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【発明の名称】 打撃工具
【発明者】 【氏名】濱野 晃史

【氏名】寺西 明

【氏名】坂巻 一弥

【要約】 【課題】作業開始時の先端工具の押付け荷重を最小限に抑え、空打ちによる衝撃を防止する。

【解決手段】有底筒状のピストン2と、該ピストン2の内部に摺動自在に配置されたラム3と、ラム3の往復動時に衝撃的に当たることにより駆動されるセカンドハンマ4と、セカンドハンマ4により駆動される先端工具5とを備え、ピストン2とセカンドハンマ4と先端工具5とをシリンダ6にそれぞれ摺動自在に収容するとともに、ラム3が前方移動端から後方移動するときの通過抵抗となる干渉手段を設けた打撃工具において、セカンドハンマ4の前方に、セカンドハンマ4が前方に移動したときにセカンドハンマ4を収容したシリンダ6の前端部に衝撃的に当たるのを緩衝する緩衝機構を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピストンの往復動により空気室の空気圧変動を利用して打撃運動するラムと、先端工具に打撃を伝達するセカンドハンマを有し、上記ラムが非打撃位置から打撃位置に移動する時に通過抵抗となる干渉手段を上記セカンドハンマとラム間に配置した打撃工具において、
上記セカンドハンマの前方に、上記セカンドハンマが前方に移動したときにセカンドハンマを収容したシリンダの前端部に衝撃的に当たるのを緩衝する緩衝機構を設けた
ことを特徴とする打撃工具。
【請求項2】
上記緩衝機構に代え、上記セカンドハンマの後端と上記ラムとの間に、上記セカンドハンマが前方移動端位置から後方に移動するときの通過抵抗となる干渉手段を設けるとともに、上記セカンドハンマが上記干渉手段を越えて後方移動した後に、上記前方移動端にあるラムに当接するようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の打撃工具。
【請求項3】
上記緩衝機構に代え、セカンドハンマの後端と上記ラムとの間に、上記ラムを上記セカンドハンマの後端に当たる前に停止させる干渉部材を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の打撃工具。
【請求項4】
上記緩衝機構に代え、上記ピストンの前端開放部の内面に凹溝を形成し、上記ピストンが前端位置から後方に移動する際に、上記凹溝が上記ラムの外周に設けられたOリングを通過するようにしたことを特徴とする、請求項1に記載の打撃工具。
【請求項5】
上記緩衝機構に代え、上記セカンドハンマを前方移動端位置から後方に移動するときの通過抵抗となり、かつ、上記ラムを上記セカンドハンマの後端に当たる前に停止させる干渉手段を、上記セカンドハンマが上記干渉手段を越えて後方移動した後に、上記前方移動端にあるラムの前端部に当接するように配置したことを特徴とする、請求項1に記載の打撃工具。
【請求項6】
上記緩衝機構に代え、上記セカンドハンマが前方に移動したときにセカンドハンマを収容したシリンダの前端部に衝撃的に当るのを緩衝する緩衝機構を設け、上記セカンドハンマを前方移動端位置から後方に移動する時の通過抵抗となる干渉手段を設け、上記セカンドハンマが上記干渉手段を越えて後方移動し、上記前方移動端にあるラムが、上記干渉手段を越えて後方移動するように配置したことを特徴とする、請求項1に記載の打撃工具。
【請求項7】
上記先端工具の基部の外面に長手方向に沿って細長の凹面部を形成し、上記シリンダ部には、上記先端工具が前方移動端位置にあるときに上記凹面部の前端部に係合可能なスチールボールを常時上記凹面部に係合する方向に付勢して取り付けたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の打撃工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、打撃工具において空打ちしたときに工具本体やその内部部品に対して衝撃が伝達されて打撃工具の寿命が短くなるのを防止する打撃工具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、打撃工具の一例として挙げられるハンマドリルは、有底筒状のピストンと、該ピストンの内部に摺動自在に配置されたラムと、上記ピストンの前後往復動により上記ピストンとラムとの間に形成された空気室の空気圧変動により駆動されたラムの往復動時に衝撃的に当たることにより駆動されるセカンドハンマと、セカンドハンマの往復動時に衝撃的に当たることにより駆動される先端工具とを備えており、先端に設けた工具に対しモータから打撃機構と回転駆動機構を介して打撃と回転を同時に又は独立して伝達することが可能にしたものである。
【0003】
