トップ :: B 処理操作 運輸 :: B25 手工具;可搬型動力工具;手工具用の柄;作業場設備;マニプレ−タ

【発明の名称】 ハンマドリル
【発明者】 【氏名】大久保 貴啓

【氏名】根内 拓哉

【要約】 【課題】製造工程を簡略化し、軽量化を図ったハンマドリルであって、かつシリンダの回転時にシリンダが支持部材に衝突してしまうことを防止するハンマドリルの提供。

【解決手段】中心軸方向における基部寄りのシリンダの端部は段部44Dを有している。段部44D近傍であって段部44Dよりも反基部側の部分は、メタル軸受34の軸受内面34Aに当接する当接面44Fを有する当接部をなしており、当接面44Fは段部44Dにおいて中心軸方向へ向かう垂直面44Gと接続されている。垂直面44Gは、縮径部44Eを規定する縮径部周面44Hに接続されている。垂直面44Gは、中心軸方向におけるメタル軸受34の一端と他端との間の位置からメタル軸受34に対して離間し始める位置関係をなしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸部を備えたモータと、
少なくとも該モータを内蔵するケーシング部と、
該ケーシング部内に設けられ中心軸が規定され該駆動軸部により該中心軸回りに回転駆動される略円筒状のシリンダ部と、
該ケーシング部に接続されて該シリンダ部を支持する支持部材と、を備え、
該支持部材は、該ケーシング部に接続される基部と、該基部から該中心軸方向と略平行な方向に延出されるシリンダ支持部とを有し、
該シリンダ支持部には該シリンダ部を回転可能に当接支持する軸受部が設けられ、
該中心軸方向における該基部寄りの該シリンダ部の端部は該軸受部に当接する当接部を有し、該当接面に続く該基部側の接続面は、該中心軸方向における該軸受部の一端と他端との間の位置から該軸受部に対して離間し始めていることを特徴とするハンマドリル。
【請求項2】
該軸受部は、該シリンダ部に当接して支持する軸受内面を有し、
該シリンダ支持部は、該シリンダ部の少なくとも一端部が配置される空間を画成するシリンダ支持部内面を有し、
該シリンダ支持部及び該軸受部を該シリンダ部の中心軸を通り該シリンダ部の中心軸と平行な断面で切断した場合に、該シリンダ支持部内面は該軸受内面より該中心軸に近接するよう突出しているか又は該シリンダ支持部内面と該軸受内面とは面一であることを特徴とする請求項1記載のハンマドリル。
【請求項3】
該接続面は、該接続面と該当接面との接続位置から該シリンダ部の最も基部寄りの端縁に向かって該シリンダ部の外径が縮径するテーパー面をなすことを特徴とする請求項1記載のハンマドリル。
【請求項4】
該支持部材は該軸受部を含んで一体成形されていることを特徴とする請求項1記載のハンマドリル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はハンマドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からドリルビットを回転させると共に打撃力を加えるハンマドリルが知られている。このハンマドリルは打撃力を発生させるために、モータと、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンと、モータの回転力をピストンの往復運動に変換する運動変換機構と、ピストンにより打撃駆動される打撃子とを備えている(例えば、特許文献1参照)。上述のシリンダは、ハンマドリルの外殻となるケーシング部に接続された支持部材により、ハンマドリル内で支持されている。また支持部材のシリンダを支持する部分には、メタル軸受や、ボールベアリングが圧入やネジ止めにより設けられており、シリンダを回転可能に支持している。
【特許文献1】特開2005−040880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ハンマドリルでは、打撃に伴う振動が発生するため、全体的に高剛性に構成されている。この高剛性化に伴い、製品重量が重くなることがあった。またハンマドリルを製造するにあたっては、複数の工程を経て製造されている。しかし構成点数が多いため、製造工程が煩雑となり、生産性が劣る場合があった。
【0004】
