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【発明の名称】 産業用ロボット
【発明者】 【氏名】矢澤 隆之

【氏名】柴 真砂

【要約】 【課題】減圧雰囲気下のチャンバー内で作業を行う産業用ロボットにおいて、当該産業用ロボットのアームを駆動するためのアーム駆動用モータの冷却を確実にかつ効率的に行う。

【構成】産業用ロボット1において、アーム部3と、アーム部3近傍に配置され、アーム部3を動作させるための駆動源6が収納された収納室4と、を有し、アーム部3及び収納室4が減圧雰囲気下のチャンバー内に設置され、収納室4内には駆動源6を冷却する局所冷却機構が備えられている。そして、局所的な冷却は、例えば、圧縮空気が流通可能なアルミパイプをアーム駆動用モータの周囲に巻回し、このアルミパイプに圧縮空気を流通させることによって行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム部と、当該アーム部近傍に配置され、前記アーム部を動作させるための駆動源が収納された収納室と、を有し、
前記アーム部及び前記収納室が減圧雰囲気下のチャンバー内に設置され、
前記収納室内には前記駆動源を冷却する局所冷却機構が備えられていることを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記アーム部を複数有し、当該アーム部ごとに駆動源及び局所冷却機構を備えることを特徴とする請求項1に記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記局所冷却機構が、圧縮空気が流通可能なヒートパイプを前記駆動源に巻回して形成された冷却手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記ヒートパイプは、当該ヒートパイプ内を流通した圧縮空気が前記収納室内へと流出するように、当該ヒートパイプの一端側が前記収納室内に解放されていることを特徴とする請求項3に記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記局所冷却機構が温度検知センサを有し、
前記駆動源の周囲が冷却開始必要温度に達したことを前記温度検知センサが検知した場合に前記冷却手段に前記圧縮空気の流通を開始し、前記駆動源の周囲が産業用ロボット停止温度に達したことを前記温度検知センサが検知した場合に前記産業用ロボットの動作を停止する制御機構を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の産業用ロボット。
【請求項6】
前記減圧雰囲気下のチャンバー内において、CVD(化学気相成長法)処理又はエッチング処理が行われることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の産業用ロボット。
【請求項7】
前記アーム部が回動可能なアーム部又は往復運動可能なアーム部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の産業用ロボット。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットに関し、さらに詳しくは、例えば液晶製造装置や半導体製造装置等の減圧雰囲気下で用いられる産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
減圧雰囲気下(より具体的には真空下)のチャンバー内に設置される産業用ロボットにおいては、当該産業用ロボット内部に組み込まれたモータ等から発生する熱を除去することが重要となる。
【0003】
減圧雰囲気下のチャンバー(以下、適宜「真空チャンバー」という場合がある。)内に設置される産業用ロボットにおいて発生する熱を除去する技術として、モータなどの発熱部品が多数個収容された産業用ロボットの内部を冷却気体が万遍なく循環できるような冷却機構が特許文献1に紹介されている。同文献1の図1に示された冷却機構を同図の符号を用いて説明すると、冷却気体の供給は、電−空レギュレータ35及び操作弁33を介して送気装置31から産業用ロボットRの下部から行われる。一方、この冷却気体の排出は、産業用ロボットRの先端部(同文献1の図2における第6軸系)付近に設置された排気口から操作弁34を介して産業用ロボット用真空装置32によって強制排気されることによって行われる。このように、産業用ロボットRの下部(一端側)から冷却媒体を供給し、同産業用ロボットRの先端(他端側)付近から冷却媒体を排気することにより、産業用ロボットRの内部を冷却気体が万遍なく循環するようになっている。
