トップ :: B 処理操作 運輸 :: B25 手工具;可搬型動力工具;手工具用の柄;作業場設備;マニプレ−タ

【発明の名称】 罫書装置
【発明者】 【氏名】清水 昇二

【氏名】佐山 良照

【要約】 【課題】既設罫書定盤にも適用することができ、罫書作業後に行う各作業の邪魔になることがない罫書装置を提供する。

【構成】罫書具8により定盤10上に罫書作業を自動で行う罫書装置1であって、取付手段6により定盤10に着脱可能に取り付けられ、移動体のX方向への直線運動を案内するX軸直線案内及び前記移動体を駆動するX軸駆動装置23を含むX軸装置2、X軸装置2と略平行に、取付手段6により定盤10に着脱可能に取り付けられ、第2移動体のX方向への直線運動を案内する第2X軸直線案内及び前記第2移動体を駆動する第2X軸駆動装置33を含む第2X軸装置3、並びに、X軸装置2及び第2X軸装置3の前記移動体間に横架され、罫書具8を支持する罫書ヘッド41のY方向への直線運動を案内するY軸直線案内及び罫書ヘッド41を駆動するY軸駆動装置43を含むY軸装置4を備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
罫書具により定盤又は定盤上に固定された鋼板等の平面上に所要線を描く罫書作業をCADデータに基づいて自動で行う罫書装置であって、
取付手段により前記平面に対して着脱可能に取り付けられ、移動体のX方向への直線運動を案内するX軸直線案内及び前記移動体を駆動するX軸駆動装置を含むX軸装置と、
前記X軸装置の移動体に一端が連結されてX方向に移動可能とされ、前記罫書具を支持する罫書ヘッドのY方向への直線運動を案内するY軸直線案内及び前記罫書ヘッドを駆動するY軸駆動装置を含むY軸装置と、
前記CADデータから前記X軸駆動装置及びY軸駆動装置の動作指令を作成し、これらの駆動装置を制御する制御装置とを備えてなることを特徴とする罫書装置。
【請求項2】
前記X軸装置を、取付手段により前記平面に対して着脱可能に取り付けられ、X方向に離間する少なくとも3個の係合穴が上面に設けられた支持体と、前記係合穴の複数に同時に係合する少なくとも2個の係合部材が設けられ、前記X軸直線案内及びX軸駆動装置を含む本体とにより構成し、
前記係合部材が係合する前記係合穴を選択することにより、前記本体を前記支持体に対してX方向に相対移動させた状態で位置決め可能とすることを特徴とする請求項1記載の罫書装置。
【請求項3】
前記X軸装置と略平行に、取付手段により前記平面に対して着脱可能に取り付けられ、第2移動体のX方向への直線運動を案内する第2X軸直線案内及び前記第2移動体を駆動する第2X軸駆動装置を含む第2X軸装置を設け、
前記X軸装置の移動体と前記第2X軸装置の第2移動体とに前記Y軸装置を横架し、
前記制御装置により前記X軸駆動装置及び第2X軸駆動装置を同期運転し、該X軸駆動装置及び第2X軸駆動装置により前記Y軸装置をX方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の罫書装置。
【請求項4】
前記取付手段がマグネットベースであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の罫書装置。
【請求項5】
前記罫書ヘッドに対して前記罫書具を上下方向へ往復直線運動又は揺動させる駆動装置を備えてなること特徴とする請求項1記載の罫書装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼板、形鋼、鉄骨等を溶接して立体的な構造物を作りだす製缶作業等に必要な罫書作業を自動で行う罫書装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋼板、形鋼、棒鋼等の金属素材を所定形状に加工した多数の部品を溶接して組立体を作る製缶作業は、組立体の実寸平面図を組立用定盤(罫書定盤)上に罫書いた後、前記平面図に各部品を重ね合わせて位置決めし、部品間を溶接により結合して組立体を形成するものである。そして、前記罫書作業は、熟練作業者が図面を参照しながら墨糸を用いて手作業で行うのが一般的である。
【0003】
また、作業者の労力軽減等のために罫書作業を自動で行う罫書装置として、罫書定盤の両側に平行に設けた固定案内レール間に門型の走行台車を橋架し、該走行台車を前記案内レールに沿う水平方向へ移動可能に支持して走行用駆動機構により駆動するとともに、罫書ヘッドを前記走行台車により前記案内レールに直交する水平方向へ移動可能に支持して横行用駆動機構により駆動することにより、罫書定盤上にセットした鋼板表面に自動で罫書作業を行うもの(例えば、特許文献1参照)、上記と同様の機構からなるNC切断機の加工ヘッドにマーカーを備えることにより、NC切断機にセットした鋼板表面に、船殻部材の艤装品取付け位置の罫書作業を自動で行うもの(例えば、特許文献2参照)等がある。
