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【発明の名称】 工具ホルダー
【発明者】 【氏名】藤田 基弘

【要約】 【課題】これまでの工具ホルダーの場合、台板や工具収納部、或いはベルトへの係止部、といった部材自体が経年使用で摩耗劣化し使用できなくなることは稀で、実際には工具の無理な押し込み、頻繁で乱暴な出し入れ、等によって収納開口部と台板との接続部分が劣化してリベットから外れたり、縫い目が綻んだりしていた。

【解決手段】上端部を裏面側に折り返して該端部を固着しベルト通し部とした台板の下方側位置に、広幅板状体を湾曲させて配置し両者を縫合・リベット留めして工具収納部を形成して成る工具ホルダーであって、少なくとも該工具収納部の上側両端のリベット取付位置に関しては、該台板の表裏面にわたる、又は該台板の表裏面それぞれに、皮革状補強板が配置されており、リベットは台板、工具収納部、二枚の補強板の全てを挟持して固着する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部を裏面側に折り返して該端部を固着しベルト通し部とした台板の下方側位置に、広幅板状体を湾曲させて配置し両者を縫合・リベット留めして工具収納部を形成して成る工具ホルダーであって、少なくとも該工具収納部の上側両端のリベット取付位置に関しては、該台板の表裏面にわたる、又は該台板の表裏面それぞれに、皮革状補強板が配置されており、リベットは台板、工具収納部、二枚の補強板の全てを挟持して固着されたものであることを特徴とする工具ホルダー。
【請求項2】
台板及び工具収納部は繊維布製であり、台板の周囲全周並びに工具収納部の上下端がパイピング補強されているものであって、該皮革状補強板が該台板に配置された後に、パイピング補強された工具補強部が配置され、その後該台板の周囲全周にパイピング補強されて成り、且つリベットはこのパイピング補強部分に打ち込まれているものである請求項1記載の工具ホルダー。
【請求項3】
ベルト通し部の内面には、防滑処理が施されたものである請求項1又は2記載の工具ホルダー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンチ、プライヤー、ドライバー、レンチ、スパナ、等々の手持ち工具を、取り出し容易に収納した状態で腰に吊り下げる工具ホルダーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
使用頻度の高い手持ち工具を腰に吊り下げて携行するための工具ホルダー(ツールホルダー、或いは工具差し等とも呼ばれる)が従来よりある。これらは、作業者着用のズボンベルト等に係止して装着するもので、皮革若しくはこれに代わる強靱な材質より成る台板に、工具収納部を縫合しリベット留めしたものが通常の構造である。
【0003】
収納する工具の長さに対応できるように、この工具収納部の下方は開放されていることが多い。具体的には、ベルト状体を湾曲させた状態で台板にあてがい、両端を縫合・リベット留めすることで工具挿入用の空隙を形成させる。複数収納タイプの場合には更に、縦方向に縫合することで空隙を分画する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この工具ホルダーに収納される手持ち工具は一般に金属製であり、また工具の抜き差しを乱暴に行う場合が多いため、台板、工具収納部共に要求される強度は高く、強靱な材質のものが採用されている。そうしたこともあって、作業者に愛用される言わば良質の工具ホルダーの場合、台板や工具収納部、或いはベルトへの係止部等の材質自体が経年使用で摩耗劣化し使用できなくなることは稀である。
【0005】
しかし、台板と工具収納部の接続部分、特にその上端部分に関しては、工具収納時の押し込み過ぎや、乱暴な取り出しによりリベット周囲に無理な力が繰り返し加わり、工具収納部からリベットが外れ、続いて縫合部が綻んでゆき遂には使用できなくなる、という事例をしばしば耳にする。こうしたことから、台板や工具収納部の強度に見合った強靱な接続部分構造が求められていた。
【特許文献1】特開2005−014142
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は上記点に鑑み長年鋭意研究の結果遂に本発明を成したものでありその特徴とするところは、上端部を裏面側に折り返して該端部を固着しベルト通し部とした台板の下方側位置に、広幅板状体を湾曲させて配置し両者を縫合・リベット留めして工具収納部を形成して成る工具ホルダーであって、少なくとも該工具収納部の上側両端のリベット取付位置に関しては、該台板の表裏面にわたる、又は該台板の表裏面それぞれに、皮革状補強板が配置されており、リベットは台板、工具収納部、二枚の補強板の全てを挟持して固着された点にある。
