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【発明の名称】 電動工具および支持帯
【発明者】 【氏名】伴 孝則

【氏名】小鯛 富雄

【要約】 【課題】運搬および取り扱いに優れた電動工具を提供すること。

【解決手段】電動工具10は、工具本体11と、バッテリ部12と、支持帯13とを有している。工具本体11は、電動モータ21が収納される胴体部20と胴体部20より下方へと延設される把持部30とを備えており、バッテリ部12は工具本体11に取り付けられている。支持帯13は、一端に締結機構部16が設けられており、他端に第1係合フック14が設けられている。支持帯13の一端は、把持部30が胴体部20の下方に位置する状態において電動モータ21の出力軸が正面方向に向けられた電動工具10の重心位置を基準位置として、工具本体11の正面寄りに位置する胴体部20に支持帯13の一端を巻き付けた状態で締結機構部16により締着されており、支持帯13の他端は、第1係合フック14によって工具本体11の背面寄りの位置に取り付けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータが収納される胴体部と該胴体部より下方へと延設される把持部とを有する工具本体と、該工具本体に取り付けられるバッテリ部と、該工具本体を支持するための支持帯とを有する電動工具において、
前記把持部が前記胴体部の下方に位置する状態において前記電動モータの出力軸が正面方向に向けられた前記電動工具の重心位置を基準位置として、前記工具本体の正面寄りに位置する前記胴体部の一部に締結機構部を備えたに支持帯の一端を巻き付けて、該締結機構部により当該支持帯の一端を前記胴体部の一部に締着させ、前記工具本体の背面寄りの位置に前記支持帯の他端を取り付けることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記支持帯の他端に第1係合フックが設けられ、
前記工具本体の背面寄りの位置に、前記第1係合フックに係合される第1被係合部が形成されること
を特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記支持帯は、帯の長さを調節するための調節機構部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記支持帯の一端に、第2係合フックが着脱可能に取り付けられ、
前記工具本体の背面寄りの位置に、前記第2係合フックに係合される第2被係合部が形成されること
を特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
電動工具の一部に巻き付けられた帯本体の一端を当該電動工具に締着させるための締結機構部が、前記帯本体の一端に設けられ、
前記電動工具に設けられた第1被係合部に係合される第1係合フックが、前記帯本体の他端に設けられること
を特徴とする支持帯。
【請求項6】
前記帯本体の一端に、第2係合フックが着脱可能に取り付けられること
を特徴とする請求項5に記載の支持帯。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータが収納される胴体部と該胴体部より下方へと延設される把持部とを有する工具本体と、該工具本体に取り付けられるバッテリ部とを備える電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンマードリルやインパクトレンチ等の電動工具を用いる建築作業は、通常、足場等が設けられた高所において行われることが多い。このため、図8(a)に示すように、一般的な電動工具1には、工具下端部にストラップ2が取り付けられている。通常、作業者は、電動工具1の落下を防止するために、ストラップ2を手首へ通した状態で電動工具1を保持して作業を行っている。
【0003】
しかしながら、梯子や足場等を登り降りする場合には、手首にストラップ2を掛けた状態で作業を行う必要があり、また、高所等の不安定な場所において作業を行う場合にも同様にして作業を行う必要があるため、作業効率が必ずしも好ましいものではないという問題があった。
【0004】
このため、ストラップ2の長さを長くし、肩から掛けるようにして電動工具1を用いる方法も考えられるが、一般的なストラップ2は、図8(a)に示すように、電動工具1の下端部に取り付けられているため、ストラップ2を長くして肩から掛けた状態で作業を行うと、図8(b)に示すように、電動工具1が振り子状に振られてしまって、電動工具1の先端部が作業者に接触してしまうおそれがあった。
【0005】
また、ストラップ2を長くしすぎると、電動工具1本体を持ち運ぶ際に、ストラップ2が建物建材や設置部材等に引っかかってしまうおそれがあり、また電動工具1を用いた作業中に、ストラップ2が作業の邪魔になってしまって作業効率の低下を招くおそれがあった。
【0006】
