トップ :: B 処理操作 運輸 :: B25 手工具;可搬型動力工具;手工具用の柄;作業場設備;マニプレ−タ

【発明の名称】 可搬形動力工具
【発明者】 【氏名】田口 康明

【氏名】田口 二郎

【要約】 【課題】原動部及びハンマ駆動部等の振動衝撃を吸収緩和して作業者の負担を軽減した可搬形動力工具を提供すること。

【解決手段】本体1が原動部2と伝動部3とハンマ駆動部4が直列配置された可搬形動力工具であって、本体1とハンドル12、13、14との取付部分には、緩衝ダンパー機構17、20が介在させてある。緩衝ダンパー機構17、20は、本体1に取り付けるブラケット16、19と、ハンドル12、13、14に取り付けるブラケット15、18と、両ブラケット間に配置された弾性体25、30、31とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動部(2)と伝動部(3)とハンマ駆動部(4)等の作業部とで構成された本体(1)を備えた可搬形動力工具において、本体(1)と、ハンドル(12,13,14)との取付部分に緩衝ダンパー機構(17,20)が介在させてあることを特徴とする可搬形動力工具。
【請求項2】
前記緩衝ダンパー機構(17,20)は、本体(1)に取り付けるブラケット(16,19)と、ハンドル(12,13,14)に取り付けるブラケット(15,18)と、両ブラケット間に配置された弾性体(25,30,31)とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の可搬形動力工具。
【請求項3】
前記本体(1)は、内燃機関を有する原動部(2)と、該原動部(2)からの回転出力を減速してトルクを高め、また、正逆切替機構を内蔵した伝動部(3)と、該伝動部(3)によって与えられる回転駆動力から間欠的な回転衝撃力を発生させ、これを前端に設けた工具軸(11)に対して出力させる回転衝撃力発生機構を内蔵したハンマ駆動部(4)とを備えており、前記原動部(2)と伝動部(3)及びハンマ駆動部(4)が前記原動部(2)を後端側とし、前記ハンマ駆動部(4)を前端側として直列配置され、
前記原動部(2)側には、原動部(2)に対してその軸心まわりを取り囲む後部横ハンドル(12)と、原動部(2)に対してその後端部を通過する方向でその外回りを取り囲む縦ハンドル(13)とが設けられており、これら両ハンドルは原動部(2)の左右両側で縦横に十字形に交差して一体化され、この一体化された縦ハンドル(13)が原動部(2)に第1の緩衝ダンパー機構(17)を介して取り付けられており、
前記ハンマ駆動部(4)側には、ハンマ駆動部(4)の側面に前部横ハンドル(14)が第2の緩衝ダンパー機構(20)を介して取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の可搬形動力工具。
【請求項4】
前記第1の緩衝ダンパー機構(17)は、原動部(2)の左右両側に配置されており、かつ、前記縦ハンドル(13)が原動部(2)に取り付けられている部分には、縦ハンドル(13)側の取付ブラケット(15)と原動部(2)側の取付ブラケット(16)とに分けて構成され、両取付ブラケットの相対向面間に第1の緩衝ダンパー機構(17)が介在させてあり、両取付ブラケット(15,16)の相対向面は、原動部(2)の軸心方向とこれに直交する方向との中間の角度に傾けて形成されており、しかも、前記両取付ブラケット(15,16)の相対向面間に複数の弾性体(25)が配置され、これら複数の弾性体(25)の配置の中央部にストッパ(26)が配置され、このストッパ(26)は、両取付ブラケット(15,16)の一方(15)に固定され、他方の取付ブラケット(16)に対して該他方の取付ブラケット(16)に形成された係止孔(27)に遊嵌されていることを特徴とする請求項3に記載の可搬形動力工具。
【請求項5】
