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【発明の名称】 打撃工具
【発明者】 【氏名】亀谷 光

【氏名】吉兼 聖展

【要約】 【課題】揺動機構によって工具ビットを長軸方向に直線状に駆動する打撃工具において、当該打撃工具の制振性を一層向上するのに資する技術を提供する。

【解決手段】本発明の打撃工具は、工具ビット119と、モータ111と、回転軸125と、揺動部材129と、工具ビット119を駆動する工具駆動機構141,143,145と、加工作業時に生ずる工具ビット長軸方向の振動を抑制するカウンタウェイト153を有する。カウンタウェイト153は、揺動部材129の、回転軸125の軸線と交差する上下方向の下端部領域よりも上部の領域に配置されるとともに、その下端部153aが揺動部材129の下端部領域と連結されている。またカウンタウェイト153は、揺動部材129との連結部位から上方へと延在されるとともに、その延在端部に回動支点153cを有しており、揺動部材129が揺動動作を行う際、当該揺動部材129により駆動されて工具ビット119の長軸方向に回動動作し、これにより工具ビット長軸方向の振動を抑制する構成とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ビットの長軸方向の打撃動作により被加工材に所定の加工作業を行う打撃工具であって、
モータと、
前記工具ビットの長軸線と平行に配置されて前記モータにより回転駆動される回転軸と、
前記回転軸に支持されて当該回転軸の回転動作に基づき当該回転軸の軸線方向に揺動動作を行う揺動部材と、
前記揺動部材の、前記回転軸の軸線と交差する上下方向の上端部領域と連結されるとともに、前記揺動部材の揺動動作によって前記工具ビットの長軸方向に直線動作して当該工具ビットを直線状に駆動する工具駆動機構と、
前記加工作業時に生ずる前記工具ビット長軸方向の振動を抑制するカウンタウェイトと、を有し、
前記カウンタウェイトは、前記揺動部材の、前記回転軸の軸線と交差する上下方向の下端部領域よりも上部の領域に配置されるとともに、その下端部が前記揺動部材の下端部領域と連結されており、
また、前記カウンタウェイトは、前記揺動部材との連結部位から上方へと延在されるとともに、その延在端部に回動支点を有しており、前記揺動部材が揺動動作を行う際、当該揺動部材により駆動されて前記工具ビットの長軸方向に回動動作し、これにより前記工具ビット長軸方向の振動を抑制する構成としたことを特徴とする打撃工具。
【請求項2】
請求項1に記載の打撃工具であって、
前記カウンタウェイトの回動支点は、前記工具ビットの長軸線よりも上方に設定されている打撃工具。
【請求項3】
請求項1または2に記載の打撃工具であって、
前記カウンタウェイトは、前記揺動部材と連結されて上方へと延在される連結部と、制振用のウェイトとして機能する重量部とを有し、
前記連結部と前記重量部が別部材として準備された上で一体化して形成されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項4】
請求項3に記載の打撃工具であって、
前記連結部は、前記揺動部材と連結された下端部から前記揺動部材の側方を通って上方へと延在される左右のアーム部を有し、
前記左右のアーム部は、延在端部の左右方向の間隔が当該アーム部の撓みを介して可変とされており、
前記回動支点は、前記左右のアーム部の延在方向と交差する方向に延在する軸部と、当該軸部に相対回動可能に嵌合される孔部と、を有し、
前記左右のアーム部の延在端部には、前記軸部または孔部のいずれか一方が設けられるとともに、前記左右のアーム部の撓みによる間隔可変動作を利用して前記軸部と前記孔部の組み付けがなされるように構成されていることを特徴とする打撃工具。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の打撃工具であって、
前記工具ビットによる加工作業時の振動を抑制する動吸振器を更に有し、
前記動吸振器は、弾性要素による付勢力が作用した状態で前記工具ビットの長軸方向への直線動作が可能とされたウェイトを有し、
前記カウンタウェイトは、前記回動動作を行う際、前記弾性要素を介して前記動吸振器のウェイトを駆動する構成とした打撃工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動機構によって工具ビットを長軸方向に直線状に駆動する打撃工具の制振技術に関する。
【背景技術】
【0002】
揺動機構を用いてハンマビットを駆動する形式の電動ハンマドリルにおいて、加工作業時に当該ハンマドリルに生ずる振動を抑制する技術は、例えばEP特許公開第1000712号公報(特許文献1)に開示されている。揺動機構は、モータによって駆動される回転軸の回転動作に伴い当該回転軸の軸線方向に揺動動作する揺動リングを備えており、この揺動リングの上端領域に連結された工具駆動機構によって工具ビットを直線状に駆動する構成である。上記公報に記載の制振機構は、揺動部材としての揺動リングと工具駆動機構との連結部位から見て周方向に概ね180度の位相差を置いた下端領域にカウンタウェイトを連結し、揺動リングの揺動動作によって当該カウンタウェイトを直線動作させることで、加工作業時に生ずる振動を抑制する構成としている。
【0003】
しかしながら、上記の制振機構は、カウンタウェイトを揺動リングから離れた下方領域に配置する構成のため、カウンタウェイトの移動線とハンマビットの長軸線との上下方向間隔が広くなる。その結果、揺動リングによって工具駆動機構とカウンタウェイトが駆動される際、回転軸の軸線と直交する水平軸線回りに偶力に基づく無用な振動が発生するという不具合がある。また揺動リングの揺動動作によってカウンタウェイトを直線状に駆動する構成のため、摺動部位に生ずる抵抗によって工具ビットの打撃エネルギー(駆動力)をロスする可能性があるとともに、カウンタウェイトの直線ガイド機構が必要になり、コストがアップするといった問題もある。
