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【発明の名称】 ハンマドリル
【発明者】 【氏名】大久保 貴啓

【氏名】根内 拓哉

【要約】 【課題】製造工程を簡略化し、かつ軽量化を図ったハンマドリルの提供。

【解決手段】駆動軸部22を備えたモータ21と、モータ21を内蔵するケーシング2と、該ケーシング2に設けられ中心軸が規定され駆動軸部22により中心軸回りに回転駆動される略円筒状のシリンダ44と、ケーシング2に接続される支持部材31と、支持部材31にシリンダ44と同軸に設けられてシリンダ44を回転可能に支持する軸受部34と、軸受部34に当接すると共に、軸受部34を中心軸の軸方向であって支持部材31に向けて付勢する付勢機構とを備えたハンマドリルを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動軸部を備えたモータと、
少なくとも該モータを内蔵するケーシング部と、
該ケーシング部内に設けられ中心軸が規定され該駆動軸部により該中心軸回りに回転駆動される略円筒状のシリンダ部と、
該ケーシング部に接続される支持部材と、
該支持部材に該シリンダ部と同軸に設けられて該シリンダ部を回転可能に支持する軸受部と、
該軸受部に当接すると共に、該軸受部を該中心軸の軸方向であって該支持部材に向けて付勢する付勢機構と、を備えることを特徴とするハンマドリル。
【請求項2】
該軸受部は、該中心軸方向と直交する端面である第一側面と第二側面とを有し、
該第一側面は該支持部材と当接し、該第二側面は該付勢機構と当接していることを特徴とする請求項1に記載のハンマドリル。
【請求項3】
該付勢機構は、該軸受部と当接するスリーブと、該スリーブを該軸受部に向けて付勢するバネと、該バネの反軸受部側への移動を規制する規制部と、を含んで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のハンマドリル。
【請求項4】
該シリンダ部と該駆動軸部との間には、該シリンダ部と該駆動軸部との間での駆動力の伝達を遮断可能な遮断機構が設けられ、
該遮断機構は、該シリンダ部と連動して該シリンダ部と同軸若しくは平行な軸で回転する被当接部と、該駆動軸部と連動して該駆動軸部と同軸若しくは平行な軸で回転し該被当接部と当接する当接部と、該当接部を該被当接部に向けて付勢する付勢部とを有し、
該被当接部は該規制部から構成され、該付勢部は該バネから構成されることを特徴とする請求項3に記載のハンマドリル。
【請求項5】
該付勢機構は該シリンダ部に設置され、
該シリンダ部には、該付勢機構が非付勢状態において該シリンダ部から脱落するのを防止する脱落防止部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載のハンマドリル。
【請求項6】
該軸受部は、該支持部材と当接する外輪と、該外輪に回転可能に支持されて該中心軸を中心として回転すると共に該シリンダ部を支持する内輪と、を有し、
該付勢機構は、該内輪を付勢することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載のハンマドリル。
【請求項7】
該支持部材は、樹脂から構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載のハンマドリル。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はハンマドリルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からドリルビットを回転させると共に打撃力を加えるハンマドリルが知られている。このハンマドリルは打撃力を発生させるために、モータと、シリンダと、シリンダ内に配置されたピストンと、モータの回転力をピストンの往復運動に変換する運動変換機構と、ピストンにより打撃駆動される打撃子とを備えている(例えば、特許文献1参照)。上述のシリンダは、ハンマドリルの外殻となるケーシング部に接続された支持部材により、ハンマドリル内で支持されている。また支持部材のシリンダを支持する部分には、メタル軸受や、ボールベアリング等の軸受部が圧入により設けられており、シリンダを回転可能に支持している。
【0003】
ハンマドリルでは、打撃に伴う振動が発生するため、全体的に高剛性に構成されている。それに伴い軸受部が振動等で支持部材から外れないように高圧で支持部材に圧入されている。