前記第2の緩衝ダンパー機構(20)は、ハンマ駆動部(4)の一側に配置されており、かつ、前記前部横ハンドル(14)がハンマ駆動部(4)に取り付けられている部分には、前部横ハンドル(14)側の取付ブラケット(18)とハンマ駆動部(4)側の取付ブラケット(19)とに分けて構成され、両取付ブラケットの相対向面間に第2の緩衝ダンパー機構(20)が介在させてあり、両取付ブラケット(18,19)の相対向面は、ハンマ駆動部(4)の軸心方向に沿う第1の対向面(P1)とこの第1の対向面に直交する第2の対向面(P2)とされ、前記第2の対向面(P2)間に複数の弾性体(30)が配置され、これら複数の弾性体(30)の配置の中央部に別の弾性体(31)が前記第1の対向面(P1)間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の可搬形動力工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型ハンドツールとしてのインパクト型回転工具(スパナ、レンチ、ドライバ等)や、ステープラー、ハンドハンマー、ハンドドリル等の可搬形動力工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯型ハンドツールとして、内燃機関を有する原動部、伝動部及びハンマ駆動部が直列配置され、原動部及びハンマ駆動部にハンドルが設けられたインパクト型回転工具が公知である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−198081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載のインパクト型回転工具は、原動部及びハンマ駆動部にハンドルを直付けしているため、原動部及びハンマ駆動部の振動衝撃がハンドルを把持する作業者に直接伝わり、作業者の負担が増加するといった問題点があった。
本発明は、原動部及びハンマ駆動部等の振動衝撃を吸収緩和して作業者の負担を軽減した可搬形動力工具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために本発明は、原動部2と伝動部3とハンマ駆動部4等の作業部とで構成された本体1を備えたインパクト型回転工具において、本体1と、ハンドル12,13,14との取付部分に緩衝ダンパー機構17,20が介在させてあることを特徴としている。
上記構成によれば、本体1に対してハンドル12、13、14を緩衝ダンパー機構17、20を介して取り付けているため、原動部2及びハンマ駆動部4等の作業部の振動衝撃が吸収緩和され、前記ハンドル12,13,14を把持する作業者の負担を軽減することができる。
【0005】
また、前記緩衝ダンパー機構17,20は、本体1に取り付けるブラケット16,19と、ハンドル12,13,14に取り付けるブラケット15,18と、両ブラケット間に配置された弾性体25,30,31とを備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、緩衝ダンパー機構17,20の取付性が向上し、着脱自在とすることも可能となり、また、従来の取付ブラケットを変更するだけで対応可能となり、本体1及びハンドル12,13,14の製造装置をそのまま使用することができる。
また、前記本体1は、内燃機関を有する原動部2と、該原動部2からの回転出力を減速してトルクを高め、また、正逆切替機構を内蔵した伝動部3と、該伝動部3によって与えられる回転駆動力から間欠的な回転衝撃力を発生させ、これを前端に設けた工具軸11に対して出力させる回転衝撃力発生機構を内蔵したハンマ駆動部4とを備えており、前記原動部2と伝動部3及びハンマ駆動部4が前記原動部2を後端側とし、前記ハンマ駆動部4を前端側として直列配置され、
前記原動部2側には、原動部2に対してその軸心まわりを取り囲む後部横ハンドル12と、原動部2に対してその後端部を通過する方向でその外回りを取り囲む縦ハンドル13とが設けられており、これら両ハンドルは原動部2の左右両側で縦横に十字形に交差して一体化され、この一体化された縦ハンドル13が原動部2に第1の緩衝ダンパー機構17を介して取り付けられており、
前記ハンマ駆動部4側には、ハンマ駆動部4の側面に前部横ハンドル14が第2の緩衝ダンパー機構20を介して取り付けられていることを特徴としている。
【0006】
上記構成によれば、原動部2及びハンマ駆動部4に対して後部横ハンドル12及び縦ハンドル13並びに前部横ハンドル14を第1の緩衝ダンパー機構17や第2の緩衝ダンパー機構20を介して取り付けているため、原動部2及びハンマ駆動部4の振動衝撃が吸収緩和され、前記ハンドル12,13,14を把持する作業者の負担を軽減することができる。
