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【発明の名称】 電動工具
【発明者】 【氏名】北村 浩康

【要約】 【課題】モータロック時にも適切に対応することができる上に、燃料電池として定格の大きいものを必要としないものとする。

【解決手段】酸素と水素を反応させて電気を発生する燃料電池スタック30と、モータロック時の大電流供給用の補助電力貯蔵装置4と、動力であるモータのモータロックを検出する過負荷検出回路21と、過負荷検出回路の過負荷検出出力を受けてモータMへの電力供給を燃料電池スタックから上記補助電力貯蔵装置に切り換えるとともに所定時間後にモータへの電力供給を全遮断全遮断し且つ所定時間内に過負荷状態が解消された時には燃料電池からの電力供給に再度切り換える制御回路20とを備える。モータロック時の大電流は補助電力貯蔵装置から供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素と水素を反応させて電気を発生する燃料電池スタックと、モータロック時の大電流供給用の補助電力貯蔵装置と、動力であるモータのモータロックを検出する過負荷検出回路と、過負荷検出回路の過負荷検出出力を受けてモータへの電力供給を燃料電池スタックから上記補助電力貯蔵装置に切り換えるとともに過負荷状態が続く時には所定時間後にモータへの電力供給を全遮断し且つ所定時間内に過負荷状態が解消された時には燃料電池からの電力供給に再度切り換える制御回路とを備えていることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
燃料電池スタック及び補助電力貯蔵装置が電動工具の本体に本体に着脱自在な電源パックとして形成されるかもしくは本体内に内蔵されてコードレス型となっていることを特徴とする請求項1記載の電動工具。
【請求項3】
燃料電池スタック及び補助電力貯蔵装置が電動工具の本体から独立した電源部として設けられて、電源部と上記本体とが接続コードを介して接続されていることを特徴とする請求項1記載の電動工具。
【請求項4】
上記電源部はAC電源から電力供給を受けて電動工具側に送るAC電源部を備えていることを特徴とする請求項3記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を電源とする電動工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、燃料電池が各種器具の電源として注目されているが、燃料電池は通常の二次電池に比して最大出力密度が小さい。このために燃料電池を電動工具の電源として使用する場合は、次の点が問題となる。
【0003】
すなわち、電動工具では通常平均電流が25A程度のものでも、モータロック時には100Aほどの電流が流れることになる上に、電動工具としての特性上、モータロックはしばしば生じるものであることから、モータロックとなってもすぐに電源供給を停止するのではなく、1秒程度は電源供給を続けなくては、作業に支障が生じるものとなる。
【0004】
一方、通常の二次電池では上記モータロック時にも電圧降下が生じてしまうものの上記大電流を供給することができるのに対し、最大出力密度が小さい燃料電池は、図9のような電圧−電流特性を有している燃料電池は最大出力密度が小さく、しかも大電流が流れると損傷してしまう虞が高いものであり、このために燃料電池を電源とするものにおいてモータロックに対応するには、モータロック時の大電流を常時供給することができる定格100Aの極めて大きいものを用いなくてはならないことになる。
【0005】
ここにおいて、特許文献1には二次電池を併用して負荷への電力供給の一部を二次電池で補うことで、過負荷による燃料電池の損傷を防ぐことが示されているが、電動工具のモータロック時に対応することはできるものとはなっていない。
【特許文献1】特開2006−147588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、モータロック時にも適切に対応することができる上に、燃料電池として定格の大きいものを必要としない電動工具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明に係る電動工具は、酸素と水素を反応させて電気を発生する燃料電池スタックと、モータロック時の大電流供給用の補助電力貯蔵装置と、動力であるモータのモータロックを検出する過負荷検出回路と、過負荷検出回路の過負荷検出出力を受けてモータへの電力供給を燃料電池スタックから上記補助電力貯蔵装置に切り換えるとともに過負荷状態が続く時には所定時間後にモータへの電力供給を全遮断し且つ所定時間内に過負荷状態が解消された時には燃料電池からの電力供給に再度切り換える制御回路とを備えていることに特徴を有している。モータロック時の大電流は補助電力貯蔵装置から供給するようにしたものである。ここにおける補助電力貯蔵装置は、軽負荷時や非使用時に燃料電池から電力を受けて貯蔵する二次電池や電気二重層コンデンサなどを好適に用いることができる。
【0008】
そして燃料電池スタック及び補助電力貯蔵装置が電動工具の本体に本体に着脱自在な電源パックとして形成されるかもしくは本体内に内蔵されてコードレス型となっているものであっても、燃料電池スタック及び補助電力貯蔵装置が電動工具の本体から独立した電源部として設けられて、電源部と上記本体とが接続コードを介して接続されているものであってもよい。前者であれば利便性が良く、後者であれば大出力のものを得やすくなる。
【0009】
また、後者については、電源部がAC電源から電力供給を受けて電動工具側に送るAC電源部を備えているものであってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、モータロック時の大電流は燃料電池を切り離して補助電力貯蔵装置から供給するために、燃料電池はモータロック時の大電流ではなく、通常動作時の電流を供給することができるだけの小型のものでよく、また補助電力貯蔵装置としては大電流を所定時間を少し越える時間だけ供給できるものを用いればすむために、補助電力貯蔵装置が大型化を招いてしまうこともなく、このために燃料電池を電動工具に利用する場合の問題点を解消したものを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明すると、図1中の1はモータ10を内蔵した電動工具であり、そのグリップ部には電源パック2が着脱自在とされている。この電源パック2は、その内部に燃料電池スタック30と燃料タンク31、燃料タンク31内の燃料を燃料電池スタック30側に供給する燃料供給ポンプ32、酸素供給用のファン33とからなる燃料電池3と、電気二重層コンデンサからなる補助電力貯蔵装置4とを内蔵するとともに、過負荷検出回路21と制御回路20とを内蔵したもので、ここにおける補助電力貯蔵装置4は、モータロック時の大電流を少なくとも1秒以上供給することができるだけでの電力を貯蔵することができるものを用いている。
