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ハンマドリル - 特開2008−183633 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ハンマドリル
【発明者】 【氏名】古澤 正規

【氏名】糟谷 喜洋

【要約】 【課題】ハンマドリルにおいて、駆動モード切替機構の操作性の向上に資する技術を提供する。

【解決手段】ハンマモード、ドリルモード、およびハンマドリルモード間で、駆動モードの切り替えを行なう駆動モード切替機構153を有する。駆動モード切替機構153は、作業者により所定の回動軸線P回りに回動可能とされた操作部155を有し、操作部155が周方向の第1の回動位置191aに回動動作されたときにはハンマモードが選択され、周方向の第2の回動位置193bに回動動作されたときにはドリルモードが選択され、周方向の第3の回動位置193cに回動動作されたときにはハンマドリルモードが選択される構成とされる。そして操作部155は、回動軸線P回りに360度の回動動作が可能とされるとともに、左右いずれの方向にも回動することが可能とされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ビットと、
前記工具ビットを長軸方向に直線駆動する第1の駆動機構部と、
前記第1の駆動機構部に設けられ、駆動力を伝達する動力伝達状態と駆動力の伝達を遮断する動力遮断状態との間で切り替えられる第1のクラッチ機構と、
前記工具ビットを長軸方向回りに回転駆動する第2の駆動機構部と、
前記第2の駆動機構部に設けられ、駆動力を伝達する動力伝達状態と駆動力の伝達を遮断する動力遮断状態との間で切り替えられる第2のクラッチ機構と、
前記工具ビットが長軸方向に打撃動作するハンマモード、長軸方向回りに回転動作するドリルモード、および打撃動作と回転動作とを行うハンマドリルモード間で、前記工具ビットの駆動モードの切り替えを行なう駆動モード切替機構と、を有するハンマドリルであって、
前記駆動モード切替機構は、
作業者により所定の回動軸線回りに回動可能とされた操作部と、
前記操作部の回動動作によって動作され、前記第1のクラッチ機構の状態の切り替えを行う第1の切替部材と、
前記操作部の回動動作によって動作され、前記第2のクラッチ機構の状態の切り替えを行う第2の切替部材と、を有し、
前記操作部は、その周方向において少なくとも3つの回動位置が設定されており、前記操作部が周方向の第1の回動位置に回動動作されたときには、前記第1のクラッチ機構が前記第1の切替部材によって動力伝達状態に切り替えられるともに、前記第2のクラッチ機構が前記第2の切替部材によって動力遮断状態に切り替えられ、これにより前記工具ビットの駆動モードとして前記ハンマモードが選択され、
前記操作部が周方向の第2の回動位置に回動動作されたときには、前記第1のクラッチ機構が動力遮断状態に切り替えられるともに、前記第2のクラッチ機構が前記第2の切替部材によって動力伝達状態に切り替えられ、これにより前記工具ビットの駆動モードとして前記ドリルモードが選択され、
前記操作部の周方向の第3の回動位置に回動動作されたときには、前記第1のクラッチ機構が前記第1の切替部材によって動力伝達状態に切り替えられるともに、前記第2のクラッチ機構が前記第2の切替部材によって動力伝達状態に切り替えられ、これにより前記工具ビットの駆動モードとしてハンマドリルモードが選択される構成とされ、
前記操作部は、前記回動軸線回りに360度の回動動作が可能とされるとともに、左右いずれの方向にも回動することが可能とされていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項2】
請求項1に記載のハンマドリルであって、
作業者によって選択されるモードとして、前記各モードに加え、作業者が手動で前記工具ビットの回転を操作可能なニュートラルモードを更に有し、
前記操作部の回動動作に関し、前記第1の回動位置と第2の回動位置の間、および前記第1の回動位置と第3の回動位置との間に、前記ニュートラルモードが選択される第4および第5の回動位置が設定され、前記操作部が前記第4および第5の回動位置に回動動作されたときには、前記第2のクラッチ機構が前記第2の切替部材によって動力遮断状態に切り替えられることを特徴とするハンマドリル。
【請求項3】
請求項1または2に記載のハンマドリルであって、
前記ハンマモードが選択される第1の回動位置、前記ドリルモードが選択される第2の回動位置、および前記ハンマドリルが選択される第3の回動位置が、前記回動軸線の周方向において等間隔に設定されていることを特徴とするハンマドリル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、工具ビットが、長軸方向に打撃動作するハンマモード、長軸方向回りに回転動作するドリルモード、および打撃動作と回転動作とを行うハンマドリルモード間で駆動モードの切り替えを行なう駆動モード切替機構を有するハンマドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような3つのモードの切り替えを行う駆動モード切替機構を備えたハンマドリルは、例えば特開2002−192481号公報(特許文献1)に開示されている。公報に記載された従来のハンマドリルは、作業者により所定の回動軸線回りに回動操作される駆動モード切替用の切替レバーを有し、この切替レバーの回動動作に伴い、当該切替レバーに設けた第1の偏心ピンによって動作される第1の切替部材を介して打撃動力伝達機構部中のクラッチを動力伝達状態あるいは動力遮断状態に切り替え、また第2の偏心ピンによって動作される第2の切替部材を介して回転動力伝達機構部中のクラッチを動力伝達状態あるいは動力遮断状態に切り替える構成としている。このような構成によると、切替レバーが180度を超えて更に回動された場合、切替レバーの回動操作によって動作される打撃動作用のクラッチを切り替える機構と回転動作用のクラッチを切り替える機構が互いに干渉することになる。このため、公報に記載のハンマドリルでは、工具ビットが打撃動作と回転動作とを行うハンマドリルモードが選択される位置を基準にして、切替レバーが右回りに所定角度回動された位置では工具ビットが打撃動作のみを行うハンマモードが選択され、左回りに所定角度回動された位置では工具ビットが回転動作のみを行うドリルモードが選択される構成としている。