また、前記第1の緩衝ダンパー機構17は、原動部2の左右両側に配置されており、かつ、前記縦ハンドル13が原動部2に取り付けられている部分には、縦ハンドル13側の取付ブラケット15と原動部2側の取付ブラケット16とに分けて構成され、両取付ブラケットの相対向面間に第1の緩衝ダンパー機構17が介在させてあり、両取付ブラケット15,16の相対向面は、原動部2の軸心方向とこれに直交する方向との中間の角度に傾けて形成されており、しかも、前記両取付ブラケット15,16の相対向面間に複数の弾性体25が配置され、これら複数の弾性体25の配置の中央部にストッパ26が配置され、このストッパ26は、両取付ブラケット15,16の一方15に固定され、他方の取付ブラケット16に対して該他方の取付ブラケット16に形成された係止孔27に遊嵌されていることを特徴としている。
【0007】
上記構成によれば、原動部2の軸心方向の振動衝撃、及び、これに直交する方向の振動衝撃並びにこれらの組み合わせ方向の振動衝撃、さらに、原動部2の軸心回りの回転方向の振動衝撃が第1の緩衝ダンパー17の弾性体25によって吸収緩和され、作業者の負担を軽減することができる。しかも、ストッパ26が係止孔27に遊嵌してあることによって、第1の緩衝ダンパー機構17の振動衝撃に対する吸収緩和動作を適正範囲に規制し、その損傷を防止すると共に、弾性体25の万一の破損時においても、ストッパ26が係止孔27に係止することによって、縦ハンドル13から本体1が分離脱落することを防止することができる。
【0008】
また、前記第2の緩衝ダンパー機構20は、ハンマ駆動部4の一側に配置されており、かつ、前記前部横ハンドル14がハンマ駆動部4に取り付けられている部分には、前部横ハンドル14側の取付ブラケット18とハンマ駆動部4側の取付ブラケット19とに分けて構成され、両取付ブラケットの相対向面間に第2の緩衝ダンパー機構20が介在させてあり、両取付ブラケット18,19の相対向面は、ハンマ駆動部4の軸心方向に沿う第1の対向面P1とこの第1の対向面に直交する第2の対向面P2とされ、前記第2の対向面P2間に複数の弾性体30が配置され、これら複数の弾性体30の配置の中央部に別の弾性体31が前記第1の対向面P1間に配置されていることを特徴としている。
【0009】
上記構成によれば、ハンマ駆動部4の軸心方向及びこれに直交する方向並びにこれらの組み合わせ方向の振動衝撃、さらに、ハンマ駆動部4の軸心回りの回転方向の振動衝撃が第2の緩衝ダンパー機構20によって吸収緩和され、作業者の負担を軽減することができる。さらに、両取付ブラケット18,19の第1の対向面と第2の対向面とが直交して交差していることになるため、第2の緩衝ダンパー機構20の振動衝撃に対する吸収緩和動作を適正範囲に規制させることができ、弾性体30又は弾性体31の破損を防止し、万一、弾性体30又は弾性体31が破損しても両取付ブラケット18,19が係合して前部横ハンドル14とハンマ駆動部4とが分離脱落することを防止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原動部及びハンマ駆動部等の作業部の振動衝撃を吸収緩和して作業者の負担を軽減した可搬形動力工具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態は、本発明をインパクト型回転工具に適用した場合を例示するもので、本体1は、図1及び図2に示すように、原動部2、伝動部3、ハンマ駆動部4で構成されており、この順番で同一軸線上に直列配置されている。なお、以下の説明では、本体1の使用状態を基準に置いて、原動部2側を「後」、ハンマ駆動部4側を「前」という。また、原動部2や伝動部3に対する主な操作乃至メンテナンス等を行えるようにした面(図1に示す面)を「上面側」、その反対向き面を「下面側」という。
【0012】
原動部2は、内燃機関(ガソリンエンジン)を採用しており、燃料タンク5、スタータ操作部6、点火プラグ装着部7、チョーク操作部8、スロットル操作部9等を備えている。
