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【発明の名称】 電動工具
【発明者】 【氏名】船橋 一彦

【氏名】渡部 伸二

【氏名】中山 栄二

【要約】 【課題】電動工具、特に、電池パックの過電流、過放電を防止する電動工具を提供する。

【構成】電動工具1は、電池組51の過電流を検知し検知信号を出力する過電流検出部533と、電池組51の過放電を検知し検知信号を出力する過放電検出手段532とを備えた電池パック5と接続される。電動工具1は、電池パック5から供給される電力によって駆動されるモータ2と、任意に電池パック5からモータ2への電力の供給をオン・オフするためのトリガスイッチ31と、過電流検出部533又は過放電検出手段532からの検知信号に基づきモータ2への電力の供給をオン・オフするFET410とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池と、前記電池の過電流又は過放電を検知し検知信号を出力する電池状態監視手段とを備えた電池パックと接続される電動工具であって、
前記電池から供給される電力によって駆動される駆動部と、
任意に前記電池から前記駆動部への電力の供給をオン・オフするための第1のスイッチ手段と、
前記検知信号に基づき前記駆動部への電力の供給をオン・オフする第2のスイッチ手段とを備えたことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記第1のスイッチ手段がオンされている状態で前記第2のスイッチ手段によって前記駆動部への電力の供給が遮断された場合、前記第1のスイッチ手段がオンされている間は、前記第2のスイッチ手段による前記駆動部への電力の供給の遮断状態を維持する維持手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記第2のスイッチ手段をオンするための第1信号を出力する第1信号出力手段と、
前記第2のスイッチ手段をオフするための第2信号を出力する第2信号出力手段とを備え、
前記第1のスイッチ手段がオンされている状態で前記電池と前記駆動部とが接続された場合には、前記第2信号が、前記第2のスイッチ手段に入力されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記第1信号出力手段は抵抗とコンデンサからなり、前記第2信号出力手段は少なくとも抵抗とコンデンサからなり、
前記抵抗と前記コンデンサによる時定数は、前記第1信号出力手段より前記第2信号出力手段の方が大きいことを特徴とする請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記第2のスイッチ手段の状態をユーザに知らせる報知手段を更に備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項6】
電池を備えた電池パックと接続される電動工具であって、
前記電池から供給される電力によって駆動される駆動部と、
任意に前記電池から前記駆動部への電力の供給をオン・オフするための第1のスイッチ手段と、
前記電池パックの状態に応じた検知信号に基づき前記駆動部への電力の供給をオン・オフする第2のスイッチ手段と、
前記電池から前記駆動部への電力の供給を許容するための第1検知信号を前記第2のスイッチ手段へ出力する第1信号出力手段と、
前記電池から前記駆動部への電力の供給を遮断するための第2検知信号を前記第2のスイッチ手段へ出力する第2信号出力手段とを備え、
前記第1のスイッチ手段がオンされている状態で前記電池と前記駆動部とが接続された場合には、前記第2検知信号が、前記第2のスイッチ手段に入力されることを特徴とする電動工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電動工具に関する。特に、電池パックの過電流、過放電を防止する電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電池パックからの電力の供給により作動することができるドライバーや丸のこ等のコードレス電動工具(以下、電動工具と称す)が知られている。このような電動工具を作動させるためには大きな電力が必要となるため、ニカド電池やニッケル水素電池に加え、近時、電池パックの充電池にはリチウムイオン電池が広く用いられている。
【0003】
リチウムイオン電池は、大きな電力を供給することができると共に小形・軽量化が図れるという利点がある一方で、過充電、過電流や過放電に対して電池の発火や寿命低下等に厳格に対処する必要がある。例えば、リチウムイオン電池は、過放電や負荷に過電流が流れると電池温度が上昇し寿命低下したり、電動工具のモータを故障させたり、また過充電すると発火することが考えられる。上記問題に対して、過電流及び過放電を検知した場合に、電動工具への電力の供給を遮断する遮断手段を備えた電池パックが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、遮断手段としてFETを備えている。