このように、打撃モードのある打撃工具では、特にコンクリートをはつるときなどには、コンクリートから先端工具(ビット)を離しても作動を停止させることなく作動状態を保持したまま次のはつり作業に移る場合が多いので、コンクリートから離れたときは先端工具は、前方に押し出されてしまうので、無負荷状態となる。このときラムが往復動しているので、ラムのエネルギーがセカンドハンマから工具本体とその内部部品に伝達される。ところが、ラムの駆動力によってセカンドハンマが駆動されても、セカンドハンマの駆動力を受ける先端工具は無負荷になっているので、セカンドハンマは先端工具の後端を打撃するだけでは停止できず、セカンドハンマを収容しているシリンダ部の前端部に衝撃的に当たることになる。このように無負荷状態で打撃運動が停止しない場合、コンクリートを破砕するエネルギーがシリンダ部の前端に加えられると、強度劣化が激しくなり、工具の寿命が短くなるので、打撃工具には空打ち防止機構が施されている場合が多い。
【0004】
例えば、シリンダ部の内面にOリングを取り付け、Oリングとラムやセカンドハンマとの間の抵抗を大きくして移動しにくくする技術が知られている(特許文献1、2参照)。
【0005】
これによれば、無負荷時のラムやセカンドハンマの作動にブレーキがかかるので、空打を防止して、工具本体や内部の部品に対する衝撃を抑制することができる。
【特許文献1】特開63−93578公報
【特許文献2】実開61−184680公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、1つの作業を終了して停止させたとき、先端工具は工具本体の前方に突出した状態になっているから、次の作業を開始するときは、先端工具の先端を対象物に押し付けて工具本体の内部に押し込まなければならない。ところが、上記技術では、Oリングとラムやセカンドハンマとの間の抵抗が大きいので、押付け荷重も大きくなり、作業性が悪くなるという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点を解消し、作業開始時の先端工具の押付け荷重を最小限に抑えるとともに、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる打撃工具における空打ちによる衝撃防止機構を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、ピストンの往復動により空気室の空気圧変動を利用して打撃運動するラムと、先端工具に打撃を伝達するセカンドハンマを有し、上記ラムが非打撃位置から打撃位置に移動する時に通過抵抗となる干渉手段を上記セカンドハンマとラム間に配置した打撃工具において、上記セカンドハンマの前方に、上記セカンドハンマが前方に移動したときにセカンドハンマを収容したシリンダの前端部に衝撃的に当たるのを緩衝する緩衝機構を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記緩衝機構に代え、上記セカンドハンマの後端と上記ラムとの間に、上記セカンドハンマが前方移動端位置から後方に移動するときの通過抵抗となる干渉手段を設けるとともに、上記セカンドハンマが上記干渉手段を越えて後方移動した後に、上記前方移動端にあるラムに当接するようにしたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1において、上記緩衝機構に代え、セカンドハンマの後端と上記ラムとの間に、上記ラムを上記セカンドハンマの後端に当たる前に停止させる干渉部材を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項1において、上記緩衝機構に代え、上記ピストンの前端開放部の内面に凹溝を形成し、上記ピストンが前端位置から後方に移動する際に、上記凹溝が上記ラムの外周に設けられたOリングを通過するようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項1において、上記緩衝機構に代え、上記セカンドハンマを前方移動端位置から後方に移動するときの通過抵抗となり、かつ、上記ラムを上記セカンドハンマの後端に当たる前に停止させる干渉手段を、上記セカンドハンマが上記干渉手段を越えて後方移動した後に、上記前方移動端にあるラムの前端部に当接するように配置したことを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、請求項1において、上記緩衝機構に代え、上記セカンドハンマが前方に移動したときにセカンドハンマを収容したシリンダの前端部に衝撃的に当るのを緩衝する緩衝機構を設け、上記セカンドハンマを前方移動端位置から後方に移動する時の通過抵抗となる干渉手段を設け、上記セカンドハンマが上記干渉