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【発明の名称】 電動工具用スイッチ装置
【発明者】 【氏名】宮崎 博

【氏名】大橋 敏治

【要約】 【課題】接点のオフ時にアークが発生するのを防止し、電池電源の過放電を確実に防止できる電動工具用スイッチ装置を提供する。

【構成】電動工具用スイッチ装置は、直流モータMと電池電源Eの間に接続され、トリガスイッチの引き込み量が所定の閾値を超えると導通する電源スイッチSW1と、電源スイッチSW1を介して直流モータMおよび電池電源Eが両端間に接続されるスイッチング素子SW2と、トリガスイッチの引き込み量に応じたオンデューティの制御信号を出力するCPU7と、CPU7の制御信号に応じてスイッチング素子SW2を駆動するドライブ回路8と、トリガスイッチに連動して動作し、トリガスイッチを戻す際に電源スイッチSW1がオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングで、スイッチング素子SW2のゲートをドライブ回路8の出力端に接続する状態から、回路のグランドに接続する状態に切り換わる切換スイッチ10とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流モータを回転又は停止させる操作を少なくとも行うためのトリガスイッチと、直流モータと電池電源の間に接続されて、トリガスイッチの引き込み量が所定の閾値を超えると導通する電源スイッチと、電源スイッチを介して直流モータおよび電池電源が両端間に接続されるスイッチング素子と、トリガスイッチの引き込み量が前記閾値を超えると所望のオンデューティでスイッチング素子のオン、オフを制御する制御回路とを備え、トリガスイッチに連動して動作し、トリガスイッチを戻す際に電源スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングでスイッチング素子を強制的にオフさせる停止手段を設けたことを特徴とする電動工具用スイッチ装置。
【請求項2】
前記停止手段は、トリガスイッチに連動して接点が切り替わる切替スイッチからなり、当該切替スイッチは、電源スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングで、制御回路からの制御電圧が入力されるスイッチング素子の制御端子を、制御回路の出力端に接続する状態から、回路のグランドに接続する状態に接点が切り替わることを特徴とする請求項1記載の電動工具用スイッチ装置。
【請求項3】
前記制御回路から前記スイッチング素子の制御端子に入力される制御電圧を放電する放電経路を備え、前記停止手段は、トリガスイッチに連動して接点が切り替わる切替スイッチからなり、当該切替スイッチは、電源スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングで、前記制御端子を制御回路の出力端に接続する状態から、前記制御端子と制御回路の出力端との間の電路を遮断する状態に接点が切り替わることを特徴とする請求項1記載の電動工具用スイッチ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガスイッチの引き込み量に応じて出力軸の回転速度を制御する電動工具用スイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、直流モータと電池電源に直列に接続された電源用有接点スイッチと、引き込み量に応じて直流モータの回転速度を設定するトリガスイッチと、電源用有接点スイッチを介して直流モータ及び電池電源に直列に接続される半導体スイッチング素子と、半導体スイッチング素子に並列接続された第2有接点スイッチと、電源用有接点スイッチを介して電源供給を受け、半導体スイッチング素子のオン/オフを制御する制御回路とを備えた電動工具用スイッチ装置が提供されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この電動工具用スイッチ装置では、トリガスイッチが微少量操作されると、電源用有接点スイッチがオンになり、制御回路に動作電源が供給される。この時、制御回路は、トリガスイッチの引き込み量に応じて半導体スイッチング素子のオンデューティを増加又は減少させ、引き込み量に応じた回転速度で直流モータを回転させている。またトリガスイッチの引き込み量が最大になると、第2有接点スイッチがオンになり、半導体スイッチング素子をバイパスして直流モータに電源を直接供給しており、半導体スイッチング素子の内部抵抗による損失が発生するのを防止していた。
【0004】
