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【発明の名称】 移載システムおよび移載方法
【発明者】 【氏名】中塚 守

【要約】 【課題】吸着グリッパーの保持力を把握しつつ、移載対象物を確実に移載し得る移載システムおよび移載方法を提供する。

【構成】移載対象物11を吸着グリッパー14で移載する場合、移載対象物11の一部が通気性の部分を有していても、前記通気性の部分を吸着グリッパー14で保持し移載する前に、すなわち払い出しステーション12Aで移載対象物11を持ち上げる前に吸着グリッパー14の発生保持力を把握する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁を内蔵し、移載対象物を吸着する吸着グリッパーと、
前記吸着グリッパー内部を減圧する手段と、
前記吸着グリッパー内部の真空度を検出し制御する手段と、
移載対象物を搬送するステーションであって該移載対象物の重量を検出する重量検出手段を含むステーションとを備え、
前記重量検出手段で検出される重量に基づき、前記吸着グリッパーによる前記移載対象物の保持力を演算する手段と、
前記演算する手段で演算された保持力から、前記移載対象物を移載するのに必要な前記吸着グリッパー内部の真空度を決定するとともに、前記移載対象物の移載可否を判断する手段とを有することを特徴とする移載システム。
【請求項2】
逆止弁を内蔵し、移載対象物を吸着する吸着グリッパーと、前記吸着グリッパー内部を減圧する手段と、前記吸着グリッパー内部の真空度を検出し制御する手段と、移載対象物を搬送するステーションであって該移載対象物の重量を検出する重量検出手段を含むステーションと、前記重量検出手段で検出される重量に基づき、前記吸着グリッパーによる前記移載対象物の保持力を演算する手段とを備える移載システムによって、移載対象物を移載する方法であって、
前記移載対象物に前記吸着グリッパーを当接させた状態で、移載対象物の重量と同等または同等以下の前記吸着グリッパーによる保持力を発生させるように、該吸着グリッパー内部の真空度を制御する工程と、
前記工程後、前記移載対象物の重量が減量された値を前記重量検出手段で検出することで、前記真空度での前記吸着グリッパーの実保持力を前記演算する手段で演算する工程と、
前記工程後、前記吸着グリッパー内部の真空度を増し、前記吸着グリッパーが移載対象物の移載に必要な保持力を上回る保持力を発生させた後、移載動作を実行させる工程とを有することを特徴とする移載方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、移載システムおよび移載方法に関し、たとえばテレビジョン受像機などの移載対象物を確実に移載し得る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶などの薄形テレビジョン受像機の組立ては、様々な工程を経て行われるが、それぞれの工程の性格上、ラインを分離する必要が生じる。そのため、組立て途中のテレビジョン受像機を二つのライン間で移載することが必要になることが多い。テレビジョン受像機に取っ手が付いている場合は、その把持は簡単で問題はないが、取っ手が付いていない場合には、テレビジョン受像機を移載するための把持方法が難しい。
【0003】
テレビジョン受像機の上下面または側面を把持する方法があるが、テレビジョン受像機が大形になり、生産する機種が500N近くの重量になると、テレビジョン受像機の被把持部に傷が入ったり、把持部がすぐに磨耗する場合がある。スピーカーがテレビジョン受像機の下面に取り付けられている場合は、このテレビジョン受像機を把持するとき前記スピーカーが破損してしまうおそれがある。
【0004】
図12は、従来技術に係る共通の真空経路を備える吸着パッド部1などを表す図である。前述の問題を解決するため、移載対象物を真空吸着し移載する技術が考えられている(たとえば特許文献1参照)。これは小孔を有する移載対象物を、吸着板に形成された多数の吸着口のそれぞれが共通のチャンバーに配管接続された吸着グリッパーによって真空吸着で保持する技術である。この従来技術に係る複数種類の吸着グリッパーが提案されている。
【0005】
一の吸着グリッパーは、多数の吸着口のうち一部が通気性のある部分を吸着しても、共通のチャンバーに通じる孔を小さくして到達真空度が低下する影響を少なくするものである。他の吸着グリッパーは、その一部が通気性のある部分を吸着した場合、その部分の吸着口を逆止弁で閉じてしまうものである。
【0006】
【特許文献1】特開2005−195257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
