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【発明の名称】 複数のスライダを持つ産業用ロボット
【発明者】 【氏名】小椋 勝仁

【要約】 【課題】各スライダ20、30間の許容最短距離Lminを、操作者が容易、かつ任意に変更・設定でき、被搬送物22、33同士の衝突を容易、かつより確実に防止することができると共に、ティーチング作業等をも安全に行うことを可能にする。

【構成】第一及び第二スライダ20、30をそれぞれ独立して移動させるサーボモータ27、37に組み込まれたエンコーダ28、38の位置検出用信号をスライダ移動制御部13に取り込んで両スライダ20、30の位置を検出して両スライダ20、30の移動を制御すると共に、これらの検出位置から両スライダ20,30間の距離Lを求める。他方、両スライダ20、30間の許容最短距離Lminを任意に設定可能な最短距離設定部14を設け、上記距離Lを許容最短距離Lminと比較し、距離Lが許容最短距離Lminに達したとき、両スライダ20、30の互いに接近する方向への相対的な移動を停止させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの直線上若しくは互いに近接した2つの平行な直線上を互いに独立して移動する複数のスライダを備え、これらのスライダに直接若しくは間接的に被搬送物を搭載して移送する複数のスライダを持つ産業用ロボットにおいて、
前記直線上における前記スライダの位置をそれぞれ検出する位置検出手段と、
これらの位置検出手段により検出された前記スライダの検出位置から前記直線上における両スライダ間の距離を求める演算手段と、
前記両スライダ間の許容最短距離を任意に設定可能な最短距離設定部と、
前記演算手段により求めた両スライダ間の距離と前記最短距離設定部に設定された許容最短距離とを比較し、両スライダ間の距離が前記許容最短距離に達したとき、前記両スライダの互いに接近する方向への相対的な移動を停止させるスライダ移動制御部と、
を備えていることを特徴とする複数のスライダを持つ産業用ロボット。
【請求項2】
前記位置検出手段は、前記両スライダをそれぞれ独立して駆動するサーボモータと、これらのサーボモータに組み込まれたエンコーダからなることを特徴とする請求項1に記載の複数のスライダを持つ産業用ロボット。
【請求項3】
1つの直線上若しくは互いに近接した2つの平行な直線上を互いに独立して移動する複数のスライダを備え、これらのスライダに直接若しくは間接的に被搬送物を搭載して移送する複数のスライダを持つ産業用ロボットにおいて、
前記直線上における前記両スライダ間の距離を測定する測長手段と、
前記両スライダ間の許容最短距離を任意に設定可能な最短距離設定部と、
前記測長手段により測定した両スライダ間の距離と前記最短距離設定部に設定された許容最短距離とを比較し、両スライダ間の距離が前記許容最短距離に達したとき、前記両スライダの互いに接近する方向への相対的な移動を停止させるスライダ移動制御部と、
を備えていることを特徴とする複数のスライダを持つ産業用ロボット。
【請求項4】
前記測長手段は、前記両スライダの対向する部分に設けられたレーザ干渉式測長器であることを特徴とする請求項3に記載の複数のスライダを持つ産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、1つの直線上若しくは互いに近接した2つの平行な直線上を互いに独立して移動する複数のスライダを備え、これらのスライダに直接若しくは間接的に被搬送物を搭載して移送する複数のスライダを持つ産業用ロボットに係り、特に複数のスライダにそれぞれ搭載された被搬送物同士の衝突防止に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の産業用ロボットは、各スライダが1つの直線上若しくは互いに近接した2つの平行な直線上を互いに独立して移動するため、操作を誤ると、スライダ同士が衝突してしまう。
【0003】
そこで、従来、この種の産業用ロボットにおいては、特許文献1に記載されているように、スライダとしての各摺動ユニットが一定距離以上近づくのを防止する安全装置を設けたものがある。
【0004】
しかしながら、この種の産業用ロボットは、各スライダに直接若しくは間接的に被搬送物を搭載して移送するため、被搬送物がスライダの移動方向である上記直線上においてスライダから張り出すと、スライダが衝突する前に、被搬送物同士が衝突する。この被搬送物同士の衝突を防止するためには、被搬送物の変更に伴う被搬送物の大きさの変更、すなわちスライダからの被搬送物の張り出し量の変更に応じて各スライダ間の許容最短距離を変更・設定する必要がある。
