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【発明の名称】 エアモータの回転数制限装置
【発明者】 【氏名】井田 勝啓

【要約】 【課題】簡素な作業で組み立てることのできるエアモータの回転数制限装置を提供する。

【解決手段】軸部および軸部の一端に形成された凹部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアモータを備えた工具のエア供給路に配されるエアモータの回転数制限装置であって、
エアモータと同軸上に配された軸部および軸部の一端に形成された凹部のあるフランジを有し、エアモータと一体に回転する回転体と、
フランジの中心部分から半径方向にかつフランジの凹部表面に沿って伸びる傾動部、傾動部の外側端部から軸方向に伸びる支持部および支持部先端の径方向に伸びる本体部を有する複数のおもりと、
一端閉塞壁が傾動部内面に当接して配された筒状弁体と、
筒状弁体内に配された弾性部材と、
弾性体、弁体の一端閉塞壁、回転体を貫通するとともに回転体の軸部から突出した軸部および筒状弁体内に位置する頭部を有し、頭部が筒状弁体の一端側壁と協働して弾性体を圧縮するボルト状締結部材と、
締結部材の軸部における回転体から突出した部分に嵌め合わされた抜け止め部材とを備え、
回転体の回転数が所定の値を超えると、おもりが弾性体に抗ってフランジの半径方向外側に振れることによりおもりの傾動部が傾いて筒状弁体をフランジから離れる方向に移動させる、エアモータの回転数制限装置。
【請求項2】
回転体のフランジに、おもりの傾動部を嵌める篏入凹部が形成されている請求項1記載の、エアモータの回転数制限装置。
【請求項3】
嵌入凹部とおもりの支持部とに互いに当接する支持面が形成され、
両支持面が、おもりがフランジの半径方向外側に振れるのに適した曲面をなす、請求項2記載のエアモータ
の回転数制限装置。
【請求項4】
抜け止め部材が、プッシュナットである、請求項1〜3に記載のエアモータの回転数制限装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、エアモータを備えたエア工具のエア供給路に配されるエアモータの回転数制限装置に関する。
【背景技術】
【0002】
グラインダなどのエアツールで、主としてエアモータのオーバースピードを防止するためにエアモータの回転数制限装置が用いられている。この種の回転数制限装置として、エアモータと一体に回転する回転体と、回転体にピンを介して取り付けられて回転体の回転による遠心力により半径方向外側に振れるおもりと、一端面がおもりに接するとともに軸方向に進退自在に配された筒状弁体と、筒状弁体を貫通し頭部が筒状弁体内に位置したボルトと、ボルト先端に嵌め合わされたナットと、筒状弁体内におけるボルト軸部の周囲に位置して弁体をおもり側に付勢するばねとを備えたものがある。
【0003】
そして、エアツール内に、筒状弁体の端面とエアツール内の給気通路の弁座とが対向する様に回転数制限装置が配されている。
この回転数制限装置では、回転体が回転して所定の回転数を超えると、おもりがばねの付勢力に抗って半径方向外側に振れる。おもりが外側に振れるとばねによっておもり側に付勢されていた筒状弁体が弁座側に移動して弁座と弁体との間隔が減少し、エアモータの回転数が低くなる。
特許文献1の従来技術には、この種回転数制限装置の基本構造が示され、実施例にはこの種回転数制限装置に改良を加えて安定した動作を保証するようにしたものが記載されている。
【特許文献1】特開2001−9695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の回転数制限装置では、おもりはピンによって回転体に取り付けられているため、回転体およびおもりにはピンを貫通させる孔を開けるという作業が必要である。また当然のことながらおもりをピンによって回転体に取り付けるという作業が生じるが、ピンは手で扱うには小さく取り付け作業は一般に困難なものとなる。
本発明は、上記の問題を解決することを課題とし、従来に比べて簡素な作業で組み立てることのできるエアモータの回転数制限装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のエアモータの回転数制限装置は、
エアモータを備えた工具のエア供給路に配されるエアモータの回転数制限装置であって、エアモータと同軸上に配された中心貫通孔を設けた軸部および軸部の一端に形成された凹部のあるフランジを有し、エアモータと一体に回転する回転体と、フランジの中心部分から半径方向にかつフランジの凹部表面に沿って伸びる傾動部、傾動部の外側端部から軸方向に伸びる支持部および支持部先端の径方向に伸びる本体部を有する複数のおもりと、一端閉塞壁が傾動部内面に当接して配された筒状弁体と、筒状弁体内に配された弾性部材と、弾性体、弁体の一端閉塞壁、回転体を貫通するとともに回転体の軸部から突出した軸部および筒状弁体内に位置する頭部を有し、頭部が筒状弁体の一端閉塞壁と協働して弾性体を圧縮するボルト状締結部材と、締結部材の軸部における回転体から突出した部分に嵌め合わされた抜け止め部材とを備え、回転体の回転数が所定の値を超えると、おもりが弾性体に抗ってフランジの半径方向外側に振れることによりおもりが傾き、傾動部が筒状弁体をフランジから離れる方向に移動させる、ものである。