テレビジョン受像機は種々の機種があり、極力多くの機種に適応できるような吸着グリッパーを製作することが望ましい。しかしテレビジョン受像機の背面は、放熱用のスリットなど通気性のある部分があり、吸着グリッパーでテレビジョン受像機の背面を吸着しても、吸着グリッパーの吸着部の一部がこれらの通気性のある部分に接触せざるをえない。
【0008】
前記従来の一の吸着グリッパーを用いた場合、到達真空度の低下が、通気性の多い部分を吸着したためか、吸着不良などによるものか判別がつかず、吸着グリッパーの保持力が把握できない状態で使用せざるをえない。
【0009】
前記従来の他の吸着グリッパーを用いた場合、到達真空度は低下しないが、有効に働く吸着口が少ない場合、その吸着口の数つまり吸着面積が把握できず、必要十分な吸着力(保持力)が得られない状態で使用することになる。
【0010】
本発明の目的は、吸着グリッパーの保持力を把握しつつ、移載対象物を確実に移載し得る移載システムおよび移載方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、逆止弁を内蔵し、移載対象物を吸着する吸着グリッパーと、
前記吸着グリッパー内部を減圧する手段と、
前記吸着グリッパー内部の真空度を検出し制御する手段と、
移載対象物を搬送するステーションであって該移載対象物の重量を検出する重量検出手段を含むステーションとを備え、
前記重量検出手段で検出される重量に基づき、前記吸着グリッパーによる前記移載対象物の保持力を演算する手段と、
前記演算する手段で演算された保持力から、前記移載対象物を移載するのに必要な前記吸着グリッパー内部の真空度を決定するとともに、前記移載対象物の移載可否を判断する手段とを有することを特徴とする移載システムである。
【0012】
また本発明は、逆止弁を内蔵し、移載対象物を吸着する吸着グリッパーと、前記吸着グリッパー内部を減圧する手段と、前記吸着グリッパー内部の真空度を検出し制御する手段と、移載対象物を搬送するステーションであって該移載対象物の重量を検出する重量検出手段を含むステーションと、前記重量検出手段で検出される重量に基づき、前記吸着グリッパーによる前記移載対象物の保持力を演算する手段とを備える移載システムによって、移載対象物を移載する方法であって、
前記移載対象物に前記吸着グリッパーを当接させた状態で、移載対象物の重量と同等または同等以下の前記吸着グリッパーによる保持力を発生させるように、該吸着グリッパー内部の真空度を制御する工程と、
前記工程後、前記移載対象物の重量が減量された値を前記重量検出手段で検出することで、前記真空度での前記吸着グリッパーの実保持力を前記演算する手段で演算する工程と、
前記工程後、前記吸着グリッパー内部の真空度を増し、前記吸着グリッパーが移載対象物の移載に必要な保持力を上回る保持力を発生させた後、移載動作を実行させる工程とを有することを特徴とする移載方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、重量検出手段によって移載対象物の重量を検出する。検出される重量に基づいて、移載対象物の保持力を演算する。この演算された保持力から、移載対象物を移載するのに必要な吸着グリッパー内部の真空度を決定するとともに、前記移載対象物の移載可否を判断する。
【0014】
したがって、移載対象物の通気性の有無などに影響されることなく、移載対象物を保持する必要十分な保持力を把握できる。よって移載対象物を確実に移載することができる。
【0015】
また本発明によれば、移載対象物に吸着グリッパーを当接させた状態で、移載対象物の重量と同等または同等以下の保持力を発生させるように、吸着グリッパー内部の真空度を制御する。その後、前記移載対象物の重量が減量された値を重量検出手段で検出する。これによって、前記真空度での吸着グリッパーの実保持力を演算する。その後、吸着グリッパー内部の真空度を増し、移載対象物の移載に必要な保持力を上回る保持力を発生させた後、移載動作を実行させる。
【0016】