また更にトリガスイッチを離して、直流モータの回転を止める際に、半導体スイッチング素子がオンの状態で電源用有接点スイッチがオンからオフに切り替わると、電源用有接点スイッチでアークが発生するなどして、接点の寿命が短くなるという問題があった。そこで、従来の電動工具用スイッチ装置では、トリガスイッチの引き込み量が所定の基準値以下になるのを検出すると、電源用有接点スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前に半導体スイッチング素子のオンデューティを0%とし、半導体スイッチング素子をオフさせた状態で、電源用有接点スイッチがオンからオフに切り替わるようにしていた。
【特許文献1】特開平6−14576号公報(第4頁−第5頁、及び、第3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の電動工具用スイッチ装置では、トリガスイッチを一杯まで引き込んだ状態で使い続けると、電池が過放電状態になってしまうという問題があった。そこで、電池の電圧を検出する電圧検出回路を設け、制御回路に設けたCPUが、電圧検出回路により検出された電池の電圧が所定の基準値以下になると、スイッチング素子を強制的にオフさせて、電池の過放電を防止することが考えられるが、使用者がトリガスイッチを一杯まで引き込むと、半導体スイッチング素子に並列接続された第2有接点スイッチが導通するため、第2有接点スイッチを介して放電電流が流れ、電池が過放電になってしまうという問題があった。
【0006】
また制御回路では、トリガスイッチの引き込み量に応じて半導体スイッチング素子のオンデューティを増減するのであるが、トリガスイッチの引き込み量を電圧値として取り込み、平均化処理を行ってノイズを除去した後、半導体スイッチング素子のオンデューティを演算により求めているため、制御回路を構成するCPUの演算時間に比較的長い時間を要していた。そのため、トリガスイッチを戻した際に電源用有接点スイッチをオンからオフに切り替える時点でも、電圧測定や演算の遅れによって半導体スイッチング素子のオンデューティが0%になっていない場合がある。ここで、電源用有接点スイッチをオンからオフに切り替える際に、半導体スイッチング素子がオン状態になっていると、電源用有接点スイッチに電流が流れている状態で接点が開極させられることになり、アークが発生して接点の寿命が短くなるという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、接点のオフ時にアークが発生するのを防止するとともに、電池電源の過放電を防止した電動工具用スイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、直流モータを回転又は停止させる操作を少なくとも行うためのトリガスイッチと、直流モータと電池電源の間に接続されて、トリガスイッチの引き込み量が所定の閾値を超えると導通する電源スイッチと、電源スイッチを介して直流モータおよび電池電源が両端間に接続されるスイッチング素子と、トリガスイッチの引き込み量が閾値を超えると所望のオンデューティでスイッチング素子のオン、オフを制御する制御回路とを備え、トリガスイッチに連動して動作し、トリガスイッチを戻す際に電源スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングでスイッチング素子を強制的にオフさせる停止手段を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、停止手段は、トリガスイッチに連動して接点が切り替わる切替スイッチからなり、当該切替スイッチは、電源スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングで、制御回路からの制御電圧が入力されるスイッチング素子の制御端子を、制御回路の出力端に接続する状態から、回路のグランドに接続する状態に接点が切り替わることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、制御回路からスイッチング素子の制御端子に入力される制御電圧を放電する放電経路を備え、停止手段は、トリガスイッチに連動して接点が切り替わる切替スイッチからなり、当該切替スイッチは、電源スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングで、制御端子を制御回路の出力端に接続する状態から、制御端子と制御回路の出力端との間の電路を遮断する状態に接点が切り替わることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、トリガスイッチを一杯まで引き込んだ状態で、スイッチング素子の両端間をバイパスするスイッチが設けられていないので、スイッチング素子をオフさせることで、直流モータへの電源供給を確実に停止することができる。