【特許文献1】特開平5−84692号公報(段落0024〜0025、図1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者等の検討によれば、特許文献1で開示された冷却機構では十分な冷却を行うことが困難であることが判明した。特に、関節部により回転可能に連結されて駆動源による回動力を伝達し所望の動作をさせるアーム部を旋回させる動作を行う産業用ロボットや、アーム部を往復運動させる動作を行う産業用ロボットの場合には、上記冷却の問題がより顕著に発生することが判明した。
【0005】
例えば、旋回動作を行う産業用ロボットにおいては、旋回動作(回動動作)をより高精度に行うことを目的に、上記アーム部に当該アーム部の旋回を行うための駆動源(より具体的には、アーム駆動用モータ)を近づけて配置したいという技術的な要望がある。当然ながら、アーム部を往復運動させる動作を行う産業用ロボットにおいても同様の技術的な要望は存在する。この場合、産業用ロボットのアーム部は真空チャンバー内に設置されて、アーム部内も真空(減圧雰囲気)状態となる。一方、駆動源が収納される収納室は、駆動源を冷却するために大気で満たされることが必要となる。ところが、産業用ロボットのアーム部に駆動源を近づけて配置しようとすると、収納室も真空チャンバー内に配置する必要がでてくる。ここで、駆動源で発生する熱は、空気による伝播ができないので、真空チャンバー内への放熱がされにくいため、熱が収納室内に滞留しやすくなり、駆動源の冷却が不足する傾向となる。つまり、駆動源の放熱は金属間の熱伝導と空気伝導により行われるが、駆動源が収容される収納室内部には空気が存在するものの、収納室外は真空となっている。このため、真空チャンバー内における空気による冷却は望めない。また、アーム部と駆動源とを近づけて配置する結果、駆動源は収納室内上部に設置されることが多い。このため、駆動源から発生する熱は、収納室内で上方に移動して駆動源周辺に滞留しやすくなる。
【0006】
上記駆動源の冷却不足の課題は、産業用ロボットの小型化のために、収納室を小型化するとより顕著になる。つまり、収納室が小さくなる分、駆動源から発生する熱が収納室内により滞留しやすくなる。ここで、駆動源の冷却を確実に行うために収納室内を空冷する場合、冷却空気の循環量を多くする必要がでてくる。このような多量の冷却空気の循環は、冷却コストの上昇を招くこととなる。
【0007】
また、減圧雰囲気下のチャンバー内おいて、IC等の製造に用いられるCVD(化学気相成長法)処理やフォトレジスト膜等の製造に用いられるエッチング処理のように、発熱を伴う処理が行われる場合においては、駆動源による発熱に加えてチャンバー内の発熱による影響もある。このため、駆動源の冷却効率を上げることがより一層重要となる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、減圧雰囲気下のチャンバー内に設置される産業用ロボットにおける、アーム部を動作させるための駆動源の冷却をより効率的かつ確実に行うことが可能となる産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的の下、本発明者等は鋭意検討を行った結果、主たる発熱源となる駆動源を冷却する局所冷却機構を設けることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
つまり、本発明の要旨は、アーム部と、当該アーム部近傍に配置され、前記アーム部を動作させるための駆動源が収納された収納室と、を有し、前記アーム部及び前記収納室が減圧雰囲気下のチャンバー内に設置され、前記収納室内には前記駆動源を冷却する局所冷却機構が備えられていることを特徴とする産業用ロボット、にある。
【0011】
この発明によれば、駆動源を冷却する局所冷却機構を備えることにより、収納室における主たる発熱源であり、かつ熱がこもりやすい駆動源の冷却を効率的にかつ低コストで行うことができる。
【0012】
また本発明の産業用ロボットにおいては、前記アーム部を複数有し、当該アーム部ごとに駆動源及び局所冷却機構を備えることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、アーム部を複数有することによって、処理装置から短時間でのガラス等の平板部材の出し入れが可能となる。