伝動部3は、原動部2からの回転出力を減速してトルクを高め、また、正逆切替操作具10によって正転・中立・逆転の切り替えが行われる正逆切替機構(図示省略)を内蔵した部分である。
ハンマ駆動部4は、伝動部3によって与えられる回転駆動力から間欠的な回転衝撃力を発生させ、これを前端に設けた工具軸11に対して出力させる回転衝撃力発生機構(図示省略)を内蔵した部分である。なお、工具軸11の前端部には、ボックススパナやビット等の工具を装着するために角軸部が形成されている。
【0013】
上記原動部2側には、原動部2に対してその軸心まわりを取り囲む後部横ハンドル12と、原動部2に対してその後端部を通過する方向でその外回りを取り囲む縦ハンドル13とが設けられており、これら両ハンドルは原動部の左右両側で縦横に十字形に交差して一体化され、この一体化された縦ハンドル13が原動部2に取り付けられており、また、前記ハンマ駆動部4側には、ハンマ駆動部4の側面に前部横ハンドル14が取り付けられている。
前記縦ハンドル13が原動部2に取り付けられている部分には、縦ハンドル13側の第1取付ブラケット15と原動部2側の第2取付ブラケット16とに分けて構成され、両取付ブラケットの相対向面間に第1の緩衝ダンパー機構17、17が介在させてある。
【0014】
また、前記前部横ハンドル14がハンマ駆動部4に取り付けられている部分には、前部横ハンドル14側の第1取付ブラケット18とハンマ駆動部4側の第2取付ブラケット19とに分けて構成され、両取付ブラケットの相対向面間に第2の緩衝ダンパー機構20が介在させてある。
上記後部横ハンドル12は、原動部2の前端側で原動部2の上面、左右側面及び下面を取り囲むように配置される多角形枠形状とされている。
また、上記縦ハンドル13は、原動部2の後端側で原動部2の中心軸心を左右に横切るように配置される後端部13aと、この後端部13aの左右両端部から原動部2の前方に向かって屈曲延長された左右腕部13b、13bとを有し、左右腕部13b、13bの前端側は、原動部2の中心軸線に向けて接近するように屈曲延長された傾斜部13c、13cとされている。
【0015】
これら両ハンドル12、13は、後部横ハンドル12の左右側面部12a、12aが縦ハンドル13の傾斜部13c、13cの位置で縦横に交差し、この交差部に装着される十字連結用ブラケット21によって互いに一体的に連結されている。そして、縦ハンドル13の左右腕部13b、13bの前端側にある傾斜部13c、13cの前端部は、第1の緩衝ダンパー機構17、17を介して原動部2の前端部のフランジの左右両側面部にボルト・ナット等の締結具22を介して取り付けられている。
これら両ハンドル12、13は、原動部2を保護するガードを兼ねている。そして、後部横ハンドル12の下面部12bは、脚片を兼ねている。
【0016】
また、縦ハンドル13の後端部13aの左右方向中央部には、原動部2のスロットル操作部9が装着されている。
上記後部横ハンドル12及び縦ハンドル13は、中空パイプ材(金属製丸パイプ等)をプレス曲げ加工したものが使用され、特によく把持する部分(後部横ハンドル12の場合は上面部12cから左右側面部12a、12aの上半部分にかけて、縦ハンドル13の場合は後端部13aから左右腕部13b、13bにかけての部分)には、手触りが良好で、ある程度の弾性を有し、且つ滑り難い材料(例えば、軟質樹脂や硬めのスポンジ又はゴム等)で形成したハンドルカバー23、24が装着されている。
【0017】
前記第1の緩衝ダンパー機構17は、原動部2で発生する振動衝撃を効率よく吸収緩和させて縦ハンドル13及び後部横ハンドル12にできるだけ伝わらないようにするために使用されるものである。この第1の緩衝ダンパー機構17は、原動部2の左右両側に配置されており、かつ、前記第1、第2取付ブラケット15,16の相対向面は、原動部2の軸心方向とこれに直交する方向との中間の角度に傾けて形成されており、しかも、前記両取付ブラケット15,16の相対向面間に複数の弾性体25が配置され、これら複数の弾性体25の配置の中央部にストッパ26が配置され、このストッパ26は、両取付ブラケット15,16の一方15に固定され、他方の取付ブラケット16に対して該他方の取付ブラケット16に形成された係止孔27に遊嵌されている。
【0018】