【0004】
【特許文献1】実開平4−136683号公報(図1−2)
【特許文献2】特開平9−11160号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のとおり一般的に行われている手作業による罫書作業は、熟練作業者が行う場合であっても、特に複雑な図形を描く際に作業時間が掛かるし、CAD(Computer Aided Design)データがあるにも拘わらず印刷した図面を参照しながら人手で作業を行うため、罫書作業の効率化を図る観点から該作業の自動化ニーズがある。しかし、特許文献1及び2のような従来の罫書装置では、1個の罫書定盤等に専用に用いられるため、手作業で罫書作業を行っている既設の罫書定盤に適用することができないという問題がある。また、このような罫書装置では、装置が大掛かりな構成であるためコストが増大すること、並びに、該大掛かりな装置自体が罫書作業後に行う各部品の位置決め作業及び溶接作業等の邪魔になる場合があること等の問題もある。
【0006】
本発明は、前記のような問題点を解決し、既設の罫書定盤にも適用することができ、簡素な構成によりコストを低減することができ、さらに、罫書作業後に行う各作業の邪魔になることがない罫書装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る罫書装置は、前記課題解決のために、罫書具により定盤又は定盤上に固定された鋼板等の平面上に所要線を描く罫書作業をCADデータに基づいて自動で行う罫書装置であって、取付手段により前記平面に対して着脱可能に取り付けられ、移動体のX方向への直線運動を案内するX軸直線案内及び前記移動体を駆動するX軸駆動装置を含むX軸装置と、前記X軸装置の移動体に一端が連結されてX方向に移動可能とされ、前記罫書具を支持する罫書ヘッドのY方向への直線運動を案内するY軸直線案内及び前記罫書ヘッドを駆動するY軸駆動装置を含むY軸装置と、前記CADデータから前記X軸駆動装置及びY軸駆動装置の動作指令を作成し、これらの駆動装置を制御する制御装置とを備えてなるものである。
【0008】
ここで、前記X軸装置を、取付手段により前記平面に対して着脱可能に取り付けられ、X方向に離間する少なくとも3個の係合穴が上面に設けられた支持体と、前記係合穴の複数に同時に係合する少なくとも2個の係合部材が設けられ、前記X軸直線案内及びX軸駆動装置を含む本体とにより構成し、前記係合部材が係合する前記係合穴を選択することにより、前記本体を前記支持体に対してX方向に相対移動させた状態で位置決め可能とすると好ましい。
【0009】
また、前記X軸装置と略平行に、取付手段により前記平面に対して着脱可能に取り付けられ、第2移動体のX方向への直線運動を案内する第2X軸直線案内及び前記第2移動体を駆動する第2X軸駆動装置を含む第2X軸装置を設け、前記X軸装置の移動体と前記第2X軸装置の第2移動体とに前記Y軸装置を横架し、前記制御装置により前記X軸駆動装置及び第2X軸駆動装置を同期運転し、該X軸駆動装置及び第2X軸駆動装置により前記Y軸装置をX方向に移動させると好ましい。
【0010】
さらに、前記取付手段がマグネットベースであると好ましい。
【0011】
さらにまた、前記罫書ヘッドに対して前記罫書具を上下方向へ往復直線運動又は揺動させる駆動装置を備えてなると好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る罫書装置によれば、罫書具により定盤又は定盤上に固定された鋼板等の平面上に所要線を描く罫書作業をCADデータに基づいて自動で行う罫書装置であって、取付手段により前記平面に対して着脱可能に取り付けられ、移動体のX方向への直線運動を案内するX軸直線案内及び前記移動体を駆動するX軸駆動装置を含むX軸装置と、前記X軸装置の移動体に一端が連結されてX方向に移動可能とされ、前記罫書具を支持する罫書ヘッドのY方向への直線運動を案内するY軸直線案内及び前記罫書ヘッドを駆動するY軸駆動装置を含むY軸装置と、前記CADデータから前記X軸駆動装置及びY軸駆動装置の動作指令を作成し、これらの駆動装置を制御する制御装置とを備えてなるので、前記取付手段により前記X軸装置を前記平面に取り付けて罫書装置を使用することができるし、前記取付手段により前記X軸装置を前記平面から取り外して罫書装置を片付けることができる。したがって、既設の罫書定盤にも適用することができる。また、複数の罫書定盤に対して兼用することができる。さらに、簡素な構成によりコストを低減することができる。その上、罫書作業後に上記のように片付ければ、罫書作業後に行う各部品の位置決め作業及び溶接作業等の邪魔になることがない。
