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【発明の名称】 直線移動装置
【発明者】 【氏名】小島 正年

【氏名】長田 道春

【要約】 【課題】ベースから移動体への配線のためのスペースを小さく済ませ、構成の簡単化を図る。

【構成】フレーム12内に、移動体15を左右方向に直線移動可能に支持する金属製の2本のスライドシャフト20,21を設け、移動体15に、それらスライドシャフト20,21の外周に摺動可能に嵌挿されるスライドブッシュ24,25を設ける。フレーム12に、駆動用モータ17、ボールねじシャフト13、ボールねじナット16等からなる駆動機構を設ける。スライドシャフト20,21の左端部に、電力用一次側巻線27,信号用一次側巻線28を巻装する。スライドブッシュ24,25に、電力用二次側巻線29,信号用二次側巻線30を設ける。一次側巻線27,28に交流電流を流し、電磁誘導作用により、二次側巻線29,30に電力,信号を伝達する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに取付けられたスライドシャフトと、このスライドシャフトの外周に嵌挿されたスライドブッシュを有し該スライドシャフトに沿って直線移動可能な移動体と、この移動体を直線移動させる駆動機構とを備えてなる直線移動装置であって、
前記スライドシャフトの前記スライドブッシュの可動範囲から外れた位置に一次側巻線を固定的に巻装すると共に、前記スライドブッシュに二次側巻線を設け、
前記一次側巻線に交流電流を流し、電磁誘導作用によって前記二次側巻線にその交流電流を伝達させることにより、前記ベース側から移動体側に対する電力供給又は信号送信を行うように構成したことを特徴とする直線移動装置。
【請求項2】
前記移動体は、前記ベースに前記スライドシャフトとは別体に設けられたリニアガイドにより直線移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載の直線移動装置。
【請求項3】
前記スライドシャフトは、平行に離間して2本が設けられると共に、それら2本のスライドシャフトの端部同士が接続されることにより、閉ループ状の磁路が構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の直線移動装置。
【請求項4】
前記スライドシャフト並びに一次側巻線及び二次側巻線の組合せが2組設けられ、電力供給及び信号送信が夫々行われることを特徴とする請求項1又は2記載の直線移動装置。
【請求項5】
前記一次側巻線及び二次側巻線は、樹脂モールドされていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の直線移動装置。
【請求項6】
前記二次側巻線に交流電流を流し、電磁誘導作用によって前記一次側巻線にその交流電流を伝達させることにより、前記移動体側からベース側に対する電力供給又は信号送信を行うことが可能に構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の直線移動装置。
【請求項7】
前記一次側巻線と二次側巻線との間で、双方向に電力供給又は信号送信を行うことが可能に構成されていることを特徴とする請求項6記載の直線移動装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドシャフトに沿って移動体を自在に直線移動させるようにした直線移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば直動ロボット等の直線移動装置として、図8及び図9に示すような構成を備えたものがある。即ち、ベースとなるフレーム1は、図で左右に長い矩形箱状をなし、その内部に、図で左右方向に延びる2本のスライドシャフト2,2が設けられている。移動体(スライダ)3は、スライドブッシュ8,8により、それらスライドシャフト2,2に直線方向(図で左右方向)に移動(摺動)自在に支持されている。
【0003】
そして、2本のスライドシャフト2,2間には、ボールねじシャフト4が図で左右方向に延びて設けられ、移動体3に設けられたボールねじナット5がそのボールねじシャフト4に螺合している。前記ボールねじシャフト4の基端側(図で左端側)には、減速機付きのモータ6が接続されている。これにて、モータ6の駆動により、移動体3が、スライドシャフト2に案内されながら自在に移動するようになっている。
【0004】