【0003】
しかしながら、公報に記載された従来の3モードのモード切替を行う駆動モード切替機構の場合、切替レバーを、ハンマドリルモード位置を基準として左右に回動することでモードの切り替えを行なう方式であり、ハンマモードとドリルモードの中間位置に必ずハンマドリルモードが存在する。このため、ハンマモードからドリルモードに切り替える際、およびドリルモードからハンマモードに切り替える際、ハンマドリルモードを飛び越えなければならず、しかもそのときの回動動作量としては、機構上180度を超える必要がある。すなわち、従来の駆動モード切替機構の場合、切替操作性の面において、なお改良すべき余地がある。
【特許文献1】特開2002−192481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる点に鑑み、ハンマドリルにおいて、駆動モード切替機構の操作性の向上に資する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明に係るハンマドリルの好ましい形態は、工具ビットと、工具ビットを長軸方向に直線駆動する第1の駆動機構部と、第1の駆動機構部に設けられ、駆動力を伝達する動力伝達状態と駆動力の伝達を遮断する動力遮断状態との間で切り替えられる第1のクラッチ機構と、工具ビットを長軸方向回りに回転駆動する第2の駆動機構部と、第2の駆動機構部に設けられ、駆動力を伝達する動力伝達状態と駆動力の伝達を遮断する動力遮断状態との間で切り替えられる第2のクラッチ機構と、駆動モード切替機構とを有する。駆動モード切替機構は、工具ビットが長軸方向に打撃動作するハンマモード、長軸方向回りに回転動作するドリルモード、および打撃動作と回転動作とを行うハンマドリルモード間で、工具ビットの駆動モードの切り替えを行なうように構成される。
【0006】
本発明の駆動モード切替機構は、作業者により所定の回動軸線回りに回動可能とされた操作部と、操作部の回動動作によって動作され、第1のクラッチ機構の状態の切り替えを行う第1の切替部材と、操作部の回動動作によって動作され、第2のクラッチ機構の状態の切り替えを行う第2の切替部材と、を有する。
操作部は、その周方向において少なくとも3つの回動位置が設定されており、操作部が周方向の第1の回動位置に回動動作されたときには、第1のクラッチ機構が第1の切替部材によって動力伝達状態に切り替えられるともに、第2のクラッチ機構が第2の切替部材によって動力遮断状態に切り替えられ、これにより工具ビットの駆動モードとしてハンマモードが選択され、また操作部が周方向の第2の回動位置に回動動作されたときには、第1のクラッチ機構が第1の切替部材によって動力遮断状態に切り替えられるともに、第2のクラッチ機構が第2の切替部材によって動力伝達状態に切り替えられ、これにより工具ビットの駆動モードとして前記ドリルモードが選択され、さらに操作部が周方向の第3の回動位置に回動動作されたときには、第1のクラッチ機構が第1の切替部材によって動力伝達状態に切り替えられるともに、第2のクラッチ機構が第2の切替部材によって動力伝達状態に切り替えられ、これにより工具ビットの駆動モードとしてハンマドリルモードが選択される構成とされている。
【0007】
本発明における駆動モード切替機構の操作部は、回動軸線回りに360度の回動動作が可能とされ、かつ左右いずれの方向にも回動することが可能とされている。このように、本発明によれば、操作部につき、360度の回動動作、すなわち周回動作が可能で、しかも左右いずれの方向にも回動できる構成としたことにより、作業者は、ハンマモード、ドリルモード、ハンマドリルモードとの3モード間での駆動モードの切り替えを行う際、操作部を、駆動モードを規定する(表示する)所望の回動位置に向って右回りあるいは左回りに回動して駆動モードを直ちに選択することができる。つまり、不用な駆動モード位置を経由することなく、最短の回動動作量で所望の駆動モードを選択できる。このため、モード切替時の操作性を向上することが可能となる。
【0008】
また本発明に係るハンマドリルの更なる形態においては、作業者によって選択されるモードとして、前記各モードに加え、作業者が手動で工具ビットの回転を操作可能なニュートラルモードを更に有する。ここで「回転を操作可能」とは、作業者が工具ビットの先端を手指で掴んで周方向に回動できるようにすることをいう。そして操作部の回動動作に関し、第1の回動位置と第2の回動位置の間、および第1の回動位置と第3の回動位置との間に、ニュートラルモードが選択される第4および第5の回動位置が設定され、操作部が第4あるいは第5の回動位置に回動動作されたときには、第2のクラッチ機構が第2の切替部材によって動力遮断状態に切り替えられる構成としている。
ハンマドリルでは、ハンマモードで加工作業を行う場合には、加工作業中に工具ビットが周方向に無用な動き(回動)をしないように周方向の回転規制(バリオロック)を行う構成を備えているのが一般的である。このため、作業者は工具ビットの駆動モードをハンマモードに切り替える際には、上記の回転規制に先立って工具ビットの先端の向きを調整する。すなわち、作業者はニュートラルモードに切り替えた状態で工具ビットを掴んで先端の向き調整を行った後、当該ニュートラルモードからハンマモードへと切り替えることになる。本発明によれば、操作部の回動動作により、ドリルモードからハンマモードに切り替える場合、およびハンマドリルモードからハンマモードに切り替える場合のいずれにおいても、最短距離でニュートラルモードを経由するため、操作部による切替動作を無駄無く合理的に行うことができる。
【0009】