【特許文献1】特開2005−040880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、軸受部を高圧で圧入するには、例えば油圧装置等の高圧を発生させることとができる装置が必要となり、作業が繁雑になる場合があった。また支持部材においても、軸受部の圧入に耐えるべく、肉厚、高強度の素材を用いる必要があり、これによってハンマドリルの重量が増加する傾向があった。
【0005】
そこで本発明は、製造工程を簡略化し、かつ軽量化を図ることができるハンマドリルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、駆動軸部を備えたモータと、少なくとも該モータを内蔵するケーシング部と、該ケーシング部内に設けられ中心軸が規定され該駆動軸部により該中心軸回りに回転駆動される略円筒状のシリンダ部と、該ケーシング部に接続される支持部材と、該支持部材に該シリンダと同軸に設けられて該シリンダを回転可能に支持する軸受部と、該軸受部に当接すると共に、該軸受部を該中心軸の軸方向であって該支持部材に向けて付勢する付勢機構と、を備えたハンマドリルを提供する。
【0007】
上記構成のハンマドリルにおいて、該軸受部は、該中心軸方向と直交する端面である第一側面と第二側面とを有し、該第一側面は該支持部材と当接し、該第二側面は該付勢機構と当接していることが好ましい。
【0008】
このような構成によると、軸受部は付勢機構により常に支持部材に付勢されているため、振動等により軸受部が支持部材から脱落・ずれ等することが抑制される。高圧で圧入することが必要ないため、製造時に圧入に係る高圧を発生させる装置を使用する必要が無くなる。また支持部材に高強度が要求されず、より軽量な支持部材を用いることができ、ハンマドリルの軽量化を図ることができる。
【0009】
また該付勢機構は、該軸受部と当接するスリーブと、該スリーブを該軸受部に向けて付勢するバネと、該バネの反軸受部側への移動を規制する規制部と、を含んで構成されていることが好ましい。
【0010】
このような構成によると、付勢力を発生させるバネと軸受部とがスリーブを介して接続される。よって、スリーブと軸受部との間で摺動を発生させることができる。
【0011】
また該シリンダ部と該駆動軸部との間には、該シリンダ部と該駆動軸部との間での駆動力の伝達を遮断可能な遮断機構が設けられ、該遮断機構は、該シリンダ部と連動して該シリンダ部と同軸若しくは平行な軸で回転する被当接部と、該駆動軸部と連動して該駆動軸部と同軸若しくは平行な軸で回転し該被当接部と当接する当接部と、該当接部を該被当接部に向けて付勢する付勢部とを有し、該被当接部は該規制部から構成され、該付勢部は該バネから構成されることが好ましい。
【0012】
このような構成によると、シリンダ部の異常回転から駆動軸部及びこれに繋がる伝導モータを保護することができる。また付勢機構と遮断機構とを構成する部品を一部共通の部品から構成することができるので、構成部品点数を削減することができ、以てハンマドリルの軽量化を図ることができる。
【0013】
また該付勢機構は該シリンダ部に設置され、該シリンダ部には、該付勢機構が非付勢状態において該シリンダ部から脱落するのを防止する脱落防止部材が設けられていることが好ましい。
【0014】
このような構成によると、付勢機構により軸受部が付勢されていない状態において、付勢機構がシリンダ部から脱落することが抑制される。よって、ハンマドリルの組立時において、付勢機構を組み込んだシリンダ部を容易に支持部材に組み付けることができる。
【0015】
また該軸受部は、該支持部材と当接する外輪と、該外輪に回転可能に支持されて該中心軸を中心として回転すると共に該シリンダ部を支持する内輪と、を有し、該付勢機構は、該内輪を付勢することが好ましい。
【0016】
このような構成によると、付勢機構が外輪と当接することがないため、付勢機構と軸受部との間に摺動箇所が発生せず、シリンダ部の回転を抑制することが無くなる。
【0017】
また該支持部材は、樹脂から構成されていることが好ましい。このような構成によると、支持部材を軽量化することができ、以てハンマドリルの軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のハンマドリルによれば、製造工程を簡略化し、かつ軽量化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の電動工具をハンマドリルに適用した第1の実施の形態について、図1及び図2に基づき説明する。ハンマドリル1は、互いに接続されたハンドル部10及びモータケーシング20と、ギヤケーシング30とを含んで構成されるケーシング部2を外殻として構成されている。