【0006】
上記回転数制限装置において、回転体のフランジに、おもりの傾動部を嵌める篏入凹部が形成されている、ことがある。
また、嵌入凹部とおもりの支持部とに互いに当接する支持面が形成され、
両支持面が、おもりがフランジの半径方向外側に振れるのに適した曲面をなす、こともある。
さらに、締結部材の軸部にプッシュナットがはめ込まれる溝が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明のエアモータの回転数制限装置においては、おもりの傾動部が回転体のフランジと筒状弁体によって挟まれているだけであり、おもりを回転体に取り付けるピンが必要でなく、おもりを回転体に取り付ける作業が楽である。また、回転体にピンを貫通させる孔を開けるという作業も必要でなくなる。
請求項2記載の回転数制限装置によれば、おもりの位置決めが容易になる。
請求項3記載の回転数制限装置によれば、おもりが滑らかに振れる。
請求項4記載の回転数制限装置によれば、プッシュナットが確実に位置決めされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態におけるエアモータの回転数制限装置を備えたグラインダ1について説明する。
グラインダ1は、複数の筒状部材により形成されるケーシング2と、ケーシング2内の中央やや前方寄りに配されたエアモータ3と、エアモータ3の駆動軸と直交し、かつケーシング2の前端から下方に突出したスピンドル4と、ケーシング2後部に配されたエア供給バルブ5とを備えている。
グラインダ1の各部構成は公知のものと変わりないが、以下に簡単に説明する。
スピンドル4の下端にはフランジ状部材4aが設けられている。さらに、スピンドル4の先端には雌ねじ孔4bが開けられ、砥石Tを狭持部材6とフランジ4aとで挟んだ状態で雌ねじ孔4bにボルト7を嵌め合わすことで砥石Tをスピンドル4に取り付けている。
【0009】
エア供給バルブ5は、ばね5aによってケーシング2内の給気孔2aにボール5bを押しつけて給気孔2aを閉じ、ボール5bをピン5cで動かすことにより給気孔2aを開くものであり、公知の構成を有する。
ケーシング2内のエア供給バルブ5とエアモータ3との間には、エアモータの回転数制限装置10が配されている。回転数制限装置10は、後に詳しく述べる筒状弁体13の大径部13bが、ケーシング2内のエア吸気孔2aの弁座2bと対向するように配されている。
【0010】
回転数制限装置10は、雄ねじが形成された軸部11aおよび軸部11aの端部に形成されたフランジ11bを有する回転体11を備えている。回転体11には軸部11aおよびフランジ11bを貫通する貫通孔11cが開けられている。軸部11aは、エアモータ3の駆動軸後端部に形成された雌ねじ孔に嵌め合わされて、回転体11とエアモータ3の駆動軸とが一体に回転するようになっている。
貫通孔11cのフランジ11b側部分は他部に比して大径の凹部11dとなっている。
フランジ11bには凹部11dの縁部から半径方向に伸びる4つの篏入凹部11eが形成されている。篏入凹部11eは凹部11dから半径方向に伸びる二つの側面と両側面を結ぶ端面11fとにより囲まれている。そして、篏入凹部11eの端面11fの開口縁部は、外側に向かって開く曲面となっている。
【0011】
各篏入凹部11eには、おもり12が嵌められている。おもり12は、篏入凹部11eおよび凹部11dに嵌められる傾動部12aと、傾動部12aの外側端部から伸びる支持部12bと、支持部12b先端に設けられた本体部12cとよりなる。ところでおもり12は、端面11fに当接した状態を維持して傾く。おもり12が滑らかに傾くように、支持部12bの端面11fに接する部分は、端面11fの曲面と同じく曲面となっている。
【0012】
本体部12cの体積は、傾動部12aと支持部12bとの合計体積より大きくなっている。さらに、本体部12cの外縁部はフランジ11bから半径方向外側に突出している。
そして、一端が閉塞された筒状弁体13の一端閉塞壁13aでおもり12の傾動部12aを押えるように、筒状弁体13が配されている。筒状弁体13は、他端側の径が他部の径より大きくなっている。以下、この部分を大径部13b
と呼ぶ。そして、筒状弁体13内にはコイルスプリング14 が配されている。
【0013】
これら回転体11、おもり12および筒状弁体13は、頭部15aおよび軸部15bからなるボルト状の締結部材15と、軸部15bに形成された溝15cに嵌められたプッシュナット16により以下に述べるようにして一体に組み付けられている。締結部材15は全体としてボルト状をなしているが軸部15bには雄ねじは形成されていない。
締結部材15の軸部15bが、このコイルスプリング14、筒状弁体13の一端閉塞壁13aおよび回転体11を貫通した状態で溝15cにプッシュナット16が嵌っている。そして締結部材15の頭部15aは筒状弁体13内に位置し、筒状弁体13の一端閉塞壁13aと頭部15aとの間にコイルスプリング14が位置している。
