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【発明の名称】 携帯用電動工具
【発明者】 【氏名】寺西 卓也

【氏名】田所 直樹

【要約】 【課題】粉塵や鉄粉等が侵入し難い防塵性能に優れた電動工具を提供する。

【解決手段】マグネット10cの前後端における内周面と、通気口の縁とを最短距離で結ぶ線分上に、二つ割ハウジング1の内側リブ形状の一部としてアマチュアの外周を覆う遮蔽形状17、18を設けた
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭である樹脂製の二つ割ハウジングと、
該二つ割ハウジングに収容され強磁性体からなるヨークと、
該ヨークの内周に設けられるマグネットと、
該マグネットの内周との間に隙間をもって該二つ割ハウジングに回転可能に支持されるアマチュアと、
該アマチュアに巻かれたコイルと、
該アマチュアの該ヨークよりも後方に設けられ該コイルに繋がる整流子と、
該整流子に対して摺動可能に当接するカーボンブラシと、
該アマチュアの該ヨークよりも前方に設けられるファンと、
該二つ割ハウジングの該整流子近傍及び該ファン近傍に設けられる通気口と、
を有する電動工具において、
該マグネットの前後端における内周面と、該通気口の縁とを最短距離で結ぶ線分上に、該二つ割ハウジングの内側リブ形状の一部として該アマチュアの外周を覆う遮蔽形状を設けたことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
該遮蔽形状の最狭寸法が該アマチュアのコア部外径よりも小さくしたことを特徴とする請求項1記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具のモータ内部への粉塵の侵入を防ぐ技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電動工具の出力を大きくするために、モータに流す電流をより大きくする傾向がある。その結果、モータの発熱が大きくなるが、その発熱を抑えるために冷却効率を向上させる技術が開発されている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、電動工具の出力を大きくするために、モータのマグネットをより高いエネルギー密度を持つものにする傾向がある。その結果、磁束の漏れが大きくなり、鉄粉が侵入しやすくなるが、その侵入を抑えるために磁束の漏れを小さくする技術が開発されている(例えば特許文献2)。
【0004】
また、冷却のために設けられたファン近傍の通気口からの鉄粉の侵入を抑える技術が開発されている(例えば特許文献3)。
【0005】
特許文献1には次の記載がある。従来の電動工具ではアマチュアが早期に焼損するという問題がある。この問題に対して、カーボンブラシ部とアマチュアのコイルエンドとの間に、コイルエンド沿った形状の金属性の放熱板を設け、放熱板とアマチュアとの間に風路を形成することで、熱源であるコイルエンドに流速の速い冷却風を流すことができ、温度上昇を抑えることができる。また、この放熱板をマグネットで励磁されたステータに吸着させて保持することで、冷却風といっしょに鉄粉が侵入した場合には、鉄粉が励磁された放熱板に吸着されるので、モータの動作を安定させることができる。
【0006】
特許文献2には次の記載がある。近年、電動工具をコンパクトにするため、ステータヨークの外径を制限している。しかし、ステータヨークの外径が制限されると、磁束の通路が制限されるため、ステータヨークの外径及び磁石の側端面から磁束が漏れるという問題がある。この問題に対して、鉄輪を軸方向に伸ばすことで解決するという方法があるが、それでは電動工具の全長が長くなってしまう。ステータヨーク及び磁石の両側の端面に鉄の部材を設けることで、磁束が鉄の部材に流れ込み、磁束の漏れを小さくできる。また、鉄の部材に冷却風が吹きつけるので、放熱性が向上する。
【0007】
特許文献3には次の記載がある。冷却のために設けられたファン近傍の通気口は、他の部分の通気口に比べて大きく開口するように設定されることが多い。そのため、そこから粉塵が侵入しやすく、磁石とアマチュアとの隙間に鉄粉が侵入する余地がある為、遮蔽部材をファン近傍の通気口にも設けることで、粉塵や鉄粉の侵入を抑える。また、遮蔽部材はマグネットとは当接しないので、強く励磁されることがなく、遮蔽部材が必要以上に多くの鉄粉を引き寄せることもない。
【0008】
【特許文献1】特開2002−254337号公報
【特許文献2】特開2004−80969号公報