【0013】
また、前記X軸装置を、取付手段により前記平面に対して着脱可能に取り付けられ、X方向に離間する少なくとも3個の係合穴が上面に設けられた支持体と、前記係合穴の複数に同時に係合する少なくとも2個の係合部材が設けられ、前記X軸直線案内及びX軸駆動装置を含む本体とにより構成し、前記係合部材が係合する前記係合穴を選択することにより、前記本体を前記支持体に対してX方向に相対移動させた状態で位置決め可能とすると、前記効果に加えて、前記罫書具の描画範囲をX方向に拡張することができる。すなわち、よりコンパクトな構成により、描画範囲の広い罫書装置を得ることができる。
【0014】
さらに、前記X軸装置と略平行に、取付手段により前記平面に対して着脱可能に取り付けられ、第2移動体のX方向への直線運動を案内する第2X軸直線案内及び前記第2移動体を駆動する第2X軸駆動装置を含む第2X軸装置を設け、前記X軸装置の移動体と前記第2X軸装置の第2移動体とに前記Y軸装置を横架し、前記制御装置により前記X軸駆動装置及び第2X軸駆動装置を同期運転し、該X軸駆動装置及び第2X軸駆動装置により前記Y軸装置をX方向に移動させると、前記効果に加えて、前記Y軸装置のX方向の移動をより安定かつ確実に行うことができる。したがって、特に前記Y軸装置のストロークが大きく前記罫書具の描画範囲が広い場合において、前記Y軸装置の動作精度が向上するため、前記罫書具による図形の描画精度を向上することができる。
【0015】
さらにまた、前記取付手段がマグネットベースであると、前記効果に加えて、前記平面に対する、前記取付手段による前記X軸装置の着脱作業及び前記取付手段による前記第2X軸装置の着脱作業を極めて容易に行うことができる。
【0016】
また、前記罫書ヘッドに対して前記罫書具を上下方向へ往復直線運動又は揺動させる駆動装置を備えてなると、前記効果に加えて、前記駆動装置により前記罫書具を上下動させながら罫書作業を行うことにより破線(ドット線)を描くことができるので、繰り返し行われる製缶作業等により定盤等の表面に傷等がついて凹凸ができた場合であっても、該凹凸を前記罫書具が容易に乗り越えることができるため、罫書作業を安定かつ確実に行うことができる。また、罫書具の損傷を抑制すること及び罫書具のインク使用量を削減することができる。さらに、前記駆動装置を前記制御装置により制御することにより、一点鎖線及び二点鎖線等の実線及び破線と異なる線を描くこともできるため、罫書線の種類を使い分けることにより、罫書作業後の各部品の位置決め作業等の作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、本明細書においては、平面視矩形の定盤10の長辺に平行な方向をX方向、定盤10の短辺に平行な方向をY方向とし、X軸装置2及び第2X軸装置3の長手方向が前記X方向となるように、かつ、Y軸装置4の長手方向が前記Y方向となるように、罫書装置1を定盤10上に設置しているが、罫書装置1の定盤10に対する設置方向は前記方向に限定されない。罫書装置1の設置は、X軸装置2の移動体21の移動方向を基準方向として、第2X軸装置3を前記基準方向と略平行に、Y軸装置4を前記基準方向と略直交するように設置すればよい。例えば、定盤10上に、X軸装置2及び第2X軸装置3を設置するための略平行な2直線を手作業にて罫書き、これら2直線に沿ってX軸装置2及び第2X軸装置3を定盤10上に載置して、後述する取付手段6,6により定盤10と固定すればよい。あるいは治具を用いてX軸装置2及び第2X軸装置3を略平行に設置してもよい。
【0018】
図1は本発明の実施の形態に係る罫書装置1の全体構成を示す平面図であり、図において、罫書装置1は、平面視矩形の定盤10の平面10aに着脱可能に取付手段6により取り付けられるX軸装置2、X軸装置2と略平行に、前記平面10aに着脱可能に取付手段6により取り付けられる第2X軸装置3、X軸装置2及び第2X軸装置3間に架設され、X軸装置2及び第2X軸装置3によりX方向に駆動されるY軸装置4、CADデータに基づいて各軸の動作制御等を行う制御装置5、Y軸装置4によりY方向に駆動される罫書ヘッド41、罫書ヘッド41により支持される罫書具8等からなり、罫書具8により前記平面10a上に所要線(例えば図1中の罫書線DL1)がCADデータに基づいて自動で描かれる。なお、罫書装置1を定盤10の平面10a上に直接取り付けずに、罫書装置1を定盤10上に固定された鋼板等の平面上に取り付けて、該鋼板等の平面上に所要線を描くようにしてもよい。