そこで本発明は、製造工程を簡略化し、軽量化を図ることができるハンマドリルであって、かつシリンダの回転時にシリンダが支持部材に衝突してしまうことを防止するハンマドリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、駆動軸部を備えたモータと、少なくとも該モータを内蔵するケーシング部と、該ケーシング部内に設けられ中心軸が規定され該駆動軸部により該中心軸回りに回転駆動される略円筒状のシリンダ部と、該ケーシング部に接続されて該シリンダ部を支持する支持部材と、を備え、該支持部材は、該ケーシング部に接続される基部と、該基部から該中心軸方向と略平行な方向に延出されるシリンダ支持部とを有し、該シリンダ支持部には該シリンダ部を回転可能に当接支持する軸受部が設けられ、該中心軸方向における該基部寄りの該シリンダ部の端部は該軸受部に当接する当接部を有し、該当接面に続く該基部側の接続面は、該中心軸方向における該軸受部の一端と他端との間の位置から該軸受部に対して離間し始めているハンマドリルを提供している。
【0006】
中心軸方向における基部寄りのシリンダ部の端部は軸受部に当接する当接部を有し、当接面に続く基部側の接続面は、中心軸方向における軸受部の一端と他端との間の位置から軸受部に対して離間し始めているため、シリンダ部の一部であって接続面を含めた接続面よりも基部側の部分が、シリンダ部支持部内面と当接することを抑制することができる。よってシリンダ部支持部の破損を防止し、かつシリンダ部の回転負荷が発生することを抑制することができる。
【0007】
ここで、該軸受部は、該シリンダ部に当接して支持する軸受内面を有し、該シリンダ支持部は、該シリンダ部の少なくとも一端部が配置される空間を画成するシリンダ支持部内面を有し、該シリンダ支持部及び該軸受部を該シリンダ部の中心軸を通り該シリンダ部の中心軸と平行な断面で切断した場合に、該シリンダ支持部内面は該軸受内面より該中心軸に近接するよう突出しているか又は該シリンダ支持部内面と該軸受内面とは面一であることが好ましい。
【0008】
シリンダ支持部及び軸受部をシリンダ部の中心軸を通りシリンダ部の中心軸と平行な断面で切断した場合に、シリンダ支持部内面は軸受内面より中心軸に近接するよう突出しているか又はシリンダ支持部内面と軸受内面とは面一であるため、中心軸方向において軸受部を確実に位置決めすることができる。
【0009】
また、該接続面は、該接続面と該当接面との接続位置から該シリンダ部の最も基部寄りの端縁に向かって該シリンダ部の外径が縮径するテーパー面をなすことが好ましい。
【0010】
接続面は、接続面と当接面との接続位置からシリンダ部の最も基部寄りの端縁に向かってシリンダ部の外径が縮径するテーパー面をなすため、ハンマドリルの製造に際してシリンダ部を支持部材に容易に挿入することができる。このため、ハンマドリルの製造工程を簡単にすることができる。
【0011】
また、該支持部材は該軸受部を含んで一体成形されていることが好ましい。支持部材は軸受部を含んで一体成形されているため、支持部材を構成する際に軸受部を支持部材と一体にすることができる。このため、軸受部を圧入やネジ止め等によって支持部材に取り付ける必要が無くなり、製造工程を短縮することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造工程を簡略化し、かつ軽量化を図ることができるハンマドリルであって、かつシリンダの回転時にシリンダが支持部材に衝突してしまうことを防止するハンマドリルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の電動工具をハンマドリルに適用した第1の実施の形態について、図1乃至図3に基づき説明する。ハンマドリル1は、互いに接続されたハンドル部10及びモータケーシング20と、ギヤケーシング30とを含んで構成されるケーシング部2を外殻として構成されている。
【0014】
