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【発明の名称】 電動工具
【発明者】 【氏名】平沼 俊夫

【氏名】岡田 雄吉

【氏名】伴 孝則

【氏名】小林 邦孝

【氏名】安達 禎章

【要約】 【課題】運搬および取り扱いに優れた電動工具を提供すること。

【構成】本発明に係る電動工具10は、電動モータ21が収納される胴体部20と胴体部20より下方へと延設される把持部30とを有する工具本体11と、工具本体11に取り付けられるバッテリ部12とを備えている。電動工具10は、把持部30が胴体部20の下方に位置する状態において電動モータ21の出力軸21aが正面方向に向けられた状態の重心位置Gを基準位置として、工具本体11の正面寄りの位置Aに電動工具1を支える支持帯41の一端が取り付けられ、工具本体11の背面寄りの位置Bに支持帯41の他端が取り付けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータが収納される胴体部と該胴体部より下方へと延設される把持部とを有する工具本体と、該工具本体に取り付けられるバッテリ部とを備える電動工具において、
前記把持部が前記胴体部の下方に位置する状態において前記電動モータの出力軸が正面方向に向けられた前記電動工具の重心位置を基準位置として、前記工具本体の正面寄りの位置に前記電動工具を支える支持帯の一端が取り付けられ、前記工具本体の背面寄りの位置に前記支持帯の他端が取り付けられることを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記把持部が前記胴体部の下方に位置する状態において前記電動モータの出力軸が正面方向に向けられた前記電動工具に対し、前記支持帯の両端部は、前記工具本体の筐体外面であって前記出力軸を垂直方向に分割し得る分割平面上に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記支持帯の端部は、前記工具本体に対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記支持帯は、帯の長さを調節するための調節機構部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記調節機構部は、前記工具本体に設けられた被係止部に係止される係止突起を有し、
該係止突起は、作業者の腰ベルトに掛止可能であることを特徴とする請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記支持帯は、安全帯に設けられるロープであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電動工具。
【請求項7】
前記ロープには、少なくとも2つの取付部材が設けられており、
一の前記取付部材は、前記電動工具の正面寄りの位置において前記工具本体に取り付けられ、
他の前記取付部材は、前記電動工具の背面寄りの位置において前記工具本体に取り付けられること
を特徴とする請求項6に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータが収納される胴体部と該胴体部より下方へと延設される把持部とを有する工具本体と、該工具本体に取り付けられるバッテリ部とを備える電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンマードリルやインパクトレンチ等の電動工具を用いる建築作業は、通常、足場等が設けられた高所において行われることが多い。このため、図9(a)に示すように、一般的な電動工具1には、工具下端部にストラップ2が取り付けられている。通常、作業者は、電動工具の落下を防止するために、ストラップ2を手首へ通した状態で電動工具1を保持して作業を行っている。
【0003】
しかしながら、梯子や足場等を登り降りする場合には、手首にストラップ2を掛けた状態で作業を行う必要があり、また、高所等の不安定な場所において作業を行う場合にも同様にして作業を行う必要があるため、作業効率が必ずしも好ましいものではないという問題があった。
【0004】