例えば過電流を検出してスイッチング素子をオフさせる場合には、スイッチング素子をオフさせることによって、直流モータへの電源供給を確実に停止でき、電池の過放電を防止できるという効果がある。しかも、停止手段は、トリガスイッチに連動して動作し、電源スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前にスイッチング素子を強制的にオフさせているので、スイッチング素子をオフさせた状態、すなわち直流モータに電流が流れていない状態で電源スイッチをオンからオフに切り替えることができ、アークの発生を防止して接点の寿命を延ばすことができるという効果がある。
【0012】
請求項2の発明によれば、電源スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングで、停止手段を構成する切替スイッチが、スイッチング素子の制御端子を回路のグランドに接続しているので、制御回路からスイッチング素子の制御端子に入力された制御電圧を短時間で放電させて、スイッチング素子を強制的にオフさせることができる。したがって、スイッチング素子が確実にオフした状態で、電源スイッチをオンからオフに切り替えることができ、アークの発生を防止して接点の寿命を延ばすことができるという効果がある。
【0013】
請求項3の発明によれば、電源スイッチがオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングで、停止手段を構成する切替スイッチが、スイッチング素子の制御端子と制御回路の出力端との間の電路を遮断しているので、制御回路からスイッチング素子の制御端子に入力された制御電圧を放電経路を介して短時間で放電させて、スイッチング素子を強制的にオフさせることができる。したがって、スイッチング素子が確実にオフした状態で、電源スイッチをオンからオフに切り替えることができ、アークの発生を防止して接点の寿命を延ばすことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図6に基づいて説明する。図2は本実施形態のスイッチ装置を用いた電動工具の概略図である。この電動工具は、人が持ち運んで使用可能な大きさに形成された工具本体1の内部に、直流モータMと、直流モータMの回転を減速して出力軸3に伝達する減速機2と、直流モータMの回転を制御する駆動回路4とを収納するとともに、工具本体1に対して二次電池のような電池電源Eを収納した電池パック5を着脱自在に接続してある。出力軸3には、ドライバやソケットやドリルなどのビット(回転工具)が着脱自在に取着されるチャックが設けてあり、直流モータMの回転に応じてビットを回転させることができる。また工具本体1の手で把持する把持部1aには、指で引き込み操作が行える位置に、引き込み量に応じて直流モータMの回転速度を設定するためのトリガスイッチ6が設けてある。
【0016】
図1は駆動回路4の回路図であり、この駆動回路4は、直流モータMと電池電源Eの間に接続されて、トリガスイッチ6の引き込み量が所定の閾値を超えると導通する電源スイッチSW1と、直流モータMと逆並列に接続された回生用のダイオードD1と、電源スイッチSW1を介して直流モータMおよび電池電源Eが両端間に接続されるFETのようなスイッチング素子SW2と、トリガスイッチ6の引き込み量に応じて抵抗値が変化する可変抵抗部VRと、可変抵抗部VRの抵抗値変化(すなわちトリガスイッチ6の引き込み量)に応じたオンデューティの制御信号を出力するCPU7と、CPU7から出力される制御信号を増幅してスイッチング素子SW2を駆動オン/オフさせるドライブ回路8と、電池電源Eから電源スイッチSW1を介して供給される直流電圧を降圧するとともに平滑化してCPU7などの動作電圧(例えばDC5V)を生成する三端子レギュレータ9とを備えている。ここに、CPU7とドライブ回路8とで、スイッチング素子のオン、オフを制御する制御回路が構成される。
【0017】
ドライブ回路8は、電池電源Eの正極に電源スイッチSW1を介して一端側が接続された抵抗R2と、抵抗R2の他端にコレクタが接続されるとともに、電池電源Eの負極にエミッタが接続され、ベースが抵抗R1を介してCPU7の出力端に接続されたnpn形トランジスタよりなるスイッチング素子SW3とを備えている。そして、ドライブ回路8の出力端(抵抗R2とスイッチング素子SW3との接続点)は、切換スイッチ10と抵抗R3とを介してスイッチング素子SW2のゲートに接続されており、スイッチング素子SW2のゲートと電池電源Eの負極との間には抵抗R4が接続されている。なお切換スイッチ10は、トリガスイッチ6に連動して接点が切り替わるスイッチであり、共通端子cが抵抗R3の一端側に接続されるとともに、一方の切換端子aが抵抗R2及びスイッチング素子SW3の接続点に接続され、且つ、他方の切換端子bが電池電源Eの負極に接続されている。
