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【発明の名称】 打ち込み工具のフック装置
【発明者】 【氏名】永田 智一

【氏名】窪 浩二

【氏名】粟飯原 泰宣

【要約】 【課題】フックのボディからの出幅の変更と左右の付け替えが可能なフック装置。

【構成】打込み工具のボディ1の一端に形成されたグリップ2の後部にフック支持部材10を固定し、このフック支持部材10に、引っ掛け部17とスライド軸部18とを屈曲状にして連結したフック11を取り付けた打ち込み工具のフック装置であって、上記フック支持部材10には、左右に貫通する嵌合孔13を形成し、この嵌合孔13に上記フックのスライド軸部18を摺動自在に嵌合した。フック支持部材10とスライド軸部18の一方にはスナップフィット21、22を、他方にはスナップフィット21、22に係合可能な係合部15を形成するようにしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打込み工具のボディの一端に形成されたグリップの後部にフック支持部材を固定し、このフック支持部材に、引っ掛け部とスライド軸部とを屈曲状にして連結したフックを取り付けた打ち込み工具のフック装置であって、
上記フック支持部材には、左右に貫通する嵌合孔を形成し、この嵌合孔に上記フックのスライド軸部を摺動自在に嵌合した
ことを特徴とする打ち込み工具のフック装置。
【請求項2】
上記フック支持部材とスライド軸部には、上記スライド軸部を上記フック支持部材に一時的に止める停止機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の打ち込み工具のフック装置。
【請求項3】
上記停止機構がスナップフィット機構である、請求項2に記載の打ち込み工具のフック装置。
【請求項4】
上記スライド軸部の端部には、上記フック支持部材からの抜け止め部材を、素手で着脱可能に設けたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の打ち込み工具のフック装置。
【請求項5】
上記フック支持部材およびスライド軸部がそれぞれ円筒状に形成されているとともに、回り止めが形成されていることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載の打ち込み工具のフック装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、釘打機、ねじ締め機等の打ち込み工具を持ち運ぶ際に作業者のベルトや脚立、足場等に引っ掛けるためのフック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、釘打機やねじ打ち機やねじ締め機などの打ち込み工具を釘打ち込み作業の現場に持ち運ぶ場合、例えば作業の必要上両手を使う必要がある場合に、打ち込み工具を作業者のベルトや腰袋あるいは脚立、足場等に引っ掛けておくことがある。この場合、フックの工具ボディからの出幅は、打ち込み工具をベルトに掛けるような場合は幅が狭い方がよい。しかし、例えば脚立や足場に引っ掛けるような場合は幅が広い方がよい。また、利き手によって引っ掛け部が工具の右側にある方が作業しやすい場合と左側にある方がよい場合とがある。このように、フックは幅や取り付け位置を変更できるようにするのが好ましい。
【0003】
そこで、フックの打込み工具のボディからの出幅を変えることができるようにしたものとして、フックを回転させることによって上記出幅を変更できるようにしたもの(特許文献1)や、フックに取り付け穴を2個設け、いずれかを選択し、ボルトで固定することによりフック出幅を変更できるようにしたものが知られている。また、フックの取り付け位置を変更できるようにしたものとしては、特許文献2のように、フックのボルトを外して付け替え、ボルトで固定するようにしたものが知られている。
【特許文献1】特開2001−162566号公報
【特許文献2】特開2003−165071公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、部品構成が複雑でコストが高い。また、ボルトの取外し、取付けでフックのボディからの出幅を変えるものは、幅変更に工具を必要とするので、取り扱いが面倒である。特許文献2の場合も、同様である。
【0005】
さらに、フックは釘打機のボディの外側にむき出しの状態になっているため、金属製のものは、ねじ締め等の作業中に対象となる材料に強く接触したり、作業現場では釘打機を使用しないときに一時的に被打ち込み材の表面におくことがあり、このときに不注意に置いたり、打ち込み工具が手から滑り落ちたりしたとき、その衝撃で対象部材の表面を傷つけることがあるほか、フックが曲がったり、破損したりすることがある。
【0006】