上記第1取付ブラケット15は、図3(A)〜(E)に示すように、前記縦ハンドル13の傾斜部13cの取付部となるハンドル取付部15aと、ハンドル取付部15aに対して原動部2の左右方向外側へ屈曲された弾性体取付座部15bと、ストッパ取付座部15cとを有し、全体が金属板で構成されている。
上記ハンドル取付部15aは、縦ハンドル13の傾斜部13cの前端部を挟持するクランプ部材15dをボルト・ナット等の締結具15eで締結するように構成されている。
また、上記弾性体取付座部15bは、平行に複数個(図は2個の場合を例示している)形成され、その中央部にストッパ取付座部15cが弾性体取付座部15bより前方へ突出した状態で弾性体取付座部15bと段違い平行状に形成されている。
【0019】
ストッパ取付座部15cには、ストッパ26の挿通孔15fが形成され、この挿通孔15fにボルト形状をしたストッパ26の一端(ネジ形成端)が挿通され、ナット26aにより緊締固着されている。
また、第2取付ブラケット16は、図3(A)〜(E)に示すように、原動部2への取付部16aと、該取付部16aから左右方向外側へ屈曲された弾性体取付座部16bと、ストッパ取付座部16cとを有し、全体が金属板で構成されている。
上記原動部2への取付部16aは、原動部2の前端部のフランジの左右両側面部にボルト・ナット等の締結具22を介して取り付けられている。
【0020】
また、上記弾性体取付座部16bは、平行に複数個(図は2個の場合を例示している)形成され、その中央部にストッパ取付座部16cが弾性体取付座部16bと同一面に平行に形成されている。
ストッパ取付座部16cには、長孔状の係止孔27が形成されており、この係止孔27には、ボルト形状をしたストッパ26の他端側の首部26bが挿通されて、係止孔27の長孔内で移動可能に遊嵌されている。また、上記首部26bの他端側には大径頭部26cが形成され、この大径頭部26cによって、ストッパ26が係止孔27から抜け出さないように係止される。
【0021】
上記第1取付ブラケット15の弾性体取付座部15b及びストッパ取付座部15cと、第2取付ブラケット16の弾性体取付座部16b及びストッパ取付座部16cとは、第1の緩衝ダンパー機構17の取付対向面を形成しており、この対向面は、図1に示すように、原動部2の軸心方向とこれに直交する方向との中間の角度に傾けて形成されている。この角度は、0°以上90°以下の任意の角度に設定され、図1では、30°の場合を示している。この角度は、理論上、45°とした場合では、原動部2の軸心方向の振動衝撃と、該方向に直交する方向の振動衝撃とを同程度に吸収緩和することができ、45°より小さくなれば、原動部2の軸心方向の振動衝撃を吸収緩和する作用の方が他方よりも増加し、45°より大きくなれば、逆になるものと推定される。
【0022】
第1の緩衝ダンパー機構17は、弾性体25として、中実円柱形状の防振ゴムで構成した場合を例示している。この場合、中実円柱形状の防振ゴムの両端に金属板製の支承板25a、25bが焼き付けなどで一体的に固着されており、この支承板25a、25bにはボルト25c、25dの基部が溶接等で一体的に取り付けられている。そして、このボルト25c、25dを第1取付ブラケット15の弾性体取付座部15bと第2取付ブラケット16の弾性体取付座部16bとに挿通してナット25e、25fで緊締固着している。なお、上記防振ゴムに使用するゴムの材質は、例えば、CR(クロロプレンゴム)であり、ゴム硬度は45度のものとされているが、これに制約されるものではない。また、弾性体25は、ゴムに制約されず、コイルバネ等でも良い。
【0023】
一方、ハンマ駆動部4側には、ハンマ駆動部4の側面に前部横ハンドル14が第2の緩衝ダンパー機構20を介して取り付けられている。図1,図2の実施形態では、ハンマ駆動部4の中心軸線に直交する面内でハンマ駆動部4から上面側にD字形に突出する状態で前部横ハンドル14が取り付けられており、下面側には、前脚片28が設けられている。
前部横ハンドル14は、中空パイプ材(金属製丸パイプ等)をコ字状にプレス曲げ加工し、さらに両端を扁平にプレス加工したものが使用され、特によく把持する部分(図4の上面部14aから左右側面部14b、14cにかけての部分)には、手触りが良好で、ある程度の弾性を有し、且つ滑り難い材料(例えば、軟質樹脂や硬めのスポンジ又はゴム等)で形成したハンドルカバー29が装着されている。