【0018】
ここで、電源スイッチSW1が導通し、切換スイッチ10の接点が切換端子a側に切り換えられた状態で、CPU7からLレベルの信号が出力されると、スイッチング素子SW3がオフ、スイッチング素子SW2がオンになって、電池電源Eから直流モータMに電流が供給される。一方、CPU7からHレベルの信号が出力されると、スイッチング素子SW3がオン、スイッチング素子SW2がオフになって、直流モータMに流れる電流が遮断される。而してCPU7から、可変抵抗部VRの抵抗値に応じたオンデューティの制御信号が出力されると、制御信号のオンデューティでスイッチング素子SW2がオン/オフされ、直流モータMをトリガスイッチ6の引き込み量に応じた回転速度で回転させることができる。
【0019】
上述のように電源スイッチSW1及び切換スイッチ10は何れもトリガスイッチ6の引き込み操作に連動してオン/オフし、可変抵抗部VRはトリガスイッチ6の引き込み量に応じて抵抗値が変化するのであるが、切換スイッチ10および可変抵抗部VRの構成を図3〜図5に基づいて説明する。
【0020】
図3は切換スイッチ10の概略構成を示す断面図であり、表面に抵抗値が略ゼロの導体パターン12,13,14が形成された基板11と、トリガスイッチ6の引き込み操作に応じて基板11上を摺動することにより導体パターン14と導体パターン12の間、導体パターン14と導体パターン13との間をそれぞれ導通又は開放させる摺接子15とで切換スイッチ10を構成している。
【0021】
図5は基板11上に形成された導体パターン12,13,14の平面形状を示しており、各導体パターン12,13,14は幅寸法が略同じ帯板状であって、図5中の右側から導体パターン12、導体パターン13、導体パターン14の順番で一列に形成されている。導体パターン12は切換端子aを構成し、抵抗R2とスイッチング素子SW3との接続点(ドライブ回路8の出力端)に電気的に接続されている。導体パターン13は切換端子bを構成し、電池電源Eの負極側に電気的に接続されている。導体パターン12と導体パターン13とは隙間d1を開けて形成されており、両パターン12,13の対向部位には、導体パターン12の幅方向一端側(図5中の上側)から他方の導体パターン13に向かって幅細部が延長形成されるとともに、他方の導体パターン13の幅方向他端側(図5中の下側)から他方の導体パターン12に向かって幅細部が延長形成されており、隙間d1の平面形状を略Z字状としてある。また導体パターン14は共通端子cを構成し、抵抗R3の一端側(スイッチング素子SW2と反対側)に電気的に接続されている。また導体パターン14は、導体パターン13との間に、上記の隙間d1に比べて幅広の隙間d2を開けて形成されており、その全長寸法は、導体パターン12,13を合わせた長さと略同じ寸法に形成されている。
【0022】
摺接子15は、図4に示すように弾性を有する帯状の板金の長手方向両側部から長手方向に沿うスリット16をそれぞれ形成することで、平面視の形状を略H字形に形成してある。また摺接子15は、二股に分岐した両側部位をそれぞれ同一の方向(図3中の斜め下向き)に折り曲げるとともに、さらにその先端部を反対側(図3中の斜め上向き)に押り曲げて、両側部位の側面視の形状を略へ字形に形成してあり、両端部の下向きに突出する部位により接点17a,17bをそれぞれ構成している。この摺接子15は、導体パターン12,13と導体パターン14とを跨ぐようにして配置され、トリガスイッチ6の引き込み量に応じて導体パターン12〜14上を導体パターン12〜14の配列方向に沿って摺動する。なお、接点17bは摺動範囲の全域に亘って導体パターン14と接触している。
【0023】
一方、可変抵抗部VRは、基板11の表面に形成された抵抗値が略ゼロの導体パターン18,19,21および所定の抵抗率の抵抗パターン20と、トリガスイッチ6の引き込み操作に応じて基板11上を摺動する摺接子22とで構成される。
【0024】
図5は基板11上に形成された導体パターン18,19,21および抵抗パターン20の平面形状を示しており、導体パターン18,19,21および抵抗パターン20は幅寸法が略同じ帯板状であって、図5中の右側から導体パターン18,19、抵抗パターン20、導体パターン21の順番に一列に形成されている。
【0025】