ハンドル部10は、モータケーシング20に、モータケーシング20の反ギヤケーシング30側位置の側面から延出されて設けられている。ハンドル部10には電源ケーブル11が取り付けられていると共に、スイッチ機構12が内蔵されている。スイッチ機構12には使用者により操作可能なトリガ13が機械的に接続されている。電源ケーブル11はスイッチ機構12を外部電源(図示せず)に接続し、トリガ13を操作することにより、スイッチ機構12と電源との接続と断続とが切換えられる。尚、ハンマドリル1において、ケーシング部2の長手方向においてハンドル部10が設けられている側を後側と定義し、長手方向反対側を前側と定義する。この前後方向が、後述のシリンダ44の回転の中心軸方向と同一になっている。またハンドル部10のケーシング部2からの延出方向であって前後方向と略直交する方向を下側と定義し、反下側を上側と定義する。
【0015】
モータケーシング20は樹脂成型品で、ハンドル部10と一体成型されている。モータケーシング20内には電動モータ21が収納されている。電動モータ21は駆動軸である出力軸部22を備え、回転駆動力を出力している。出力軸部22は、後述のベアリング31Aにより軸支され、その前側先端がギヤケーシング30内に位置している。また出力軸部22のギヤケーシング30内に位置している前側先端部分には、第一ギヤ22Bが設けられている。
【0016】
ギヤケーシング30はモータケーシング20の反ハンドル部10側に設けられている。ギヤケーシング30の内部には支持部材31が設けられている。支持部材31は、ナイロン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリウレタン等の一般的にエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂を基材として、モータケーシング20に接続される基部32と、基部32から前側へ向けて延出されるシリンダ部支持部33とを備えている。また支持部材31は、後述のメタル軸受34を含んで一体成形されている。
【0017】
基部32は、前後方向と直交する板状に構成されており、その略中央部分に出力軸部22が挿通される孔32aが形成されており、モータケーシング20に接続される図示せぬネジを通す図示せぬ孔が複数形成されている。また図1に示されるように、基部32のモータケーシング20と接続される面には、出力軸部22を軸支するベアリング31Aが配置される穿孔が形成されており、ギヤケーシング30側の面には、後述の中間軸部41を軸支するベアリング41Bが配置される穿孔が形成されている。
【0018】
シリンダ部支持部33には、図1に示されるように、延出方向の先端部分に環状のメタル軸受34が設けられている。シリンダ部支持部33のメタル軸受34と基部32との間には、前後方向と直交する断面が半円弧と半円弧の両端から略平行に延出される一対の辺から規定される略U字状を成し、下側へ向けて開口する空間33aが形成されている。
【0019】
図1、図2に示されるように、メタル軸受34の内面には軸受内面34A(図2)が規定され、シリンダ部支持部33の内面には支持部内面33Aが規定されている。シリンダ部支持部33及びメタル軸受34をメタル軸受34の中心軸を通り前後方向と平行な断面で切断した場合に、支持部内面33Aと軸受内面34Aとは図2に示されるように面一になっている。このため、当該中心軸方向においてメタル軸受34を確実に位置決めすることができる。
【0020】
ギヤケーシング30内の支持部材31の下側部分には、後述の回転伝達機構を収容する減速室40aが画成されている。減速室40a内には、中間軸部41が配置されている。中間軸部41は、出力軸部22と平行であり、ベアリング41B等を介してギヤケーシング30と支持部材31とにより、その軸心を中心に回転可能に支承されている。また、ギヤケーシング30の、後述する工具保持部15近傍には、サイドハンドル16が設けられている。
【0021】
中間軸部41の後側となる電動モータ21側端部には、第一ギヤ22Bと噛合する第二ギヤ41Aが中間軸部41と同軸固定されている。中間軸部41の前側には中間軸部41と共回りし、かつ中間軸部41の軸方向に摺動可能なクラッチ42が配置されている。またクラッチ42の前側には、後述の第四ギヤ44Aと噛合可能な第三ギヤ43Aが設けられている。
【0022】
ギヤケーシング30内であって中間軸部41の他端側かつ上側近傍位置には、シリンダ44が設けられている。シリンダ44は中間軸部41と平行に延び、支持部材31においてシリンダ部支持部33のメタル軸受34と、ギヤケーシング30においてベアリング40Dとにより回転可能に支承されている。シリンダ44の外周であって第三ギヤ43A近傍には第四ギヤ44Aがシリンダ44と同軸回転可能に固定されている。第三ギヤ43Aと第四ギヤ44Aとの噛合により、シリンダ44はその軸心を中心としてギヤケーシング30に対して回転可能である。