また本発明に係るハンマドリルの更なる形態においては、ハンマモードが選択される第1の回動位置、ドリルモードが選択される第2の回動位置、およびハンマドリルが選択される第3の回動位置が、回動軸線の周方向において等間隔に設定されている。このような構成を採用することにより、いずれの回動位置に切り替える場合であっても操作部の回動動作量が均等となり、使い易い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ハンマドリルにおいて、駆動モード切替機構の操作性の向上に資する技術が提供されることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態につき、図1〜図13を参照しつつ詳細に説明する。図1は本実施の形態に係る電動式のハンマドリルの全体構成を示す側断面図である。図1に示すように、本実施の形態に係るハンマドリル101は、概括的に見て、ハンマドリル101の外郭を形成する本体部103と、当該本体部103の先端領域(図示左側)に便宜上図示しない中空状のツールホルダを介して着脱自在に取付けられたハンマビット119と、本体部103のハンマビット119の反対側に連接された作業者が握るハンドグリップ109とを主体として構成されている。ハンマビット119は、ツールホルダによってその長軸方向への相対的な直線動作が可能に、かつその周方向への相対的な回転が規制された状態で保持される。本体部103によって「作業工具本体」が構成される。ハンマビット119は、本発明における「工具ビット」に対応する。なお説明の便宜上、ハンマビット119側を前、ハンドグリップ109側を後という。
【0012】
本体部103は、駆動モータ111を収容したモータハウジング105と、運動変換機構113、打撃要素115および動力伝達機構117を収容したギアハウジング107とによって構成されている。駆動モータ111の回転出力は、運動変換機構113によって直線運動に適宜変換された上で打撃要素115に伝達され、当該打撃要素115を介してハンマビット119の長軸方向(図1における左右方向)への衝撃力を発生する。また駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構117によって適宜減速された上でハンマビット119に伝達され、当該ハンマビット119が周方向に回転動作される。なお駆動モータ111は、ハンドグリップ109に配置されたトリガ109aの引き操作によって通電駆動される。運動変換機構113は、本発明における「第1の駆動機構部」に対応し、動力伝達機構117は、本発明における「第2の駆動機構部」に対応する。
【0013】
図2〜図5にはハンマドリル101の主要部を拡大した状態が断面図で示される。運動変換機構113は、駆動モータ111によって水平面内にて回転駆動される駆動ギア121、被動ギア123、クランク軸122、クランク板125、クランクアーム127、および駆動子としてのピストン129を主体として構成され、クランク軸122、クランク板125、クランクアーム127およびピストン129によってクランク機構114が構成されている。ピストン129は、シリンダ141内に摺動自在に配置されており、駆動モータ111が通電駆動されることに伴い当該シリンダ141に沿って直線動作を行う。
【0014】
クランク軸122は、当該クランク軸122の長軸方向がハンマビット119の長軸方向と交差する鉛直方向(上下方向)となるように配置され、このクランク軸122と被動ギア123との間にクラッチ部材124が配置されている。クラッチ部材124は、運動変換機構113におけるクラッチ機構を構成するものであり、本発明における「第1のクラッチ機構」に対応する。クラッチ部材124は、長軸方向の一端(上端)に外張出し状のフランジ部124bを有する円筒状に形成されるとともに、クランク軸122上に長軸方向に相対移動可能に、かつ周方向には一体に回転するように取り付けられており、外周部にはクラッチ歯124aを有する。一方、被動ギア123には円形凹部が設けられ、この円形凹部の内周部にクラッチ歯123aが形成されている。クラッチ部材124は、クランク軸122上を長軸方向に移動することで当該クラッチ部材124のクラッチ歯124aが被動ギア123のクラッチ歯123aと噛み合い係合し、あるいは当該噛み合い係合が解除される構成とされる。すなわち、クラッチ部材124は、被動ギア123の駆動力をクランク軸122に伝達する動力伝達状態(図2および図3参照)と、駆動力の伝達を遮断する動力遮断状態(図4参照)との間で切り替え可能とされ、常時にはクラッチ歯124aが被動ギア123のクラッチ歯123aに噛み合い係合する方向に付勢バネ126によって付勢されている。なおクラッチ部材124の作動状態の切り替えについては、後述する。
【0015】
打撃要素115は、シリンダ141のボア内壁に摺動自在に配置された打撃子としてのストライカ143と、ツールホルダに摺動自在に配置されるとともに、ストライカ143の運動エネルギをハンマビット119に伝達する中間子としてのインパクトボルト145(図1参照)とを主体として構成される。ストライカ143は、ピストン129の摺動動作に伴うシリンダ141の空気室141aの空気バネを介して駆動され、ツールホルダに摺動自在に配置されたインパクトボルト145に衝突(打撃)し、当該インパクトボルト145を介してハンマビット119に打撃力を伝達する。
【0016】
動力伝達機構117は、駆動ギア121と噛み合い係合する中間ギア132、中間ギア132とともに回転する中間軸133、中間軸133とともに水平面内にて回転駆動される小ベベルギア134、当該小ベベルギア134に噛み合い係合して鉛直面内にて回転する大ベベルギア135、当該大ベベルギア135に噛み合い係合して回転駆動されるスライドスリーブ147を主体として構成される。そしてスライドスリーブ147の回転駆動力は、当該スライドスリーブ147とともに回転するシリンダ141を介してツールホルダに伝達され、更には当該ツールホルダに保持されたハンマビット119へと伝達される。なおスライドスリーブ147は、シリンダ141上をハンマビット長軸方向に相対移動が可能とされ、かつ周方向には一体に回転するように構成されている。
【0017】
スライドスリーブ147は、動力伝達機構117におけるクラッチ機構を構成するものであって、本発明における「第2のクラッチ機構」に対応する。スライドスリーブ147は、長軸方向の一端(後端)外周部にクラッチ歯147aを有し、シリンダ141に対し後方(ハンドグリップ側)へと相対移動したときには、大ベベルギア135に形成されたクラッチ歯135aに噛み合い係合し、前方(ハンマビット側)へと相対移動したときは、当該噛み合い係合が解除される構成とされる。すなわち、クラッチ部材としてのスライドスリーブ147は、大ベベルギア135の回転駆動力をシリンダ141に伝達する動力伝達状態(図3および図4参照)と、駆動力の伝達を遮断する動力遮断状態(図2および図5参照)との間で切替可能とされている。なおスライドスリーブ147は、常時には付勢バネ148によってクラッチ歯147aが大ベベルギア135のクラッチ歯135aに噛み合い係合する方向に付勢されている。スライドスリーブ147の作動状態の切り替えについては、後述する。