導体パターン18は、導体パターン12,13を合わせた長さと略同じ長さに形成されており、可変抵抗部VRの端子eを構成し、CPU7の入力端子に電気的に接続されている。導体パターン19は導体パターン18との間に隙間d2を開けて形成されており、可変抵抗部VRの端子gを構成し、電池電源Eの負極に電気的に接続されている。抵抗パターン20は所定の抵抗率を有する導電材料からなり、導体パターン19に連続して所定長形成され、さらに抵抗パターン20に連続して導体パターン21が形成されている。導体パターン21は可変抵抗部VRの端子fを構成し、三端子レギュレータ9の出力端子に電気的に接続されている。すなわち導体パターン19,21は抵抗パターン20を介して電気的に接続されており、導体パターン19,21と抵抗パターン20とを合わせた全長は、導体パターン18の全長と略同じ長さに形成されている。
【0026】
摺接子22は上述の摺接子15と同一の形状に形成されているので、その説明は省略する。この摺接子22は、導体パターン18と、連続する3つのパターン19,20,21とを跨ぐようにして配置されており、トリガスイッチ6の引き込み量に応じて各パターン18〜21上を摺動する。摺接子22の一方の接点は摺動範囲の全域に亘って導体パターン18と接触し、他方の接点がパターン19〜20の何れかに接触する位置がトリガスイッチ6の引き込み位置に応じて移動するのである。なお、トリガスイッチ6を離した状態では摺接子22は図5中に破線で示す位置に存在し、一方の接点が導体パターン18に、他方の接点が導体パターン21にそれぞれ接触しており、この状態では可変抵抗部VRの抵抗値は略ゼロになっている。
【0027】
次に本実施形態の動作について説明する。トリガスイッチ6を離した状態では摺接子15は図3中に実線で示す位置に存在し、一方の接点17aが導体パターン13に、他方の接点17bが導体パターン14にそれぞれ接触している。この状態では切換スイッチ10は切換端子b側に切り換えられた状態となり、スイッチング素子SW2のゲートが抵抗R3,R4を介して電池電源Eの負極に接続されている。また摺接子22は図5中に破線で示した位置に存在し、摺接子22の一方の接点は導体パターン18に、他方の接点は導体パターン21にそれぞれ接触しており、可変抵抗部VRの抵抗値は略ゼロとなっている。
【0028】
この状態からトリガスイッチ6を引き込むと、摺接子15,22はトリガスイッチ6の引き込み量に応じて図3中の右側(図5中の右側)へそれぞれ移動する。そしてトリガスイッチ6の引き込み量が所定の閾値を超えると、電源スイッチSW1がオンになるのであるが、この時点では摺接子15の接点17aが図5中の地点イまで達しておらず、導体パターン13と接触しているので、切換スイッチ10は切換端子b側に切り換えられたままとなっている。したがって、CPU7に電源が供給されて、CPU7から制御信号が出力されたとしても、スイッチング素子SW2のゲートには制御電圧が印加されず、スイッチング素子SW2がオン/オフされることはない。すなわちCPU7からの制御信号に関係無く、スイッチング素子SW2は強制的にオフ状態となっている。また摺接子22の他方の接点もまだ導体パターン21と接触しているので、可変抵抗部VRの抵抗値は略ゼロとなっている。
【0029】
その後、トリガスイッチ6を更に引き込み、摺接子15の接点17aが図5中の地点イよりも右側に移動すると、接点17aが隙間d1に嵌り込み、接点17aが導体パターン13から離れて、導体パターン12のみに接触する。この時、切換スイッチ10の接点が切換端子a側に切り換えられて、スイッチング素子SW2のゲートが抵抗R3を介してドライブ回路8(制御回路)の出力端に接続されるので、スイッチング素子SW2のゲートに制御電圧が印加される。摺接子15の接点17aが地点イを超えた時点では、摺接子22の他方の接点は導体パターン12に接触しているので、可変抵抗部VRの抵抗値は略ゼロとなっている。この場合、CPU7は可変抵抗部VRの抵抗値に基づいてスイッチング素子SW2のオンデューティを最小値とする制御信号を出力しており、ドライブ回路8がCPU7からの制御信号に基づいてスイッチング素子SW2をオン/オフさせることで、直流モータMに印加される電圧は最低電圧V1に制御され、直流モータMが最小速度で回転する。
【0030】
その後さらにトリガスイッチ6を引き込むと、引き込み量に応じて摺接子22の他方の接点が図5中の地点ロから地点ハまで移動し、摺接子22の接点と抵抗パターン20との接触位置に応じて可変抵抗部VRの抵抗値が略ゼロから最大値まで変化する。なおこの間摺接子15の接点17aは導体パターン12上を摺動し、切換スイッチ10は切換端子a側に切り換えられたままとなっている。この時、トリガスイッチ6の引き込み量に応じて可変抵抗部VRの抵抗値が略ゼロから最大値まで変化し、CPU7は可変抵抗部VRの抵抗値に応じたオンデューティの制御信号を出力し、ドライブ回路8がCPU7からの制御信号に基づいてスイッチング素子SW2をオン/オフさせることで、直流モータMに印加される電圧が最低電圧V1と最大値Vmaxとの間で所定の電圧値に制御されるから、直流モータMを最小速度と最大速度との間の所望の回転速度で回転させることができる。