【特許文献1】特許第3222951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池パックには過電流や過放電を防止するために複数個のFETが遮断手段として設けられているものもあり、FETの許容最大電流以上の電流が電動工具に流れた場合にも、複数個のFETにより確実に電動工具への電力供給を遮断できるようになっている。また、電池パックは特定の電動工具に専用的に用いるのではなく、様々な種類の電動工具に共通して使用することができるようになっているものもある。そのため、使用する電動工具によっては電池パックに内蔵されている個数のFETでは過電流を遮断することができない場合がある。すなわち、電池パックに含まれるFETの個数が少なく、電池パックに接続される電動工具に流れる電流が大きい場合には、FETに過度の電流が流れ、FETが破損してしまう。逆に、電池パックのFETの個数が多く、電池パックに接続される電動工具に流れる電流が小さい場合には、FETが無駄になってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、過電流や過放電が生じた際に電流の流れを遮断する遮断手段を、必要な個数だけ備えた電動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の電動工具は、電池と、電池の過電流又は過放電を検知し検知信号を出力する電池状態監視手段とを備えた電池パックと接続される電動工具であって、電池から供給される電力によって駆動される駆動部と、任意に電池から駆動部への電力の供給をオン・オフするための第1のスイッチ手段と、検知信号に基づき駆動部への電力の供給をオン・オフする第2のスイッチ手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の電動工具は、第1のスイッチ手段がオンされている状態で第2のスイッチ手段による駆動部への電力の供給が遮断された場合、第1のスイッチ手段がオンされている間は、第2のスイッチ手段による駆動部への電力の供給の遮断状態を維持する維持手段を備えたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明の請求項3に記載の電動工具は、第2のスイッチ手段をオンするための第1信号を出力する第1信号出力手段と、第2のスイッチ手段をオフするための第2信号を出力する第2信号出力手段とを備え、第1のスイッチ手段がオンされている状態で電池と駆動部とが接続された場合には、第2信号が、第2のスイッチ手段に入力されることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の電動工具では、第1信号出力手段は抵抗とコンデンサからなり、第2信号出力手段は少なくとも抵抗とコンデンサからなり、抵抗とコンデンサによる時定数は、第1信号出力手段より第2信号出力手段の方が大きいことを特徴としている。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の電動工具は、第2のスイッチ手段の状態をユーザに知らせる報知手段を更に備えたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明の請求項6に記載の電動工具は、電池を備えた電池パックと接続される電動工具であって、電池から供給される電力によって駆動される駆動部と、任意に電池から駆動部への電力の供給をオン・オフするための第1のスイッチ手段と、電池パックの状態に応じた検知信号に基づき駆動部への電力の供給をオン・オフする第2のスイッチ手段と、電池から駆動部への電力の供給を許容するための第1検知信号を第2のスイッチ手段へ出力する第1信号出力手段と、電池から駆動部への電力の供給を遮断するための第2検知信号を第2のスイッチ手段へ出力する第2信号出力手段とを備え、第1のスイッチ手段がオンされている状態で電池と駆動部とが接続された場合には、第2検知信号が、第2のスイッチ手段に入力されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1に記載の電動工具によれば、検知信号に基づき駆動部への電力の供給をオン・オフする第2のスイッチ手段が、電池パックではなく、電動工具に設けられている。駆動部への電力の供給がオンされたときには、第2のスイッチ手段に電流が流れることとなるが、大電流が流れるような電動工具の場合には、第2のスイッチ手段を並列に複数備えて電流を分散させる必要がある。本発明の請求項1に記載の電動工具によれば、第2のスイッチ手段が電動工具に設けられていることにより、第2のスイッチ手段を、その電動工具が必要とする電流に応じて必要な数だけ備えれば良い。