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【発明の名称】 把持装置
【発明者】 【氏名】国岡 功

【要約】 【課題】例えば微小機械部品などの被把持物を、より良好に把持することが可能な把持装置を提供する。

【構成】把持装置10は二つのフィンガー部材46、46と、フィンガー部材46、46を互いに近接する方向に付勢する弾性梁38、38と、弾性梁38、38の付勢に抗して、フィンガー部材46、46を互いに離間させるスピンドル36を備えたマイクロメータヘッド22とを有する。マイクロメータヘッド22のスピンドル36が移動することによって、弾性梁38、38の押圧面50、50が押圧されると、弾性梁38、38が弾性変形して、フィンガー部材46、46の先端部56、56が互いに離間する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の把持部材と、
前記把把持部材の少なくとも一つを、前記把持部材が互いに近接する方向に付勢する付勢手段と、
前記付勢手段による付勢に抗して、前記把持部材を互いに離間させる離間手段と、
を有することを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記把持部材を弾性により付勢する付勢部材を有することを特徴とする請求項1記載の把持装置。
【請求項3】
前記離間手段は、前記付勢部材を押圧し、前記把持部材が互いに離間するように前記付勢部材を弾性変形させる押圧部材を有することを特徴とする請求項2記載の把持装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記把持部材が互いに離間する方向と略垂直方向に移動して、前記付勢部材を押圧することを特徴とする請求項3記載の把持装置。
【請求項5】
前記離間手段は、前記押圧部材を前記把持部材が互いに離間する方向と略垂直方向に移動させる移動手段をさらに有することを特徴とする請求項4記載の把持装置。
【請求項6】
前記移動手段は、
駆動源と、
この駆動源から伝達された回転運動を直線運動に変換する変換機構と、
を有することを特徴とする請求項5記載の把持装置。
【請求項7】
前記変換機構は、マイクロメータヘッドを有することを特徴とする請求項6記載の把持装置。
【請求項8】
前記駆動源は、モータからなることを特徴とする請求項6又は7記載の把持装置。
【請求項9】
前記把持部材の少なくとも一つは、前記付勢部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至8いずれか記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、微小電子部品、微小機械部品等の被把持物を把持する把持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の把持装置に関する技術であって、複数の把持部材を有し、被把持物が複数の把持部材の間に配置された状態で、複数の把持部材を互いに近接する方向に移動させることにより被把持物を把持する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−345019
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、例えばモータ等の駆動源を用いて複数の把持部材を互いに近接させることのみをもって被把持部材を把持したいたため、被把持物の把持が良好になされないことがあるとの問題点があった。
【0005】
本発明は上記問題を解決し、被把持物をより良好に把持することが可能な把持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の特徴とするところは、複数の把持部材と、前記把把持部材の少なくとも一つを、前記把持部材が互いに近接する方向に付勢する付勢手段と、前記付勢手段による付勢に抗して、前記把持部材を互いに離間させる離間手段とを有する把持装置にある。
【0007】
好適には、前記付勢手段は、前記把持部材を弾性により付勢する付勢部材を有する。
【0008】
また、好適には、前記離間手段は、前記付勢部材を押圧し、前記把持部材が互いに離間するように前記付勢部材を弾性変形させる押圧部材を有する。
【0009】
また、好適には、前記押圧部材は、前記把持部材が互いに離間する方向と略垂直方向に移動して、前記付勢部材を押圧する。
【0010】
また、好適には、前記離間手段は、前記押圧部材を前記把持部材が互いに離間する方向と略垂直方向に移動させる移動手段をさらに有することを特徴とする請求項4記載の把持装置。