【0024】
上記前部横ハンドル14は、図1に示すように、上面部14aの長さがハンマ駆動部4の左右方向幅よりも若干長くされ、これによって、ハンマ駆動部4の左右両側へはみ出して取り付けられ、これと前記下面側の前脚片28(図2参照)とでハンマ駆動部4を保護するガードを兼ねている。
上記前部横ハンドル14が取り付けられるハンマ駆動部4側の第2の緩衝ダンパー機構20は、図2に示すように、ハンマ駆動部4の一側(上面)に配置されており、かつ、前部横ハンドル14側の第1取付ブラケット18とハンマ駆動部4側の第2取付ブラケット19との相対向面は、図4(A)〜(C)、図5(A)(B)に示すように、ハンマ駆動部4の軸心方向に沿う第1の対向面P1,P1とこの第1の対向面に直交する第2の対向面P2,P2とされ、前記第2の対向面P2,P2間に複数の弾性体30が配置され、これら複数の弾性体30の配置の中央部に別の弾性体31が前記第1の対向面P1,P1間に配置されている。
【0025】
上記第1取付ブラケット18は、図5(B)に示すように、長方形板状の主体部からなる第1弾性体取付座部18aと、この第1弾性体取付座部18aの長手方向中央部の一側に長方形板状部から直角に折り曲げられて起立形成された第2弾性体取付座部18bと、前記第1弾性体取付座部18aの長手方向両端から直角に折り曲げられて起立形成されたハンドル取付部18c、18dとを有し、全体が金属板で折り曲げ形成されている。
上記第1弾性体取付座部18aは、第2の対向面P2を形成するもので、複数の弾性体30を第2弾性体取付座部18bの両側に振り分けて取り付けるように構成されており、図示例では、2個の弾性体30を両側に振り分け配置して取り付けた場合を示している。
【0026】
第2弾性体取付座部18bは、第1の対向面P1を形成するもので、複数の弾性体30の配置された中央部で該弾性体30と直交して別の弾性体31を取り付ける部分として形成されている。
ハンドル取付部18c、18dは、前部横ハンドル14の左右側面部14b、14cの扁平化された先端部14d、14eにそれぞれ複数のボルト・ナット等の締結具32を介して取り付けられている。
また、第2取付ブラケット19は、図5(A)に示すように、長方形板状の天板部を上面に形成する第1弾性体取付座部19aと、この第1弾性体取付座部19aの長手方向一側から下方に直角に折り曲げられて垂下形成された第2弾性体取付座部19bと、この第2弾性体取付座部19bの下端から下方へ延長形成されたハンマ駆動部4への取付脚部19cと、第2弾性体取付座部19bと対向して第1弾性体取付座部19aの長手方向他側から下方に直角に折り曲げられて垂下形成されたカバー部19dとを有し、全体が金属板で第1取付ブラケット18を跨ぐように折り曲げ形成されている。
【0027】
上記第1弾性体取付座部19aは、第2の対向面P2を形成するもので、複数の弾性体30を長手方向両側に振り分けて取り付けるように構成されており、図示例では、2個の弾性体30を両側に振り分け配置して取り付けた場合を示している。
第2弾性体取付座部19bは、第1の対向面P1を形成するもので、複数の弾性体30の配置された中央部で該弾性体30と直交して別の弾性体31を取り付ける部分として形成されている。
ハンマ駆動部4への取付脚部19cは、ハンマ駆動部4のフランジに複数(図は2個を示す)のボルト・ナット等の締結具33(図2参照)を介して取り付けられている。この締結具33は、ハンマ駆動部4と伝動部3とを結合する締結具を利用した場合を示しているが、別にしてもよい。
【0028】
カバー部19dは、弾性体30,31の配置部分を被覆保護させるために設けられている。
第2の緩衝ダンパー機構20は、弾性体30,31として、図5(C)に示すような中実円柱形状の防振ゴムで構成した場合を例示している。この場合、中実円柱形状の防振ゴムの両端に金属板製の支承板30a、30b、31a、31bが焼き付けなどで一体的に固着されており、一方の支承板30a、31aにはボルト30c、31cの基部が溶接等で一体的に取り付けられており、他方の支承板30b、31bにはナット30d、31dが溶接等で固着されている。そして、このボルト30c、31cを第1取付ブラケット18の第1弾性体取付座部18aと第2弾性体取付座部18bに挿通してナット30e、31eで緊締固着している。また、ナット30d、31dには、第2取付ブラケット19の第1弾性体取付座部19aと第2弾性体取付座部19bとを通してボルト30f、31fをねじ込んで弾性体30,31を第2取付ブラケット19の第1弾性体取付座部19aと第2弾性体取付座部19bとに緊締固着している。