【0007】
即ち本発明は、最も苛酷な条件下にある工具収納部上側両端のリベットを補強すべく、皮革状補強板を台板の表裏面に配置したことを最大の特徴とする発明である。
【0008】
ここで「台板」は、上部にベルト通し部を、下部に工具収納部を備えた部材であり、強度が高くコシの強い素材を採用することが好ましい。例えば、皮革、繊維布、芯材の表裏を繊維布で被覆した多層構造体、等々種々の材質形態のものが採用可能である。
台板自体は平坦なものであっても良いが、作業者の腰ベルトに吊り下げた時に体躯に添うように若干湾曲(外側に凸となる湾曲)するようにしておくと好適である。台板の大きさは、収納する工具の種類と数量によって異なる。
【0009】
また、台板上部に形成される「ベルト通し部」は、上端部を裏面側に折り返して該端部を固着することで形成される。一方ベルト通し部自体の幅は、10cm程度あれば充分であり、余り長くなると体躯にフィットしづらくなって好ましくない。従って、複数本の工具を収納するような場合にはこの台板は、上部を狭めた形状とするのが好ましい。なお工具の出し入れを阻害しないように、ベルト通し部は、台板の上端部を裏面側に折り返して形成しているが、この上端部を例えばリベット留めにより固着する場合には、このリベットの表側面への突出に注意を払うのが良い。突出自体を小さくする、若しくは複数本収納タイプであれば分画のための仕切り部のすぐ上にリベットを配置する、等々の工夫が考えられる。またこのベルト通し部の内面に防滑処理を施すと、作業者のズボンベルト上を本発明工具ホルダーが滑りにくくなるので更に好適なものとなる。防滑処理としては、溶媒で溶いたゴム液を塗布して揮発固化させる方法、摩擦抵抗の大きい部材を縫合や接着等によって取設する方法、等が考えられる。
【0010】
「工具収納部」は本発明の場合、広幅の板状体を湾曲させた状態で台板と一体化して形成される。湾曲させたものを台板に接触してできる空隙に工具が収納保持されることになる。空隙は、上下方向に連通しているので、工具の抜落がないように下側開口面積を上側よりも狭くしておくと良いが、単純な棒状体の工具は少なく容易に抜落する心配はない。工具収納部の材質についても本発明は特に限定せず、台板と同様種々採用可能である。
【0011】
なお「台板」及び「工具収納部」の材質に繊維布を採用した場合、台板の周囲全周並びに工具収納部の上下端をパイピングによって補強するのが好ましい。このパイピングは、台板周縁、工具収納部上下端の耐摩耗性・耐変形性を高めるものであるが、リベットの台座としても活用すべく、ここにリベット軸を貫入させるとより好適である。
【0012】
「皮革状補強板」は、本発明最大の特徴部分であり、少なくとも工具収納部上端左右のリベットの取り付け位置に配置される部材である。「皮革状」とは、ある程度の厚みのある柔軟な板状体のことを言い、天然皮革、人工皮革、プラスチックシート、等々がこれに該当する。この皮革状補強板は、該台板の表裏面にわたって、又は該台板の表裏面それぞれに配置される。表裏面にわたる場合には1枚の補強板を折曲さた状態で台板に挟み込むようにセットすることになり、表裏面それぞれに配置する場合には当然2枚の補強板が必要となる。台板上に、好ましくは縫合によって配置するのが好ましいが、接着剤によっても良いものとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る工具ホルダーは、以下の如き効果を有する極めて高度な発明である。
【0014】
(1) 経年使用で劣化破損しやすい工具収納部の上部両端位置に打たれるリベットが、台板表裏面に配置される補強板によって補強されるので、乱暴に取り扱われても容易には破損しない。
(2) 最も劣化破損しやすい部分は皮革状補強板によって補強されているので、他の部材に関しては、安価な材質のものが多少強度は劣っていても採用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明に係る工具ホルダー1(以下「本発明ホルダー1」という)の一例を示すものである。図より明らかなように本例の本発明ホルダー1は、三本の手持ち工具が収納できるものであり、一枚の幅広の板状体2を湾曲させて台板3に接当し、縦方向に二条を縫合し、三つの収納エリア21、22、23を形成している。また上部には、ベルト通し部4が備わっている。このベルト通し部4は、台板3の上部を裏面側に折り返して端部をリベット留めしたものであり、その内面には防滑加工として、生ゴム糸を露出させつつ縫い込んだ防滑用布テープ5(ズボンやスカートのウエスト部内側に採用されている製品:鎖線で示す)を縫合によって取設している。