これにより、第2のスイッチ手段が少ないことにより1個当たりの第2のスイッチ手段への電流量が過多となって第2のスイッチ手段が故障することを防止することができる。また、不必要な第2のスイッチ手段を備える必要がないのでコストを下げることができる。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載の電動工具によれば、第1のスイッチ手段がオンされている状態で第2のスイッチ手段による駆動部への電力の供給が遮断された場合、第1のスイッチ手段がオンされている間は、第2のスイッチ手段による駆動部への電力の供給の遮断状態を維持する維持手段を備えているため、電力の供給及び遮断が短い期間で繰り返されることを防止することができる。すなわち、第2のスイッチ手段のオフにより過電流状態が解消され、再び第2のスイッチ手段がオンして電力の供給が開始されるが、すぐにまた過電流となってしまい、再度第2のスイッチ手段がオフされるという繰り返しを防止することができる。
【0014】
本発明の請求項3に記載の電動工具によれば、第2のスイッチ手段をオンするための第1信号を出力する第1信号出力手段と、第2のスイッチ手段をオフするための第2信号を出力する第2信号出力手段とを備え、第1のスイッチ手段がオンされている状態で電池と駆動部とが接続された場合には、第2検知信号が、第2のスイッチ手段に入力されるため、一旦、第2のスイッチ手段がオフされると、第1のスイッチ手段がオンされている間は、再び駆動部へ電力が供給されることを防止することができる。
【0015】
本発明の請求項4に記載の電動工具によれば、第1信号出力手段は抵抗とコンデンサからなり、第2信号出力手段は少なくとも抵抗とコンデンサからなり、抵抗とコンデンサによる時定数を、第1信号出力手段より第2信号出力手段の方が大きくしているため、簡易な構成で、一旦、第2のスイッチ手段がオフされると、第1のスイッチ手段がオンされている間は、再び駆動部へ電力が供給されることを防止することができる。
【0016】
本発明の請求項5に記載の電動工具によれば、第2のスイッチ手段の状態をユーザに知らせる報知手段を備えているため、第2のスイッチ手段がオフされ、電動工具を動作させることができないことをユーザが認識することができる。
【0017】
本発明の請求項6に記載の電動工具によれば、電池から駆動部への電力の供給を許容するための第1検知信号を第2のスイッチ手段へ出力する第1信号出力手段と、電池から駆動部への電力の供給を遮断するための第2検知信号を第2のスイッチ手段へ出力する第2信号出力手段とを備え、第1のスイッチ手段がオンされている状態で電池と駆動部とが接続された場合には、第2検知信号が、第2のスイッチ手段に入力されるため、一旦、第2のスイッチ手段がオフされると、第1のスイッチ手段がオンされている間は、再び駆動部へ電力が供給されることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施の形態による電動工具について図1から図3を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態による電動工具1は、電池パック5と接続して使用される。電動工具1と電池パック5とは、正極端子54、負極端子55、過電流・過放電出力端子56を介して着脱可能に接続される。
【0020】
電動工具1は、電池パック5から供給される電力により駆動されるモータ2と、手動で切換可能なトリガスイッチ31を含むスイッチユニット3と、モータ2の回転を制御するコントローラ4とで構成されている。
【0021】
電池パック5は、予め所定電圧以上に充電された状態で電動工具1に接続されることにより、正極端子54と負極端子55との間に所定電圧を供給する。トリガスイッチ31が閉じると、正極端子54と負極端子55との間にモータ2を経由する閉回路が形成され、モータ2は、所定の電力が供給されて駆動される。
【0022】
電池パック5は、複数の素電池510を直列に接続した電池組51と、正極端子54と電池組51との間に接続された抵抗52、各素電池510の過放電、過電流、および過電圧を検出して検出結果に応じた信号を電動工具1あるいは充電器に出力する電池保護IC53とで構成されている。
【0023】
抵抗52及び電池組51は、正極端子54と負極端子55との間に、直列に接続されている。電池組51を構成する素電池510は、例えばリチウムイオン電池等の充電池である。電池保護IC53は、各素電池510の過放電および過電流を監視し、いずれかの素電池510で過放電または過電流を検出すると、過電流・過放電出力端子56を介してモータ2への電力供給を遮断するための信号をコントローラ4に出力する。また、電池保護IC53は、素電池510が過充電であることを検出すると、すなわち、本実施の形態では、リチウムイオン電池の定格は、素電池1個当たり3.6Vで最大充電電圧が4.2Vであり、4.35V以上となったときに過充電であると判断され、過充電出力端子57を介して充電器へ充電を停止するための信号を出力する。なお、過電流とは、負荷に流れる電流が所定値を超えた状態のことを指し、過放電とは、各素電池の残電圧が所定値を下回った状態のことを指す。本実施の形態では、過電流となる電流は70A、過放電となる1つの素電池510の電圧は2Vとする。