手段を越えて後方移動し、上記前方移動端にあるラムが、上記干渉手段を越えて後方移動するように配置したことを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、請求項1〜6のいずれかにおいて、上記先端工具の基部の外面に長手方向に沿って細長の凹面部を形成し、上記シリンダ部には、上記先端工具が前方移動端位置にあるときに上記凹面部の前端部に係合可能なスチールボールを常時上記凹面部に係合する方向に付勢して取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、セカンドハンマの前方に、セカンドハンマが前方に移動したときにセカンドハンマを収容したシリンダの前端部に衝撃的に当たるのを緩衝する緩衝機構を設けたから、シリンダにかかる衝撃を緩和するとともに、セカンドハンマの跳ね返りを抑制し、ラムを後方の打撃位置に押し込まないようにすることで、無負荷時の空打を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。
【0016】
また、セカンドハンマ自体には移動の際に抵抗になるものはないから、作業開始時に先端工具を工具本体の内部に押し込むための押付け荷重は必要最小限に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、セカンドハンマの後端とラムとの間に、上記セカンドハンマが前方移動端位置から後方に移動するときの通過抵抗となる干渉手段を設けたから、上記干渉手段の通過抵抗によりセカンドハンマの運動力は減衰され、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができるとともに、セカンドハンマが上記干渉手段を越えて後方移動した後に、上記前方移動端にあるラムに当接するようにしたから、作業開始時に先端工具を工具本体の内部に押し込むとき、先端工具の押付け荷重は必要最小限に抑えることができ、作業性が損なわれることがない。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、セカンドハンマの後端とラムとの間に、上記ラムを上記セカンドハンマの後端に当たる前に停止させる干渉部材を設けたので、無負荷時には、ラムが前方に駆動されるが、干渉部材の制動作用によりラムの運動エネルギーは減衰し、空打を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。
【0019】
また、干渉部材はセカンドハンマが後方移動するときの障害にはならないから、作業開始時に先端工具を工具本体の内部に押し込むときの押付け荷重は、必要な最小限の荷重に抑えることができる。
【0020】
請求項4に係る発明によれば、ピストンの前端開放部の内面に凹溝を形成し、上記ピストンが前端位置から後方に移動する際に、上記凹溝が上記ラムの外周に設けられたOリングを通過するようにしたから、無負荷時には、ピストンが前端位置から後方に移動する際に、上記凹溝はラムの外周に設けられたOリング上を通過するので、このとき凹溝とOリングとの間には隙間が形成されるため、空気室には外部の空気が漏れ入り、十分な負圧が得られない。また、ラムが後端位置から前端位置に移動する場合も、途中から空気が漏れ出し、空気室内の空気は十分に圧縮されない。このように、空気室内の圧力変動が抑えられるため、ラムの駆動力も小さくなる。しかも、凹溝とOリングとが交差状態になっているときは、Oリングとピストン内面との接触面積は凹溝の分だけ小さくなる。このため、ピストンが後退するときに、ピストンとラムとの摩擦力も小さくなるので、ピストンによるラムの後方への引っ張り力も小さくなってしまい、セカンドハンマに対する衝撃力は緩和され、空打ちを防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。また、作業開始時の先端工具の押付け荷重も必要最小限に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0021】
請求項5に係る発明によれば、セカンドハンマを前方移動端位置から後方に移動するときの通過抵抗となり、かつ、上記ラムを上記セカンドハンマの後端に当たる前に停止させる干渉手段により、ラムからセカンドハンマに対する衝撃力とラム自体の衝撃力とが緩和されるから、空打衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。
【0022】
また、上記セカンドハンマが上記干渉手段を越えて後方移動した後に、前方移動端にあるラムの前端部に当接するように配置したから、作業開始時に先端工具5を工具本体の内部に押し込むときの押付け荷重は、最小限に抑えることができる。
【0023】