【0020】
ハンドル部10は、モータケーシング20に、モータケーシング20の反ギヤケーシング30側位置の側面から延出されて設けられている。ハンドル部10には電源ケーブル11が取り付けられていると共に、スイッチ機構12が内蔵されている。スイッチ機構12には使用者により操作可能なトリガ13が機械的に接続されている。電源ケーブル11はスイッチ機構12を外部電源(図示せず)に接続し、トリガ13を操作することにより、スイッチ機構12と電源との接続と断続とが切換えられる。尚、ハンマドリル1において、ケーシング部2の長手方向においてハンドル部10が設けられている側を後側と定義し、長手方向反対側を前側と定義する。この前後方向が、後述のシリンダ44の回転の中心軸方向と同一になっている。またハンドル部10のケーシング部2からの延出方向であって前後方向と略直交する方向を下側と定義し、反下側を上側と定義する。
【0021】
モータケーシング20は樹脂成型品で、ハンドル部10と一体成型されている。モータケーシング20内には電動モータ21が収納されている。電動モータ21は駆動軸である出力軸部22を備え、回転駆動力を出力している。出力軸部22は、後述のベアリング31Aにより軸支され、その前側先端がギヤケーシング30内に位置している。また出力軸部22のギヤケーシング30内に位置している前側先端部分には、第一ギヤ22Bが設けられている。
【0022】
ギヤケーシング30はモータケーシング20の反ハンドル部10側に設けられている。ギヤケーシング30の内部には支持部材31が設けられている。支持部材31は、ナイロン、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリウレタン等の一般的にエンジニアリングプラスチックと呼ばれる樹脂を基材として、モータケーシング20に接続される基部32と、基部32から前側へ向けて延出されるシリンダ部支持部33とを備えている。
【0023】
基部32は、前後方向と直交する板状に構成されており、略中央部分に、出力軸部22が挿通される孔32aが前後方向に貫通して形成されており、四隅にモータケーシング20に接続される図示せぬネジを通す図示せぬ孔が形成されている。また図1に示されるように、基部32のモータケーシング20と接続される面には、出力軸部22軸支するベアリング31Aが配置される穿孔が形成されており、ギヤケーシング30側の面には、後述の中間軸部41を軸支するベアリング41Bが配置される穿孔が形成されている。
【0024】
シリンダ部支持部33には、図1及び図2に示されるように、内部に後述の運動変換部材52及びピストン54が挿入される空間が画成されると共に、延出方向の先端部分に環状のメタル軸受34が設けられている。図2に示されるように、メタル軸受34の前後方向と直交する端面であって、支持部材31と当接する部分に第一側面34Aが規定され、第一側面34Aの反対側には後述のスリーブ44Eと当接する第二側面34Bが規定されている。またメタル軸受34においては、シリンダ部支持部33及びメタル軸受34をメタル軸受34の中心軸を通り前後方向と平行な断面で切断した場合に、メタル軸受34の内面がシリンダ部支持部33の内面より中心軸に近接するよう突出して構成されている。
【0025】
ギヤケーシング30内の支持部材31の下側部分には、後述の回転伝達機構を収容する減速室40aが画成されている。減速室40a内には、中間軸部41が配置されている。中間軸部41は、出力軸部22と平行であり、ベアリング41B等を介してギヤケーシング30と支持部材31とにより、その軸心を中心に回転可能に支承されている。また、ギヤケーシング30の、後述する工具保持部15近傍には、サイドハンドル16が設けられている。
【0026】
中間軸部41の後側となる電動モータ21側端部には、第一ギヤ22Bと噛合する第二ギヤ41Aが中間軸部41と同軸固定されている。中間軸部41の前側には中間軸部41と共回りし、かつ中間軸部41の軸方向に摺動可能なクラッチ42が配置されている。またクラッチ42の前側には、後述の第四ギヤ44Aと噛合可能な第三ギヤ43Aが設けられている。
【0027】
ギヤケーシング30内であって中間軸部41の他端側かつ上側近傍位置には、シリンダ44が設けられている。シリンダ44は中間軸部41と平行に延び、支持部材31においてシリンダ部支持部33のメタル軸受34と、ギヤケーシング30においてベアリング40Dとにより回転可能に支承されている。シリンダ44の外周であって第三ギヤ43A近傍には第四ギヤ44Aがシリンダ44と同軸回転可能に固定されている。第三ギヤ43Aと第四ギヤ44Aとの噛合により、シリンダ44はその軸心を中心としてギヤケーシング30に対して回転可能に構成されている。