このため、ストラップ2の長さを長くし、肩から掛けるようにして電動工具1を用いる方法も考えられるが、一般的なストラップ2は、図9(a)に示すように、電動工具1の下端部に取り付けられているため、ストラップ2を長くして肩から掛けた状態で作業を行うと、図9(b)に示すように、電動工具1が振り子状に振られてしまって、電動工具1の先端部が作業者に接触してしまうおそれがあった。
【0005】
また、ストラップ2を長くしすぎると、電動工具1本体を持ち運ぶ際に、ストラップ2が建物建材や設置部材等に引っかかってしまうおそれがあり、また電動工具1を用いた作業中に、ストラップ2が作業の邪魔になってしまって作業効率の低下を招くおそれがあった。
【0006】
このため、例えば、工具本体内部にストラップ巻取機構を備え、ストラップの長さを必要に応じて変更することができる電動工具が提案されており(例えば、特許文献1参照)、また、ストラップを本体から取り外し可能に設けた電動工具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−199396公報(第8−10頁、第1図、第2図、第9図、第10図)
【特許文献2】特開2003−245877公報(第2−3頁、第1図、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、工具本体内部にストラップ巻き取り機構を備えた電動工具では、巻き取り機構が電動工具内部に設けられるため、工具本体の大きさが不要に大きくなってしまうと共に、工具の重量が増加してしまい、作業性が劣るという問題があった。
【0008】
一方で、ストラップを本体から取り外し可能に設けた電動工具では、フック保持用の軸部によってストラップが支持されているため、ストラップを外すためにはフックも一緒に外すことになり、作業中にストラップを着脱することが容易ではないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、運搬および取り扱いに優れた電動工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る電動工具は、電動モータが収納される胴体部と該胴体部より下方へと延設される把持部とを有する工具本体と、該工具本体に取り付けられるバッテリ部とを備える電動工具において、前記把持部が前記胴体部の下方に位置する状態において前記電動モータの出力軸が正面方向に向けられた前記電動工具の重心位置を基準位置として、前記工具本体の正面寄りの位置に前記電動工具を支える支持帯の一端が取り付けられ、前記工具本体の背面寄りの位置に前記支持帯の他端が取り付けられることを特徴とする。
【0011】
また、前記把持部が前記胴体部の下方に位置する状態において前記電動モータの出力軸が正面方向に向けられた前記電動工具に対し、前記支持帯の両端部は、前記工具本体の筐体外面であって前記出力軸を垂直方向に分割し得る分割平面上に取り付けられるものであってもよい。
【0012】
さらに、前記支持帯の端部は、前記工具本体に対して着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
【0013】
また、前記支持帯は帯の長さを調節するための調節機構部を有するものであってもよい。
【0014】
さらに、前記調節機構部は、前記工具本体に設けられた被係止部に係止される係止突起を有し、該係止突起が作業者の腰ベルトに掛止可能なものであってもよい。
【0015】
また、前記支持帯は、安全帯に設けられるロープであってもよい。
【0016】
この場合、前記ロープに少なくとも2つの取付部材が設けられ、一の前記取付部材が、前記電動工具の正面寄りの位置において前記工具本体に取り付けられ、他の前記取付部材が、前記電動工具の背面寄りの位置において前記工具本体に取り付けられるものであってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電動工具では、把持部が胴体部の下方に位置する状態において電動モータの出力軸が正面方向に向けられた電動工具の重心位置を基準位置として、工具本体の正面寄りの位置に電動工具を支える支持帯の一端が取り付けられ、工具本体の背面寄りの位置に支持帯の他端が取り付けられるので、作業者が支持帯を肩等に掛けることによって容易に運搬等することが可能となる。
【0018】