【0024】
電池保護IC53は、素電池電圧検出部530、過電圧検出部531、過放電検出部532、過電流検出部533およびスイッチ58で構成されている。素電池電圧検出部530は、各素電池510の電圧を検出し、検出結果を過電圧検出部531および過放電検出部532に出力する。
【0025】
過電圧検出部531は、素電池電圧検出部530から各素電池510の電圧を入力され、いずれかの素電池510の電圧が一定値以上の場合には過電圧が生じていると判断する。
【0026】
過放電検出部532は、素電池電圧検出部530から各素電池510の電圧を入力され、いずれかの素電池510の電圧が一定値以下の場合には過放電が生じていると判断し、スイッチ58を閉じる(オン)ための信号を出力する。
【0027】
過電流検出部533は、抵抗52を流れる電流値を検出し、検出した電流が一定値以上の場合には過電流が生じていると判断し、スイッチ58を閉じるための信号を出力する。
【0028】
過放電検出部532、又は、過電流検出部533からの信号によりスイッチ58が閉じられると、過電流・過放電出力端子56とグランドラインとが接続される。従って、その場合には、電池保護IC53は、電動工具1のコントローラ4に0ボルト(Lo信号)を出力することとなる。
【0029】
電動工具1のモータ2は、スイッチユニット3およびコントローラ4を介して正極端子54および負極端子55に接続されている。スイッチユニット3はモータ2に接続されており、トリガスイッチ31と、正逆スイッチ32とを備えている。トリガスイッチ31は、モータ2と直列に接続されており、ユーザに操作されることにより、オン・オフする。正逆スイッチ32は、正極端子54と負極端子55に接続されるモータ2の極性を反転させ、回転方向を変更するためのスイッチである。
【0030】
コントローラ4は、電池保護IC53から電力供給遮断のための信号が入力されると、モータ2への電力供給のための閉回路を遮断し、駆動を停止させる。コントローラ4は、メイン電流スイッチ回路41、メイン電流スイッチオフ保持回路42および表示部43で構成されている。
【0031】
メイン電流スイッチ回路41は、電界効果トランジスタ(以下、FET)410、抵抗411、およびコンデンサ412で構成されている。FET410は、ドレインがモータ2に、ゲートが過電流・過放電出力端子56に、ソースが負極端子55にそれぞれ接続されている。抵抗411は、正極端子54とFET410のゲートとの間に接続されている。コンデンサ412は、FET410のゲートとソースとの間に接続されている。FET410のゲートと、抵抗411と、コンデンサ412との接点を接点Aとする。
【0032】
FET410は、電池パック5からモータ2に正常に電力が供給されている間はオン状態である。すなわち、電動工具1と電池パック5が接続されると電池電圧が抵抗411を介して接点A(FET410のゲート)に印加されるためFET410はオンする。一方、電池保護IC53で過放電または過電流が検出されて、過電流・過放電出力端子56からFET410のゲートに0ボルト(Lo信号)が入力されると、FET410はオフし、モータ2への電力供給を遮断する。
【0033】
メイン電流スイッチオフ保持回路42は、FET420、抵抗421、抵抗422およびコンデンサ423で構成されている。FET420は、ドレインがFET410のゲートおよび過電流・過放電出力端子56に接続され、ソースが負極端子55に接続されている。また、ゲートは、抵抗421を介してモータ2およびFET410のドレインと接続されると共に、互いに並列に接続された抵抗422およびコンデンサ433を介して負極端子55に接続されている。FET420のゲート側の接点Bに電圧が生ずると、FET420がオンし、FET420のドレインと接続されている接点Aは、負極端子55(グランドライン)と接続される。接点Aは、FET410のゲートと接続されているため、FET410のゲートも負極端子55と接続され、FET410がオフすることとなる。
【0034】
表示部43は、抵抗430と表示装置(本実施の形態ではLED)431で構成され、FET410のドレインとソースの間に、並列に接続されている。トリガスイッチ31がオフ状態、もしくは、FET410がオンして、トリガスイッチ31がオンしてモータ2に電力が供給されている場合には、表示部43の両端には電位差がないので、表示装置431は点灯しない。一方、過放電または過電流が検出されてFET410がオフ状態になると、ドレインとソースとの間に電位差が生じるので、すなわち、電流が抵抗430を介して流れるので表示装置431が点灯し、過放電または過電流が検出されている状態であることを表示する。これにより、過放電または過電流により、電動工具1を動作させることができないことをユーザが認識することができる。