【0017】
台板3と板状体2との接合は、縫合とリベット留めによって行なう。本例の場合、板状体2の左右両端の上下、及び三つの収納エリア21、22、23を分画形成するための二条の縫合部それぞれの上下端、の八箇所にリベット6が取り付けられている。このうち、板状体2の左右両端の上下の四個のリベット6は、皮革製補強板7を伴っている。この皮革製補強板7は、本図では裏面側が見えないが、台板3の裏面側にわたって設けられている。
【0018】
また、本例では板状体2及び台板3の材質に、多層構造体を採用した。台板3の一部を切欠した概略を図2に示す。即ち、フェルト布11を芯材とし、これに繊維布12、12を貼着一体化したものである。更に、外周縁部を千鳥縫いAによって纏い縫いした。このような多層構造を採用することで、柔軟性やコシ、保形性といった性質が天然皮革に近いものとなる。但し、採用する繊維布の種類にもよるが一般的に、各部材の表面の耐摩耗性等については天然皮革に比して若干劣る。しかし本発明においては皮革製補強板7を具備するため、製品としての寿命は従来の天然皮革製工具ホルダーを上回るものとなる。
【0019】
次に図3(a)乃至(c)は、図3で示した多層構造体で形成した板状体2及び台板3を用い本発明ホルダー1を製造する工程例を経時的且つ概略的に示したものである。以下の工程例自体は本発明を限定するものではなく、他の方法を用いても良い。
【0020】
まず、台板3(千鳥縫いAは完了しているが、図では描出を省略している)の上部裏面に、生ゴム糸が織り込まれた防滑用布テープ5を縫着する。図では台板3上部が裏面側に折り曲げられているが実際には折り曲げない。更に、台板3に、二つ折りにされた皮革製補強板7を嵌め込み、周縁部を縫着する〔図3(a)〕。折り曲げられた台板3の上端近傍はリベット留めされるが、図3(a)の段階では周縁がパイピング処理されていないのでしない。なお、展開状態並びに二つ折りした状態の皮革製補強板7を鎖線で示す。
【0021】
次に、予め設計に従って湾曲させた板状体2を台板3にセットする〔同図(b)〕。この時板状体2は既にその上下端にバイヤステープ8によるパイピングが施されている。パイピングのための縫着糸は描出を省略している。
【0022】
続いて板状体2を台板3に接当させた状態で、板状体2の中程二箇所を上下方向に縫着し、併せて台板3の周縁全周に対してバイヤステープ8によるパイピングを施す〔同図(c)〕。
【0023】
そして最後に、8個のリベット6、2個のリベット9を取設する。リベット6は全て(8個共)バイヤステープ8を貫いて固定されており、また左右端の上下の4個のリベット6に関しては更に、皮革補強板7をも貫いている。なおこの時、ベルト通し部4形成のためのリベット9(リベット6と同じもの)も取り付けると図1の如き全体形状となり、本発明ホルダーが完成する。
【0024】
なおここまで、3つの収納ゾーンを具備する工具ホルダーを例に本発明を説明してきたが、収納本数は3に限定されるものではないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る工具ホルダーの一例を示す概略斜視図である。
【図2】本発明に係る工具ホルダーの構成部材の一つである台板の構造の一例を示す一部を切欠した部分斜視図である。
【図3】(a)乃至(c)は、本発明に係る工具ホルダー製造工程の一例を、経時的且つ概略的に示すいずれも斜視図である。
【符号の説明】
【0026】
1 本発明に係る工具ホルダー
2 板状体
21 収納エリア
22 収納エリア
23 収納エリア
3 台板
4 ベルト通し部
5 防滑用布テープ
6 リベット
7 皮革製補強板
8 バイヤステープ
9 リベット
11 フェルト布
12 繊維布
A 千鳥縫い
【出願人】 【識別番号】592116866
【氏名又は名称】株式会社基陽
【出願日】 平成18年12月20日(2006.12.20)
【代理人】 【識別番号】100080724
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 久喜


【公開番号】 特開2008−149429(P2008−149429A)
【公開日】 平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願番号】 特願2006−342014(P2006−342014)