【0018】
またスライドスリーブ147は、長軸方向の他端側(前端側)に回転ロック用の歯147bを有する。そしてスライドスリーブ147は、前方へと移動されて動力遮断状態に切り替えられる際(ハンマビット119をハンマモードで駆動する際)、ギアハウジング107に対して周方向に固定状態に設けられたロックリング149の歯149aと噛み合い係合し、これによりシリンダ141、ツールホルダ、ハンマビット119の周方向の自由な動き(回転)を規制する、いわゆるバリオロックを行うことが可能とされる。
【0019】
上述した運動変換機構113および動力伝達機構117は、ギアハウジング107の内部空間であるクランク室151内に収容され、当該クランク室151内に封入された潤滑剤(グリース)によって摺動部位が潤滑される。
【0020】
次にハンマビット119の駆動モードを切り替える駆動モード切替機構153につき、図2〜図13を参照しつつ説明する。本実施の形態では、駆動モード切替機構153は、ハンマビット119に打撃動作のみを行わせるハンマモード、ハンマビット119に打撃動作と回転動作とを行わせるハンマドリルモード、ハンマビット119に回転動作のみを行わせるドリルモード、および作業者がハンマビット119を掴んで回転操作することを可能とするニュートラルモード間で切替可能とされる。
【0021】
駆動モード切替機構153は、図2〜図5に示すように、作業者によって操作されるモード切替部材155と、モード切替部材155の切替動作に基づきクランク機構114のクラッチ部材124を切り替え動作する第1切替機構157と、動力伝達機構117のスライドスリーブ147を切り替え動作する第2切替機構159とを主体として構成される。モード切替部材155は、本発明における「操作部」に対応する。モード切替部材155は、ギアハウジング107の上面の外側(図1における上側)、すなわち、クランク機構114の上方位置に配置されている。
【0022】
モード切替部材155は、図6〜図9に示すように、操作用グリップ155b付き円板155aからなり、ギアハウジング107に回動軸線P(図2〜図5参照)を中心として水平面内での360度の回動操作、すなわち周回操作可能に取り付けられている。ギアハウジング107側には、ハンマモード、ハンマドリルモード、ドリルモードの各位置を示す目印191a,191b,191c(図6〜図9に図柄で示される)が周方向に等間隔、すなわち120度間隔で標示されており、モード切替部材155を回動して当該目印191a,191b,191cのいずれかに操作用グリップ155bの指針を合わせることによってモード切替部材155を所定の駆動モードに切り替えることが可能とされる。ハンマモードを示す目印191aの位置が、本発明における「第1の回動位置」に対応し、ドリルモードを示す目印191bの位置が、本発明における「第2の回動位置」に対応し、ハンマドリルモードを示す目印191cの位置が、本発明における「第3の回動位置」に対応する。
【0023】
また図6〜図9に示すように、ハンマモードの位置を示す目印191aとドリルモードの位置を示す目印191bとの間、およびハンマモードの位置を示す目印191aとハンマドリルモードの位置を示す目印191cとの間の概ね真中には、それぞれニュートラルモードの位置を示す目印193a,193b(Nの符号)が標示される。ニュートラルモードを示す目印193a,193bの位置が、本発明における「第4および第5の回動位置」に対応する。図6にはモード切替部材155がハンマモードに切り替えられた(選択された)状態が示され、図7にはモード切替部材155がハンマドリルモードに切り替えられた状態が示され、図8にはモード切替部材155がドリルモードに切り替えられた状態が示され、図9にはモード切替部材155がニュートラルモードに切り替えられた状態が示される。
【0024】
第1切替機構157は、モード切替部材155がモード切り替えのために回動操作されたとき、第1偏心ピン167が回動部材166の回動軸線回りに回動(偏心回動)することでクランク機構114のクラッチ部材124を切り替えるように構成される。第1偏心ピン167は、本発明における「第1の切替部材」に対応する。第1切替機構157は、第1ギア161、第2ギア162、回動伝達軸163、第3ギア164、第4ギア165、回動部材166および第1偏心ピン167を主体として構成されている。
【0025】
第1ギア161は、作業者によってモード切替部材155が回動軸線P回りに水平面内で回動操作されるとき、当該モード切替部材155とともに水平面内にて回動動作するように設けられる。第2ギア162は、第1ギア161と噛み合い係合するとともに、モード切替部材155の回動軸線Pと平行な回動軸線回りに回動する回動伝達軸163の長軸方向一端部(上端部)に一体状に形成されている。回動伝達軸163は、その長軸方向がクランク軸122の長軸方向と平行、すなわち上下方向となるように配置されている。回動伝達軸163の長軸方向他端部(下端部)には、第3ギア164が一体状に形成されるとともに、当該第3ギア164は、回動部材166に一体状に形成された第4ギア165と噛み合い係合される。回動部材166は、その長軸方向が回動伝達軸163と直交する、すなわち水平方向となるように当該回動伝達軸163の下方側に配置される。第3ギア164および第4ギア165は、それぞれベベルギアによって構成され、互いに噛み合い係合されている。
【0026】
したがって、モード切替部材155がモード切り替えのために回動操作されると、第1ギア161、第2ギア162を介して回動伝達軸163が水平面内にて回動動作され、この回動伝達軸163の回動動作は、更に第3ギア164および第4ギア165を介して回動部材166に鉛直面内での回動動作として伝達される。第1偏心ピン167は、回動部材166の軸方向端面に当該回動部材166の回動軸線から所定量だけ偏心した位置に設けられている。第1偏心ピン167は、クラッチ部材124のフランジ部124bの下面と対向するよう配置されている。したがって、第1偏心ピン167は、回動部材166が鉛直面内にて回動されたとき、当該回動部材166の回動軸線回りを偏心回動する際の上下方向成分(クランク軸122の長軸方向成分)によってクラッチ部材124のフランジ部124bに係合しつつ当該クラッチ部材124をクランク軸122に沿って上下方向へと移動させ、これにより当該クラッチ部材124を動力伝達状態と動力遮断位置との間で切替動作する。第1ギア161、第2ギア162、回動伝達軸163、第3ギア164および第4ギア165によって切替動作伝達機構169が構成されている。