また、このとき、フレーム1側から、移動体3の上面側に取付けられる図示しない機器(例えばチャック装置等)に対する、通電や、信号の送信を行うための配線が設けられる。このとき、配線は、ケーブルベア7(登録商標)等と称される保護用の部材により屈曲可能に保持され、一端側がフレーム1に固定され、他端側が移動体3側の機器に接続された状態で、フレーム1の側部(図で後側)に配設されるようになっている(例えば特許文献1参照)。あるいは、そのような保護用の部材を用いずに、フレキシブルなフラットケーブルとされてそのまま配設されるようになっている。
【特許文献1】特開2004−340320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来構成では、フレーム1側から移動体3側への配線のための、ケーブルベア7を設けるようにしているので、該ケーブルベア7の可動部分も含めて比較的大きなスペースが必要となり、さらには、配線のための構成が比較的複雑となる問題があった。また、フレーム1内及びケーブルベア7の配線部分を含む電気的部分に対する防塵、防滴構造を採用したいケースにおいては、かなり複雑な構造が必要となっていた。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ベースから移動体への配線のためのスペースを小さく済ませることができると共に、構成の簡単化を図ることができる直線移動装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の直線移動装置は、ベースに取付けられたスライドシャフトと、このスライドシャフトの外周に嵌挿されたスライドブッシュを有し該スライドシャフトに沿って直線移動可能な移動体と、この移動体を直線移動させる駆動機構とを備えるものであって、前記スライドシャフトの前記スライドブッシュの可動範囲から外れた位置に一次側巻線を固定的に巻装すると共に、前記スライドブッシュに二次側巻線を設け、前記一次側巻線に交流電流を流し、電磁誘導作用によって前記二次側巻線にその交流電流を伝達させることにより、前記ベース側から移動体側に対する電力供給又は信号送信を行うように構成したところに特徴を有する(請求項1の発明)。
【0008】
これによれば、ベース側の一次側巻線と、移動体側の二次側巻線とが電磁結合されることにより、電力の供給又は信号の送信が行われるので、ベースと移動体との間の配線を不要とすることができる。この場合、一次側巻線はスライドシャフトに固定的に巻装され、二次側巻線はスライドブッシュに設けられるものであるから、配設スペースが小さくて済む。スライドシャフトを、いわば鉄心として利用しながら、移動体のガイドにも利用することができ、部品数が徒に増加することもない。
【0009】
従って、本発明によれば、ケーブルベア等を設ける場合と比べて、ベースから移動体への配線のためのスペースを小さく済ませることができると共に、構成の簡単化やコストダウンを図ることができる。配線の移動部分がないので、断線等も未然に防止することができる。また、防滴カバー等を設けることによって、電気的構成部分の防塵、防滴を図る場合においても、構造を簡単に済ませることができる。
【0010】
このとき、前記移動体をスライドシャフトにより支持させる構成としても良いことは勿論であるが、前記移動体を、前記ベースに前記スライドシャフトとは別体に設けられたリニアガイドにより直線移動可能に支持させるように構成することもできる(請求項2の発明)。これにより、スライドシャフト自体に、移動体を支持する強度は必要ないので、スライドシャフトの材料として、磁気特性の優れた材料(例えばパーマロイ等)を自在に選定することが可能となる。
【0011】
また、本発明においては、平行に離間した2本のスライドシャフトを設けると共に、それら2本のスライドシャフトの端部同士を接続させる形態とすることにより、閉ループ状の磁路を構成することができる(請求項3の発明)。これによれば、エネルギー損失を少ないものとすることができ、電力供給又は信号送信の効率を高めることができる。
【0012】
或いは、スライドシャフト並びに一次側巻線及び二次側巻線の組合せを2組設け、電力供給及び信号送信を夫々行うように構成することができる(請求項4の発明)。これにより、ベース側から移動体側に対する電力供給と信号送信とを同時に行うことができる。
【0013】
さらに、本発明においては、上記一次側巻線及び二次側巻線を、樹脂モールドするように構成しても良い(請求項5の発明)。それら巻線を保護すると共に絶縁性を高めることができ、断線やショート等の発生を未然に防止することができる。
【0014】