【0035】
以上のように構成される電動工具1および電池パック5の動作を説明する。まず、図1および図2を参照しながら、電動工具1と電池パック5とを接続した状態でトリガスイッチ31をオンにした場合の動作について説明する。
【0036】
図2(a)は、トリガスイッチ31のオン・オフのタイミングを示した図である。図2(b)は、図1の接点A、接点B、接点Cにおける電圧VA、電圧VB、電圧VCのタイムチャートで、縦軸は電圧VA、電圧VB、電圧VCであり、横軸は時間である。図2(c)は、電池パック5の過電流検出部533で検出される電流のタイムチャートで、縦軸は電流Iであり、横軸は時間である。
【0037】
時刻t0は、トリガスイッチ31がオンされた後で、モータ2に電池パック5から正常に電力が供給されている任意の時刻とする。ここでは、トリガスイッチ31は、時刻t0から時刻t3まではオンされており、時刻t3でオフされるものとする。また、図2(c)に示すように、電流Iは、時刻t0ではI1であるが、時間が経過するに従って上昇するものとする(時刻t1で過電流値I2となる)。
【0038】
電池パック5の過電流検出部533は、時刻t1で過電流とされる電流値I2に達したことを検出すると、スイッチ58をオンする。スイッチ58のオンによって過電流・過放電出力端子56から0ボルト(Lo信号)が出力され、FET410のゲートに入力される。これにより、図2(b)に示すように、一定値を保っていた電圧VAは、時刻t1から低下し、オン電圧V1よりも低電圧になったときにFET410はオフする。これにより、モータ2への電力の供給は遮断される。
【0039】
FET410がオフすると、電流経路は、抵抗421、抵抗422およびコンデンサ423を経由する経路、すなわち、メイン電流スイッチオフ保持回路42を経由する経路に変わるため、接点Cの電圧VCが上昇する。同時に、電圧VBも上昇し、オン電圧V1を越える時刻t2で、FET420がオンする。すると、接点A、すなわち、FET410のゲートは、負極端子55と接続される。
【0040】
ここで、メイン電流スイッチオフ保持回路42を備えていない場合には、FET410のオフにより過電流状態が解消され、再びFET410がオンして電力の供給が開始されるが、すぐにまた過電流となってしまい、再度FET410がオフされるという繰り返しが生じる。しかしながら、本実施の形態では、メイン電流スイッチオフ保持回路42を備えているため、過電流が解消されてスイッチ58がオフしたとしても、メイン電流スイッチオフ保持回路42のFET420がオンしているため、FET410のゲートには、0Vが供給され続けFET410はオフ状態を維持する。従ってモータ2への電力供給の遮断は維持される。
【0041】
そして、時刻t3でトリガスイッチ31がオフされると、電圧VBは低下し、時刻t4でオン電圧V1を下回るため、FET420がオフする。一旦、FET420がオフした後は、再び抵抗411を介して電池電圧がFET410のゲートに印加され、すなわち、電圧VAが滑らかに立ち上がり、電圧VAがオン電圧V1を超えた時刻t8でFET410がオンとなる。この状態で、トリガスイッチ31をオンすることで、モータ2への電力供給が可能となる。なお、過放電の場合も同様の動作となる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態による電動工具1によれば、モータ2への電力の供給をオン・オフするFET410が、電池パック5ではなく、電動工具1に設けられている。モータ2への電力の供給がオンされたときには、FET410に電流が流れることとなるが、大電流が流れるような電動工具の場合には、FET410を並列に複数備えて電流を分散させたり、電池パックを使用可能な電動工具に合わせて定格容量の大きいものを選択する必要がある。しかしながら、本実施の形態による電動工具1によれば、FET410が電動工具1に設けられていることにより、FET410を、電動工具1が必要とする電流に応じてFET410の使用の選択や必要な数だけ備えれば良い。これにより、FET410が少ないことにより1個当たりのFET410への電流量が過多となってFET410が故障することを防止することができる。また、不必要なFET410を備える必要がなく、また電動工具1に応じたFETを選択することができるのでコストを下げることができる。
【0043】
また、トリガスイッチ31がオンされている状態でFET410によるモータ2への電力の供給が遮断された場合、トリガスイッチ31がオンされている間は、FET410によるモータ2への電力の供給の遮断状態を維持するメイン電流スイッチオフ保持回路42を備えているため、電力の供給及び遮断が短い期間で繰り返されることを防止することができる。すなわち、FET410のオフにより過電流状態が解消され、再びFET410がオンして電力の供給が開始されるが、すぐにまた過電流となってしまい、再度FET410がオフされるという繰り返しを防止することができる。なお、過放電の場合にも同様である。