【0011】
また、好適には、前記移動手段は、駆動源と、この駆動源から伝達された回転運動を直線運動に変換する変換機構とを有する。
【0012】
また、好適には、前記変換機構は、マイクロメータヘッドを有する。
【0013】
また、好適には、前記駆動源はモータからなる。
【0014】
また、好適には、前記把持部材の少なくとも一つは、前記付勢部材と一体に形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれは、被把持物をより良好に把持することが可能な把持装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る把持装置が示されている。図1に示されるように、把持装置10は、把持装置本体12を有し、把持装置本体12内に、駆動源として用いられるモータ14が配設されている。モータ14は、例えばステッピングモータ等のモータからなり、回転軸16を備えている。回転軸16には減速装置18が接続されている。尚、駆動源としてはステッピングモータに替えて他の種類のモータを用いても良い。
【0017】
減速装置18は、減速手段として用いられ、例えば複数のギアを組み合わせたギア郡等から構成されていて、回転軸16から入力された回転駆動を減速してジョイント20に出力する。
【0018】
ジョイント20は、駆動伝達手段として用いられ、減速装置18から伝達された回転駆動をマイクロメータヘッド22に伝達する。マイクロメータヘッド22のジョイント20との逆側には、把持機構24が設けられている。マイクロメータヘッド22及び把持機構24については後述する。
【0019】
把持装置本体12には、把持機構24を覆うようにカバー部材26が装着されている。カバー部材26と把持装置本体12とは、例えばネジ(不図示)等を用いて固定されている。
【0020】
把持装置本体12には電池収容室28が形成されている。電池収容室28には、モータ14に電力を供給する電池30、30が交換可能に収容されている。
【0021】
把持装置本体12には、把持装置本体12の外側から操作が可能な状態でスイッチ手段32が設けられている。スイッチ手段32は、例えば電池30、30とモータ14との配線の途中に設けられていて、操作者がスイッチ手段32を操作することで、モータ14を始動させ、また、停止させることができる。さらに操車者がスイッチ手段32を操作することで、モータ14の回転方向を切り替えることができる。
【0022】
図2には、マイクロメータヘッド22と把持機構24とが示されている。マイクロメータヘッド22は、モータ14から減速装置18及びジョイント20を介して伝達された回転運動を直線運動に変換する変換機構として用いられ、回転運動可能なシンブル34と、押圧部材として用いられ、直線運動可能なスピンドル36とを有している。シンブル34に、モータ14から回転駆動が伝達されると、マイクロメータヘッド22内に設けられた回転ネジ(不図示)等によって回転運動が直線運動に変換され、スピンドル36が図2中において左右方向に移動する。スピンドル36が左右どちらに移動するかは、シンブル34の回転方向、すなわちモータ14の回転方向により決せられる。モータ14が一方向に回転した場合にスピンドルが図2中左方向に移動したとすると、モータ14が他方向に回転した場合、スピンドル36は右方向に移動する。
【0023】
マイクロメータヘッド22内に設けられ、回転運動を直線運動に変換するための回転ネジのネジピッチは1mm以下とすることが望ましい。ネジピッチを1mm以下とすることで、後述する弾性梁38、38からの押圧を受けても、この押圧に回転ネジのネジ部摩擦力が打ち勝って、スピンドル36は一定の位置に停止することができるようになる。
【0024】
把持機構24は、例えば電子品などの被把持物として用いられるワークを把持する機構であり、付勢部材として用いられる弾性梁38、38と、把持部材として用いられるフィンガー部材46、46とを有する。弾性梁38、38は、例えば金属等の弾性変形可能な材料からなり、例えば板鋼材をワイヤカットする等の工法によって製造される。それぞれの弾性梁38は、図2中において左側に位置する支持部40と、支持部40から突出したアーム部42と、アーム部の端部に設けられた固定部44とを有している。アーム部42は、図2中において右方向に延伸した箇所で略180度に折れ曲がり、さらに左側に延伸する形状を有し、この折れ曲がった部分が主として弾性変形する。固定部44は、例えばネジ等からなる固定手段48を用いて、カバー部材26に固定されている。
【0025】