【0019】
制御装置5は、例えば、電源、サーボアンプ、プログラマブルコントローラ及び/又はパーソナルコンピュータ等から構成され、CADデータに基づく各軸の動作指令データの作成は、慣用されているCADデータ(DXFデータ)をNCデータに変換するソフトウェアを用いること等により容易に作成することができる。
【0020】
図1に示すように、Y軸装置4の両端部(中間部分であってもよい。)を、X軸駆動装置23及び第2X軸駆動装置33により駆動する構成を採用しているため、Y軸装置4のX方向の移動をより安定かつ確実に行うことができる。したがって、特にY軸装置4のストロークが大きく罫書具8の描画範囲が広い場合において、Y軸装置4の動作精度が向上するため、罫書具8による図形の描画精度を向上することができる。なお、X軸駆動装置23及び第2X軸駆動装置33は制御装置5により同期運転されてY軸装置4がX方向に駆動されるため、Y軸装置4のY軸駆動装置43等と制御装置5とを繋ぐケーブルの断線を防止するため、X方向に延び、螺旋状としたケーブルを支持するケーブルガイド13を設けている。
【0021】
図2〜図5は、X軸装置2の構成を示す説明図であり、図2(a)は平面図、図2(b)は正面図、図3は図2(a)のA−A断面図、図4は図2(a)のB−B断面図、図5は図2(b)のC−C断面図である。図2〜図4に示すように、X軸装置2は、移動体21のX方向への直線運動を案内する例えば転がり案内であるX軸直線案内22(図4参照。)及び移動体21を駆動するX軸駆動装置23を含む本体11と、本体11と分離可能とされ、取付手段6であるマグネットベース7,…により定盤10の平面10aに対して着脱可能に取り付けられ、X方向に離間させて3個の係合穴12a,…が上面に設けられた支持体12とにより構成される。取付手段6としてマグネットベース7,…を用いることにより、レバー7a,…の回動によって前記平面10aに対する支持体12の着脱を極めて容易に行うことができる。
【0022】
支持体12に対する本体11の位置決めは、本体11側に設けられた係合部材11a,…を支持体12側の前記係合穴12a,…に係合させることにより、容易に行うことができる。すなわち、本実施の形態では、前記係合穴12a,…及び係合部材11a,…は、どちらも等間隔で3個ずつ形成されているため、これらの中の少なくとも2個ずつを係合させれば、支持体12に対する本体11の位置決めが完了する。なお、係合穴12a,…及び係合部材11a,…の個数は、3個ずつに限定されず、係合穴12a,…を少なくとも3個(3個以上)とし、係合部材11a,…を少なくとも2個(2個以上)として、係合部材11a,…を係合穴12a,…の複数に同時に係合させればよい。
【0023】
このような構成によれば、後述するように、係合部材11a,…が係合する係合穴12a,…を選択することにより、本体11を支持体12に対してX方向に相対移動させた状態で位置決めすることができるため、罫書具8の描画範囲をX方向に拡張することができる。また、前記のようにして支持体12に対して位置決めされた本体11は、さらに、支持脚27,…,28,…により定盤10の平面10a上に安定支持される。
【0024】
次に、X軸装置2の駆動系の構成について説明する。図2及び図3に示すように、本体11の一端側には、サーボモータ及び減速器等からなるX軸駆動装置23が固定され、X軸駆動装置23の出力軸には駆動側プーリ24が連結される。また、図5に示すように、本体11の他端側には、従動側プーリ25が回転可能に支持されており、駆動側プーリ24及び従動側プーリ25間にはタイミングベルト26が張架される。なお、タイミングベルト26の張力調整は、従動側プーリ25を支持するハウジング29Aの位置をボルト29Bにより調整することにより容易に行うことができる。また、図2及び図4に示すように、タイミングベルト26には移動体21が固定されているため、該移動体21は制御装置5により駆動制御されるX軸駆動装置23により駆動されてX方向の目標位置へ移動する。
【0025】
図6〜図9は、第2X軸装置3の構成を示す説明図であり、図6(a)は部分横断平面図、図6(b)は図1のD−D断面図でありY軸装置4の罫書ヘッド41及び罫書具8を第2X軸装置3の近傍まで移動させた状態を示している。また、図7は図6(a)のE−E断面図、図8は図6(a)のF−F断面図、図9は図7のG−G断面図である。図6及び図8示すように、第2X軸装置3は、第2移動体31のX方向への直線運動を案内する例えば転がり案内である第2X軸直線案内32(図8参照。)及び第2移動体31を駆動する第2X軸駆動装置33等からなり、取付手段6であるマグネットベース7,…により定盤10の平面10aに対して着脱可能に取り付けられる。取付手段6としてマグネットベース7,…を用いることにより、レバー7a,…の回動によって前記平面10aに対する第2X軸装置3の着脱を極めて容易に行うことができる。