【0027】
なお第1切替機構157を構成する構成部材のうち、第1ギア161および第2ギア162については、クランク室151内に配置されるが、回動伝達軸163、第3ギア164、第4ギア165および回動部材166については、クランク室151の外側、すなわち、ギアハウジング107に形成された収容空間152に配置されている。クランク室151と収容空間152は、円形の開口部168によって連通されている。開口部168には当該開口部168を塞ぐように、回動部材166がその円形外周部を嵌合した状態で配置され、この嵌合状態において回転動作が可能とされている。偏心ピン167は、開口部168を通してクランク室151内に概ね水平状に延在されるとともに、クラッチ部材124のフランジ部124bの下面と対向するように配置される。なおモード切替部材155が360度回動されたとき、回動部材166が同じく360度回動されるように、第1ギア161、第2ギア162、第3ギア164、および第4ギア165の歯数が設定されている。
【0028】
モード切替部材155がハンマモード、ハンマドリルモードあるいはニュートラルモードに切り替えられたときに、第1偏心ピン167は、図2、図3あるいは図5に示すように、上下方向において、回動部材166の回動軸線と同位置または下方位置へと移動される。このときは、クラッチ部材124は、付勢バネ126によって下方へと移動され、クラッチ歯124aが被動ギア123のクラッチ歯123aと噛み合い係合する。すなわち、クラッチ部材124は、動力伝達状態に切り替えられる。一方、モード切替部材155がドリルモードに切り替えられたときに、第1偏心ピン167は、図4に示すように、上下方向において、回動部材166の回動軸線よりも上方位置へと移動される。このときは、クラッチ部材124は、偏心ピン167によって付勢バネ126の付勢力に抗して上方へと移動され、クラッチ歯124a,123aの噛み合い係合が解除される。すなわち、クラッチ部材124は、動力遮断状態に切り替えられる。
【0029】
次に第2切替機構159につき、主として図10〜図13を参照しつつ説明する。第2切替機構159は、モード切替部材155がモード切り替えのために操作されるとき、コ字形の枠部材173がシリンダ141の長軸方向に直線状に移動することによって動力伝達機構117のスライドスリーブ147を切り替え動作するように構成される。第2切替機構159は、クランク室151内に配置された可動部材としての平面視で概ねコ字形の枠部材173を主体として構成される。枠部材173は、本発明における「第2の切替部材」に対応する。
【0030】
枠部材173は、図10〜図13に示すように、シリンダ141の長軸方向と交差する方向に水平状に延在する基板部173aと、大ベベルギア135の外側空間部を通ってシリンダ141の長軸方向に水平状に延在される左右2本の脚部173bとによって構成されている。基板部173aは、延在方向の端部にそれぞれ連結ピン173cを有し、この連結ピン173cが脚部173bの凹部に係合することによって基板部173aと脚部173bがシリンダ141の長軸方向において一体となって移動する構成とされる。基板部173aには長円孔173dが形成され,この長円孔173dに第2偏心ピン175(図10〜図13に断面で示す)が係合されている。第2偏心ピン175は、前述した第1切替機構157の第1ギア161の下面において、当該第1ギア161の回動軸線から所定量だけ偏心した位置に設けられており、第1ギア161の回動軸線回りに回動される際、前後方向成分(シリンダ141の長軸方向成分)によって枠部材173をシリンダ141の長軸方向に移動させる構成とされる。
【0031】
したがって、モード切替部材155が切替動作されると、長円孔173cに係合した第2偏心ピン175によって枠部材173がシリンダ141の長軸方向に直線状に移動される。脚部173bは、大ベベルギア135の外側面領域を通って延在するとともに、その延在方向端部がスライドスリーブ147の外側に至る。この延在方向端部には、スライドスリーブ147の段部147cに対し延在方向において係合可能な係合端部173eが設けられている。係合端部173eは、脚部173bの端部を内側(スライドスリーブ147側)に折り曲げることで形成されている。
【0032】
モード切替部材155がハンマモードあるいはニュートラルモードに切り替えられたときには、枠部材173は、図2および図10あるいは図5および図13に示すように、第2偏心ピン175によって前方(図示左方)へと移動され、脚部先端の係合端部173eによってスライドスリーブ147の段部147cを付勢バネ148に抗して前方へと押す。これによりスライドスリーブ147は、大ベベルギア135から離間する前方へと移動され、当該スライドスリーブ147のクラッチ歯147aが大ベベルギア135のクラッチ歯135aから離間して噛み合い係合が解除される。すなわち、スライドスリーブ147が動力遮断状態に切り替えられる。なおモード切替部材155がニュートラルモードに切り替えられた図5および図13に示す状態では、スライドスリーブ147の回転ロック用の歯147bがロックリング149の歯149aに噛み合い係合しない構成とされる。つまりスライドスリーブ147は、ニュートラルモードでは大ベベルギア135およびロックリング149のいずれとも噛み合い係合しない。これにより、作業者によるハンマビット119を掴んでの回転操作を可能とする。またスライドスリーブ147がニュートラルモード位置よりも更に前方へと移動されるハンマモード位置では、図2および図10に示すように、当該スライドスリーブ147は、動力遮断状態に置かれると同時に回転ロック用の歯147bがロックリング149の歯149aに噛み合い係合し、これにより周方向の動きが規制される。つまり、バリオロックが作動する構成とされる。
【0033】