弾性梁38、38には、押圧面50、50が形成されている。押圧面50、50は、スピンドルの進行方向である図2における左右方向に対して傾斜していて、押圧面50、50にはスピンドル36が当接している。また、弾性梁38、38の端部52、52には、例えばネジ54、54を用いてフィンガー部材46、46が着脱可能に装着されている。このように、弾性梁38、38に対して、フィンガー部材46、46が着脱可能に取り付けられているため、把持の対象となるワークの形状や大きさの違い等に応じて、そのワークの把持に適したフィンガー部材46、46を選択して用いることができる。フィンガー部材46、46は、弾性梁38、38によって互いに近接する方向に付勢されていている。
【0026】
図2に示される先端部56、56が互いに近接した初期状態から、スピンドル36が図2中左方向に移動ようにモータ14の回転を開始させると、スピンドル36による押圧面50、50の押圧が開始される。そして、押圧面50、50が押圧されると、弾性梁38、38の主としてアーム部42、42が弾性変形することで、弾性梁38、38の端部52、52が互いに離間するように移動する。そして、端部52、52が互いに離間する方向に移動することで、フィンガー部材46、46の先端部56、56が互いに離間した状態となる。
【0027】
このように、スピンドル36及び押圧面50、50でカムが構成され、このカムによって先端部56、56が近接し、離間するようになっている。また、スピンドル36を備えたマイクロメータヘッド22、ジョイント20、減速装置18、モータ14は、弾性梁38、38による付勢に抗して、フィンガー部材46、46を互いに離間させる離間手段として用いられている。また、フィンガー部材46、46が互いに離間する方向は図2における上下方向であり、このフィンガー部材46、46が互いに離間する方向に対して、スピンドル36が移動する左右方向は略垂直となっている。
【0028】
フィンガー部材46、46の先端部56、56が互いに離間した状態のまま、先端部56、56の間に電子部品等のワークが位置するように把持装置本体12を移動させた後、
スピンドル36が図2中右方向に移動するようにモータ14を回転させると、先端部56、56が互いに近接する方向にフィンガー部材46、46が近接し、弾性梁38、38からの付勢を受けて、フィンガー部材46、46がワークを把持する。把持されたワークを放すには、スピンドル36を右側に移動させるように、モータ14を再び回転させれば良い。
【0029】
以上のように、把持装置10では、弾性梁38、38の弾性撓みを利用して、被把持部材が把持される。このため、専らモータ等の駆動源を用いてフィンガー部材の先端部を近接させることで被把持部材を把持する把持装置等と比較して、ワークを良好に把持することが可能となる。
【0030】
図3には、スピンドル36によって押圧面50、50が押圧されていない初期状態におけるフィンガー部材46、46の先端部56、56が拡大して示されている。ワークWの把持寸法をD、ワークWを弾性梁38、38の弾性撓みで把持するために必要な把持力Fが生じる先端部56、56の変位量をΔdとした場合、初期状態における二つの先端部56間の間隔dは、
【0031】
d=D−(Δd+α)
【0032】
と定められる。すなわち、ワークWを挟み込んだときに、ワークWを把持するために必要な把持力Fが生じるための距離よりも、若干量αだけ短くなるように先端部56、56の初期間隔dが定められ、この状態でワークWを挟み込んだ場合の把持力が、必要とされる把持力Fよりも若干、大きくなるようになっている。なお、αを0として、ワークWを把持力Fで把持するようにしても良い。
【0033】
以上のように初期状態における二つの先端部56間の間隔dが定められるため、ワークWを挟み込んだ状態で、スピンドル36の位置を調整することで間隔dがワークWの幅Dと同じになるようにすると、先端部56、56によるワークWの把持力が略無くなる。となる。そして、この状態からスピンドル36を、図2中右方向に移動させると、移動に伴って把持力が大きくなり、スピンドル36が押圧面50、50から離間する位置まで把持力は増大し、この状態での把持力は必要とされる把持力Fよりも若干大きな値となる。このように、把持装置10では、先端部56、56の間隔を調整することにより、把持装置10がワークWを把持する最大把持力を調整することができる。
【0034】
また、把持装置10では、先端部56、56の間隔を調整することによりワークWを把持する最大の把持力を、ワークWを把持するために必要な把持力F、又はFよりも若干大きい把持力となるようにしているため、把持力が大きくなり過ぎ、ワークWを破損してしまう等の問題が生じにくくすることが可能となる。