請求項6に係る発明によれば、セカンドハンマが前方に移動したときにセカンドハンマを収容したシリンダの前端部に衝撃的に当るのを緩衝する緩衝機構を設け、上記セカンドハンマを前方移動端位置から後方に移動する時の通過抵抗となる干渉手段を設け、上記セカンドハンマが上記干渉手段を越えて後方移動し、上記前方移動端にあるラムが、上記干渉手段を越えて後方移動するように配置したから、セカンドハンマの前方への移動も後方への移動も抑制されるので、ラムの運動エネルギーはより効果的に減衰し、空打を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。
【0024】
請求項7に係る発明によれば、先端工具の基部の外面に長手方向に沿って細長の凹面部を形成するとともに、シリンダ部には、上記先端工具が前方移動端位置にあるときに上記凹面部の前端部に係合可能なスチールボールを常時上記凹面部に係合する方向に付勢して取り付けた構造であるから、空打ち時にはセカンドハンマは先端工具に衝撃を与えることはできない。したがって、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。また、先端工具の押付け荷重も最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1はハンマドリルの要部の縦断面図、図2はその一部の拡大断面図である。同図において符号1は工具本体を示す。工具本体1内には有底筒状のピストン2と、該ピストン2の内部に摺動自在に配置されたラム3と、上記ピストン2の前後往復動により上記ピストン2とラム3との間に形成された空気室Sの空気圧変動により駆動されたラム3の往復動時に衝撃的に当たることにより駆動されるセカンドハンマ4と、セカンドハンマ4の往復動時に衝撃的に当たることにより駆動される先端工具(ドリルビット)5とを備え、これらピストン2とセカンドハンマ4と先端工具5とはシリンダ6に摺動自在に収容されている。シリンダ6は、上記ピストン2のシリンダ部6a、セカンドハンマ4のシリンダ部6b、先端工具5のシリンダ部6cの順次に小径に成り、これらのシリンダ部6a、6b、6cを一体的に形成し、工具本体1に回転可能に設けられている。
【0026】
工具本体1の後方(図2の右側)には、モータ(図示せず)が収容され、モータの出力軸7は中間軸8の第1ギヤ9と噛合している。中間軸8には第1ピニオンを有し、運動変換部材10が回動自在に外装され、中間軸8が回転したときに運動変換部材10も回転するように構成されている。ピストン2の後端と上記中間軸8の外側の運動変換部材10とは備えた揺動軸11を介して連結されている。これにより、運動変換部材10が回転すると、その回転は揺動軸11の前後方向の揺動運動に変換される。
【0027】
また、中間軸8の前端に設けられた第1ピニオン13はシリンダ6の外周に配置された第2ギヤ14と噛合している。第2ギヤ14はクラッチ16に噛合している。クラッチ16はシリンダ6に連結する位置又は遮断する位置に移動可能に設けられている。
【0028】
内部機構の詳細は省略するが、上記ハンマドリルでは先端工具5が回転しながら打撃するモードと、先端工具5が回転せずに打撃だけする打撃モードが選択できるように構成されている。
【0029】
すなわち、図2に示されるように、クラッチ16とシリンダ6とが連結しているときは、モータが回転すると、その回転力は出力軸7から減速歯車9を介して中間軸8に伝達される。中間軸8の回転トルクは運動変換部材10に伝達される。運動変換部材10の回転により揺動軸11が前後方向に揺動し、さらにピストン2の前後運動に変換される。ピストン2が前後に移動すると、内部のラム3の後方の空気室Sの空気圧が変動するので、ラム3も前後に移動してセカンドハンマ4を叩き、さらにセカンドハンマ4が先端工具5を叩き、コンクリート等の対象物に押し付けられている先端工具5に打撃力が伝達される。
【0030】
また、中間軸8の回転トルクは、中間軸8の前部の第1歯車13とシリンダ6の外周に配置された第2ギヤ14を介してクラッチ16に伝達され、さらにクラッチ16の回転はシリンダ6に伝達されるので、シリンダ6が回転し、先端工具5も回転する。
【0031】
このように、上記回転・打撃モードでは、ハンマによる打撃運動と回転運動が行なわれ、先端工具5に打撃力と回転力が伝達される。
【0032】
これに対し、クラッチ16とシリンダ6との回転伝達を遮断すると、シリンダ6は回転しないので、中間軸8の回転トルクは運動変換部材10にのみ伝達され、先端工具5の打撃運動のみが行なわれる。
【0033】
なお、先端工具5が回転するだけの回転モードも選択可能であるが、ここでは説明を省略する。
【0034】