特に、重心位置が支持帯の取付位置の間に位置することとなるため、従来のように、ストラップの端部において電動工具が振り子状に振られてしまうことを防止することができ、電動工具の先端部が作業者等に接触してしまうことを防止することができる。
【0019】
また、重心位置が支持帯の両端の取付位置の間に位置することとなるため、運搬動作中に電動工具が安定した状態となり、運搬負担の軽減と、円滑な運搬処理の実現を図ることが可能となる。
【0020】
さらに、本発明に係る電動工具では、把持部が胴体部の下方に位置する状態において電動モータの出力軸が正面方向に向けられた電動工具に対し、支持帯の両端部が、工具本体の筐体外面であって出力軸を垂直方向に分割し得る分割平面上に取り付けられる。
【0021】
一般的な電動工具では、工具保持時、又は工具使用時の安定性等を考慮して、電動モータの出力軸(回転軸)を中心とする左右の重量バランスが等しくなるように設計されている。このため、出力軸を垂直方向に分割し得る分割平面上の筐体外面に、支持帯の両端が取り付けられることによって、支持帯を用いて重量のある電動工具を支える場合であっても、電動工具を左右に傾くことなく安定した状態で運搬することが可能となる。
【0022】
さらに、支持帯の端部が、工具本体に対して着脱可能に取り付けられる場合には、支持帯を必要としない場合に、支持帯を工具本体より取り外して電動工具を利用することができるため、支持帯が建物建材や設置部材等に引っかかってしまったり、支持帯が作業の邪魔になってしまったりすることを防止することができる。
【0023】
特に、支持帯に、帯の長さを調節するための調節機構部が設けられている場合には、巻取機構部によって支持帯の長さを自由に変更することができるので、作業者の身長等に応じて最適な長さに支持帯を調整して運搬作業を行うことができる。また、帯長を短めにしておくことによって、支持帯が建物建材や設置部材等に引っかかってしまうことを防止することができ、さらに電動工具を用いた作業中に、支持帯が作業の邪魔になってしまって作業効率の低下を招くことを防止することができる。
【0024】
また、調節機構部に、工具本体に設けられた被係止部に係止される係止突起が設けられる場合には、この係止突起を工具本体の被係止部に係止させることによって、調節機構部を工具本体に取り付けること可能となる。さらに、係止突起を被係止部より取り外すことによって、容易に調節機構部を工具本体から外すことができるので、支持帯を使用しない場合に調節機構部を取り外して電動工具の大きさ・重さを小さくすることができ、作業時の取り扱いをさらに向上させることが可能となる。
【0025】
また、取り外した調節機構部によって支持帯の長さを調節して作業者の腰に巻き付けることによって、支持帯をベルトのようにして作業者の腰に固定することが可能となり、調節機構部等が容易に腰から脱落してしまうことを防止することが可能となる。
【0026】
さらに、係止突起を、作業者の腰ベルトに掛止することが可能である場合には、支持帯および調節機構部の紛失を防止することが可能となるととともに、作業時に調節機構部等が邪魔にならないようにすることができる。
【0027】
また、支持帯が、安全帯に設けられるロープである場合には、ロープを電動工具に取り付けない場合には、ロープを通常の安全帯の使用方法に従って用いることによって、支持帯として使用されるロープの収納場所等を考慮する必要が無くなる。
【0028】
特に、ロープに少なくとも2つの取付部材が設けられ、一の取付部材が、電動工具の正面寄りの位置において工具本体に取り付けられ、他の取付部材が、電動工具の背面寄りの位置において工具本体に取り付けられる場合には、支持帯として安全帯のロープを用いる場合であっても、2点支持によって電動工具を支持することができるので、電動工具を安定した状態で運搬することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る電動工具として、ハンマードリルを用いる場合を説明する。
【0030】
図1は、ハンマードリルの概略構成を示した側面図である。ハンマードリル10は、工具本体11と、バッテリ部12とを有している。
【0031】
ハンマードリル10の工具本体11部は、モータ等が収納される胴体部20と、その後部より下方に延設される把持部30とを有している。
【0032】
