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【発明の名称】 把持装置
【発明者】 【氏名】服部 忠幸

【要約】 【課題】把持装置の動力源にどのようなものを用いても測定対象の測定に悪影響を与えることのない把持装置の構成を提供する。

【構成】モータ110のシャフト47に結合されたピニオン43は、互いに平行に移動する1対のラック41に係合している。1対のラック41にはそれぞれ1対の爪部45が結合されている。1対のラック41に対して、1対の爪部45を閉じる方向にばね120の付勢力が常時付与される。測定対象(把持対象物)を把持する際には、モータ110の駆動により、ばね力に抗して、1対の爪部45が互いに遠ざかる方向にラック41を平行にスライドさせる。1対の爪部45の間に測定対象が位置した状態でモータ110の駆動を停止すれば、ばね力により1対の爪部45の間隔が狭まり、測定対象が把持される。再度モータ110が駆動されない限り、この把持状態が維持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
把持対象物を把持する把持装置であって、
互いの間隔が可変となるように可動支持され、前記把持対象物を挟み付ける1対の爪部と、
前記1対の爪部に対してその間隔を縮める方向に常時付勢する弾性部材と、
外部からの制御信号に応じ前記付勢力に抗して前記1対の爪部に対しその間隔を広げる方向に力を与える駆動手段と
を備えたことを特徴とする把持装置。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記制御信号に応じて駆動されるモータと、このモータのシャフトの回転動作を前記1対のラックの逆方向の平行移動に変換する機構とを有し、前記1対のラックに前記1対の爪部が結合された請求項1記載の把持装置。
【請求項3】
前記弾性部材はばねである請求項1記載の把持装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの制御信号に応じて把持対象物を把持および開放する把持装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ISO14443相当の非接触通信ICカードおよびこの機能を内蔵した携帯電話端末として、フェリカ(Felica)チップという非接触通信ICを搭載したものが知られている。("Felica"はソニー株式会社の登録商標である。)この非接触通信ICの通信アンテナは、より線か単線か、ワイヤかフレキかエナメルか、3巻品か4巻品か、など、アンテナの形状と材質、筐体の形状などの要因により、その通信特性は大きく変動する。端末開発に際してメーカーとしてのノウハウを蓄積するには、非接触通信ICの通信アンテナの通信特性について精密な多くのサンプルデータと分析が必要とされる。
【0003】
一般的に、ISO14443相当の非接触通信ICカード技術においては、通信可能半径においても、コミュニケーションホール(通信不可領域)が発生することがある。リーダライタの発生する動作磁界のどの位置にどのような角度でICカードが置かれるかによって磁気結合状態が変化する。磁気結合状態によってICカードに誘起する電圧が変動し、回路を安定に動作させるための電圧制御によって、負荷インピーダンスが変化する。この負荷インピーダンスと負荷変調のためにスイッチする抵抗/キャパ下が並列接続されるが、その合成値の変化が少ない状態になる。非接触通信ICカードアンテナの導線ループからリーダライタ(読取装置)のアンテナ導線を通過する磁束の通過度合いを表す係数Kが大きくなると、リーダライタとICカードが互いに影響し合って共振状態が変化し、位相回転によって波形が変化する。
【0004】
カード形状の非接触通信ICの場合、ICカードとリーダライタ間では電磁誘導の原理で磁界を電圧に変換する。誘起される電圧は、磁界の強さ(H)、受信コイルの内面積(S)、コイルの巻数、搬送波の周波数(f)に比例する。ICカードと特定のリーダライタとの間では、受信コイルの内面積と巻数は一定であり、搬送波の周波数は電波規制や標準規格で決められている。ただし、磁界の強さだけがリーダライタとICカードのアンテナコイルの相対位置関係によって変化する。
【0005】
JR東日本旅客鉄道株式会社が実施しているモバイルSuica(登録商標)など、携帯電話機等の電子機器に内蔵された非接触通信用アンテナでは、コイルの内面積とコイルの巻数も不定となり、コミュニケーションホールの発生箇所の予測シミュレーションはさらに困難となる。
【0006】
したがって、非接触ICカード技術を利用した電子機器の開発効率向上と品質向上を目的とした自動測定システムの普及は急務と考えられている。
【0007】
携帯電話端末のような携帯電子機器内蔵の非接触通信ICの通信アンテナの通信特性の確認のため、開発工程において、最大通信距離の測定、3次元通信不可領域の測定(3次元NULL点測定)、擬似改札機を用いた真偽判定測定、を実施する必要がある。当該測定作業の作業工数は膨大である。従来、この測定は自動で行われるのが一般的である。