本発明は上記欠点を解消し、フックの打込み工具のボディからの出幅の変更と左右の付け替えが可能であるとともに、対象部材を傷つけにくい打ち込み工具のフック装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、打込み工具のボディの一端に形成されたグリップの後部にフック支持部材を固定し、このフック支持部材に、引っ掛け部とスライド軸部とを屈曲状にして連結したフックを取り付けた打ち込み工具のフック装置であって、上記フック支持部材には、左右に貫通する嵌合孔を形成し、この嵌合孔に上記フックのスライド軸部を摺動自在に嵌合したことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記フック支持部材とスライド軸部には、上記スライド軸部を上記フック支持部材に一時的に止める停止機構を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項2において、上記停止機構がスナップフィット機構であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1、2又は3において、上記スライド軸部の端部には、上記フック支持部材からの抜け止め部材を、素手で着脱可能に設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1、2、3又は4において、上記フック支持部材およびスライド軸部がそれぞれ円筒状に形成されているとともに、回り止めが形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、グリップとマガジンとを連結する連結部に、左右に貫通する嵌合孔を有する筒状の合成樹脂製フック支持部材を固定し、このフック支持部材に、上記フックのスライド軸部を摺動自在に嵌合したから、スライド軸部を右から嵌合しても左から嵌合しても取り付けることができる。したがって、利き手に応じて付け替えができ、引っ掛ける対象に応じてフックの打込み工具のボディからの出幅を変更することができるから、作業者にとって非常に便利である。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、スライド軸部をフック支持部材に一時的に止める停止機構が設けられているので、フックの打込み工具のボディからの出幅を調整することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、スライド軸部はスナップフィット機構によって一時的に止められるので、請求項2による効果のほか、クリック感があるので、位置が切り替ったことを確実に認識することができ、操作感がよい。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、スライド軸部の端部には、フック支持部材の筒部からの抜け止め部材を素手で着脱可能に設けたから、工具を使用しなくても左右の付け替えを容易に行うことができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、フック支持部材およびスライド軸部がそれぞれ円筒状に形成されているとともに、回り止めが形成されているから、スナップフィットには回転による力が加わらない。したがって、スライド軸部とスナップフィットを合成樹脂から形成した場合でも、スナップフィットが破損するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では打込み工具として釘打機を例示する。図1は釘打機の一部を省略した側面図であり、図2は要部の平面図である。
【0018】
この釘打機はボディ1の後側にグリップ2を連接し、ボディ1の下方にはノーズ部3を設け、ノーズ部3の後方にマガジン4を備えたもので、エアコンプレッサからの圧縮空気をグリップ2の後端部から取り入れ、この圧縮空気を駆動源としてボディ1内の打撃機構を駆動し、マガジン4からノーズ部3に供給された釘を打撃して被打込み材に打ち込むものである。
【0019】
上記グリップ2の後端とファスナーを装填するマガジン4の後部とを連結する連結部6にはフックユニットFが取り付けられている。連結部6は図3に示されるように、中心から一側にずれた位置に設けられ、中央にはボルト7の挿通孔8aが形成され、一側には凹部9が形成されている。
【0020】
次に、フックユニットFは図4〜図6に示されるように、フック支持部材10とフック11とから構成されている。
【0021】
フック支持部材10は上記連結部6の一側に対面する部位に、ボルトの挿通孔8bと上記凹部9に係合する凸部12とを形成し、また、後方に突出する部位には左右に貫通する嵌合孔13を形成したもので、上記凸部12を連結部6の凹部9に係合し、両挿通孔8a、8bにボルト7を貫通させてナット14で締結することで上記連結部6に固定されている。
【0022】
また、フック支持部材10には、上記嵌合孔13の内面の中途部に、後述のスナップフィットに係合するための係合部15が形成されている。係合部15は左右両側に形成されている。係合部15は孔でも凹みでもよい。さらに、嵌合孔13の内面には、その上下両側の長手方向に沿って凹条16が形成されている。フック支持部材10は合成樹脂又は金属から形成すればよい。