本発明においては、前記二次側巻線に交流電流を流し、電磁誘導作用によって前記一次側巻線にその交流電流を伝達させることにより、前記移動体側からベース側に対する電力供給又は信号送信を行うことが可能に構成することもできる(請求項6の発明)。あるいは、前記一次側巻線と二次側巻線との間で、双方向に電力供給又は信号送信を行うことが可能に構成することもできる(請求項7の発明)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を具体化したいくつかの実施例について、図1ないし図7を参照しながら説明する。
(1)第1の実施例
まず、図1ないし図3を参照しながら、本発明の第1の実施例について述べる。図1〜図3は、本実施例に係る直線移動装置(直動ロボット)11の全体構成を概略的に示している。尚、図面では、全て、移動体の移動方向を左右方向として見た様子を示しており、以下の説明でも、移動体の移動方向を左右方向として述べる。
【0016】
直線移動装置11のベースとなるフレーム12は、図で左右方向に長い矩形箱状をなしている。このフレーム12は、詳細には、底壁部及び左右の側壁部を構成するベース部に、前後の壁部及び上壁部を構成するカバーをねじ止め取付けして構成されている。このフレーム12の上面には、左右方向に延びる開口12a(図2(b)参照)が形成されている。
【0017】
このフレーム12内の中央部には、左右方向に延びるボールねじシャフト13が設けられる。このボールねじシャフト13は、その左右両端部が、フレーム12の左右の側壁部の中心部に夫々設けられた軸受14、14により支持されている。このボールねじシャフト13には、後述する移動体15に設けられるボールねじナット16が螺合される。
【0018】
前記フレーム12の左側壁部の外面側には、駆動用モータ17が取付けられ、この駆動用モータ17の出力軸が、カップリング18により前記ボールねじシャフト13の左端部に連結されている。また、駆動用モータ17部分は箱状のモータカバー19により覆われるようになっている。これにて、駆動用モータ17、ボールねじシャフト13、ボールねじナット16などから、移動体15を直線移動させる駆動機構が構成される。尚、前記駆動用モータ17は、図示しない制御装置により通電制御されるようになっている。
【0019】
本実施例では、前記フレーム12内には、移動体15を左右方向に直線移動可能に支持するための、第1及び第2のスライドシャフト20及び21が設けられる。これら2本のスライドシャフト20,21は、前記ボールねじシャフト13の前後部に、夫々左右方向に平行に延び、その左右両端部が、前記フレーム12の左右の側壁部に取付けられている。このとき、これらスライドシャフト20,21は、磁性材料(金属)であって且つ支持のための強度(剛性)を有する材料で、丸棒状に構成されている。
【0020】
前記移動体15は、フレーム12の内部に配置される基部の上部に、移動プレート22を例えば2本ねじ23によってねじ止め固定して構成される。このとき、ねじ23部分が前記フレーム12の上壁部の開口12a部分に位置しており、移動プレート22がフレーム12の上面部に位置される。図示はしないが、移動プレート22の上面部には、他の機器(例えばワークをつかむチャック装置や移動方向を前後とした同等の直線移動装置等)が取付けられるようになっている。
【0021】
この移動体15の基部には、前記ボールねじナット16が取付けられていると共に、その前後部に位置して、ボールブッシュからなる第1及び第2のスライドブッシュ24及び25が取付けられている。これらスライドブッシュ24,25は、夫々前記スライドシャフト20,21の外周に摺動可能に嵌挿され、もって、移動体15が、スライドシャフト20,21によって図で左右方向に直線移動可能に支持されているのである。
【0022】
尚、本実施例では、フレーム12の上面には、前記開口12aを塞ぐように、カバー26が設けられている。このカバー26は、左右方向に細長い矩形状をなすフレキシブルなシートからなり、その四隅部分がフレーム12の上面にねじ止めされている。このカバー26には、図2(a)に示すように、移動体15(移動プレート22)部分において、緩やかに湾曲して上方に膨らむ湾曲部26aが形成されている。移動体15の移動に伴って次第にその湾曲部26aも変位(ずれ移動)するようになっている。
【0023】