胴体部20には、モータ(電動モータ)21と、モータ21の回転力を伝達する回転伝達部22と、モータ21の回転力を打撃力に変換する打撃機構部23とが収納されている。また、把持部30には、動作スイッチ31が設けられ、さらに後述する巻取機構部(調節機構部)40を着脱自在に取り付けることが可能となっている。
【0033】
バッテリ部12は、モータ21に対して安定した電力を供給する役割を有しており、把持部30の正面寄り(前寄り)に位置するようにして、工具本体11部に着脱可能に取り付けられている。
【0034】
回転伝達部22は、工具本体11の先端部に取り付けられる先端工具24を回転させるための機構を備えている。
【0035】
具体的には、モータ21の回転軸(出力軸)21aに圧入されたピニオン22a、ファーストギヤ22bを介して、中間軸22cが回動可能に連結されており、この中間軸22cの回転が、セカンドピニオン22dおよびシリンダ22eを介して先端工具24に伝達されて先端工具24の回転が行われる。
【0036】
一方で、打撃機構部23は、モータ21の回転力をピストン23aの往復運動に変換させ、ピストン23aの打撃力を先端工具24に伝達させるための機構を備えている。
【0037】
具体的には、中間軸22cに対してスプライン嵌合して軸方向に移動可能なクラッチ23bと、中間軸22c上に回転可能に遊合するレシプロベアリング23cとが、クラッチスプリング23dで付勢されて噛合する構造となっている。モータ21の回転軸21aが回転駆動を開始すると、この回転力が、クラッチ23bおよびレシプロベアリング23cの作用によってピストン23aの往復運動に変換され、この往復運動に伴って圧縮変動される空気室23eの空気バネを介して先端工具24に打撃力が伝達される。
【0038】
把持部には、モータ21のON/OFF切替が行われる動作スイッチ31が設けられており、作業者がこの動作スイッチ31をON/OFFすることによって、モータ21の駆動開始・停止が行われる。
【0039】
工具本体11は、樹脂製のケーシング部材35によって筐体が形成されている。このケーシング部材35は、左右対称形状をなす一対の半割ケーシングによって構成されており、モータ21、回転伝達部22、打撃機構部23、動作スイッチ31の基部等は、半割ケーシングによって挟み込まれるようにしてケーシング部材35内部に固定収納される。
【0040】
胴体部20の先端工具24寄りの筐体上面には、巻取機構部40より引き出されたベルト部(支持帯)41の端部を固定するための固定孔25が設けられている。この固定孔25の詳細な設置位置に関しては後述する。
【0041】
図2(a)は、電動工具1の把持部30と、把持部30に着脱可能に設けられる巻取機構部40とを示した斜視図である。
【0042】
巻取機構部40は、把持部30の下端部に設けられる矩形凹所36に対応するように一側面が矩形に形成された略直方体を呈しており、巻取機構部40の下部後端には、ベルト部41の収納・引き出しが行われる出入孔42が形成されている。
【0043】
巻取機構部40は、図2(b)に示すように、一般的な付勢手段によって一回転方向に回転付勢される回転軸43が内部に設けられており、ベルト部41の一端がこの回転軸43に固定されている。付勢手段による付勢力によって回転軸43が回転すると、ベルト部41が回転軸43の回転に伴って巻き込まれて、巻取機構部40内部に形成される収納空間44へと収納される構造となっている。
【0044】
また、巻取機構部40における出入孔42近傍には、引き出されたベルト部41が回転軸43の付勢力によって収納空間44へと収納されてしまうことを防止するための挟持手段が設けられている。挟持手段は、ベルト部41を上下より挟み込むことによって固定する一般的な固定金具45a、45bによって構成される。
【0045】
例えば、巻取機構部40の側面等に、対向する固定金具45a、45bの間隔を拡縮させることが可能なレバー部材45cを設け、レバー部材45cによって固定金具45a、45bの間隔を狭めることによってベルト部41を挟持して移動を規制し、巻取機構部40におけるベルト部41の長さを固定する。
【0046】
なお、ベルト部41の端部には、胴体部20に設けられた固定孔25に対して着脱を行うことが可能な固定フック41aが設けられている。
【0047】
