
71 第1の油圧シリンダ(第1の液圧アクチュエータ)
81 第2の油圧シリンダ(第2の液圧アクチュエータ)
100 パワーアシスト装置
【出願人】 【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志


【公開番号】 特開2008−23681(P2008−23681A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201313(P2006−201313)