【0014】
また本発明の産業用ロボットにおいては、前記局所冷却機構が、圧縮空気が流通可能なヒートパイプを前記駆動源に巻回して形成された冷却手段を有することが好ましい。
【0015】
この発明によれば、駆動源の胴体に圧縮空気が流れるヒートパイプが巻回されて冷却手段を構成するので、駆動源と冷却手段の間での熱交換が効率的に行われやすくなる。なお、本発明においては、冷却に用いられるパイプを「ヒートパイプ」と呼んでいる。
【0016】
また上記冷却手段を用いる場合においては、前記ヒートパイプは、当該ヒートパイプ内を流通した圧縮空気が前記収納室内へと流出するように、当該ヒートパイプの一端側が前記収納室内に解放されていることが好ましい。
【0017】
この発明によれば、ヒートパイプの一端側がモータ収納室内に解放されるようになっているので、上記一端側から収納室内部に圧縮空気が排出されて、収納室全体の冷却も行うことができるようになる。
【0018】
上記冷却手段を用いる場合においては、前記局所冷却機構が温度検知センサを有し、前記駆動源の周囲が冷却開始必要温度に達したことを前記温度検知センサが検知した場合に前記冷却手段に前記圧縮空気の流通を開始し、前記駆動源の周囲が産業用ロボット停止温度に達したことを前記温度検知センサが検知した場合に前記産業用ロボットの動作を停止する制御機構を有するようにすることも好ましい。
【0019】
この発明によれば、駆動源の周囲温度を検知して圧縮空気のON/OFFや産業用ロボットの動作を停止できるようになるので、冷却コストを低廉に抑えつつ、産業用ロボットの動作安全性をより向上させることができる。
【0020】
さらに、本発明の産業用ロボットにおいては、前記減圧雰囲気下のチャンバー内において、CVD(化学気相成長法)処理又はエッチング処理が行われることが好ましい。
【0021】
この発明によれば、チャンバー内で行われるCVD処理やエッチング処理による発熱により駆動源周囲の温度が高くなりやすくなるために、駆動源を集中的に冷却する意義が大きくなる。
【0022】
さらに、本発明の産業用ロボットにおいては、前記アーム部が回動可能なアーム部又は往復運動可能なアーム部であることが好ましい。
【0023】
この発明によれば、前記収納室内に駆動源を集中的に冷却する局所冷却機構を備えたので、駆動源を自由にレイアウトしやすくなる。このため、様々なタイプのアーム部の構造を実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の産業用ロボットによれば、減圧雰囲気下のチャンバー内に設置されるアーム部を動作させる駆動源の冷却を、より確実に行うことができる。また、効率的で冷却コストの低い産業用ロボットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。なお、本発明の産業用ロボットは、その技術的特徴を有する範囲内において、以下の説明及び図面に限定されない。なお、下記説明においては、駆動源として一般的に用いられるモータ(アーム駆動用モータ)を例にとって説明するが、本発明に用いる駆動源はモータに限られないことはいうまでもない。また、モータを例にとって説明することに伴い、駆動源を収納する収納室を「モータ収納室」と呼んでいる。同様に、収納室のうち駆動源が収納される部分を「モータ収納部分」と呼んでいる。
【0026】
[第一の実施形態]
図1は、本発明の第一の実施形態に係る産業用ロボットの模式的な平面図を示す。図1に示す産業用ロボット1は、アーム部が旋回動作を行うタイプであり、回動可能なアーム部3、当該アーム部3を回動させるためのアーム駆動用モータが収納されたモータ収納室4、及びアーム部3とモータ収納室4を支持する基台2より構成される。
【0027】
アーム部3は、第一アーム3a、第二アーム3b、及びハンド3cからなる。そして、図1には図示していないが、第一アーム3aとモータ収納室4との間、第一アーム3aと第二アーム3bとの間、及びハンド3cと第二アーム3bとの間、がそれぞれ関節部となっている。そしてこれらの関節部を介して、第一アーム3a、第二アーム3b、及びハンド3cが回転可能に連結されている。
【0028】
ハンド3c上には、液晶用のガラス基板等の平板状部材が載置される。そして、第一アーム3a、第二アーム3b、及びハンド3cの動き(旋回)を制御することによって、ハンド3c上に載置された平板状部材は搬送される。
【0029】