一方、モード切替部材155がハンマドリルモードまたはドリルモードに切り替えられると、枠部材173は、図3および図11あるいは図4および図12に示すように、第2偏心ピン175によって後方(図示右方)へと移動され、脚部先端の係合端部173eがスライドスリーブ147の段部147cから離間する。すると、スライドスリーブ147は、付勢バネ148の付勢力によって大ベベルギア135に接近する後方へと移動され、当該スライドスリーブ147のクラッチ歯147aが大ベベルギア135のクラッチ歯135aに噛み合い係合する。すなわち、スライドスリーブ147が動力伝達状態に切り替えられる。
【0034】
次に上記のように構成されたハンマドリル101の作用および使用方法を説明する。使用者がモード切替部材155を、回動軸線P回りに右回りあるいは左回りに約120度回動し、図7に示すハンマドリルモードあるいは図8に示すドリルモードから、図6に示すハンマモードに切替操作すると、第1切替機構157においては、第1ギア161、第2ギア162、回動伝達軸163、および第3、第4の各ギア164,165を介して回動部材166が回動される。これにより、図2に示すように、第1偏心ピン167は、ハンマドリルモード時あるいはドリルモード時の位置から見て、回動部材166の回動軸線回りに約120度回動して下方へと移動し、クラッチ部材124のフランジ部124bから離間する。このため、クラッチ部材124は付勢バネ126により被動ギア123に近接する下方へと移動され、当該クラッチ部材124のクラッチ歯124aが被動ギア123のクラッチ歯123aに噛み合い係合し、動力伝達状態に切り替えられる。
一方、第2切替機構159においては、第2偏心ピン175がハンマドリルモード時あるいはドリルモード時の位置から見て、第1ギア161の回動軸線回りに約120度回動し、枠部材173を前方(ハンマビット119側)へと移動させる。前方へ移動する枠部材173は、図2および図10に示すように、脚部173bの係合部端部173eによってスライドスリーブ147を前方へ押し、スライドスリーブ147のクラッチ歯147aが大ベベルギア123のクラッチ歯123aから離間され、スライドスリーブ147が動力遮断状態に切り替えられる。またスライドスリーブ147の回転ロック用の歯147bがロックリング149の歯147bに噛み合い係合し、バリオロックが作動する。
【0035】
なおハンマビット119をハンマモードで駆動する場合においては、それに先立って当該ハンマビット119を周方向につき所定の向きとなるように調整(位置決め)するが、この調整作業は、モード切替部材155を、ハンマモード位置とハンマドリルモード位置との間、およびハンマモード位置とドリルモード位置との間の中間位置に設定された図9の(A),(B)に示すニュートラルモード位置に切替操作した状態で行うことが可能とされる。このニュートラルモード位置では、第1切替機構157においては、図5に示すように、第1偏心ピン167がクラッチ部材124のフランジ部124bから離間した状態が保持される。このため、クラッチ部材124のクラッチ歯124aと被動ギア123のクラッチ歯123aとの噛み合い係合が維持される。一方、第2切替機構159においては、スライドスリーブ147のクラッチ歯147aと、大ベベルギア135のクラッチ歯135aとの噛み合い係合が解除されるとともに、スライドスリーブ147の回転ロック用の歯147bと、ロックリング149の歯149aとの噛み合い解除状態が維持される。このニュートラルモード状態でハンマビット119の先端の周方向の向きを調整後、モード切替部材155をハンマモードに切り替えると、スライドスリーブ147の回転ロック用の歯147bと、ロックリング149の歯149aが噛み合い係合して上述したバリオロック状態となり、ハンマビット119の向きを一定に保持した状態でハンマ作業を行うことが可能となる。
【0036】
このようにして、モード切替部材155をハンマモードに切り替えた状態で、トリガ109aを引き操作して駆動モータ111を通電駆動すると、駆動モータ111の回転運動は、クランク機構114によって直線運動に変換され、ピストン129がシリンダ141に沿って直線状に摺動動作される。そしてピストン129の摺動動作に伴う当該シリンダ141の空気室141a内の空気の圧力変化、すなわち空気バネの作用により、ストライカ143は、シリンダ141内を直線運動してインパクトボルト145に衝突し、その運動エネルギをハンマビット119に伝達する。このとき、動力伝達機構117のスライドスリーブ147が動力遮断状態に切り替えられているため、ハンマビット119は回転しない。このため、ハンマモードでは、ハンマビット119の打撃動作(ハンマ動作)のみによる所定のハンマ作業を遂行することができる。
【0037】
次にモード切替部材155を図6に示すハンマモードから図7に示すハンマドリルモードに切替操作すると、図3に示すように、第1切替機構157の第1偏心ピン167は、ハンマモード時の位置から見て、回動部材166の回動軸線回りに約120度回動し、クラッチ部材124のフランジ部124bに接近するが、当該フランジ部124bに対し当接または僅かな隙間を置いて対向するだけであり、押し上げるには至らない。このため、クラッチ部材124は、動力伝達状態が維持される。一方、第2切替機構159の第2偏心ピン175は、ハンマモード時の位置から見て、第1ギア161の回動軸線回りに約120度回動し、図11に示すように、枠部材173を後方へと移動させる。これにより枠部材173の係合端部173cがスライドスリーブ147から離間するため、当該スライドスリーブ147は、付勢バネ148の付勢力で大ベベルギア135側へと移動され、クラッチ歯147aが大ベベルギア135のクラッチ歯135aに噛み合い係合して動力伝達状態に切り替えられる。
【0038】
この状態において、ハンドグリップ109のトリガ109aを引き操作して駆動モータ111を通電駆動すると、ハンマモード時と同様、クランク機構114が駆動され、打撃要素115を構成するストライカ143およびインパクトボルト145を介してハンマビット119に運動エネルギが伝達される。一方、駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構117を介してシリンダ141に回転運動として伝達され、更にはシリンダ141に連結されたツールホルダおよび当該ツールホルダに相対回転が規制された状態で保持されるハンマビット119に回転運動として伝達される。すなわち、ハンマドリルモードでは、ハンマビット119が打撃動作(ハンマ動作)と回転動作(ドリル動作)とを複合した動作で駆動され、これにより被加工材に対し所定のハンマドリル作業を遂行することができる。
【0039】