【特許文献1】EP特許公開第1000712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、揺動機構によって工具ビットを長軸方向に直線状に駆動する打撃工具において、当該打撃工具の制振性を一層向上するのに資する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するため、本発明に係る打撃工具の好ましい形態は、工具ビットの長軸方向の打撃動作により被加工材に所定の加工作業を行う打撃工具において、モータと、回転軸と、揺動部材と、工具駆動機構とを有する。回転軸は、工具ビットの長軸線と平行に配置されてモータによって回転駆動される。揺動部材は回転軸に支持されて当該回転軸の回転動作に基づき当該回転軸の軸線方向に揺動動作を行う。工具駆動機構は、揺動部材の、回転軸の軸線と交差する上下方向の上端部領域と連結される。そして、揺動部材の揺動動作によって工具ビットの長軸方向に直線動作して当該工具ビットを直線状に駆動する。
なお、本発明における「打撃工具」としては、ハンマビットが直線状に打撃動作してハンマ加工作業を行う電動ハンマ、あるいはハンマビットが直線状に打撃動作しつつ周方向に回転動作してハンマドリル加工作業を行う電動ハンマドリルがこれに該当する。また、本発明における「回転軸の回転動作に基づき当該回転軸の軸線方向に揺動動作を行う」とは、揺動部材が回転軸の軸線に対して所定の角度で傾斜した状態で回転軸に相対回転自在に支持され、回転軸の回転に基づき揺動部材が回転軸に相対回転しつつ当該回転軸の軸方向に揺動する態様、あるいは揺動部材が回転軸の軸線に対して所定の角度で傾斜した状態で支持され、揺動部材が回転軸とともに一体に回転しつつ当該回転軸の軸方向に揺動動作を行う態様のいずれも好適に包含する。
【0006】
本発明の打撃工具の好ましい形態によれば、加工作業時に生ずる工具ビット長軸方向の振動を抑制するカウンタウェイトを有する。カウンタウェイトは、揺動部材の、回転軸の軸線と交差する上下方向の下端部領域よりも上部の領域に配置されるとともに、その下端部が揺動部材の下端部領域と連結される。また、カウンタウェイトは、揺動部材との連結部位から上方へと延在されるとともに、その延在端部に回動支点を有している。そして、揺動部材が揺動動作を行う際、当該揺動部材により駆動されて工具ビットの長軸方向に回動動作し、これにより工具ビット長軸方向の振動を抑制する構成とした。
なお、本発明における「下端部領域よりも上部の領域に配置」とは、カウンタウェイトの重心が揺動部材の下端部領域よりも上部の領域に位置している状態を指し、典型的にはカウンタウェイトが揺動部材の下端部領域と上端部領域との間に配置される態様がこれに該当するが、カウンタウェイトの一部が揺動部材の下端部領域よりも下方に延在している態様、あるいはカウンタウェイトの一部が揺動部材の上端部領域よりも更に上方に延在する態様を好適に包含する。また、本発明における「連結」の態様としては、典型的には揺動部材とカウンタウェイトとを、柱状、あるいはピン状のような突起部と、この突起部が相対的に遊動可能に嵌合する孔あるいは凹部とによって構成される連結構造を介して連結する態様、あるいは揺動部材とカウンタウェイトとを、ボール状部材と、このボール状部材が嵌合する球面凹部とによって構成される連結構造を介して連結する態様、等を好適に包含する。また、本発明における「カウンタウェイト」は、揺動部材の外側に当該揺動部材との干渉を回避して配置できるような形状、好ましくは上方が開口された略U字形に形成される。
【0007】
本発明においては、制振用として備えられるカウンタウェイトを、揺動部材の下端部領域よりも上部の領域に配置した上で当該揺動部材の下端部領域と連結する構成としている。このことにより、カウンタウェイトを工具ビットの長軸線上に近づけた状態で当該カウンタウェイトを揺動部材によって駆動することができる。また揺動部材によるカウンタウェイトの駆動タイミングを、加工作業時における振動の発生タイミングに対応して設定することで、カウンタウェイトによる制振作用を最適な形態で遂行させることが可能となる。工具ビットを駆動する工具駆動機構と制振用のカウンタウェイトが揺動部材によって対向状に駆動される構成の場合、回転軸の軸線と交差する水平軸線回りに偶力に基づく不要な振動が発生するが、本発明によれば、上記のように、カウンタウェイトを工具ビットの長軸線に近い位置で動作させることが可能なため、揺動部材から離れた下方位置にカウンタウェイトを配置する構成の制振機構に比べて、上記の偶力に基づく不要な振動を低減することができる。すなわち、本発明によれば、揺動部材の揺動動作によって工具ビットを長軸方向に直線状に駆動する形式の打撃工具において、加工作業時に当該打撃工具に生ずる工具ビット長軸方向の振動を抑制しつつ、不要な振動の発生を低減し、カウンタウェイトによる制振効果をより高めることが可能となる。
【0008】
また、本発明においては、カウンタウェイトは、揺動部材との連結部位から上方へと延在されるとともに、その延在端部を回動支点として工具ビットの長軸方向に回動動作を行う構成としている。揺動部材の揺動動作を利用してカウンタウェイトを直線動作させる構成の場合には、相対移動する摺動部位に生ずる摺動抵抗が、工具ビットに加えられる打撃エネルギーをロスする一因になる。しかるに、本発明によれば、カウンタウェイトを回動動作する構成とすることで、摺動抵抗を軽減してエネルギーロスを回避あるいは減少することができる。またカウンタウェイトに直線動作を行わせる構成に比べて、カウンタウェイトの支持構造を簡易化できる。
【0009】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、カウンタウェイトの回動支点は、工具ビットの長軸線よりも上方に設定されている。カウンタウェイトが工具ビットの長軸方向に回動動作を行う構成としたときは、カウンタウェイトは、工具ビットの長軸方向と交差する垂直方向(上下方向)の変位を伴うことになる。しかるに、本発明によれば、カウンタウェイトの回動支点を工具ビットの長軸線よりも上方位置に設定したことにより、カウンタウェイトの回動動作時における上下方向の変位を減らすことが可能となり、その結果、上下方向の不要な振動の発生を低減することができる。
【0010】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、カウンタウェイトは、揺動部材と連結されて上方へと延在される連結部と、制振用のウェイトとして機能する重量部とを有し、そして連結部と重量部が別部材として準備された上で一体化して形成されている。
カウンタウェイトの連結部は、主として揺動部材の揺動動作を伝達する動作伝達部位として備えられ、当該連結部の動作による無用な振動の発生を抑える意味では軽い方が好適である。従って、連結部については、動作の伝達に必要な強度が確保される限り、例えば板金のような薄肉の板状部材で形成することが好ましい。一方、制振用のウェイトとして機能する重量部については、重量化(制振に必要な重量の確保)に好適な形状、例えば矩形のブロック状(塊状)に形成することが好ましい。