さて、上記構成の直線移動装置11においては、ベース(フレーム12)側から移動体15側(移動プレート22に取付けられる機器)に対する電力供給又は信号送信が行われるのであるが、本実施例では、従来の配線に代えて、次のような構成が採用される。即ち、前記スライドシャフト20,21には、前記移動体15(スライドブッシュ24,25)の可動範囲から外れた位置である左端部に、夫々一次側巻線27,28が固定的に巻装されている。一方、前記スライドブッシュ24,25の右側部に、夫々二次側巻線29,30が設けられており、それらの間で誘導結合(電磁結合)によって電力供給又は信号送信が行われる。
【0024】
このとき、本実施例では、スライドシャフト20,21並びに一次側巻線27,28及び二次側巻線29,30の組合せが2組設けられていることにより、電力と信号との双方が伝達可能に構成されている。具体的には、例えば、第1のスライドシャフト20の左端部には、電力用一次側巻線27が固定的に巻装され、第1のスライドブッシュ24に電力用二次側巻線29が設けられている。また、第2のスライドシャフト21の左端部には、信号用一次側巻線28が固定的に巻装され、第2のスライドブッシュ25に信号用二次側巻線30が設けられている。尚、例えば、電力用一次側巻線27と電力用二次側巻線29とは同等の巻数とされ、信号用一次側巻線28、信号用二次側巻線30についても同等の巻数とされる。
【0025】
また、図1に示すように、前記一次側巻線27,28は、夫々モールド樹脂層27a,28aにより樹脂モールドされている。前記二次側巻線29,30についても、モールド樹脂層29a,30aにより樹脂モールドされ円筒形状に成形されている。これら二次側巻線29,30は、夫々予め円筒形状に成形されたものを、スライドブッシュ24,25の右側部に取付け、その内周部をスライドシャフト20,21の外周に嵌挿させるようになっている。これら二次側巻線29,30は、移動体15の移動に伴い、スライドシャフト20,21の外周を移動することは勿論である。
【0026】
そして、詳しく図示はしないが、電力用一次側巻線27及び信号用一次側巻線28には、前記制御装置により、リード線31を介して夫々電力用及び信号用の交流電流(正弦波又は矩形波からなる高周波電流)が流されるようになっている。さらに、図示はしないが、電力用二次側巻線29及び信号用二次側巻線30から導出されるリード線は、例えば前記カバー26の湾曲部26aとフレーム12との間の隙間を通って、移動プレート22側に導かれ、機器に接続されるようになっている。
【0027】
次に、上記構成の作用について述べる。上記構成の直線移動装置11においては、制御装置によって駆動用モータ17に通電制御されることにより、ボールねじシャフト13が回転されてボールねじナット16が移動し、移動体15がスライドシャフト20,21に沿って図で左右方向に直線移動される。そして、これと共に、制御装置により、電力用一次側巻線27に交流電流が流されると、電磁誘導作用によって電力用二次側巻線29にその交流電流が伝達され、もって、フレーム12側から移動体15側(移動プレート22上の機器)に対する電力供給が行われる。
【0028】
また、同様に、制御装置により、信号用一次側巻線28に交流電流が流されると、電磁誘導作用によって信号用二次側巻線30にその交流電流が伝達され、もって、フレーム12側から移動体15側(移動プレート22上の機器)に対する信号送信が行われる。このとき、移動体15ひいては二次側巻線29,30が,スライドシャフト20,21のどの位置にあっても、電力供給及び信号送信を行うことができることは勿論である。
【0029】
これにより、フレーム12と移動体15との間を配線により接続することなく、電力の供給及び信号の送信を行うことができるようになり、従来必要であったケーブルベア7(フレキシブルな配線)を不要とすることができる。そして、一次側巻線27,28は、スライドシャフト20,21の外周に巻装されるものであり、二次側巻線29,30についてもスライドブッシュ24,25に設けられるものであるから、電力供給及び信号送信のための部材の配設スペースも小さくて済む。移動体15を摺動自在に支持するためのスライドシャフト20,21を、鉄心として利用するものであるから、電力供給及び信号送信のための部品数が徒に増加することもない。
【0030】
さらには、従来のものと異なって配線の移動部分がないので、断線等も未然に防止することができる。一次側巻線27,28及び二次側巻線29,30を、樹脂モールドするように構成したので、それら巻線27〜30の保護を図ることができると共に絶縁性を高めることができ、巻線27〜30の損傷やショート等の発生が効果的に防止される。しかも、本実施例では、フレーム12内に電気的構成部分を内蔵したため、カバー26等を設けることによって、電気的構成部分の防塵、防滴を図ることが出来、ケーブルベアの防塵・防滴を図る必要がなく、配線も動かないため、構造を簡単に済ませることができる。