モータ収納室4は、上述の通り、アーム部3を駆動するためのアーム駆動用モータ(図1には図示しない)を収納している。また、モータ収納室4内において、アーム駆動用モータはモータ収納部分5に収納されている。モータ収納室4においてモータ収納部分5を特に設けたのは、モータ収納室4を全体として小型化するためである。
【0030】
モータ収納室4は、図1に示すとおり、アーム部3の近傍に配置されることとなる。具体的には、図1においては、モータ収納室4は第一アーム3aに隣接して設けられている。モータ収納室4に収納されたアーム駆動用モータとアーム部3とを近接して設置することにより、アーム部3の旋回動作をより精密に行いやすい。アーム部3の回動機構については後述する。
【0031】
モータ収納室4及びアーム部3は、真空チャンバー(図1には図示しない)内に配置されている。ハンド3cで搬送される部材が液晶用のガラス基板である場合には、真空チャンバー内でフォトレジスト作製のためのエッチング処理が通常行われることになるために、真空チャンバー内の温度が上がりやすい。このため、アーム駆動用モータを集中的に冷却する局所冷却機構の採用の意義が大きい。
【0032】
真空チャンバーの構成等について、図2、3を用いて説明する。図2は、図1のA−A’面における模式的な断面図を示す。また、図3は、モータ収納室(モータ収納部分)を拡大した模式的断面図を示す。ここで、図2、3において図1と同一の要素については同一の符号を用いている。また、図2、3の模式的断面図では、本発明の理解を助けるために、モータ収納室4及び中空回転軸14の回動機構及び上下機構に関する装置の詳細、及びアーム部3の回動機構に関する装置の詳細は省略している。このような回動機構や上下機構については、当業者によく知られている機構を適宜用いることができる。
【0033】
アーム部3及びモータ収納室4は、図2に示されるように、真空チャンバー7内に設置されており、基台2は真空チャンバー7の外(大気中)に設置されている。これにより、アーム部3の回転精度を高くしつつ、産業用ロボット1のうち真空チャンバー7内に設置されるユニットの大きさをコンパクトにできるとともに、真空チャンバー7もコンパクトに設計しやすくなる。
【0034】
モータ収納室4は、中空回転軸14上に設けられている。図2では記載を省略しているが、アーム部3及びモータ収納室4の上下動及び旋回動作を行うために、中空回転軸14は上下動機構及び回動機構が設けられている。このような上下動機構及び回動機構については、当業者によく知られているものを用いることができるのでここでの説明は省略する。なお、中空回転軸14の上下動に合わせて、ベローズ16が伸縮するようになっている。また、中空回転軸14と基台2とを別体として設けることによって、中空回転軸14と基台2との間に隙間が形成されることになる。この隙間には、ベアリング15が上下2カ所に設けられるが、図2に示すように、上記隙間から真空チャンバー7内に空気がリークしないように、ベアリング15で挟まれた部分に磁気シール23が設けられている。これにより、中空回転軸14と基台2との間のシール性を確保することができ、真空チャンバー7内での製造に支障を来すことがなくなる。そして、中空回転軸14の上下動及び回動により、モータ収納室4ひいてはアーム部3が上下動及び回動することとなる。
【0035】
モータ収納室4は、本実施の形態においては、中空回転軸14及び基台2よりも上方で、かつアーム部3よりも下方の領域(図2において点線部分で囲んだ領域)をいう。モータ収納室4は、内部が大気で満たされるとともに、アーム部3を回動させるためのアーム駆動用モータ6が設置されている。具体的には、アーム駆動用モータ6は、モータ収納室4のモータ収納部分5内に設置されている。そして、アーム駆動用モータ6の周囲(胴体回り)には、ヒートパイプとしてのアルミパイプ8をらせん状に巻回した冷却手段9が形成されている(図3参照)。冷却手段9を構成するアルミパイプ8の上端9a(一端側)は、モータ収納室4内部に解放されている。一方、冷却手段9を構成するアルミパイプ8の下端9b(他端側)は、柔軟な樹脂製チューブ25に接続されている(図3参照)。そして、この樹脂製チューブ25が電磁弁10に接続されている(図2参照)。さらに、電磁弁10と、基台2の外部の圧縮空気発生装置(図2には図示しない)との間も柔軟な樹脂製チューブ25で接続されている。なお、柔軟な樹脂製チューブ25の代わりにアルミパイプ8をそのまま用いてもよいことはいうまでもない。逆に、樹脂製のパイプであっても、アーム駆動用モータ6との熱交換がある程度確保できるようなものであれば、ヒートパイプとして用いることができる。