【0044】
続いて、図1および図3を参照しながら、電動工具1が、トリガスイッチ31がオンされた状態で所定電圧に充電された電池パック5に接続された場合の動作について説明する。
【0045】
図3(a)は、トリガスイッチ31のオン・オフのタイミングを示した図である。図3(b)は、接点A、接点Bにおける電圧VAおよび電圧VBのタイムチャートで、縦軸は電圧VAおよび電圧VBであり、横軸は時間である。
【0046】
時刻t0は、トリガスイッチ31がオンされた状態の電動工具1に電池パック5が接続された時刻とする。ここでは、時刻t6まではトリガスイッチ31がオンしており、時刻t6でトリガスイッチ31がオフするものとする。図3(b)に示すように、電池パック5が接続されると、電圧VAおよび電圧VBは共に上昇する。
【0047】
ここで、本実施の形態では、電圧VBが電圧VAよりも早く立ち上がるように、抵抗411とコンデンサ412とからなる回路の時定数と、抵抗421とコンデンサ423とからなる回路の時定数とが設定されている。本実施の形態では抵抗411、コンデンサ412、抵抗421、コンデンサ423はそれぞれ1MΩ、1μF、1kΩ、1μFとする。従って、電圧VBは電圧VAよりも早く立ち上がり、時刻t5でオン電圧V1を超え、FET420がオンする。FET420がオンすると、接点Aの電圧VAは0ボルトになるため、FET410のゲートに0ボルト(Lo信号)が入力され、FET410はオンしない。FET410のオフ状態は、トリガスイッチ31がオフされるまで維持される。
【0048】
時刻t6でトリガスイッチ31がオフされると、コンデンサ423の電荷が抵抗422により放電するので電圧VBは低下し、オン電圧V1より低下するとFET420はオフする。FET420がオフしたことにより、電動工具1内では正極端子54、抵抗411、コンデンサ412を経由して負極端子55に至る閉回路が形成され、電圧VAは上昇する。
【0049】
このように、本実施の形態による電動工具1によれば、トリガスイッチ31がオンされた状態で電動工具1が電池パック5に接続された場合に、モータ2へ電力供給がされて動作を始めてしまうことを防止することができ、安全性の向上を実現することができる。なお、このような効果を得るためには、過電流検出部533や過放電検出部532は必要なく、コントローラ4に過電流や過放電を知らせるためのスイッチ58も必要ない。
【0050】
なお、本実施の形態において、モータ2は本発明の駆動部であり、トリガスイッチ31は、本発明の第1のスイッチ手段であり、FET410は、本発明の遮断手段であり、メイン電流スイッチオフ保持回路42は、本発明の維持手段であり、表示部43は、本発明の報知手段であり、電池保護IC53は、本発明の電池状態監視手段であり、抵抗411とコンデンサ412とは、本発明の第1信号出力手段であり、FET420、抵抗421およびコンデンサ423は、本発明の第2信号出力手段である。
【0051】
本発明による電動工具1は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施の形態による電動工具および電池パックの構成を示す回路図。
【図2】本実施の形態による電動工具および電池パックにおいて過電流または過放電が検出された際の動作を説明する図。
【図3】本実施の形態による電動工具のトリガスイッチをオンした状態で電池パックを接続した際の動作を説明する図。
【符号の説明】
【0053】
1:電動工具 2:モータ 3:スイッチユニット 31:トリガスイッチ 4:コントローラ 41:メイン電流スイッチ回路 410、420:FET 411、421、422:抵抗 412、423:コンデンサ 42:メイン電流スイッチオフ保持回路 43:表示部 5:電池パック 51:電池組 510:電池 53:電池保護IC 530:素電池電圧検出部 532:過放電検出部 533:過電流検出部 54:正極端子 55:負極端子 56:過電流・過放電出力端子 58:スイッチ

【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年9月7日(2006.9.7)
【代理人】 【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩

【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸

【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子


【公開番号】 特開2008−62343(P2008−62343A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−243168(P2006−243168)