このため、例えば、工具本体内部にストラップ巻取機構を備え、ストラップの長さを必要に応じて変更することができる電動工具が提案されており(例えば、特許文献1参照)、また、ストラップを本体から取り外し可能に設けた電動工具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−199396公報(第8−10頁、第1図、第2図、第9図、第10図)
【特許文献2】特開2003−245877公報(第2−3頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、工具本体内部にストラップ巻き取り機構を備えた電動工具では、巻き取り機構が電動工具内部に設けられるため、工具本体の大きさが不要に大きくなってしまうと共に、工具の重量が増加してしまい、作業性が劣るという問題があった。
【0008】
また、ストラップを本体から取り外し可能に設けた電動工具では、フック保持用の軸部によってストラップが支持されているため、ストラップを外すためにはフックも一緒に外すことになり、作業中にストラップを着脱することが容易ではないという問題があった。
【0009】
一方で、電動工具は電動モータやバッテリ部を備えており、重量が重くなる傾向が強いので、ストラップのような1点支持により電動工具を保持するよりも、支持帯(例えば、肩掛けベルト等)を用いて2点支持により保持する方が安定した状態で電動工具を運搬することが可能となる。
【0010】
しかしながら、一般的な電動工具にはストラップ用の固定孔が1箇所しか設けられていないので、電動工具を2点支持により保持することが困難であった。このため、2点支持により電動工具を保持する場合には、針金等を工具本体に巻き付けて支持帯の一端を電動工具に固定する方法等が用いられており、支持帯の取り付けの困難性および針金等により支持帯が取り付けられた電動工具の操作性等の観点から、一般的な電動工具を2点支持によって好適に保持することが難しいという問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、運搬および取り扱いに優れた電動工具および電動工具運搬用の支持帯を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る電動工具は、電動モータが収納される胴体部と該胴体部より下方へと延設される把持部とを有する工具本体と、該工具本体に取り付けられるバッテリ部と、該工具本体を支持するための支持帯とを有する電動工具において、前記把持部が前記胴体部の下方に位置する状態において前記電動モータの出力軸が正面方向に向けられた前記電動工具の重心位置を基準位置として、前記工具本体の正面寄りに位置する前記胴体部の一部に締結機構部を備えたに支持帯の一端を巻き付けて、該締結機構部により当該支持帯の一端を前記胴体部の一部に締着させ、前記工具本体の背面寄りの位置に前記支持帯の他端を取り付けることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る電動工具は、前記支持帯の他端に第1係合フックが設けられ、前記工具本体の背面寄りの位置に、前記第1係合フックに係合される第1被係合部が形成されるものであってもよい。
【0014】
さらに、前記支持帯が、帯の長さを調節するための調節機構部を有するものであってもよい。
【0015】
また、前記支持帯の一端に、第2係合フックが着脱可能に取り付けられ、前記工具本体の背面寄りの位置に、前記第2係合フックに係合される第2被係合部が形成されるものであってもよい。
【0016】
また、本発明に係る支持帯は、電動工具の一部に巻き付けられた帯本体の一端を当該電動工具に締着させるための締結機構部が、前記帯本体の一端に設けられ、前記電動工具に設けられた第1被係合部に係合される第1係合フックが、前記帯本体の他端に設けられることを特徴とする。
【0017】
また、前記帯本体の一端には、第2係合フックが着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電動工具では、把持部が胴体部の下方に位置する状態において電動モータの出力軸が正面方向に向けられた電動工具の重心位置を基準位置として、工具本体の正面寄りの位置に電動工具を支える支持帯の一端が締着され、工具本体の背面寄りの位置に支持帯の他端が取り付けられるので、作業者が支持帯を肩等に掛けることによって容易に運搬等することが可能となる。
【0019】
特に、重心位置が支持帯の両端の取付位置の間に位置することとなるため、従来のように、ストラップの端部において電動工具が振り子状に振られてしまうことを防止することができ、電動工具の先端部が作業者等に接触してしまうことを防止することができる。
【0020】