【0036】
アーム駆動用モータ6の集中的な冷却は、以下のようにして行われる。つまり、基台2の外に設置された圧縮空気発生装置(図2には図示しない)から流入した圧縮空気が、樹脂製チューブ25の内部をモータ収納室4に向かって登っていく。この圧縮空気は、冷却手段9を構成するアルミパイプ8の下端9bを経由し、アルミパイプ8内部をらせん状に上方向へ流れた後に、冷却手段9を構成するアルミパイプ8の上端9aからモータ収納室4内へと流出する。ここで、冷却手段9のアルミパイプ8に圧縮空気を流通させることによって、冷却手段9とアーム駆動用モータ6との間で熱交換が行われる。この結果、アーム駆動用モータ6が集中的に冷却される。このように、図2に示す産業用ロボット1においては、局所冷却機構は圧縮空気が流通する冷却手段9を有することになる。
【0037】
冷却手段9を構成するアルミパイプ8内をらせん状に上方向へと流れた圧縮空気は、冷却手段9を構成するアルミパイプ8の上端9aからモータ収納室4へと流出する。そして、この流出した圧縮空気は、モータ収納室4内部を循環した後に、基台2へと流れていく(図3参照)。このようなモータ収納室4内部の空気が循環されることによって、モータ収納室4の温度も低く保たれやすくなる。
【0038】
アーム駆動用モータ6とモータ収納部分5との配置関係は以下のように設定される。つまり、本実施の形態において、図3に示すように、モータ収納室4内において、アーム駆動用モータ6が収納されたモータ収納部分5における、モータ収納部分5の天井5rからアーム駆動用モータの上端6tまでの距離Gを、モータ収納部分5の高さLの1/10以下とすることが好ましい。より具体的には、上記距離Gを2cm以下に設計することが好ましい。
【0039】
これにより、モータ収納室4の小型化が達成できる。ただ、モータ収納部分5の天井5rとアーム駆動用モータ6とが接近することになるために、アーム駆動用モータ6で発生した熱がモータ収納部分5の天井5r付近で滞留しやすくなる。この結果、アーム駆動用モータ6の温度が上がりやすくなる。従って、アーム駆動用モータ6の冷却を確保することがより重要となり、冷却手段9による集中的な冷却を行う意義がより大きくなる。
【0040】
一方、アーム駆動用モータ6がモータ収納部分の天井5rに接触することがないように、モータ収納部分5の天井5rからアーム駆動用モータ6の上端6tまでの距離Gを、通常モータ収納部分5の高さLの1/40以上とする。具体的には、上記距離Gは、通常5mm以上とする。
【0041】
なお、「モータ収納部分の天井からアーム駆動用モータの上端までの距離」とは、モータ収納部分5の天井5rとアーム駆動用モータ6の上端6tとの間の距離が最も小さくなる部分における、当該距離をいう。つまり、図3の産業用ロボット1においては、モータ収納部分5の天井5rもアーム駆動用モータ6の上端6tも平面となっているので、上記距離は一定である。しかし、実際の産業用ロボットにおいては、モータ収納部分の天井及びアーム駆動用モータの上端がそれぞれ平面とはならない場合も考えられる。この場合には、モータ収納部分の天井とアーム駆動用モータの上端とが最も接近する部分における、モータ収納部分の天井とアーム駆動用モータの上端と間の距離が、「モータ収納部分の天井からアーム駆動用モータの上端までの距離」となる。また、「モータ収納部分の高さ」とは、モータ収納室内においてアーム駆動用モータが存在する領域における、モータ収納室の底面から天井までの最大距離をいう。
【0042】
次に、温度検知センサとしての第一、第二の温度検知センサ12、13を用いた制御機構について説明する。図3に示すように、アーム駆動用モータ6には、台座11が設けられている。そして、台座11上に、冷却開始温度検知用の第一の温度検知センサ12、及び産業用ロボット1の停止温度検知用の第二の温度検知センサ13が設置されている。同図に示すように、第一の温度検知センサ12及び第二の温度検知センサ13は、アーム駆動用モータ6の温度を精度よく検出するために、アーム駆動用モータ6の近傍に配置されている。第一、第二の温度検知センサ12、13及び電磁弁10を用いて、冷却手段9への圧縮空気の流通(アーム駆動用モータ6の冷却)のON/OFFの制御、及び、産業用ロボット1の動作を停止する操作が行われる。
【0043】