ところで、カウンタウェイトは、例えば焼結法を用いることで上記の連結部(板状部)および重量部(ブロック状部)を一体に成形することが可能である。しかしながら、カウンタウェイトを焼結によって一体成形した場合、上記の板状部材からなる領域、すなわち連結部を薄肉状に形成することが技術的に難しく、結果として駄肉が生じ易いものであり、また、製作コストが高くなる。
【0011】
しかるに、本発明によれば、連結部と重量部を別部材として準備した上で、それらを一体化することでカウンタウェイトを形成する構成としたことにより、カウンタウェイトを製作する際、連結部と重量部について、個々の機能に応じた形状あるいは構造として適正に設定することが可能となる。すなわち、連結部については、例えば板金加工によって薄肉の板状部材として容易に形成できるし、重量部についても、例えば鋳造品としてブロック状に形成することが容易であり、結果として製作コストを低減することができる。
また、本発明によれば、重量部側で制振に必要な重量を確保しつつ、連結部を、例えば板金により構成することで薄肉化できるため、カウンタウェイトの全体重量の軽量化が可能となるとともに、重量部以外の質量が軽くなり、カウンタウェイトの動作時の不要な振動の発生を抑えることができる。
【0012】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、連結部は、揺動部材と連結された下端部から揺動部材の側方を通って上方へと延在される左右のアーム部を有する。左右のアーム部は、延在端部の左右方向の間隔が当該アーム部の撓みを介して可変とされている。また、回動支点は、左右のアーム部の延在方向と交差する方向に延在する軸部と、当該軸部に相対回動可能に嵌合される孔部とを有する。そして、左右のアーム部の延在端部には、軸部または孔部のいずれか一方が設けられ、左右のアーム部の撓みによる間隔可変動作を利用して軸部と孔部の組み付けがなされるように構成されている。なお、本発明における「孔部」は、貫通状の孔、非貫通状の孔のいずれであっても構わない。
【0013】
本発明によれば、左右のアーム部の撓みによる当該アーム部の間隔可変動作を利用して軸部と孔部との組み付け作業を行うことが可能とされている。間隔可変動作を利用するとは、左右のアーム部に外力を加え、あるいは外力を取り除くことによって、左右のアーム部の撓み、あるいは復元を利用することである。すなわち、本発明によれば、左右のアーム部に間隔を広げる方向に一旦外力を加え、アーム部を撓ませて軸部と孔部の位置を合わせた後、当該外力を取り除くことで軸部と孔部を嵌め合わせることができる。このため、組み付け作業を容易に行うことができ、組立性が向上する。また、アーム部の撓みを利用して組み付ける構成とすることで、カウンタウェイト全体をコンパクトにできる。
【0014】
本発明に係る打撃工具の更なる形態によれば、工具ビットによる加工作業時の振動を抑制する動吸振器を更に有する。動吸振器は、弾性要素による付勢力が作用した状態で工具ビットの長軸方向への直線動作が可能とされたウェイトを有する。そして、カウンタウェイトは、回動動作を行う際、弾性要素を介して動吸振器のウェイトを駆動する構成とした。本発明は、動吸振器とカウンタウェイトとを併用して加工作業時に発生する工具ビット長軸方向の振動を抑制する構成としたしたものであり、動吸振器による振動抑制作用とカウンタウェイトによる振動抑制作用が相俟って制振効果をより一層向上できる。また、揺動部材によって駆動されるカウンタウェイトの回動動作を利用して動吸振器のウェイトを駆動するため、当該ウェイトを駆動するための専用の駆動機構を設ける必要がなく、構造の簡素化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、揺動機構によって工具ビットを長軸方向に直線状に駆動する打撃工具において、当該打撃工具の制振性を一層向上するのに資する技術が提供されることとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態につき、図1〜図4を参照しつつ詳細に説明する。本発明の実施の形態では、打撃工具の一例として電動式のハンマドリルを用いて説明する。図1は第1の実施形態に係るハンマドリルの全体構成を概略的に示す一部に断面を含む側面図である。図1に示すように、ハンマドリル101は、概括的に見て、ハンマドリル101の外郭を形成する本体部103、当該本体部103の先端領域にツールホルダ137を介して着脱自在に取付けられたハンマビット119を主体として構成される。ハンマビット119は、本発明における「工具ビット」に対応する。
【0017】
本体部103は、駆動モータ111を収容したモータハウジング105と、運動変換機構113、動力伝達機構114および打撃要素115を収容したギアハウジング107と、ハンドグリップ109とを主体として構成されている。駆動モータ111は、本発明における「モータ」に対応する。駆動モータ111の回転出力は、運動変換機構113によって直線動作に適宜変換された上で打撃要素115に伝達され、当該打撃要素115を介してハンマビット119の長軸方向(図1における左右方向)への衝撃力を発生する。また駆動モータ111の回転出力は、動力伝達機構114によって適宜減速された上でハンマビット119に伝達され、当該ハンマビット119が周方向に回転動作される。駆動モータ111は、ハンドグリップ109に配置されたトリガ109aの引き操作によって通電駆動される。なお説明の便宜上、ハンマビット119側を前、ハンドグリップ109側を後という。
【0018】
運動変換機構113は、駆動モータ111により鉛直面内にて回転駆動される駆動ギア121、当該駆動ギア121に噛み合い係合する被動ギア123、当該被動ギア123とともに中間軸125を介して一体回転する回転体127、回転体127の回転によってハンマビット119の長軸方向に揺動される揺動リング129、および揺動リング129の揺動によって直線状に往復移動する筒状ピストン141を主体として構成される。中間軸125は、本発明における「回転軸」に対応し、揺動リング129は、本発明における「揺動部材」に対応する。中間軸125はハンマビット119の長軸方向に平行(水平)に配置され、当該中間軸125に取り付けられた回転体127の外周面が中間軸125の軸線に対し所定の傾斜角度で傾斜状に形成されている。揺動リング129は、回転体127の傾斜外周面にベアリング126を介して相対回転可能に支持され、当該回転体127の回転動作に伴ってハンマビット119の長軸方向および当該長軸方向と交差する方向に揺動される。回転体127、および回転体127にベアリング126を介して相対回転自在に支持される揺動リング129によって揺動機構が構成される。