【0031】
またトリガスイッチ6をさらに引き込み、摺接子22の他方の接点が図5中の地点ハを超えると、接点が地点ハからフルストロークの地点ニに移動するまでの間、可変抵抗部VRの抵抗値は最大値となり、スイッチング素子SW2のオンデューティが最大値に制御され、直流モータMは最大速度で回転する。
【0032】
一方、トリガスイッチ6を離すと、トリガスイッチ6が復帰バネ(図示せず)の復帰力を受けてオフ位置に戻ろうとし、それに応じて摺接子15,22が図3及び図5中の左側に移動する。摺接子22の他方の接点が、図5中の地点ハを超えて地点ロに達するまでは、トリガスイッチ6の引き込み量に応じて可変抵抗部VRの抵抗値が最大値から最小値まで変化し、それに応じてCPU7はスイッチング素子SW2のオンデューティを最大値から最小値まで変化させるので、直流モータMの回転速度が最大速度から最小速度まで戻される。そして、摺接子22の他方の接点が図5中の地点ロよりも左側に移動すると、可変抵抗部VRの抵抗値は略ゼロとなり、CPU7はスイッチング素子SW2のオンデューティを最小値に制御する。その後さらに、摺接子15の接点17aが隙間d1に嵌り込み、導体パターン12から離れて、導体パターン13のみに接触すると、切換スイッチ10の接点が切換端子a側から切替端子b側に切り換えられた状態となり、スイッチング素子SW2のゲートが抵抗R3,R4を介して電池電源Eの負極に接続されるので、ゲートに印加された駆動電圧が抵抗R3,R4を介して放電される。この時、CPU7からの制御信号に関係無く、スイッチング素子SW2が強制的にオフされるので、直流モータMに励磁電流が流れなくなって、直流モータMが停止する。
【0033】
その後、トリガスイッチ6の引き込み量が所定の閾値以下になると、電源スイッチSW1がオフになるのであるが、この時点ではスイッチング素子SW2はオフ状態となっており、直流モータMに電流が流れていないので、アークが発生することはなく、電源スイッチSW1の接点寿命が短くなるのを防止できる。また電源スイッチSW1がオフになると、三端子レギュレータ9からCPU7などへの電源供給も停止され、CPU7などの動作も停止する。
【0034】
以上説明したように本実施形態では、トリガスイッチ6に連動して動作する切換スイッチ10により、トリガスイッチ6を戻す際に電源スイッチSW1がオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングでスイッチング素子SW2を強制的にオフさせる停止手段を構成しており、切換スイッチ10は、電源スイッチSW1がオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングで、スイッチング素子SW2のゲート(制御端子)を回路のグランド(電池電源Eの負極)に接続しているので、ドライブ回路8(制御回路)からスイッチング素子SW2の制御端子に入力された制御電圧を短時間で放電させて、スイッチング素子SW2を強制的にオフさせることができる。したがって、スイッチング素子SW2が確実にオフした状態で、電源スイッチSW1をオンからオフに切り替えることができ、電源スイッチSW1の接点がアークにより溶着するのを防止でき、接点寿命を延ばすことができる。
【0035】
また本実施形態では、スイッチング素子SW2と並列に、トリガスイッチ6の引き込み量が最大になるとスイッチング素子SW2をバイパスするバイパススイッチを設けていないので、直流モータMへの電源供給を確実に停止することができる。例えば直流モータMに流れる電流を検出する電流検出手段を設け、電流検出手段が過電流を検出すると、CPU17がその検出結果に基づいてスイッチング素子SW2をオフさせる場合、トリガスイッチ6に連動して開閉するバイパススイッチが設けられていると、CPU17によりバイパススイッチをオフさせることができないため、直流モータMに流れる電流を完全に遮断することができないが、本実施形態ではこのようなバイパススイッチが設けられていないので、CPU17がスイッチング素子SW2をオフさせることによって、直流モータへの電源供給を確実に停止でき、電池の過放電を防止できるという効果がある。
【0036】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図7(a)(b)に基づいて説明する。尚、停止手段を構成する切換スイッチ10以外は実施形態1と同様であるので、共通する構成要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