【0035】
図4には、把持装置10の第2の実施形態が示されている。第1の実施形態では、弾性梁38、38は、フィンガー部材46を支持する支持部40と、アーム部42と、固定部44とをそれぞれ有していた。これに対して、この第2の実施形態では、弾性梁38、38は、フィンガー部材46を支持する支持部40と、支持部40から把持装置10の長手方向に延びる延伸部58と、延伸部58を弾性的に支持する弾性ヒンジ部62とを有している。弾性ヒンジ部62、62は、延伸部58、58が回転運動するように移動する際の中心となり、延伸部58、58が移動した際に弾性変形し、撓みが生じる。
【0036】
また、第1の実施形態では、弾性梁38、38は、それぞれ主としてアーム部42の弾性撓みによりフィンガー部材46を付勢していた。これに対して、この第2の実施形態では、弾性梁38、38は、それぞれ延伸部58の撓みに加えて、弾性ヒンジ部62の撓みによりフィンガー部材46を付勢している。すなわち、スピンドル36が図4中で左側に移動し、スピンドル36によって弾性梁38、38の押圧面50、50が押圧されると、延伸部58が、58が、把持装置本体12の外側に向けて撓むこととあわせて、延伸部58、58が、把持装置本体12の外側に向けて開くように弾性ヒンジ部62、62を中心に回転運動するように移動する。そして、この弾性ヒンジ部62、62の撓みが延伸部58、58の撓みとあわせて、フィンガー部材46、46を付勢することに用いられる。
【0037】
また、第2の実施形態に把持装置10では、弾性梁38、38の間に、弾性梁38、38を互いに連結するように、例えばバネからなり付勢手段として用いられる弾性体60が設けられていて、この弾性体60によってもまたフィンガー部材46、46が、互いに近接する方向に付勢される。弾性体60、弾性梁38、38は一体として形成しても良いし、それぞれ別部材としても良い。なお、第1の実施形態と同一部分については、図3に番号を付して説明を省略する。
【0038】
第1及び第2の実施形態に係る把持装置10では、弾性梁38、38とフィンガー部材46、46とは別部材とされているが、弾性梁38、38とフィンガー部材46、46とを、それぞれ一体として成形しても良い。また、第1及び第2の実施形態に係る把持装置10では、フィンガー部材46、46が互いに近接するように、二つのフィンガー部材46、46の両方が付勢されるようになっているが、フィンガー部材46、46のいずれか一方を付勢するようにしても良い。
【0039】
また、第1及び第2の実施形態に係る把持装置10では、二つのフィンガー部材46、46を備え、二つのフィンガー部材46、46で被把持部材を把持するようにしているが、フィンガー部材を3個以上設けて、これらのフィンガー部材のうち少なくとも二つで被把持部材を把持するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上述べたように、本発明は、例えば微小機械部品等の被把持物を把持する、例えば電動ピンセット等の把持装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態に係る把持装置を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る把持装置の要部を拡大して示し、図1におけるAA断面を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る把持装置に用いられる複数の把持部材間の初期状態における距離の設定について説明する説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る把持装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0042】
10 把持装置
12 把持装置本体
14 モータ
18 減速装置
22 マイクロメータヘッド
24 把持機構
32 スイッチ手段
34 シンブル
36 スピンドル
38 弾性梁
40 支持部
42 アーム部
44 固定部
46 フィンガー部材
50 押圧面
56 先端部
60 弾性体
62 弾性ヒンジ部
W ワーク
【出願人】 【識別番号】304027420
【氏名又は名称】AJI株式会社
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・エス


【公開番号】 特開2008−12596(P2008−12596A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−182992(P2006−182992)