【0019】
揺動リング129の上端部領域には、上方(放射方向)に一体に突設された揺動ロッド128が設けられ、当該揺動ロッド128が筒状ピストン141の後端部に設けた係合部124に遊嵌状に係合されている。筒状ピストン141は、シリンダ135内に摺動自在に配置されており、揺動リング129の揺動動作(ハンマビット119の長軸方向成分)によって駆動され、当該シリンダ135に沿って直線動作を行う。
【0020】
打撃要素115は、筒状ピストン141のボア内壁に摺動自在に配置された打撃子としてのストライカ143と、ツールホルダ137に摺動自在に配置されるとともに、ストライカ143の動作エネルギーをハンマビット119に伝達する中間子としてのインパクトボルト145とを主体として構成される。ストライカ143は、筒状ピストン141の摺動動作に伴う当該筒状ピストン141の空気室141aの空気バネを介して駆動され、筒状のツールホルダ137内に摺動自在に配置されたインパクトボルト145に衝突(打撃)し、当該インパクトボルト145を介してハンマビット119に打撃力を伝達する。筒状ピストン141、ストライカ143、インパクトボルト145は、本発明における「工具駆動機構」に対応する。
【0021】
動力伝達機構114は、駆動モータ111から駆動ギア121および中間軸125を介して鉛直面内にて回転駆動される第1伝達ギア131、当該第1伝達ギア131に噛み合い係合する第2伝達ギア133、当該第2伝達ギア133とともに回転されるシリンダ135を主体として構成される。そしてシリンダ135の回転駆動力は、ツールホルダ137に伝達され、更には当該ツールホルダ137に保持されたハンマビット119へと伝達される。
【0022】
次にハンマドリル101の加工作業時において、ハンマビット119の長軸方向に発生する衝撃的かつ周期的な振動を抑制するべく設けられる制振機構151につき、図2〜図4を参照しつつ説明する。図2および図3にはギアハウジング107内に配置される内部機構が示される。図2は側面図であり、図3は底面図である。また図4には制振機構部が縦断面で示される。本実施の形態に係る制振機構151は、揺動リング129によって駆動されるカウンタウェイト153を主体にして構成される。カウンタウェイト153は、本発明における「カウンタウェイト」に対応する。
【0023】
カウンタウェイト153は、図4に示すように、ハンマドリル101の前方あるいは後方から見て、上方が開口された略U字形に形成されており、揺動リング129の概ね下半周を囲むように揺動リング129の外側に配置されている。カウンタウェイト153は、その下端部(U形の底部)153aがハンマドリル101の下方から見て略方形状に形成(図3参照)されるとともに、当該下端部153aから左右の細長いアーム部153bが上方に向って延在された構成とされる。そしてカウンタウェイト153は、その重心が揺動リング129の下端部領域よりも上方に位置するように、下端部153a、および左右のアーム部153bの重量が設定されている。カウンタウェイト153の左右のアーム部153bは、中間軸125の軸線を通る水平方向の平面と概ね同じ高さ位置まで延在され、その延在端部には外面側に概ね水平に突出する軸部153cが形成されている。そしてこの軸部153cが、ギアハウジング107に設けられた便宜上図示を省略する前側の支持板と、ギアハウジング107のインナハウジング107aに固定状に設けられた後側の支持板107b(図2,3参照)とによって回動自在に支持されている。すなわち、カウンタウェイト153は、互いに突合せ状に配置される前後の支持板107bによって吊下げ状に支持され、軸部153cを回動支点にして前後方向であるハンマビット119の長軸方向への回動動作が可能とされている。
【0024】
揺動リング129の下端部領域、すなわち、筒状ピストン141との連結部から周方向に約180度ずれた位置には、外径方向に突出する円柱状あるいは円筒状の突起部129aが設けられている。一方、これに対応してカウンタウェイト153の下端部153aには係合孔153dが形成され、この係合孔153dに揺動リング129の突起部129aが相対的な遊動を許容された状態で係合されている。従って、揺動リング129が揺動動作されると、カウンタウェイト153は、当該揺動リング129の揺動動作(ハンマビット119の長軸方向成分)によって駆動され、筒状ピストン141の直線動作に対して対向状に回動される。なお、カウンタウェイト153の内面と揺動リング129の外面との間には、カウンタウェイト153が揺動リング129に干渉することなく回動する上で必要な隙間が設定されている。
【0025】
上記のように構成される第1の実施形態に係るハンマドリル201の作用について説明する。図1に示す駆動モータ111が通電駆動されると、その回転出力により、駆動ギア121が鉛直面内にて回動動作する。すると、駆動ギア121に噛み合い係合される被動ギア123、中間軸125を介して回転体127が鉛直面内にて回転動作され、これによって揺動リング129および揺動ロッド128が揺動する。揺動ロッド128の揺動によって筒状ピストン141が直線状に摺動動作され、それに伴う筒状ピストン141の空気室141aの空気バネの作用により、ストライカ143は筒状ピストン141内を直線動作し、インパクトボルト145に衝突することで、その動作エネルギーをハンマビット119へと伝達する。
【0026】
一方、中間軸125とともに第1伝達ギア131が回転されると、第1伝達ギア131に噛み合い係合される第2伝達ギア133を介してシリンダ135が鉛直面内にて回転され、更にシリンダ135とともにツールホルダ137およびこのツールホルダ137にて保持されるハンマビット119が一体状に回転される。かくして、ハンマビット119が長軸方向のハンマ動作と周方向のドリル動作を行い、被加工材に加工作業(穴開け作業)を遂行する。
【0027】
なお、ハンマドリル101は、上述したハンマビット119にハンマ動作と周方向のドリル動作とを行わせる、ハンマドリルモードでの作業態様のほか、ハンマビット119にドリル動作のみを行わせる、ドリルモードでの作業態様、あるいはハンマビット119にハンマ動作のみを行わせる、ハンマモードでの作業態様に切り替えることができるように構成されるが、このモードの切替機構については、本発明に直接関係しないため、その説明については省略する。