次にモード切替部材155を、図7に示すハンマドリルモードから図8に示すドリルモードに切替操作したときは、第1切替機構157の第1偏心ピン167は、図4に示すように、ハンマドリルモード時の位置から見て、回動部材166の回動軸線回りに約120度回動して上下方向において最も高い位置へと移動し、クラッチ部材124のフランジ部124bを上方へ押し上げる。すなわち、クラッチ部材124は、被動ギア123から離間する上方へと移動され、当該クラッチ部材124のクラッチ歯124aが被動ギア123のクラッチ歯123aから離間して噛み合い係合が解除される。かくして、クラッチ部材124は、動力遮断状態に切り替えられる。一方、第2切替機構159の第2偏心ピン175は、ハンマドリルモード時の位置から見て、第1ギア161の回動軸線回りに約120度回動するが、このとき、図12に示すように、第2偏心ピン175は、枠部材173における基板部173aの長円孔173dの円弧領域を移動し、回動動作時の前後方向成分が枠部材173に伝達されない。このため、枠部材173は、ハンマドリルモード時と同じ位置に維持され、スライドスリーブ147が動力伝達状態に保持される。
【0040】
この状態において、ハンドグリップ109のトリガ109aを引き操作して駆動モータ111を通電駆動すると、クラッチ部材124が動力遮断状態に切り替えられているため、クランク機構114が駆動されず、ハンマビット119の打撃動作は行われない。一方、動力伝達機構117においては、スライドスリーブ147が動力伝達状態にあるため、駆動モータ111の回転出力は、ハンマビット119に回転運動として伝達される。すなわち、ドリルモードでは、ハンマビット119が回転動作(ドリル動作)のみで駆動され、これにより被加工材に対し所定のドリル作業を遂行することができる。
【0041】
本実施の形態に係る駆動モード切替機構153は、クランク機構114のクラッチ部材124を動力伝達状態と動力遮断状態とに切り替える第1切替機構157については、モード切替部材155が回動されるとき、当該モード切替部材155の回動動作を第1〜第4の複数のギア161,162,164,165を介して第1偏心ピン167に偏心回動動作として伝達し、当該第1偏心ピン167の上下方向の直線成分によってクラッチ部材124の切替えを行なう構成としている。他方、動力伝達機構117のスライドスリーブ147を動力伝達状態と動力遮断状態とに切り替える第2切替機構159については、モード切替部材155に設けた第2偏心ピン175が偏心回動する際の水平(前後)方向の直線成分によって枠部材173を前後方向に直線状に移動させ、これによりスライドスリーブ147の切り替えを行う構成とした。このような構成とすることにより、モード切替部材155が360度の回動動作を行う構成とした場合の、ハンマビット119の打撃動作系の「クラッチ機構」と回転動作系の「クラッチ機構」との切替機構に関する相互の機械的干渉を回避することが可能となる。
【0042】
すなわち、本実施の形態によれば、モード切替部材155が、回動軸線P回りに360度の回動動作が可能になるとともに、左右いずれの方向にも回動できる構成となる。このため、作業者は、ハンマモード、ドリルモード、ハンマドリルモードとの3モード間での駆動モードの切り替えを行う際、モード切替部材155を、駆動モードを示す所望の目印191a,191b,191cに向って回動することにより、所望のモードを最短距離で選択することができる。例えばハンマドリルモードからハンマモードへ切り替える場合であれば、図7において右回りに回動することによって、またドリルモードからハンマモードに切り替える場合であれば、図8において左回りに回動することによって、不用な駆動モード位置を経由することなく、少ない回動動作量、すなわち最短距離で所望の駆動モードを選択することが可能となり、モード切替時の操作性を向上できる。
【0043】
ハンマビット119を、当該ハンマビット119の周方向への回転を規制するハンマモードで駆動する場合には、当該ハンマモードを選択するに先立ってハンマビット119の先端の向きを調整することが行われる。すなわち、作業者はモード切替部材155を一旦ニュートラルモードに切り替えた状態でハンマビット119の先端の向き調整を行ってから、当該ニュートラルモードからハンマモードへと切り替えることになる。本実施の形態では、ハンマモードとハンマドリルモード間、およびハンマモードとドリルモード間に、それぞれニュートラルモードを設定し、当該ニュートラルモードの位置を目印193a,193bによって標示している。これにより、ハンマドリルモードからハンマモードへと切り替える場合、またドリルモードからハンマモードに切り替える場合のいずれにおいても、最短距離でニュートラルモードを経てハンマモードへと切り替えることが可能となる。すなわち、モード切替部材155によるモードの切替動作を無駄無く合理的に行うことができる。
【0044】
また本実施の形態では、モード切替部材155の回動動作によって切り替えられるハンマモード、ドリルモード、およびハンマドリルモードについて、当該モード切替部材155の回動軸線Pの周方向において等間隔、つまり120度の間隔で設定している。これにより、いずれのモードに切り替える場合であってもモード切替部材155の回動動作量が均等となり、使い易い。
【0045】
なお本実施の形態では、駆動モータ111の回転出力を直線運動に変換してストライカ143を駆動する機構として、クランク機構を用いた場合で説明したが、クランク機構に変えて、駆動モータ111によって回転駆動される回転軸に、当該回転軸の軸線に対して所定の傾斜角度で傾斜した状態で揺動板を取り付け、回転軸の回転に基づき揺動板が回転軸の軸方向に揺動動作を行う構成の揺動機構を採用しても構わない
【0046】
なお本発明の趣旨に鑑み、以下の態様を構成することが可能である。
(態様1)
「請求項1〜3のいずれかに記載のハンマドリルであって、
前記操作部が回動動作される際、前記操作部の回動動作に連動して当該操作部の回動軸線と異なる回動軸線回りに回動される回動部材を有し、前記第1の切替部材は、前記回動部材の回動軸線から偏心した位置に設けられた第1の偏心ピンによって構成され、前記第1の偏心ピンは、前記回動部材が回動する際、当該回動部材の回動軸線回りの偏心回動動作による直線成分によって前記第1のクラッチ機構の状態の切替えを行う構成とされ、