【0026】
次に、第2X軸装置3の駆動系の構成について説明する。図6及び図7に示すように、第2X軸装置3の一端側には、サーボモータ及び減速器等からなる第2X軸駆動装置33が固定され、第2X軸駆動装置33の出力軸には駆動側プーリ34が連結される。また、図7及び図9に示すように、第2X軸装置3の他端側には、従動側プーリ35が回転可能に支持されており、駆動側プーリ34及び従動側プーリ35間にはタイミングベルト36が張架される。なお、タイミングベルト36の張力調整は、従動側プーリ35を支持するハウジング37Aの位置をボルト37Bにより調整することにより容易に行うことができる。また、図6及び図8に示すように、タイミングベルト36には移動体31が固定されているため、該移動体31は制御装置5により駆動制御される第2X軸駆動装置33により駆動されてX方向の目標位置へ移動する。
【0027】
以上のとおり、取付手段6,6であるマグネットベース7,…,7,…によりX軸装置2及び第2X軸装置3を平面10aに容易に取り付けることができるし、取付手段6,6によりX軸装置2及び第2X軸装置3を平面10aから容易に取り外すことができる。したがって、罫書装置1は、既設の定盤にも適用することができるし、複数の定盤に対して兼用することができる。また、図1に示すように簡素な構成であるためコストを低減することができる。その上、罫書作業後に上記のように取り外して片付ければ、罫書作業後に行う各部品の位置決め作業及び溶接作業等の邪魔になることがない。
【0028】
図10〜図15は、Y軸装置4の構成を示す説明図であり、図10(a)は平面図、図10(b)は部分縦断右側面図、図11は図10(a)のH−H断面図、図12は図10(a)のI−I断面図、図13は図10(a)のJ−J断面図、図14は図10(a)のK−K断面図、図15は図11のL−L断面図である。図10に示すように、Y軸装置4は、罫書具8を支持する罫書ヘッド41のY方向への直線運動を案内するY軸直線案内42(図10及び図14参照。)及び罫書ヘッド41を駆動するY軸駆動装置43等からなり、後述するように、X軸装置2の移動体21と第2X軸装置3の第2移動体31とに横架され、前記移動体21,31とともにX方向へ移動する。
【0029】
次に、Y軸直線案内42及びY軸装置4の駆動系の構成について説明する。図14に示すように、Y軸直線案内42は、Y方向に延びる上下のレール部材42A,42Aの上下から溝付車輪42B,42Bを係合させて構成される。また、図10、図11及び図13に示すように、Y軸装置4の一端側(X軸装置2側)には、サーボモータ及び減速器等からなるY軸駆動装置43が固定され、Y軸駆動装置43の出力軸には駆動側プーリ44が連結される。また、図11及び図15に示すように、Y軸駆動装置43の他端側(第2X軸装置3側)には、従動側プーリ45が回転可能に支持されており、駆動側プーリ44及び従動側プーリ45間にはタイミングベルト46が張架される。なおタイミングベルト46の張力調整は、従動側プーリ45を支持するハウジング51Aの位置をボルト51Bにより調整することにより容易に行うことができる(図15参照。)。
【0030】
また、図14に示すように、タイミングベルト46には罫書ヘッド41が連結固定されており、罫書ヘッド41が罫書具8を支持しているため、該罫書具8は制御装置5により駆動制御されるY軸駆動装置43により駆動されてY方向の目標位置へ移動する。なお、罫書具8としては、水性又は油性のペンが使用されるが、罫書作業を繰り返し行うために罫書線は消し易い方が好ましいため、罫書具8を水性ペンとするのがより好ましい実施態様である。
【0031】
次に、Y軸装置4のX軸装置2及び第2X軸装置3への取付構造について説明する。図2及び図12に示すように、X軸装置2の移動体21には、連結体21Aとして、X方向左右の支持フレーム14,15、該支持フレーム14,15に外側から嵌入される軸受17,18、該軸受17,18に支持されてX方向軸まわりに回転するシャフト16等が設けられる。また、シャフト16の両端面には、円錐状凹部16a,16bが形成されており、シャフト16の両端部側面の雄ねじ部にナット19,20を螺合させることにより、シャフト16のX方向の移動が規制される。
【0032】