【0028】
上記の加工作業時において、ハンマビット119の長軸方向に発生する衝撃的かつ周期的な振動に対し、カウンタウェイト153が制振機能を奏する。カウンタウェイト153は、揺動リング129と筒状ピストン141との連結部位から周方向において約180度の位相差を置いて揺動リング129と連結されている。このため、筒状ピストン141がストライカ143側に向かってシリンダ135内を摺動するとき、カウンタウェイト153は、当該ストライカ143の摺動方向と反対方向へと回動する。すなわち、本実施の形態によれば、筒状ピストン141がストライカ143側に向かって直線動作し、ストライカ143、インパクトボルト145を介してハンマビット119が打撃動作を行う際、軸部153cを回動支点としてカウンタウェイト153がハンマビット119の長軸方向に筒状ピストン141と対向状に回動動作し、これによりハンマドリル101に生ずるハンマビット119の長軸方向の振動を抑制する。
【0029】
本実施の形態では、カウンタウェイト153を、揺動リング129の下端部領域よりも上部の領域に配置した構成としている。このことにより、例えば揺動リングから離れた下方領域にカウンタウェイトを配置する構成(前述の特許文献1参照)に比べて、カウンタウェイト153の重心をハンマビット119の長軸線に近づけることができる。その結果、揺動リング129によって筒状ピストン141とカウンタウェイト153が対向状に駆動される際、中間軸125の軸線と交差する水平軸線回りに生ずる偶力に基づく不要な振動を低減できる。
【0030】
また、本実施の形態では、カウンタウェイト153は、上方に延在するアーム部153bの延在端部において、軸部153cを回動支点にしてハンマビット119の長軸方向に回動動作を行う構成としている。このように、揺動リング129の揺動動作でカウンタウェイト153を回動動作させる構成のため、摺動部位の摺動抵抗を軽減してハンマビット119を打撃する駆動力の損失を回避あるいは減少することができる。また、カウンタウェイト153の支持構造を、軸部153cと当該軸部153cを回転自在に支持する前後の支持板107bとによって構成することができ、カウンタウェイト153に直線動作を行わせる構成に比べて、カウンタウェイト153の支持構造を簡易化できる。
【0031】
また、本実施の形態では、カウンタウェイト153と揺動リング129との連結構造に関し、カウンタウェイト153の下端部153aに設けた係合孔153dに揺動リング129の突起部129aが相対的な遊動を許容された状態で係合する構成としている。このため、揺動リング129の左右方向の揺動動作、すなわち、中間軸125の軸線と直交する鉛直軸線回りの揺動リング129の揺動動作(図3の矢印参照)がカウンタウェイト153に伝達されない。つまりカウンタウェイト153の駆動によって鉛直軸線回りに不要な振動が発生することを防止できる。
【0032】
(本発明の第2の実施形態)
次に本発明の第2の実施形態に係る制振機構151につき、図5〜図7を参照しつつ説明する。図5にはギアハウジング107内に配置される内部機構が示される。図6には制振機構部が外観図で示され、図7には制振機構部が縦断面図として示される。第2の実施形態に係る制振機構151は、概括的には、第1の実施形態と同様、揺動リング129によって駆動されるカウンタウェイト163によって構成されている。カウンタウェイト163は、その回動支点が第1の実施形態の場合よりも更に上方位置に設定されており、この点を除いては、前述した第1の実施形態と同様に構成されている。従って、図示された各部材のうち、第1の実施形態と同一の構成部材については同一符号を付してその説明を省略する。カウンタウェイト163は、本発明における「カウンタウェイト」に対応する。
【0033】
カウンタウェイト163は、図6および図7に示すように、ハンマドリル101の前後方向から見て、上方が開口された略U字形に形成されており、揺動リング129の外側に配置されている。そしてカウンタウェイト163は、その下端部(U形の底部)163aにおいて、揺動リング129の突起部129aと係合孔163dを介して連結されるとともに、当該下端部163aから左右のアーム部163bが上方に向って延在された構成とされる。
【0034】
カウンタウェイト163は、左右のアーム部163bが中間軸125の軸線を越えて更に上方へと延在され、その延在端部がハンマビット119の長軸線よりもやや上方位置に達している。そしてアーム部163bの延在端部には、外側に向って概ね水平に突出する軸部163cが形成され、この軸部163cが、ギアハウジング107に設けられた便宜上図示を省略する前側の支持板と、ギアハウジング107のインナハウジング107aに設けた後側の支持板107bによって回動自在に支持されている。またカウンタウェイト163は、左右のアーム部163bにおける延在方向の略中央部に重さを集中させるための重量集中部163eを設けている。この重量集中部163eによってカウンタウェイト163の重心位置は、第1の実施形態におけるカウンタウェイト153よりもハンマビット119の長軸線に近づけられている。
【0035】
本実施の形態によれば、第1の実施形態と同様、加工作業時において、ハンマビット119の長軸方向に発生する衝撃的かつ周期的な振動に対し、カウンタウェイト163が制振機能を奏する。カウンタウェイト163は、揺動リング129と筒状ピストン141との連結部位から周方向において約180度の位相差を置いて位置で揺動リング129と連結されている。このため、筒状ピストン141がストライカ143側に向かってシリンダ135内を摺動するとき、当該ストライカ143の摺動方向と反対方向へと回動する。すなわち、本実施の形態によれば、筒状ピストン141がストライカ143側に向かって直線動作し、ストライカ143、インパクトボルト145を介してハンマビット119が打撃動作を行う際、軸部163cを回動支点としてカウンタウェイト163がハンマビット119の長軸方向に対向状に回動動作し、これによりハンマドリル101に生ずるハンマビット119の長軸方向の振動を抑制する。
【0036】
本実施の形態では、上記のように、カウンタウェイト163のアーム部163bに重量集中部163eを設け、当該カウンタウェイト163の重心をハンマビット119の長軸線を通る水平方向の平面の高さ位置により近づける構成としている。このため、揺動リング129によって筒状ピストン141とカウンタウェイト163が対向状に駆動される際に生ずる、中間軸125の軸線と交差する水平軸線回りの偶力に基づく振動をより低減することが可能となる。