【0023】
次に、フック11は合成樹脂製部材で、引っ掛け部17とスライド軸部18とを屈曲状に連結することにより略L字形に形成したもので、引っ掛け部17は先細で細長の棒状に形成されている。スライド軸部18は引っ掛け部17の基部から直交方向に連続して延びる筒状部で、フック支持部材10の嵌合孔13に摺動自在に嵌合可能な大きさに形成されている。
【0024】
また、フック支持部材10とスライド軸部18には、スライド軸部18をフック支持部材10に一時的に止める停止機構として、フック支持部材10の係合部15と協働するスナップフィット機構が設けられている。すなわち、スライド軸部18の上下部に、その長手方向に沿って第1のスナップフィット21と第2のスナップフィット22が形成されている。各スナップフィット21、22は、スライド軸部18の上下部の肉を細長U字状に切り込んだ切込み20の内側に形成され、先端には顎部23が外側に突出形成されている。顎部23の前後面24、25はいずれも傾斜面として形成されている。また、スライド軸部18の内面には、その左右両側の長手方向に沿って、上記嵌合孔13の左右の凹条16に嵌合可能な凸条26が形成されている。
【0025】
なお、第1のスナップフィット21と第2のスナップフィット22の顎部23間の間隔は、上記フック支持部材10の幅とほぼ同じになるように設定されている。
【0026】
さらに、上記スライド軸部18の遊端部の外周には係止溝27が形成され、この係止溝27にはエンドキャップ28が着脱自在に係止されている。エンドキャップ28は図6に示されるように、断面がコ字形で、内面には上記係止溝27に係止可能な係止部29が形成されている。エンドキャップ28はスライド軸部18の外れ止め機能も併せ持っている。また、エンドキャップ28は強く引くことによって比較的簡単に外れるようになっている。
【0027】
上記構成のスライド軸部18をフック支持部材10に装着するときは、スライド軸部18の端部からエンドキャップ28を素手で外し、この端部からフック支持部材10の嵌合孔13に嵌め入れる。このとき、スライド軸部18の凸条26が嵌合孔13の凹条16と係合するようにする。この状態で、少し摺動させると手前の第1のスナップフィット21の先端の顎部23がフック支持部材10の係合部15に飛び込んで係合する。これが進入抵抗となり、スライド軸部18はこの位置で安定して保持される。装着後はエンドキャップ28を強く押し込んで係止溝27に係止させればよい。
【0028】
ところで、顎部23の前後面24、25は傾斜し、係合部15との係合は緩やかなので、スライド軸部18を強く押し引きすると、上記係合は外れ、さらにスライド軸部18を摺動させることができる。そして、第2のスナップフィット22の先端の顎部23がフック支持部材10の係合部15に係合し、この位置で安定して保持される。
【0029】
また、スライド軸部18が左右方向に摺動するとき、その内面に形成された凸条26が嵌合孔13の凹条16と係合しているので、凸条26と凹条16とが回り止めとなり、引っ掛け部17の角度やスナップフィットと係合部15との位置が変わることはない。
【0030】
上述の構成によれば、フック11の打込み工具のボディ1からの出幅を小さくしたいときは、図2及び図3のように、フック支持部材10の係合部15に第1のスナップフィット21の顎部23を係合させ、フック11の出幅を中間程度にしたいときは図7及び図8のように、第1のスナップフィット21と第2のスナップフィット22との間にフック支持部材10が位置するようにする。フック支持部材10の幅は第1のスナップフィット21と第2のスナップフィット22の顎部23間の間隔とほぼ同じになるように設定されているから、スライド軸部18はこの位置で安定する。さらに、フックの出幅を大きくしたいときは、図9及び図10に示されるように、フック支持部材10の係合部15に第2のスナップフィット22の顎部23を係合させればよい。
【0031】
このように、フック11のスライド軸部18を摺動させて適当な位置にある第1又は第2のスナップフィット21、22と係合部15を係合させることにより、引っ掛ける対象に応じてフック11のボディ1からの出幅を変更することができる。しかも、顎部23が係合部15に飛び込んだときにクリック感があるので、位置が切り替ったことを確実に認識することができ、操作感がよい。
【0032】
また、フック支持部材10およびスライド軸部18には凸条26と凹条16による回り止めが形成されているから、第1および第2のスナップフィット21、22には回転による力が加わらない。したがって、これらのスナップフィットが破損するのを防止することができるとともに、引っ掛け部17の角度やスナップフィットと係合部15との位置が変わることがない。
【0033】
さらに、フック支持部材10とフック11はいずれも合成樹脂から成形できるから、安価であるとともに、工具が倒れたりしてフック11が化粧材や表面材などの対象部材の上に当たっても、傷をつけることがない。
【0034】