このように、一旦、移載対象物の重量とのバランスを取って吸着グリッパー内部の真空度を制御し、その後吸着グリッパーの実保持力に基づいて、吸着グリッパー内部の真空度を段階的に増しているので、移載対象物を不所望に落下させることなく移載することができる。換言すれば、吸着グリッパーの保持力を把握しつつ、移載対象物を確実に移載することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について説明する。本実施形態に係る移載システムは、テレビジョン受像機を移載するシステムに適用される。ただし移載対象物は、必ずしもテレビジョン受像機だけに限定されるものではなく、テレビジョン受像機以外の電子機器、各種部品などであってもよい。以下の説明は、移載対象物を移載する方法についての説明をも含む。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る移載システム10の全体構成を表す図である。本実施形態に係る移載システム10は、移載対象物としてのテレビジョン受像機11を払い出し側ステーション12Aから受け側ステーション12B(図3参照)に移載するシステムである。これら払い出し側および受け側ステーション12A,12Bを、単に「ステーション」という場合がある。移載システム10は、移載装置と、ロードセル13を含む払い出し側ステーション12Aとを備えている。移載装置は、吸着グリッパー14、図示外の圧縮エアー供給源、真空度調整機であるレギュレター15、エジェクター16、計算および判断手段17,18、および真空スイッチ19を備えている。
【0019】
吸着グリッパー14は、テレビジョン受像機11を吸着する吸着手段であり、テレビジョン受像機11に対し相対的に当接離隔可能に構成されている。後述する吸着グリッパー14は、その内部が真空になるようにエジェクター16に配管接続されている。このエジェクター16は、レギュレター15を介して圧縮エアー供給源に配管接続されている。
【0020】
前記圧縮エアー供給源からの圧縮エアーは、レギュレター15の調整で任意の圧力に減圧されエジェクター16に送られる。その結果、エジェクター16に配管接続されている吸着グリッパー14内部の空間のエアーや当該吸着グリッパー外部から吸着グリッパー内部に入り込むエアーがエジェクター16に吸い込まれていく。したがって吸着グリッパー14の吸着口が塞がっていれば、吸着グリッパー14のチャンバー内の到達真空度が増していく。
【0021】
吸着グリッパー14には、真空スイッチ19が電気的に接続されている。真空スイッチ19によって、吸着グリッパー14の到達真空度を計測し、該到達真空度の過不足に応じてレギュレター15を動作させ、圧縮空気の供給圧力(したがって供給流量)を調整し、必要とする到達真空度が得られるようにしている。この真空スイッチ19は、計算および判断手段17,18にもデータ通信上つながっている。
【0022】
よって到達真空度の値が計算および判断手段17,18に送信される。計算および判断手段17,18において、予め入力されている計算式によって吸着グリッパー14の保持力が算出され、移載対象物であるテレビジョン受像機11を移載可能か否かの判断がなされる。計算および判断手段17,18は、たとえば中央演算処理装置(Central
Processing Unit、略称CPU)によって実現される。その結果、移載可能であるとの判断ならば、当該移載装置は次の動作に進む。移載不可能との判断でアラームを出力するように構成されている。前記真空スイッチ19および前記CPUが、吸着グリッパー内部の真空度を検出し制御する手段に相当する。
【0023】
図2は、本移載システム10における、ロードセル13の配置を示すパレット20の平面図である。図3は、本移載システム10で移載する生産ラインの一例を表す図である。図1も参照しつつ説明する。払い出し側ステーション12Aは、移載対象物を搬送する機能を有し、ステーション本体21と、搬送用ローラー22と、側面規制用ローラー23と、計測用リフター24と、ロードセル13と、パレット20とを含む。ステーション本体21は、ラインの長手方向に沿って設置され、移載対象物のサイズに応じて幅方向長さなどが規定されている。このステーション本体21の幅方向長さをx方向と定義し、ステーション本体21の高さ方向をz方向と定義する。xおよびz方向に直交する方向をy方向と定義する。図1、図2において、x、y、z方向をそれぞれ矢符x、y、zで表記する。xおよびy方向を含む仮想平面をxy平面と称す。
【0024】
ステーション本体21は、z方向一方に開放するフレーム枠体である。その内壁のうちz方向一端部には、移載対象物をy方向一方または他方に搬送、つまり移載対象物を載置支持するパレット20を前工程から搬送する複数の搬送用ローラー22が、y方向に沿って適当間隔おきに配設されている。各搬送用ローラー22は、x方向軸線まわりに回動可能に構成されている。ステーション本体21の開口縁部には、パレット20のx方向一側面部および他側面部を規制する複数の側面規制用ローラー23が、y方向に沿って適当間隔おきに配設されている。各側面規制ローラー23は、z方向軸線まわりに回動可能に構成されている。
【0025】