次に、図1、2において、ラム3とセカンドハンマ4と先端工具5は上下に2分割された状態で示されているが、それぞれの上半分はコンクリート等の対象物に押し当てて打撃する負荷時の状態を示し、下半分は対象物から工具を離した無負荷時の状態を示している。このことをラム3で見ると、ラム3が前方移動端から後方移動するときの通過抵抗となる干渉手段として、ラム3の首部には環状突部17が、シリンダ部6aにはOリング18が設けられ、ラム3は、負荷時には干渉手段とは関係しないが、無負荷時にはOリング18の抵抗により後方に移動しにくいように構成されている。したがって、無負荷時に工具を作動させたままにしたときには、空気室Sの圧力変動に伴ってラム3も前後に摺動するが、そのラム3の首部がOリング18を通過するときの摺動抵抗によりラム3による衝撃エネルギーが緩和され、ラムは非打撃位置に保持され打撃されない。
【0035】
しかし、上記Oリング18と首部の環状突部17との間の抵抗を大きくすると、一度作業を停止した後、次の作業開始時に先端工具5を対象物に押付けて押し込むことにより首部をOリング18から外すときの抵抗も大きくなる。そこで、押付け荷重が増大することなく、空打ちによる衝撃を防止するための機構が設けられている。以下、順次説明する。なお、以下の各実施形態において、前提となる打撃の基本的駆動機構の構成は図1、図2に示すものと同じであるものとする。
【0036】
[実施形態1]
この実施形態は、セカンドハンマ4とこれに対応するシリンダ部6bとの間に、上記セカンドハンマ4が前方に移動したときにセカンドハンマ4のシリンダ部6bの前端部に衝撃的に当たるのを緩衝する緩衝機構を設けたもので、図3に示すものは、セカンドハンマ4のシリンダ部6bを大径の外側シリンダ部6pと小径の内側シリンダ部6qとに分割して重合し、ニードルのピンなどの連結手段20により結合されているとともに、連結手段20と内側シリンダ部6qとの間には前後に相対的に移動可能な隙間21が形成されている。
【0037】
また、内側シリンダ部6qの後端に外側に張出すフランジ22を形成し、該フランジ22と、外側シリンダ部6pの段差部19との間に緩衝部材(Oリング)23が配置されている。
【0038】
なお、セカンドハンマ4の外周面には、シリンダ6内のグリースをシールするためのOリング24が取り付けられている。
【0039】
上記構成によれば、無負荷の空打ち時には、ラム3が前方にOリング18を乗り越えて移動してセカンドハンマ4に衝撃的に当たるので、セカンドハンマ4も前方に移動し、セカンドハンマ4の小径シリンダ部6qと先端工具5のシリンダ部6cとの境界の段差部25に衝撃的に当たるので、その衝撃により上記小径シリンダ部6qが上記隙間21分だけ前方に移動する。このとき、小径シリンダ部6qのフランジ22と大径の外側シリンダ部6pとの間の緩衝部材23が圧縮されるので、上記衝撃が緩和される。
【0040】
したがって、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。
【0041】
また、セカンドハンマ4自体には移動の際に抵抗になるものはないから、作業開始時に先端工具5を工具本体1の内部に押し込むための押付け荷重は、ラム3の首部をOリング18から抜き出すのに必要な最小限の荷重に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0042】
次に、図4に示す衝撃防止としての緩衝機構は、セカンドハンマ4の後部外周面に形成された環状突部26の前部にはシール用Oリング27を取り付けるとともに、上記シリンダ6には、上記シール用Oリング27からセカンドハンマ4の前方の移動端位置に、上記環状突部26に対応する短筒状スリーブ28を一体的に形成したものである。
【0043】
上記構成によれば、無負荷の空打ち時には、ラム3が前方にOリング18を乗り越えて移動してセカンドハンマ4に衝撃的に当たるので、セカンドハンマ4も前方に移動し、上記スリーブ28の後端に衝撃的に当たるが、スリーブ28とセカンドハンマ4の環状突部26との間にはシール用Oリング27が配置されているので、セカンドハンマ4の衝撃力は上記シール用Oリング27の緩衝効果によって緩和される。
【0044】
したがって、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。
【0045】
また、セカンドハンマ4自体には移動の際に抵抗になるものはないから、作業開始時に先端工具5を工具本体1の内部に押し込むための押付け荷重は、ラム3の首部をOリングが抜き出すのに必要な最小限の荷重に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0046】