巻取機構部40の正面側の側面には、図2(a)、(b)に示すような側方視でL字状を呈する係止フック(係止突起)46が設けられており、さらに把持部30における矩形凹所36には、この係止フック46を係止(収納)するための係止フック案内孔(被係止部)33が形成されている。
【0048】
係止フック46は、強強度であってさらにある程度の弾性を備え持つ合成樹脂等によって構成されている。係止フック46の上部両側端には、図3(a)乃至図3(c)に示すように、側方へと突出する係止爪46a、46bが設けられており、係止フック46の上部には、係止爪46a、46bを中心側へと撓ませるための切り込み部46c、46dが形成されている。
【0049】
また、係止フック案内孔33は、底面が開放された筒状孔であり、係止フック46の係止爪46a、46bを内側へと撓ませた状態で、係止フック46を底面の開放された開口部33aより導き入れることによって係止フック46を収納することが可能となっている(図3(a)、図3(b)参照)。さらに、係止フック案内孔33の側部には、係止フック46が十分に収納された場合に、係止フック案内孔33から係止フック46が脱落することを防止するために、係止爪46a、46bに係止される係止孔33b、33cが設けられている。このため、係止フック46が係止フック案内孔33に対して十分に収納された場合には、係止フック46の係止爪46a、46bが係止孔33b、33cの縁部に係止されることとなり、係止フック46が係止フック案内孔33内に固定された状態となる。
【0050】
一方で、係止フック46を係止フック案内孔33から取り外す場合には、係止フック46の係止爪46a、46bを中心側に撓ませた状態で、係止フック46を下方向へとスライドさせることによって、図3(c)から図3(b)に示すようにして、係止爪46a、46bを係止フック案内孔33内に収納させることができるので、容易に係止フック46を係止フック案内孔33より外すことができる。
【0051】
図4は、把持部30が胴体部20の下方に位置する状態において、モータ21の回転軸(出力軸)21a先端側に位置する先端工具24が正面方向に向けられたハンマードリル10を示しており、巻取機構部40を把持部30に取り付けた状態においてベルト部41を肩に掛けることが可能な程度に引き出して、引き出されたベルト部41の固定フック41aを、胴体部20の固定孔25に固定した様子を示している。
【0052】
電動工具は一般的に、モータ21やバッテリ部12等の重量部品を備えており、その重心位置Gが把持部30よりも正面(前方)寄りの位置となる傾向があることから、作業者が把持部30のみを把持して電動工具を使用・運搬することは容易ではなかった。
【0053】
このため、図4に示すように先端工具24が正面方向に向けられた状態における電動工具10の重心位置Gを基準として、この重心位置Gよりも背面側寄り、つまり把持部30の後部側の位置Bにベルト部41の基端が位置するようにベルト部41の一端部を取り付け、さらに重心位置Gよりも正面側寄り、つまり先端工具24寄りの胴体部20の筐体上面位置Aに、固定孔25および固定フック41aを用いてベルト部41の他端部を取り付けることによって、作業者がベルト部41を肩等に掛けて容易に電動工具10を運搬することが可能となる。
【0054】
特に、重心位置Gがベルト部41の取付位置A、Bの間に位置することとなるため、従来のように、ストラップの端部において電動工具が振り子状に振られてしまうことを防止することができ、先端工具24が作業者等に接触してしまうことを防止することができる。また、重心位置Gがベルト部41の取付位置A、Bの間に位置することとなるため、運搬動作中に電動工具が安定した状態となり、運搬負担の軽減と、円滑な運搬処理の実現を図ることが可能となる。
【0055】
さらに、巻取機構部40によってベルト部41の長さを自由に変更することができるので、作業者の身長等に応じて最適な長さにベルト部41を調整して運搬作業を行うことができる。また、ベルト長を短めにしておくことによって、ベルト部41が建物建材や設置部材等に引っかかってしまうことを防止することができ、さらに電動工具10を用いた作業中に、ベルト部41が作業の邪魔になってしまって作業効率の低下を招くことを防止することができる。
【0056】