【0028】
第四ギヤ44Aとシリンダ44との間には、遮断機構が介在している。遮断機構は、シリンダ44の第四ギヤ44A近傍位置に設けられた被当接部である鍔部44Bと、第四ギヤ44を挟んで鍔部44Bの反対側に設けられて第四ギヤ44Aを鍔部44Bに付勢するバネ44Cと、第四ギヤ44Aの側面であって鍔部44Bと当接する当接面44Dとから構成されている。通常回転時では、バネ44Cにより第四ギヤ44Aの当接面44Dを鍔部44Bに付勢して当接面44Dと鍔部44Bとの間に摩擦抵抗を発生させ、第四ギヤ44Aとシリンダ44とを一体に回転させる。図示せぬ先端工具が被削材に食い込む等の急激な回転の変化があった場合には、バネ44Cの付勢力によって生じる摩擦抵抗に抗って当接面44Dと鍔部44Bとの間に滑りが生じ、シリンダ44が第四ギヤ44Aに対して空転して急激な回転の変化の伝達を遮断し、電動モータ21及び出力軸22に連なって駆動力を伝達する機構を保護することができる。
【0029】
またシリンダ44において、メタル軸受34近傍位置には、付勢機構が配置されている。付勢機構は、上述のバネ44Cと、バネ44Cの前側への移動を規制する規制部である上述の鍔部44Bと、バネ44Cとメタル軸受34との間に位置するスリーブ44Eとから構成されており、一部の部品が遮断機構を構成する部品を兼ねている。これにより、ハンマドリル1を構成する部品点数を減じることができ、ハンマドリル1の重量を軽減することができる。
【0030】
スリーブ44Eは、略円筒状に構成されてシリンダ44の外周部分に装着されており、その素材がメタル軸受34と摺動可能な素材から構成されている。スリーブ44Eのメタル軸受34と対向する後側の端面部分には、円筒内周の全周に亘ってその内周が凹んだ凹部44eが形成されている。
【0031】
スリーブ44Eは、バネ44Cの第四ギヤ44Aを付勢する反力により、第二側面34Bに当接してメタル軸受34をシリンダ44の中心軸と同軸上で後側に向けて付勢している。これによりメタル軸受34は第一側面34Aでシリンダ部支持部33に付勢されることになり、メタル軸受34のシリンダ部支持部33からの脱落・ずれが防止される。よってメタル軸受34をシリンダ部支持部33に対して高圧で圧入する必要はなく、少なくともハンマドリル1の組立時にメタル軸受34がシリンダ部支持部33から脱落しない程度に、メタル軸受34がシリンダ部支持部33で保持されていればよい。
【0032】
スリーブ44Eがバネ44Cとメタル軸受34の間に介在していることにより、シリンダ44が回転する際に、スリーブ44Eとメタル軸受34との間で摩擦摺動を発生させることが可能となる。この場合にスリーブを低摩擦の素材から構成することにより、シリンダ44の回転を抑制することなく、好適に回転させることができる。またスリーブ44Eは、メタル軸受34をシリンダ44の中心軸と同軸上で後側に付勢しているため、メタル軸受34に中心軸方向と交差する方向に作用する力が発生することはない。よってスリーブ44Eによりメタル軸受34が付勢された状態であっても、メタル軸受34は好適にシリンダ44を支持することができる。
【0033】
シリンダ44は、内部に空間44aが画成されており、空間44aはシリンダ44の前側及び後側でそれぞれ開口している。シリンダ44後端の開口部分から空間44a内にピストン54が往復方向及び周方向に摺動可能に配置されている。シリンダ44の前側には図示せぬ先端工具の装着箇所となる工具保持部15が設けられている。工具保持部15では、シリンダ44の前側の開口から空間44a内に図示せぬ先端工具を挿入可能となっており空間44a内に挿入された先端工具を固定可能となっている。
【0034】
シリンダ44のメタル軸受34内に挿入されてシリンダ部支持部33に装着された状態でメタル軸受34の近傍箇所となる部分には、周方向に亘って溝が形成され、この溝内にはリング44Fが設けられている。リング44Fは、スリーブ44Eがシリンダ44に装着された状態で、シリンダ44の後側に配置され、スリーブ44Eがバネ44Cで付勢されて後側へ移動した場合に、凹部44e内に入り、スリーブ44Eがリング44Fを越えて後側へと移動しないように規制している。このリング44Fがあることにより、スリーブ44Eを組み付けたシリンダ44をシリンダ部支持部33に装着する際にスリーブ44Eを特に押さえておかなくても、スリーブ44Eがバネ44Cの付勢力によりシリンダ44から外れることはない。よって組立時の作業性を向上させることができる。