次に、フック11を左右に付け替えるときは、図3に示すエンドキャップ28を外した後、スライド軸部18をフック支持部材10から引き出し、図11のようにフック支持部材10の嵌合孔13の反対側の開口部から嵌め入れ、エンドキャップ28を取り付ければよい。この場合、図12に示されるように、第1および第2のスナップフィット21、22はフック支持部材10の反対側の係合部15に係合可能となる。このように、スライド軸部18を右から嵌合しても左から嵌合しても取り付けることができるから、作業者の利き手に応じて付け替えができる。しかも、エンドキャップ28を外すのに工具は必要ない。素手で外すことができるから、面倒がなく、取り扱いが容易である。
【0035】
もちろん、フックの出幅も上述と同じ要領で変えればよい。
【0036】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、次に示すような形態も含まれる。
【0037】
例えば、スライド軸部18の回り止めは、凹条16と凸条26の位置が逆でもよく、またスライド軸部18とフック支持部材10とを角筒のように断面を非円形に形成する構成であってもよい。
【0038】
また、スライド軸部18の外れ止めは、弾性を有する部材、例えばOリングのようなものでもよい。E止め輪のようなものでもよい。
【0039】
さらに、スナップフィット機構として、スナップフィットの数は2個に限定されない。図13(a)(b)(c)に示すように1個のスナップフィット30を設けただけでもよく、3個以上であってもよい。また、フック支持部材の方にスナップフィットを形成し、スライド軸部に複数の係合部を形成する構成であってもよい。なお、スライド軸部18にはフックは省略されている。以下の形態も同様である。
【0040】
加えて、スナップフィットはフック11のスライド軸部18と一体に形成されている必要はない。図14に示すように、金属バネ材31をスナップフィットのように折り曲げて合成樹脂製のスライド軸部18に押し込み固定する構成であってもよい。
【0041】
なお、スライド軸部を上記フック支持部材に一時的に止める停止機構は上述のスナップフィット機構に限定されない。例えば、図15に示されるように、フック支持部材10の嵌合孔13の内周面には内周溝32を形成するとともに、スライド軸部18の外周面には一定の間隔で外周溝33を形成し、フック支持部材の内周溝32内に保持したOリング34がスライド軸部18の外周溝33に係合したときに停止され、さらに強く押し引きすることにより停止状態が解除されるとする構成であってもよい。
【0042】
また、図16(a)(b)(c)に示されるように、フック支持部材10の壁にネジ穴35を形成し、このネジ孔35からネジ36を締めこんでその先端をスライド軸部18の外面に強く押し付けることにより停止し、さらにネジ36を緩めることにより停止状態を解除するとする構成であってもよい。この場合は、フック支持部材10を金属から形成するのが好ましい。
【0043】
そのほか、フックユニットFの取り付け位置も、上述のようにグリップ2の後端とファスナーを装填するマガジン4の後部とを連結する連結部6に限定されない。図17(a)(b)のように、グリップ2の後端に配置する構成であってもよい。
【0044】
また、本発明のフックユニットFを取り付ける対象は、釘打機でなくてもよい。ネジ打ち機やネジ締め機等の打ち込み工具にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態に係る釘打機の概要を示す側面図
【図2】図1の要部の平面図
【図3】図1のA−A線上の断面図
【図4】フックユニットの正面図
【図5】図4のB−B線上の断面図
【図6】図4のC−C線上の断面図
【図7】フックの出幅を中間程度にしたときの要部の平面図
【図8】図7のD−D線上の断面図
【図9】フック出幅を広くしたときの要部の平面図
【図10】図9のE−E線上の断面図
【図11】フックを付け替えた状態の要部の平面図
【図12】図11の縦断面図
【図13】(a)(b)(c)は別のスナップフィットの実施形態とその作動状態説明図
【図14】スナップフィットを金属バネ材から形成した状態の要部の断面図
【図15】停止機構の他の実施形態を示す要部の断面図
【図16】(a)(b)(c)は停止機構の他の実施形態を示す要部の断面図
【図17】(a)(b)はフックユニットの取付位置を変更した他の実施形態の側面図及び要部を断面で示した拡大平面図
【符号の説明】
【0046】
A フックユニット
1 ボディ
2 グリップ
3 ノーズ部
4 マガジン
10 フック支持部材
11 フック
13 嵌合孔
15 係合部
17 引っ掛け部
18 スライド軸部
21 第1のスナップフィット
22 第2のスナップフィット
28 エンドキャップ
【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫


【公開番号】 特開2008−841(P2008−841A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171963(P2006−171963)