図5は、別の衝撃防止としての緩衝機構を示すもので、セカンドハンマ4の後部外周面に形成された環状突部26の前部にはシール用Oリング27を取り付けるとともに、セカンドハンマ4の前部には短筒状のスリーブ30を摺動自在に配置したものである。また、セカンドハンマ4の前部外周面には小径Oリング33が装着され、この小径Oリング33は上記スリーブ30の内周面に形成された段部35に係合するように形成されている。このため、スリーブ30は小径Oリング33とシール用Oリング27とによって前後に移動可能になっている。
【0047】
上記構成によれば、無負荷の空打ち時には、ラム3によりセカンドハンマ4が駆動されるので、セカンドハンマ4は上記スリーブ30の後端に衝撃的に当たるので、スリーブ30の前端がシリンダ部6bの段差部25に当たるが、スリーブ30とセカンドハンマ4の環状突部26との間には緩衝機能を併せ持つシール用Oリング27が配置されているので、セカンドハンマ4の衝撃力は上記シール用Oリング27の緩衝効果によって緩和される。
【0048】
したがって、この場合も、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。
【0049】
また、作業開始時に先端工具5を工具本体1の内部に押し込むときには、セカンドハンマ4とともにスリーブ30も後方移動させることになるが、その分の荷重は非常に小さいほか、スリーブ30の長さは短くして軽量にすることができるので、先端工具5の押付け荷重は、ラム3の首部をOリング18が抜き出すのに必要な最小限の荷重に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0050】
さらに、図6に示す衝撃防止としての衝撃機構は、セカンドハンマ4の後部外周面にはシール用Oリング27を取り付けるとともに、セカンドハンマ4のシリンダ部6bの前部には小径部37を形成し、該小径部37の内周面にも上記セカンドハンマ4の外周面に摺動可能に接触するOリング38を装着するとともに、上記シリンダ部6bのOリング38の後方には小径のエア抜き孔40を形成したものである。
【0051】
上記構成によれば、無負荷の空打ち時には、ラム3によりセカンドハンマ4が前方に駆動されるので、前後のOリング27、38間の空間部41内の空気は圧縮されてエアダンパとして機能するので、セカンドハンマ4の衝撃力は上記エアダンパの緩衝効果によって緩和される。
【0052】
したがって、この場合も、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができるとともに、作業開始時に先端工具5を工具本体1の内部に押し込むときには、先端工具5の押付け荷重は、ラム3の首部をOリング18から抜き出すのに必要な最小限の荷重に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0053】
[実施形態2]
この実施形態は、上記セカンドハンマ4の後端と上記ラム3との間に、上記セカンドハンマ4が前方移動端位置から後方に移動するときの通過抵抗となる干渉手段を設けるとともに、上記セカンドハンマ4が上記干渉手段を越えて後方移動した後に、上記前方移動端にあるラム3に当接するようにした衝撃防止機構である。
【0054】
すなわち、図7に示されるように、セカンドハンマ4の後部外周面には環状の小突部42が形成され、これに対し、ラム3のシリンダ部6a内側には、上記小突部42に係合可能なOリング43が形成されている。そして、上記小突部42は負荷時にはラム3のOリング18に係合しないように、また無負荷時に、セカンドハンマ4が前方移動端位置から後方に移動するときに上記小突部が上記Oリング43を越えて後方移動した後に、セカンドハンマ4の後端部がラム3の前端部に当接するように形成されている。
【0055】
上記構成によれば、無負荷の空打ち時には、ラム3によりセカンドハンマ4が前方に駆動された後に後方に移動しようとするが、上記小突部42が上記Oリング43を乗り越えなければならないので、これが通過抵抗となってセカンドハンマ4は後方に移動しにくい。このためセカンドハンマの衝撃力は上記Oリング43の干渉による制動効果によって減衰される。
【0056】
したがって、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができるとともに、作業開始時に先端工具5を工具本体1の内部に押し込むと、セカンドハンマ4が前方移動端位置から後方に移動するが、このとき上記小突部42が上記Oリング43を越えて後方移動した後に、セカンドハンマ4の後端部がラム3の前端部に当接し、その後ラム3はOリング18を越えて後方移動する。このように、Oリング43を乗り越えるときに先端工具5には負荷がかかるが、この負荷はラム3の首部をOリング18から抜き出すときの負荷と同時にかかることはない。したがって、先端工具5の押付け荷重は、ラム3の首部をOリング18から抜き出すのに必要な最小限の荷重に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0057】