【0035】
またシリンダ44をシリンダ部支持部33に組み付けた後は、スリーブ44Eの後端面とメタル軸受34の第二側面34Bとが当接して、スリーブ44Eがバネ44Cの付勢力に抗って前方へと移動する。これによりリング44Fとスリーブ44Eとは離間するため、リング44Fがスリーブ44Eによるメタル軸受34への付勢を妨げることが防止される。
【0036】
図1に示されるようにピストン54は、筒部54Aと接続部54Bとから一体に構成されている。筒部54Aは前側が開口し後側が閉塞された略円筒状に構成されており、内部に空気室54aが画成されている。空気室54aを画成する壁部分であってピストン54の側面部分には、複数の空気孔54b(図2)が形成されている。また筒部54Aの外径は、空間44aの後端側の内径と略同一に構成されている。接続部54Bは筒部54Aの後端側に設けられており、後述の腕部52Aと連結されている。
【0037】
ピストン54の空気室54a内には、打撃子56が往復摺動可能に配置されている。打撃子56は、ピストン54が後側から前側へと移動した際に、空気室54a内の圧縮された空気の圧力により、前側へと移動可能に構成されている。またシリンダ44の空間44a内において、ピストン54と工具保持部15との間の部分には、打撃子56及び工具保持部15で保持された図示せぬ先端工具とそれぞれに接触可能な中間子57が摺動可能に配置されている。よって打撃子56が中間子57を打撃した際に、その打撃力は中間子57を介して図示せぬ先端工具に加えられる。
【0038】
中間軸部41において、第二ギヤ41Aとクラッチ42との間には、カム部51が設けられている。カム部51は略半球状に構成されており、中間軸部41とは通常非接続となっている。よってクラッチ42と接続されない限り、カム部51が中間軸部41と供回りすることはない。
【0039】
カム部51は表面に中間軸部41の軸と交差する方向に球面外周全周に亘る溝51aが形成されている。またカム部51には運動変換部材52が設けられている。運動変換部材52は、略環状に構成され、環状の内部に複数のボール52Bを備え、このボール52Bが溝51aと係合してカム部51に取り付けられている。運動変換部材52の上方に位置する環状の側面からは腕部52Aが延出されシリンダ部支持部33内に挿入され、ピストン54の後端部分と連結されている。このカム部51と運動変換部材52とボール52Bとから運動変換機構が構成される。
【0040】
ギヤケーシング30の下部であってクラッチ42近傍位置には、チェンジレバ45が設けられている。チェンジレバ45は、使用者が操作することにより、クラッチ42をそれぞれ前後に摺動させ、クラッチ42とカム部51とが連結・非連結を制御している。
【0041】
上記構成のハンマドリル1において使用者が作業をする場合には、先ずチェンジレバ45により、先端工具を回転駆動するか、回転・打撃駆動するか選択する。
【0042】
先端工具を回転・打撃駆動する場合には、クラッチ42とカム部51とを連結する。そしてトリガ13を引き、電動モータ21に電力を供給することにより、シリンダ44が回転し、シリンダ44の先端に取り付けられた図示せぬ先端工具はシリンダ44と一緒に回転する。また、カム部51により、回転運動を往復運動に変換することにより、ピストン54が前後に往復し、図示せぬ先端工具に打撃力が加えられる。
【0043】
支持部材31が樹脂により構成されているので、ハンマドリル1全体として軽量化されており、長時間の作業においても、作業者にかかる負担が小さくなり、作業性が向上する。また支持部材31のシリンダ部支持部33に設けられたメタル軸受34は、高圧で圧入する必要が無いため、シリンダ部支持部33をメタル軸受34が保持される程度の強度に構成すれば良く、高圧の圧入に耐えられる構成、例えばメタル軸受34の周辺を肉厚にするなど、を採る必要はない。よって支持部材31の軽量化を更に図ることが可能になり、作業者にかかる負担を更に低減することができる。
【0044】
本発明のハンマドリルは、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば上述の実施の形態では、軸受部としてメタル軸受を使用したがこれに限らず、図3及び図4に示される様に、軸受部としてニードルベアリング134を使用しても良い。このニードルベアリング134は、図4に示されるように、ニードルベアリング134の外殻を構成し前後方向と直交する両端面となる第一側面134A及び第二側面134Bを有する外輪部134Cと、外輪部134Cに回転可能に支持されるニードル部134Dとから構成されている。外輪部134Cがシリンダ部支持部33と当接すると共に、ニードル部134Dがシリンダ44に当接して支持することにより、シリンダ部支持部33でシリンダ44を回転可能に支持することが可能となっている。