【0031】
このように本実施例の直線移動装置11によれば、従来のケーブルベア7等を設ける場合と比べて、フレーム12側から移動体15側への配線のためのスペースを小さく済ませることができると共に、構成の簡単化を図ることができ、全体の小型化やコストダウンを図ることができる。また、特に本実施例では、スライドシャフト20,21並びに一次側巻線27,28及び二次側巻線29,30の組合せを2組設けたことにより、フレーム12側から移動体15側に対する電力供給と信号送信との双方を同時に行うことができるメリットも得ることができる。
【0032】
(2)第2、第3の実施例、その他の実施例
図4及び図5は、本発明の第2の実施例に係る直線移動装置41の構成を示している。尚、以下に述べる第2、第3の実施例においては、上記した第1の実施例と同一部分については、同一符号を付して詳しい説明を省略し、上記第1の実施例と異なる点を中心に説明することとする。
【0033】
この第2の実施例の直線移動装置41においては、図5に示すように、移動体15が、ベースとしてのフレーム12に、図で左右方向に延びて設けられたリニアガイド42により直線移動可能に支持されている。リニアガイド42は、フレーム12内の上部つまりフレーム12の上壁部の下面に、前後一対が向かい合うように設けられている。これに対し、移動体15の基部には、前記各リニアガイド42,42に対しスライド自在に係合するスライダ43、43が設けられ、もって、移動体15が図で左右方向に移動可能とされている。
【0034】
そして、フレーム12内には、第1及び第2の一対のスライドシャフト44及び45が、ボールねじシャフト13の前後部に左右方向に延びて設けられる。このとき、本実施例では、これらスライドシャフト44,45は、磁気特性の優れた材料、例えばパーマロイから構成されている。また、移動体15(基部)には、それらスライドシャフト44及び45の外周に夫々摺動可能に嵌挿(遊嵌)される第1及び第2のスライドブッシュ46及び47が取付けられている。図4に示すように、これらスライドブッシュ46,47は、単純な円筒状のものが採用されている。
【0035】
さらに、上記第1の実施例と同様に、第1のスライドシャフト44の左端部には、電力用一次側巻線27が固定的に巻装され、第1のスライドブッシュ46に電力用二次側巻線29が設けられている。第2のスライドシャフト45の左端部には、信号用一次側巻線28が固定的に巻装され、第2のスライドブッシュ47に信号用二次側巻線30が設けられている。
【0036】
このような第2の実施例によれば、やはり、従来のケーブルベア7等を設ける場合と比べて、フレーム12側から移動体15側への配線のためのスペースを小さく済ませることができると共に、構成の簡単化を図ることができ、全体の小型化やコストダウンを図ることができるという効果を得ることができる。そして、スライドシャフト44,45とは別体に設けられたリニアガイド42、42により移動体15を直線移動可能に支持させる構成としたので、スライドシャフト44,45自体に移動体15を支持する強度が必要なくなり、磁気特性の優れた材料を採用することによって、電力供給及び信号送信の効率を高めることができる。
【0037】
図6及び図7は、本発明の第3の実施例に係る直線移動装置51の構成を示している。この直線移動装置51が、上記第2の実施例の直線移動装置41と異なるところは、次の点にある。即ち、この第3の実施例においても、ベースとしてのフレーム12には、移動体15(スライダ43)を、左右方向にスライド移動自在に支持するリニアガイド42が、スライドシャフトとは別体に設けられている。
【0038】
そして、フレーム12に設けられるスライドシャフト52は、例えばパーマロイから、全体として、角部に丸みを有した矩形環状に構成されている。具体的には、スライドシャフト52は、前記ボールねじシャフト13の前後部に位置して、夫々フレーム内を左右方向に平行に延び、フレーム12の左右の側壁部を貫通する2本の直線部52a,52aと、それら直線部52a,52aの端部同士を接続するように設けられる左右2つのつなぎ部52b,52bとを一体的に有している。
【0039】
このとき、つなぎ部52b,52bは、フレーム12の左右の側壁部の外側に位置されるが、図で左側のつなぎ部52bはモータカバー19内に収容され、図で右側のつなぎ部52bは、別体のカバー53により覆われている。尚、このスライドシャフト52は、駆動機構(カップリング18部分)との干渉を避けるため、ボールねじシャフト13からやや上方にずれた位置に設けられている。