また、重心位置が支持帯の両端の取付位置の間に位置することとなるため、運搬動作中に電動工具が安定した状態となり、運搬負担の軽減と、円滑な運搬処理の実現を図ることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明に係る電動工具および支持帯では、支持帯の一端に備えられた締結機構部によって、工具本体の正面寄りに位置する胴体部の一部に支持帯の一端を締着させることができるので、胴体部に針金等を巻き付けることなく支持帯の一端を工具本体の正面寄りの位置に取り付けることができ、支持帯で電動工具をバランス良く保持することが可能となる。
【0022】
また、支持帯の一端を締結機構部で胴体部の一部に締着させることによって支持帯を電動工具に取り付ける構造であるため、支持帯の一端を簡易に電動工具から着脱することが可能となる。
【0023】
さらに、支持帯の他端に第1係合フックが設けられ、工具本体の背面寄りの位置に第1被係合部が形成される場合には、支持帯の他端を簡易に電動工具から着脱することができる。このため、支持帯を必要としない場合に、支持帯を工具本体より簡単に取り外すことができるため、作業中に支持帯が建物建材や設置部材等に引っかかってしまったり、支持帯が作業の邪魔になってしまったりすることを防止することができる。
【0024】
また、支持帯に、帯の長さを調節するための調節機構部が設けられている場合には、調節機構部によって支持帯の長さを自由に変更することができるので、作業者の身長等に応じて最適な長さに支持帯を調整して運搬作業を行うことができる。さらに、帯長を短めにしておくことによって、支持帯が建物建材や設置部材等に引っかかってしまうことを防止することができ、さらに電動工具を用いた作業中に、支持帯が作業の邪魔になってしまって作業効率の低下を招くことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る電動工具として、ハンマードリルを用いる場合を説明する。
【0026】
図1は、ハンマードリルの斜視図を示した図であり、図2は、ハンマードリルの概略構成を示した側面図である。ハンマードリル10は、工具本体11と、バッテリ部12と、ベルト部(支持帯)13とを有している。
【0027】
ハンマードリル10の工具本体11は、モータ等が収納される胴体部20と、その後部より下方に延設される把持部30とを有している。
【0028】
胴体部20には、モータ(電動モータ)21と、モータ21の回転力を伝達する回転伝達部22と、モータ21の回転力を打撃力に変換する打撃機構部23とが収納されている。
【0029】
バッテリ部12は、モータ21に対して安定した電力を供給する役割を有しており、把持部30の正面寄り(前寄り)に位置するようにして、工具本体11に着脱可能に取り付けられている。
【0030】
回転伝達部22は、工具本体11の先端部に取り付けられる先端工具24を回転させるための機構を備えている。
【0031】
具体的には、モータ21の回転軸(出力軸)21aに圧入されたピニオン22a、ファーストギヤ22bを介して、中間軸22cが回動可能に連結されており、この中間軸22cの回転が、セカンドピニオン22dおよびシリンダ22eを介して先端工具24に伝達されて先端工具24の回転が行われる。
【0032】
一方で、打撃機構部23は、モータ21の回転力をピストン23aの往復運動に変換させ、ピストン23aの打撃力を先端工具24に伝達させるための機構を備えている。
【0033】
具体的には、中間軸22cに対してスプライン嵌合して軸方向に移動可能なクラッチ23bと、中間軸22c上に回転可能に遊合するレシプロベアリング23cとが、クラッチスプリング23dで付勢されて噛合する構造となっている。モータ21の回転軸21aが回転駆動を開始すると、この回転力が、クラッチ23bおよびレシプロベアリング23cの作用によってピストン23aの往復運動に変換され、この往復運動に伴って圧縮変動される空気室23eの空気バネを介して先端工具24に打撃力が伝達される。
【0034】
把持部30には、モータ21のON/OFF切替が行われる動作スイッチ31が設けられている。作業者は、この動作スイッチ31をON/OFFすることによって、モータ21の駆動開始・停止を行うことが可能となっている。
【0035】
工具本体11は、樹脂製のケーシング部材35によって筐体が形成されている。このケーシング部材35は、左右対称形状をなす一対の半割ケーシングによって構成されており、モータ21、回転伝達部22、打撃機構部23、動作スイッチ31の基部等は、半割ケーシングによって挟み込まれるようにしてケーシング部材35内部に固定収納される。
【0036】
胴体部20の先端工具24の基部近傍には、グリップ部25が設けられている。作業者は、一方の腕で把持部30を握り、他方の腕(把持部30を握る腕と反対の腕)でグリップ部25を握ることによって、電動工具1本体を安定した状態で保持することができ、工具使用時における工具本体11(および工具の先端に設けられる先端工具24)のブレを防止することが可能となっている。
【0037】
把持部30の後下端部には、ベルト部13の端部を取り付けるための固定孔(第1被係合部)32が形成されている。
【0038】