払い出し側ステーション12Aのうちステーション本体21には、パレット20、計測用リフター24およびロードセル13が設けられている。パレット20は平面視長方形状に形成され、そのz方向一表面部20a(つまり上部)に、移載対象物であるテレビジョン受像機11の正面部11aを載置するようになっている。パレット20のz方向他表面部(つまり下部)には、4つのロードセル13が配設される。これらロードセル13は、パレット20の四隅から所定小距離内側の位置に配置され、当該払い出し側ステーション12Aでテレビジョン受像機11の重量を計測可能に構成されている。「平面視」とはz方向一方に見ることと同義である。
【0026】
計測用リフター24は、パレット20および移載対象物の少なくともいずれか一方の重量を計測可能であり、z方向一方および他方に昇降可能に構成されている。計測用リフター24は、リフター本体と、該リフター本体を昇降駆動する図示外の駆動機構とを含んで構成される。リフター本体は平面視長方形状に形成され、その一表面部24aの四隅に沿って4つのロードセル13が設けられている。これらのロードセル13は、テレビジョン受像機11自体の重量を計測するため、パレット20だけを載せた状態でゼロ設定されている。
【0027】
吸着グリッパー14について説明する。
図4は、吸着グリッパー14の一部を破断して表す断面図である。図5は、複数の吸着口27aの配置を示す吸着グリッパー14の平面図である。吸着グリッパー14は、吸着グリッパー本体25、逆止弁である複数のチャック弁26およびスポンジ部27を含んで構成される。吸着グリッパー本体25のz方向先端部には、複数のチャック弁26が設けられている。これらチャック弁26は、xy平面に沿って配設され、x方向一定間隔おきでかつy方向一定間隔おきに配設されている。
【0028】
吸着グリッパー14のz方向先端部に、これら複数のチャック弁26を介して、一定の厚さを有するスポンジ部27が固着されている。スポンジ部27はスポンジから成る弾性変形可能な弾性体であり、該スポンジ部27には、各チャック弁26のポートにそれぞれ連なる複数の吸着口27aが形成されている。これら複数の吸着口27aは、それぞれ対応するチャック弁26を介して共通のチャンバー28につながっている。複数の吸着口27aは、xy平面に沿って配設され、x方向一定間隔おきでかつy方向一定間隔おきに配設されている。
【0029】
本実施形態に係る吸着グリッパー14は、移載対象物に吸着した複数の吸着口27aのうち、吸着口27aの一部が通気状態であっても、その部分の吸着口27aはチェック弁26により塞がる。したがって全ての吸着口27aが塞がるか否かに拘わらず、到達真空度は所定の真空度(たとえば−80kPaくらい)までに達する。
【0030】
図6は、吸着グリッパー14のチェック弁26の構造の一例を表し、図6(a)は、一方から他方に流体が流れ得る弁通路が開放された状態を表す断面図、図6(b)は、弁通路が閉塞された状態を表す断面図である。チェック弁26は、弁本体29、球体30、圧縮コイルばね31およびばねストッパ片32を含む。弁本体29の入口ポート付近部には、弁本体29の内周部より半径方向内方に縮径されたフランジ29aが形成されている。弁本体29内の軸線方向中間付近部には、ばねストッパ片32が装備されている。弁本体29内において、ばねストッパ片32とフランジ部29aとの間に、球体30が軸線方向に移動可能に設けられている。球体30の底部とばねストッパ片32との間に圧縮コイルばね31が装備されている。
【0031】
圧縮コイルばね31のばね力によって、球体30がフランジ29aに付設されたシート部を押圧する。図6(a)に示すように、前記入口ポートから出口ポートには、ばね力に抗してエアーが流れるが、出口ポートから入口ポートへエアーが流れようとすると、図6(b)に示すように、流路が閉じてしまう。したがって、下側が通気性のある部分に接している吸着グリッパー14の部分は、図6(b)に示すように他方から一方(つまり上側)に排気しようとしても、当該チェック弁26が働き吸着口27aを閉じてしまう。
【0032】
図7は、移載対象物の一例のテレビジョン受像機11の背面11bと、複数の吸着口27aが形成される吸着グリッパー14の配置位置との関係を表す図である。図8は、移載対象物の他の一例のテレビジョン受像機11の背面11bと、複数の吸着口27aが形成される吸着グリッパー14の配置位置との関係を表す図である。図7、図8は、テレビジョン受像機11の背面11bに、吸着グリッパー14の吸着口27aが当接している様子を示す。テレビジョン受像機11の背面には、ハッチングで示すスリット、ほれ込みなどが形成され、それらの位置、大きさもテレビジョン受像機11の機種によってまちまちである。図7、図8でハッチング部HTに吸着口27aが重なっている部分が通気状態になっている。
【0033】