図10〜図12に示すように、Y軸装置4のX軸装置2側の端部には、前記連結体21Aを上側から覆うハウジング47、該ハウジング47のX方向左右端から垂下する壁から内側に、前記シャフト16の円錐状凹部16a,16bに向かって突出する円錐状凸部48a,49aが形成された連結部材48,49が設けられる。連結部材48は六角穴付きボルトであり、前記ハウジング47の垂下壁の雌ねじに対して連結部材48を回転させることにより、該連結部材48はX方向に進退する。
【0033】
したがって、連結部材49の円錐状凸部49aにシャフト16の円錐状凹部16bを係合させた状態で、連結部材48をシャフト16方向へ移動させて、シャフト16の円錐状凹部16aに連結部材48の円錐状凸部48aを係合させれば、シャフト16と連結部材48及び49との心だしがされた状態で、Y軸装置4はX軸装置の連結体21A(移動体21)に対して位置決めされる。なお、連結部材48の前記進退位置は、ナット50により固定することができる。このような構成によりY軸装置4は、シャフト16の中心軸まわりに回動可能に支持される。また、連結部材48をシャフト16に対して後退させることにより前記係合が外れるため、Y軸装置4とX軸装置2とは容易に分離することができる。
【0034】
図6、図8、図10及び図14に示すように、第2X軸装置3の移動体31には、シャフト31B,31BによりY方向に移動可能に支持された連結体31Aが設けられる。そして、連結体31Aに対してX方向に移動可能に取り付けられた球面軸受39Aによりシャフト38が支持され、該シャフト38にはブラケット40Aが固定される。したがって、ブラケット40AをY軸装置4のフレームに取付ねじ40Bにより取り付けることにより、Y軸装置4は第2X軸装置3の移動体31と容易に連結固定される(図6及び図14参照。)。また、この状態で固定ねじ39Bにより球面軸受39Aが連結体31Aに固定される(図6及び図8参照。)が、このような固定をしなくてもよい。
【0035】
以上のようなY軸装置4のX軸装置2及び第2X軸装置3への取付構造により、X軸装置2及びY軸装置4並びにY軸装置4及び第2X軸装置3は容易に分離することができるので、使用後に罫書装置1を容易に片付けることができるとともに嵩張らないため保管に必要なスペースを小さくすることができる。その上、罫書装置1の使用後に別の罫書定盤等の所まで容易に運搬することができるとともに、分離したX軸装置2、第2X軸装置3及びY軸装置4を組み立てて罫書装置1を構成することも容易であるため、迅速に設置して罫書作業を行うことができる。
【0036】
また、前記取付構造により、Y軸装置4のX軸装置2側端部がX軸装置2の移動体21のシャフト16の中心軸まわりに回動可能に支持されるため、X軸装置2と第2X軸装置3との間に若干の高低差があったとしても、X軸装置2及びY軸装置4に無理な力が掛かることがない。さらに、シャフト31B,31BによりY方向に移動可能に支持された連結体31Aに対してX方向に移動可能に取り付けられた球面軸受39Aを介して、Y軸装置4の第2X軸装置3側端部のフレームが第2X軸装置3の移動体31に連結されるため、X軸装置2と第2X軸装置3との平行度がでていない場合であっても(X軸装置2の移動体21の移動方向と第2X軸装置3の移動体31の移動方向との間に角度差があったとしても)、X軸装置2と第2X軸装置3との間に高低差があったとしても、又は、第2X軸装置3とY軸装置4との直角度がでていない場合であっても(第2X軸装置3の移動体31の移動方向とY軸装置4の罫書ヘッド41の移動方向とがなす角度が直角でなくても)、第2X軸装置3及びY軸装置4に無理な力が掛かることがない。以上のようにして据付誤差が吸収されるため、X軸装置2を基準として設置される第2X軸装置3の据付には高い精度が要求されない。よって、罫書装置1の据付作業時間を短縮することができる。
【0037】
次に、罫書装置1のX−Y座標系の歪みの補正について説明する。罫書具8は、同期運転されるX軸駆動装置23及び第2X軸駆動装置33によりX方向に位置決めされ、Y軸駆動装置43によりY方向に位置決めされるが、罫書装置1の制御装置5における直交座標系(X−Y座標系)の数学モデルと罫書具8の実際の動作とは、据付誤差等の要因により、ずれが生じているのが一般的である。このような場合に、CADデータに基づいて制御装置5により各軸の動作指令を作成して各軸を駆動し、罫書具8により図形を描くと、この図形が歪むことになる。そこで、このような歪みを補正する必要がある。
【0038】