【0029】
なお、上記防振ゴムに使用するゴムの材質は、例えば、CR(クロロプレンゴム)であり、ゴム硬度は60度のものとされているが、これに制約されるものではない。また、弾性体30,31は、ゴムに制約されず、コイルバネ等でも良い。
本発明に係る実施形態の構成は、以上からなり、次に動作を説明する。
この実施形態に係るインパクト型回転工具は、原動部2、伝動部3、ハンマ駆動部4からなる本体1の軸心方向を垂直方向にして作業する場合と、水平方向にして作業する場合と、これらの中間方向にして作業する場合とがある。
【0030】
垂直方向にして作業する場合は、縦ハンドル13と後部横ハンドル12とを作業者が両手で把持して行われる。
また、水平方向にして作業する場合は、縦ハンドル13と前部横ハンドル14とを作業者が両手で把持して行われる。
更に、これらの中間方向にして作業する場合は、縦ハンドル13と前後いずれか一方の横ハンドル12,14を把持して行われる。
上記作業中、原動部2で発生する振動衝撃及びハンマ駆動部4で発生する振動衝撃は、第1の緩衝ダンパー機構17の弾性体25及び第2の緩衝ダンパー機構20の弾性体30,31によって吸収緩和されることになるため、作業者の負担を軽減することができる。
【0031】
前記第1の緩衝ダンパー機構17は、原動部2の左右両側に配置されており、かつ、前記両取付ブラケット15,16の相対向面は、原動部2の軸心方向とこれに直交する方向との中間の角度に傾けて形成されており、しかも、前記両取付ブラケット15,16の相対向面間に複数の弾性体25が配置され、これら複数の弾性体25の配置の中央部にストッパ26が配置され、このストッパ26は、両取付ブラケット15,16の一方15に固定され、他方の取付ブラケット16に対して該他方の取付ブラケット16に形成された係止孔27に遊嵌されているため、原動部2の軸心方向の振動衝撃、及び、これに直交する方向の振動衝撃並びにこれらの組み合わせ方向の振動衝撃、さらに、原動部2の軸心回りの回転方向の振動衝撃が第1の緩衝ダンパー17の弾性体25によって吸収緩和され、作業者の負担を軽減することができる。しかも、ストッパ26が係止孔27に遊嵌してあることによって、第1の緩衝ダンパー機構17の振動衝撃に対する吸収緩和動作を適正範囲に規制し、その損傷を防止すると共に、弾性体25の万一の破損時においても、ストッパ26が係止孔27に係止することによって、縦ハンドル13から原動部2を含むインパクト型回転工具1全体が分離脱落することを防止することができる。
【0032】
また、前記第2の緩衝ダンパー機構20は、ハンマ駆動部4の一側に配置されており、かつ、前記両取付ブラケット18,19の相対向面は、ハンマ駆動部4の軸心方向に沿う第1の対向面とこの第1の対向面に直交する第2の対向面とされ、前記第1の対向面間に複数の弾性体30が配置され、これら複数の弾性体30の配置の中央部に別の弾性体31が前記第2の対向面間に配置されているため、ハンマ駆動部4の軸心方向及びこれに直交する方向並びにこれらの組み合わせ方向の振動衝撃、さらに、ハンマ駆動部4の軸心回りの回転方向の振動衝撃が第2の緩衝ダンパー機構20によって吸収緩和され、作業者の負担を軽減することができる。さらに、両取付ブラケット18,19の第1の対向面と第2の対向面とが直交して交差していることになるため、第2の緩衝ダンパー機構20の振動衝撃に対する吸収緩和動作を適正範囲に規制させることができ、弾性体30又は弾性体31の破損を防止し、万一、弾性体30又は弾性体31が破損しても両取付ブラケット18,19が係合して前部横ハンドル14とハンマ駆動部4とが分離脱落することを防止することができる。
【0033】