【0008】
また、従来、非接触通信ICカードおよび非接触通信ICを内蔵する携帯電子機器、あるいは読み取り装置を把持するために、制御信号により開閉を制御できる把持装置が用いられている。
【0009】
図1は、従来の把持装置としての把持部163aの構成例であり、その平面図(a)と正面図(b)を示している。これは、電磁式モータ111に1対の爪部(フィンガ)45を組み合わせて構成したものであり、電磁式モータ111のシャフト47にはピニオン43が結合されている。互いに平行にスライド可能に構成された1対のラック41の間にピニオン43が係合し、ピニオン43の回転が1対のラック41の平行スライド動作に変換される。1対のラック41には把持対象物を把持するための1対の爪部45が取り付けられており、1対のラック41の平行スライド動作に伴って1対の爪部45の間隔が狭まったり広がったりする。この構成により、電磁式モータ111の回転により1対の爪部45を開閉し、爪部45により測定対象110を把持することができる。
【0010】
図2に従来のエア駆動式の把持部163bの構成例を示す。これは空気圧縮器から送られる空気圧とエアシリンダ112の力を利用して1対の爪部45を開閉するものである。爪部45を開閉するためのピニオン43とラック41の機構は図1に示したものと同じである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図1に示した構成の把持部163aでは、爪部45を閉じるときは電磁式モータを逆回転させて爪部45を閉じる。この方式の電動把持部では、爪部45を閉じて把持対象物(ワーク)の把持状態を維持するとき、電磁式モータ111に通電し続けるタイプの製品が殆どである。しかしこの方式においては、モータが発する電磁界が、携帯電子機器内蔵の非接触通信ICチップの通信アンテナの通信特性測定結果に影響を与えてしまう。この問題は、把持部の爪部長48を長くすることによりある程度は解決できるが、[1]爪部長が長くなると把持力が低下する、[2]爪部長が長くなると直交座標型ロボットや6自由度マニピュレータのサイズが肥大化する、といった欠点がある。
【0012】
一方、図2に示した構成の把持部163bでは、電動式の把持部163aに比べて爪部長を短くすることが出来るものの、この方式においては、[1]仕組み上、小型化が難しい、[2]卓上測定システムの付属品となる空気圧縮器から比較的大きい騒音が出る、といった欠点がある。
【0013】
本発明はこのような背景においてなされたものであり、把持装置の動力源にどのようなものを用いても測定対象の測定に悪影響を与えることのない把持装置の構成を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による、把持対象物を把持する把持装置は、互いの間隔が可変となるように可動支持され、前記把持対象物を挟み付ける1対の爪部と、前記1対の爪部に対してその間隔を縮める方向に常時付勢する弾性部材と、外部からの制御信号に応じ前記付勢力に抗して前記1対の爪部に対しその間隔を広げる方向に力を与える駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
把持対象物を挟み付ける1対の爪部には弾性部材により常時付勢力が与えられるので、外力が働かない限り、1対の爪部はその間隔を縮める(すなわち閉じる)状態を維持しようとする。これに対して、駆動手段の駆動により1対の爪部は弾性力に抗して開く方向に動作する。
【0016】
前記駆動手段は、例えば、前記制御信号に応じて駆動されるモータと、このモータのシャフトの回転動作を前記1対のラックの逆方向の平行移動に変換する機構とを有し、前記1対のラックに前記1対の爪部が結合される。
【発明の効果】
【0017】
本発明による把持装置によれば、一旦、把持対象物を把持した後は、弾性部材の付勢力の利用により把持状態を維持することができるので、動力源を非駆動状態とすることができる。したがって、精密かつ正確なデータを自動的に収集するシステムにおいて、把持装置の動力源として電磁式モータを用いてもモータが発する電磁界が、測定対象の通信特性測定結果に影響を与えることなく、測定を実施することができる。また、保持状態を維持するための動作電力も削減することができる。
【0018】
さらに、電磁界の影響がなくなるので、把持装置の爪部の長さを短くすることができ、把持装置を小型化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について他の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1,図2に示した従来の把持装置の欠点を改善するものとして、図3に本発明の実施の形態に係る把持装置としての把持部163の構成例を示す。図3(a)は把持部163の平面図、図3(b)はその正面図である。