【0005】
また、この種の産業用ロボットは、各スライダやこれらの上に搭載された別のスライダ等の移動のティーチングを行う場合、作業の安全を保つため、各スライダが所定距離以上近づかないように適宜な許容最短距離に設定することが好ましい。
【特許文献1】特開平6−262551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明は、上記各スライダ間の許容最短距離を、操作者が容易、かつ任意に変更・設定でき、被搬送物同士の衝突を容易、かつより確実に防止することができると共に、ティーチング作業等をも安全に行うことのできる複数のスライダを持つ産業用ロボットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る発明は、1つの直線上若しくは互いに近接した2つの平行な直線上を互いに独立して移動する複数のスライダを備え、これらのスライダに直接若しくは間接的に被搬送物を搭載して移送する複数のスライダを持つ産業用ロボットにおいて、前記直線上における前記スライダの位置をそれぞれ検出する位置検出手段と、これらの位置検出手段により検出された前記スライダの検出位置から前記直線上における両スライダ間の距離を求める演算手段と、前記両スライダ間の許容最短距離を任意に設定可能な最短距離設定部と、前記演算手段により求めた両スライダ間の距離と前記最短距離設定部に設定された許容最短距離とを比較し、両スライダ間の距離が前記許容最短距離に達したとき、前記両スライダの互いに接近する方向への相対的な移動を停止させるスライダ移動制御部と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記位置検出手段が、前記両スライダをそれぞれ独立して駆動するサーボモータと、これらのサーボモータに組み込まれたエンコーダからなることを特徴としている。
【0009】
さらにまた、請求項3に係る発明は、1つの直線上若しくは互いに近接した2つの平行な直線上を互いに独立して移動する複数のスライダを備え、これらのスライダに直接若しくは間接的に被搬送物を搭載して移送する複数のスライダを持つ産業用ロボットにおいて、前記直線上における前記両スライダ間の距離を測定する測長手段と、前記両スライダ間の許容最短距離を任意に設定可能な最短距離設定部と、前記測長手段により測定した両スライダ間の距離と前記最短距離設定部に設定された許容最短距離とを比較し、両スライダ間の距離が前記許容最短距離に達したとき、前記両スライダの互いに接近する方向への相対的な移動を停止させるスライダ移動制御部と、を備えていることを特徴としている。
【0010】
さらにまた、請求項4に係る発明は、前記測長手段が、前記両スライダの対向する部分に設けられたレーザ干渉式測長器であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
これらの発明は、上記のように構成したため、操作者は、被搬送物の大きさにより最短距離設定部に適宜な値を入力することにより、各スライダ間の許容最短距離を、容易、かつ任意に変更・設定することができ、被搬送物同士の衝突を容易、かつより確実に防止することができる。なお、許容最短距離の変更・設定は、被搬送物の大きさに限らず、任意に行うことができるため、スライダの移動のティーチングを行う場合、許容最短距離を適宜に設定して作業を安全に行うことができる等の効果も得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下図1ないし図2によりこの発明の一実施形態例について説明する。図1は、この発明を適用した産業用ロボットの一例を示す機械構成部の一部破断平面図に制御ブロックを付加した図であり、図2は、図1の機械構成部を下から見た正面図である。10は、図1及び図2において左右に伸びるベースであり、このベース10の上には図1及び図2において左右方向に直線状に伸びる2本で一組のガイドレール11、11が設置されている。
【0013】
これらのガイドレール11、11には、第一及び第二スライダ20、30が移動自在に取り付けられている。第一及び第二スライダ20、30は、図示しない開閉機構により図1及び図2において左右に開閉される把持部21、31を有し、被搬送物22、32を把持して搭載する。
【0014】