図6(A)は、縦ハンドル13に第1の緩衝ダンパー機構17を介在させた本発明の実施形態品と緩衝ダンパー機構を介さずに直付けした従来品との縦ハンドル13部分における上下、前後、左右の各方向の加速度(m/s2)の平均値の比較データを示す棒グラフであり、図6(B)はCE値の棒グラフであって、黒塗り棒が本発明の実施形態品であり、白抜き棒が従来品である。
本発明の実施形態品の数値(平均値)は、上下=13.0、前後=26.0、左右=19.1、CE値=34.8である。
【0034】
従来品の数値(平均値)は、上下=100.0、前後=70.8、左右=61.7、CE値=137.2である。
図7(A)は、前部横ハンドル14に第2の緩衝ダンパー機構20を介在させた本発明の実施形態品と緩衝ダンパー機構を介さずに直付けした従来品との前部横ハンドル14部分における上下、前後、左右の各方向の加速度(m/s2)の平均値の比較データを示す棒グラフであり、図7(B)はCE値の棒グラフであって、黒塗り棒が本発明の実施形態品であり、白抜き棒が従来品である。
【0035】
本発明の実施形態品の数値(平均値)は、上下=50.7、前後=9.0、左右=18.0、CE値=54.5である。
従来品の数値(平均値)は、上下=94.4、前後=148.0、左右=112.0、CE値=208.2である。
上記比較データから明らかなように、本発明の実施形態品は、従来品に比べて、振動衝撃が吸収緩和されて作業者の負担が軽減されることが確認された。
本発明の実施形態は以上から成るが、本発明は上記実施形態にのみ制約されるものではなく、携帯型ハンドツールとしてのインパクト型回転工具(スパナ、レンチ、ドライバ等)や、ステープラー、ハンドハンマー、ハンドドリル等の可搬形動力工具全般に適用することができるものである。例えば、本体1に対するハンドルの取付形状は、本体1の軸線に沿ってL字形に取り付けたり、その他、適宜の形状に変更して取り付けても良く、その際、取付ブラケットの形状や弾性体の形状・構造・配置個数、配置方向等は振動衝撃の伝わる方向を考慮し、効果的に吸収緩和し得るように設定変更して実施してもよい。また、ハンマ駆動部4は、適用工具によって、当該工具の作業に適した作業部に変更して実施することは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係るインパクト型回転工具全体の平面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】(A)〜(D)は、第1の緩衝ダンパー機構の平面図、正面図、左側面図、右側面図、(E)は弾性体の側面図である。
【図4】(A)〜(C)は、第2の緩衝ダンパー機構の正面図、中央縦断右側面図、右側面図である。
【図5】(A)は第2の緩衝ダンパー機構の第2取付ブラケットの斜視図、(B)はその第1取付ブラケットの斜視図、(C)は弾性体の右半分を断面とした側面図である。
【図6】(A)は縦ハンドル部分における本発明の実施形態品と従来品との加速度の比較グラフであり、(B)はそのCE値の比較グラフである。
【図7】(A)は前部横ハンドル部分における本発明の実施形態品と従来品との加速度の比較グラフであり、(B)はそのCE値の比較グラフである。
【符号の説明】
【0037】
1 本体
2 原動部
3 伝動部
4 ハンマ駆動部
11 工具軸
12 後部横ハンドル
13 縦ハンドル
14 前部横ハンドル
15 第1取付ブラケット
16 第2取付ブラケット
17 第1の緩衝ダンパー機構
18 第1取付ブラケット
19 第2取付ブラケット
20 第2の緩衝ダンパー機構
25 弾性体
26 ストッパ
27 係止孔
30、31 弾性体
P1 第1の対向面
P2 第2の対向面
【出願人】 【識別番号】000232597
【氏名又は名称】株式会社ベッセル工業
【出願日】 平成18年10月13日(2006.10.13)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄

【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄


【公開番号】 特開2008−93799(P2008−93799A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−280085(P2006−280085)