上記補正は、ロボットやレーザ加工機等で一般的に用いられている技術により行うことができる。すなわち、制御装置5における直交座標系(X−Y座標系)の数学モデルに基づく動作指令に対する実際の動作座標系の歪みを測定して補正に用いればよいので、例えば直角ゲージ又は基準ブロック等を、その直交2辺が略X方向及びY方向となるように定盤10上に固定し、前記罫書具8の位置又はその近傍に距離センサを固定して、(1)Y軸駆動装置43を駆動せずにX軸駆動装置23及び第2X軸駆動装置33を駆動した場合の前記直角ゲージ等の略X方向の辺の複数点とのY方向の距離の測定、及び、(2)X軸駆動装置23及び第2X軸駆動装置33を駆動せずにY軸駆動装置43を駆動した場合の前記直角ゲージ等の略Y方向の一辺の複数点とのX方向の距離の測定、を前記距離センサにより行えばよい。
【0039】
このような測定により、罫書具8の実際の動作座標系の歪み(罫書装置1の実際の動作におけるX−Y直交座標系における直角からのずれ角度)を求めることができるので、この歪み(前記ずれ角度)を無くすように、制御装置5により各軸の動作指令を作成すればよい。例えば、同期運転されるX軸駆動装置2及び第2X軸駆動装置3において、該第2X軸駆動装置の動作指令に前記歪みを無くすようなオフセットを与えればよい。あるいは、X軸駆動装置2の原点位置に対する第2X軸駆動装置3の原点位置にオフセットを与えてもよい。また、前記のような補正量を求めるための測定は、例えば罫書装置1を定盤10の平面10aに据え付けた後に一回行えばよい。
【0040】
図10及び図14に示すように、罫書ヘッド41は、詳細を図示しない駆動装置9を備えている。駆動装置9は、罫書具8を罫書ヘッド41に対して上下方向へ往復直線運動又は揺動させるものであり、罫書具8の上下方向のストロークは例えば10mm程度とされる。罫書具8のXY平面内の移動速度に応じて設定した周波数で、罫書具8を前記駆動装置9により上下動させながら罫書作業を行うと、破線(ドット線)を描くことができる。したがって、繰り返し行われる製缶作業等により定盤10の平面10aに傷等がついて凹凸ができた場合であっても、該凹凸を乗り越えさせながら罫書具8を移動させることができるため、罫書作業を安定かつ確実に行うことができる。また、罫書具8の損傷を抑制すること及び罫書具8のインク使用量を削減することができる。なお、駆動装置9を制御装置5により制御することにより、一点鎖線及び二点鎖線等の実線及び破線と異なる線を描けるようにすることもできるため、罫書線の種類を使い分けることにより、罫書作業後の各部品の位置決め作業等の作業性が向上する。
【0041】
次に、X軸装置2の本体11を支持体12に対してX方向に相対移動させた状態で位置決めする構造について説明する。図16は本体11を支持体12に対して第1位置からX方向に相対移動させて第2位置とする構成の説明図であり、図16(a)は前記第1位置を示す正面図、図16(b)は前記第2位置を示す正面図である。また、図17は本体11を前記第2位置とした状態における罫書装置による罫書作業を示す平面図である。
【0042】
図16(a)は図1及び図2に対応するものであり、前記のとおり等間隔で3個形成されている支持体12の係合穴12a,…の中の左及び中央の係合穴12a,12aに、前記のとおり等間隔で3個形成されている本体11の係合部材11a,…の中の中央及び右の係合部材11a,11aを係合させた前記第1位置の状態であり、この状態で、例えば図1に示すように定盤10の左半面に罫書作業を行うことができる(例えば罫書線DL1参照。)。
【0043】
このように前記第1位置の状態で罫書作業を行った後、前記連結部材48(図12参照。)を緩めてY軸装置4をX軸装置2から取り外し、前記取付ねじ40B(図14参照。)を緩めてY軸装置4を第2X軸装置3から取り外す。
【0044】
次に、図16(b)に示すように、前記支持体12の係合穴12a,…の中の中央及び右の係合穴12a,12aに、前記本体11の係合部材11a,…の中の左及び中央の係合部材11a,11aを係合させて前記第2位置の状態とする。この状態では、X軸装置2の本体11が定盤10上に固定されている支持体12に対してX方向に相対移動している。
【0045】
第2位置の状態としたX軸装置2の本体11に対応するように、第2X軸装置3も、図1に示す状態から図17に示す状態のように、X方向に相対移動させて前記取付手段6であるマグネットベース7,…により定盤10上に固定する。そして、前記連結部材48(図12参照。)を締めてY軸装置4をX軸装置2と連結し、前記取付ねじ40B(図14参照。)を締めてY軸装置4を第2X軸装置3と連結する。なお、前記第2位置の状態においても前記X−Y座標系の歪みの補正を行えば、前記右半面における罫書作業で描く図形の形状精度が向上する。
【0046】