ベース10内には、ガイドレール11、11と平行に1本のボールネジ12が固定して取り付けられている。第一及び第二スライダ20、30には、図1において第一スライダ20の一部を破断して示すように、ボールネジ12に螺合するナット23、33が回転のみ自在に取り付けられている。
【0015】
ナット23、33の端部にはタイミングプーリ24、34が一体的に取り付けられ、これらのタイミングプーリ24、34は、タイミングベルト25、35及びタイミングプーリ26、36を介してサーボモータ27、37により回転を与えられる。これらのサーボモータ27、37は、これらに組み込まれたエンコーダ28、38から位置検出用の信号がスライダ移動制御部13に取り込まれ、このスライダ移動制御部13により駆動を制御されて第一及び第二スライダ20、30をそれぞれ独立して所望の位置へ所望の速度で移動させる。
【0016】
上記スライダ移動制御部13は、上記のように第一及び第二スライダ20、30の移動を独立して制御する機能のほかに、エンコーダ28、38からの位置検出用の信号により検出する第一及び第二スライダ20、30のガイドレール11、11上における位置から第一及び第二スライダ20、30間の距離Lを求める演算機能を有している。
【0017】
さらに、このスライダ移動制御部13には、上記距離Lの許容最短距離Lminの値を任意に設定することのできる最短距離設定部14が接続され、スライダ移動制御部13は上記距離Lの許容最短距離Lminの値を比較し、距離Lが許容最短距離Lminより多きときには、第一及び第二スライダ20、30を上記のように移動させ、距離Lが許容最短距離Lminに達したとき、互いに接近する方向へ移動している第一スライダ20又は/及び第二スライダ30を停止させ、第一及び第二スライダ20、30の互いに接近する方向への相対的な移動を停止させるように構成されている。
【0018】
次いでこの産業用ロボットの作用について説明する。この産業用ロボットの運転に先立ち、被搬送物22、32の第一及び第二スライダ20、30からの互いに対向する側の張り出し量(把持部21、31の張り出し量を含む)L1、L2を求める。これらの張り出し量L1、L2に、衝突を避けるための若干の間隔(20〜30mm程度)L3を加えた値、すなわち「L1+L2+L3」を許容最短距離Lminとして、これを最短距離設定部14に入力して設定する。
【0019】
上記のように許容最短距離Lminを最短距離設定部14に設定してこの産業用ロボットを動作させれば、各スライダ20、30はスライダ移動制御部13により移動を制御されて被搬送物22、32をそれぞれ所定の動作に従って搬送する。
【0020】
上記被搬送物22、32の搬送動作中、スライダ移動制御部13は、第一及び第二スライダ20、30間の距離Lが許容最短距離Lmin以下に達するか否かをチェックし、距離Lが許容最短距離Lminより大きければ、上記の搬送動作を実行するが、該距離Lが許容最短距離Lminに達すると、スライダ移動制御部13は、互いに接近する方向へ移動している第一スライダ20又は/及び第二スライダ30を停止させ、第一及び第二スライダ20、30の互いに接近する方向への相対的な移動を停止させる。これにより被搬送物22、32の衝突が避けられる。
【0021】
生産ロットの変更等により被搬送物22、32の種類を変更し、その大きさが変わる場合には、この新たな被搬送物22、32の張り出し量L1、L2に基づいた許容最短距離Lminを最短距離設定部14に設定する。これにより被搬送物22、32の変更に容易に対応することができる。
【0022】
また、上記搬送運転に先立ち、第一及び第二スライダ20、30の移動をティーチングする場合には、最短距離設定部14に適宜な大きさの許容最短距離Lminを設定すれば、操作者が第一及び第二スライダ20、30やこれらに搭載された被搬送物22、32に挟まれることなく、ティーチング作業を安全に行うことが可能である。
【0023】
図3は、この発明の他の実施形態例を示すもので、第一及び第二スライダ20、30の互いに対向する面に、測長手段としてのレーザ干渉式測長器15とその反射ミラー15Aを設け、第一及び第二スライダ20、30間の距離Lを、図1及び図2に示したようにスライダ移動制御部13で演算を行って求めるのではなく、レーザ干渉式測長器15により直接求め、これをスライダ移動制御部13Aに取り込むようにしたものである。これ以外は図1及び図2に示した実施形態例と同じであり、動作も同じである。なお、測長手段としては、レーザ干渉式測長器15に限らず、種々の測長装置を用いることができる。