ベルト部13は、図3に示すように、帯状のベルト本体(帯本体)15と、両端部に取り付けられてベルト本体15の長さ調節を行う調節金具(調節機構部)16、調節金具(連結機構部)17と、調節金具17に連結されるフック(第1係合フック)14とを有している。
【0039】
調節金具16、17は、矩形状の枠金具16a、17aと枠金具16a、17aの中央に架設される中央金具16b、17bとにより「日」字状に形成されている。中央金具16b、17bは、枠金具16a、17aに対してスライド可能に取り付けられており、この中央金具16b、17bに対してベルト本体15の端部がそれぞれ固定されている。
【0040】
また、調節金具16、17は、図3に示すように、ベルト本体15が枠金具16a、17aの一端部19a、19cと中央金具16b、17bとの間に形成される第一開口37a、37bを通って調節金具16、17の上側へと導かれた後に、中央金具16b、17bの上側から枠金具16a、17aの他端部19b、19dと中央金具16b、17bとの間に形成される第二開口38a、38bを通って下側へと導かれるようにして、ベルト本体15に取り付けられている。
【0041】
このため、第一開口37a、37bから第二開口38a、38bへと抜けるベルト本体15を第二開口38a、38b方向(図3の矢印A、B方向)へと引っ張ることによって、ベルト本体15により形成される環状部分39a、39bが狭められることとなる。
【0042】
なお、ベルト部13の他端部側の環状部分39bには、ベルト部13の一端部側の環状部分39aとは異なり、環状部分39bに滑動可能に取り付けられるフック14が設けられている。フック14はベルト本体15の幅より幅広な矩形環状孔14cが形成された矩形環状金具14aと、矩形環状金具14aに取り付けられるフック本体部14bとを有しており、矩形環状金具14aの矩形環状孔14c内にベルト本体15が案内されている。
【0043】
調節金具17は調節機構部としての役割を有しており、調節金具17によりベルト部13の長さ調整を行うことが可能となっている。調節金具17によってベルト部13の長さ調節が行われた場合には、矩形環状孔14cの孔幅がベルト本体15よりも幅広となっているので、矩形環状金具14aを自由に移動させることができ、フック14をベルト本体15の環状部分39bの最下部へと移動(調節)することが容易となっている。
【0044】
フック14を、把持部30の後下端部に設けられる固定孔32に固定することによって、ベルト部13の他端部をハンマードリル10に取り付けることが可能となっている。
【0045】
一方で、調節金具16は締結機構部としての役割を有している。具体的に、ベルト部13の一端部に設けられる調節金具16を締結機構部として用いる場合について、図4を用いて説明を行う。図4は、ハンマードリル10のグリップ部25に、調節金具16(締結機構部)を用いてベルト部13を固定する方法を説明した図である。
【0046】
まず、調節金具16により形成されるベルト部13の環状部分39aに対し、グリップ部25を挿通させて、グリップ部25の根本部分(胴体部20側端部部分)にベルト本体15を案内させる。そして、ベルト本体15がグリップ部25の根本部分から動かないように注意を払いつつ、調節金具16のベルト本体15を前述した第一開口37aから第二開口38a方向(図4の矢印A方向)へと引っ張ることによって、ベルト本体15により形成される環状部分39aが狭められる。このようにして環状部分39aを狭めることによって、ベルト本体15がグリップ部25の外周に巻き付いた状態となり、さらにベルト部13を十分に引っ張ることによってベルト本体15の緩みが調節金具16により防止されることとなるので、ベルト本体15をグリップ部25の根本部分に締着させることが可能となる。
【0047】
図5は、把持部30が胴体部20の下方に位置する状態において、モータ21の回転軸(出力軸)21a先端側に位置する先端工具24が正面方向に向けられたハンマードリル10を示しており、ベルト部13の一端がグリップ部25に締着され、ベルト部13の他端がフック14によって把持部30の固定孔32に取り付けられた状態を示している。
【0048】
ハンマードリル10等の電動工具は、一般的にモータ21やバッテリ部12等の重量部品を備えており、その重心位置Gが把持部30よりも正面(前方)寄りの位置となる傾向があることから、作業者が把持部30のみを把持して電動工具を使用・運搬することは容易ではなかった。
【0049】
このため、図5に示すように先端工具24が正面方向に向けられた状態におけるハンマードリル10の重心位置Gを基準として、この重心位置Gよりも背面側寄り、つまり把持部30の後下部側の位置Bにベルト本体15の他端が位置するようにフック14でベルト部13をハンマードリル10に取り付け、さらに重心位置Gよりも正面側寄り、つまり先端工具24寄りの胴体部20の一部(例えば、グリップ部25)に、調節金具16(締結機構部)を用いてベルト部13の一端を取り付ける(締着させる)ことによって、2点支持により電動工具10を保持することができ、ベルト部13を肩等に掛けて電動工具10を容易に運搬することが可能となる。