【0012】
そして上記制御回路20は、通常時は上記燃料電池3からの電力をモータに供給するとともに、補助電力貯蔵装置4に電力が貯蔵されていない時はこの補助電力貯蔵装置4に電力を供給して補助電力貯蔵装置4に電力を蓄えさせているが、過負荷検出回路21がモータロックを検出した時にはその検出出力を受けて燃料電池3からモータへの電力ラインを遮断して、補助電力貯蔵装置4からの電力をモータに供給するものであり、また、所定時間が経過した時点で補助電力貯蔵装置4からモータへの電力供給も遮断する。ただし、上記所定時間内にモータロックが解消されて過負荷が検出されなくなれば、燃料電池3からモータへ電力供給を行うことを再開する。なお、上記所定時間は、補助電力貯蔵装置4からモータロック状態の大電流をモータに供給し続けることができる時間よりも短い。図3に補助電力貯蔵装置4として用いている電気二重層コンデンサから定電流で放電した時の時間と電圧の関係を示す。
【0013】
図2は制御回路20内に過負荷検出回路21の機能を持たせたものにおける具体例を、図4に上記制御についてのフローチャートを示す。図2中の22は燃料電池3からモータMへの電力供給を遮断するためのスイッチ、23はモータMへの電力供給を完全に絶つためのスイッチであり、これらはいずれも制御回路20の出力で開閉されるスイッチング素子を用いている。また、図2中の34は燃料電池スタック30における酸素(空気)が供給されるカソード、35は電解膜、36は水素が供給されるアノードを示しており、燃料電池スタック30内には、これらで構成されるセルがセパレータ37を介して複数積層されている。なお、燃料電池3として、ここでは固体高分子型(PEFC)のものを例に上げているが、その他、ダイレクトメタノール型(DMFC)やダイレクトエタノール型(DEFC)のもの、水素貯蔵合金を用いたもの、水とアルミニウム粉を水素発生源としたもの等、その種類を限定するものではない。
【0014】
図5に他例を示す。これは電動工具1の本体内に燃料電池3や補助電力貯蔵装置4等を内蔵するとともに、ファン33を負荷であるモータMで駆動するようにしたものであり、ここでのファン33はモータMの冷却用も兼ねている。なお、燃料タンク31は燃料補給もしくは燃料タンク31そのものの交換時を考慮して、取り出しやすい箇所に配置してある。
【0015】
このものではファン33の駆動用の動力を別途必要としなくなるが、モータロック時にファン33が回転しないことから、ファン33にモータMの冷却も担わせている時にはモータMの発熱が大きく、燃料電池3も加熱されてしまうために、燃料電池3の発熱を抑える必要がある。このために過負荷検出回路における過負荷検出の閾値を下げるとともに、補助電力貯蔵装置4からの電力供給能力を大きくしなくてはならないが、ファン33用の専用モータを必要としないことによる小型化が補助電力貯蔵装置4の大型化に勝るために、全体として小型化を図ることができる。
【0016】
図6及び図7に示すものは、補助電力貯蔵装置4としてリチウム二次電池を用いるとともに燃料電池3及び補助電力貯蔵装置4を電動工具1の本体から独立した電源部として設けて、該電源部と電動工具1の本体とを接続15を介して接続したものを用いている。燃料電池3や補助電力貯蔵装置4として電動工具1の携帯性を考えずに大型のものを用いることができ、車輪を設けておけば移動の便も良くなる。図7に示すように、肩掛け用のベルト38を備えたものとしたり、使用者の腰のベルトに装着することができるものとしてもよい。いずれにしても、補助電力貯蔵装置4として大容量の二次電池を使用する場合、燃料電池3の燃料切れの場合、補助電力貯蔵装置4で電動工具1を駆動することができるようにしておくことが望ましい。
【0017】
図8に別の例を示す。これは燃料電池3と補助電力貯蔵装置4に加えて、整流回路及びDCC/DCコンバータからなるAC電源部6を備えたものであり、AC電源に接続されている時にはAC電源部6の出力を検知して制御回路20がスイッチ22を遮断すると同時にスイッチ24を接続してAC電源からの電力でモータMの駆動を行う。この場合、AC電源部6からの電力で補助電力貯蔵装置4への電力貯蔵も行えるようにしておくことが望ましい。なお、AC電源部6からの直流出力を直接モータMに供給できるようにしているが、二次電池である補助電力貯蔵装置4を介してモータMに供給するようにしたもの、たとえば二次電池である補助電力貯蔵装置4の充電器をAC100V入力のタイプで構成したものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の一例のブロック図である。
【図2】同上の回路図である。
【図3】同上の補助電力貯蔵装置である電気二重層コンデンサの特性図である。
【図4】同上の制御についてのフローチャートである。
【図5】他例のブロック図である。
【図6】更に他例のブロック図である。
【図7】同上の別の例のブロック図である。
【図8】他の例の回路図である。
【図9】燃料電池の特性図である。
【符号の説明】
【0019】
1 電動工具
2 電池パック
3 燃料電池
4 補助電力貯蔵装置
20 制御回路
21 過負荷検出回路
30 燃料電池スタック
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年11月27日(2006.11.27)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−132551(P2008−132551A)
【公開日】 平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願番号】 特願2006−319236(P2006−319236)