【0021】
この把持部163は、図1の把持部163aと同様、電磁式モータ111に1対の爪部(フィンガ)45を組み合わせて構成したものであり、電磁式モータ111のシャフト47にはピニオン43が結合されている。互いに平行にスライド可能に構成された1対のラック41の間にピニオン43が係合し、ピニオン43の回転が1対のラック41の平行スライド動作に変換される。1対のラック41には測定対象を把持するための1対の爪部45が取り付けられており、1対のラック41の平行スライド動作に伴って1対の爪部45の間隔が狭まったり広がったりする。但し、図1の構成と異なり、図3の構成では、電磁式モータ111は1対の爪部45を開くときにのみ用い、爪部45を閉じるときにはばね120の力を利用する。1対のばね120は、それぞれ対応する1対のラック41、ひいてはこれに結合された1対の爪部45を、その間隔を狭める方向に常時付勢する。そのために、この例では1対のばね120は電磁式モータ111のケース122と、対応するラック41との間に圧縮して配置されている。
【0022】
爪部45により測定対象を把持する際には、電磁式モータ111の駆動により、ばね力に抗して、1対の爪部45が互いに遠ざかる方向にラック41を互いに平行にスライドさせる。1対の爪部45の間に測定対象が位置した状態でモータ111の駆動を停止すると、ばね力により1対の爪部45の間隔が狭まり、把持対象物を把持する。再度モータ111が駆動されない限り、この把持状態が維持される。
【0023】
この構成により、把持部を開くときにのみ、電磁式モータ111の通電を行えば足りる。その結果、電磁式モータ111は測定対象の測定に先立って、それを把持するときのみ動作し、測定中には電磁式モータに流れる電流が遮断されるため電磁式モータ111は非通電状態となり、電磁式モータ111からは一切電磁界は発生しない。
【0024】
この構成の把持部163を使用することにより、内蔵するモータが発する電磁界が測定対象に内蔵されている非接触通信ICの通信アンテナの通信特性測定結果に影響を与えることなく、測定を実施することができる。
【0025】
なお、ばね120の形式は板ばね、コイルばね等、任意である。ばね120の材質にはプラスティック、ベイク、セラミックなどの非金属性の材料を用いる。ここでは、ばね120は圧縮した状態でその伸長力を付勢力として利用する例を示したが、伸長した状態でその引っ張り力を付勢力として利用するようにしてもよい。また、電磁式モータ111以外の構成部品もプラスティック、ベイク、セラミックなどの非金属性の材料を用いることが好ましい。一般に、非接触通信ICカード技術におけるコミュニケーションホールの発生は、アンテナの導線ループからリーダライタのアンテナ導線を通過する磁束の通過度合いの変化に起因するものであると考えられるため、導体物質が通信領域内にあることは好ましくない。よって、非金属製の材料を用いることにより、構成部品が測定に与える影響を軽減することができる。
【0026】
また、ばねの代わりに1対のラック41を互いに接近する方向へ常時付勢して測定対象を把持することができれば、例えばゴム等の任意の弾性部材を利用することも可能である。
【0027】
以下、参考のため、本実施の形態の把持部163を用いた測定システムの構成例を説明する。
【0028】
図4は、測定システムの第1の構成例を示している。
【0029】
台座150に直立する支柱155が固定され、この支柱155に対して水平方向に突出するアーム157が鉛直方向に摺動可能に支持されている。アーム157の下側には姿勢制御モータ225を介して把持部163が取り付けられている。これにより把持部163で把持した測定対象の姿勢を制御することができる。この場合、把持部163を吊す軸周りの回転角および把持部163の仰角を変化させることができる。把持部163は測定対象110を把持できるように構成されている。測定対象110は、非接触通信IC内蔵機器またはカードである。カードの場合にはカードを収納するアダプタを介してカードを把持するようにしてもよい。
【0030】
また、アーム157の鉛直方向の移動(すなわち上下動)を自動制御するための縦方向モータ210と、アーム157に対して、水平方向に摺動可能に取り付けられた測定対象110の把持部163を水平方向に移動させるための横方向モータ220を設けている。これらのモータ210,220は直動アクチュエータを構成し、その動作は制御PC140により制御される。上記姿勢制御モータ225の動作も制御PC140により制御される。これにより、リーダライタ・アンテナ120に対する測定対象110の垂直方向および水平方向の位置およびその姿勢が自動制御される。この例では、リーダライタ・アンテナ120には、リーダライタの制御基板およびアンテナ基板を内包している。
【0031】