【0023】
また第四ギヤ44Aとシリンダ44との間には、遮断機構が介在している。遮断機構は、シリンダ44の第四ギヤ44A近傍位置に設けられた鍔部44Bと、第四ギヤ44Aを挟んで鍔部44Bの反対側に設けられて第四ギヤ44Aを鍔部44Bに付勢するバネ44Cとから構成されている。通常回転時では、バネ44Cにより第四ギヤ44Aを鍔部44Bに付勢し、第四ギヤ44Aとシリンダ44とを一体に回転させる。図示せぬ先端工具が被削材に食い込む等の急激な回転の変化があった場合には、バネ44Cの付勢力に抗ってシリンダ44が第四ギヤ44Aに対して空転し、急激な回転の変化の伝達を遮断することができる。
【0024】
シリンダ44は、内部に空間44aが画成されており、空間44aはシリンダ44の前側及び後側でそれぞれ開口している。シリンダ44後端の開口部分から空間44a内にピストン54が往復方向及び周方向に摺動可能に配置されている。シリンダ44の前側には図示せぬ先端工具の装着箇所となる工具保持部15が設けられている。工具保持部15では、シリンダ44の前側の開口から空間44a内に図示せぬ先端工具を挿入可能となっており空間44a内に挿入された先端工具を固定可能となっている。
【0025】
中心軸方向における基部32寄りのシリンダ44の端部は、図2に示されるように、シリンダ44の外周面が縮径するように構成された段部44Dを有しており、当該段部44Dよりも基部32側の部分が縮径部44Eとなっている。縮径部44Eにおいてはシリンダ44の外径がシリンダ44の軸方向において略一定の値となっている。段部44D近傍であって段部44Dよりも反基部側の部分は、メタル軸受34の軸受内面34Aに当接する当接面44Fを有する当接部をなしており、当接面44Fは段部44Dにおいて中心軸方向へ向かう垂直面44Gと接続されており、垂直面44Gは、縮径部44Eを規定する縮径部周面44Hに接続されている。垂直面44Gは、中心軸方向、即ち、図2の左右方向におけるメタル軸受34の一端と他端との間の位置からメタル軸受34に対して離間し始める位置関係をなしている。垂直面44Gは接続面に相当する。
【0026】
このような構成としたため、シリンダ44の一部であって垂直面44Gを含めた垂直面44Gよりも基部32側の部分が、支持部内面33Aと当接することを抑制することができる。よってシリンダ部支持部33の破損を防止し、かつシリンダ44の回転負荷が発生することを抑制することができる。
【0027】
ピストン54は、筒部54Aと接続部54Bとから一体に構成されている。筒部54Aは前側が開口し後側が閉塞された略円筒状に構成されており、内部に空気室54aが画成されている。空気室54aを画成する壁部分であってピストン54の側面部分には、複数の空気孔54bが形成されている。また筒部54Aの外径は、空間44aの後端側の内径と略同一に構成されている。接続部54Bは筒部54Aの後端側に設けられており、後述の腕部52Aと連結されている。
【0028】
ピストン54の空気室54a内には、打撃子56が往復摺動可能に配置されている。打撃子56は、ピストン54が後側から前側へと移動した際に、空気室54a内の圧縮された空気の圧力により、前側へと移動可能に構成されている。またシリンダ44の空間44a内において、ピストン54と工具保持部15との間の部分には、打撃子56及び工具保持部15で保持された図示せぬ先端工具とそれぞれに接触可能な中間子57が摺動可能に配置されている。よって打撃子56が中間子57を打撃した際に、その打撃力は中間子57を介して図示せぬ先端工具に加えられる。
【0029】
中間軸部41において、第二ギヤ41Aとクラッチ42との間には、カム部51が設けられている。カム部51は略半球状に構成されており、中間軸部41とは通常非接続となっている。よってクラッチ42と接続されない限り、カム部51が中間軸部41と供回りすることはない。
【0030】