さらに、一般的な電動工具では、工具保持時、又は工具使用時の安定性等を考慮して、モータ21の回転軸21aを中心とする左右の重量バランスが等しくなるように設計されている。このため、この回転軸21aを垂直方向に分割し得る分割平面上の筐体外面に、ベルト部41の一端が取り付けられる固定孔25と、巻取機構部40におけるベルト部41の基部とを配設することによって、ベルト部41を用いてハンマードリル10等の重量のある電動工具を支える場合であっても、電動工具が左右に傾くことなく安定した状態で運搬することが可能となる。
【0057】
また、係止爪46a、46bを側方より押し込んで巻取機構部40を把持部30より取り外し、さらに、ベルト部41の固定フック41aを固定孔25から取り外すことによって、ベルト部41を簡単にハンマードリル10から外すことができるので、ベルト部41が必要ない場合にはベルト部41を取り外して電動工具10を利用することができる。このため、ベルト部41が建物建材や設置部材等に引っかかってしまったり、ベルト部41が作業の邪魔になってしまったりすることを防止することができる。
【0058】
さらに、ベルト部41の取り外しに伴って、巻取機構部40を工具本体11より簡単に取り外すことができるので、ベルト部41を使用しない場合には電動工具10の大きさ・重さを小さくすることができ、作業時の取り扱いをさらに向上させることが可能となる。
【0059】
また、取り外した巻取機構部40の係止フック46は、側方視でL字状を呈しているため、例えば、図5(a)に示すように、係止フック46を作業者の腰ベルト50に引っかけるようにして掛止させることができ、ベルト部41が巻き込み収納された巻取機構部40の紛失を防止するとともに、作業時に巻取機構部40が邪魔にならないようにすることができる。
【0060】
さらに、図5(b)に示すように、巻取機構部40の端部に固定フック41aを係止させるための固定孔部47を設けることによって、ベルト部41を腰ベルト50のように作業者の腰に巻け、ベルト部41の固定フック41aを固定孔部47に固定させて腰に取り付けることが可能となる。このようにベルト部41を腰に巻き付けることによって、係止フック46を腰ベルト50に掛止することなく巻取機構部40を保持することができる。また、係止フック46を腰ベルト50に掛止させた場合であっても、ベルト部41を腰に巻き付けることによって、巻取機構部40が容易に脱落してしまうことを防止することが可能となる。
【0061】
なお、巻取機構部40は、ベルト部41の一端が巻取機構部40の回転軸43に固定され、固定フック41aが設けられるベルト部41が巻取機構部40に収納・引き出される構成としたが、必ずしもこのような構成には限定されるものではない。例えば、図7(a)に示すように、巻取機構部40がベルト部41の中間位置に設けられるものであってもよい。その場合には、把持部30の端部にもう1つ固定孔25aを設置するとともに共に、ベルト部41の端部にこの固定孔25aに取り付け可能な固定フック41bを設けることによって、ベルト部41を容易に取り外すことが可能になるとともに、作業者の身長等に応じて容易にベルト部41の長さを調節することが可能となる。
【0062】
また、ベルト部41の両端に固定フック41a、41bが設けられる場合には、巻取機構部40に係止フック46が設けられていない場合であっても、図6(a)に示すようにベルト部41を腰に巻き付けた後に固定フック41a、41bでベルト部41の端部同士を係止させることによって、ベルト部41を腰に固定することができる。
【0063】
なお、図6(b)に示すように、ベルト部41の一端に等間隔をなす複数の孔52を設け、他端にこの孔に係止する係止ピン53を設けて、ベルト部41を通常のベルトのようにして腰に固定する構造にしたり、また、図6(c)に示すように、係止ピン53の代わりに一般的なベルトで用いられるバックル部54を設けて腰に固定する構造とするものであってもよい。
【0064】
さらに、本実施形態においては、係止フック46によって巻取機構部40を把持部30に着脱可能に固定すると共に、この係止フック46によって巻取機構部40を腰ベルト50に掛止する構造を説明したが、巻取機構部40に対して係止フック46とは別に、腰ベルト50へ巻取機構部40を取り付けるためのベルト用取付部品を設けてもよい。このようにベルト用取付部品を別途設けることによって、係止フック46よりも簡易に腰ベルトへの着脱を行うことができ、さらに容易に外れないような構造を有する取付部品を、係止フック案内孔33の係止構造等を考慮することなく設けることが可能となる。