アーム157に取り付けられた測定対象110の下方の台座150上には、測定対象110と通信を行う非接触通信ICカードリーダライタ・アンテナ120が配置される。このリーダライタ・アンテナ120は制御PC(データ収集PC)140とケーブルを介して接続される。台座150の近傍には測定対象110の非接触通信ICの通信アンテナの共振周波数を測定するためのアンテナ130が配置され、このアンテナ130はケーブルを介して測定器132に接続されている。
【0032】
図5は図4の測定システムの第1の変形例を示している。図4に示した構成要素と同様の部位には同じ参照符号を付し、重複した説明は省略する。図4の構成では、把持部163の姿勢制御ができるように把持部163を姿勢制御モータ225で支持したが、図5では、台座150側に姿勢制御モータ225を設け、これでリーダライタ・アンテナ120を姿勢制御可能に支持するようにしている。すなわち、リーダライタ・アンテナ120を支持する軸周りの回転角およびリーダライタ・アンテナ120の仰角を変化させることができる。
【0033】
図6は図4の測定システムの第2の変形例を示している。この例は図4と図5の構成を折衷したものであり、把持部163とリーダライタ・アンテナ120の両方の姿勢を制御できるように、二つの姿勢制御モータ225を用いている。
【0034】
図7は本発明の実施の形態に係る自動測定システムの第2の構成例を示している。この方式では、球面モータ230を用いた6自由度マニピュレータを用いる。通常、多関節ロボットアームが動作範囲内の3次元空間内で、ワークをあらゆる姿勢で位置固定するためには6自由度必要である。この例では、3個の球面モータ230を用い、各球面モータ230でリンクを連結している。直列接続したリンクの一端はフロアに固定し、多端には把持部163を取り付けている。
【0035】
6自由度のロボットアームを構成するにあたり、図8(a)に示すように、電磁式サーボモータを用いるならばモータは6個必要になる。図8(b)に示すように、同等の機能のロボットアームを構成するのに球面モータを用いるときは、必要なモータは3個で済む。
【0036】
球面モータを用いた6自由度マニピュレータによる効果として、以下の点を挙げることができる。すなわち、マニピュレータのリンクの設計において、縦弾性係数E、横弾性係数G、断面二次モーメント、断面二次極モーメントの計算量が1/2になり、リンクを構成する材料の設計工数が軽減される。また、より小型の6自由度マニピュレータを実現することができる。
【0037】
なお、各部に用いられるモータとして超音波モータを利用することにより、モータが発する電磁界が、非接触通信ICチップの通信アンテナの通信特性測定結果に影響を与えることなく、測定を実施することができる。また加えて、小型のロボットハンドを構成することが可能になる。
【0038】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記で言及した以外にも種々の変形、変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】従来の把持部の構成例の平面図(a)と正面図(b)である。
【図2】従来の他の把持部の構成例の平面図(a)と正面図(b)である。
【図3】本発明の実施の形態に係る把持部の構成例の平面図(a)と正面図(b)である。
【図4】本発明の実施の形態に係る把持部を用いる測定システムの第1の構成例を示す図である。
【図5】図4の測定システムの第1の変形例を示す図である。
【図6】図4の測定システムの第2の変形例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る把持部を用いる自動測定システムの第2の構成例を示す図である。
【図8】6自由度のロボットアームの構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
41…ラック、43…ピニオン、45…爪部、47…シャフト、48…爪部長、110…測定対象(把持対象物)、111…電磁式モータ、112…エアシリンダ、120…リーダライタ・アンテナ、122…ケース、130…アンテナ、132…測定器、150…台座、155…支柱、157…アーム、163…把持部、163a…把持部、163b…把持部、210…縦方向モータ、220…横方向モータ、225…姿勢制御モータ、230…球面モータ
【出願人】 【識別番号】501431073
【氏名又は名称】ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100098350
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 睦彦


【公開番号】 特開2008−855(P2008−855A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173595(P2006−173595)