冷却手段9への圧縮空気のON/OFFの制御は以下のようにして行われる。まず、冷却開始温度検知用の第一の温度検知センサ12が冷却開始必要温度(例えば40℃)を検知すると、電磁弁10が開いて冷却手段9への圧縮空気の流入を開始する。これによって、アーム駆動用モータ6と冷却手段9との間で熱交換が行われ、アーム駆動用モータ6の温度が低下する。そして、アーム駆動用モータ6の冷却により、周囲温度が冷却開始必要温度(例えば40℃)以下になったことを第一の温度検知センサ12が検知した場合には、電磁弁10の作動により圧縮空気が遮断される。以上の操作により、アーム駆動用モータ6の冷却が必要とされる場合にのみ冷却が行われることになり、冷却コストの低減を図ることができる。
【0044】
一方、産業用ロボット1の強制停止は以下のようにして行われる。例えば、圧縮空気発生装置や電磁弁10の故障、産業用ロボット1のスペックを超える長時間使用等の不測の事態が起こった場合、アーム駆動用モータ6が高温(例えば80℃を超えるような高温)となって、産業用ロボット1が危険な状態に置かれる場合も考えられる。そこで、産業用ロボット1においては、アーム駆動用モータの周囲が上記のような高温(産業用ロボット停止温度)に達し、第二の温度検知センサ13がこれを検知した場合には、エラーが出力されて産業用ロボット1の動作を強制的に停止するようになっている。産業用ロボット1の強制停止は、第二の温度検知センサ13が産業用ロボット停止温度(例えば80℃)を検知すると同時に停止させる方法もある。また、産業用ロボット1の全体の動作がいくつかの動作ステップから構成され、これら動作ステップの一つの動作ステップを産業用ロボット1が動作中の場合は、当該動作ステップを終了するポジションまで産業用ロボット1を動作させた後に強制停止を行う方法もある。産業用ロボット1を復帰させる際の便宜からは、後者の強制停止の方法を用いることが好ましい。
【0045】
第一、第二の温度検知センサ12、13を用いた制御機構の制御の流れを、図4を用いて説明する。図4は、第一の温度検知センサ12による冷却開始必要温度の検知に伴う冷却動作のON/OFFの制御動作、及び第二の温度検知センサ13による産業用ロボット停止温度の検知に伴う産業用ロボット1の強制停止動作、の一連の流れを示すフローチャートである。具体的には、図4には、上記説明した電磁弁10の開閉による圧縮空気の流入・停止による冷却動作の開始・停止、及び、産業用ロボット1の強制終了の方法が示されている。
【0046】
産業用ロボット1の動作が開始されると、図4に示すように、ステップF1において、第二の温度検知センサ13により、アーム駆動用モータ6の周囲が産業用ロボット停止温度(例えば80℃)に達しているか否かの検出が行われる。第二の温度検知センサ13が80℃を検知しない限り(第二の温度検知センサ13がOFFの限り)、ステップF2に進む。ステップF2においては、第一の温度検知センサ12により、アーム駆動用モータ6の周囲が冷却開始必要温度(例えば40℃)に達しているか否かの検出が行われる。ここで、第一の温度検知センサ12が40℃を検知しない限り、第一の温度検知センサ12はOFFの状態を保持し、冷却が行われることはない(電磁弁10が閉じられて「冷却停止」の状態となる)。一方、第一の温度検知センサ12が40℃を検知すると、電磁弁10が開いて圧縮空気の冷却手段9への流入が開始されてアーム駆動用モータ6の冷却が開始される(「冷却開始」の状態)。
【0047】
以後、ステップF1に戻り、第二の温度検知センサ13が80℃を検知しない限り、ステップF1→ステップF2→冷却開始(続行)又は冷却停止(停止状態の続行)→ステップ1・・・が繰り返し行われることになる。但し、ステップF2にて、第一の温度検知センサ12により、アーム駆動用モータ6の周囲温度が40℃以下となったことが検知された場合には、電磁弁10を閉じて圧縮空気の流入を遮断する(「冷却停止」の状態)。一方、上記冷却動作が行われているにも関わらず、又は、電磁弁10の故障等の不測の事態により、ステップF1において第二の温度検知センサ13が80℃(産業用ロボット停止温度)を検知した場合には、第二の温度検知センサ13がONの状態となり、産業用ロボット1のソフトウェアにエラー出力が行われ、産業用ロボット1の強制停止が行われる。
【0048】
次に、アーム駆動用モータ6によるアーム部3の回動について説明する。図5は、図2において、モータ収納室及びアーム部を拡大した模式的断面図を示す。図5において図1、2、3と同一の要素については同一の符号を用いている。また、図5の模式的断面図では、同図の特徴的な構成をわかりやすく示すことを目的に、アーム駆動用モータ6及び第一アーム3a(アーム部3)の回動機構以外の所定の要素についての記載を適宜省略している。