【0037】
ところで、カウンタウェイト163が軸部163cを回動支点にしてハンマビット119の長軸方向に回動動作するとき、当該カウンタウェイト163は、ハンマビット119の長軸方向と交差する垂直方向(上下方向)の変位量X(図5参照)を伴うことになる。この場合、本実施形態においては、カウンタウェイト163の回動支点をハンマビット119の長軸線よりも上方に設定しているため、カウンタウェイト163の回動動作時における上下方向の変位量Xを低減することが可能になり、当該上下方向変位に伴う不要な振動の発生を低減できる。
【0038】
(本発明の第3の実施形態)
次に本発明の第3の実施形態につき、図8〜図14を参照して説明する。本実施の形態に係る制振機構151は、概括的には、カウンタウェイト153と動吸振器171とを併用する構成としている。すなわち、本実施の形態は、動吸振器171を用いて制振を行う構成のハンマドリル101において、更にカウンタウェイト153による制振を行わせる構成としたものである。図8および図9にはギアハウジング107内に配置される内部機構とともに動吸振器171が断面で示されている。図8および図9に示すように、ギアハウジング107には、動吸振器171が設けられている。動吸振器171は、ハンマドリル101におけるギアハウジング107の側面領域において、ハンマビット119の長軸線を挟んで左側と右側にそれぞれ配置されている(図9参照)。動吸振器171は、左右いずれも同一構造である。なお、図10には制振機構部が断面で示され、図11には制振機構部が外観で示される(ただし動吸振器については断面で示す)。また、図12〜図14には動吸振器171の詳細な構造とその動作が示される。ただし、図12〜図14では、カウンタウェイト153が省略され、軸部153cのみが示されている。
【0039】
動吸振器171は、ハンマビット119の長軸方向に延在する筒体172と、当該筒体172内に配置された制振用のウェイト173と、ウェイト173の前後に配置された付勢バネ177を主体として構成される。付勢バネ177は、本発明における「弾性要素」に対応する。付勢バネ177は、ウェイト173が筒体172の長軸方向(すなわち、ハンマビット119の長軸方向)に移動する際、ウェイト173に対向状に弾発力を付与する。なお、動吸振器171における筒体172内のウェイト173の両側に形成される作動室176は、筒体172の壁に設けた通気孔172a(図12〜図14参照)あるいは後述の摺動子155に設けた通気孔155a(図12〜図14参照)を経て動吸振器171の外部に連通される構成とされる。すなわち、作動室176が定常的に外部と連通し空気が自由に出入できる構成のため、ウェイト173が直線動作するに際し、当該ウェイト173の直線動作が妨げられることがない。
【0040】
カウンタウェイト153は、振動を抑制する機能を有することに加え、上記の動吸振器171のウェイト173を積極的に駆動させて強制加振するための加振力の入力手段として備えられている。すなわち、カウンタウェイト153は、前述した第1の実施形態で説明した構成に加え、左右の軸部153cの突出端部に当該軸部153cとともに回動する作動片153eを有する構成とされる。各作動片153eは、前方に向って突出しており、その突出先端部が動吸振器171の筒体172内に摺動自在に配置された摺動子155の後面に当接されている。摺動子155は、一方の付勢バネ177の一端(筒体側端部)を支持している。従って、カウンタウェイト153が軸部153cとともに回動動作すると、作動片153eは、当該軸部153cとともに回動し、その突出先端部で付勢バネ177を加圧する方向に摺動子155を移動させる。なおカウンタウェイト153については、第1の実施形態と同一構成のため、同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
また摺動子155は、移動方向の一端が塞がれた筒状に形成されるとともに、移動方向に長尺状に形成されている。このため、筒体172の長軸方向の長さ寸法を増大することなく摺動子155の摺接面積を広く取ることができ、当該摺動子155が長軸方向に移動動作するときの安定化を図ることができる。
【0042】
上記のように構成される第3の実施形態においては、加工作業時において、ハンマビット長軸方向に発生する衝撃的かつ周期的な振動に対し、カウンタウェイト153が第1の実施形態で説明した制振機能を奏することに加え、本体部103に設けられた動吸振器171が制振機能を奏する。すなわち、動吸振器171は、ハンマドリル101の本体部103を、所定の外力(振動)が作用する制振対象体として見立てた場合、当該制振対象体である本体部103に対して、動吸振器171における制振要素であるウェイト173および付勢バネ177が協働して受動的な制振を行なう。これによりハンマドリル101の振動が効果的に抑制される。
【0043】
一方、ハンマドリル101の駆動時において、揺動リング129の揺動に伴って筒状ピストン141がストライカ143側に向かって直線動作し、ストライカ143、インパクトボルト145を介してハンマビット119が打撃動作を行う際、第1の実施形態と同様、カウンタウェイト153が軸部153cを回動支点としてハンマビット119の長軸方向に筒状ピストン141と対向状に回動動作することにより、本体部103に生ずるハンマビット119の長軸方向の振動を抑制する。
【0044】
また、カウンタウェイト153が軸部153cを回動支点としてハンマビット119の長軸方向に回動することに伴い、図12〜図14に示すように、カウンタウェイト153に設けた作動片153eが上下方向に回動し、一方向への回動時(本実施の形態では、下方への揺動時)に、動吸振器171の摺動子155を直線状に移動させて付勢バネ177を加圧し、これによってウェイト173を当該付勢バネ177の加圧方向へと移動させる。すなわち、ウェイト173を積極的に駆動して強制加振することができる。このため、ハンマドリル101に作用する振動の大小によらず、動吸振器171を定常的に作動させることが可能となる。この結果、例えば作業者がハンマドリル101に強い押圧力を作用させながらハンマ作業あるいはハンマドリル作業を行なう等のように、制振の要請は高いにも拘らず、当該押圧力のため動吸振器171に入力される振動量が小さくなってしまい、当該動吸振器171が十分に作動しないような作業態様においても、ウェイト173を積極的に駆動動作させ、十分な制振機能を確保することが可能となる。