【0024】
前述した実施形態例では、第一及び第二スライダ20、30にそれぞれ回転のみ自在に取り付けられてサーボモータ27、37により回転を与えられるナット23、33を、回転しない1本のボールネジ12に螺合させて、第一及び第二スライダ20、30をそれぞれ独立して移動させる例を示したが、この発明はこれに限らず、特許文献1と同様に、ナット23、33をそれぞれ第一及び第二スライダ20、30に固定して取り付け、これらのナット23、33をそれぞれ平行に設けた別々のボールネジに螺合させ、これらのボールネジをそれぞれ回転させて第一及び第二スライダ20、30をそれぞれ独立して移動させるようにしてもよい。
【0025】
また、前述した実施形態例では、サーボモータ27、37によりナット23、33又はボールネジを回転させて第一及び第二スライダ20、30を移動させる回転駆動型の例を示したが、この発明はこれに限らず、ガイドレール11側にマグネット、第一及び第二スライダ20、30側にコイルの形式、又はこれと逆の形式のリニアモータによる駆動であってもよく、この場合の位置検出手段としては、第一及び第二スライダ20、30にリニアエンコーダを用いることにより、前述した実施形態例と同様の構成とすることができる。
【0026】
さらにまた、前述した実施形態例では、2本で一組のガイドレール11、11に第一及び第二スライダ20、30を共に取り付け、第一及び第二スライダ20、30が1つの直線上を移動する例を示したが、この発明はこれに限らず、第一及び第二スライダ20、30を互いに近接して平行に配置された別々のガイドレールに取り付け、第一及び第二スライダ20、30が互いに近接した2つの平行な直線上を移動する場合であっても、被搬送物22、32が衝突する可能性がある場合には同様に適用することができる。
【0027】
さらにまた、前述した実施形態例では、第一及び第二スライダ20、30に把持部21、31を設け、被搬送物22、32を第一及び第二スライダ20、30に直接搭載する例を示したが、この発明はこれに限らず、第一及び第二スライダ20、30上にそれぞれ図1において上下の直交方向に移動する別のスライダを設け、これらのスライダに被搬送物22、32を搭載する方式の産業用ロボットであっても、被搬送物22、32が衝突する可能性は同様であるため、これにも同様に適用することができる。
【0028】
さらにまた、図1及び図2に示した実施形態例では、ガイドレール11上における第一及び第二スライダ20、30の位置をそれぞれ検出する位置検出手段として、サーボモータ27、37に組み込まれたエンコーダ28、38を用いた例を示したが、この発明はこれに限らず、ガイドレール11に沿って取り付けられた磁気スケール等の他の位置検出手段を用いることができるなど、種々変形実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
この発明は、1つの直線上若しくは互いに近接した2つの平行な直線上を互いに独立して移動する複数のスライダを備え、これらのスライダに直接若しくは間接的に被搬送物を搭載して移送する複数のスライダを持つ産業用ロボット及びこれに類似の装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の一実施形態例を示す産業用ロボットの機械構成部の一部破断平面図に制御ブロックを付加した図。
【図2】図1の機械構成部を下から見た正面図。
【図3】この発明の他の実施形態例を示す産業用ロボットの機械構成部の正面図に制御ブロックを付加した図。
【符号の説明】
【0031】
10 ベース
11 ガイドレール
12 ボールネジ
13 スライダ移動制御部(演算手段)
13A スライダ移動制御部
14 最短距離設定部
15 レーザ干渉式測長器(測長手段)
15A 反射ミラー
20 第一スライダ
30 第二スライダ
21、31 把持部
22、32 被搬送物
23、33 ナット
24、26、34、36 タイミングプーリ
25、35 タイミングベルト
27、37 サーボモータ
28、38 エンコーダ(位置検出手段)。
【出願人】 【識別番号】000003458
【氏名又は名称】東芝機械株式会社
【出願日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−18494(P2008−18494A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−192239(P2006−192239)