前記操作部は、回動軸線から偏心した位置に第2の偏心ピンを有し、前記第2の切替部材は、直線動作可能に配置された可動部材によって構成され、前記可動部材は、前記操作部が回動する際、当該操作部の回動軸線回りに偏心回動する前記第2の偏心ピンの直線成分によって直線動作して前記第2のクラッチ機構の状態の切替えを行なう構成とされていることを特徴とする作業工具。」
【0047】
態様1に記載の発明によれば、上記のように構成することにより、操作部を回動操作した際の、第1のクラッチ機構と第2のクラッチ機構との切替機構に関する相互の機械的干渉が回避されることになり、操作部の360度の回動動作、すなわち周回動作が可能となる。
【0048】
(態様2)
「請求項1〜3および態様1のいずれか1つに記載の作業工具であって、
前記第1の駆動機構部、前記第2の駆動機構部、前記第1のクラッチ機構、および前記第2のクラッチ機構を収容する作業工具本体を有し、前記操作部は、前記作業工具本体の上面に配置されていることを特徴とする作業工具。」
【0049】
態様1に記載の発明によれば、モード切替機構部の操作部を作業工具本体の上面に配置する構成とすることにより、作業工具本体の側面に配置する場合に比べて、当該操作部のモード切替操作を、作業者の利き手の如何に関係なく簡便に操作可能であり、利便性が向上する。
【0050】
(態様3)
「請求項1〜3および態様1、2のいずれか1つに記載の作業工具であって、
前記操作部における第1の回動位置が、工具の長軸方向に関し、操作部の回動軌跡における最も前方に定められ、当該第1の回動位置から右回りまたは左回りに選択的に回動されることで前記第1の回動位置よりも後方に設定された前記第2の回動位置または前記第3の回動位置が選択される構成としたことを特徴とする作業工具。」
【0051】
作業工具としてのハンマドリルにおいては、工具ビットを回転駆動する第2の駆動機構部に設けられ、動力伝達状態と動力遮断状態との間で状態の切り替えが行われる第2のクラッチ機構は、クラッチ部材の前方への移動で動力遮断状態に切り替えられ、クラッチ部材の後方への移動で動力伝達状態に切り替えられるように構成されている。態様3に記載の発明によれば、工具ビットの回転動作が不要なハンマモードを規定する第1の回動位置を前方位置とし、工具ビットの回転動作が必要なドリルモードおよびハンマドリルモードを規定する第2および第3の回動位置をそれぞれ第1の回動位置よりも後方に設定したことによって、操作部材の回動操作を前後方向の直線動作に変換してクラッチ機構の状態の切り替えを行う構成とする場合、当該切り替えのための機械的機構を合理的に構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係るハンマドリルの全体構成を示す側断面図である。
【図2】ハンマドリルの主要部を示す側断面図であり、ハンマモードに切り替えられた状態を示す。
【図3】ハンマドリルの主要部を示す側断面図であり、ハンマドリルモードに切り替えられた状態を示す。
【図4】ハンマドリルの主要部を示す側断面図であり、ドリルモードに切り替えられた状態を示す。
【図5】ハンマドリルの主要部を示す側断面図であり、ニュートラルモードに切り替えられた状態を示す。
【図6】モード切替部材を示す平面図であり、ハンマモードに切り替えられた状態を示す。
【図7】モード切替部材を示す平面図であり、ハンマドリルモードに切り替えられた状態を示す。
【図8】モード切替部材を示す平面図であり、ドリルモードに切り替えられた状態を示す。
【図9】モード切替部材を示す平面図であり、ニュートラルモードに切り替えられた状態を示す。
【図10】第2切替機構を示す平断面図であり、ハンマモードに切り替えられた状態を示す。
【図11】第2切替機構を示す平断面図であり、ハンマドリルモードに切り替えられた状態を示す。
【図12】第2切替機構を示す平断面図であり、ドリルモードに切り替えられた状態を示す。
【図13】第2切替機構を示す平断面図であり、ニュートラルモードに切り替えられた状態を示す。
【符号の説明】
【0053】
101 ハンマドリル
103 本体部
105 モータハウジング
107 ギアハウジング
109 ハンドグリップ
109a トリガ
111 駆動モータ
113 運動変換機構
114 クランク機構
115 打撃要素
117 動力伝達機構
119 ハンマビット(工具ビット)
121 駆動ギア
122 クランク軸
123 被動ギア
123a クラッチ歯
124 クラッチ部材
124a クラッチ歯
124b フランジ部
125 クランク板
126 付勢バネ
127 クランクアーム
128 軸受
129 ピストン
132 中間ギア
133 中間軸
134 小ベベルギア
135 大ベベルギア
135a クラッチ歯
141 シリンダ
141a 空気室
143 ストライカ
145 インパクトボルト
147 スライドスリーブ
147a クラッチ歯
147b 回転ロック用歯
147c 段部
148 付勢バネ
149 ロックリング
149a 歯
151 クランク室
152 収容空間
153 駆動モード切替機構
155 モード切替部材(操作部)
155a 円板
155b 操作用グリップ
157 第1切替機構
159 第2切替機構
161 第1ギア
162 第2ギア
163 回動伝達軸
164 第3ギア
165 第4ギア
166 回動部材
167 第1偏心ピン(第1の切替部材)
168 開口部
169 切替動作伝達機構
173 枠部材(第2の切替部材)
173a 基板部
173b 脚部
173c 連結ピン
173d 長円孔
173e 係合端部
175 第2偏心ピン
191a,191b,191c 目印(図柄による標示)
193a,193b 目印(符号による標示)
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成19年1月26日(2007.1.26)
【代理人】 【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸

【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行


【公開番号】 特開2008−183633(P2008−183633A)
【公開日】 平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願番号】 特願2007−16809(P2007−16809)