【0045】
上記のように、本実施の形態によれば、カウンタウェイト153と動吸振器171とを併用する構成のため、カウンタウェイト153による振動抑制作用と動吸振器171による振動抑制作用が相俟って、より高い振動低減効果を得ることができる。
特に本実施の形態では、制振用として備えられるカウンタウェイト153に作動片153eを設け、当該作動片153eによって摺動子155を駆動して動吸振器171に加振力を入力する構成としている。このため、加振力の入力手段としての専用の作動機構を設ける必要がなくなり、構造上の簡素化を図ることができる。
【0046】
(本発明の第4の実施形態)
次に本発明の第4の実施形態に係る制振機構151につき、図15〜図17を参照しつつ説明する。図15にはギアハウジング107内に配置される内部機構が示される。図16および図17には制振機構部が縦断面図として示される。なお、図17は制振機構部の組み付け手順を示す。第4の実施形態に係る制振機構151は、概括的には、第1および第2の実施形態と同様、揺動リング129によって駆動されるカウンタウェイト183を主体として構成されている。なお、カウンタウェイト183以外については、前述した第1の実施形態と同様に構成されている。従って、図示された各部材のうち、第1の実施形態と同一の構成部材については、同一符号を付してその説明を省略する。カウンタウェイト183は、本発明における「カウンタウェイト」に対応する。
【0047】
カウンタウェイト183は、図16に示すように、下端部183aが揺動リング129に連結された状態で上方へと延在する左右のアーム部183bと、当該左右のアーム部183bに設けられた制振用のウェイトとして機能する左右の重量集中部183eとを主体として構成されており、全体として、ハンマドリル101の前後方向から見て略U字形に形成されている。そして、本実施の形態では、左右のアーム部183bと左右の重量集中部183eが別部材によって形成されている。アーム部183bは、本発明における「連結部」に対応し、重量集中部183eは、本発明における「重量部」に対応する。
【0048】
左右のアーム部183bの下端部183aには、円形の係合孔183dが貫通状に形成され、この係合孔183dに揺動リング129の下端部領域に突設された下向きの突起部129aが相対的な遊動を許容された状態で係合されることによってアーム部183bと揺動リング129が連結されている。また、左右のアーム部183bは、揺動リング129の側方を通って上方へと延在されるとともに、その延在端部がハンマビット119の長軸線よりもやや上方位置に達している。アーム部183aの延在端部には円形の軸孔183cが貫通状に形成され、この軸孔183cがインナハウジング107aに形成されたウェイト支持部107cの軸部(ボス部)107dに回動自在に嵌合されている。これにより、カウンタウェイト183は、軸部107cを回動支点にしてハンマビット119の長軸方向への回動動作が可能とされる。軸部107dは、本発明における「軸部」に対応し、軸孔183cは、本発明における「孔部」に対応する。
【0049】
アーム部183bは、金属板に、切り抜き、曲げ、穴開け等の板金加工を行うことによって所定の形状、すなわち、下端部183aに係合孔183aを有し、左右の延在端部に軸孔183cを有し、更に延在方向の概ね中間位置に複数の重り取付孔183fを有した略U字形に形成されている。左右のアーム部183bは、延在端部の対向間隔(左右方向間隔)が当該アーム部183bの弾性変形(撓み)を介して可変とされている。これによりインナハウジング107aのウェイト支持部107cに対するカウンタウェイト183の組み付け作業、すなわち、ウェイト支持部107cの軸部107dに対するアーム部183bの軸孔183cの嵌め込み作業を、図17に示すように、アーム部183bの撓みを利用して行うことが可能とされる。一方、重量集中部183eは、例えば、鋳造によって矩形のブロック状に形成されるとともに、左右のアーム部183bの重り取付孔183fに、例えばリベット185のような止着手段によって止着されている。
【0050】
上記のように構成された第4の実施形態によれば、ハンマドリル101によるハンマ作業時において、ハンマビット119の長軸方向に発生する衝撃的かつ周期的な振動に対し、カウンタウェイト183が制振機能を発揮し、前述した第1の実施形態、あるいは第2の実施形態に係る制振機構151と同様の制振効果を得ることができる。
【0051】
本実施の形態によれば、カウンタウェイト183のアーム部183bと重量集中部183eとを別部材で形成している。このため、カウンタウェイト183の製作に際し、アーム部183bと重量集中部183eにつき、個々の機能を考慮した上でその形状あるいは構造を個別に適正に設定することが可能となる。
例えば、揺動リング129の動作をカウンタウェイト183に伝達する部位として必要なアーム部183bについては、これを板金加工により形成し、当該動作の伝達に必要な強度を確保しつつ薄肉化することで軽量化を図ることができ、一方、重量集中部183eについては、加工作業時に発生する振動の制振に必要とされる重量を容易に確保することができる。その結果、カウンタウェイト183の全体としての軽量化を図りつつ制振効果の最適化を図ることが可能となる。また、重量集中部183e以外の質量が軽くなることで、当該カウンタウェイト183の動作による不要な振動の発生を抑えることが可能となる。また、カウンタウェイト183のアーム部183bを板金製としたことにより、安価に製作することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、左右のアーム部183bの撓みを利用して、本体部側部材であるアーム支持部107cの軸部107dに対するアーム部183bの組み付けを可能とした。すなわち、左右のアーム部183bの対向間隔を広げる方向に力を加えて軸部107dと軸孔183cの位置を合わせた後、当該力を解除することで軸部107dに軸孔183cを嵌め合わせることができ、組み付け作業を容易に行うことができる。また、アーム部183bの撓みを利用して組み付ける構成としたことでカウンタウェイト183全体をコンパクトに形成することが可能になるとともに、軸孔183cを構成する部材であるアーム部183bを前後2部材に分割する必要がなく、構造が単純化される。