次に、図8に示す衝撃防止機構としての干渉手段は、セカンドハンマ4の外周面の環状突部26の後部とラム3のシリンダ部6aの前端部内周面に形成した環状体46との間に、制動手段として、セカンドハンマ4を常時前方に付勢するスプリング47を配置したものである。
【0058】
上記構成によれば、無負荷の空打ち時には、ラム3によりセカンドハンマ4が前方に駆動されるが、セカンドハンマ4はスプリング47によって後方に移動しないように付勢されているので、ラム3の先端がセカンドハンマ4に当たって衝撃を受けても、既にセカンドハンマ4の前端部はシリンダ部6bの段差部25に当たっているので、その衝撃力は小さい。
【0059】
したがって、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができるとともに、上記スプリング47はセカンドハンマ4を移動させるだけの弱いバネ力のものでよいから、作業開始時に先端工具5を工具本体1の内部に押し込むときの押付け荷重は、ラム3の首部をOリング18から抜き出すのに必要な最小限の荷重にわずかに増加した程度に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0060】
[実施形態3]
この実施形態は、図9に示されるように、前方移動端にあるセカンドハンマ4の後端と上記ラム3との間に、上記ラム3を上記セカンドハンマ4の後端に当たる前に停止させる干渉部材として、ラム3のシリンダ部6aの前部にOリング48を配置したものである。
【0061】
上記構成によれば、無負荷の空打ち時には、ラム3が前方に駆動されるが、ラム3が前方移動端の近傍で上記Oリング48に当たるので、その制動作用により衝突のエネルギーは減衰される。したがって、セカンドハンマ4に対する衝撃力は小さいから、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。
【0062】
また、上記Oリング48はセカンドハンマ4が後方移動するときの障害にはならないから、作業開始時に先端工具5を工具本体1の内部に押し込むときの押付け荷重は、ラム3の首部をOリング48から抜き出すのに必要な最小限の荷重に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0063】
[実施形態4]
この実施形態は、図10及び図11(a)(b)に示されるように、ピストン2の内部には、その前端開放部からピストン2の全長の約3分の1の部位まで長手方向に沿って凹溝45が形成されている。そして、無負荷時に上記ピストン2が前端位置から後方に移動する際に、上記凹溝45は上記ラム3の外周に設けられたOリング50上を通過するように構成されている。
【0064】
なお、負荷時には上記凹溝45はラム3のOリング50よりも前方にあるように構成されている。また、51、52はピストン2の、53はシリンダ部6aの空気抜き孔である。
【0065】
上記構成によれば、負荷時には空気室Sの圧力変動は通常の場合と同様に行なわれるから、ラム3も通常とおりに駆動される。
【0066】
これに対し、無負荷時には、ピストン2が前端位置から後方に移動する際に、上記凹溝45は上記ラム3の外周に設けられたOリング50上を通過するので、このとき凹溝45とOリング50との間には隙間が形成されるため、空気室Sには外部の空気が漏れ入り、十分な負圧が得られない。また、ラム3が後端位置から前端位置に移動する場合も、途中から空気が漏れ出し、空気室S内の空気は十分に圧縮されない。このように、空気室S内の圧力変動が抑えられるため、ラム3の駆動力も小さくなる。しかも、凹溝45とOリング50とが交差状態になっているときは、Oリング50とピストン2内面との接触面積は凹溝45の分だけ小さくなる。このため、ピストン2が後退するときに、ピストン2とラム3との摩擦力も小さくなるので、ピストン2によるラム3の後方への引っ張り力も小さくなってしまう。このため、ラム3は首部がOリング18に係合した状態に保持される。したがって、ピストン2が往復作動しても、ラム3は前端位置に保持されて動かないので、セカンドハンマ4が駆動されることもない。あっても、駆動力は非常に小さいから、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。したがって、先端工具5の押付け荷重は、ラム3の首部をOリング18から抜き出すのに必要な最小限の荷重に抑えることができる。このため、荷重増大によって作業性が損なわれることがない。
【0067】
[実施形態5]
この実施形態は上述の実施形態に示したものを組合わせたものである。
【0068】