このようにして前記第2位置の状態において罫書装置1を組み立てた後、例えば図17に示すように、定盤10の右半面に罫書作業を行うことができる(例えば罫書線DL2参照。)。このような罫書装置1をX方向に相対移動させて罫書作業を行える構成によれば、罫書具8の描画範囲をX方向に拡張することができる。例えば、X方向のストロークが約3mのX軸装置2及び第2X軸装置3により、X方向の描画範囲を約6mとすることができる。すなわち、よりコンパクトな構成により、描画範囲の広い罫書装置1を得ることができる。
【0047】
以上の説明における罫書装置1において、罫書具8を自動交換又は人手で交換し、CADデータの画層毎又は部品毎等に色の異なる罫書具8,…によって色違いの線を描くことにより、罫書作業後の各部品の位置決め作業等の作業性を向上することができる。
【0048】
また、以上の説明においては、Y軸装置4をX軸装置2及び第2X軸装置に横架し、X軸駆動装置23及び第2X軸駆動装置33によりY軸装置4をX方向に駆動する構成について説明したが、本願発明はこのような構成に限定されるものではない。例えば、Y軸装置4のストロークが小さい場合等においては、第2X軸装置3がない構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施の形態に係る罫書装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】X軸装置の構成説明図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図3】図2(a)のA−A断面図である。
【図4】図2(a)のB−B断面図である。
【図5】図2(b)のC−C断面図である。
【図6】第2X軸装置の構成説明図であり、(a)は部分横断平面図、(b)は図1のD−D断面図である。
【図7】図6(a)のE−E断面図である。
【図8】図6(a)のF−F断面図である。
【図9】図7のG−G断面図である。
【図10】Y軸装置の構成説明図であり、(a)は平面図、(b)は部分縦断右側面図である。
【図11】図10(a)のH−H断面図である。
【図12】図10(a)のI−I断面図である。
【図13】図10(a)のJ−J断面図である。
【図14】図10(a)のK−K断面図である。
【図15】図11のL−L断面図である。
【図16】X軸装置を本体と支持体とに分離し、前記本体を前記支持体に対して第1位置からX方向に相対移動させて第2位置とする構成の説明図であり、(a)は前記第1位置を示す正面図、(b)は前記第2位置を示す正面図である。
【図17】前記本体を前記第2位置とした状態における罫書装置による罫書作業を示す平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 罫書装置
2 X軸装置
3 第2X軸装置
4 Y軸装置
5 制御装置
6 取付手段
7 マグネットベース
7a レバー
8 罫書具
9 駆動装置
10 定盤
10a 平面
11 本体
11a 係合部材
12 支持体
12a 係合穴
13 ケーブルガイド
14,15 支持フレーム
16 シャフト
16a,16b 円錐状凹部
17,18 軸受
19,20 ナット
21 移動体
21A 連結体
22 X軸直線案内
23 X軸駆動装置
24 駆動側プーリ
25 従動側プーリ
26 タイミングベルト
27,28 支持脚
29A ハウジング
29B ボルト
31 第2移動体
31A 連結体
31B シャフト
32 第2X軸直線案内
33 第2X軸駆動装置
34 駆動側プーリ
35 従動側プーリ
36 タイミングベルト
37A ハウジング
37B ボルト
38 シャフト
39A 球面軸受
39B 固定ねじ
40A ブラケット
40B 取付ねじ
41 罫書ヘッド
42 Y軸直線案内
42A レール部材
42B 溝付車輪
43 Y軸駆動装置
44 駆動側プーリ
45 従動側プーリ
46 タイミングベルト
47 ハウジング
48,49 連結部材
48a,49a 円錐状凸部
50 ナット
51A ハウジング
51B ボルト
DL1,DL2 罫書線

【出願人】 【識別番号】000211695
【氏名又は名称】中西金属工業株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生

【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫

【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由


【公開番号】 特開2008−30147(P2008−30147A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205667(P2006−205667)