上述の実施形態1では、切換スイッチ10が共通端子cと2つの切換端子a,bとを備えているのに対して、本実施形態では切換スイッチ10が、スイッチング素子SW2のゲートに抵抗R3を介して接続される端子cと、ドライブ回路8の出力端に接続される端子aとの2個の端子のみを備えており、トリガスイッチ6の引き込み量に応じて、スイッチング素子SW2のゲート(制御端子)をドライブ回路8(制御回路)の出力端に接続する状態と、ゲートとドライブ回路8の出力端との間の電路を遮断する状態とが切り換えられるようになっている。
【0038】
切換スイッチ10の詳細な説明は省略するが、図3に示す実施形態1の切換スイッチ10において、回路のグランドに電気的に接続された導体パターン13(切換端子b)を無くしたような構成となっている。
【0039】
而して、トリガスイッチ6の引き込み操作を行って、直流モータMを回転させた後、トリガスイッチ6を戻した際に、摺接子15が図5中の左方向に移動し、摺接子15の接点17aが導体パターン12から離れると、切換スイッチ10がオフとなり、スイッチング素子SW2のゲートをドライブ回路8の出力端に接続する状態から、ゲートとドライブ回路8の出力端との間の電路を遮断する状態に切り換えられる。この時、スイッチング素子SW2のゲートに印加された制御電圧が、放電経路を構成する抵抗R4を介して放電されるので、CPU7からの制御信号に関係無く、スイッチング素子SW2が強制的にオフされ、直流モータMに励磁電流が流れなくなって、直流モータMが停止する。
【0040】
その後、トリガスイッチ6の引き込み量が所定の閾値以下になると、電源スイッチSW1がオフになるのであるが、この時点ではスイッチング素子SW2はオフ状態となっており、直流モータMに電流が流れていないので、アークが発生することはなく、電源スイッチSW1の接点寿命が短くなるのを防止できる。また電源スイッチSW1がオフになると、三端子レギュレータ9からCPU7などへの電源供給も停止され、CPU7などの動作も停止する。
【0041】
以上説明したように本実施形態では、トリガスイッチ6に連動して動作する切換スイッチ10により、トリガスイッチ6を戻す際に電源スイッチSW1がオンからオフに切り替わるよりも前のタイミングで、スイッチング素子SW2のゲートとドライブ回路8の出力端との間の電路を遮断しているので、ドライブ回路8からスイッチング素子SW2の制御端子に入力された制御電圧を放電経路を介して短時間で放電させて、スイッチング素子SW2を強制的にオフさせることができる。したがって、スイッチング素子SW2が確実にオフした状態で、電源スイッチSW1をオンからオフに切り替えることができ、アークの発生を防止して接点の寿命を延ばすことができる。
【0042】
なお上述の各実施形態で説明した電動工具用スイッチ装置では、CPU7が、トリガスイッチ6の引き込み量に応じたオンデューティの制御信号を出力することで、トリガスイッチ6の引き込み量に応じて直流モータMの回転速度を設定できるようにしてあるが、トリガスイッチ6が所定の閾値以上引き込まれた場合、CPU7が所定のオンデューティの制御信号を出力するようにしても良く、スイッチング素子SW2を所定のオンデューティでオン/オフさせることで、直流モータMを略一定の回転速度で回転させるようにしても良い。
【0043】
また、本発明の精神と範囲に反することなしに、広範に異なる実施形態を構成することができることは明白なので、この発明は、特定の実施形態に制約されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態の電動工具用スイッチ装置の回路図である。
【図2】同上を用いる電動工具を模式的に示した概略構成図である。
【図3】同上に用いる切換スイッチの概略構成図である。
【図4】同上に用いる摺接子の平面図である。
【図5】同上に用いる切換スイッチ及び可変抵抗部の説明図である。
【図6】同上のトリガスイッチのストロークと直流モータへの印加電圧との関係を示す図である。
【図7】(a)は実施形態2の電動工具用スイッチ装置の回路図、(b)は同上の要部の回路図である。
【符号の説明】
【0045】
4 駆動回路
5 電池パック
6 トリガスイッチ
7 CPU(制御回路)
8 ドライブ回路(制御回路)
10 切換スイッチ
E 電池電源
M 直流モータ
SW1 電源スイッチ
SW2 スイッチング素子
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−6548(P2008−6548A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180261(P2006−180261)