カム部51は表面に中間軸部41の軸と交差する方向に球面外周全周に亘る溝51aが形成されている。またカム部51には運動変換部材52が設けられている。運動変換部材52は、略環状に構成され、環状の内部に複数のボール52Bを備え、このボール52Bが溝51aと係合してカム部51に取り付けられている。運動変換部材52の上方に位置する環状の側面からは腕部52Aが延出され支持部材31の空間33a内に挿入され、ピストン54の後端部分と連結されている。このカム部51と運動変換部材52とボール52Bとから運動変換機構が構成される。
【0031】
ギヤケーシング30の下部であってクラッチ42近傍位置には、チェンジレバ45が設けられている。チェンジレバ45は、使用者が操作することにより、クラッチ42をそれぞれ前後に摺動させ、クラッチ42とカム部51とが連結・非連結を制御している。
【0032】
上記構成のハンマドリル1において使用者が作業をする場合には、先ずチェンジレバ45により、先端工具を回転駆動するか、回転・打撃駆動するか選択する。
【0033】
先端工具を回転・打撃駆動する場合には、クラッチ42とカム部51とを連結する。そしてトリガ13を引き、電動モータ21に電力を供給することにより、シリンダ44が回転し、シリンダ44の先端に取り付けられた図示せぬ先端工具はシリンダ44と一緒に回転する。また、カム部51により、回転運動を往復運動に変換することにより、ピストン54が前後に往復し、図示せぬ先端工具に打撃力が加えられる。
【0034】
支持部材31が樹脂により構成されているので、ハンマドリル1全体として軽量化されており、長時間の作業においても、作業者にかかる負担が小さくなり、作業性が向上する。
【0035】
また図1に示されるように、メタル軸受34がシリンダ部支持部33の前側先端に設けられ、メタル軸受34の前後方向と直交する端面であって後側の側面である第一側面34Bのみがシリンダ部支持部33と接触している。この構成において、メタル軸受34はシリンダ部支持部33と癒着しているため、メタル軸受34が支持部材31と一体成型された後に、支持部材31から剥離して脱落することを抑制することができる。
【0036】
ハンマドリル1を製造する工程において支持部材31を成形する際には、支持部材31の外周形状を画成する図示せぬ金型と、図3に示されるように内周形状を画成する第一中子61、第二中子62とを使用する。
【0037】
第一中子61は、基部32の主な形状であるベアリング31Aが配置される穿孔や、出力軸部22が貫通する孔32aを画成する。第二中子62は、シリンダ部支持部33の空間33aを画成する。また、支持部材31に対するメタル軸受34の位置を規定すると共に、シリンダ部支持部33の延出方向の端部を画成する。
【0038】
図示せぬ金型内に第一中子61、及びメタル軸受34を装着した第二中子62を配置し、図示せぬ金型と第一〜第二中子61〜62との間に形成される隙間(キャビティ)に溶融した樹脂を充填し、支持部材31を射出成形する。第二中子62には、メタル軸受34が装着されているため、溶融した樹脂が流し込まれて硬化することにより、樹脂と一体に接合されて一体成形される。よって支持部材31にメタル軸受34を圧入等の装着する工程が省略され、製造工程を短縮することができる。
【0039】
またメタル軸受34は、粉末状の金属を高温、具体的には融点の90%程度の温度で焼結して成形されているため、その融点は樹脂である支持部材31の融点より高くなっている。よって支持部材31を形成時に、溶融した樹脂がメタル軸受34に付着したとしても、メタル軸受34の軸受としての性能を損なうことは抑制されている。
【0040】
溶融した樹脂が硬化した後に、図5に示されるように、第一中子61と第二中子62とが前後方向であって互いに離間する方向に引き抜かれる。これにより、支持部材31の主な形状が形成され、この後に、中子で成形することができない箇所の機械加工を行い、支持部材31が完成する。この支持部材31をモータケーシング20に図示せぬネジで装着し、その他部品を組み合わせることによりハンマドリル1が製造される。
【0041】
本発明のハンマドリルは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、本実施の形態では、中心軸方向における基部32寄りのシリンダ44の端部は、シリンダ44の外周面が縮径するように構成された段部44Dを有しており、当該段部44Dよりも基部32側の部分が縮径部44Eとなっており、縮径部44Eは、シリンダ44の外径が略一定の値となっていたが、この形状に限定されず、当接面に続く基部側の接続面が、中心軸方向におけるメタル軸受の一端と他端との間の位置からメタル軸受に対して離間し始めていればよい。