【0014】
なお、溝15cから頭部15aまでの長さは、頭部15aと筒状弁体13の一端閉塞壁13aとでコイルスプリング14を適切に圧縮しうる長さとなっている。そして、一体に組み付けられた状態ではコイルスプリング14によって筒状弁体13がおもり12の傾動部12aに押しつけられている。筒状弁体13が傾動部12aに押しつけられた状態では、傾動部12aはフランジ11b表面に当接し、支持部12bが凹部11eの端面11fに沿った状態となっている。
上記の様な構成を有する回転数制限装置は、グラインダ1のケーシング2内に、筒状弁体13の他端部が、ケーシング2内部のエア給気口2aの弁座2bと対向する様に配されている。
【0015】
上記の様な構成を有する回転数制限装置10は、以下のようにして組み立てることができる。まず、回転体11のフランジの凹部11d、篏入凹部11eにおもり12の傾動部12aを嵌める。一方、筒状弁体13内にコイルスプリング14を入れる。そして、回転体11と筒状弁体13とが同軸上に位置するようにかつ筒状弁体13の一端閉塞壁がおもり12の傾動部12内面側に当接するようする。
ついで、締結部材15の軸部15bが、コイルスプリング14、筒状弁体13の一端閉塞壁13a、回転体11を貫通するように、かつ頭部15aが筒状弁体13内に位置するように締結部材15を回転体11に組み付ける。最後に締結部材15の軸部15bの先端にプッシュナット16を組み付ける。
【0016】
これをエアモータ軸後端にねじ込み固定する。なお、プッシュナット16の代わりにOリング、Cリングを用いたり、ナットでネジ止めするようにしてもよい。
この回転数制限装置10は、以下に述べるようにして動作する。
グラインダ1にエアが供給されると、エアモータ3が回転するが、エアモータ3の回転数が所定の回転数を超えて回転による遠心力がコイルスプリング14の付勢力を上回ると、おもり12の本体部12cがフランジ11bの半径方向外側に振れる。本体部12cが半径方向外側に振れると、おもり12の傾動部12a半径方向内側端部が、篏入凹部端面11fとの当接部を支点として、フランジ11bから離れるように傾く。おもり12が外側に振れるさいは、支持部12bと篏入凹部11eとの接触部分が互いに適合した曲面をなし、この曲面がおもりが12が外側に振れるのに適した形状となっており、おもり12は滑らかに外側に振れる。
【0017】
筒状弁体13は、傾動部12aが傾いてフランジ11bから離れた分だけスプリング14に抗って軸方向に移動する。筒状弁体13が移動すると、弁体13の他端大径部13bと弁座2bとの間隔が小さくなるのでエアモータ3に供給される空気の供給量が減少して回転が抑えられ、回転数が所定の値に保たれる。
【0018】
上記実施形態では4つのおもり12を使用しているが、おもり12の数は4つに限られず、例えば2つのおもり12を使用しても良い。おもり12の数を減らすことでエアモータ3の最高回転数を高く設定することができる。また、おもりの数を例えば6つにしてもよい。あるいは本体部の重さの異なるおもりを用いて設定回転数を変えることもできる。
なお、本発明のエアモータの回転数制限装置は上記実施形態のものには限られず、適宜変更自在である。例えば、篏入凹部11eの端面11fの一部が曲面とされ、支持部12bに前記曲面と対応した曲面が形成されている。しかしながら、端面11fの一部を必ずしも曲面にする必要はなく、端面は平面状であっても良い。この場合支持部11fには曲面を形成しても形成しなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態の回転数制限装置が適用されたグラインダの断面図である。
【図2】回転数制限装置の断面図である。
【図3】(a)は回転体の断面図、(b)は図3(a)中の矢視図である。
【図4】おもりの側面図である。
【図5】筒状弁体の断面図である。
【図6】締結部材の側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 グラインダ
2 ケーシング
2a エア給気口
2b 弁座
3 エアモータ
4 スピンドル
4a フランジ
4b 雌ねじ孔
5 エア供給バルブ
5a ばね
5b ボール
5c ピン
6 狭持部材
10 回転数制限装置
11 回転体
11a 軸部
11b フランジ
11c 貫通孔
11d 凹部
11e 篏入凹部
11f 端面
12 おもり
12a 傾動部
12b 支持部
12c 本体部
13 筒状弁体
13a 一端閉塞壁
13b 大径部
14 コイルスプリング
15 締結部材
15a 頭部
15b 軸部
16 プッシュナット




【出願人】 【識別番号】000229450
【氏名又は名称】日本ニューマチック工業株式会社
【出願日】 平成18年9月27日(2006.9.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−80425(P2008−80425A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2006−261770(P2006−261770)