【0050】
特に、重心位置Gがベルト部13の取付位置A、Bの間に位置することとなるため、従来のように、ストラップの端部において電動工具が振り子状に振られてしまうことを防止することができ、先端工具24が作業者等に接触してしまうことを防止することができる。また、重心位置Gがベルト部13の取付位置A、Bの間に位置することとなるため、運搬動作中に電動工具が安定した状態となり、運搬負担の軽減と、円滑な運搬処理の実現を図ることが可能となる。
【0051】
さらに、ベルト部13の他端部に設けられた調節金具17を用いてベルト本体15の長さを自由に変更することができるので、作業者の身長等に応じて最適な長さにベルト部13を調整して運搬作業を行うことができる。また、ベルト長を短めにしておくことによって、ベルト部13が建物建材や設置部材等に引っかかってしまうことを防止することができ、さらにハンマードリル10を用いた作業中に、ベルト部13が作業の邪魔になってしまって作業効率の低下を招くことを防止することができる。
【0052】
また、調節金具16(締結機構部)を緩めてベルト本体15の一端をグリップ部25から外し、さらに、フック14を固定孔32から取り外すことによって、ベルト部13を簡単にハンマードリル10から外すことができるので、ベルト部13が必要ない場合にはベルト部13を取り外してハンマードリル10を使用することができる。このため、ベルト部13が建物建材や設置部材等に引っかかってしまったり、ベルト部13が作業の邪魔になってしまったりすることを防止することができる。
【0053】
以上、ハンマードリル10を一例として用いて、本発明に係る電動工具を詳細に説明したが、本発明に係る電動工具は上述した実施形態に限定されるものではない。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0054】
例えば、上述した実施形態では、ベルト部13の一端が、胴体部20のグリップ部25に締着され、ベルト部13の他端が把持部30の後下端部位置(固定孔32)に固定される構成を説明したが、電動工具に対するベルト部13の両端部の取付位置はこの位置に限定されるものではない。
【0055】
上述したように、把持部30が胴体部20の下方に位置する状態とし、さらに、モータ21の先端工具24(モータ21の出力軸)を正面方向に向けた状態における電動工具の重心位置Gを基準位置として、工具本体11の正面寄りの位置にベルト部13の一端が取り付けられ、工具本体11の背面寄りの位置にベルト部13の他端が取り付けられていれば、本発明に係る電動工具の効果を奏することが可能である。このため、図6(a)に示すように、ベルト部13の一端を胴体部20のグリップ部25に締着させ、ベルト部13の他端を、フック14を用いて、胴体部20のモータ21寄り(後部寄り)の筐体上面位置Bに設けられた他の固定孔42に取り付ける構成としてもよい。
【0056】
図6(a)に示すようにしてベルト部13を電動工具に取り付ける場合であっても、ベルト部13の両端の取付位置A、Bの間に電動工具の重心位置Gが位置することとなるので、電動工具をベルト部13でバランス良く保持することが可能となる。
【0057】
さらに、図7(a)に示すように端部が重なり合わさった環状の金具41にフック本体部14bを取り付けたフック(第2係合フック)43を用意し、図7(b)に示すように、ベルト部13の一端に形成される環状部分39aに着脱可能に取り付ける構成としてもよい。
【0058】
このように、ベルト部13の一端にもフック43を取り付けることによって、重心位置Gより正面寄りの位置に固定孔(第2被係合部)44等が形成される電動工具に対して、図6(b)に示すように、フック43を固定孔44に係合させてベルト部13の一端を電動工具に取り付けることができるので、ベルト部13の着脱を簡易に行うことが可能となる。
【0059】
また、本実施形態においては、ベルト部13の端部をグリップ部25に締着させる場合について説明を行ったが、ベルト部13の端部を締着させる部分はグリップ部25に限定されるものではない。例えば、電動工具の先端部分(胴体部20の先端部分)にベルト本体15の環状部分39aを案内させて先端部分にベルト部13の端部を締着させることも可能である。このようにグリップ部25ではなく工具の先端部分にベルト部13の一端を締着させる場合であっても、ベルト部13の両端の取付位置の間に電動工具の重心位置Gが位置することとなるので、電動工具をベルト部13でバランス良く保持することが可能となる。
【0060】
特に、一般的な電動工具では、工具保持時、又は工具使用時の安定性等を考慮して、モータ21の回転軸21aを中心として左右の重量バランスが等しくなるように設計がなされている。このため、工具の先端部分にベルト部13の一端を締着させ、ベルト部13の他端を把持部30の後下端部(固定孔32)や胴体部20の後部寄りの筐体上面(固定孔42)等に取り付けることによって、ハンマードリル10等の重量のある電動工具をベルト部13で左右バランス良く支えることができ、電動工具を左右に傾けることなく安定した状態で運搬することが可能となる。