テレビジョン受像機11の場合、該テレビジョン受像機11を壁にかけるなどするために、テレビジョン受像機11の背面11bの中心近辺は、比較的通気性の無い部分を有する。したがって、使用する吸着グリッパー14を多くの機種に共通なこの部分に接触している吸着口27aが、必要な保持量を発生するように計算し製作している。この場合でも、テレビジョン受像機11の機種により、テレビジョン受像機11の背面11bと吸着グリッパー14の吸着口27aの位置関係を考慮し、通気性のない部分に接する吸着口27aが最も多くなるような位置に吸着グリッパー14をxy方向に移動し接触させて使用することは言うまでもない。
【0034】
図9は、吸着グリッパー14に使用する真空発生器の圧縮空気供給圧力、圧縮空気消費量と到達真空度との関係を表す図である。エジェクター16を使用して真空を発生させる場合、圧縮空気の供給圧力を増せば増すほど、したがって圧縮空気流量を増せば増すほど到達真空度が上がっていく。
【0035】
図10は、吸着グリッパー14の到達真空度と吸着パッドの保持力との関係を表す図である。図中の実線は、有効吸着口数を全吸着口数で除した比率{(有効吸着口数)/(全吸着口の数)の比率}によって、到達真空度と保持力との関係を示したものである。たとえば移載対象物のテレビジョン受像機11の重量を500Nとする条件で、吸着グリッパー14をxy平面に沿った状態(つまり水平状態)で、テレビジョン受像機11を移載する場合、それに必要な吸着グリッパー14の保持力は1000N以上必要である。その部分を図10のハッチングで示す。
【0036】
次にこのように構成された移載システム10での移載の動作を説明する。
図11は、本発明の実施形態に係る移載方法を段階的に表すフローチャートである。本処理の制御主体は、前記CPUである。本実施形態に係る移載方法は、移載対象物に吸着グリッパー14を当接させた状態で、移載対象物の重量と同等または同等以下の吸着グリッパー14による保持力を発生させるように、該吸着グリッパー内部の真空度を制御する工程(ステップa1)と、前記工程後、前記移載対象物の重量が減量された値をロードセル13を用いて検出することで、前記真空度での吸着グリッパー14の実保持力を前記CPUで演算する工程(ステップa2)と、前記工程後、吸着グリッパー内部の真空度を増し、吸着グリッパー14が移載対象物の移載に必要な保持力を上回る保持力を発生させた後、移載動作を実行させる工程(ステップa3)とを有する。
【0037】
具体的には、図1、図3に示すように、前工程から送られてきたパレット20上に載せられたテレビジョン受像機11が、払い出しステーション12Aに到達すると、前記パレット20がステーション本体21に付設の図示外のストッパなどで停止する。その状態で、計測用リフター24が動作する。計測用リフター24に設けられた4つのロードセル13がパレット20に当接し、テレビジョン受像機11およびパレット20の重量を4つのロードセル13が計測し、その加算値が算出される。しかしこの場合、4つのロードセル13に、予めパレット20だけを載せた状態で該ロードセル13をリセットしておけば、ロードセル13の計測値(A1+A2+B1+B2)は、テレビジョン受像機11の重量のみの値、たとえば500Nを示す。
【0038】
次に移載機の吸着グリッパー14をテレビジョン受像機11の背面11bに押し当てる。この状態でレギュレター15を調整しエジェクター16を動作させ吸着グリッパー14の到達真空度を−16kPaにすると、テレビジョン受像機11は持ち上がらないが、吸着グリッパー14の保持力の分、ロードセル13の4つの合計値は少なく表示される。したがってこの時点での吸着グリッパー14の保持力Hは、テレビジョン受像機11の重量から4つのロードセル13の合計値を減じた値になる。つまり次のように表される。
保持力H=(テレビジョン受像機の重量)−(4つのロードセルの合計値)
【0039】
この値は、前記CPUによって実現される計算手段で算出される。ここで吸着グリッパー14の吸着口27aの全てが有効に働いていれば、吸着グリッパー14の保持力は図10より400Nになる。しかし図7、図8に示すように、テレビジョン受像機11の背面は、構造上、吸着グリッパー14の吸着口27aの一部が通気性の部分を吸着する。そのため、その部分の吸着口27aは、チェック弁26により閉じられ保持力に寄与しない。その部分は無効吸着口となる。したがって吸着グリッパー14でテレビジョン受像機11の背面11bを吸着したときその保持力Hが300Nと計算されれば、図10より、本吸着グリッパー14の有効吸着口数が全体の80%であることを示している。
【0040】