【特許文献3】特開2005−297120号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
粉塵や鉄粉の多い場所に電動工具を置くと、粉塵や鉄粉が舞い上がり、粉塵や鉄粉が、通気口から磁石とアマチュアとの隙間に侵入することにより、モータの動作が不安定になることがある。特に、冷却のために設けられたファン近傍の通気口は、他の部分の通気口に比べて大きく開口するように設定されることが多いため、そこから粉塵や鉄粉が侵入しやすい。特許文献1乃至3の構成では、磁石とアマチュアとの隙間に粉塵や鉄粉が侵入する余地がある。本発明の目的は、従来の技術をさらに改善し、より粉塵や鉄粉が侵入し難い防塵性能に優れた電動工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、外郭である樹脂製の二つ割ハウジングと、二つ割ハウジングに収容され強磁性体からなるヨークと、ヨークの内周に設けられるマグネットと、マグネットの内周との間に隙間をもって二つ割ハウジングに回転可能に支持されるアマチュアと、アマチュアに巻かれたコイルと、アマチュアのヨークよりも後方に設けられコイルに繋がる整流子と、整流子に対して摺動可能に当接するカーボンブラシと、アマチュアのヨークよりも前方に設けられるファンと、二つ割ハウジングの整流子近傍及びファン近傍に設けられる通気口と、を有する電動工具において、マグネットの前後端における内周面と、通気口の縁とを最短距離で結ぶ線分上に、二つ割ハウジングの内側リブ形状の一部としてアマチュアの外周を覆う遮蔽形状を設けたことにより達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アマチュアの外周を覆う遮蔽形状を設けたことにより、マグネットとアマチュアとの間の隙間に、鉄粉等の粉塵が侵入し難くなる。従って、防塵性能に優れた電動工具を提供することができる。
【0012】
また、本発明によれば、略円筒状部品を二つ割ハウジングと一体化することにより部品点数を削減することができる。従って、低コストな電動工具を提供することができる。
【0013】
また、本発明によれば、略円筒状部付近にて、流路の断面積が小さくなるため、流速が速くなり、アマチュアが効果的に冷却される。従って、冷却性能に優れた電動工具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
電動工具の一例として、インパクトドライバに本発明を適用した場合の実施の形態について説明する。
【0015】
インパクトドライバの概要について、図1を用いて説明する。
【0016】
インパクトドライバは、外郭を形成する樹脂製の二つ割ハウジング1と、樹脂製の二つ割ハウジング1に繋がる電源コード2と、電源コード2から供給される電力により回転するモータ3と、モータ3への電力の供給・停止を制御するスイッチ4と、モータ3の回転を伝達する減速機構部5と、減速機構部5から伝達される回転力によって間欠的な衝撃トルクを発生させるインパクト機構部6と、インパクト機構部6の前方に設けられる先端工具保持部であるアンビル7と、アンビル7の先端に着脱自在に取り付けられる先端工具である図示せぬビットとからなる。
【0017】
モータ3について、図1及び図2を用いて説明する。
【0018】
モータ3は、略円筒形状のヨーク10aと、ヨーク10aの内周に周方向に隙間をもって固着される2つのマグネット10cとを有するマグネットクミ10と、マグネット10cの内側に径方向に隙間10bをもって挿通されるアマチュア11と、アマチュア11に固着される遠心ファン12とを有する。マグネットクミ10及びアマチュア11は、二つ割ハウジング1に収容される。遠心ファン12は、二つ割ハウジング1内に形成されるファン室12fに収容される。
【0019】
またモータ3は、カーボンブラシ13とCBブロック14を有する。カーボンブラシ13は、アマチュア11に設けられた整流子11a側に押圧され、整流を行う。CBブロック14は樹脂製で略環状に形成され、中央の図示せぬ穴にアマチュア11が挿通される。CBブロック14は、CBチューブ15と、CBキャップ16と、図示せぬリ−ドワイヤを保持している。CBチューブ15は、金属性の薄板をプレス加工して形成され、カーボンブラシ13を摺動可能に保持する。CBキャップ15aは樹脂製で、CBブロック14に螺合し、カーボンブラシ13の抜け止めとなる。
【0020】
第1の遮蔽部材17及び第2の遮蔽部材18について、図2及び図3を用いて説明する。
【0021】