【0042】
例えば、図4に示されるように、当接面144Fに続く基部32(図1)寄りの接続面がテーパー面144Gをなしていてもよい。テーパー面144Gは、テーパー面と当接面144Fとの接続位置からシリンダ144の最も基部32寄りの端縁に向かってシリンダ144の外径が縮径するように設けられている。
【0043】
また、図5に示されるように、当接面244Fに続く反基部側の面244Jが、中心軸方向におけるメタル軸受34の一端と他端との間の位置からメタル軸受34に対して離間し始めるようにして、当接面244Fと当接面244Fに続く反基部側の面とで段部244Iを規定してもよい。
【0044】
また、シリンダ部支持部33及びメタル軸受34をメタル軸受34の中心軸を通り前後方向と平行な断面で切断した場合に、支持部内面33Aと軸受内面34Aとは面一になっていたが、これに代えて支持部内面が軸受内面よりも中心軸に近接するよう突出していてもよい。また、支持部材31を樹脂以外の高剛性の素材、例えば金属等から成形しても良く、この場合であっても軸受34内径と支持部内面33Aの内径とを略同径とすることができ、軸受34の電動モータ21側への移動を支持部材31が効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係るハンマドリルの側面断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るハンマドリルのメタル軸受の部分を示す要部断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るハンマドリルの支持部材の成形時の中子と支持部材との関係を示す図。
【図4】本発明の実施の形態に係るハンマドリルの変形例のメタル軸受の部分を示す要部断面図。
【図5】本発明の実施の形態に係るハンマドリルの変形例のメタル軸受の部分を示す要部断面図。
【符号の説明】
【0046】
1・・ハンマドリル 2・・ケーシング部 10・・ハンドル部 11・・電源ケーブル
12・・スイッチ機構 13・・トリガ 15・・工具保持部 16・・サイドハンドル
20・・モータケーシング 21・・電動モータ 22・・出力軸部
22B・・第一ギヤ 30・・ギヤケーシング 31・・支持部材
31A・・ベアリング 32・・基部 32a・・孔
33・・シリンダ部支持部 33A・・支持部内面 33B・・リブ 33a・・空間
34・・メタル軸受 34A・・軸受内面 34B・・第一側面 34C・・第二側面
40D・・ベアリング 40a・・減速室 41・・中間軸部 41A・・第二ギヤ
41B・・ベアリング 42・・クラッチ 43A・・第三ギヤ 44・・シリンダ
44A・・第四ギヤ 44B・・鍔部 44C・・バネ 44D・・・段部
44E・・・縮径部 44F・・・当接面 44G・・・垂直面 44a・・空間
45・・チェンジレバ 51・・カム部 51a・・溝 52・・運動変換部材
52A・・腕部 52B・・ボール 54・・ピストン 54A・・筒部
54B・・接続部 54a・・空気室 54b・・空気孔 56・・打撃子
57・・中間子 61・・第一中子 62・・第二中子
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年10月6日(2006.10.6)
【代理人】 【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩

【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸

【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子

【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦


【公開番号】 特開2008−93749(P2008−93749A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−275001(P2006−275001)