【0049】
アーム駆動用モータ6には、図5に示されるように、タイミングプーリー17が接続されている。一方、アーム回転軸21にも、アーム駆動用減速機20を介してタイミングプーリー18が接続されている。これらアーム回転軸21、アーム駆動用減速機20、及びタイミングプーリー18がアーム部3(第一アーム3a)の関節部を構成している。そして、タイミングプーリー17及びタイミングプーリー18には、アーム駆動用モータ6側の動力をアーム回転軸21側に伝えるためのタイミングベルト19が掛けられている。
【0050】
アーム部3(第一アーム3a)の回動は以下のようにして行われる。つまり、アーム駆動用モータ6の回転に伴う駆動力は、タイミングプーリー17及びタイミングベルト19を介して、タイミングプーリー18ひいてはアーム駆動用減速機20に伝わる。アーム駆動用減速機20はアーム回転軸21に直接接続されているので、上記駆動力はアーム駆動用減速機20における所定の減速比によって減速されてアーム回転軸21に伝わる。この結果、アーム回転軸21の回動が行われる。このようにして、アーム駆動用モータ6による回転力がアーム部3に伝達されて、アーム部3が所望の動作を行うことになる。
【0051】
なお、アーム回転軸21を回動可能とすることに伴って、アーム回転軸21とモータ収納室4の外壁との間に隙間が形成される。この隙間には、ベアリング22が上下2カ所に設けられるが、この隙間から真空チャンバー(図4には図示しない)内に空気がリークしないように、ベアリング22で挟まれた部分に磁気シール24が設けられている。これにより、アーム回転軸21とモータ収納室4との間のシール性を確保することができ、真空チャンバー内での製造に支障を来すことがなくなる。
【0052】
(本実施の形態の主な効果)
本実施の形態に示す産業用ロボット1によれば、以下の各効果も発現しやすくなる。(1)例えばシャフトやギヤープーリ等の駆動連結部品を削減しやすくなる、(2)アーム部3と駆動源としてのアーム駆動用モータ6とを近づけることが可能となるので、アーム部3の動作精度を上げることができる、(3)駆動系の剛性が上がり高速化を可能にしやすい、(4)駆動源をアーム駆動用モータ6とする場合には、連結部品が少なくイナーシャが小さく、小さなモータを使用しやすくなるので、コストを低廉に抑えることができる、(5)モータ収納室4と他の部分との連結の為の部材を配線のみとしやすく、分解が容易でベローズ、磁気シールなどの定期交換部品の交換が容易に行いやすい、(6)アーム駆動用モータ6のレイアウトの自由度が高いので、アーム部3の様々な動作機構が簡単に達成しやすい。
【0053】
[第二の実施形態]
次に、本発明の産業用ロボットの他の好ましい実施形態について説明する。本発明の産業用ロボットは、アーム部を複数有し、当該アーム部ごとに駆動源(より具体的には、アーム駆動用モータ)及び局所冷却機構を備えることが好ましい。このような産業用ロボットの具体例を図6に示す。
【0054】
図6は、アームを二つ有する(ダブルアーム)タイプの産業用ロボットの模式的平面図及び模式的側面図を示す。具体的には、図6(a)は、ダブルアームタイプの産業用ロボットの模式的平面図を示す。図6(b)は、図6(a)のダブルアームタイプの産業用ロボットの模式的側面図を示す。なお、図6において図1、2、3、5と同一の要素については同一の符号を用いている。
【0055】
産業用ロボット30は、図6(a)に示すように、アーム部3を2つ有している。そしてアーム部ごとにアーム駆動用モータ(図5には図示しない)を有する。それぞれのアーム駆動用モータに対応して、当該アーム駆動用モータが収納されるモータ収納部分5が2つモータ収納室4に設けられている。このようなダブルアームの構成を採用することにより、処理装置から短時間でのガラス等の平板部材の出し入れを行うことが可能になる。
【0056】
[第三の実施形態]
上記第一の実施形態及び第二の実施形態においては、アーム部として回動可能なタイプを用いたが、本発明では、アーム部は回動可能なタイプに限られることはない。例えば、アーム部として、往復運動可能なスライドタイプを用いてもよい。本実施の形態においては、このようなスライドタイプのアーム部を用いている。具体的には、本実施の形態においては、スライドタイプのアーム部と、このアーム部を往復運動させるための駆動源が収納された収納室とが真空チャンバー内に設置される。
【0057】