【0040】
これに対し、移動体15(基部)には、これらスライドシャフト44,45は、磁気特性の優れた材料、例えばパーマロイから構成されている。また、移動体15(基部)には、それらスライドシャフト52の2つの直線部52aの外周に夫々摺動可能に嵌挿(遊嵌)される第1及び第2のスライドブッシュ46及び47が取付けられている。これらスライドブッシュ46,47は、単純な円筒状のものが採用されている。
【0041】
そして、このスライドシャフト52のうち、スライドブッシュ46,47の可動範囲から外れた位置、この場合、奥側の直線部52aの左端部には、例えば電力供給用の一次側巻線54が設けられている。この一次側巻線54は、モールド樹脂層54aにより樹脂モールドされている。一方、移動体15のうち、第2のスライドブッシュ47部分には、電力用の二次側巻線55が設けられている。この二次側巻線55も、モールド樹脂層55aにより樹脂モールドされている。
【0042】
かかる構成によれば、制御装置により、一次側巻線54に交流電流が流されると、電磁誘導作用によって二次側巻線55にその交流電流が伝達され、もって、フレーム12側から移動体15側に対する電力供給が行われる。このとき、環状に構成されたスライドシャフト52によって、閉ループ状の磁路が構成されるので、エネルギー損失を少ないものとすることができ、電力供給の効率を高めることができるものである。尚、ここでは、一次側巻線54及び二次側巻線55を電力供給用としたが、信号送信用に構成することもできる。
【0043】
また、本発明は上記した各実施例に限定されるものではなく、例えば次のような拡張、変更が可能である。
即ち、上記第1及び第2の実施例では、スライドシャフト並びに一次側巻線及び二次側巻線の組合せを2組設けて、電力供給及び信号送信の双方を行うようにしたが、電力供給又は信号送信のいずれか一方を行うようにしても良く、この場合、スライドシャフトは一本であっても良い。あるいは、スライドシャフトを3本以上設けて、3種類以上の電力供給及び信号送信を行うようにしても良い。
【0044】
そして、本発明は、一次側巻線27,28から二次側巻線29,30に対する電力供給又は信号送信を行うものに限らず、いわば一次側と二次側とを逆にする、つまり二次側巻線に交流電流を流して電磁誘導作用によって一次側巻線にその交流電流を伝達させることにより、移動体側からベース側に対して電力供給又は信号送信を行うように構成することも可能である。或いは、一次側巻線と二次側巻線との間で、双方向に信号送信を行うように構成することも可能である。
【0045】
また、上記各実施例では、移動体を直線移動させるための駆動機構として、ボールねじ機構を採用したが、ラック・ピニオン機構や、ベルト・プーリ機構、リニアモータ等を採用することも可能である。フレーム内に駆動用モータを配設する構成としても良い。その他、一次側巻線及び二次側巻線に対する樹脂モールドについても必要に応じて設ければ良く、さらには、防滴、防塵構造は必要に応じて設ければ良く、また防滴、防塵構造を採用する場合でも様々な変形例が考えられる等、本発明は要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1の実施例を示すもので、直線移動装置の内部構成を示す横断平面図
【図2】内部の一部を透視状態で示す直線移動装置の正面図(a)、平面図(b)、右側面図(c)
【図3】直線移動装置の斜視図
【図4】本発明の第2の実施例を示すもので、図1相当図
【図5】図2相当図
【図6】本発明の第3の実施例を示すもので、図1相当図
【図7】図2相当図
【図8】従来例を示すもので、図1相当図
【図9】図3相当図
【符号の説明】
【0047】
図面中、11,41,51は直線移動装置、12はフレーム(ベース)、15は移動体、20,21,44,45,52はスライドシャフト、22は移動プレート、24,25,46,47はスライドブッシュ、26はカバー、27,28,54は一次側巻線、29,30,55は二次側巻線、42はリニアガイド、43はスライダを示す。
【出願人】 【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100071135
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 強


【公開番号】 特開2008−12609(P2008−12609A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184454(P2006−184454)