【0065】
以上、ハンマードリル10を一例として用いて、本発明に係る電動工具を詳細に説明したが、本発明に係る電動工具は上述した実施形態に限定されるものではない。いわゆる当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0066】
例えば、上述した実施形態では、ベルト部41の一端が、胴体部20の先端工具24寄りの上面に設けられた固定孔25に取り付けられ、ベルト部41の基部(他端)が把持部30の後端下部位置(巻取機構部40)に固定される構造としたが、電動工具に対するベルト部の両端部の取付位置はこの位置に限定されるものではない。
【0067】
上述したように、把持部30が胴体部20の下方に位置する状態において、モータ21の先端工具24(モータの出力軸)が正面方向に向けられた電動工具の重心位置Gを基準位置として、工具本体11の正面寄りの位置にベルト部(支持帯)41の一端が取り付けられ、工具本体11の背面寄りの位置にベルト部(支持帯)41の他端が取り付けられていれば、本発明に係る電動工具の効果を奏すること可能である。このため、図7(b)に示すように、ベルト部41の一端を胴体部20の先端工具24寄りの筐体上面位置Aに取り付け、他端を胴体部20のモータ21寄り(後部寄り)の筐体上面位置Bに取り付けるものであってもよい。このようにしてベルト部41を取り付けた場合であっても、ベルト部41の両端の取付位置A、Bの間に電動工具の重心位置Gが位置するので、電動工具をベルト部41でバランス良く保持することが可能となる。
【0068】
また、図8(a)に示すように、安全帯56のロープ57を、本実施例において説明したベルト部41として利用することも可能である。図8(b)は、一般的な安全帯56を示しており、安全帯56のロープ57には2個の固定フック(取付部材)58a、58bが設けられている。固定フック58a、58bは、図8(b)において矢印で示すように、固定フック58a、58bの固定位置を移動(調整)することが可能となっている。なお、この固定フックは2個に限定されるものではなく、1個又は3個以上設けられていてもよい。
【0069】
固定フック58a、58bの間隔を作業者の身長等に応じて調節した後に、一方の固定フック58aを胴体部20の先端工具24寄りの上面に設けられた固定孔25に取り付け、他方の固定フック58bを把持部30の端部に設けられた固定孔25aに取り付けることによって、図8(a)に示すように、安全帯56のロープ57によってハンマードリル10等の電動工具を2点支持することが可能となる。このように、安全帯56のロープ57をベルト部41として用いる場合であっても、ロープ57を肩等に掛け、2点支持によって電動工具を支えることができるので、安定した状態で電動工具を運搬することが可能となる。また、ロープ57を電動工具に取り付けない場合には、ロープ57を通常の安全帯56の使用方法に従って用いることにより、ベルト部41として使用されるロープ57の収納場所等を考慮する必要が無くなる。
【0070】
また、本実施形態においては、電動工具としてハンマードリル10を例に用いて説明を行ったが、本発明に係る電動工具はハンマードリル10に限定されるものではなく、インパクトレンチ、振動ドリル、鉄筋結束機等の電動工具であってもよく、また、空圧釘打機、空圧インパクトドライバ等の空圧工具であってもよい。これらの工具のように、重量があって片手で容易に運搬・取り扱いすることが容易でない工具に対して本発明と同様の構成を用いることによって、本発明において示した効果を奏することが可能となる。
【0071】
さらに、本実施形態においては、支持帯としてベルト部を例として用い、ベルト状の帯によって電動工具を支持することを説明したが、支持帯はベルト状の帯に限定されるものではなく、ストラップのように帯幅が狭いものであったり、ベルト等に比べて帯び幅が広いものであってもよい。さらに支持帯の厚み等も特に限定されるものではない。支持帯がどのような厚み、幅を有するものであっても、その支持帯によって電動工具を十分に支持することができ、作業者の運搬負担を軽減させることができるものであるならば、本発明の効果を奏することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】実施形態に係るハンマードリルを側方断面図である。