【0061】
また、本実施形態においては、電動工具としてハンマードリル10を例に用いて説明を行ったが、本発明に係る電動工具はハンマードリル10に限定されるものではなく、インパクトレンチ、振動ドリル、鉄筋結束機等の電動工具であってもよく、また、空圧釘打機、空圧インパクトドライバ等の空圧工具であってもよい。これらの工具のように、重量があって片手で運搬・取り扱いすることが容易でない工具に対して本発明と同様の構成を用いることによって、本発明において示した効果と同様の効果を奏することが可能となる。
【0062】
さらに、本実施形態においては、支持帯としてベルト部13を例として用い、ベルト状の帯によって電動工具を支持することを説明したが、支持帯はベルト状の帯に限定されるものではなく、ストラップのように帯幅が狭いものであったり、ベルト部13に比べて帯幅が広いものであってもよい。さらに支持帯の厚み等も特に限定されるものではない。支持帯がどのような厚み、幅を有するものであっても、その支持帯によって電動工具を2点支持により十分に支持することができ、作業者の運搬負担を軽減させることができるものであるならば、本発明の効果を奏することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】実施形態に係るハンマードリルを示した斜視図である。
【図2】実施形態に係るハンマードリルを示した側方断面図である。
【図3】実施形態に係るベルト部を示した斜視図である。
【図4】実施形態に係るハンマードリルのグリップ部に締結機構部を用いてベルト部を固定する方法を説明した図である。
【図5】実施形態に係るベルト部の両端の取付位置A、Bの間に電動工具の重心位置Gが位置するようにして、電動工具にベルト部を取り付けた例を示した側面図である。
【図6】実施形態に係るベルト部の両端の取付位置A、Bの間に電動工具の重心位置Gが位置するようにして、電動工具にベルト部を取り付けた他の例を示した側面図である。
【図7】(a)は端部が重なり合わさった環状の金具にフック本体部を取り付けたフックを示した斜視図であり、(b)は(a)に示したフックがベルト部の環状部分に取り付けられた状態を示した図である。
【図8】(a)は下端部にストラップが取り付けられた従来の電動工具を示しており、(b)肩等に掛けられる程度長くしたストラップが振り子状に振られてしまう様子を示している。
【符号の説明】
【0064】
1 …(従来の)電動工具
2 …ストラップ
10 …ハンマードリル
11 …工具本体
12 …バッテリ部
13 …ベルト部(支持帯)
14 …(ベルト部の他端に設けられる)フック(第1係合フック)
14a …(フックの)矩形環状金具
14b …(フックの)フック本体部
14c …(矩形環状金具の)矩形環状孔
15 …(ベルト部の)ベルト本体(帯本体)
16 …(ベルト部の)調節金具(連結機構部)
17 …(ベルト部の)調節金具(調節機構部)
16a、17a …(調節金具の)枠金具
16b、17b …(調節金具の)中央金具
19a、19c …(ベルト本体の)一端部
19b、19d …(ベルト本体の)他端部
20 …(ハンマードリルの)胴体部
21 …(ハンマードリルの)モータ(電動モータ)
21a …(モータの)回転軸
22 …回転伝達部
22a …ピニオン
22b …ファーストギヤ
22c …中間軸
22d …セカンドピニオン
22e …シリンダ
23 …打撃機構部
23a …ピストン
23b …クラッチ
23c …レシプロベアリング
23d …クラッチスプリング
23e …空気室
24 …先端工具
25 …(ハンマードリルの)グリップ部
30 …(ハンマードリルの)把持部
31 …動作スイッチ
32 …(胴体部の)固定孔(第1被係合部)
35 …ケーシング部材
37a、37b …(矩形環状金具の)第一開口
38a、38b …(矩形環状金具の)第二開口
39a、39b …(ベルト本体の)環状部分
41 …(フックの)環状の金具
42 …(胴体部後部上面に設けられる)固定孔
43 …フック(第2係合フック)
44 …(胴体部前部上面に設けられる)固定孔(第2被係合部)
A、B …(ベルト部の)取付位置
G …(電動工具の)重心位置

【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【出願日】 平成18年11月9日(2006.11.9)
【代理人】 【識別番号】100118094
【弁理士】
【氏名又は名称】殿元 基城


【公開番号】 特開2008−119765(P2008−119765A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2006−303682(P2006−303682)