【0053】
なお、上述した実施の形態では、揺動機構につき、揺動リング129が中間軸125に所定の傾斜角度で相対回転可能に支持されて中間軸125の回転に基づき当該中間軸125の軸方向に揺動動作を行う場合で説明したが、これに限定されない。すなわち、揺動リングが中間軸の軸線に対して所定の傾斜角度で傾斜した状態で中間軸と一体に回転するように取り付け、中間軸の回転に基づき揺動リングが中間軸とともに回転しつつ軸方向に揺動動作を行う構成の揺動機構に採用しても構わない。また、上述した実施の形態では、打撃工具としてハンマドリル101を例にとって説明しているが、ハンマドリル101に限らず、ハンマ作業のみを行うハンマに適用できる。
また、第4の実施形態において、軸孔183cをアーム支持部107c側に設け、軸部107dをアーム部183b側に設けても構わない。
【0054】
なお、本発明の趣旨に鑑み、以下の態様を構成することが可能である。
(態様1)
「請求項1、2または5に記載の打撃工具であって、
前記カウンタウェイトは、前記工具ビットの軸線方向から見て上方が開口された概ねU字形に形成されるとともに、前記揺動部材を囲むように当該揺動部材の外側に配置されている打撃工具。」
態様1に記載の発明によれば、カウンタウェイトを揺動部材の外側領域に存在する既存の空きスペースを利用して配置することができる。
【0055】
(態様2)
「態様1に記載の打撃工具であって、
前記カウンタウェイトには、上下方向の中間部に重量を集中させるための重量集中部が設けられている打撃工具。」
態様2に記載の発明によれば、重量集中部を設けることで、カウンタウェイトの重心を工具ビットの長軸線上に近づけ易くなり、工具駆動機構とカウンタウェイトが揺動部材によって対向状に駆動されるときの、回転軸の軸線と交差する水平軸線回りに生ずる偶力に基づく不要な振動を低減することができる。
【0056】
(態様3)
「態様1または2に記載の打撃工具であって、
前記カウンタウェイトと前記揺動部材は、前記カウンタウェイトと前記揺動部材の一方に設けられた突起部と、他方に設けられて前記突起部が相対的な遊動を許容された状態で係合する係合孔とを介して連結されている打撃工具。」
態様3に記載の発明によれば、揺動動作を行う揺動部材の工具ビット長軸方向の動作成分のみを、カウンタウェイトに工具ビット長軸方向の回動動作として合理的に伝達することができる。
【0057】
(態様4)
「請求項3または4に記載の打撃工具であって、
前記連結部は、前記工具ビットの軸線方向から見て上方が開口された概ねU字形をなすように板金曲げ加工された金属板で構成されていることを特徴とする打撃工具。」
態様4に記載の発明によれば、連結部を容易にかつ安価に製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電動式のハンマドリルの全体構成を概略的に示す一部に断面を含む側面図である。
【図2】ギアハウジング内の内部機構を主体として示す側面図である。
【図3】同じくギアハウジング内の内部機構を主体として示す底面図である。
【図4】制振機構部を示す縦断面図である。
【図5】第2の実施形態に係るギアハウジング内の内部機構を主体として示す側面図である。
【図6】制振機構部を示す外観図である。
【図7】制振機構部を示す縦断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るギアハウジング内の内部機構を主体として示す側面図である。
【図9】同じくギアハウジング内の内部機構を主体として示す底面図であり、動吸振器が断面によって示されている。
【図10】制振機構部を示す断面図である。
【図11】制振機構部を示す外観図であり、動吸振器については断面で示される。
【図12】動吸振器の強制加振を説明する図であり、付勢バネの最大加圧状態を示す。
【図13】動吸振器の強制加振を説明する図であり、付勢バネの中間加圧状態を示す。
【図14】動吸振器の強制加振を説明する図であり、付勢バネの非加圧状態を示す。
【図15】第4の実施形態に係るギアハウジング内の内部機構を主体として示す側面図である。
【図16】制振機構部を示す縦断面図である。
【図17】制振機構部を示す縦断面図であり、カウンタウェイトの組付け手順を示す。
【符号の説明】
【0059】
101 ハンマドリル(打撃工具)
103 本体部
105 モータハウジング
107 ギアハウジング
107a インナハウジング
107b 支持板
107c アーム支持部
107d 軸部
109 ハンドグリップ
109a トリガ
111 駆動モータ
113 運動変換機構
114 動力伝達機構
115 打撃要素
119 ハンマビット(工具ビット)
121 駆動ギア
123 被動ギア
124 係合部
125 中間軸(回転軸)
126 ベアリング
127 回転体
128 揺動ロッド
129 揺動リング(揺動部材)
129a 突起部
131 第1伝達ギア
133 第2伝達ギア
135 シリンダ
137 ツールホルダ
141 筒状ピストン
141a 空気室
143 ストライカ
145 インパクトボルト
151 制振機構
153 カウンタウェイト
153a 下端部
153b アーム部
153c 軸部(回動支点)
153d 係合孔
153e 作動片
155 摺動子
155a 通気孔
163 カウンタウェイト
163a 下端部
163b アーム部
163c 軸部(回動支点)
163d 係合孔
163e 重量集中部
171 動吸振器
172 筒体
172a 通気孔
173 ウェイト
176 作動室
177 付勢バネ(弾性要素)
183 カウンタウェイト
183a 下端部
183b アーム部(連結部)
183c 軸孔(孔部)
183d 係合孔
183e 重量集中部(重量部)
183f 重り取付孔
185 リベット
【出願人】 【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
【出願日】 平成19年7月6日(2007.7.6)
【代理人】 【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸

【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行


【公開番号】 特開2008−73836(P2008−73836A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2007−178594(P2007−178594)