吸着グリッパー14をxy平面に沿って(水平状態で)使用して、移載対象物を移載する場合、吸着グリッパー14の保持力は目安として移載対象物の重量の2倍以上必要とされている。したがって500Nのテレビジョン受像機11を確実に保持移載するには、前記500Nに「2」を乗じた1000N以上の保持力を吸着グリッパー14に発生させる必要がある。その領域は、図8においてハッチングで示している。したがって、有効吸着口数が80%の場合、到達真空度は−51kPa以上に上げることによって、移載対象物の保持移載に必要な保持力を発生させることができる。
【0041】
真空スイッチ19で到達真空度を計測し、その値が−51kPa以上到達したことを確認した後、図示外の移動機構に伝送して移載すべきテレビジョン受像機11の移載動作を行わせる。前述の計算および判断手段17,18がこれらの計算、判断を行う。ここで、払い出しステーション12Aで吸着グリッパー14の到達真空度を−16kPaにした場合、保持力が150N、有効吸着口が40%と算出されると、吸着グリッパー14の到達真空度を−80kPaにしても1000N以上にはならない。
【0042】
したがって、この場合、判断手段18は移載不可(つまりNO)の判定を下し、たとえばアラームを出力する。アラームが出力されることで、人手により、その原因を調べ、原因を取り除いた後、原点復帰などする。本実施形態では、移載対象物としてテレビジョン受像機を例に挙げたが、吸着把持面が一定程度の平面を有しかつ一部通気性のある部分を有する物であれば足り、移載対象物に限定はない。
【0043】
以上説明した移載システム10および移載方法によれば、テレビジョン受像機11など移載対象物を吸着グリッパー14で移載する場合、移載対象物の一部が通気性の部分を有していても、次の効果を奏する。前記通気性の部分を吸着グリッパー14で保持し移載する前に、すなわち払い出しステーション12Aで移載対象物を持ち上げる前に吸着グリッパー14の発生保持力を把握することによって、この移載対象物を確実に移載することができる。移載対象物を移載できないと判断された場合には、アラームを出力し、移載動作に移らないようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る移載システム10の全体構成を表す図である。
【図2】本移載システム10における、ロードセル13の配置を示すパレット20の平面図である。
【図3】本移載システム10で移載する生産ラインの一例を表す図である。
【図4】吸着グリッパー14の一部を破断して表す断面図である。
【図5】複数の吸着口27aの配置を示す吸着グリッパー14の平面図である。
【図6】吸着グリッパー14のチェック弁26の構造の一例を表し、図6(a)は、一方から他方に流体が流れ得る弁通路が開放された状態を表す断面図、図6(b)は、弁通路が閉塞された状態を表す断面図である。
【図7】移載対象物の一例のテレビジョン受像機11の背面11bと、複数の吸着口27aが形成される吸着グリッパー14の配置位置との関係を表す図である。
【図8】移載対象物の他の一例のテレビジョン受像機11の背面11bと、複数の吸着口27aが形成される吸着グリッパー14の配置位置との関係を表す図である。
【図9】吸着グリッパー14に使用する真空発生器の圧縮空気供給圧力、圧縮空気消費量と到達真空度との関係を表す図である。
【図10】吸着グリッパー14の到達真空度と吸着パッドの保持力との関係を表す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る移載方法を段階的に表すフローチャートである。
【図12】従来技術に係る共通の真空経路を備える吸着パッド部1などを表す図である。
【符号の説明】
【0045】
10 移載システム
12A 払い出しステーション
13 ロードセル
14 吸着グリッパー
15 レギュレター
16 エジェクター
17 計算手段
18 判断手段
26 チェック弁
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年7月21日(2006.7.21)
【代理人】 【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎

【識別番号】100072235
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 毅至

【識別番号】100135220
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 祥二


【公開番号】 特開2008−23669(P2008−23669A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200087(P2006−200087)