ヨーク10aの前端(図2及び図3の10a右端)には、第1の遮蔽部材17が設けられ、ヨーク10aの後端(図2及び図3の10a左端)には、第2の遮蔽部材18が設けられる。
【0022】
第1の遮蔽部材17及び第2の遮蔽部材18は、二つ割ハウジング1の内側リブ形状の一部として略円筒形状のヨーク10aが前側方向(図2及び図3の右側方向)及び後側方向(図2及び図3の左側方向)へ移動するのを抑止する。
【0023】
また、遮蔽部材17の内径が先端(図2乃至図3の上方)に行くほど小さくなる略円筒状部17a及び18aとすることにより、略円筒形状のヨーク10a端面部の開口面積を抑制したことによる効果について以下に説明する。
【0024】
遮蔽部材17及び18が遠心ファン12近傍の通気口に近い位置に設けられ、アマチュア11の外周を覆うことができる。そのため、遠心ファン12を具備したアマチュア11が回転中の場合、或いは、マチュア11停止時に吐き出し側風窓19より異物が混入してもマグネット10cとアマチュア11との間の隙間に鉄粉等の粉塵が侵入し難くなる。
【0025】
また、遮蔽部材17及び18は樹脂製の二つ割ハウジング1の一部分であり、マグネット10cにより強く励磁されることがなく、遮蔽部材17及び18が必要以上に多くの鉄粉を引き寄せることもない。
【0026】
また、内径が前方に行くほど小さくなる略円筒状部17a及び18aを二つ割ハウジング1の内側リブ形状の一部としたことによる効果について以下に説明する。
【0027】
図4に示す様に、先端に行くほど内径が小さくなる略円筒状部品17a及び18aをヨーク10a端面に配設した場合、略円筒状部品17aの組込方法を考慮すると、略円筒状部17aの最狭部径D1とアマチュア11のコア部外径D2の関係はD1>D2、或いは、略円筒状部17aの最狭部径D1と遠心ファン1の部外径D3の関係はD1>D3の一方を満たさなければ、遠心ファン1とヨーク10aの間に略円筒状部品17aが収まるのは不可能である。
【0028】
一方、内径が先端に行くほど小さくなる略円筒状部17a及び18aを二つ割ハウジング1の内側リブ形状の一部とした場合、二つ割ハウジング1にて側面側より二分割された略円筒状部17a及び18aを挟み込む様にして一体物の略円筒状部17a及び18aが形成できることより、略円筒状部17aの最狭部径D1をアマチュア11のコア部外径D2、或いは、遠心ファン1の部外径D3に支配されることなく、略円筒状部17aを形成することが可能となる。
【0029】
上記構造を用いることにより、異物混入を抑制することができる。さらに、略円筒状部17a付近にて、流路の断面積が小さくなるため、流速が速くなる。従って、アマチュア11が効果的に冷却される。
【0030】
また、内径が先端に行くほど小さくなる略円筒状部17a及び18aを二つ割ハウジング1の内側リブ形状の一部とすることにより部品点数の削減を図ることができる。
【0031】
なお、略円筒状部17a及び18aは、図2に示すように直線的な勾配で形成されてもよいし、図3に示すように先端に行くに従い勾配が急になるように形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係るインパクトドライバの側面側断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るインパクトドライバの側面側部分断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るインパクトドライバの側面側部分断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るインパクトドライバの側面側部分断面図。
【符号の説明】
【0033】
二つ割ハウジング1、電源コード2、モータ3、スイッチ4、減速機構部5、
インパクト機構部6、アンビル7、マグネットクミ10、ヨーク10a、隙間10b、
マグネット10c、アマチュア11、整流子11a、ファン12、ファン室12f、
カーボンブラシ13、CBブロック14、CBチューブ15、CBキャップ16、
遮蔽部材17、略円筒状部17a、遮蔽部材18、略円筒状部18a、吐き出し側風窓19
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年11月17日(2006.11.17)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−126343(P2008−126343A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−312138(P2006−312138)