【図2】実施形態に係る巻取機構部を示した図であり、(a)は把持部に着脱可能に構成される様子を示した斜視図であり、(b)は巻取機構部を示す側方断面図である。
【図3】実施形態に係る巻取機構部の係止フックを示した図であり、(a)は係止フックを係止フック案内孔に挿入する前の状態を示し、(b)は係止フックが係止フック案内孔に挿入された途中の状態を示し、(c)は係止フックが係止フック案内孔に十分に押し込まれた状態を示している。
【図4】実施形態に係る電動工具において、先端工具が正面方向に向けられた状態における電動工具の重心位置Gを基準として、重心位置Gよりも背面側寄りの位置にベルト部の基端が位置するようにベルト部の一端部を取り付け、さらに重心位置Gよりも正面側寄りの胴体部上面に、ベルト部の他端部が取り付けられた状態を示した側面図である。
【図5】実施形態に係る巻取機構部を作業者の腰に取り付けた状態を示しており、(a)は、係止フックを腰ベルトに掛止させた状態を示し、(b)はベルト部を作業者の腰に巻いて固定させた状態を示している。
【図6】実施形態に係るベルト部の両端部の形状を例示した図であり、(a)は一対の固定フックを係止させる構造を示し、(b)は係止ピンを孔に挿入させて係止させる構造を示しており、(c)はバックル部を用いて固定する構造を示している。
【図7】実施形態に係るベルト部の両端の取付位置A、Bの間に電動工具の重心位置Gが位置するようにして、電動工具にベルト部を取り付けた例を示した側面図である。
【図8】(a)は安全帯のロープをベルト部として利用した電動工具を示しており、(b)はロープに固定フックが設けられた安全帯を示した図である。
【図9】(a)は下端部にストラップが取り付けられた従来の電動工具を示しており、(b)肩等に掛けられる程度長くしたストラップが振り子状に振られてしまう様子を示している。
【符号の説明】
【0073】
1 …(従来の)電動工具
2 …ストラップ
10 …ハンマードリル(電動工具)
11 …工具本体
12 …バッテリ部
20 …胴体部
21 …モータ(電動モータ)
21a …(モータの)回転軸(出力軸)
22 …回転伝達部
22a …ピニオン
22b …ファーストギヤ
22c …中間軸
22d …セカンドピニオン
22e …シリンダ
23 …打撃機構部
23a …ピストン
23b …クラッチ
23c …レシプロベアリング
23d …クラッチスプリング
23e …空気室
24 …先端工具
25、25a …固定孔
30 …把持部
31 …動作スイッチ
33 …係止フック案内孔(被係止部)
33a …(係止フック案内孔の)開口部
33b、33c …(係止フック案内孔の)係止孔
35 …ケーシング部材
36 …(把持部の)矩形凹所
40 …巻取機構部(調節機構部)
41 …ベルト部(支持帯)
41a、41b …固定フック
42 …(巻取機構部の)出入孔
43 …(巻取機構部の)回転軸
44 …(巻取機構部の)収納空間
45a、45b …(巻取機構部の)固定金具
45c …(巻取機構部の)レバー部材
46 …(巻取機構部の)係止フック(係止突起)
46a、46b …(係止フックの)係止爪
46c、46d …(係止フックの)切り込み部
47 …(巻取機構部の)固定孔部
50 …腰ベルト
52 …(ベルト部端部に設けられる)孔
53 …(ベルト部端部に設けられる)係止ピン
54 …(ベルト部端部に設けられる)バックル部
56 …安全帯
57 …(安全帯)ロープ
58a、58b …(安全帯のロープに設けられた)固定フック(取付部材)
A、B …(係止ベルトの)取付位置
G …(電動工具の)重心位置
【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100118094
【弁理士】
【氏名又は名称】殿元 基城


【公開番号】 特開2008−55546(P2008−55546A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234980(P2006−234980)