図7は、セカンドハンマ4を前方移動端位置から後方に移動するときの通過抵抗となる干渉手段として構成される小突部42とOリング43を、上記ラム3を上記セカンドハンマ4の後端に当たる前に停止させる干渉部材とするとともに、上記セカンドハンマ4が上記Oリング43を越えて後方移動した後に、上記前方移動端にあるラム3の前端部に当接するように配置した衝撃防止機構である。
【0069】
上記構成によれば、上記セカンドハンマ4の後端部がOリング43を乗り越えるときに制動作用を受けて前方位置に止まるので、ラム3からの衝撃力も小さくて済む。また、ラム3が後方から前方に移動してくるときも、その前方移動端の直前で上記Oリング43に係合してからセカンドハンマ4に当たるので、衝撃力が緩和される。したがって、セカンドハンマ4の制動効果とラム3の衝撃緩和効果により、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。さらに、作業開始時に先端工具5を工具本体1の内部に押し込むときの押付け荷重は、最小限に抑えることができる。
【0070】
なお、図12のように、ラム3の制動手段であるOリング18と、セカンドハンマ4の後退に対する制動手段で、かつラム3による衝撃緩和手段であるOリング43とを一体に形成した干渉手段にしてもよい。
【0071】
[実施形態6]
この実施形態は上述の実施形態に示したものを組合わせたものである。図4、図5は、それぞれセカンドハンマ4が前方に移動するときの衝撃緩和に関する機構を示したものであるが、同時にセカンドハンマ4の後部周面に小突部42を、シリンダ部6aの内側に環状体46を介してOリング43を設けることにより、セカンドハンマが後方に移動するときの通過抵抗となる干渉手段として、衝撃を緩和する効果も併せ持つ。
【0072】
実施形態の組合せは上述のものに限定されない。例えば、上記のいずれかの実施形態に、図8に示すように、先端工具5の基部の外面に長手方向に沿って細長の凹面部56を形成し、シリンダ部6c側には、上記先端工具5が前方移動端位置にあるときに上記凹面部56の前端部に係合可能なスチールボール57を常時上記凹面部56に係合する方向に付勢して取り付けた構成を付加してもよい。
【0073】
なお、上記凹面部56は通常は上記スチールボールの後方に配置された大径のスチールボール58に係合するように形成されているもので、これにより先端工具5をシリンダ6と一体に回転するとともに、シリンダ6から抜けないようになっている。また、上記2つのスチールボール57、58は弾性体59、60によって包囲されている。
【0074】
上記構成によれば、負荷時には先端工具5は図8の上半分に示されたように押し込まれ、上記小径のスチールボール57は先端後部の外面に沿って転動するが、無負荷時には先端工具5が前方に移動するので、図2に示すように、凹面部の前端に係合するため、先端工具5は後方に移動しにくい状態になっている。したがって、空打ち時にはセカンドハンマ4は先端工具5に衝撃を与えることはできない。したがって、空打ちによる衝撃を防止して打撃工具の寿命を永く保持することができる。
【0075】
また、作業開始時に先端工具5を工具本体1の内部に押し込むときの押付け荷重も、小径のスチールボールが先端工具5の外面に点状に接するだけなので、先端工具5の押付け荷重も最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】ハンマドリルの一部を断面で示した側面図
【図2】図1の一部拡大図
【図3】空打ちによる衝撃防止機構の一実施形態を示す縦断面図
【図4】上記衝撃防止機構の他の例の縦断面図
【図5】上記衝撃防止機構の別の例の縦断面図
【図6】上記衝撃防止機構のさらに他の例の縦断面図。
【図7】上記衝撃防止機構のさらに別の実施形態の縦断面図
【図8】上記衝撃防止機構の他の例の縦断面図
【図9】上記衝撃防止機構の別の例の縦断面図
【図10】上記衝撃防止機構の他の実施形態の縦断面図
【図11】(a)はピストンの側面図、(b)は(a)のX−X線断面図
【図12】上記衝撃防止機構の別の例の縦断面図。
【符号の説明】
【0077】
1 工具本体1
2 ピストン
3 ラム
4 セカンドハンマ
5 先端工具
【出願人】 【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
【出願日】 平成19年1月22日(2007.1.22)
【代理人】 【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫


【公開番号】 特開2008−173748(P2008−173748A)
【公開日】 平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願番号】 特願2007−11970(P2007−11970)