スライドタイプのアーム部を用いる産業用ロボットの一例として、ワークを保持するワーク保持部を有して往復運動する第一アームと、この第一アームを連結して第一アームと同じ方向に往復運動する第二アームとでアーム部を構成する形態を挙げることができる。そして、このアーム部の往復運動は、上記第一アームの動作を優先して上記アーム部を所定の座標位置まで移動させる制御装置を設けることによって行われる。そして、上記アーム部を移動させる駆動源(例えばモータ)の冷却を局所的に行えば、アーム部の高精度な動作を確保しつつ、駆動源の効率的かつ確実な冷却が可能となる。
【0058】
上記アーム部以外の構成は、基本的には上記第一の実施形態、第二の実施形態と同様とすればよいので、ここでの説明は省略する。
【0059】
[その他]
以上、本発明を具体的な実施の形態を用いて説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の応用例は種々考えられるが、そのいくつかを以下に紹介する。
【0060】
例えば、本発明の産業用ロボットは半導体製造用装置として用いることもできる。具体的には、半導体の基板を搬送する産業用ロボットとして用いることができる。半導体の製造工程においては、基板上にシリコンなどの薄膜がCVD(化学気相成長法)処理によって形成される。従って、真空チャンバー内の温度が上がりやすくなり、本発明の局所冷却機構を用いる意義が大きくなる。
【0061】
また、上記実施の形態においては、局所冷却機構を構成する冷却手段として、アルミパイプを用いている。これは、アルミの熱伝導率、剛性、加工特性等を総合的に考慮したものである。但し、本発明の局所冷却機構をヒートパイプで形成する場合、ヒートパイプの素材はアルミニウムに限定されるものではない。アルミニウム以外の素材として、銅、黄銅等も用いることができる。
【0062】
さらに、局所冷却機構についても、上記実施の形態においては圧縮空気を用いて冷却する例を説明したが、冷媒は空気に限られず、水や不凍液等であってもよい。さらに、冷却手段についても、ヒートパイプをらせん状に巻回するもののみでなく、様々な形態のものを用いることができることはいうまでもない。例えば、水冷エンジンのように駆動源(例えばモータ)の外形にジャケットを追加するような冷却手段を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の産業用の産業用ロボットは、例えば液晶製造装置や半導体製造装置等の減圧雰囲気下で用いられる産業用ロボットとして有効である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る産業用ロボットの模式的な平面図を示す。
【図2】図1のA−A’面における模式的な断面図を示す。
【図3】モータ収納室(モータ収納部分)を拡大した模式的断面図を示す。
【図4】第一の温度検知センサ12による冷却開始必要温度の検知に伴う冷却動作のON/OFFの制御動作、及び第二の温度検知センサ13による産業用ロボット停止温度の検知に伴う産業用ロボット1の強制停止動作、の一連の流れを示すフローチャートである。
【図5】図2において、モータ収納室及びアーム部を拡大した模式的断面図を示す。
【図6】アームを二つ有する(ダブルアーム)タイプの産業用ロボットの模式的平面図及び模式的側面図を示す。
【符号の説明】
【0065】
1、30 産業用ロボット
2 基台
3 アーム部
3a 第一アーム
3b 第二アーム
3c ハンド
3c1、3c2、3c3 支持柱
4 モータ収納室
5 モータ収納部分
5r モータ収納部分の天井
6 アーム駆動用モータ
6t アーム駆動用モータの上端
7 真空チャンバー
8 アルミパイプ
9 冷却手段
10 電磁弁
11 台座
12、13 第一、第二の温度検知センサ
14 中空回転軸
15、22 ベアリング
16 ベローズ
17、18 タイミングプーリー
19 タイミングベルト
20 アーム駆動用減速機
21 アーム回転軸
23、24 磁気シール
25 樹脂製チューブ
【出願人】 【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100117226
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 俊一


【公開番号】 特開2008−6535(P2008−6535A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179364(P2006−179364)