【0045】
このような構成においては、ニードルベアリング134を高圧で支持部材31に圧入すると外輪部134Cが変形し、その性能が低下するおそれがあるため、高圧の圧入を行うことができない。しかし付勢機構によりニードルベアリング134が支持部材31に付勢されるため、高圧の圧入を行わずとも、ニードルベアリング134がシリンダ部支持部33において脱落等することなく好適に支持される。
【0046】
また軸受部においては、上述の物に限らず、例えば外輪及び内輪と、外輪と内輪との間に介在するボールとから構成されるベアリングを用いても良い。この場合に外輪が支持部材と当接し、内輪がシリンダ部と当接してシリンダ部を支持部材に対して回転可能に支持することができる。そしてこの構成において、付勢機構を構成するスリーブを内輪のみに当接させて、ベアリングが支持部材から脱落等するのを防止する。このような構成によると、スリーブが外輪と当接することがないため、スリーブとベアリングとの間に摺動箇所が発生せず、シリンダ部の回転を抑制することが無くなる。
【0047】
またスリーブと軸受部との間に摩擦を低減する機構、例えばベアリングやメタル軸受等を介在させても良い。これにより、スリーブと軸受部との間の摩擦抵抗をより減じることが可能となる。また、支持部材31を樹脂以外の高剛性の素材、例えば金属等から成形しても良く、この場合であっても軸受が電動モータ21から離間する方向に移動することを抑制することができ、軸受の脱落等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係るハンマドリルの側面断面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るハンマドリルのシリンダ周辺の側面部分断面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るハンマドリルの変形例に係るシリンダ周辺の側面部分断面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るハンマドリルの変形例に係る軸受部周辺の側面部分断面図。
【符号の説明】
【0049】
1・・ハンマドリル 2・・ケーシング部 10・・ハンドル部 11・・電源ケーブル
12・・スイッチ機構 13・・トリガ 15・・工具保持部 16・・サイドハンドル
20・・モータケーシング 21・・電動モータ 22・・出力軸部
22B・・第一ギヤ 30・・ギヤケーシング 31・・支持部材
31A・・ベアリング 31a・・孔 32・・基部 32a・・孔
33・・シリンダ部支持部 34・・メタル軸受 34A・・第一側面
34B・・第二側面 41B・・ベアリング40D・・ベアリング 40a・・減速室
41・・中間軸部 41A・・第二ギヤ 42・・クラッチ 43A・・第三ギヤ
44・・シリンダ 44A・・第四ギヤ 44B・・鍔部 44C・・バネ
44D・・当接面 44E・・スリーブ 44F・・リング 44a・・空間
44e・・凹部 45・・チェンジレバ 51・・カム部 51a・・溝
52・・運動変換部材 52A・・腕部 52B・・ボール 54・・ピストン
54A・・筒部 54B・・接続部 54a・・空気室 54b・・空気孔
56・・打撃子 57・・中間子 134・・ニードルベアリング
134D・・ニードル部 134C・・外輪部 134A・・第一側面
134B・・第二側面
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年10月6日(2006.10.6)
【代理人】 【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩

【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸

【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子


【公開番号】 特開2008−93748(P2008−93748A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−275000(P2006−275000)